JP2006030850A - 熱現像感光材料及びその製造方法 - Google Patents

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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

【課題】 第1に写真性能に影響を与えずに、現像時の擦り傷耐性を大幅に改良した熱現像感光材料を提供することであり、さらに第2の目的としては、塗布性に影響を与えずに、十分な滑り性を備えた熱現像感光材料およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、還元剤を含有する感光層、前記支持体上の最外層に平均粒径1μm〜30μmの有機固体潤滑剤粒子を含有する熱現像感光材料において、前記有機固体潤滑剤粒子が高分子分散剤を用いて分散されていることを特徴とする熱現像感光材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、擦り傷耐性が大きく向上し、搬送性が改良された熱現像感光材料とその製造方法に関する。
従来から印刷製版や医療の分野では、画像形成材料の湿式処理に伴う廃液が、作業性の上で問題となっており、近年では環境保全、省スペースの観点からも処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザー・イメージセッターやレーザー・イメージャーにより効率的な露光が可能で、高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真技術用途の熱現像感光材料に関する技術が必要とされてきた。
このための技術として熱現像処理法を用いて写真画像を形成する熱現像感光材料は、例えば米国特許第3,152,904号、同3,457,075号の各明細書及びD.モーガン(Morgan)とB.シェリー(Shely)による「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed Silver Systems)」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials)Neblette 第8版、スタージ(Sturge)、V.ウォールワース(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第2頁、1969年)に開示されている。
このような熱現像感光材料は、一般的にはプラスチック等の支持体に乳剤層及び必要に応じて中間層、保護層、バッキング層、アンチハレーション層、帯電防止層、などの熱現像感光材料の構成層が種々、組合せられて塗設されたものである。熱現像感光材料は、塗布、乾燥、加工などの製造工程等における熱現像感光材料の巻き取り、巻き返し、搬送の際に種々の装置と熱現像感光材料との接触、または感光表面とバッキング面との間におけるような熱現像感光材料どうしの接触によって好ましからざる影響を受けることが多い。例えば熱現像感光材料表面の引っ掻き傷や滑り傷の発生や、現像装置等の中での熱現像感光材料の搬送性の劣化等である。
このような目的に対し、例えば、炭素数8以上のアルキルシラン化合物を用いて改良を行う方法(例えば、特許文献1参照)、あるいは長鎖アルキル基を持つイオウ系、エステル系滑り剤を用いる方法(例えば、特許文献2参照)が開示されているが、いずれの方法も写真性能に影響があり、色調が劣化するという問題点があり、また高温な熱現像機中で熱現像機を汚染したり、高温度での十分な滑り性を与えることができないという課題を抱えている。このような観点より改良方法の一つとして、無機固体潤滑剤を用いることが開示されている(例えば、特許文献3参照)が、その効果は未だ十分とは言えないのが現状である。
現像装置内での搬送の速度、自動現像機に於ける処理速度の増加は、最近になって一段と増加しており、更なる滑り性の改良が求められているのが現状である。
米国特許第6,020,117号明細書 特開2001−005137号公報 特開2002−116520号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、第1に写真性能に影響を与えずに、現像時の擦り傷耐性を大幅に改良した熱現像感光材料を提供することであり、さらに第2の目的としては、塗布性に影響を与えずに、十分な滑り性を備えた熱現像感光材料およびその製造方法を提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、還元剤を含有する感光層を有し、前記支持体上の最外層が平均粒径1μm〜30μmの有機固体潤滑剤粒子を含有する熱現像感光材料において、前記有機固体潤滑剤粒子が高分子分散剤を用いて分散されていることを特徴とする熱現像感光材料。
(請求項2)
前記有機固体潤滑剤粒子の融点が、80℃以上350℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱現像感光材料。
(請求項3)
前記有機固体潤滑剤粒子がポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリテトラフルオロエチレンの高分子化合物の微粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱現像感光材料。
(請求項4)
前記有機固体潤滑剤粒子が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱現像感光材料。
一般式(1)
(R1p−X1−L−X2−(R2q
〔式中R1、R2は各々炭素数6〜60の置換もしくは無置換アルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基であり、p又はqが2以上である場合、複数存在するR1およびR2は互いに同一でも相違していても良い。X1、X2は各々窒素原子を含む2価の連結基を示す。Lは置換もしくは無置換のp+q価のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、またはアリール基を示す。〕
(請求項5)
前記有機固体潤滑剤粒子がフッ素系非イオン性活性剤とフッ素系アニオン活性剤を含有する層に含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
(請求項6)
請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱現像感光材料の製造方法において、有機固体潤滑剤粒子が高分子分散剤を用いて分散された分散液を塗布液中に混合することを特徴とする熱現像感光材料の製造方法。
本発明によれば、塗布性に影響を与えず、摩擦係数が低く、搬送性に問題のない熱現像感光材料を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明の熱現像感光材料(以下、感光材料とも言う)においては、支持体上の最外層に平均粒径1μm〜30μmの有機固体潤滑剤粒子を含有し、この有機固体潤滑剤粒子が高分子分散剤によって分散されていることを特徴の1つとし、有機固体潤滑剤粒子の融点は、熱現像処理温度よりも高いことがより好ましく、80℃以上、より好ましくは110℃以上である。
本発明における有機固体潤滑剤粒子としては、表面のエネルギーを下げる化合物が好ましく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、およびこれらの共重合体などを粉砕して形成した粒子などが挙げることができる。
以下に、ポリエチレン、ポリプロピレンからなる有機固体潤滑剤粒子の一例を示すが、本発明ではこれらに限定されるものではない。
[融点℃]
PW−1 ポリテトラフルオロエチレン 321
PW−2 ポリプロピレン/ポリエチレン共重合体 142
PW−3 ポリエチレン(低密度) 113
PW−4 ポリエチレン(高密度) 126
PW−5 ポリプロピレン 145
本発明に係る前記一般式(1)で表される化合物において、総炭素数は特に限定されないが、一般的には20以上が好ましく、30以上がさらに好ましい。R1とR2の定義におけるアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基が有していてもよい置換基の例としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシル基、スルホニル基、スルフィニル基、アリール基およびアルキル基を挙げることができる。これらの基はさらに置換基を有してもよい。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アシル基およびアルキル基である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子が好ましい。
アルコキシ基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基におけるアルキル成分は後述するR2のアルキル基と同じである。アシルアミノ基、スルホニルアミノ基のアミノ基は、N置換アミノ基であってもよく、置換基はアルキル基が好ましい。アシルアミノ基、アシル基のカルボニル基およびスルホニルアミノ基のスルホニル基に結合する基はアルキル基、アリール基であるが、上記アルキル基が好ましい。
1およびR2は、炭素数6〜60、好ましくは炭素数6〜40、より好ましくは炭素数10〜30の置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基であり、これらアルキル基、アルケニル基、アラルキル基は、直鎖でも分岐鎖でも環状構造を含むものでもよく、これらが混合したものでもよい。好ましいR1およびR2の例としては、オクチル、t−オクチル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、2−ヘキシルデシル、オクタデシル、Cn2n-1(nは20〜60を表す)、エイコシル、ドコサニル、メリシニル、オクテニル、ミリストレイル、オレイル、エルシル、フェニル、ナフチル、ベンジル、ノニルフェニル、ジペンチルフェニル、シクロヘキシルの各基およびこれらの上記置換基を有する基等を挙げることができる。
1、X2は窒素原子を含む2価の連結基を示し、好ましくは−CONR3−、−NR4CONR5−、−NR6COO−を示す。
Lは置換もしくは、無置換のp+q価のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基を示す。炭化水素基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1〜60、より好ましくは1〜40、さらに好ましくは10〜40である。p+q価の炭化水素基における「p+q価」とは炭化水素中のp+q個の水素原子が除かれて、そこにp個のX1−基とq個の−X2基が結合することを示す。pおよびqは0〜6の整数を表し、1≦p+q≦6であり、好ましくは1≦p+q≦4である。また、pおよびqのいずれも1である場合が好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物は、合成物であっても天然物であってもよい。天然物、あるいは合成物であっても天然物の高級脂肪酸やアルコールを原料とした合成化合物は、炭素数の異なるものや直鎖と分岐のものを含み、これらの混合物となるが、これらの混合物を使用することは何等差し支えない。組成の品質安定性の観点では合成物が好ましい。
以下に好ましい一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[融点℃]
OW−1 ラウリン酸アマイド 87
OW−2 パルチミン酸アマイド 100
OW−3 ステアリン酸アマイド 101
OW−4 ベヘン酸アマイド 98
OW−5 ヒドロキシステアリン酸アマイド 107
OW−6 オレイン酸アマイド 75
OW−7 エルカ酸アマイド 81
OW−8 リシノール酸アマイド 62
OW−9 N−ラウリルラウリン酸アマイド 77
OW−10 N−パルミチルパルミチン酸アマイド 91
OW−11 N−ステアリルステアリン酸アマイド 95
OW−12 N−オレイルオレイン酸アマイド 65
OW−13 N−ステアリルオレイン酸アマイド 67
OW−14 N−オレイルステアリン酸アマイド 74
OW−15 N−ステアリルエルカ酸アマイド 69
OW−16 N−オレイルパルミチン酸アマイド 68
OW−17 N−ステアリル−12−ヒドロキシステアリン酸アマイド 102
OW−18 N−オレイル−12−ヒドロキシステアリン酸アマイド 90
OW−19 メチロールステアリン酸アマイド 110
OW−20 メチロールベヘン酸アマイド 110
OW−21 メチレンビスステアリン酸アマイド 142
OW−22 メチレンビスラウリン酸アマイド 131
OW−23 メチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド 143
OW−24 エチレンビスカプリル酸アマイド 165
OW−25 エチレンビスカプリン酸アマイド 161
OW−26 エチレンビスラウリン酸アマイド 157
OW−27 エチレンビスステアリン酸アマイド 145
OW−28 エチレンビスイソステアリン酸アマイド 106
OW−29 エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド 145
OW−30 エチレンビスベヘン酸アマイド 142
OW−31 ヘキサメチレンビスステアリン酸アマイド 140
OW−32 ヘキサメチレンビスベヘン酸アマイド 142
OW−33 ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド 135
OW−34 ブチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド 140
OW−35 N,N′−ジステアリルアジピン酸アマイド 141
OW−36 N,N′−ジステアリルセバシン酸アマイド 136
OW−37 メチレンビスオレイン酸アマイド 116
OW−38 エチレンビスオレイン酸アマイド 119
OW−39 エチレンビスエルカ酸アマイド 120
OW−40 ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド 110
OW−41 N,N′−ジオレイルアジピン酸アマイド 118
OW−42 N,N′−ジオレイルセバシン酸アマイド 113
OW−43 m−キシリレンステアリン酸アマイド 123
OW−44 N,N′−ジステアリルイソフタル酸アマイド 125
OW−45 エタノールアミンジステアレート 82
OW−46 N−ブチル−N′−ステアリル尿素 94
OW−47 N−フェニル−N′−ステアリル尿素 99
OW−48 N−ステアリル−N′−ステアリル尿素 109
OW−49 キシリレンビスステアリル尿素 166
OW−50 トルイレンビスステアリル尿素 172
OW−51 ヘキサメチレンビスステアリル尿素 173
OW−52 ジフェニルメタンビスステアリル尿素 206
本発明における有機固体潤滑剤は、予め塗布液中に分散した状態で用いるのが好ましい。有機固体潤滑剤は、名の如く表面が滑り易い性質になっているため、水とも有機溶媒とも親和性は十分に高くないことが多く、分散液の安定性が低いと塗布液中で凝集もしくは沈降などを発現する場合がある。塗布液中での凝集もしくは沈降は、フィルムに加工した際に塗布故障の原因となり好ましくない。分散液の安定性を高める方法としては、表面を改質し静電気的な効果を用いる方法や高分子分散剤による表面吸着層を利用した立体障害の効果を用いる方法などが上げられる。前者は一般的な分散安定化方法であるが、熱現像感光材料に用いるという点から表面改質剤自身の他の性能への影響が懸念されるため、また水系、非水系のどちらでも効果の発現しやすい後者の方法が好ましい。本発明における高分子分散剤は、熱現像感光材料に用いられているバインダーを利用することができる。具体的には、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートなどを用いることができる。
高分子分散剤の量は、被分散物である有機固体潤滑剤粒子に対し、1質量%〜200質量%の範囲で用いることが好ましい。分散方法は特に限定しないが、デゾルバー式、超音波式、圧力式などが用いることができ、発熱しないよう冷却装置の調った分散装置で分散処理することが好ましい。
本発明に係る有機固体潤滑剤粒子の平均粒径は、下記方法による分散後の平均粒径を指す。本発明に係る平均粒径を求めるには、本発明に係る化合物を含む分散液を希釈して、カーボン支持膜付きグリッド上に滴下、乾燥させた試料を透過型電子顕微鏡(例えば、日本電子社製、2000FX型)、直接倍率5000倍にて撮影を行った後、スキャナにてネガをデジタル画像として取り込み、適当な画像処理ソフトを用いて、それぞれの粒径(円相当径)を300個以上測定し、その算術平均より平均粒径を求めることができる。
本発明の感光材料においては、支持体上の少なくとも1層が前記一般式(1)で表される化合物を含有し、かつ非イオン性含フッ素界面活性剤とアニオン性含フッ素界面活性剤とを含有することを特徴とする。
本発明で用いることのできる非イオン性含フッ素界面活性剤としては、特に制限はないが、下記一般式(A)で表される化合物が好ましい。
一般式(A)
Rf1−(AO)n−Rf2
式中、Rf1及びRf2はフッ素含有脂肪族基を表し、同じでも異なってもよい。AOは少なくとも一つのアルキレンオキシ基を有する基を表し、nは1〜30の整数を表す。
一般式(A)において、Rf1及びRf2で表されるフッ素含有脂肪族基としては、直鎖、分岐鎖及び環式、またはこれらの組合せから成る脂肪族基、例えばアルキルシクロ脂肪族基が挙げられる。好ましいフッ素含有脂肪族基としては、それぞれ炭素数1〜20のフルオロアルキル基(−C49、−C817等)、スルホフルオロアルキル基(−C715SO3、−C817SO3−等)、Cn2n+1SO2N(R1)R2−基(R1は水素原子、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボキシル基またはアリール基で、R2はそれぞれ炭素数1〜20のアルキレン基、アルキレンカルボキシル基を表し、nは1〜20の整数を表す。C715SO2N(C25)CH2−、C817SO2N(CH2COOH)CH2CH2CH2−等)で、これらは更に置換基を有してもよい。
AOはエチレンオキシ、プロピレンオキシ、i−プロピレンオキシ等のアルキレンオキシ基を有する基で、末端にアミノ基等の置換基を有してもよい。nは好ましくは5〜15の整数である。
以下に一般式(A)で表される化合物例の具体例を示すが、これに限定されない。
A−1:C1225(CH2CH2O)241225
A−2:C817(CH2CH2O)8817
A−3:C715CH2CH(OH)CH2(CH2CH2O)15CH2CH(OH)CH2715
A−4:C715(CH2CH2O)10715
A−5:C1225(CH2CH2O)151225
A−6:C817CH2CH(OH)CH2(CH2CH2O)20CH2CH(OH)CH2817
A−7:C817(CH2CH2O)18817
A−8:C817(CH2CH2O)20817
A−9:C715SO2N(C25)CH2(CH2CH2O)22CH2N(CH3)SO2715
A−10:C917O(CH2CH2O)22917
また、本発明で用いることのできるアニオン性含フッ素界面活性剤としては、特に制限はなく、下記に具体的化合物を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006030850
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本発明に係る各含フッ素系界面活性剤の使用量は、一般に感光材料1m2当り0.01〜1gでよく、10〜500mgが好ましい。より好ましくは50〜300mgである。
本発明に用いられる含フッ素系界面活性剤としては、上記の他に、特開昭60−244945号、同63−306437号、特開平1−24245号の各公報に記載のイオン性のフッ素系界面活性剤、特開平5−197068号、同5−204115号の各公報等に記載のアニオン・カチオン併用のフッ素系界面活性剤を用いることができる。
本発明に用いられる含フッ素系界面活性剤の添加層としては、特に限定がなく、どの層にあっても良いが、最表面層に含有されることが好ましい。
次いで、本発明の熱現像感光材料の各構成要素について説明する。
〔感光性ハロゲン化銀粒子〕
はじめに、本発明の熱現像感光材料に用いられる感光性ハロゲン化銀粒子(以下、単にハロゲン化銀粒子ともいう)について説明する。
なお、本発明における感光性ハロゲン化銀粒子とは、ハロゲン化銀結晶の固有の性質として本来的に光吸収することができ、または人為的に物理化学的な方法により可視光ないし赤外光を吸収することができ、かつ紫外光領域から赤外光領域の光波長範囲内のいずれかの領域の光を吸収したときに、ハロゲン化銀結晶内または結晶表面において、物理化学的変化が起こり得るように処理製造されたハロゲン化銀結晶粒子をいう。
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子自体は、P.Glafkides著Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Duffin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press刊、1964年)等に記載された方法を用いてハロゲン化銀粒子乳剤として調製することができる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、又可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形成としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せ等のいずれを用いてもよいが、上記方法の中でも形成条件をコントロールしつつハロゲン化銀粒子を調製する、いわゆるコントロールドダブルジェット法が好ましい。
ハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよいが、臭化銀、沃臭化銀または沃化銀であることが特に好ましい。
沃臭化銀の場合は、沃素含有量は0.02〜16mol%/Agmolの範囲であることが好ましい。沃素はハロゲン化銀粒子全体に分布するように含有させても、あるいはハロゲン化銀粒子の特定個所、例えば、粒子の中心部の沃素の濃度を高くし、表面近傍における濃度を低く、または実質上ゼロとなるようなコア/シェル型構造としてもよい。
粒子形成は、通常、ハロゲン化銀種粒子(核粒子)生成と粒子成長の2段階に分けられ、一度にこれらを連続的に行う方法でもよく、あるいは核(種粒子)形成と粒子成長を分離して行う方法でもよい。粒子形成条件としては、pAg、pH等をコントロールして粒子形成を行うコントロールドダブルジェット法が粒子形状やサイズのコントロールができる点で好ましい。例えば、核生成と粒子成長を分離して行う方法の場合には、先ず、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩をゼラチン水溶液中で均一、急速に混合させて核生成(核生成工程)を行った後、コントロールされたpAg、pH等のもとで、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を供給しつつ、粒子成長させる粒子成長工程によりハロゲン化銀粒子を調製する。
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、画像形成後の白濁や色調(黄色味)を低く抑えるため、良好な画質を得るためにハロゲン化銀粒子の粒径が小さい方が好ましく、平均粒径が0.02μm未満の粒子を計測対象外としたときの値として、0.030μm以上、0.055μm以下が好ましい。
なお、ここでいう粒径とは、ハロゲン化銀粒子が立方体或いは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には、主表面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径をいう。
本発明において、ハロゲン化銀粒子は単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる粒径の変動係数が30%以下をいう。好ましくは20%以下であり、更に好ましくは15%以下である。
粒径の変動係数=粒径の標準偏差/粒径の平均値×100(%)
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、14面体粒子、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子などを挙げることができるが、これらのなかで、特に、立方体、八面体、14面体、平板状ハロゲン化銀粒子が好ましい。
平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は、好ましくは1.5以上、100以下、より好ましくは2以上、50以下がよい。これらは米国特許第5,264,337号、同第5,314,798号、同第5,320,958号の各明細書等に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。
ハロゲン化銀粒子外表面の晶癖については、特に制限はないが、ハロゲン化銀粒子表面への増感色素の吸着反応において、晶癖(面)選択性を有する分光増感色素を使用する場合には、その選択性に適応する晶癖を相対的に高い割合で有するハロゲン化銀粒子を使用することが好ましい。例えば、ミラー指数〔100〕の結晶面に選択的に吸着する増感色素を使用する場合には、ハロゲン化銀粒子外表面において〔100〕面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、特に80%以上であることが好ましい。逆に、ミラー指数〔111〕の結晶面に選択的に吸着する増感色素を使用する場合には、ハロゲン化銀粒子外表面において〔111〕面の占める割合を高めることが好ましい。なお、ミラー指数〔100〕面の比率は、増感色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging Sci.,29,165(1985年)により求めることができる。
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、粒子形成時に平均分子量が5万以下の低分子量ゼラチンを用いて調製することが好ましいが、特に、ハロゲン化銀粒子の核形成時に用いることが好ましい。低分子量ゼラチンは、平均分子量5万以下のものであり、好ましくは2000〜40000、更には5000〜25000である。ゼラチンの平均分子量はゲル濾過クロマトグラフィーで測定することができる。
核形成時の分散媒の濃度は、5質量%以下が好ましく、0.05〜3.0質量%の低濃度で行うのがより有効である。
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、粒子形成時に下記の一般式〔I〕で示されるポリエチレンオキシド化合物を用いることができる。
一般式〔I〕
YO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)p(CH2CH2O)n
式中、Yは水素原子、−SO3M、または−CO−B−COOMを表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基または炭素原子数5以下のアルキル基にて置換されたアンモニウム基を、Bは有機2塩基性酸を形成する鎖状または環状の基を表す。m及びnは各々0〜50をpは1〜100を表す。
上記一般式〔I〕で表されるポリエチレンオキシド化合物は、感光材料を製造するに際し、ゼラチン水溶液を製造する工程、ゼラチン溶液に水溶性ハロゲン化物及び水溶性銀塩を添加する工程、ハロゲン化銀乳剤を支持体上に塗布する工程等、乳剤原料を撹拌したり、移動したりする場合の著しい発泡に対する消泡剤として好ましく用いられてきたものであり、消泡剤として用いる技術は、例えば、特開昭44−9497号公報に記載されており、上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物も、核形成時の消泡剤としても機能する。
上記一般式〔I〕で表されるポリエチレンオキシド化合物は、銀に対して1質量%以下で用いるのが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1質量%で用いる。
上記一般式〔I〕で表されるポリエチレンオキシド化合物は、核形成時に存在していればよく、核形成前の分散媒中に予め加えておくのが好ましいが、核形成中に添加してもよいし、核形成時に使用する銀塩水溶液やハライド水溶液に添加して用いてもよい。好ましくはハライド水溶液若しくは両方の水溶液に0.01〜2.0質量%で添加して用いることである。又、核形成工程の少なくとも50%に亘る時間で存在せしめるのが好ましく、更に好ましくは70%以上に亘る時間で存在せしめる。上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は、粉末で添加しても、メタノール等の溶媒に溶かして添加してもよい。
なお、核形成時の温度は5〜60℃、好ましくは15〜50℃であり、一定の温度であっても、昇温パターン(例えば、核形成開始時の温度が25℃で、核形成中徐々に温度を挙げ、核形成終了時の温度が40℃の様な場合)やその逆のパターンであっても前記温度範囲内で制御するのが好ましい。
核形成に用いる銀塩水溶液及びハライド水溶液の濃度は、3.5モル/L以下が好ましく、更には0.01〜2.5モル/Lの低濃度域で使用されるのが好ましい。核形成時の銀イオンの添加速度は、反応液1L当たり1.5×10-3〜3.0×10-1モル/分が好ましく、更に好ましくは3.0×10-3〜8.0×10-2モル/分である。
核形成時のpHは1.7〜10の範囲に設定できるが、アルカリ側のpHでは形成する核の粒径分布を広げるため、好ましくはpH2〜6である。又、核形成時のpBrは0.05〜3.0程度、好ましくは1.0〜2.5、更には1.5〜2.0がより好ましい。
〔熱現像後内潜型ハロゲン化銀粒子〕
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子は、熱現像によって表面潜像型から内部潜像型に変換することにより表面感度が低下するハロゲン化銀粒子を用いることができる。すなわち、熱現像前の露光では、現像反応(銀イオン還元剤による銀イオンの還元反応)の触媒として機能し得る潜像を該ハロゲン化銀粒子の表面に形成し、熱現像過程経過後の露光では該ハロゲン化銀粒子の表面より内部に多くの潜像を形成するようになるため、表面における潜像形成が抑制されるハロゲン化銀粒子であることを特徴とする。
一般に、感光性ハロゲン化銀粒子が露光されると、ハロゲン化銀粒子自身、または、感光性ハロゲン化銀粒子表面上に吸着している分光増感色素が光励起されて、自由に移動できる電子を生じるが、この電子はハロゲン化銀粒子表面に存在する電子トラップ(感光中心)または当該粒子の内部にある電子トラップに競争的にトラップ(捕獲)される。従って、電子トラップとして有効な化学増感中心(化学増感核)やドーパント等がハロゲン化銀粒子内部より表面に多くかつ適当数ある場合には表面に優先的に潜像が形成され、現像可能となる。逆に、電子トラップとして有効な化学増感中心(化学増感核)やドーパント等がハロゲン化銀粒子表面より内部に多くかつ適当数ある場合には内部に優先的に潜像が形成され、表面現像が困難となる。換言すると、前者の場合は、内部より表面の感度が高く、後者の場合は、内部より表面の感度が低いと言える(参考文献:(1) T.H.James編“The Theory of the Photographic Process”第4版、Macmillan Publishing Co.,Ltd.1977、(2) 日本写真学会編“改訂 写真工学の基礎(銀塩写真編)”、コロナ社、1998)。
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子においては、少なくとも熱現像後の露光時において、電子トラップ性ドーパントとして機能するドーパントをハロゲン化銀粒子の内部に含有させることが、感度及び画像保存性上好ましい。
なお、熱現像前の画像形成のための露光の際には、正孔(ホール)トラップとして機能し、熱現像過程において変質し、熱現像後においては電子トラップとして機能することができるドーパントが、特に好ましい。
ここで用いられる電子トラップ性ドーパントとは、ハロゲン化銀粒子を構成する銀及びハロゲン以外の元素または化合物であって、当該ドーパント自身が自由電子をトラップ(捕獲)できる性質を有するまたは当該ドーパントがハロゲン化銀粒子内に含有されることで電子トラップ性の格子欠陥等の部位が生じるものをいう。例えば、銀以外の金属イオンまたはその塩若しくは錯体、硫黄、セレン、テルルのようなカルコゲン(酸素族元素)または窒素原子を含む無機化合物または有機化合物若しくはそれらの金属錯体、希土類イオンまたはその錯体等が挙げられる。
金属イオンまたはその塩若しくは錯体としては、鉛イオン、ビスマスイオン、金イオン等または臭化鉛、硝酸鉛、炭酸鉛、硫酸鉛、硝酸ビスマス、塩化ビスマス、三塩化ビスマス、炭酸ビスマス、ビスマス酸ナトリウム、塩化金酸、酢酸鉛、ステアリン酸鉛、酢酸ビスマス等を挙げることができる。
硫黄、セレン、テルルのようなカルコゲンを含む化合物としては、写真業界において、一般にカルコゲン増感剤として知られているカルコゲン放出性の種々の化合物を使用することができる。また、カルコゲンまたは窒素を含有する有機物としては、ヘテロ環式化合物が好ましい。例えば、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニン、テトラザインデンであり、好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラザインデンである。
なお、上記のヘテロ環式化合物は置換基を有していても良く、置換基として好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基である。
なお、本発明に用いられるハロゲン化銀粒子には、上記のドーパントのように電子トラップ性ドーパントとして機能するように、或いはホールトラップ性ドーパントとして機能するように元素周期律表の6族から11族に属する遷移金属のイオンを当該金属の酸化状態を配位子(リガンド)等により化学的に調整して含有させても良い。上記の遷移金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Ptが好ましい。
本発明において、上記の各種ドーパントについては、1種類でも同種或いは異種の化合物若しくは錯体を2種以上併用してもよい。ただし、少なくとも1種は、熱現後の露光の際に、電子トラップ性ドーパントとして機能することが必要である。これらのドーパントはどのような化学的形態でもハロゲン化銀粒子内に導入してもよい。
なお、本発明においては、Ir、またはCuの錯体ないし塩のいずれか1種を単独で用いてドーピングする態様はあまり好ましくはない。
ドーパントの好ましい含有率は、銀1モルに対し1×10-9〜10モルの範囲が好ましく、1×10-8〜1×10-1モルの範囲がより好ましい。さらに、1×10-6〜1×10-2モルが好ましい。
但し、最適量はドーパントの種類、ハロゲン化銀粒子の粒径、形状等、その他環境条件等に依存するのでこれらの条件に応じてドーパント添加条件の最適化の検討をすることが好ましい。
本発明においては、遷移金属錯体または錯体イオンとしては、下記一般式で表されるものが好ましい。
一般式
〔ML6m
式中、Mは元素周期表の6〜11族の元素から選ばれる遷移金属、Lは配位子を表し、mは0、−、2−、3−または4−を表す。Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲンイオン(例えば、弗素イオン、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン)、シアナイド、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つまたは二つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、また異なっていてもよい。
これらの金属のイオンまたは錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に、核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際しては、数回にわたって分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、例えば、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号の各公報等に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。
これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば、金属化合物粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液または水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオンまたは錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に添加する時には、粒子形成直後、物理熟成時途中もしくは終了時または化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
なお、非金属性ドーパントも上記の金属性ドーパントと同様の方法によってハロゲン化銀内部に導入することができる。
本発明に係る感光材料において、上記のドーパントが電子トラップ性を有するか否かについては、次のように、写真業界において従来一般的に用いられている方法で評価することができる。即ち、上記のドーパントまたはその分解物がハロゲン化銀粒子内にドープされたハロゲン化銀粒子からなるハロゲン化銀乳剤を、マイクロ波光伝導測定法等による光伝導測定によりドーパントを含有していないハロゲン化銀粒子乳剤を基準として光伝導の減少度を測定することにより評価できる。または、当該ハロゲン化銀粒子の内部感度と表面感度の比較実験によってもできる。
本発明のハロゲン化銀粒子は、いかなる方法で感光層に添加されてもよく、このときハロゲン化銀粒子は還元可能な銀源(脂肪族カルボン酸銀塩)に近接するように配置するのが、高感度かつ高カバリングパワー(CP)のイメージング材料を得るためには、好ましい。
本発明に係るハロゲン化銀粒子は予め調製しておき、これを脂肪族カルボン酸銀塩粒子を調製するための溶液に添加することが、ハロゲン化銀粒子調製工程と脂肪族カルボン酸銀塩粒子調製工程を分離して扱え、製造コントロール上も最も好ましいが、英国特許第第1,447,454号明細書に記載されている様に、脂肪族カルボン酸銀塩粒子を調製する際に、ハライドイオン等のハロゲン成分を脂肪族カルボン酸銀塩形成成分と共存させ、これに銀イオンを注入することで、脂肪族カルボン酸銀塩粒子の生成とほぼ同時に生成させたハロゲン化銀粒子を併用することもできる。又、脂肪族カルボン酸銀塩にハロゲン含有化合物を作用させ、脂肪族カルボン酸銀塩のコンバージョンによりハロゲン化銀粒子を調製し、当該粒子を併用することも可能である。即ち、予め調製された脂肪族カルボン酸銀塩の溶液もしくは分散液、または脂肪族カルボン酸銀塩を含むシート材料にハロゲン化銀形成成分を作用させて、脂肪族カルボン酸銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換することもできる。
ハロゲン化銀粒子形成成分としては、無機ハロゲン化合物、オニウムハライド類、ハロゲン化炭化水素類、N−ハロゲン化合物、その他の含ハロゲン化合物があり、その具体例は、米国特許第4,009,039号、同第3,457,075号、同第4,003,749号、英国特許第1,498,956号の各明細書及び特開昭53−27027号、同53−25420号の各公報等に開示されている。
上述のように別途調製したハロゲン化銀粒子に脂肪族カルボン酸銀塩の一部をコンバージョンすることで製造したハロゲン化銀粒子を併用してもよい。
これらのハロゲン化銀粒子は、別途調製したハロゲン化銀粒子、脂肪族カルボン酸銀塩のコンバージョンによるハロゲン化銀粒子とも、脂肪族カルボン酸銀塩1モルに対し0.001〜0.7モル、好ましくは0.03〜0.5モルで使用するのが好ましい。
別途調製した感光性ハロゲン化銀粒子は、脱塩工程により不要な塩類等を、例えば、ヌードル法、フロキュレーション法、限外濾過法、電気透析法等の公知の脱塩法により脱塩することができるが、脱塩しないで用いることもできる。
〔有機銀塩:非感光性脂肪族カルボン酸銀塩〕
本発明に係る有機銀塩としては非感光性脂肪族カルボン酸銀塩が好ましく、有機銀塩は還元可能な銀源であり、炭素数10〜30、好ましくは15〜25の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。好適な銀塩の例としては、以下のものが挙げられる。
例えば、没食子酸、蓚酸、ベヘン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の銀塩が挙げられ、好ましい銀塩としてはベヘン酸銀、アラキジン酸銀及びステアリン酸銀が挙げられる。
又、本発明においては、脂肪族カルボン酸銀塩が2種以上混合されていることは、現像性を上げ高濃度、高コントラストの銀画像を形成する上で好ましく、例えば、2種以上の脂肪族カルボン酸混合物に銀イオン溶液を混合して調製することが好ましい。
一方、現像後の画像の保存性等の観点からは、脂肪族カルボン酸銀の原料である脂肪族カルボン酸の融点が50℃以上、好ましくは60℃以上である脂肪族カルボン酸の銀塩の含有比率が50%以上、好ましくは、70%以上、更に好ましくは、80%以上であることが好ましい。この観点からは、具体的には、ベヘン酸銀の含有率が高いことが好ましい。
脂肪族カルボン酸銀塩は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号公報に記載されている様なコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)を作製した後に、コントロールドダブルジェット法により、前記ソープと硝酸銀などを混合して脂肪族カルボン酸銀塩の結晶を作製する。その際に、脂肪族カルボン酸銀塩の種結晶粒子、ハロゲン化銀粒子などを混在させてもよい。
本発明で使用するアルカリ金属塩の種類としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがあるが、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムを併用することが好ましい。併用比率としては前記の水酸化塩の両者のモル比が10:90〜75:25の範囲であることが好ましい。脂肪族カルボン酸と反応して脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩となったときに上記の範囲で使用することで、反応液の粘度を良好な状態に制御できる。
また、平均粒径が0.050μm以下のハロゲン化銀粒子の存在下で脂肪族カルボン酸銀を調製する場合には、特に、アルカリ金属塩のアルカリ金属はカリウムの比率が高い方が、ハロゲン化銀粒子の溶解及びオストワルド熟成が防止されるので好ましい。また、カリウム塩の比率が高いほど、脂肪酸銀塩粒子のサイズを小さくすることができる。好ましいカリウム塩の比率は、脂肪族カルボン酸銀を製造する工程において使用する全アルカリ金属塩に対して50〜100%である。アルカリ金属塩の濃度は、0.1〜0.3モル/1000mlが好ましい。
〔脂肪族カルボン酸銀塩の構造と形状〕
本発明に係る脂肪族カルボン酸銀塩は、欧州特許1168069A1号明細書及び特開2002−23303号公報に開示されているようなコア/シェル構造を有する結晶粒子であってもよい。なお、コア/シェル構造にする場合には、コア部またはシェル部のいずれかの全部または一部を脂肪族カルボン酸銀以外の有機銀塩、例えば、フタル酸、ベンゾイミダゾールなどの有機化合物の銀塩を当該結晶粒子の構成成分として使用してもよい。
本発明に係る脂肪族カルボン酸銀塩において、平均円相当径が0.05μm以上、0.8μm以下であることが好ましく、平均厚さが0.005μm以上、0.07μm以下であることが好ましく、特に好ましくは、平均円相当径が0.2μm以上、0.5μm以下であり平均厚さ0.01μm以上、0.05μm以下である。
平均円相当径が0.05μm以下では透明性には優れるが、画像保存性が悪く、また平均粒径が0.8μm以上では失透が激しい。平均厚さが0.005μm以下では、表面積が大きく現像時の銀イオン供給が急激に行われ、特に低濃度部では銀画像に使われずに、膜中に残存する銀イオンが多量に存在する結果、画像保存性が著しく劣化する。また、平均厚さが0.07μm以上では、表面積が小さくなり、画像安定性は向上するが、現像時の銀供給が遅く、特に高濃度部での現像銀形状の不均一を招き、結果最高濃度が低くなりやすい。
平均円相当径を求めるには、分散後の脂肪族カルボン酸銀塩を希釈してカーボン支持膜付きグリッド上に分散し、透過型電子顕微鏡(例えば、日本電子製、2000FX型)、直接倍率5000倍にて撮影を行い、スキャナにてネガをデジタル画像として取り込み、適当な画像処理ソフトを用いて粒径(円相当径)を300個以上測定し、平均粒径を算出することができる。
平均厚さを求めるには、下記に示すようなTEM(透過型電子顕微鏡)を用いた方法により算出することができる。
まず、支持体上に塗布された感光層を接着剤により適当なホルダーに貼り付け、支持体面と垂直な方向にダイヤモンドナイフを用いて厚さ0.1〜0.2μmの超薄切片を作製する。作製された超薄切片を、銅メッシュに支持させ、グロー放電により親水化されたカーボン膜上に移し、液体窒素により−130℃以下に冷却しながら透過型電子顕微鏡(以下TEMと称す)を用いて、倍率5,000倍乃至40,000倍にて明視野像を観察し、画像はフィルム、イメージングプレート、CCDカメラなどに素早く記録する。この際、観察される視野としては、切片に破れや弛みがない部分を適宜選択することが好ましい。
カーボン膜としては、極薄いコロジオン、ホルムバールなど有機膜に支持されたものを使用することが好ましく、更に好ましくは、岩塩基板上に形成し基板を溶解除去して得るか、または、上記有機膜を有機溶媒、イオンエッチングにより除去して得られたカーボン単独の膜である。TEMの加速電圧としては80ないし400kVが好ましく、特に好ましくは80ないし200kVである。
その他、電子顕微鏡観察技法、及び試料作製技法の詳細については「日本電子顕微鏡学会関東支部編/医学・生物学電子顕微鏡観察法」(丸善)、「日本電子顕微鏡学会関東支部編/電子顕微鏡生物試料作製法」(丸善)をそれぞれ参考にすることができる。
適当な媒体に記録されたTEM画像は、画像1枚を少なくとも1024画素×1024画素、好ましくは2048画素×2048画素以上に分解し、コンピュータによる画像処理を行うことが好ましい。画像処理を行うためには、フィルムに記録されたアナログ画像はスキャナなどでデジタル画像に変換し、シェーディング補正、コントラスト・エッジ強調などを必要に応じ施すことが好ましい。その後、ヒストグラムを作製し、2値化処理によって脂肪族カルボン酸銀に相当する箇所を抽出する。
上記抽出した脂肪族カルボン酸銀塩粒子の厚さを、300個以上適当なソフトでマニュアル測定し、平均値を求める。
前記の形状を有する脂肪族カルボン酸銀塩粒子を得る方法としては、特に限定されないが、例えば、有機酸アルカリ金属塩ソープ形成時の混合状態または前記ソープに硝酸銀を添加する際の混合状態などを良好に保つことや、ソープに対する有機酸の割合、ソープと反応する硝酸銀の割合を最適に設定することなどが有効である。
本発明において、平板状の脂肪族カルボン酸銀塩粒子(平均円相当径が0.05μm以上、0.8μm以下であり、且つ平均厚さが0.005μm以上、0.07μm以下の脂肪族カルボン酸銀塩粒子をいう)は、必要に応じバインダーや界面活性剤などと共に予備分散した後、メディア分散機または高圧ホモジナイザなどで分散粉砕することが好ましい。上記予備分散方法としては、例えば、アンカー型、プロペラ型等の一般的撹拌機や高速回転遠心放射型撹拌機(ディゾルバ)、高速回転剪断型撹拌機(ホモミキサ)を使用することができる。
また、上記メディア分散機としては、例えば、ボールミル、遊星ボールミル、振動ボールミルなどの転動ミルや、媒体撹拌ミルであるビーズミル、アトライター、その他バスケットミルなどを用いることが可能であり、高圧ホモジナイザとしては壁、プラグなどに衝突するタイプ、液を複数に分けてから高速で液同士を衝突させるタイプ、細いオリフィスを通過させるタイプなど様々なタイプを用いることができる。
メディア分散時に使用されるセラミックスビーズに用いられるセラミックスとしては、分散時におけるビーズや分散機との摩擦による不純物生成が少ない等の理由から、イットリウム安定化ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ(これらジルコニアを含有するセラミックスを以下においてジルコニアと略す)が特に好ましく用いられる。
本発明に係る平板状脂肪族カルボン酸銀塩粒子を分散する際に用いられる装置類において、脂肪族カルボン酸銀塩粒子が接触する部材の材質として、例えば、ジルコニア、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素などのセラミックス類またはダイヤモンドを用いることが好ましく、中でもジルコニアを用いることが好ましい。上記分散を行う際、バインダー濃度は脂肪族カルボン酸銀質量の0.1〜10%添加することが好ましく、予備分散から本分散を通して液温が45℃を上回らないことが好ましい。また、本分散の好ましい運転条件としては、例えば、高圧ホモジナイザを分散手段として用いる場合には、29〜100MPa、運転回数は2回以上が運転条件として好ましい。又、メディア分散機を分散手段として用いる場合には、周速が6〜13m/秒が好ましい条件として挙げられる。
本発明では、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子が、結晶成長抑制剤または分散剤として機能する化合物の存在下で形成されたものであることが好ましい。また、結晶成長抑制剤または分散剤として機能する化合物が、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する有機化合物であることが好ましい。
本発明において、脂肪族カルボン酸銀粒子に対する結晶成長抑制剤ないし分散剤として機能する化合物とは、脂肪族カルボン酸銀粒子の製造工程において、当該化合物を共存させた条件下で脂肪族カルボン酸銀を製造したときに、共存させない条件下で製造したときより小粒径化や単分散化する機能、効果を有する化合物をいう。具体例として、炭素数が10以下の一価アルコール類、好ましくは第2級アルコール、第3級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ポリエチレングリコールなどポリエーテル類、グリセリンが挙げられる。好ましい添加量としては、脂肪族カルボン酸銀に対して10〜200質量%である。
一方で、イソヘプタン酸、イソデカン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキジン酸、イソベヘン酸、イソヘキサコ酸など、それぞれ異性体を含む分岐脂肪族カルボン酸も好ましい。この場合、好ましい側鎖として、炭素数4以下のアルキル基またはアルケニル基が挙げられる。また、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、モロクチン酸、エイコセン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、セラコレン酸などの脂肪族不飽和カルボン酸が挙げられる。好ましい添加量は、脂肪族カルボン酸銀の0.5〜10mol%である。
グルコシド、ガラクトシド、フルクトシドなどの配糖体類、トレハロース、スクロースなどトレハロース型二糖類、グリコーゲン、デキストリン、デキストラン、アルギン酸など多糖類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、ソルビタン、ソルビット、酢酸エチル、酢酸メチル、ジメチルホルムアミドなど水溶性有機溶媒、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、アクリル酸共重合体、マレイン酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチンなどの水溶性ポリマー類も好ましい化合物として挙げられる。好ましい添加量としては脂肪族カルボン酸銀に対して0.1〜20質量%である。
炭素数が10以下のアルコール、好ましくは、イソプロピルアルコールなどの第二級アルコール、t−ブチルアルコールなどの第三級アルコールは、粒子製造工程での脂肪族カルボン酸アルカリ金属塩の溶解度を上げることにより減粘し、撹拌効率を上げることで単分散で、かつ小粒径化する。分岐脂肪族カルボン酸及び脂肪族不飽和カルボン酸は、脂肪族カルボン酸銀が結晶化する際にメイン成分である直鎖脂肪族カルボン酸銀よりも立体障害性が高く、結晶格子の乱れが大きくなるため大きな結晶は生成せず、結果的に小粒径化する。
〔カブリ防止剤と画像安定化剤〕
本発明の熱現像感光材料に用いられるカブリ防止及び画像安定化剤について具体的に説明する。
本発明の熱現像感光材料においては、紫外光または可視光に露光することで、銀を酸化し得る反応活性種を発生する化合物、または前記還元剤を不活性化して前記有機銀塩の銀イオンを銀に還元できないようにすることができる反応活性種を発生する化合物を、2種以上含有することが好ましい。
本発明の熱現像感光材料においては、銀イオンの還元剤としては、後述するように、主にビスフェノール類を用いることが好ましく、当該イメージング材料の現像前の保存条件下において、及び、熱現像後の保存条件下において、この還元剤を不活性化できる化合物が含有されていることが好ましい。好適には当該還元剤からフェノキシルラジカルを生じることを防止することができる化合物または生じた当該フェノキシルラジカルを捕獲(トラップ)し銀イオンの還元剤として機能しないように安定化することができる化合物が好ましい。このような作用・機能を有する好適な化合物としては、ビスフェノール類の水酸基と水素結合を形成することができる基を有する非還元性化合物、例えば、ホスホリル基、スルホキシド基、スルホニル基、カルボニル基、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレイド基、3級アミノ基、含窒素芳香族基などを有する化合物が挙げられる。特に好適なのは、スルホニル基、スルホキシド基、ホスホリル基を有する化合物である。具体例は、特開平6−208192号、特開2001−215648号、特開350235号、特開2002−6444号、特開2002−18264号の各公報等に開示されている。また、ビニル基を有する特定の化合物が、特表2000−515995号、特開2002−207273号、特開2003−140298号の各公報等に開示されている。
また、銀(金属銀)を酸化し得る化合物、例えば、酸化力を有するハロゲンラジカルを放出する、または、銀と相互作用し電荷移動錯体を形成して、銀を酸化することができる化合物も併用することができる。このような機能を有する化合物の具体例は、特開昭50−120328号、特開昭59−57234号、特開平4−232939号、特開平6−208193号、特開平10−197989号の各公報及び米国特許5,460,938号明細書、特開平7−2781号公報等に開示されている。特に、本発明に係るイメージング材料において、好ましい化合物の具体例としては、以下に挙げる一般式(OFI)で表すことができるハロゲンラジカル放出性化合物がある。
一般式(OFI)
2−Y−C(X1)(X3)(X2
一般式(OFI)中、Q2はアリール基またはヘテロ環基を表す。X1、X2及びX3は、各々、水素原子、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルフォニル基、アリール基を表すが、少なくとも一つはハロゲン原子である。Yは−C(=O)−、−SO−または−SO2−を表す。
2で表されるアリール基は、単環または縮環していてもよく、好ましくは炭素数6〜30の単環または二環のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル等)であり、より好ましくはフェニル基、ナフチル基であり、更に好ましくはフェニル基である。
2で表されるヘテロ環基は、N、OまたはSの少なくとも一つの原子を含む3乃至10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環基であり、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
ヘテロ環基として好ましくは、縮合環を有していてもよい5乃至6員の不飽和ヘテロ環基であり、より好ましくは縮合環を有していてもよい5乃至6員の芳香族ヘテロ環基である。更に好ましくは窒素原子を含む縮合環を有していてもよい5乃至6員の芳香族ヘテロ環基であり、特に好ましくは窒素原子を1乃至4原子含む縮合環を有していてもよい5乃至6員の芳香族ヘテロ環基である。このようなヘテロ環基におけるヘテロ環として、好ましくはイミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニン、テトラザインデンであり、より好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラザインデンであり、更に好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾールであり、特に好ましくはピリジン、チアジアゾール、キノリン、ベンズチアゾールである。
2で表されるアリール基及びヘテロ環基は−Y−C(X1)(X2)(X3)の他に置換基を有していても良く、置換基として好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子である。
1、X2及びX3は、好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ヘテロ環基であり、より好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、トリハロメチル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
Yは−C(=O)−、−SO−または−SO2−を表し、好ましくは−SO2−である。
これらの化合物の添加量は、銀1モルに対して1×10-4〜1モル、好ましくは、1×10-3〜5×10-2モルの含有量で用いることができる。
なお、本発明に係るイメージング材料においては、特開2003−5041号公報に開示されているを上記の一般式(OFI)で表せる化合物と同様に使用することができる。
以下に、一般式(OFI)で表せる化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2006030850
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〔ポリマーPO防止剤〕
さらに、本発明に係るイメージング材料においては、特開2003−91054号公報に開示されているようなハロゲンラジカル放出基を有するモノマーの繰り返し単位を少なくとも1つ有するポリマーを画像安定剤として使用することが、銀画像を一層安定化できる上に、高感度化及び高CP化の観点からも、好ましい。特に、本発明に係る光熱写真イメージング材料においては予想外に良好な結果が得られる。
以下に、ハロゲンラジカル放出基を有するポリマーの具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2006030850
Figure 2006030850
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なお、上記の化合物の他に、本発明の熱現像感光材料中には、従来カブリ防止剤として知られている化合物が含まれてもよい。例えば、米国特許第3,589,903号、同第4,546,075号、同第4,452,885号、同第3,874,946号、同第4,756,999号の各明細書、特開昭59−57234号、特開平9−288328号、同9−90550号の各公報に記載されている化合物が挙げられる。更に、その他のカブリ防止剤としては、米国特許第5,028,523号及び欧州特許第600,587号、同第605,981号、同第631,176号の各明細書に開示されている化合物が挙げられる。
〔ポリカルボキシル化合物〕
本発明に係るイメージング材料においては、次の一般式(PC)で表される化合物を当該材料のカブリ防止剤及び保存安定剤として使用することも好ましい。
一般式(PC)
R−(CO−O−M)n
式中、Rは連結できる原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基または互いに結合して環を形成することができる原子群を表す。Mは水素原子、金属原子、四級アンモニウム基またはホスホニウム基を表す。nは2〜20の整数を表す。
前記一般式(PC)において、Rで表される連結できる原子としては、窒素、酸素、硫黄、燐などの原子が挙げられる。
Rで表される脂肪族基としては炭素数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖、または分岐したアルキル、アルケニル、アルキニルまたはシクロアルキル基が挙げられる。具体的には例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、デシル、ドデシル、イソプロピル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、アリル、2−ブテニル、7−オクテニル、プロパルギル、2−ブチニル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロドデシル等の各基が挙げられる。
Rで表される芳香族基としては炭素数6〜20のものが挙げられ、具体的には例えばフェニル、ナフチル、アントラニル等の各基が挙げられる。
Rで表されるヘテロ環基としては、単環でも縮合環でもよく、O、S、及びN原子、アミンオキシド基の少なくとも1種を環内に有する5〜6員のヘテロ環基が挙げられる。具体的には例えば、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オキシラン、モルホリン、チオモルホリン、チオピラン、テトラヒドロチオフェン、ピロール、ピリジン、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール及びこれらのベンゼローグ類から導かれる基が挙げられる。
RがR1とR2で形成された場合は、R1とR2はRと同義であり、かつ、R1はR2と同じでも異なってもよい。R1及びR2で環を形成するものとしては4〜7員環を挙げることができる。好ましくは5〜7員環である。R1及びR2で好ましい基としては芳香族基およびヘテロ環基である。R1及びR2で表される脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基は更に置換基により置換されていてもよく、該置換基としてはハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基等)、シアノ基、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等)、スルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基、1,3−ジメチルウレイド基等)、スルファモイルアミノ基(例えば、ジメチルスルファモイルアミノ基、ジエチルスルファモイルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えば、エチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基、p−クロロフェノキシカルボニル基等)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、フェニルスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブチロイル基等)、アミノ基(例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基等)、ヒドロキシ基、ニトロ基、ニトロソ基、アミンオキシド基(例えば、ピリジン−オキシド基等)、イミド基(例えば、フタルイミド基等)、ジスルフィド基(例えば、ベンゼンジスルフィド基、ベンズチアゾリル−2−ジスルフィド基等)、ヘテロ環基(例えば、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基等)が挙げられる。R1及びR2はこれらの置換基の中から単独または複数を有することができる。またそれぞれの置換基は更に上記の置換基で置換されていてもよい。またR1、R2は同じでも異なっていてもよい。また、一般式(PC−1)がオリゴマーまたはポリマー(R−(COOM)n0mとしても効果がある。nは2〜20で、mは1〜100または分子量が50000以下が好ましい。
また、一般式(PC−1)の酸無水物とは、一般式(PC−1)で表される化合物の2個のカルボキシル基から脱水反応によって形成された化合物をいう。好ましくは、カルボキシル基を3以上10以下を有する化合物及びそれらからの誘導体としての酸無水物が好ましい。
また、特開昭58−95338号、特開平10−288824号、同11−174621号、同11−218877号、特開2000−10237号、同2000−10236号、同2000−10235号、同2000−10233号、同2000−10232号、同2000−10231号の各公報に記載のジカルボン酸類も好ましく併用できる。
〔チオスルフォン酸類抑制剤〕
本発明に係る熱現像材料においては、下記一般式(ST)で表せる化合物を含有することが好ましい。
一般式(ST)
Z−SO2・S−M
式中、Zは置換または未置換のアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Mは金属原子または有機カチオンを表す。
一般式(ST)で表される化合物において、Zで示されるアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、芳香族環及びヘテロ環は置換されていても良い。置換基としては、たとえばメチル基、エチル基等の低級アルキル基、フェニル基等のアリール基、炭素数1〜8のアルコキシル基、塩素等のハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基などを挙げることができる。Zで表されるヘテロ環としては、チアゾール、ベンズチアゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、オキサゾール環等を挙げることができる。Mで表される金属原子としては、ナトリウムイオン、カリウムイオンのごときアルカリ金属原子が、有機カチオンとしては、アンモニウムイオン、グアニジン基などが好ましい。
一般式(ST)で表される化合物の具体例としては、下記のものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006030850
Figure 2006030850
Figure 2006030850
一般式(ST)で表される化合物は、一般によく知られた方法で合成することができる。たとえば、相当するスルホニルフロリドと硫化ソーダを反応させるか、相当するスルフィン酸ソーダと硫黄を反応させる方法により合成することができる。一方これらの化合物は、市販品として容易に入手することもできる。
一般式(ST)で表される化合物は、本発明に係るイメージング材料の製造工程における塗布工程以前の工程の、どの時点で添加しても良いが、塗布直前に塗布液に添加することが好ましい。
一般式(ST)で表される化合物の添加量は特に制限はないが、有機銀塩、ハロゲン化銀を含む全銀量1モル当たり1×10-6〜1gの範囲が好ましい。なお、同様の化合物が特開平8−314059開示されている。
〔電子吸引基を有するビニル型抑制剤〕
本発明においては、下記一般式(CV)で表せるカブリ抑制剤を併用することが好ましい。
Figure 2006030850
上記一般式(CV)において、Xの表す電子吸引基とは、ハメットの置換基定数σpが正の値を取りうる置換基のことである。具体的には、置換アルキル基(ハロゲン置換アルキル等)、置換アルケニル基(シアノビニル等)、置換、無置換のアルキニル基(トリフルオロメチルアセチレニル、シアノアセチレニル、ホルミルアセチレニル等)、置換アリール基(シアノフェニル等)、置換、無置換のヘテロ環基(ピリジル、トリアジニル、ベンゾオキサゾリル等)、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基(アセチル、トリフルオロアセチル等)、チオアシル基(チオホルミル、チオアセチル等)、オキサリル基(メチルオキサリル等)、オキシオキサリル基(エトキサリル等)、−S−オキサリル基(エチルチオオキサリル等)、オキサモイル基(メチルオキサモイル等)、オキシカルボニル基(エトキシカルボニル、カルボキシル等)、−S−カルボニル基(エチルチオカルボニル等)、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルホニル基(エトキシスルホニル等)、−S−スルホニル基(エチルチオスルホニル等)、スルファモイル基、オキシスルフィニル基(メトキシスルフィニル等)、−S−スルフィニル基(メチルチオスルフィニル等)、スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基(イミノ、N−メチルイミノ、N−フェニルイミノ、N−ピリジルイミノ、N−シアノイミノ、N−ニトロイミノ等)、N−カルボニルイミノ基(N−アセチルイミノ、N−エトキシカルボニルイミノ、N−エトキサリルイミノ、N−ホルミルイミノ、N−トリフルオロアセチルイミノ、N−カルバモイルイミノ等)、N−スルホニルイミノ基(N−メタンスルホニルイミノ、N−トリフルオロメタンスルホニルイミノ、N−メトキシスルホニルイミノ、N−スルファモイルイミノ等)、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基等が挙げられるが、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、インモニウム基等が環を形成したヘテロ環状のものも含まれる。但し、Xとしてホルミル基は除く。σp値として0.2以上のものが好ましく、0.3以上のものが更に好ましい。
Wとしては水素原子、アルキル基(メチル、エチル、トリフルオロメチル等)アルケニル基(ビニル、ハロゲン置換ビニル、シアノビニル等)、アルキニル基(アセチレニル、シアノアセチレニル等)、アリール基(フェニル、クロルフェニル、ニトロフェニル、シアノフェニル、ペンタフルオロフェニル等)、ヘテロ環基(ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、キノキサリニル、トリアジニル、スクシンイミド、テトラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、ベンゾオキサゾリル等)の他上記Xで説明したようなハロゲン原子、シアノ基、アシル基、チオアシル基、オキサリル基、オキシオキサリル基、−S−オキサリル基、オキサモイル基、オキシカルボニル基、−S−カルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルホニル基、−S−スルホニル基、スルファモイル基、オキシスルフィニル基、−S−スルフィニル基、スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基、N−スルホニルイミノ基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基等が挙げられる。但し、Wとしてホルミル基は除く。
Wとしてはハメットの置換基定数σpが正の値を取りうるホルミル基以外の電子吸引基の他、上記したようなアリール基及びヘテロ環基も好ましい。
また、XとWは互いに結合して環状構造を形成してもよい。XとWで形成される環としては、縮合環を有していてもよい飽和ないし不飽和の炭素環またはヘテロ環が挙げられ、環状ケトンであってもよい。ヘテロ環としては、N、O及びSの内の少なくとも1つの原子を1個以上、更には1〜2個含むものが好ましい。
1としては、ヒドロキシル基またはヒドロキシル基の有機もしくは無機塩が挙げられる。R2が表すアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基の具体例としては、Wとして例示したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、及びヘテロ環基の各例が挙げられる。
また、本発明においては、X、W、及びR2は何れも耐拡散性基を含んでもよい。耐拡散性基とは写真用のカプラーなどにおけるバラスト基と呼ばれるもので、添加された化合物が感光材料の被膜中を移動しないような嵩高い分子量とするものである。
また、本発明においては、X、W、及びR2は銀塩への吸着促進基を含んでいてもよい。銀塩への吸着促進基としては、チオアミド基、脂肪族メルカプト基、芳香族メルカプト基、ヘテロ環メルカプト基及びベンゾトリアゾール、トリアゾール、テトラゾール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、イミダゾール、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、オキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、トリアジン等の5〜6員の含窒素ヘテロ環で表される各基が挙げられる。
本発明において、XとWの内、少なくとも一方がシアノ基を表すか、またはXとWが互いに結合して環状構造を形成するものは好ましい。
また、本発明において、X、W、R2で表される置換基中にチオエーテル基(−S−)を含む化合物は好ましい。
また、X及びWの中、少なくとも一方が下記一般式(CV1)で表されるアルケン基を有するものは特に好ましい。
一般式(CV1)
−C(R)=C(Y)(Z)
式中、Rは水素原子または置換基を表し、Y及びZは各々、水素原子または置換基を表すが、Y、Zの中、少なくとも一方は電子吸引性基を表す。
Y、Zの表す置換基の内電子吸引性基の例としては、先述したX及びWの電子吸引性基として挙げたもの及びホルミル基等が挙げられる。
上記一般式(CV1)で表されるX及びWとしては、例えば、次の様な基が挙げられる。
Figure 2006030850
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また、X及びWの中、少なくとも一方が次の様なアルキン基を有するものも好ましい。
Figure 2006030850
5は水素原子または置換基を表し、置換基としては先述したX及びWの中で挙げたような電子吸引性基が好ましい。上記一般式(CV1)で表されるX及びWとしては例えば次のような基が挙げられる。
Figure 2006030850
また、X及びWの中、少なくとも一方が置換アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、及びアルキニルカルボニル基から選ばれるアシル基を有するものも好ましく、X及びWとしては例えば次のような基が挙げられる。
Figure 2006030850
また、X及びWの中、少なくとも一方がオキサリル基を有するものも好ましく、オキサリル基を有するX及びWとしては例えば次のような基が挙げられる。
Figure 2006030850
および、−COCOCH3、−COCOOC25、−COCONHCH3、−COCOSC25、−COCOOC24SCH3、−COCONHC24SCH3
また、X及びWの内少なくとも一方が電子吸引性基の置換したアリール基または含窒素ヘテロ環基を有するものも好ましく、そのようなX及びWとしては例えば次のような基が挙げられる。
Figure 2006030850
本発明において、一般式(CV)で表されるアルケン化合物は、X、W、R1及びR2が置換する二重結合に関して異性体構造を取りうるときは総ての異性体を含むものとし、また、ケトーエノールのような互変異性構造を取りうるときも総ての異性体を含むものとする。
以下に、一般式(CV)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006030850
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一般式(CV)で表される化合物は種々の方法により合成することができるが、例えば、特表2000−515995号公報に記載の合成法を参考にして合成することができる。
例示化合物CV−5は、例えば、以下のルートで合成することができる。
Figure 2006030850
一般式(CV)で表される化合物は、熱現像感光材料の感光層または該感光層側の非感光層の少なくとも1層に含有させればよいが、好ましくは少なくとも感光層に含有させることである。一般式(1)で表される化合物の添加量は、銀1モルに対して1×10-8〜1モルが好ましく、1×10-6〜1×10-1モルがより好ましく、1×10-4〜1×10-2モルが最も好ましい。
一般式(CV)で表される化合物は公知の方法に従って感光層や非感光層に添加することができる。すなわち、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホオキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して感光層や非感光層用塗布液に添加することができる。また、1μm以下の微粒子にして水や有機溶媒に分散して添加することもできる。微粒子分散技術については多くの技術が開示されているが、これらに準じて分散することができる。
〔銀イオン還元剤〕
本発明においては、銀イオン還元剤(単に還元剤ということもある)として米国特許第3,589,903号、同第4,021,249号若しくは英国特許第1,486,148号の各明細書及び特開昭51−51933号、同50−36110号、同50−116023号、同52−84727号若しくは特公昭51−35727号の各公報に記載されたポリフェノール化合物、例えば、2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、6,6′−ジブロモ−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル等の米国特許第3,672,904号明細書に記載されたビスナフトール類、更に、例えば、4−ベンゼンスルホンアミドフェノール、2−ベンゼンスルホンアミドフェノール、2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノール、4−ベンゼンスルホンアミドナフトール等の米国特許第3,801,321号明細書に記載されているようなスルホンアミドフェノールまたはスルホンアミドナフトール類を用いることができる。
しかしながら、本発明においては、銀イオン還元剤としては下記一般式(RED)で表される化合物が好ましい。
Figure 2006030850
式中、X1はカルコゲン原子又はCHR1を表し、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。R2はアルキル基を表す。R3は水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。R4はベンゼン環上に置換可能な基を表し、m及びnは各々0〜2の整数を表す。
一般式(RED)中、X1はカルコゲン原子またはCHR1を表す。カルコゲン原子としては、硫黄、セレン、テルルであり、好ましくは硫黄原子である。CHR1におけるR1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表し、ハロゲン原子としては、弗素原子、塩素原子、臭素原子等であり、アルキル基としては置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、シクロアルキル等、アルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、エテニル−2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル、シクロヘキセニル等、アリール基としてはベンゼン環、ナフタレン環等、複素環基としてはチオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピロール等の各基である。特に、環状基、例えば、シクロアルキル基、シクロアルケニル基が好ましい。
これらの基は更に置換基を有していてもよく、置換基として具体的には、ハロゲン原子(弗素、塩素、臭素等)、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、i−ペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル、シクロヘプチル等)、アルケニル基(エテニル−2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル等)、シクロアルケニル基(1−シクロアルケニル、2−シクロアルケニル基等)、アルキニル基(エチニル、1−プロピニル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキルカルボニルオキシ基(アセチルオキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、トリフルオロメチルチオ等)、カルボキシル基、アルキルカルボニルアミノ基(アセチルアミノ等)、ウレイド基(メチルアミノカルボニルアミノ等)、アルキルスルホニルアミノ基(メタンスルホニルアミノ等)、アルキルスルホニル基(メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−モルホリノカルボニル等)、スルファモイル基(スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、モルホリノスルファモイル等)、トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキルスルホンアミド基(メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド等)、アルキルアミノ基(アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ等)、スルホ基、ホスホノ基、サルファイト基、スルフィノ基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(メタンスルホニルアミノカルボニル、エタンスルホニルアミノカルボニル等)、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(アセトアミドスルホニル、メトキシアセトアミドスルホニル等)、アルキニルアミノカルボニル基(アセトアミドカルボニル、メトキシアセトアミドカルボニル等)、アルキルスルフィニルアミノカルボニル基(メタンスルフィニルアミノカルボニル、エタンスルフィニルアミノカルボニル等)等が挙げられる。又、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。
特に好ましい置換基はアルキル基である。
2はアルキル基を表す。アルキル基としては置換または無置換の炭素数1〜20のものが好ましく、具体的にはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、t−オクチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−メチルシクロプロピル等の基が挙げられる。
アルキル基の置換基は特に限定されないが、例えばアリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。又、(R4n及び(R4mと飽和環を形成してもよい。R2は、好ましくは何れも2級または3級のアルキル基であり、炭素数2〜20が好ましい。より好ましくは3級アルキル基であり、更に好ましくはt−ブチル、t−ペンチル、1−メチルシクロヘキシルであり、最も好ましくはt−ブチルである。
3は水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。ベンゼン環に置換可能な基としては、例えば弗素、塩素、臭素等のハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、スルフィニル基、シアノ基、複素環基等が挙げられる。
3として好ましくは、メチル、エチル、i−プロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。更に好ましくは、メチル、2−ヒドロキシエチルである。
これらの基は更に置換基を有していてもよく、置換基としては、前記R1で挙げた置換基を用いることができる。
また、R3は、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましい。特に、特願2002−120842号公報に開示されているようなヒドロキシル基、または脱保護されることによりヒドロキシル基を形成し得る基を置換基として有するアルキル基、例えば、2−ヒドロキシエチル基等が挙げられる。このようなアルキル基を有する還元剤は、一定塗布銀量で高い最高濃度(Dmax)、すなわち、高い銀被覆率(カバリングパワー、CP)の銀画像濃度を得るためには、単独で使用することまたは他種の還元剤と併用することが好ましい。
2及びR3の最も好ましい組合せは、R2が第3級アルキル基(t−ブチル、1−メチルシクロヘキシル等)であり、R3がアルキル基であって、ヒドロキシル基、または脱保護されることによりヒドロキシル基を形成し得る基を置換基として有するアルキル基、例えば、2−ヒドロキシエチル基である。なお、複数のR2、R3は同じでも異なっていてもよい。
4はベンゼン環上に置換可能な基を表すが、具体的には炭素数1〜25のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル等)、ハロゲン化アルキル基(トリフルオロメチル、パーフルオロオクチル等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル、シクロペンチル等)、アルキニル基(プロパルギル等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリール基(フェニル等)、複素環基(ピリジル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、フリル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、セレナゾリル、スリホラニル、ピペリジニル、ピラゾリル、テトラゾリル等)、ハロゲン原子(塩素、臭素、沃素、弗素)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ペンチルオキシ、シクロペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(フェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェニルオキシカルボニル等)、スルホンアミド基(メタンスルホンアミド、エタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド等)、スルファモイル基(アミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、ジメチルアミノスルホニル、ブチルアミノスルホニル、ヘキシルアミノスルホニル、シクロヘキシルアミノスルホニル、フェニルアミノスルホニル、2−ピリジルアミノスルホニル等)、ウレタン基(メチルウレイド、エチルウレイド、ペンチルウレイド、シクロヘキシルウレイド、フェニルウレイド、2−ピリジルウレイド等)、アシル基(アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘキサノイル、シクロヘキサノイル、ベンゾイル、ピリジノイル等)、カルバモイル基(アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、2−ピリジルアミノカルボニル)、アミド基(アセトアミド、プロピオンアミド、ブタンアミド、ヘキサンアミド、ベンズアミド等)、スルホニル基(メチルスルホニル、エチルスルホニル、ブチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、フェニルスルホニル、2−ピリジルスルホニル等)、アミノ基(アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、アニリノ、2−ピリジルアミノ等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、オキザモイル基等を挙げることができる。又、これらの基は、更にこれらの基で置換されてもよい。n及びmは0〜2の整数を表すが、最も好ましくはn、m共に0の場合である。複数のR4は同じでも異なっていてもよい。
又、R4はR2、R3と飽和環を形成してもよい。R4は好ましくは水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
以下に、一般式(RED)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006030850
Figure 2006030850
Figure 2006030850
これら一般式(RED)で表される化合物(ビスフェノール化合物)は、従来公知の方法により容易に合成することができる(例えば、参考文献:特願2002−147562参照)。
本発明の熱現像感光材料に使用される銀イオン還元剤の量は、有機銀塩や還元剤の種類、その他の添加剤によって変化するが、一般的には有機銀塩1モル当たり0.05モル乃至10モル好ましくは0.1モル乃至3モルが適当である。又この量の範囲内において、本発明の銀イオン還元剤は2種以上併用されてもよい。すなわち、相違する化学構造を有することにより反応性の相違する還元剤を併用することも保存性に優れ、高画質かつ高CPの画像を得る等の観点から好ましい。
本発明においては、前記還元剤を塗布直前に感光性ハロゲン化銀及び有機銀塩粒子及び溶媒からなる感光乳剤溶液に添加混合して塗布した方が、停滞時間による写真性能変動が小さく好ましい場合がある。
また、本発明の熱現像感光材料には、前記した還元剤と併用する現像促進剤として特開2003−43614号公報に記載の一般式(1)〜(4)や、特開2003−66559号公報に記載の一般式(1)〜(3)で表されるヒドラジン誘導体、フェノール誘導体が好ましく用いられる。
本発明の銀塩光熱写真材料において使用される現像促進剤のポーラログラフィー測定による酸化電位は、一般式(RED)で表される化合物より0.01Vないし0.4V低いことが好ましく、一般式(RED)で表される化合物より0.01Vないし0.3V低いことが更に好ましい。なお、当該現像促進剤は、pH=6に調整したテトラヒドロフラン:Britton・Robinson緩衝溶液=3:2混合溶媒中での、SCE対極でのポーラログラフィー測定による酸化電位が、0.2V以上0.6V以下であることが好ましく、0.3V以上0.55V以下であることが更に好ましい。また、テトラヒドロフラン:水の3:2混合溶媒中でのpKa値は、3以上12以下であることが好ましく、5以上10以下であることが更に好ましい。pH=6に調整したテトラヒドロフラン:Britton・Robinson緩衝溶液=3:2混合溶媒中での、SCE対極でのポーラログラフィー測定による酸化電位が、0.3V以上0.55V以下であり、テトラヒドロフラン:水の3:2混合溶媒中でのpKa値は、5以上10以下であることが特に好ましい。
なお、本発明に係る銀イオン還元剤として、欧州特許第1,278,101号明細書及び特開2003−15252号公報に開示されている各種の還元剤も使用できる。
本発明の光熱写真ドライイメージング材料に使用される銀イオン還元剤の量は、有機銀塩や還元剤の種類、その他の添加剤によって変化するが、一般的には有機銀塩1モル当たり0.05モル乃至10モル好ましくは0.1モル乃至3モルが適当である。又この量の範囲内において、本発明の銀イオン還元剤は2種以上併用されてもよい。すなわち、相違する化学構造を有することにより反応性の相違する還元剤を併用することも保存性に優れ、高画質かつ高CPの画像を得る等の観点から好ましい。
本発明においては、前記還元剤を塗布直前に感光性ハロゲン化銀及び有機銀塩粒子及び溶媒からなる感光乳剤溶液に添加混合して塗布した方が、停滞時間による写真性能変動が小さく好ましい場合がある。
〔化学増感〕
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子には、化学増感を施すことができる。例えば、特開2001−249428号及び特開2001−249426号の各公報に記載されている方法等により、硫黄、セレン、テルル等のカルコゲンを放出する化合物や金イオンなどの貴金属イオンを放出する貴金属化合物の利用により、感光性ハロゲン化銀粒子または当該粒子上の分光増感色素の光励起によって生じた電子または正孔(ホール)を捕獲することができる化学増感中心(化学増感核)を形成付与できる。特に、カルコゲン原子を含有する有機増感剤により化学増感されているのが好ましい。
これらカルコゲン原子を含有する有機増感剤は、ハロゲン化銀へ吸着可能な基と不安定カルコゲン原子部位を有する化合物であることが好ましい。
これらの有機増感剤としては、特開昭60−150046号、特開平4−109240号、同11−218874号、同11−218875号、同11−218876号、同11−194447号の各公報等に開示されている種々の構造を有する有機増感剤を用いることができるが、それらのうち、カルコゲン原子が炭素原子またはリン原子と二重結合で結ばれている構造を有する化合物の少なくとも1種であることが好ましい。特に、複素環基を有するチオ尿素誘導体及びトリフェニルホスフィンサルファイド誘導体等が好ましい。
化学増感を施す方法としては、従来の湿式処理用のハロゲン化銀感光材料の製造の際に慣用されている種々の化学増感技術に準じた技術が使用できる(参考文献:(1) T.H.James編”The Theory of the Photographic Process”第4版、Macmillan Publishing Co.,Ltd.1977、(2) 日本写真学会編”写真工学の基礎(銀塩写真編),コロナ社,1979)。特に、ハロゲン化銀粒子乳剤に予め化学増感を施し、その後に非感光性有機銀塩粒子と混合する場合には、従来の慣用方法により化学増感を施すことができる。
有機増感剤としてのカルコゲン化合物の使用量は、使用するカルコゲン化合物、ハロゲン化銀粒子、化学増感を施す際の反応環境などにより変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり、10-8〜10-2モルが好ましく、より好ましくは10-7〜10-3モルを用いる。化学増感を施す際の環境条件としては、特に制限はないが、感光性ハロゲン化銀粒子上のカルコゲン化銀または銀核を消滅或いはそれらの大きさを減少させ得る化合物の存在下において、又特に銀核を酸化しうる酸化剤の共存下において、カルコゲン原子を含有する有機増感剤を用いてカルコゲン増感を施すことが好ましい場合がある。この場合の増感条件は、pAgとしては6〜11が好ましく、より好ましくは7〜10であり、pHは4〜10が好ましく、より好ましくは5〜8、又温度としては30℃以下で増感を施すことが好ましい。
また、これらの有機増感剤を用いた化学増感は、分光増感色素またはハロゲン化銀粒子に対して、吸着性を有するヘテロ原子含有化合物の存在下で行われることが好ましい。ハロゲン化銀に吸着性を有する化合物の存在下化学増感を行うことで、化学増感中心核の分散化を防ぐことができ高感度、低カブリを達成できる。分光増感色素については後述するが、ハロゲン化銀に吸着性を有するヘテロ原子含有化合物とは、特開平3−24537号公報に記載されている含窒素複素環化合物が好ましい例として挙げられる。含窒素複素環化合物において、複素環としては、例えば、ピラゾール環、ピリミジン環、1,2,4−トリアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,3−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,2,3,4−テトラゾール環、ピリダジン環、1,2,3−トリアジン環、これらの環が2〜3個結合した環、例えばトリアゾロトリアゾール環、ジアザインデン環、トリアザインデン環、ペンタアザインデン環などを挙げることができる。単環の複素環と芳香族環の縮合した複素環、例えば、フタラジン環、ベンズイミダゾール環、インダゾール環、ベンズチアゾール環なども適用できる。
これらの中で好ましいのはアザインデン環であり、かつ置換基としてヒドロキシル基を有するアザインデン化合物、例えば、ヒドロキシトリアザインデン、テトラヒドロキシアザインデン、ヒドロキシペンタアザインデン化合物等が更に好ましい。
複素環にはヒドロキシル基以外の置換基を有してもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、置換アルキル基、アルキルチオ基、アミノ基、ヒドロキシアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、シアノ基などを有してもよい。
これ含複素環化合物の添加量は、ハロゲン化銀粒子の大きさや組成その他の条件等に応じて広い範囲に亘って変化するが、おおよその量はハロゲン化銀1モル当たりの量で10-6〜1モルの範囲であり、好ましくは10-4〜10-1モルの範囲である。
本発明に係る感光性ハロゲン化銀には、金イオンなどの貴金属イオンを放出する化合物を利用して貴金属増感を施すことができる。例えば、金増感剤として、塩化金酸塩や有機金化合物が利用できる。なお、特開平11−194447号公報に開示されている金増感技術が参考となる。
又、上記の増感法の他、還元増感法等も用いることができ、還元増感の貝体的な化合物として、例えば、アスコルビン酸、2酸化チオ尿素、塩化第1スズ、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。
本発明において、化学増感を施されるハロゲン化銀粒子は、脂肪族カルボン酸銀塩の存在下で形成されたのでも、当該有機銀塩の存在しない条件下で形成されたものでも、また、両者が混合されたものでもよい。
本発明においては、感光性ハロゲン化銀粒子の表面に化学増感を施した場合においては、熱現像過程経過後に該化学増感の効果が実質的に消失することが必要である。ここで、化学増感の効果が実質的に消失するとは、前記の化学増感技術によって得た当該イメージング材料の感度が熱現像過程経過後に化学増感を施していない場合の感度の1.1以下に減少することを言う。なお、化学増感効果を熱現像過程において消失させるためには、熱現像時に、化学増感中心(化学増感核)を酸化反応によって破壊できる酸化剤、例えば、前記のハロゲンラジカル放出性化合物等の適当量を当該イメージング材料の乳剤層または/及び非感光層に含有含有させておくことが必要である。当該酸化剤の含有量については、酸化剤の酸化力、化学増感効果の減少幅等を考慮して調整することが好ましい。
〔分光増感〕
本発明における感光性ハロゲン化銀には、分光増感色素を吸着させ分光増感を施すことが好ましい。分光増感色素としてシアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。例えば、特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号の各公報、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号の各明細書に記載された増感色素が使用できる。
本発明に使用される有用な増感色素は、例えば、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)17643IV−A項(1978年12月p.23)、RD18431X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に、各種レーザ・イメージャーやスキャナーの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を用いるのが好ましい。例えば、特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号の各公報に記載の化合物が好ましく用いられる。
有用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核及びイミダゾール核などの塩基性核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリノン核、マロノニトリル核及びピラゾロン核などの酸性核も含む。
本発明においては、特に赤外に分光感度を有する増感色素を用いることもできる。好ましく用いられる赤外分光増感色素としては、例えば米国特許第4,536,473号、同第4,515,888号、同第4,959,294号の各明細書等に開示されている赤外分光増感色素が挙げられる。
本発明に係る熱現像感光材料においては、特願2003−102726号公報に記載されているような下記一般式(SD−1)で表される増感色素及び下記一般式(SD−2)で表される増感色素のうちから少なくとも1種を選び含有することが好ましい。
Figure 2006030850
式中、Y1及びY2は、各々、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、または−CH=CH−基を表し、L1〜L9は各々、メチン基を表す。R1、R2は各々、脂肪族基を表す。R3、R4、R23及びR24は各々、低級アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、または複素環基を表す。W1、W2、W3、W4は各々、水素原子、置換基、或いはW1とW2、W3とW4の間で結合して縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。或いはR3とW1、R3とW2、R23とW1、R23とW2、R4とW3、R4とW4、R24とW3、R24とW4の間で結合して5員、6員の縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。X1は分子内の電荷を相殺するに必要なイオンを表し、k1は分子内の電荷を相殺するに必要なイオンの数を表す。m1は0または1を表す。n1及びn2は各々、0、1または2を表す。但し、n1とn2は同時に0とはならない。
上記の赤外増感色素は、例えば、エフ・エム・ハーマー著、The Chemistry of Heterocyclic Compounds第18巻、The Cyanine Dyes and Related Compounds(A.Weissberger ed.Interscience社刊、New York 1964年)に記載の方法によって容易に合成することができる。
これらの赤外増感色素の添加時期は、ハロゲン化銀調製後の任意の時期でよく、例えば、溶剤に添加して、或いは微粒子状に分散した、いわゆる固体分散状態でハロゲン化銀粒子或いはハロゲン化銀粒子/脂肪族カルボン酸銀塩粒子を含有する感光性乳剤に添加できる。又、前記のハロゲン化銀粒子に対し吸着性を有するヘテロ原子含有化合物と同様に、化学増感に先立ってハロゲン化銀粒子に添加し吸着させた後、化学増感を施すこともでき、これにより化学増感中心核の分散化を防ぐことができ高感度、低カブリを達成できる。
本発明において、上記の分光増感色素は1種類を単独に用いてもよいが、上述のように、分光増感色素の複数の種類の組合せを用いることが好ましく、そのような増感色素の組合せは、特に強色増感及び感光波長領域の拡大や調整等の目的でしばしば用いられる。
本発明の熱現像感光材料に用いられる感光性ハロゲン化銀、脂肪族カルボン酸銀塩を含有する乳剤は、増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感効果を発現する物質を乳剤中に含ませ、これによりハロゲン化銀粒子が強色増感されていてもよい。
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せ及び強色増感を示す物質は、RD17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは特公平9−25500号、同43−4933号、特開昭59−19032号、同59−192242号、特開平5−341432号の各公報等に記載されているが、強色増感剤としては、下記で表される複素芳香族メルカプト化合物がまたはメルカプト誘導体化合物が好ましい。
Ar−SM
式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、硫黄、酸素、セレニウム、またはテルリウム原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンズチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンズセレナゾール、ベンズテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリン、またはキナゾリンである。しかしながら、他の複素芳香環も含まれる。
なお、脂肪族カルボン酸銀塩またはハロゲン化銀粒子乳剤の分散物中に含有させたときに実質的に上記のメルカプト化合物を生成するメルカプト誘導体化合物も含まれる。特に下記で表されるメルカプト誘導体化合物が、好ましい例として挙げられる。
Ar−S−S−Ar
式中のArは上記で表されたメルカプト化合物の場合と同義である。
上記の複素芳香環は、例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、ヨウ素)、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)及びアルコキシ基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)からなる群から選ばれる置換基を有しうる。
上記の強色増感剤の他に、特開2001−330918号公報に開示されているヘテロ原子を有する大環状化合物も強色増感剤として使用できる。
本発明に係る強色増感剤は、有機銀塩及びハロゲン化銀粒子を含む感光層中に銀1モル当たり0.001〜1.0モルで用いるのが好ましい。特に好ましくは、銀1モル当たり0.01〜0.5モルの量が好ましい。
本発明においては、感光性ハロゲン化銀粒子の表面に分光増感色素を吸着せしめ分光増感が施されており、かつ熱現像過程経過後に該分光増感効果が実質的に消失することが必要である。ここで、分光増感効果が実質的に消失するとは、増感色素、強色増感剤等によって得た当該イメージング材料の感度が熱現像過程経過後に分光増感を施していない場合の感度の1.1倍以下に減少することを言う。
なお、化学増感効果を熱現像過程において消失させるためには、熱現像時に、熱によってハロゲン化銀粒子より脱離しやすい分光増感色素を使用するまたは/および分光増感色素を酸化反応によって破壊できる酸化剤、例えば、前記のハロゲンラジカル放出性化合物等の適当量を当該イメージング材料の乳剤層または/及び非感光層に含有含有させておくことが必要である。当該酸化剤の含有量については、酸化剤の酸化力、分光増感効果の減少幅等を考慮して調整することが好ましい。
〔省銀化剤〕
本発明では、感光層または非感光層が、省銀化剤を含有することが好ましい。
本発明において使用される省銀化剤とは、一定の銀画像濃度を得るために必要な銀量を低減化し得る化合物をいう。この低減化する機能の作用機構は種々考えられるが、現像銀の被覆力を向上させる機能を有する化合物が好ましい。ここで、現像銀の被覆力とは、銀の単位量当たりの光学濃度をいう。この省銀化剤は感光層または非感光層、更にはそのいずれにも存在せしめることができる。
省銀化剤としては、下記一般式(H)で表されるヒドラジン誘導体、下記一般式(G)で表せるビニル化合物、下記一般式(P)で表される4級オニウム化合物等が好ましい例として挙げられる。
Figure 2006030850
一般式〔H〕において、式中、A0はそれぞれ置換基を有してもよい脂肪族基、芳香族基、複素環基または−G0−D0基を、B0はブロッキング基を表し、A1、A2はともに水素原子、または一方が水素原子で他方はアシル基、スルホニル基またはオキザリル基を表す。ここで、G0は−CO−基、−COCO−基、−CS−基、−C(=NG11)−基、−SO−基、−SO2−基または−P(O)(G11)−基を表し、G1は単なる結合手、−O−基、−S−基または−N(D1)−基を表し、D1は脂肪族基、芳香族基、複素環基または水素原子を表し、分子内に複数のD1が存在する場合、それらは同じであっても異なってもよい。D0は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表す。好ましいD0としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げられる。
一般式〔H〕において、A0で表される脂肪族基は、好ましくは炭素数1〜30のものであり、特に炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基が挙げられ、これらは更に適当な置換基(例えば、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホキシ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、アシルアミノ基、ウレイド基等)で置換されていてもよい。
一般式〔H〕において、A0で表される芳香族基は、単環または縮合環のアリール基が好ましく、例えばベンゼン環またはナフタレン環が挙げられ、A0で表される複素環基としては、単環または縮合環で窒素、硫黄、酸素原子から選ばれる少なくとも一つのヘテロ原子を含む複素環が好ましく、例えばピロリジン環、イミダゾール環、テトラヒドロフラン環、モルホリン環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チオフェン環、フラン環が挙げられる。A0の芳香族基、複素環基及び−G0−D0基は置換基を有していてもよい。A0として、特に好ましいものはアリール基及び−G0−D0基である。
又、一般式〔H〕において、A0は耐拡散基またはハロゲン化銀吸着基を、少なくとも一つ含むことが好ましい。耐拡散基としては、カプラー等の不動性写真用添加剤にて常用されるバラスト基が好ましく、バラスト基としては、写真的に不活性であるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基等が挙げられ、置換基部分の炭素数の合計は8以上であることが好ましい。
一般式〔H〕において、ハロゲン化銀吸着促進基としては、チオ尿素、チオウレタン基、メルカプト基、チオエーテル基、チオン基、複素環基、チオアミド複素環基、メルカプト複素環基或いは特開昭64−90439号公報に記載の吸着基等が挙げられる。
一般式〔H〕において、B0はブロッキング基を表し、好ましくは−G0−D0基であり、G0は−CO−基、−COCO−基、−CS−基、−C(=NG11)−基、−SO−基、−SO2−基または−P(O)(G11)−基を表す。好ましいG0としては−CO−基、−COCO−基が挙げられ、G1は単なる結合手、−O−基、−S−基または−N(D1)−基を表し、D1は脂肪族基、芳香族基、複素環基または水素原子を表し、分子内に複数のD1が存在する場合、それらは同じであっても異なってもよい。D0は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表し、好ましいD0としては水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げられる。A1、A2はともに水素原子、または一方が水素原子で他方はアシル基(アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等)、スルホニル基(メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基等)、またはオキザリル基(エトキザリル基等)を表す。
これら一般式〔H〕で表される化合物は、公知の方法により容易に合成することができる。例えば、米国特許第5,464,738号、同第5,496,695号の各明細書を参考にして合成することができる。
その他に好ましく用いることのできるヒドラジン誘導体は、米国特許第5,545,505号明細書カラム11〜20に記載の化合物H−1〜H−29、米国特許第5,464,738号明細書カラム9〜11に記載の化合物1〜12である。これらのヒドラジン誘導体は公知の方法で合成することができる。
一般式(G)において、XとRはシスの形で表示してあるが、XとRがトランスの形も一般式(G)に含まれる。この事は具体的化合物の構造表示においても同様である。
一般式(G)において、Xは電子吸引性基を表し、Wは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アシル基、チオアシル基、オキサリル基、オキシオキサリル基、チオオキサリル基、オキサモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルフィニル基、チオスルフィニル基、スルファモイル基、オキシスルフィニル基、チオスルフィニル基、スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基、N−スルホニルイミノ基、ジシアノエチレン基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基を表す。
Rはハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルケニルチオ基、アシルチオ基、アルコキシカルボニルチオ基、アミノカルボニルチオ基、ヒドロキシル基またはメルカプト基の有機または無機の塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、銀塩等)、アミノ基、アルキルアミノ基、環状アミノ基(例えば、ピロリジノ基)、アシルアミノ基、オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環基(5〜6員の含窒素ヘテロ環、例えばベンツトリアゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基等)、ウレイド基、スルホンアミド基を表す。XとW、XとRは、それぞれ互いに結合して環状構造を形成してもよい。XとWが形成する環としては、例えばピラゾロン、ピラゾリジノン、シクロペンタンジオン、β−ケトラクトン、β−ケトラクタム等が挙げられる。
一般式(G)について更に説明すると、Xの表す電子吸引性基とは、置換基定数σpが正の値をとりうる置換基のことである。具体的には、置換アルキル基(ハロゲン置換アルキル等)、置換アルケニル基(シアノビニル等)、置換・未置換のアルキニル基(トリフルオロメチルアセチレニル、シアノアセチレニル等)、置換アリール基(シアノフェニル等)、置換・未置換のヘテロ環基(ピリジル、トリアジニル、ベンゾオキサゾリル等)、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基(アセチル、トリフルオロアセチル、ホルミル等)、チオアセチル基(チオアセチル、チオホルミル等)、オキサリル基(メチルオキサリル等)、オキシオキサリル基(エトキサリル等)、チオオキサリル基(エチルチオオキサリル等)、オキサモイル基(メチルオキサモイル等)、オキシカルボニル基(エトキシカルボニル等)、カルボキシル基、チオカルボニル基(エチルチオカルボニル等)、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルホニル基(エトキシスルホニル等)、チオスルホニル基(エチルチオスルホニル等)、スルファモイル基、オキシスルフィニル基(メトキシスルフィニル等)、チオスルフィニル基(メチルチオスルフィニル等)、スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基(N−アセチルイミノ等)、N−スルホニルイミノ基(N−メタンスルホニルイミノ等)、ジシアノエチレン基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基が挙げられるが、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、インモニウム基等が環を形成したヘテロ環状のものも含まれる。σp値として0.30以上の置換基が特に好ましい。
Wとして表されるアルキル基としては、メチル、エチル、トリフルオロメチル等が、アルケニル基としてはビニル、ハロゲン置換ビニル、シアノビニル等が、アルキニル基としてはアセチレニル、シアノアセチレニル等が、アリール基としてはニトロフェニル、シアノフェニル、ペンタフルオロフェニル等が、ヘテロ環基としてはピリジル、ピリミジル、トリアジニル、スクシンイミド、テトラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、ベンゾオキサゾリル等が挙げられる。Wとしてはσp値が正の電子吸引性基が好ましく、更にはその値が0.30以上のものが好ましい。
上記Rの置換基の内、好ましくはヒドロキシル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基またはメルカプト基の有機または無機の塩、ヘテロ環基が挙げられ、更に好ましくはヒドロキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基またはメルカプト基の有機または無機の塩、ヘテロ環基が挙げられ、特に好ましくはヒドロキシル基、ヒドロキシル基またはメルカプト基の有機または無機の塩が挙げられる。
また上記X及びWの置換基の内、置換基中にチオエーテル結合を有するものが好ましい。
一般式(P)において、Q3は窒素原子または燐原子を表し、R1、R2、R3及びR4は、各々水素原子または置換基を表し、X-はアニオンを表す。尚、R1〜R4は互いに連結して環を形成してもよい。
1〜R4で表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、アリル基、ブテニル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、ブチニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、複素環基(例えば、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル基、スルホラニル基等)、アミノ基等が挙げられる。
1〜R4が互いに連結して形成しうる環としては、例えば、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、キヌクリジン環、ピリジン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環等が挙げられる。
1〜R4で表される基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アリール基等の置換基を有してもよい。R1、R2、R3及びR4としては、水素原子及びアルキル基が好ましい。
-が表すアニオンとしては、例えば、ハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン等の無機及び有機のアニオンが挙げられる。
上記4級オニウム化合物は公知の方法に従って容易に合成でき、例えば、上記テトラゾリウム化合物は、Chemical Reviews vol.55 p.335〜483に記載の方法を参考にできる。上記省銀化剤の添加量は、脂肪族カルボン酸銀塩1モルに対し10-5〜1モル、好ましくは10-4〜5×10-1モルの範囲である。
本発明では、省銀化剤の少なくとも一種が、シラン化合物であることも好ましい。本発明において、省銀化剤として用いるシラン化合物としては、特開2003−5324号公報に開示されているような一級または二級アミノ基を2個以上有するアルコキシシラン化合物あるいはその塩であることが好ましい。
省銀化剤として、アルコキシシラン化合物あるいはその塩、またはシフ塩基を画像形成層中に添加する場合は、銀1モルに対して通常0.00001〜0.05モルの範囲で添加するのが好ましい。また、アルコキシシラン化合物あるいはその塩と、シフ塩基の両方を画像形成層に添加する場合も同様の範疇となる。
〔バインダー〕
本発明の熱現像感光材料に好適なバインダーは、透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。親水性でも非親水性でもよい。
本発明の熱現像感光材料の感光層に好ましいバインダーはポリビニルアセタール類であり、特に好ましいバインダーはポリビニルブチラールである。詳しくは後述する。又、上塗り層や下引層、特に保護層やバックコート層等の非感光層に対しては、より軟化温度の高いポリマーであるセルロースエステル類、特にトリアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のポリマーが好ましい。なお、必要に応じて、上記のバインダーは2種以上を組み合わせて用いうる。
このようなバインダーは、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で用いられる。効果的な範囲は当業者が容易に決定しうる。例えば、感光層において少なくとも脂肪族カルボン酸銀塩を保持する場合の指標としては、バインダーと脂肪族カルボン酸銀塩との割合は15:1〜1:2、特に8:1〜1:1の範囲が好ましい。即ち、感光層のバインダー量が1.5〜6g/m2であることが好ましい。更に好ましくは1.7〜5g/m2である。1.5g/m2未満では未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
本発明では、100℃以上の温度で現像処理した後の熱転移点温度が、46℃以上、200℃以下であることが好ましい、より好ましくは、70℃以上、105℃以下である。本発明でいう熱転移点温度とは、VICAT軟化点または環球法で示した値であり、示差走査熱量計(DSC)、例えばEXSTAR 6000(セイコー電子社製)、DSC220C(セイコー電子工業社製)、DSC−7(パーキンエルマー社製)等を用いて、熱現像済みの感光層を単離して測定した際の吸熱ピークをさす。一般的に高分子化合物はガラス転移点Tgを有しているが、熱現像感光材料においては、感光層に用いているバインダー樹脂のTg値よりも低いところに、大きな吸熱ピークが出現する。この熱転移点温度に着目し鋭意検討を行った結果、この熱転移点温度を46℃以上、200℃以下にすることにより、形成された塗膜の堅牢性が増すのみならず、感度、最大濃度、画像保存性など写真性能が大幅に向上することを新たに見出し、本発明に至った。
ガラス転移温度(Tg)は、ブランドラップらによる“重合体ハンドブック”III−139頁からIII−179頁(1966年、ワイリー アンド サン社版)に記載の方法で求めたものであり、バインダーが共重合体樹脂である場合のTgは下記の式で求められる。
Tg(共重合体)(℃)=v1Tg1+v2Tg2+・・・+vnTgn
〔式中、v1、v2・・・vnは共重合体中の単量体の質量分率を表し、Tg1、Tg2・・・Tgnは、共重合体中の各単量体から得られる単一重合体のTg(℃)を表す。〕
なお、上式に従って計算されたTgの精度は、±5℃である。
本発明の熱現像感光材料において、支持体上に脂肪族カルボン酸銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、還元剤等を含有する感光層に含有するバインダーとしては、従来公知の高分子化合物を用いることができる。Tgが70〜105℃、数平均分子量が1,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、重合度が約50〜1,000程度のものである。このような例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル等のエチレン性不飽和モノマーを構成単位として含む重合体または共重合体よりなる化合物、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。
また、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂については、朝倉書店発行の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されている。これらの高分子化合物に、特に制限はなく、誘導される重合体のガラス転移温度(Tg)が70〜105℃の範囲にあれば、単独重合体でも共重合体でもよい。
このようなエチレン性不飽和モノマーを構成単位として含む重合体または共重合体としては、アクリル酸アルキルエステル類、アクリル酸アリールエステル類、メタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸アリールエステル類、シアノアクリル酸アルキルエステル類、シアノアクリル酸アリールエステル類などを挙げることができ、それらのアルキル基、アリール基は置換されていてもされていなくてもよく、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ベンジル、クロロベンジル、オクチル、ステアリル、スルホプロピル、N−エチル−フェニルアミノエチル、2−(3−フェニルプロピルオキシ)エチル、ジメチルアミノフェノキシエチル、フルフリル、テトラヒドロフルフリル、フェニル、クレジル、ナフチル、2−ヒドロキシエチル、4−ヒドロキシブチル、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メトキシエチル、3−メトキシブチル、2−アセトキシエチル、2−アセトアセトキシエチル、2−エトキシエチル、2−iso−プロポキシエチル、2−ブトキシエチル、2−(2−メトキシエトキシ)エチル、2−(2−エトキシエトキシ)エチル、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、2−ジフェニルホスホリルエチル、ω−メトキシポリエチレングリコール(付加モル数n=6)、アリル、ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩などを挙げることができる。
その他、下記のモノマー等が使用できる。ビニルエステル類:その具体例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニルなど;N−置換アクリルアミド類、N−置換メタクリルアミド類及びアクリルアミド、メタクリルアミド:N−置換基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル、シクロヘキシル、ベンジル、ヒドロキシメチル、メトキシエチル、ジメチルアミノエチル、フェニル、ジメチル、ジエチル、β−シアノエチル、N−(2−アセトアセトキシエチル)、ジアセトンなど;オレフィン類:例えば、ジシクロペンタジエン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等;スチレン類:例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、tert−ブチルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステルなど;ビニルエーテル類:例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテルなど;N−置換マレイミド類:N−置換基として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル、シクロヘキシル、ベンジル、n−ドデシル、フェニル、2−メチルフェニル、2,6−ジエチルフェニル、2−クロルフェニルなどを有するものなど;その他として、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジブチル、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、メチレンマロンニトリル、塩化ビニリデンなどを挙げることができる。
これらのうち、特に好ましい例としては、メタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸アリールエステル類、スチレン類等が挙げられる。このような高分子化合物のなかでも、アセタール基を持つ高分子化合物を用いることが好ましい。アセタール基を持つ高分子化合物では、生成する脂肪族カルボン酸との相溶性に優れるため膜の柔軟化を防ぐ効果が大きく好ましい。
アセタール基を持つ高分子化合物としては、下記一般式(V)で表される化合物が、特に好ましい。
Figure 2006030850
〔式中、R1はアルキル基、置換アルキル基、アリール基または置換アリール基を表すが好ましくはアリール基以外の基である。R2は無置換アルキル基、置換アルキル基、無置換アリール基、置換アリール基、−COR3または−CONHR3を表す。R3はR1と同義である。〕
1、R2、R3で表される無置換アルキル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、特に好ましくは炭素数1〜6である。これらは直鎖であっても分岐していてもよく、好ましくは直鎖のアルキル基が好ましい。このような無置換アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、t−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプシル基、n−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基等が挙げられるが、特に好ましくはメチル基もしくはプロピル基である。
無置換アリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。上記のアルキル基、アリール基に置換可能な基としては、アルキル基(例えば、メチル基、n−プロピル基、t−アミル基、t−オクチル基、n−ノニル基、ドデシル基等)、アリール基(例えば、フェニル基等)、ニトロ基、水酸基、シアノ基、スルホ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基等)、スルファモイル基(例えば、メチルスルファモイル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、カルボキシ基、カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシルボニル基等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基等)などが挙げられる。この置換基が2つ以上あるときは、同じでも異なっていてもよい。置換アルキル基の総炭素数は、1〜20が好ましく、置換アリール基の総炭素数は6〜20が好ましい。
2としては、−COR3(R3はアルキル基またはアリール基)、−CONHR3(R3はアリール基)が好ましい。a、b、cは各繰り返し単位の質量をモル(mol)%で示した値であり、aは40〜86モル%、bは0〜30モル%、cは0〜60モル%の範囲で、a+b+c=100モル%となる数を表し、特に好ましくは、aが50〜86モル%、bが5〜25モル%、cが0〜40モル%の範囲である。a、b、cの各組成比をもつ各繰り返し単位は、それぞれ同一のもののみで構成されていても、異なるもので構成されていてもよい。
本発明で用いることのできるポリウレタン樹脂としては、構造がポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用できる。ここに示したすべてのポリウレタンについて、必要に応じ、−COOM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2、−O−P=O(OM)2、(Mは水素原子、またはアルカリ金属塩基を表す)、−N(R42、−N+(R43(R4は炭化水素基を表し、複数のR4は同じでも異なっていてもよい)、エポキシ基、−SH、−CNなどから選ばれる少なくともひとつ以上の極性基を共重合または付加反応で導入したものを用いることが好ましい。このような極性基の量は10-1〜10-8モル/gであり、好ましくは10-2〜10-6モル/gである。これら極性基以外に、ポリウレタン分子末端に少なくとも1個ずつ、合計2個以上のOH基を有することが好ましい。OH基は硬化剤であるポリイソシアネートと架橋して3次元の網状構造を形成するので、分子中に多数含むほど好ましい。特に、OH基が分子末端にある方が、硬化剤との反応性が高いので好ましい。ポリウレタンは、分子末端にOH基を3個以上有することが好ましく、4個以上有することが特に好ましい。ポリウレタンを用いる場合は、ガラス転移温度が70〜105℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.5〜100N/mm2が好ましい。
本発明において、上記一般式(V)で表される高分子化合物は、「酢酸ビニル樹脂」桜田一郎編(高分子化学刊行会、1962年)等に記載の一般的な合成方法で合成することができる。
これらの高分子化合物をバインダーとして単独で用いてもよいし、2種類以上をブレンドして用いてもよい。本発明の感光性銀塩含有層(好ましくは感光層)には上記ポリマーを主バインダーとして用いる。ここで言う主バインダーとは「感光性銀塩含有層の全バインダーの50質量%以上を上記ポリマーが占めている状態」をいう。従って、全バインダーの50質量%未満の範囲で他のポリマーをブレンドして用いてもよい。これらのポリマーとしては、本発明のポリマーが可溶となる溶媒であれば、特に制限はない。より好ましくはポリ酢酸ビニル、ポリアクリル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
本発明で用いられる架橋剤としては、従来ハロゲン化銀写真感光材料用として使用されている種々の架橋剤、例えば、特開昭50−96216号公報に記載されているアルデヒド系、エポキシ系、エチレンイミン系、ビニルスルホン系、スルホン酸エステル系、アクリロイル系、カルボジイミド系、シラン化合物系架橋剤を用いうるが、好ましいのは以下に示すイソシアネート系化合物、シラン化合物、エポキシ化合物または酸無水物である。
好適なものの一つである下記一般式〔IC〕で表されるイソシアネート系及びチオイソシアネート系架橋剤について説明する。
一般式〔IC〕
X=C=N−L−(N=C=X)
式中、vは1または2であり、Lはアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアルキルアリール基で、v+1価の連結基であり、Xは酸素または硫黄原子である。
なお、上記一般式〔IC〕で表せる化合物において、アリール基のアリール環は置換基を有し得る。好ましい置換基の例は、ハロゲン原子(例えば、臭素原子または塩素原子)、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基及びアルコキシ基から選択される。
上記イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基を少なくとも2個有しているイソシアネート類及びその付加体(アダクト体)であり、更に、具体的には、脂肪族ジイソシアネート類、環状基を有する脂肪族ジイソシアネート類、ベンゼンジイソシアネート類、ナフタレンジイソシアネート類、ビフェニルイソシアネート類、ジフェニルメタンジイソシアネート類、トリフェニルメタンジイソシアネート類、トリイソシアネート類、テトライソシアネート類、これらのイソシアネート類の付加体及びこれらのイソシアネート類と2価または3価のポリアルコール類との付加体が挙げられる。
具体例としては、特開昭56−5535号公報の10頁〜12頁に記載されているイソシアネート化合物を利用することができる。
なお、イソシアネートとポリアルコールのアダクト体は、特に層間接着を良くし、層の剥離や画像のズレ及び気泡の発生を防止する能力が高い。かかるイソシアネートは熱現像感光材料のどの部分に置かれてもよい。例えば支持体中(特に支持体が紙の場合、そのサイズ組成中に含ませることができる)、感光層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引層等の支持体の感光層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層または2層以上に添加することができる。
又、本発明において使用することが可能なチオイソシアネート系架橋剤としては、上記のイソシアネート類に対応するチオイソシアネート構造を有する化合物も有用である。
本発明において使用される上記架橋剤の量は、銀1モルに対して0.001〜2モル、好ましくは0.005から0.5モルの範囲である。
本発明において含有させることができるイソシアネート化合物及びチオイソシアネート化合物は、上記の架橋剤として機能する化合物であることが好ましいが、上記の一般式においてvが零(0)、即ち当該官能基を一つのみ有する化合物であっても良い結果が得られる。
本発明において架橋剤として使用できるシラン化合物の例としては、特開2002−22203号公報に記載されている一般式(1)または一般式(2)で表せる化合物が挙げられる。
これらの一般式において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ置換されてもよい直鎖、分枝または環状の炭素数1〜30のアルキル基(メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、シクロアルキル基等)、アルケニル基(プロペニル基、ブテニル基、ノネニル基等)、アルキニル基(アセチレン基、ビスアセチレン基、フェニルアセチレン基等)、アリール基またはヘテロ環基(フェニル基、ナフチル基、テトラヒドロピラン基、ピリジル基、フリル基、チオフェニル基、イミダゾール基、チアゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基等)を表し、置換基としては電子吸引性の置換基または電子供与性の置換基いずれをも有することができる。
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8から選ばれる置換基の少なくとも1つが耐拡散性基または吸着性基であることが好ましく、特にR2が耐拡散性基または吸着性基であることが好ましい。
なお、耐拡散性基は、バラスト基とも呼ばれ炭素数が6以上の脂肪族基や炭素数が3以上のアルキル基が導入されているアリール基等が好ましい。耐拡散性は、バインダーや架橋剤の使用量によって異なるが、耐拡散性の基を導入することにより、室温状態の分子内の移動距離が抑制され経時での反応を抑制できる。
架橋剤として用いることができるエポキシ化合物としては、エポキシ基を1個以上有するものであればよく、エポキシ基の数、分子量、その他に制限はない。エポキシ基はエーテル結合やイミノ結合を介してグリシジル基として分子内に含有されることが好ましい。またエポキシ化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマー等のいずれであってもよく、分子内に存在するエポキシ基の数は通常1〜10個程度、好ましくは2〜4個である。エポキシ化合物がポリマーである場合は、ホモポリマー、コポリマーのいずれであってもよく、その数平均分子量Mnの特に好ましい範囲は2000〜20000程度である。
エポキシ化合物としては、下記一般式(EP)で表される化合物が好ましい。
Figure 2006030850
一般式(EP)において、Rで表されるアルキレン基の置換基は、ハロゲン原子、水酸基、ヒドロキシアルキル基またはアミノ基から選ばれる基であることが好ましい。またRで表される連結基中にアミド連結部分、エーテル連結部分、チオエーテル連結部分を有していることが好ましい。Xで表される2価の連結基としては−SO2−、−SO2NH−、−S−、−O−、または−NR1−が好ましい。ここでR1は1価の基であり、電子吸引基であることが好ましい。
これらのエポキシ化合物は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。その添加量は特に制限はないが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲が好ましく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3モル/m2の範囲である。
エポキシ化合物は、感光層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引層等の支持体の感光層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層または2層以上に添加することができる。又、併せて支持体の感光層と反対側の任意の層に添加することができる。尚、両面に感光層が存在するタイプの感材ではいずれの層であってもよい。
酸無水物は下記の構造式で示される酸無水物基を少なくとも1個有する化合物である。
−CO−O−CO−
酸無水物はこのような酸無水基を1個以上有するものであればよく、酸無水基の数、分子量、その他に制限はないが、下記一般式(SA)で表される化合物が好ましい。
Figure 2006030850
一般式(SA)において、Zは単環または多環系を形成するのに必要な原子群を表す。これらの環系は未置換であってもよく、置換されていてもよい。置換基の例には、アルキル基(例えば、メチル、エチル、ヘキシル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、オクチルオキシ)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、トリル)、ヒドロキシル基、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、ブチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ)、アシル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル、フェニルスルホニル)、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ、ベンゾキシ)、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、及びアミノ基が含まれる。置換基としては、ハロゲン原子を含まないものが好ましい。
これらの酸無水物は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。その添加量は特に制限はないが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲が好ましく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3モル/m2の範囲である。
本発明において酸無水物は、感光層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引層等の支持体の感光層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層または2層以上に添加することができる。又、前記エポキシ化合物と同じ層に添加すしてもよい。
〔色調調整〕
次に熱現像感光材料を熱現像処理して得られる画像の色調について説明する。
従来のレントゲン写真フィルムのような医療診断用の出力画像の色調に関しては、冷調の画像調子の方が、判読者にとって、より的確な記録画像の診断観察結果が得やすいと言われている。ここで冷調な画像調子とは、純黒調もしくは黒画像が青味を帯びた青黒調であり、温調な画像調子とは、黒画像が褐色味を帯びた温黒調であると言われているが、より厳密な定量的な議論ができるように、以下においては、国際照明委員会(CIE)の推奨する表現法に基づき説明する。
色調に関しての用語「より冷調」及び「より温調」は、最低濃度Dmin及び光学濃度D=1.0における色相角habにより表現できる。すなわち、色相角habは国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した知覚的にほぼ均等な歩度を持つ色空間であるL***色空間の色座標a*、b*を用いて次の式によって求める。
ab=tan-1(b*/a*
上記色相角に基づく表現法により検討した結果、本発明に係る銀塩光熱写真イメージング材料の現像後の色調は、色相角habの範囲が180度<hab<270度であることが好ましい、更に好ましくは200度<hab<270度、最も好ましくは220度<hab<260度であることが分かった。このことは、特開2002−6463号公報に開示されている。
なお、従来、光学濃度1.0付近でのCIE 1976(L***)色空間または(L***)色空間におけるu*、v*またはa*、b*を特定の数値に調整することにより見た目の色調が好ましい診断画像が得られることが知られており、例えば、特開2000−29164号公報に記載されている。
本発明に係る銀塩光熱写真イメージング材料について、更なる、鋭意検討の結果、CIE 1976(L***)色空間または(L***)色空間において横軸をu*またはa*、縦軸をv*またはb*としたグラフ上に、様々な写真濃度でのu*、v*またはa*、b*をプロットし線形回帰直線を作成した際に、その線形回帰直線を特定の範囲に調整することにより従来の湿式の銀塩感光材料同等以上の診断性を持つことを見いだした。以下において、本発明の条件範囲について述べる。
当該イメージング材料の光学濃度0.5、1.0、1.5および最低光学濃度の各濃度を測定し、CIE 1976(L***)色空間の横軸をa*、縦軸をb*とする二次元座標に、上記各光学濃度でのa*、b*を配置し作成した線形回帰直線の決定係数(重決定)R2が0.998以上1.000以下である。
さらに、当該線形回帰直線の縦軸との交点のb*値が−5以上5以下であること、かつ傾き(b*/a*)が0.7以上2.5以下である。
なお、上記各光学濃度でのu*、v*を配置し作成した線形回帰直線の決定係数(重決定)R2においても0.998以上1.000以下であること、当該線形回帰直線の縦軸との交点のv*値が−5以上5以下であること、かつ傾き(v*/u*)が0.7以上2.5以下であることが好ましい。
次に、上述の線形回帰直線の作成法、則ち、CIE 1976色空間におけるu*、v*およびa*、b*の測定法の一例を説明する。
熱現像装置を用いて未露光部、および光学濃度0.5、1.0、1.5を含む4段のウエッジ試料を作製する。このようにして作製したそれぞれのウエッジ濃度部を分光色彩計(例:CM−3600d;ミノルタ株式会社製)で測定しu*、v*またはa*、b*を算出する。その際の測定条件は光源としてF7光源、視野角を10°として透過測定モードで測定を行う。横軸をu*またはa*、縦軸をv*またはb*としたグラフ上に測定したu*、v*またはa*、b*をプロットし線形回帰直線を求め決定係数(重決定)R2、切片および傾きを求める。
次に、上記のような特徴をもつ線形回帰直線を得るための具体的な方法について説明する。
本発明においては、上記の調色剤、現像剤、ハロゲン化銀粒子及び脂肪族カルボン酸銀等の現像反応過程において直接的及び間接的に関与する化合物等の添加量の調整により現像銀形状を最適化し好ましい色調にすることができる。例えば、現像銀形状をデンドライト状にすると青味を帯びる方向になり、フィラメント状にすると黄色味を帯びる方向になる。即ち、このような現像銀形状の性向を考慮して調整できる。
従来、調色剤としてはフタラジノンまたはフタラジンとフタル酸類、フタル酸無水物類が一般的に使用されている。好適な調色剤の例は、RD17029号、米国特許第4,123,282号、同第3,994,732号、同第3,846,136号、同第4,021,249号の各明細書に開示されている。
このような調色剤の他に、特開平11−288057号公報、欧州特許第1134611A2号明細書等に開示されているカプラー及び、下で詳述するロイコ染料を使用して色調を調整することが好ましい。
また、本発明に係る熱現像後に内部潜像型に変換するハロゲン化銀粒子を併用することにより銀画像保存時における色調の変動を予想外に防止することができる。
〔ロイコ染料〕
本発明の熱現像感光材料にはロイコ染料を用いる。
ロイコ染料として好ましくは、約80〜200℃の温度で約0.5〜30秒間加熱した時に、酸化されて着色形態になる何れの無色または僅かに着色した化合物でよく、銀イオンにより酸化して色素を形成する何れのロイコ染料を用いることもできる。pH感受性を有し、かつ着色状態に酸化できる化合物は有用である。
本発明で使用するのに適した代表的なロイコ染料は特に限定されないが、例えばビフェノールロイコ染料、フェノールロイコ染料、インドアリニリンロイコ染料、アクリル化アジンロイコ染料、フェノキサジンロイコ染料、フェノジアジンロイコ染料及びフェノチアジンロイコ染料等が挙げられる。又、有用なものは、米国特許3,445,234号、同3,846,136号、同3,994,732号、同4,021,249号、同4,021,250号、同4,022,617号、同4,123,282号、同4,368,247号、同4,461,681号の各明細書、及び特開昭50−36110号、同59−206831号、特開平5−204087号、同11−231460号、特開2002−169249号、同2002−236334号の各公報等に開示されているロイコ染料である。
所定の色調に調整するために、種々の色のロイコ染料を単独使用または複数の種類の併用をすることが好ましい。本発明においては高活性な還元剤を使用することに伴って色調が過度に黄色味をおびたり、微粒子のハロゲン化銀を用いることにより特に濃度が2.0以上の高濃度部で画像が過度に赤みをおびることを防止するために、シアン色に発色するロイコ染料を用いることが好ましいが、色調の微調整のためには更に黄色ロイコ染料、及びその他のシアン色に発色するロイコ染料を併用するのが好ましい。
発色濃度は現像銀自身による色調との関係で適切に調整することが好ましい。本発明では、ロイコ染料により形成される色素像の吸収極大波長における最大濃度の総和が通常0.01以上0.30以下、好ましくは0.02以上0.20以下、特に好ましくは0.02以上0.10以下を有するように発色させ後述する好ましい色調範囲の画像になるように色調を調整することが好ましい。
(黄色発色性ロイコ染料)
本発明において、特に黄色発色性ロイコ染料として好ましく用いられるのは、酸化されることにより360〜450nmの吸光度が増加する下記一般式(YL)で表される色像形成剤である。
Figure 2006030850
以下、一般式(YL)で表される化合物について詳細に説明する。
前記一般式(YL)において、R1で表されるアルキル基としては炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、置換基を有してもよい。具体的にはメチル、エチル、ブチル、オクチル、i−プロピル、t−ブチル、t−オクチル、t−ペンチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、1−メチル−シクロヘキシル等が好ましく、i−プロピルよりも立体的に大きな基(i−プロピル、i−ノニル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、シクロヘキシル、1−メチル−シクロヘキシル、アダマンチル等)であることが好ましく、その中でも2級または3級のアルキル基が好ましく、3級アルキル基であるt−ブチル、t−オクチル、t−ペンチル等が特に好ましい。R1が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ホスホリル基等が挙げられる。
2は水素原子、それぞれ置換もしくは無置換のアルキル基またはアシルアミノ基を表す。R2で表されるアルキル基は炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、アシルアミノ基は炭素数1〜30のアシルアミノ基が好ましい。この内、アルキル基の説明は前記R1と同様である。
2で表されるアシルアミノ基は、無置換でも置換基を有してもよく、具体的には、アセチルアミノ基、アルコキシアセチルアミノ基、アリールオキシアセチルアミノ基等が挙げられる。R2として好ましくは、水素原子または無置換の炭素数1〜24のアルキル基であり、具体的にはメチル、i−プロピル、t−ブチルが挙げられる。又、R1、R2は2−ヒドロキシフェニルメチル基であることはない。
3は水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。アルキル基としては炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、アルキル基の説明は前記R1と同様である。R3として好ましくは、水素原子または無置換の炭素数1〜24のアルキル基で、具体的にはメチル、i−プロピル、t−ブチル等が挙げられる。又、R12、R13の何れか一方は水素原子であることが好ましい。
4はベンゼン環に置換可能な基を表し、例えば前記一般式(RED)における置換基R4で説明したのと同様な基である。R4として好ましいのは、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のオキシカルボニル基であり、炭素数1〜24のアルキル基がより好ましい。アルキル基の置換基としてはアリール基、アミノ基、アルコキシ基、オキシカルボニル基、アシルアミノ基、アシルオキシ基、イミド基、ウレイド基等が挙げられ、アリール基、アミノ基、オキシカルボニル基、アルコキシ基がより好ましい。これらのアルキル基の置換基は、更にこれらの置換基で置換されてもよい。
次に、一般式(YL)で表される化合物のうち、特に、本発明において好ましく用いられる化合物(ビスフェノール化合物)は次式であらわせる。
Figure 2006030850
式中、Zは−S−または−C(R1)(R1′)−を表し、R1、R1′は各々、水素原子または置換基を表す。R1、R1′の表す置換基としては、前記一般式(RED)のR1の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。R1、R1′として好ましくは、水素原子またはアルキル基である。
2、R3、R2′及びR3′は、各々置換基を表すが、置換基としては一般式(RED)におけるR2、R3で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
2、R3、R2′及びR3′として好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基であるが、アルキル基が更に好ましい。アルキル基上の置換基としては、一般式(RED)における置換基の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
2、R3、R2′及びR3′として更に好ましくは、t−ブチル、t−ペンチル、t−オクチル、1−メチル−シクロヘキシル等の3級アルキル基である。
4及びR4′は各々、水素原子または置換基を表すが、置換基としては、一般式(RED)におけるR4の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
一般式(YL)で表される化合物(ビスフェノール化合物)としては、例えば、特開2002−169249号公報の段落「0032」〜「0038」記載の化合物(II−1)〜(II−40)、欧州特許第1,211,093号明細書の段落「0026」記載の化合物(ITS−1)〜(ITS−12)を挙げることができる。
以下に、一般式(YL)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006030850
Figure 2006030850
一般式(YL)で表される化合物の添加量は、通常、銀1モル当たり0.00001〜0.01モルであり、好ましくは0.0005〜0.01モル、より好ましくは0.001〜0.008モルである。
(シアン発色性ロイコ染料)
次に、シアン発色性ロイコ染料について説明する。本発明において、特にシアン発色性染料として好ましく用いられるのは、酸化されることにより600〜700nmの吸光度が増加する色像形成剤であり、特開昭59−206831号公報(特にλmaxが600〜700nmの範囲内にある化合物)、特開平5−204087号公報の一般式(I)〜一般式(IV)の化合物(具体的には段落「0032」〜「0037」に記載の(1)〜(18)の化合物)及び特開平11−231460号公報の一般式4〜一般式7の化合物(具体的には段落「0105」に記載されるNo.1〜No.79の化合物)である。
本発明において特に好ましく用いられるシアン発色性ロイコ染料は、下記一般式(CL)で示される。
Figure 2006030850
式中、R1、R2は水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、R10がアルキル基、アリール基または複素環基であるNHCO−R10基でありか、または、R1、R2は互いに連結して脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環または複素環を形成する基である。Aは−NHCO−基、−CONH−基または−NHCONH−基でありR3は置換または無置換のアルキル基、アリール基または複素環基であるか、または−A−R3は水素原子であり、Wは水素原子またはR5が置換または無置換のアルキル基、アリール基または複素環基である−CONH−R5基、−CO−R5基または−CO−O−R5基であり、R4は水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、アルコキシ基、カルバモイル基、またはニトリル基を表す。R6はR7が置換または無置換のアルキル基、アリール基または複素環基である−CONH−R7基、−CO−R7基または−CO−O−R7基である。Xは、置換または無置換のアリール基、複素環基を表す。
一般式(CL)において、ハロゲン原子としてはフッ素、臭素、塩素等、アルキル基としては炭素原子数が20までのアルキル基(メチル、エチル、ブチル、ドデシル等)、アルケニル基としては炭素原子数が20までのアルケニル基(ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、エテニル−2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル等)、アルコキシ基としては炭素原子数20までのアルコキシ基(メトキシ、エトキシ等)であり、アリール基としてはフェニル、ナフチル、チエニルのような炭素原子数6〜20の基、複素環基としてはチオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピロール等の各基である。Aは−NHCO−基、−CONH−基または−NHCONH−基でありR3は置換または無置換のアルキル基(好ましく炭素原子数20まででメチル、エチル、ブチル、ドデシル等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20でフェニル、ナフチル、チエニル等)または複素環基(チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピロール等)であるか、または−A−R3は水素原子であり、Wは水素原子またはR5が置換または無置換のアルキル基(好ましく炭素原子数20まででメチル、エチル、ブチル、ドデシル等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20でフェニル、ナフチル、チエニル等)または複素環基(チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピロール等)である−CONH−R5基、−CO−R5基または−CO−O−R5基であり、R4は水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、沃素)、鎖状若しくは環状のアルキル基(例えば、メチル基、ブチル基、ドデシル基、シクロヘキシル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、ブトキシ基、テトラデシルオキシ基など)、カルバモイル基(例えば、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基など)、またはニトリル基が好ましく、これらの中でも、水素原子、アルキル基がより好ましい。前記R1とR2、R3とR4は、互いに連結して環構造を形成してもよい。上記の基はさらに単一置換基または複数の置換基を有することができ、例えばアリール基に導入することのできる典型的な置換基にはハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ドデシル等)、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ等)、アルキルスルホンアミド基(メチルスルホンアミド、オクチルスルホンアミド等)、アリールスルホンアミド基(フェニルスルホンアミド、ナフチルスルホンアミド等)、アルキルスルファモイル基(ブチルスルファモイル等)、アリールスルファモイル(フェニルスルファモイル等)、アルキルオキシカルボニル基(メトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェニルオキシカルボニル等)、アミノスルホンアミド基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、スルホキシ基、スルホ基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アミノカルボニル基等が含まれる。これらの群の二つの異なった群をアリール基に導入することができる。R10またはR85は好ましくはフェニル基であり、より好ましくはハロゲン原子およびシアノ基を含む複数の置換基を有するフェニル基である。
6はR7が置換または無置換のアルキル基(好ましく炭素原子数20まででメチル、エチル、ブチル、ドデシル等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20でフェニル、ナフチル、チエニル等)または複素環基(チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピロール等)である−CONH−R7基、−CO−R7基または−CO−O−R7基である。R7が表すアルキル基の置換基としてはR1〜R4における置換基と同様のものが使用できる。X8は、置換または無置換のアリール基、複素環基を表す。アリール基としてはフェニル、ナフチル、チエニルのような炭素原子数6〜20の基、複素環基としてはチオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピロール等の各基である。Xで表される基が有することができる置換基としてはR1〜R4における置換基と同様のものが使用できる。Xで表される基としてはパラ位にアルキルアミノ基(ジエチルアミノ基等)の置換したアリール基または複素環基が好ましい。これらは写真的に有用な基を含んでもよい。
下記にシアン発色性ロイコ染料(CL)の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2006030850
Figure 2006030850
Figure 2006030850
シアン発色性ロイコ染料の添加量は、通常0.00001〜0.05モル/Ag1モルであり、好ましくは0.0005〜0.02モル/Ag1モル、より好ましくは0.001〜0.01モル/Ag1モルである。
一般式(YL)で表される化合物及びシアン発色性ロイコ染料の添加方法としては、一般式(RED)で表される還元剤の添加方法と同様な方法で添加することができ、溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態等、任意の方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてよい。
一般式(YL)の化合物及びシアン発色性ロイコ染料は、有機銀塩を含有する画像形成層に含有させることが好ましいが、一方を画像形成層に、他方を該画像形成層に隣接する非画像形成層に含有させてもよく、両者を非画像形成層に含有させてもよい。又、画像形成層が複数層で構成されている場合には、それぞれ別層に含有させてもよい。
〔その他〕
本発明の熱現像感光材料に用いる支持体の素材としては、各種高分子材料、ガラス、ウール布、コットン布、紙、金属(例えば、アルミニウム)等が挙げられるが、情報記録材料としての取り扱い上は可撓性のあるシートまたはロールに加工できるものが好適である。従って本発明の熱現像感光材料における支持体としては、プラスチックフィルム(例えばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、セルローストリアセテートフィルムまたはポリカーボネートフィルム等)が好ましく、本発明においては2軸延伸したポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。
本発明においては帯電性を改良するために、金属酸化物及び/または導電性ポリマーなどの導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらはいずれの層に含有させてもよいが、好ましくは下引層、バッキング層、感光層と下引の間の層などに含まれる。本発明においては米国特許第5,244,773号明細書カラム14〜20に記載された導電性化合物が好ましく用いられる。
本発明の熱現像感光材料は、支持体上に少なくとも1層の感光層を有している。支持体の上に感光層のみを形成してもよいが、感光層の上に少なくとも一層の非感光層を形成するのが好ましい。例えば、感光層の上には保護層が、感光層を保護する目的で、又支持体の反対の面には感光材料間の、或いは感光材料ロールにおいてくっつきを防止する為に、バックコート層が設けられるのが好ましい。これらの保護層やバックコート層に用いるバインダーとしては熱現像層よりもガラス転移点が高く、擦り傷や、変形の生じにくいポリマー、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のポリマーが、前記のバインダーのなかから選ばれる。なお、階調調整等のために、本発明では、感光層が2層以上からなることが好ましい、例えば、感光層を支持体の一方の側に2層以上設けても、あるいは支持体の両側に1層以上設置してもよい。
本発明の熱現像感光材料においては、感光層を透過する光の量または波長分布を制御するために感光層と同じ側または反対の側にフィルター層を形成するか、感光層に染料または顔料を含有させることが好ましい。
用いられる染料としては、感光材料の感色性に応じて種々の波長領域の光を吸収する公知の化合物が使用できる。
例えば、本発明の熱現像感光材料を赤外光による画像記録材料とする場合には、特願平11−255557号公報に開示されているようなチオピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本明細書ではチオピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)及びピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本明細書ではピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)、又スクアリリウム染料に類似したチオピリリウムクロコニウム染料、またはピリリウムクロコニウム染料を使用することが好ましい。
尚、スクアリリウム核を有する化合物とは、分子構造中に1−シクロブテン−2−ヒドロキシ−4−オンを有する化合物であり、クロコニウム核を有する化合物とは分子構造中に1−シクロペンテン−2−ヒドロキシ−4,5−ジオンを有する化合物である。ここで、ヒドロキシル基は解離していてもよい。以下本明細書ではこれらの色素を便宜的に一括してスクアリリウム染料とよぶ。
なお、染料としては特開平8−201959号公報の化合物も好ましい。
〔層構成及び塗布条件等〕
本発明の熱現像感光材料は、上述した各構成層の素材を溶媒に溶解または分散させた塗布液を作り、それら塗布液を前記支持体上に塗布し加熱処理を行って形成される。感光層形成用の塗布液は30質量%以上の水を含有することが好ましく、更に好ましくは50質量%以上であり、特に上限はないが環境負荷の関係から溶媒量は少ない方が好ましく、総ての溶媒が水であることが好ましい。本発明においてはこれらの塗布液を複数同時に重層塗布した後、加熱処理を行って形成されることが好ましい。ここで「複数同時に重層塗布」とは、各構成層(例えば感光層、保護層)の塗布液を作製し、これを支持体へ塗布する際に各層個別に塗布、乾燥の繰り返しをするのではなく、同時に重層塗布を行い乾燥する工程も同時に行える状態で各構成層を形成しうることを意味する。即ち、下層中の全溶剤の残存量が70質量%以下となる前に、上層を設けることである。
各構成層を複数同時に重層塗布する方法には特に制限はなく、例えばバーコーター法、カーテンコート法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法、エクストリュージョン塗布法などの公知の方法を用いることができる。これらのうちより好ましくはエクストリュージョン塗布法と呼ばれる前計量タイプの塗布方式である。該エクストリュージョン塗布法はスライド塗布方式のようにスライド面での揮発がないため、精密塗布、有機溶剤塗布に適している。この塗布方法は感光層を有する側について述べたが、バックコート層を設ける際、下引とともに塗布する場合についても同様である。
本発明では、銀塗布量が、0.5g/m2以上、2.0g/m2以下であることが好ましい、更には1.0g/m2以上、1.5g/m2以下が好ましい。
また、本発明では、ハロゲン化銀粒子乳剤において、粒径0.030μm以上、0.055μm以下のハロゲン化銀粒子の銀換算含有量が、銀塗布量が0.5g/m2以上1.5g/m2以下の範囲で、3%以上、15%以下であることが好ましい。
当該塗布銀量の内、ハロゲン化銀に由来するものは全銀量に対して2〜18%を占めることが好ましい、更には3〜15%がより好ましい。
また本発明において、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子の塗布密度は1×1014個/m2以上、1×1018個/m2以下が好ましい。更には、1×1015個/m2以上、1×1017個/m2以下が好ましい。
更に本発明の脂肪族カルボン酸銀塩の塗布密度は、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子1個当たり、10-17g以上、10-15g以下、更には10-16g以上、10-14g以下が好ましい。
上記のような範囲内の条件において塗布した場合には、一定塗布銀量当たりの銀画像の光学的最高濃度、即ち、銀被覆量(カバーリング・パワー)及び銀画像の色調等の観点から好ましい結果が得られる。
〔画像記録方法〕
本発明において、現像条件は使用する機器、装置、或いは手段に依存して変化するが、典型的には適した高温に於いて像様に露光した熱現像感光材料を加熱することを伴う。露光後に得られた潜像は、中程度の高温(例えば、約80〜200℃、好ましくは約100〜200℃)で十分な時間(一般には約1秒〜約2分間)、熱現像感光材料を加熱することにより現像することができる。
加熱温度が80℃以下では短時間に十分な画像濃度が得られず、又200℃以上ではバインダーが溶融し、ローラーへの転写など、画像そのものだけでなく搬送性や、現像機等へも悪影響を及ぼす。加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により銀画像を生成する。この反応過程は、外部からの水等の処理液の一切の供給なしに進行する。
加熱する機器、装置、或いは手段はホットプレート、アイロン、ホットローラー、炭素または白色チタン等を用いた熱発生器として典型的な加熱手段で行ってよい。より好ましくは本発明に係わる保護層の設けられた熱現像感光材料は、保護層を有する側の面を加熱手段と接触させ加熱処理するのが、均一な加熱を行う上で、又熱効率、作業性の点などから好ましく、該面をヒートローラに接触させながら搬送し加熱処理して現像することが好ましい。
本発明の熱現像感光材料の露光は、当該感材に付与した感色性に対し適切な光源を用いることが望ましい。例えば、当該感材を赤外光に感じ得るものとした場合は、赤外光域ならば如何なる光源にも適用可能であるが、レーザーパワーがハイパワーである事や、感光材料を透明にできる等の点から、赤外半導体レーザー(780nm、820nm)がより好ましく用いられる。
本発明において、露光はレーザー走査露光により行うことが好ましいが、その露光方法には種々の方法が採用できる。例えば、第1の好ましい方法として、感光材料の露光面と走査レーザー光のなす角が実質的に垂直になることがないレーザー走査露光機を用いる方法が挙げられる。
ここで、「実質的に垂直になることがない」とはレーザー走査中に最も垂直に近い角度として好ましくは55度以上88度以下、より好ましくは60度以上86度以下、更に好ましくは65度以上84度以下、最も好ましくは70度以上82度以下であることをいう。
レーザー光が、熱現像感光材料に走査されるときの露光面でのビームスポット直径は、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。これは、スポット径が小さい方がレーザー入射角度の垂直からのずらし角度を減らせる点で好ましい。なお、ビームスポット直径の下限は10μmである。このようなレーザー走査露光を行うことにより干渉縞様のムラの発生等のような反射光に係る画質劣化を減じることができる。
また、第2の方法として、本発明における露光は縦マルチである走査レーザー光を発するレーザー走査露光機を用いて行うことも好ましい。縦単一モードの走査レーザー光に比べて干渉縞様のムラの発生等の画質劣化が減少する。
縦マルチ化するには、合波による、戻り光を利用する、高周波重畳をかける、などの方法がよい。なお、縦マルチとは、露光波長が単一でないことを意味し、通常露光波長の分布が5nm以上、好ましくは10nm以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に制限はないが、通常60nm程度である。
更に、第3の方法としては、2本以上のレーザーを用いて、走査露光により画像を形成することも好ましい。
このような複数本のレーザーを利用した画像記録方法としては、高解像度化、高速化の要求から1回の走査で複数ラインずつ画像を書き込むレーザープリンタやデジタル複写機の画像書込み手段で使用されている技術であり、例えば特開昭60−166916号公報等により知られている。これは、光源ユニットから放射されたレーザー光をポリゴンミラーで偏向走査し、fθレンズ等を介して感光体上に結像する方法であり、これはレーザーイメージャなどと原理的に同じレーザー走査光学装置である。
レーザープリンタやデジタル複写機の画像書込み手段における感光体上へのレーザー光の結像は、1回の走査で複数ラインずつ画像を書き込むという用途から、一つのレーザー光の結像位置から1ライン分ずらして次のレーザー光が結像されている。具体的には、二つの光ビームは互いに副走査方向に像面上で数10μmオーダーの間隔で近接しており、印字密度が400dpi(本発明においては、1インチ即ち、2.54cm当たりに1ドットの印字密度のことをdpi(ドットパーインチ)と定義する)で2ビームの副走査方向ピッチは63.5μm、600dpiで42.3μmである。このような、副走査方向に解像度分ずらした方法とは異なり、本発明では同一の場所に2本以上のレーザーを入射角を変え露光面に集光させ画像形成することを特徴としている。この際の、通常の1本のレーザー(波長λ[nm])で書き込む場合の露光面での露光エネルギーがEである場合に、露光に使用するN本のレーザーが同一波長(波長λ[nm])、同一露光エネルギー(En)とした場合、0.9×E≦En×N≦1.1×Eの範囲にするのが好ましい。このようにすることにより、露光面ではエネルギーは確保されるが、それぞれのレーザー光の画像形成層への反射は、レーザーの露光エネルギーが低いため低減され、ひいては干渉縞の発生が抑えられる。
なお、上述では複数本のレーザーの波長をλと同一のものを使用したが、波長の異なるものを用いても良い。この場合、λ[nm]に対して(λ−30)<λ1、λ2、・・・・・λn≦(λ+30)の範囲にするのが好ましい。
なお、上述した第1、第2及び第3の態様の画像記録方法において、走査露光に用いるレーザーとしては、一般によく知られている、ルビーレーザー、YAGレーザー、ガラスレーザー等の固体レーザー;He−Neレーザー、Arイオンレーザー、Krイオンレーザー、CO2レーザー、COレーザー、He−Cdレーザー、N2レーザー、エキシマーレーザー等の気体レーザー;InGaPレーザー、AlGaAsレーザー、GaAsPレーザー、InGaAsレーザー、InAsPレーザー、CdSnP2レーザー、GaSbレーザー等の半導体レーザー;化学レーザー、色素レーザー等を用途に併せて適時選択して使用できるが、これらの中でもメンテナンスや光源の大きさの問題から、波長が600〜1200nmの半導体レーザーを用いるのが好ましい。なお、レーザー・イメージャやレーザー・イメージセッタで使用されるレーザーにおいて、光熱写真材料に走査されるときの該材料露光面でのビームスポット径は、一般に短軸径として5〜75μm、長軸径として5〜100μmの範囲であり、レーザー光走査速度は光熱写真材料固有のレーザー発振波長における感度とレーザーパワーによって、感光材料毎に最適な値に設定することができる。
又、本発明においては熱現像感光材料が、現像時において、溶剤を5〜1000mg/m2の範囲で含有していることが好ましい。好ましくは、100〜500mgであるように調製することが好ましく、それにより高感度、低かぶり、最高濃度の高い感光材料となる。
本発明において溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、イソフォロン等のケトン類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール類、イソプロピルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、塩化メチレン、ジクロルベンゼン等の塩化物類、炭化水素類等が挙げられる。その他水、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、トルイジン、テトラヒドロフラン、酢酸等が挙げられる。但しこれらに限定されるものではない。又、これらの溶剤は、単独、または、数種類組み合わせる事ができる。
尚、感光材料中の上記溶剤の含有量は塗布工程後の乾燥工程等における温度条件等の条件変化によって調整できる。又、当該溶剤の含有量は含有させた溶剤を検出するために適した条件下におけるガスクロマトグラフィーで測定できる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〈評価方法〉
(動摩擦係数)
塗布後画像形成層側の面とバック層側の面が接触するようにして7日間放置した試料を必要なサイズに切り出し、25℃、55%RHの雰囲気下に4時間調湿した。新東科学(株)製表面性測定機HEIDON−14を用いて、バック面の画像形成層側の面との動摩擦係数を測定した。
(ヘイズ)
東京電色(株)製、濁度計ModelT−2600DAを用いて測定し、%で示した。ヘイズが10を超えるものは失透性が悪い試料とした。
(塗布性)
調製したバック層用塗布液を23℃において、50時間静置した後、1時間攪拌した。容器底部に沈降したマット剤がないことを確認した上で、塗布液をスライドガラス状にウェット膜厚60μmでアプリケータを用いて塗布し、マット剤の状態を観察した。凝集物があるものは連続塗布の際に塗布故障の原因になる可能性があるため、不良とした。
(搬送性試験)
現像処理を同一サイズで連続して100枚行った。その時に、搬送不良を発生した枚数をカウントした。100枚のうち、1枚でも搬送不良が発生するものは問題のある試料とした。
[下引き済み支持体の作製]
青色染料濃度0.135の二軸延伸済みポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に10W/m2・minの条件でコロナ放電処理を施し、一方の面に下記バック面側下引き下層用塗布液を乾燥膜厚0.06μmになるように塗設し、140℃で乾燥し、続いて下記バック面側下引き上層用塗布液を乾燥膜厚0.2μmになるように塗設した後140℃で乾燥した。また反対側の面には下記画像形成面側下引き下層用塗布液を乾燥膜厚0.25μmになるように塗設し、続いて下記画像形成面側下引き上層用塗布液を乾燥膜厚0.06μmになるように塗設した後140℃で乾燥した。これらを140℃で2分間熱処理し、下引き済み試料を作製した。
《バック面側下引き下層用塗布液》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート
(20/20/40)の共重合ポリマーラテックス(固形分30%) 16.0g
スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシメチルメタクリレート
(25/45/30)の共重合ポリマーラテックス(固形分30%) 4.0g
SnO2ゾル(固形分10%) 91g
(特開平10−059720号公報記載の方法で合成)
界面活性剤A 0.5g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
《バック面側下引き上層用塗布液》
変性水性ポリエステルA(固形分18%) 215.0g
界面活性剤A 0.4g
真球状シリカマット剤 シーホスター KE−P50(日本触媒(株)製) 0.3g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
《変性水性ポリエステルAの合成》
重合用反応容器に、テレフタル酸ジメチル35.4質量部、イソフタル酸ジメチル33.63質量部、5−スルホ−イソフタル酸ジメチルナトリウム塩17.92質量部、エチレングリコール62質量部、酢酸カルシウム一水塩0.065質量部、酢酸マンガン四水塩0.022質量部を投入し、窒素気流下において、170〜220℃でメタノールを留去しながらエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.04質量部、重縮合触媒とし三酸化アンチモン0.04質量部及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸6.8質量部を加え、220〜235℃の反応温度で、ほぼ理論量の水を留去し、エステル化を行った。その後、更に反応系内を約1時間かけて減圧、昇温し最終的に280℃、133Pa以下で約1時間重縮合を行い、変性水性ポリエステルAの前駆体を得た。前駆体の固有粘度は0.33であった。
攪拌翼、環流冷却管、温度計を付した2Lの三つ口フラスコに、純水850mlを入れ、攪拌翼を回転させながら、150gの上記前駆体を徐々に添加した。室温でこのまま30分間攪拌した後、1.5時間かけて内温が98℃になるように加熱し、この温度で3時間加熱溶解した。加熱終了後、1時間かけて室温まで冷却し、一夜放置して、固形分濃度が15質量%の前駆体の溶液を調製した。
攪拌翼、環流冷却管、温度計、滴下ロートを付した3Lの四つ口フラスコに、上記前駆体溶液1900mlを入れ、攪拌翼を回転させながら、内温度を80℃まで加熱した。この中に、過酸化アンモニウムの24%水溶液を6.52ml加え、単量体混合液(メタクリル酸グリシジル28.5g、アクリル酸エチル21.4g、メタクリル酸メチル21.4g)を30分間かけて滴下し、更に3時間反応を続けた。その後、30℃以下まで冷却し、濾過して、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルAの溶液を調製した。
《画像形成面側下引き下層用塗布液》
スチレン/アセトアセトキシエチルメタクリレート/グリシジルメタクリレート/n−ブチルアクリレート
(40/40/20/0.5)の共重合ポリマーラテックス(固形分30%) 70g
界面活性剤A 0.3g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
《画像形成面側下引き上層用塗布液》
変性水性ポリエステルB(固形分18%) 80.0g
界面活性剤A 0.4g
真球状シリカマット剤 シーホスター KE−P50(日本触媒(株)製) 0.3g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、固形分濃度0.5%の塗布液とした。
《変性水性ポリエステルBの合成》
前駆体溶液を1800ml、単量体混合液組成をスチレン31g、アセトアセトキシエチルメタクリレート31g、グリシジルメタクリレート61g、n−ブチルアクリレート7.6gとした以外、編成水性ポリエステルAと同様にして変性水性ポリエステルBの溶液を作製した。
Figure 2006030850
[画像形成層用ハロゲン化銀含有有機銀乳剤の作製]
(ハロゲン化銀乳剤Aの調製)
〈溶液A1〉
フェニルカルバモイル化ゼラチン 66.2g
HO(CH2CH2O)n−(CH(CH3)CH2O)17−(CH2CH2O)m
(m+n=5〜7)(10%メタノール水溶液) 10ml
臭化カリウム 0.32g
水で5429mlに仕上げる
〈溶液B1〉
0.67mol/L硝酸銀水溶液 2635ml
〈溶液C1〉
臭化カリウム 51.55g
沃化カリウム 1.47g
水で660mlに仕上げる
〈溶液D1〉
臭化カリウム 154.9g
沃化カリウム 4.41g
六シアン化鉄(II)カリウム(0.5%溶液) 15ml
六塩化イリジウム酸(III)カリウム(1%溶液) 0.93ml
水で1982mlに仕上げる
〈溶液E1〉
0.4mol/L臭化カリウム水溶液 下記銀電位制御量
〈溶液F1〉
水酸化カリウム 0.71g
水で20mlに仕上げる
〈溶液G1〉
56%酢酸水溶液 10.0ml
〈溶液H1〉
無水炭酸ナトリウム 1.16g
水で107mlに仕上げる
特公昭58−58288号公報に示される混合攪拌機を用いて、溶液A1に溶液B1の1/4量及び溶液C1の全量を温度35℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により4分45秒を要して添加し、核形成を行った。1分後、溶液F1の全量を添加した。この間pAgの調整を溶液E1を用いて適宜行った。6分間経過後、溶液B1の3/4量及び溶液D1の全量を、温度35℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により14分15秒かけて添加した。5分間攪拌した後、30℃に降温し、溶液G1を全量添加し、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分2000mlを残して上澄み液を取り除き、水を10リットル加え、攪拌後、再度ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除き、更に水を10リットル加え、攪拌後、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除いた後、溶液H1を加え、60℃に昇温し、更に100分攪拌した。最後にpHが5.8になるように調整し、銀量1モル当たり1161gになるように水を添加し、感光性ハロゲン化銀乳剤Aを得た。
この乳剤は、平均粒子サイズ0.043μm、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった。
(粉末有機銀塩Aの調製)
4720mlの純水にベヘン酸130.8g、アラキジン酸67.7g、ステアリン酸43.6g、パルミチン酸2.3gを80℃で溶解した。次に1.5モル/Lの水酸化カリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して脂肪酸カリウム溶液を得た。上記の脂肪酸カリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、45.3gの上記の感光性ハロゲン化銀乳剤Aと純水450mlを添加し5分間攪拌した。
次に1モル/Lの硝酸銀溶液702.6mlを2分間かけて添加し、10分間攪拌し有機銀塩分散物を得た。その後、得られた有機銀塩分散物を水洗容器に移し、脱イオン水を加えて攪拌後、静置させて有機銀塩分散物を浮上分離させ、下方の水溶性塩類を除去した。その後、排水の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施した後、得られたケーキ状の有機銀塩を、気流式乾燥機フラッシュジェットドライヤー(株式会社セイシン企業製)を用いて、窒素ガス雰囲気及び乾燥機入り口熱風温度の運転条件により含水率が0.1%になるまで乾燥して有機銀塩の乾燥済み粉末有機銀塩Aを得た。なお、有機銀塩組成物の含水率測定には赤外線水分計を使用した。
[有機銀塩分散液Aの作製]
ポリビニルブチラール(積水化学工業(株)製エスレックB・BL−SHP)49gをメチルエチルケトン1300gに溶解し、VMA−GETZMANN社製デゾルバーDISPERMAT CA−40M型にて攪拌しながら粉末有機銀塩A500gを徐々に添加して十分に混合することにより予備分散液を調製した。粉末有機銀塩Aを全量添加してからは、1500rpmで15分攪拌を行った。この予備分散液をポンプを用いてミル内滞留時間が1.2分間となるように、0.5mm径のジルコニアビーズ(東レ(株)製トレセラム)を内容積の80%充填したメディア型分散機DISPERMAT SL−C12EX型(VMA−GETZMANN社製)に供給し、ミル周速9m/sにて分散を行なうことにより有機銀塩分散液Aを調製した。得られた有機銀塩分散液Aの固形分濃度は約27%であった。
[画像形成層、表面保護層、バック層の塗設]
前記下引き済み試料の画像形成層面側下引きの上に、総銀量が1.6g/m2になるように画像形成層を、その上にウェット付量が23g/m2になるように表面保護層を重層塗布した。続いて反対側の画像形成層面側下引きの上にウェット付量が4.2g/m2になるようにバック層を塗布した。なお、乾燥は各々60℃、15分間行った。両面塗布された試料を搬送しながら79℃で10分熱処理をして熱現像感光材料を得た。
《画像形成層塗布液の調整》
前記有機銀塩分散液Aを1670gに同量のメチルエチルケトンを加え撹拌しながら18℃に保温し、ビス(ジメチルアセトアミド)ジブロモブロメート(11%メタノール溶液)12.6gを添加して1時間撹拌した。続いて、臭化カルシウム(11%メタノール溶液)20.1gを添加して30分間撹拌した。さらに、安定剤液および赤外増感色素液を添加して1時間撹拌し、その後、温度を13℃まで降温して更に30分間撹拌した。13℃に保温したままポリビニルブチラール樹脂粉末(積水化学工業(株)製エスレックB・BL−5)416gを添加して溶解させた。溶解を確認した後、テトラクロロフタル酸19.8g(13%メチルエチルケトン溶液)を添加し、さらに撹拌を続けながら以下の添加物を15分間隔で添加し、画像形成層塗布液とした。
フタラジン 12.4g
DesmodurN3300(モーベイ社、脂肪族イソシアネート) 17.6g
かぶり防止剤液 下記参照
現像剤液 下記参照
〈赤外増感色素液の調製〉
赤外増感色素−1を300mg、赤外増感色素−2を400mg、5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾール130mg、2−クロロ−安息香酸21.5g、増感色素溶解剤2.5gをメチルエチルケトン135gに溶解し、赤外増感色素液を調製した。
〈安定剤液の調製〉
安定剤0.9g、酢酸カリウム0.3gをメタノール14gに溶解し安定剤液を調製した。
〈現像剤液の調製〉
現像剤を120g、4−メチルフタル酸9gをメチルエチルケトンに溶解し、1200gに仕上げて現像剤液とした。
〈かぶり防止剤液の調製〉
トリブロモメチルスルホニルピリジン11.6gをメチルエチルケトンに溶解し、180gに仕上げてかぶり防止剤液とした。
Figure 2006030850
《表面保護層塗布液の調整》
メチルエチルケトン 1056g
セルロースアセテートプロピオネート
(イーストマンケミカル社製、CAP141−20) 148g
ポリメチルメタクリレート
(ロームアンドハース社製、パラロイドA21) 6g
マット分散液
(分散度10%の平均粒子サイズ4μmシリカ、固形分濃度1.7%) 170g
CH2=CHSO2CH2CH(OH)CH2SO2CH=CH2 3.6g
ベンゾイミダゾール 2g
917O(CH2CH2O)23917 5.4g
LiO3S−CF2CF2CF2−SO3Li 0.12g
《バック層》
メチルエチルケトン 1350g
セルロースアセテートプロピオネート
(イーストマンケミカル社製、CAP482−20) 121g
染料−A 0.23g
染料−B 0.62g
フッ素系アクリル共重合体
(ダイキン工業(株)、オプトフロンFM450) 1.21g
非結晶性飽和共重合ポリエステル
(東洋紡績(株)製、バイロン240P) 18.1g
マット剤分散液 下記参照
917O(CH2CH2O)23917 5.21g
LiO3S−CF2CF2CF2−SO3Li 0.81g
高分子分散剤2gを溶解したMEK90g中に、表1記載の本発明の有機固体潤滑剤粒子を2g添加した。このマット剤液を超音波分散機(アレックス社(ALEX Corporation)製、商品名:ウルトラソニック・ジェネレーター(Ultrasonic Generator)、周波数25kHz、600W)にて30分間分散を行い、マット分散液とした。
Figure 2006030850
Figure 2006030850
分散剤種;CAP セルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル社製、CAP482−20)、PVB ポリビニルブチラール(積水化学工業(株)製エスレックB・BL−SHP)、ポリエステル (東洋紡績(株)製、バイロン240P)
表1に示したように、本発明の効果を用いることにより、塗布性に影響を与えず、摩擦係数が低く、搬送性に問題のない熱現像感光材料を得ることができた。

Claims (6)

  1. 支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、還元剤を含有する感光層を有し、前記支持体上の最外層が平均粒径1μm〜30μmの有機固体潤滑剤粒子を含有する熱現像感光材料において、前記有機固体潤滑剤粒子が高分子分散剤を用いて分散されていることを特徴とする熱現像感光材料。
  2. 前記有機固体潤滑剤粒子の融点が、80℃以上350℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱現像感光材料。
  3. 前記有機固体潤滑剤粒子がポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリテトラフルオロエチレンの高分子化合物の微粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱現像感光材料。
  4. 前記有機固体潤滑剤粒子が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱現像感光材料。
    一般式(1)
    (R1p−X1−L−X2−(R2q
    〔式中R1、R2は各々炭素数6〜60の置換もしくは無置換アルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基であり、p又はqが2以上である場合、複数存在するR1およびR2は互いに同一でも相違していても良い。X1、X2は各々窒素原子を含む2価の連結基を示す。Lは置換もしくは無置換のp+q価のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、またはアリール基を示す。〕
  5. 前記有機固体潤滑剤粒子がフッ素系非イオン性活性剤とフッ素系アニオン活性剤を含有する層に含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱現像感光材料の製造方法において、有機固体潤滑剤粒子が高分子分散剤を用いて分散された分散液を塗布液中に混合することを特徴とする熱現像感光材料の製造方法。
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