JP2003065115A - エンジンの排気浄化装置及びそのコンピュータ・プログラム - Google Patents

エンジンの排気浄化装置及びそのコンピュータ・プログラム

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JP2003065115A
JP2003065115A JP2001252095A JP2001252095A JP2003065115A JP 2003065115 A JP2003065115 A JP 2003065115A JP 2001252095 A JP2001252095 A JP 2001252095A JP 2001252095 A JP2001252095 A JP 2001252095A JP 2003065115 A JP2003065115 A JP 2003065115A
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combustion
post
injection
fuel
main
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Tomoaki Saito
智明 齊藤
Akihiro Kobayashi
明宏 小林
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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    • Y02T10/40Engine management systems

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】NO吸収材22からのNO放出時、煤の発
生を抑制しつつNO吸収材22の温度を昇温でき、N
浄化率を向上できるエンジンの排気浄化装置を提供
する。 【解決手段】本発明の第1の構成によれば、NO吸収
材22の温度が低い時、NO吸収材22からのNO
放出非要求時であっても後燃料を噴射させるとともに、
該後燃焼の燃焼時期をNO放出要求時に対して、主燃
焼の略終了時期に近接するよう、後燃焼の燃焼時期を進
角するため、エンジンの燃焼室内に存在する炭素と酸素
とが混合された状態で、後噴射された後燃料が上記炭素
と共に燃焼するため、炭素の凝縮体からなる煤の排出量
が効果的に低減できる。また、排気ガス温度を昇温で
き、NO吸収材22の温度を昇温することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンの排気浄
化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、ディーゼルエンジンやガソリ
ンエンジンから排出されるNO(窒素酸化物)は、そ
のエンジンの排気通路に配置されたNO吸収材によっ
て還元浄化することが知られている。このNO吸収材
は、排気ガス中の酸素濃度が所定値(例えば、4%)以
上の酸素過剰雰囲気でNOを吸収し、酸素濃度の減少
に応じて吸収しているNOを放出するものである。ま
た、このNO吸収材は、NO吸収量が増えるとNO
吸収性能が低下するため、そうなる前にNOを放出
させるいわゆるリフレッシュが必要となる。例えば、N
吸収材に吸収されたNO吸収量が所定量以上にな
った時、エンジンに供給される空燃比を理論空燃比或い
は理論空燃比よりもリッチにすることによって、排気中
の酸素濃度を低下させてNOを放出させることが行わ
れている。
【0003】ところで、上記NO吸収材は、NO
吸収したり放出したりする作用がNO吸収材の温度特
性に依存することが知られており、例えば、NO浄化
率は、図13に示すように所定温度範囲内(例えば、2
50℃〜400℃)では十分に高いものの、温度が低い
NO吸収材の未暖機状態では、急速に低下するという
特性を有する。特に、ディーゼルエンジンではガソリン
エンジンに比べて排気温度が低くなりやすく、エンジン
の運転状態によってはNO吸収材の温度が上記所定温
度範囲よりも低くなってしまい、NOの吸収、放出作
用を十分に発揮させることができないという問題があ
る。
【0004】そこで、特開2001−055950号公
報では、上述のようなNO吸収材をエンジンの排気通
路に設け、NO吸収材からのNO放出時、圧縮行程
付近で主燃料噴射を行うとともに、圧縮行程上死点後1
0〜20°CA(クランク角)で後噴射を行なわせるこ
とが開示されている。この先行技術によれば、NO
化触媒からNO放出時、後噴射の後焼えによって排気
ガス温度を高めることができるため、NO吸収材の温
度を速やかに高めることができるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記先
行技術によれば、NO吸収材の昇温は行えるものの、
後噴射の噴射時期が適切に設定されていないとエンジン
の燃焼室で発生した炭素粒子の凝縮体からなる煤が大気
中に排出されるのを効果的に抑制することができないと
いう問題があった。
【0006】本発明は、以上のような問題に勘案してな
されたもので、その課題は、NO吸収剤からのNO
放出時、煤の発生を抑制しつつNO吸収材を昇温で
き、NO浄化率を高めることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明にあってはその解決手法として次のようにし
てある。すなわち、本出願人は、後燃焼時期を主燃焼の
略終了直後となるように設定することによって、煤の排
出を効果的に抑制できることを見出し、提案している。
(特願2000−352922号) また、本出願人は、上述の後燃焼時期を主燃焼の略終了
直後となるように設定することによって、排気ガス温度
が上昇することをも見出した。本発明では、この後噴射
時期制御を調整することによって、NO吸収材の昇温
と煤の排出低減との両立を図ろうとするものである。具
体的には、まず、本発明の第1の構成では、燃焼室内に
直接燃料を噴射する燃料噴射弁と、排気通路に配置さ
れ、酸素過剰雰囲気でNOを吸収し酸素濃度の低下に
伴いNOを放出するNO吸収材と、圧縮行程上死点
付近までの所定の時期に上記燃料噴射弁により主燃料を
噴射し、該主噴射に基づいて少なくとも膨張行程前半に
おいて要求トルクを発生する主燃焼を行う主燃焼手段
と、上記NO吸収材からのNO放出要求時、上記主
燃焼の略終了直後に燃焼が開始されるよう、上記主燃料
の噴射後、膨張行程前半の所定の時期に上記燃料噴射弁
により後燃料を噴射する後燃焼手段とを備えたものであ
って、上記NO吸収材の温度を検出する温度検出手段
と、該温度検出手段により検出された温度が上記所定温
度よりも低い時、上記NO 吸収材からのNO放出非
要求時であっても上記後燃焼手段により後燃料を噴射さ
せるとともに、該後燃焼の燃焼時期がNO放出要求時
に対して上記主燃焼の略終了時期に近接するよう、後燃
料の噴射時期を進角させる後燃焼時期補正手段とを、備
えるようにしてある。本発明の第1の構成によれば、N
吸収材からのNO放出要求時、主燃焼の略終了時
期を基準として後燃焼時期が設定されるため、エンジン
の燃焼室内に存在する炭素が周辺の酸素とよく混合され
た状態で、後噴射された後燃料が上記炭素と共に燃焼す
るため、炭素の凝縮体からなる煤の排出量が効果的に低
減できる。また、NO吸収材の温度が低い時は、NO
放出非要求時であっても後燃料を噴射させるととも
に、その後燃焼の燃焼時期が主燃焼の略終了時期に近接
するよう、後燃料の噴射時期を進角させることによっ
て、排気ガス温度を昇温することができるため、NO
吸収材の温度を昇温することができる。ここで、後燃料
の噴射時期を進角させることによって排気ガス温度が上
昇するのは、上述の煤燃焼によって、熱発生率が増大す
るためである。
【0008】また、本発明の第2の構成では、上記後燃
焼手段は、上記後燃焼の燃焼時期を、上記主燃焼の略終
了時期から5〜20°遅角させ、上記後燃焼時期補正手
段は、上記後燃焼の燃焼時期を、上記主燃焼の略終了時
期に同期させる、ように構成されている。本発明の第2
の構成によれば、NO吸収材からのNO放出要求時
は、後燃焼の燃焼時期を、主燃焼の略終了時期から5〜
20°遅角させることによって、後燃料が十分に後燃焼
せず、燃焼室から排気通路に排出されるHC量が多くな
るため、NO吸収材に対する還元剤量を増加でき、N
の還元浄化を高めることができる。また、NO
収材の温度が低い時は、後燃焼の燃焼時期を、主燃焼の
略終了時期に同期させることによって、排気ガス温度を
最も昇温することができ、NO 吸収材の昇温を急速に
行うことができる。
【0009】また、本発明の第3の構成では、上記エン
ジンがディーゼルエンジンで、上記主燃焼手段は主噴射
を圧縮上死点付近で複数回に分けて噴射する多段噴射と
され、かつNO放出非要求時はNO放出要求時に対
して、上記多段噴射回数を増加或いは噴射休止間隔を増
加させるように構成されている。ディーゼルエンジンに
おいては、主噴射を多段噴射にするとともに、噴射回
数、噴射休止間隔を適切に設定することによって排気ガ
ス温度が上昇することが知られている。(例えば、特開
2001−055950号公報参照)例えば、噴射回数
については、3分割噴射の時は2分割噴射に対して排気
ガス温度が高くなり、噴射休止間隔については、噴射休
止間隔が長い時は短い時に対して排気ガス温度が高くな
る。従って、本発明の第3の構成によれば、NO放出
非要求時はNO放出要求時に対して、主噴射の噴射回
数を増加させる、或いは噴射休止間隔を増加させること
によって、後噴射による排気ガス温度昇温に加え、主噴
射による排気ガス温度昇温がなされるため、排気ガス温
度の昇温が更に向上される。
【0010】また、本発明の第4の構成では、コンピュ
ータを含むハードウェア資源に組込まれるコンピュータ
・プログラムが提供され、圧縮行程上死点付近までの所
定の時期に燃料噴射弁により主燃料を噴射し、該主噴射
に基づいて少なくとも膨張行程前半において要求トルク
を発生する主燃焼を行う主燃焼手順と、NO吸収材か
らのNO放出要求時、上記主燃焼の略終了直後に燃焼
が開始されるよう、上記主燃料の噴射後、膨張行程前半
の所定の時期に燃料噴射弁により後燃料を噴射する後燃
焼手順と、NO吸収材の温度を検出する温度検出手順
と、該温度検出手順により検出された温度が上記所定温
度よりも低い時、上記NO 吸収材からのNO放出非
要求時であっても後燃料を噴射させるとともに、該後燃
焼の燃焼時期をNO放出要求時に対して上記主燃焼の
略終了時期に近接するよう、後燃料の噴射時期を進角さ
せる後燃焼時期補正手順とを、備えるようにしてある。
本発明の第4の構成によれば、NO吸収材からのNO
放出要求時、主燃焼の略終了時期を基準として後燃焼
時期が設定されるため、エンジンの燃焼室内に存在する
炭素と酸素とが混合された状態で、後噴射された後燃料
が上記炭素と共に燃焼するため、炭素の凝縮体からなる
煤の排出量が効果的に低減できる。また、NO吸収材
の温度が低い時は、NO放出非要求時であっても後燃
料を噴射させ、その後燃焼の燃焼時期を主燃焼の略終了
時期に近接するよう、後燃料の噴射時期を進角させるこ
とによって、排気ガス温度を昇温することができるた
め、NO吸収材の温度を昇温することができる。ここ
で、後燃料の噴射時期を進角させることによって排気ガ
ス温度が上昇するのは、上述の煤燃焼によって、熱発生
率が増大するためである。
【0011】
【発明の効果】本発明によれば、NO吸収材からのN
放出時、煤の発生を抑制しつつNO吸収材の温度
を昇温でき、NO浄化率を向上できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。
【0013】図1は本発明の実施形態に係る自動車用デ
ィーゼルエンジンの全体図である。図1において、1は
エンジン本体で、複数の気筒2(図には一つの気筒のみ
を示す)を有し、各気筒2内にはピストン3が往復動可
能に嵌挿され、このピストン3によって各気筒2内に燃
焼室4が区画されている。そして、各気筒2の燃焼室4
には、上面略中央には燃料噴射弁5が配設され、それら
燃料噴射弁5から燃料が所定のタイミングで各気筒2の
燃焼室4内に直接噴射されるようになっている。また、
エンジン本体1のウォータージャケット(図示せず)に
臨む位置に、エンジンの冷却水温度を検出する水温セン
サ18が設けられている。
【0014】上記燃料噴射弁5は高圧の燃料を蓄える共
通のコモンレール(畜圧室)6に接続され、そのコモン
レール6には内部の燃圧を(コモンレール圧)を検出す
る圧力センサ6aが配設されるとともに、クランク軸7
により駆動される高圧供給ポンプ8が接続されている。
この高圧供給ポンプ8は、燃料の供給圧力を制御するこ
とにより、上記圧力センサ6aにより検出されたコモン
レール6内の燃圧を、例えば、エンジンのアイドル運転
時に約20MPa以上に保持し、それ以外の運転時には
50MPa以上に保持するように作動する。
【0015】また、クランク軸7の回転角度を検出する
クランク角センサ9が設けられている。このクランク角
センサ9は、クランク軸7の端部に設けた被検出用プレ
ート(図示省略)と、その外周に相対向するように配置
された電磁ピックアップとからなり、この電磁ピックア
ップが被検出用プレートの外周部全周に所定角度おきに
形成された突起部の通過に対応してパルス信号を出力す
るようになっている。
【0016】上記エンジン本体1に接続された吸気通路
10の下流部には、図示を省略したサージタンクを介し
て各気筒2毎の分岐部に分岐し、それらの分岐部がそれ
ぞれ吸気ポートを介して各気筒2の燃焼室4に接続され
ている。また、吸気通路10には各気筒2に供給される
吸気圧力を検出する吸気圧センサ10aが設けられてい
る。
【0017】上記吸気通路10には、その上流側から下
流側に向かって順に、エンジン本体1に吸入される吸気
流量を検出するホットフィルム式エアフローセンサ11
と、後述のタービン21により駆動される吸気を圧縮す
るブロア12と、このブロア12により圧縮した吸気を
冷却するインタークーラ13と、吸気通路10の断面積
を絞る吸気絞り弁14とがそれぞれ設けられている。
【0018】上記吸気絞り弁14は、全閉状態でも吸気
が流通可能なように切り欠き部が設けられたバタフライ
バルブからなり、後述のEGR弁24と同様、ダイヤフ
ラム15に作用する負圧の大きさが負圧制御用の電磁弁
16により調節されることで、弁の開度が調整されるよ
うになっている。また、上記吸気絞り弁14にはその開
度を検出するセンサ(図示省略)が設けられている。
【0019】また、エンジン本体1に接続された排気通
路20の上流部は、各気筒2毎の分岐部に分岐し、それ
らの分岐部がそれぞれ排気ポートを介して各気筒2の燃
焼室4に接続されている。そして、排気通路20には、
その上流側から下流側に向かって順に、排気流により回
転されるタービン21と、排気ガス中の酸素濃度が所定
値(例えば、4%)以上の酸素過剰雰囲気でNOを吸
収し、酸素濃度の減少に応じて吸収しているNOを放
出するNO吸収材22と、このNO吸収材22付近
の排気ガス温度を検出する温度センサ19とが配設され
ている。尚、この温度センサ19に基づいてNO吸収
材22の温度を推定する。
【0020】上記NO吸収材22は、排気の流れ方向
に沿って互いに平行に延びる多数の貫通孔を有するハニ
カム構造に形成されたコージェライト製担体を備え、そ
の各貫通孔壁面に触媒層を2層に形成したものである。
具体的には、内側触媒層には白金等の貴金属とNO
収材であるバリウムとが、多孔質材料であるアルミナや
セリアをサポート材として担持しており、一方、外側触
媒層には白金、ロジウム及びバリウムとが多孔質材料で
あるゼオライトをサポート材として担持している。この
NO吸収材22は、排気中の酸素濃度が高い時、即ち
燃焼室4内の混合気の空燃比がリーンな状態な時にNO
を吸収する一方、燃焼室4内の混合気の空燃比が理論
空燃比付近か又はそれよりもリッチな状態になって排気
中の酸素濃度が低下すると、吸収していたNOを放出
して還元浄化する吸収還元タイプである。ここで、バリ
ウムによるNOの吸収及び放出作用は温度状態に依存
し、約250℃〜400℃の範囲ではNO浄化率が高
くなるものの、それよりも高くて、低くてもNO浄化
率は低下する。
【0021】また、吸気通路10に配設された上記ブロ
ア12と、排気通路20に配設された上記タービン21
とで、ターボ過給機25が構成されている。このターボ
過給機25は、排気通路20のノズル断面積が変化する
構成のバリアブルジオメトリーターボ(VGT)からな
るターボ過給機で、そのノズル断面積を変化させるため
のダイヤフラム式アクチュエータ30と、このダイヤフ
ラム式アクチュエータ30の負圧を制御するための電磁
弁31とが設けられている。
【0022】上記排気通路20には、排気ガスの一部を
吸気に還流させる排気還流通路(以下EGR通路とい
う)23が、タービン21の上流側において接続されて
いる。そして、そのEGR通路23は、下流端が吸気絞
り弁14よりも下流側の吸気通路10に接続されてい
る。また、そのEGR通路23には下流側に、弁開度が
調節可能に構成された負圧作動式の排気還流量調節弁
(以下EGR弁という)24が配置されている。
【0023】上記EGR弁24は、弁本体が図示を省略
したスプリングによって閉方向に付勢されるとともに、
ダイヤフラム式アクチュエータ24aにより開方向に駆
動されることにより、EGR通路23の開度をリニアに
調整するように構成されている。すなわち、上記ダイヤ
フラム式アクチュエータ24aには、負圧通路27が接
続されるとともに、この負圧通路27が負圧制御用の電
磁弁28を介してバキュームポンプ(負圧源)29に接
続されている。そして、上記電磁弁28が負圧通路27
を連通または遮断することにより、EGR弁駆動用の負
圧が調節されてEGR弁24が開閉駆動されるようにな
っている。また、上記EGR弁24の設置位置には、そ
の弁本体の位置を検出するリフトセンサ26が設けられ
ている。
【0024】上記燃料噴射弁5、高圧供給ポンプ8、吸
気絞り弁14、EGR弁24、ターボ過給機25等は、
後述するエンジンコントロールユニット(Engine Contr
ol Unit:以下ECUという)35内のメモリに記憶さ
れたコンピュータ・プログラムに基づいて作動するよう
に構成されている。そのため、このECU35には、上
記圧力センサ6aからの出力信号と、クランク角センサ
9からの出力信号と、圧力センサ10aからの出力信号
と、エアフローセンサ11からの出力信号と、水温セン
サ18からの出力信号と、EGR弁24のリフトセンサ
26からの出力信号と、運転者によって操作されるアク
セルペダルの操作量を検出するアクセルセンサ32との
出力信号が入力される。
【0025】上記ECU35は、エンジンの運転状態に
応じて上記燃料噴射弁5から主噴射される燃料の噴射状
態を制御する主噴射制御手段40と、主噴射後、膨張行
程の前半の所定時期に上記燃料噴射弁5から燃料を後噴
射するように制御する後噴射制御手段41と、エンジン
の運転状態に応じて上記EGR弁24を駆動して排気還
流量を制御する排気還流制御手段39とを有している。
【0026】(第1の実施の形態)第1の実施の形態で
は、上記主噴射制御手段40及び後噴射制御手段41に
よって以下の制御が行なわれる。主燃焼の略終了直後に
後燃焼が開始されるよう、後燃料の噴射時期が運転状態
に基づいて制御される。後燃料の噴射時期がNO放出
要求成立時点から段階的に遅角制御される。後噴射量が
NO放出要求成立時点から段階的に増量制御される。
NO放出要求に伴う後噴射時、各気筒での1燃焼サイ
クルで噴射される主噴射を複数回に分割して噴射すると
ともに、主噴射の噴射回数が減少或いは噴射間隔が減少
される。NO吸収材22温度が低い時、各気筒での1
燃焼サイクルで噴射される主噴射を複数回に分割して噴
射するとともに、主噴射の噴射回数が増加或いは噴射間
隔が増加される。NO吸収材22温度が低い時、NO
放出非要求時であっても後噴射を実行するとともに、
該後噴射時期がNO放出要求時に対して進角される。
以下、各制御(1)〜(6)について、説明する。
【0027】(1)主燃焼の略終了直後に後燃焼が開始
されるよう、後燃料の噴射時期を運転状態に基づいて制
御。このディーゼルエンジンは、燃料の主噴射後の所定
時期に後噴射を行うことで、上記主噴射により発生した
煤を低減することが可能である。この場合、燃焼室4か
ら排出される煤の量が多い傾向にある運転状態、例えば
エンジン負荷が中負荷以上の運転状態、あるいはエンジ
ン回転数が2000rpm程度の中回転数以上の運転状
態にある場合や、排気通路20にディーゼルパティキュ
レートフィルタ(DPF)が設置されたエンジンにあっ
ては、このDPFが300°C以下の低温状態にあるこ
とに起因してその浄化機能が低い場合に、燃料の主噴射
による拡散燃料が終了した時点を基準にして設定された
所定時期(エンジン回転数が1500rpm以上の運転
状態では、圧縮行程上死点後の30°〜60°CAの時
期)に、燃料の後噴射を行うことにより、上記煤の排出
を低減することができる。これは、上記拡散燃焼の終了
時点で燃焼室4内に存在する煤と酸素との混合が促進さ
れ、着火し易い状態で、燃料が後噴射されることによる
燃焼が始まるため、煤の発生を低減することができるた
めである。
【0028】上記主噴射とは、エンジンの要求出力に相
当する噴射量か、それ以上の量を、吸気行程から膨張行
程初期までの所定時期に行う燃料噴射であり、この主噴
射された燃料の全部または一部が拡散燃焼すると煤が発
生するので、この煤を低減するために上記燃料の後噴射
が行われる。この場合、圧縮行程状死点付近から膨張行
程の初期にかけての所定時期に燃料を主噴射すれば、軽
負荷状態以外では全て拡散燃料となり、軽負荷状態では
予混合燃焼と拡散燃焼との両方が行われる。
【0029】また、吸気行程から圧縮行程上死点前の間
に燃料を主噴射すると、予混合燃焼が主体となり、この
燃焼によっては煤が発生することはないが、燃焼室壁面
に付着した燃料が圧縮行程上死点付近で着火することに
より拡散燃焼が行われて煤が発生することがあり、この
ような場合においても、上記燃料の後噴射を行うことで
煤を低減することができる。
【0030】なお、上記燃料の主噴射は、吸気行程から
圧縮行程上死点までの間の所定時期と、圧縮行程上死点
付近から膨張行程初期までの間の所定時期との少なくと
も二以下に分けて噴射する場合も含むものである。
【0031】ここで、拡散燃焼の終了時期について詳細
に説明する。この拡散燃焼は、熱発生率に基づいて求め
られ、「内燃機関講義」(出版社株式会社養賢堂、著者
長尾不二夫)によれば、上記熱発生率は下記式(1)に
示すように表される。
【0032】 dQ/dθ=[A/(K(θ)−1)]×[V(θ)・(dP(θ)/dθ) +K(θ)・P(θ)・(dV(θ)/dθ)]…(1) ここで、Aは熱の仕事当量、K(θ)は比熱比、V
(θ)は行程容積、P(θ)は筒内圧力、θはクランク
角である。
【0033】小野測器株式会社製の燃焼解析装置CB5
66のマニュアルによれば、上記比熱比K(θ)は、下
記式(2)〜(5)に基づいて表される。
【0034】 K(θ)=Cp/Cv…(2) Cp=ap+b・(T(θ)/100)+c・(T(θ)/100)・2+d ・(100 /T(θ))…(3) Cv=Cp−(A・Ro)/M…(4) T(θ)=(P(θ)・V(θ)/29.27)・G…(5) ここで、Cpは定圧比熱、Cvは定容比熱、Roはガス
定数、Mは空気の分子量、T(θ)はガス温度、Gはガ
ス重量、ap,b,c,dはその他の定数である。
【0035】上記式(2)〜(5)より、式(1)で示
す熱発生率dQ/dθは、筒内圧力P(θ)と、行程容
積V(θ)との関数f(P(θ),V(θ))になる。
また、上記行程容積V(θ)を、ボア径Bおよびストロ
ークSに基づいて表すと、下記式(6)に示すようにな
るめ、上記熱発生率dQ/dθは、下記式(7)に示す
ようになる。
【0036】 V(θ)=(π・B2S/8)・(1−cosθ)…(6) dQ/dθ=[f(P(θ+△θ),V(θ+△θ))−f(P(θ),V( θ))]/△θ…(7) したがって、クランク角毎の筒内圧力データがあれば、
これに基づいて上記熱発生率を計算することができる。
このようにして求めた熱発生率を図示すると、図2
(a)〜(c)に示すようになり、燃料の主噴射による
燃焼に応じて熱発生率が正の方向に大きな値を示した
後、上記拡散燃焼の終了に応じて熱発生率が0となるた
め、この熱発生率が略0となる時点t1に基づき、上記
拡散燃焼の終了時点が求められる。
【0037】本実施の形態では、通常時は、上記のよう
にして予め求められた時点t1の近傍で、後噴射による
燃焼が開始されるように、運転状態に基づいて予め設定
された着火遅れ時間(例えば0.4ms〜0.7ms程
度の時間)を考慮して、上記時点t1よりも上記着火遅
れ時間に相当する分だけ、後噴射時期が早くなるように
設定されている。
【0038】なお、上記着火遅れ時間は、エンジンの排
気量および燃料の噴射圧力に応じて変化するが、100
0cc〜3000ccクラスのエンジンで、噴射圧力が
50MPa〜200MPaの場合には、0.4ms〜
0.7ms程度となる。また、上記着火遅れ時間は、圧
縮行程上死点で行われる主噴射の着火遅れ時間(0.1
ms〜0.3ms)よりも長く、これは圧縮行程上死点
後の筒内温度が比較的低いときに、上記後噴射が行われ
るためである。
【0039】また、燃料噴射弁に対する噴射駆動信号の
出力タイミングとしては、上記の着火遅れ時間に、さら
に噴射弁開閉信号の出力時点から実際の噴射が開始され
るまでの間の無効時間(駆動遅れ時間)も考慮されたも
のがECU35に記憶されている。
【0040】例えばエンジン回転数が2000rpmに
制御されるとともに、平均有効圧力Peが0.57MP
aに制御されたエンジンの中負荷中回転時に、圧縮工程
上死点付近で燃料を主噴射した場合における燃焼室内の
熱発生率を、クランク角に対応したシリンダ内の圧力変
化と、シリンダの容積変化とに基づき、熱力学的に計算
してグラフ化すると、図2(b)に示すように、上記主
噴射時点t0から0.1ms程度の遅れ時間Tmが経過
した後に、主噴射された燃料が予混合燃焼することによ
る熱発生Yと、略同程度の拡散燃焼による熱発生Kが生
じるとともに、圧縮行程上死点後の35°(CA)程度
の時点tfより、0.6ms遅れた時点t1で上記拡散
燃焼が終了することが確認された。
【0041】したがって、上記圧縮行程上死点後の35
°(CA)程度の時点tfで燃料の後噴射を行うことに
より、この後噴射された燃料を上記拡散燃焼の終了時点
t1で燃焼させることができる。つまり、上記時点tf
で後噴射された燃料が、約0.6ms程度の着火遅れ時
間(Tf)が経過した時点t1で、燃焼し始めて熱発生
量Nが増大することになる。
【0042】これに対してエンジン回転数が2500r
pmに制御されるとともに、平均有効圧力Peが0.9
MPaに制御されたエンジンに高負荷高回転時には、図
2(c)に示すように、上記燃料の予混合燃焼の熱発生
Yに比べて、かなりの長期間に亘り拡散燃焼による熱発
生Kが生じ、この拡散燃焼が圧縮工程上死点後の47°
(CA)程度より0.7ms遅れたかなり遅い時点t1
で終了する傾向があるため、上記圧縮行程上死点後の4
7°(CA)程度の時点tfで、燃料の後噴射を行うこ
とにより、この後噴射された燃料を上記拡散燃焼の終了
時点t1で燃焼させることができる。
【0043】なお、エンジン回転数が1500rpmに
制御されるとともに、平均有効圧力Peが0.3MPa
に制御されたエンジンの低負荷低回転時には、図2
(a)に示すように、燃料の予混合燃焼と拡散燃焼とを
熱発生状態によって区別することは困難であるが、圧縮
行程上死点後の30°(CA)程度より約0.5ms遅
れた比較的に早い時点t1で、上記拡散燃焼が終了して
熱発生率が0となるため、上記圧縮行程上死点後の30
°(CA)程度の時点tfで、燃料の後噴射を行うこと
により、この後噴射された燃料を上記拡散燃焼の終了時
点t1で燃焼させることができる。
【0044】次に、上記拡散燃焼の終了時期を基準にし
て燃料の後噴射時期を設定することによる煤の低減効果
について説明する。すなわち、エンジン回転数が150
0rpmに制御されるとともに、平均有効圧力Peが
0.3MPaに制御されたエンジンの低負荷低回転時に
おいて、燃料の主噴射後に、燃料の後噴射時期を種々に
変化させて煤の発生量を測定する実験を行ったところ、
図3(a)に示すように、燃料の主噴射後で、拡散燃焼
の終了時点t1より上記着火遅れ時間に相当する時間だ
け進角させた時点tfであると考えられる圧縮行程上死
点後の30°(CA)以降に、燃料の後噴射時期を設定
した場合に、煤の発生量が顕著に低減されることが確認
された。
【0045】また、同様にエンジン回転数が2000r
pmに制御されるとともに、平均有効圧力Peが0.5
7MPaに制御されたエンジンの中負荷中回転時に、燃
料の主噴射後に、燃料の後噴射時期を種々に変化させて
煤の発生量を測定する実験を行ったところ、図3(b)
に示すように、燃料の主噴射後で、拡散燃焼の終了時点
t1より上記着火遅れ時間に相当する時間だけ進角させ
た時点tfであると考えられる圧縮行程上死点後の35
°(CA)以降に燃料の後噴射時期を設定した場合に、
煤の発生量が顕著に低減されることが確認された。
【0046】さらに、エンジン回転数が2500rpm
に制御されるとともに、平均有効圧力Peが0.9MP
aに制御されたエンジンの高負荷高回転時において、燃
料の主噴射後に、燃料の後噴射時期を種々に変化させて
煤の発生量を測定する実験を行ったところ、図3(c)
に示すように、燃料の主噴射後で、拡散燃焼の終了時点
t1の近傍より上記着火遅れ時間に相当する時間だけ進
角させた時点tfであると考えられる圧縮行程上死点後
の47°(CA)以降に燃料の後噴射時期を設定した場
合に、煤の発生量が顕著に低減されることが確認され
た。なお、上記各実験例では、エンジン負荷を一定に設
定するとともに、燃料の主噴射量に対する後噴射量の比
率を20%に設定した。
【0047】尚、上記図3(a)〜(c)において、後
噴射時期が0°(CA)の場合は、燃料の後噴射を実行
することなく、主噴射のみを実行したときのデータを示
している。
【0048】また、エンジン回転数が1500rpmに
制御されるとともに、平均有効圧力Peが0・3MPa
に制御されたエンジンの低負荷低回転時に、燃料の主噴
射による拡散燃焼の終了時点t1の近傍より上記着火遅
れ時間に相当する時間だけ進角させた時点tfであると
考えられる圧縮行程上死点後(ATDC)の30°(C
A)の時点で、燃料の後噴射を行い、燃料の主噴射量に
対する後噴射量の比率(P/T)を10%〜45%の範
囲内で種々に変化させて煤の発生量を測定する実験を行
ったところ、図4(a)の実線で示すように、上記後噴
射量の比率(P/T)の増大に応じて煤発生量が減少し
た。これに対して上記時点tfよりも前であると考えら
れる圧縮行程上死点後(ATDC)の8°(CA)の時
点で、燃料の後噴射を行った場合には、図4(a)の破
線で示すように、上記後噴射量の比率(P/T)の増大
に応じて煤の発生量が増加した。
【0049】さらに、エンジン回転数が2000rpm
に制御されるとともに、平均有効圧力Peが0.57M
Paに制御されたエンジンの中負荷中回転時に、燃料の
主噴射による拡散燃焼の終了時点t1の近傍より上記着
火遅れ時間に相当する時間だけ進角させた時点tfであ
ると考えられる圧縮行程上死点後(ATDC)の35°
(CA)の時点および上記時点tfよりも前であると考
えられる圧縮行程上死点後(ATDC)の20°(C
A)の時点で、燃料を後噴射して煤の発生量を測定する
実験を行い、かつエンジン回転数が2500rpmに制
御されるとともに、平均有効圧力Peが0.9MPaに
制御された高負荷高回転時に、燃料の主噴射による拡散
燃焼の終了時点t1より上記着火遅れ時間に相当する時
間だけ進角させた時点tf以降であると考えられる圧縮
行程上死点後(ATDC)の48°(CA)の時点およ
び上記時点tfよりも前であると考えられる圧縮行程上
死点(ATDC)の20°(CA)の時点で、燃料を後
噴射して煤の発生量を測定する実験を行った場合におい
ても、図4(b),(c)に示すように、上記低負荷低
回転時と同様のデータが得られた。
【0050】上記実験データから、上記燃料の主噴射に
より燃焼室4内で発生した拡散燃焼の終了時点を基準に
して燃料の後噴射時期を設定し、上記拡散燃焼の終了時
点、またはその前後近傍に後噴射された燃料を着火させ
ることにより、拡散燃焼の終了に応じてエンジンの燃焼
室4内に存在する炭素と酸素とを充分に混合した状態
で、燃料の後噴射により炭素を効果的に燃焼させること
ができ、燃焼室4内から排気通路20に導出される煤の
排出量を低減できることがわかる。
【0051】上記拡散燃焼の終了時点は、エンジンの負
荷および回転数等に応じ、負荷が大きくなる程、或いは
回転数が大きくなる程主噴射終了からの期間が長くなる
ように変化するため、例えば上記図2(a)〜(c)に
示すように、拡散燃焼による熱発生率が0となる時点t
1を、エンジンの運転状態において行った種々の実験デ
ータに基づいてマップ化し、このマップから読み出すこ
とにより設定することができる。
【0052】また、燃焼室4内の温度を検出する温度セ
ンサの検出信号、燃焼光センサの検出信号、または燃焼
室4内に存在する電荷が偏った反応性の高い水素や炭化
水素等の量を検出するセンサの検出信号等に応じて上記
拡散燃焼状態を判別する燃焼状態判別手段を設け、この
燃焼状態判別手段において、燃料の主噴射後の温度が所
定温度以下の低温となった否か、燃焼光の発光がなくな
ったか否か、または水素や炭化水素の量が急減したか否
か等を判別することにより、上記拡散燃焼の終了時点を
求め、この時点を基準にして次の燃焼サイクルにおける
燃料の後噴射時期を設定するように構成してもよい。さ
らに、温度センサによって検出された気筒内温度から断
熱膨張温度を減算した値の微分値を求め、この微分値が
ーの値から0になった時点を検出することによって上記
拡散燃焼の終了時期を判別するようにしてもよい。
【0053】上記のように、エンジンの各運転状態に基
づいて判別された拡散燃焼の終了時点に基づき、この拡
散燃焼の終了時点付近(クランク角にして±5°)の時
期、好ましくは上記拡散燃焼の終了直後に後噴射による
燃焼が開始されるように、それぞれの運転状態の応じて
燃料の後噴射の開始時期を設定するように構成すること
により、エンジンの運転状態に対応した最適時期に燃料
を後噴射して上記煤の排出量を効果的に低減することが
できる。
【0054】尚、排気ガスにより駆動されて吸気を過給
するターボ過給機25を備えたディーゼルエンジンで
は、上記のように燃料の主噴射後に所定量の燃料が後噴
射されると、排気ガス圧力が上昇して上記ターボ過給機
25の過給作用が高められる。この結果、燃焼室4内に
導入される新気量が増大されることにより、燃焼室4内
に残存する炭素の燃焼が促進されて煤の発生が効果的に
抑制されるという効果が得られる。そして、上記ターボ
過給機25の過給作用により吸入空気量が増大すると、
上記主噴射された燃料の拡散燃焼の終了時期が早くなる
傾向があるので、この拡散燃焼の終了時期に対応させて
上記燃料の後噴射時期を補正することにより、煤の発生
を効果的に抑制して排気通路20に導出される煤の導出
量を、より低減することができる。
【0055】更には、上記ターボ過給機25を備えたデ
ィーゼルエンジンにおいて、排気ガスの一部を吸気系に
還流させる排気ガス還流手段33を設けるとともに、上
記ECU35に設けられた排気還流制御手段39により
排気ガスの還流率が目標値となるようにフィードバック
制御するように構成した場合には、上記ターボ過給機2
5の過給作用に応じて吸入空気量が増大すると、これに
対応して吸気系に還流される排気ガスが増量されるた
め、燃焼室4内から排気通路20に導出されるNOx量
が、さらに効果的に低減されるという利点がある。
【0056】(2)後燃料の噴射時期をNO放出要求
成立時点から段階的に遅角制御。後噴射時期とHC量と
の関係については、エンジンの低負荷低回転時には、図
5(a)に示すように、後噴射時期が圧縮行程上死点後
の30°(CA)付近までの設定では、HCの生成量が
顕著に増加することはなく、中負荷中回転時には、図5
(b)に示すように、圧縮行程上死点後の35°(C
A)付近までは、HCの生成量が顕著の増加することは
なく、さらに、高負荷高回転時には、図5(c)に示す
ように、圧縮行程上死点後の45°(CA)付近まで
は、HCの生成量が顕著に増加することはないことが確
認された。つまり、図5に示されるとおり、各運転領域
毎に決まるHCの生成量が顕著になる後噴射時期を中心
として、後噴射時期を進めるとHCの生成量が低下し、
逆に、後噴射時期を遅くするとHCの生成量が増加す
る。本実施形態では、この図5に記載の特性を利用して
還元剤としてのHC量を調整している。具体的には、N
吸収材からのNO放出要求成立時点では、まず、
後噴射時期を各運転領域毎に決まるHCの生成量が顕著
になる後噴射時期よりも進角してHC量を低減すること
により、排気ガス中の酸素濃度の急激な低下を抑制でき
るとともに、その後は、後噴射時期を各運転領域毎に決
まるHCの生成量が顕著になる後噴射時期よりも段階的
に遅角してHC量を増加することにより、還元剤量が増
加してNO浄化率を向上できる。
【0057】(3)後燃料をNO放出要求成立時点か
ら段階的に増量制御。本実施形態では、NO吸収材か
らのNO放出要求成立時点では、まず、後燃料量を比
較的少なく設定して還元剤量を低減することにより、排
気ガス中の酸素濃度の急激な低下を抑制するとともに、
その後は、後燃料量を段階的に増量して還元剤量を増加
することにより、NO浄化率を向上できる。
【0058】(4)NO放出要求に伴う後噴射時、主
噴射の噴射回数を減少或いは噴射休止間隔を減少制御。
ディーゼルエンジンにおける主噴射の多段噴射において
は、噴射回数、噴射休止間隔を適切に設定することによ
って燃費が向上することが知られており、この点につい
ては、例えば、特開2001−055950号公報に開
示されている。具体的には、噴射回数については、2分
割噴射の時は3分割噴射の時に対して燃費率が大きく、
噴射休止間隔については、噴射休止間隔が短い時は長い
時に対して燃費率が大きくなる。従って、本実施形態で
は、主噴射を多段に分割して噴射するとともに、NO
放出要求に伴う後噴射時は、NO放出非要求時に対し
て主噴射の分割噴射回数を減少、或いは分割噴射回数は
同一でも各主噴射間の噴射休止間隔を減少させることに
より燃費の悪化を抑制できる。
【0059】(5)NO吸収材22温度が低い時、主
噴射の噴射回数を増加或いは噴射休止間隔が増加制御。
ディーゼルエンジンにおける主噴射の多段噴射において
は、噴射回数、噴射休止間隔を適切に設定することによ
って排気ガス温度を上昇できることが知られており、例
えば、特開2001−055950号公報に開示されて
いる。具体的には、噴射回数については、3分割噴射の
時は2分割噴射の時に対して排気ガス温度が上昇し、噴
射休止間隔については、噴射休止間隔が長い時は短い時
に対して排気ガス温度が上昇する。従って、本実施形態
では、主噴射を多段に分割して噴射するともに、NO
吸収材22温度が低い時は、NO放出非要求時であっ
ても、後燃焼を実行させるとともに、NO放出要求時
に対して主噴射の分割噴射回数を増加、或いは分割噴射
回数は同一でも各主噴射間の噴射休止間隔を増加させる
ことにより、排気ガス温度の更なる昇温効果を図り、N
吸収材22温度の昇温効果を向上させるものであ
る。
【0060】(6)NO吸収材22温度が低い時、N
放出非要求時であっても後噴射を実行させるととも
に、該後噴射時期をNO放出要求時に対して進角制
御。後噴射時期と排気ガス温度との関係については、エ
ンジン回転数が2000rpmに制御されるとともに、
平均有効圧力が0.5Mpaに制御されたエンジンの中
負荷中回転時に、後噴射時期、後噴射量を種々に変化さ
せて排気ガス温度を測定する実験を行ったところ、図6
に示すように、後噴射時期が、主燃焼の終了時期と略一
致する圧縮上死点後35°(CA)付近で最も排気ガス
温度が高くなり、そのクランク角よりも遅くなると緩や
かに排気ガス温度が低下することが確認された。尚、後
燃焼時期を、主燃焼の終了時期と略一致する圧縮上死点
後35°(CA)よりも5〜20°(CA)遅角した範
囲内に設定すると、図5に示すようにHC量増加を図り
つつ、排気ガス温度昇温を図れる。従って、本実施形態
では、NO吸収材22温度が低い時はNO放出非要
求時であっても後噴射を実行させるとともに、該後噴射
時期をNO放出要求時に対して主燃焼の終了時期に近
づくよう進角させることによって、排気ガス温度を上昇
させ、NO吸収材22のNO浄化率悪化を抑制する
ものである。
【0061】以下、図7〜図10に基づいて本実施形態
1の具体的制御を説明する。
【0062】まず、図7のステップS1で各種データを
入力し、ステップS2でエンジンの目標トルクTrを設
定する。目標トルクTrは、例えば、エンジン回転数と
アクセル開度とのマップに基づいて設定される。
【0063】次に、ステップS3では、運転状態に応じ
た基本主噴射量Qmb、基本主噴射時期Imb及び基本
後噴射量Qpbを設定する。基本主噴射量Qmb、基本
主噴射時期Imbは、目標トルクTrとエンジン回転数
とのマップに基づいて設定されている。また、基本後噴
射量Qpbは、目標トルクTrとエンジン回転数との基
本後噴射量供給マップに基づいて設定されており、煤の
発生量が増加する高回転或いは高負荷領域の時のみ固定
量として設定され、その他の領域についてはその量が0
に設定される。尚、煤の発生量が少ないその他の領域に
ついては、燃費向上のため基本後噴射量Qpbを0に設
定したが、基本後噴射量Qpbを0よりも大きく設定
し、更なる煤低減の向上を図るようにしてもよい。ま
た、煤の発生量が増加する高回転或いは高負荷領域につ
いは、基本後噴射量Qpbを固定量に設定したが、目標
トルクTrエンジン回転数が大きくなる程増量される
ように設定してもよい。
【0064】ステップS4では、NO吸収材22温度
Tcateを推定し、続くステップS5では、NO
収材22に吸収されているNO量NOeを推定する。
NO吸収材22温度Tcateは、温度センサ19に
より検出された排気ガス温度に基づいて推定或いは、燃
料噴射量やエンジン回転数等の運転状態に基づいて実験
的に設定されている温度データに基づいて推定される。
また、NO量NOeは、空燃比がリーン運転されてい
る時、燃料噴射量、エンジン回転数及び推定されたNO
吸収材22温度Tcateに基づいて瞬時吸収NO
量が求められ、その瞬時吸収NO量が積算されて求め
られる。また、空燃比が理論空燃比或いは理論空燃比よ
りもリッチ運転されている時、燃料噴射量、エンジン回
転数及び推定されたNO吸収材22温度Tcateに
基づいて瞬時放出NO量が求められ、その瞬時放出N
量が上記リーン運転中に推定された推定NO量N
Oeから減算され残存NO量として求められる。
【0065】ステップS6では、ステップS5で推定さ
れたNO量NOeが許容量NOo以上か否か判定す
る。ステップS6でYESと判定された時は、ステップ
S7に進み、タイマTをカウント中か否か判定する。ス
テップS7でNOと判定された時は、推定されたNO
量NOeが許容量NOo以下から以上になった状態であ
るため、以下ステップS8〜S11においてNOを放
出するための制御量を設定する。ステップS8では、主
噴射を2段噴射とし、第1主噴射量Qm1λ、第1主噴
射時期Im1λ、第2主噴射量Qm2λ、第2主噴射時
期Im2λするとともに、該各主噴射間隔を通常時(後
述のステップS26に該当)に対して短く設定する。ま
た、ステップS8では、後噴射量Qpλを再設定、後噴
射時期Ipλを設定するとともに、最適後噴射時期Ip
baを設定する。ここで、最適後噴射時期Ipbaは、
後噴射時期Ipλよりも進角側に設定され、第1主噴射
量Qm1λと第2主噴射量Qm2λとの2段噴射におけ
る主燃焼の終了時期と一致する時点である。尚、主燃焼
の終了時点は、図3の説明で述べたとおり、エンジンの
運転状態に応じて異なることから、最適後噴射時期Ip
baエンジンの運転状態、例えば、エンジン回転数と目
標トルクとのマップに基づいて予め設定されおり、エン
ジン回転数、目標トルクが大きくなる程最適後噴射時期
Ipbaは圧縮上死点からの遅角量が大きくされる。ま
た、第1主噴射量Qm1λ、第2主噴射量Qm2λ及び
後噴射量Qpλのトータル噴射量は、空燃比が理論空燃
比或いは理論空燃比よりもリッチになるように設定され
る。
【0066】ステップS9では、タイマT1、空燃比リ
ッチ化終了時期Tenを設定する。タイマT1は、推定
されたNO量NOeが許容量NOo以下から以上にな
った時点から後噴射量をステップS3で設定した基本後
噴射量QpbからステップS8で設定した後噴射量Qp
λまで段階的に増量する期間で、ステップS8で設定さ
れた第1主噴射量Qm1λと第2主噴射量Qm2λとを
合計した噴射量と、ステップS3で設定した基本主噴射
量Qmbとの差の大きさに基づいて設定される。また、
空燃比リッチ化終了時期Tenは、上記決定されたタイ
マT1に固定の所定時間、例えば、0.5〜5secを
加算した時間に基づいて設定される。
【0067】ステップS10では、後噴射量Qpλを段
階的に増量するための1回当たりの増量率ΔQp、後噴
射時期Ipλを段階的に遅角するための1回当たりの遅
角率ΔIpを設定する。増量率ΔQpは、ステップS8
で設定した後噴射量QpλとステップS3で設定した基
本後噴射量Qpbとの差をステップS9で設定したタイ
マT1で除して設定される。遅角率ΔIpは、ステップ
S8で設定した後噴射時期Ipλと最適後噴射時期Ip
baとの差をステップS9で設定したタイマT1で除し
て設定される。
【0068】ステップS11では、前回の後噴射量Qp
にステップS3で設定した基本後噴射量Qpbを代入す
るとともに、前回の後噴射時期Ipaに最適後噴射時期
Ipbaを代入し、続くステップS12に進む。尚、上
記ステップS7の判定でYESと判定された時は、既に
ステップS8〜S11の処理がなされているので、その
ステップS8〜S11バイパスしてステップS12に進
む。
【0069】ステップS12では、タイマTをカウント
アップし、ステップS13ではタイマTがステップS9
で設定したタイマT1よりも小さいか否か判定する。ス
テップS13でYESと判定された時は、ステップS1
4で前回の後噴射量QpにステップS10で設定した増
量率ΔQpを加算して今回の後噴射量Qpiを設定し、
続くステップS15で前回の後噴射時期Qpにステップ
S10で設定した遅角率ΔIpを加算して今回の後噴射
時期Ipaiを設定する。そして、図8のステップS1
6では、ステップS8で設定された第1主噴射量Qm1
λを第1主噴射時期Im1λにおいて噴射し、第2主噴
射量Qm2λを第2主噴射時期Im2λにおいて噴射
し、かつステップS14で段階的に増量された後噴射量
QpiをステップS15で段階的に遅角された後噴射時
期Ipaiにおいて噴射する。
【0070】ステップS13でNOと判定された時は、
ステップS17に進み、タイマTがステップS9で設定
したタイマT1よりも大きく、かつステップS9で設定
した空燃比リッチ化終了時期Tenよりも小さいか否か
判定する。ステップS14でYESと判定された時は、
ステップS18に進み、今回の後噴射量Qpiにステッ
プS8で設定された後噴射量Qpλを設定し、今回の後
噴射時期IpaiにステップS8で設定された後噴射時
期Ipλを設定する。そして、続くステップS16で
は、ステップS8で設定された第1主噴射量Om1λを
第1主噴射時期Im1λにおいて噴射し、第2主噴射量
Om2λを第2主噴射時期Im2λにおいて噴射し、か
つステップS18で設定された後噴射量Qpiをステッ
プS18で設定された後噴射時期Ipaiにおいて噴射
する。
【0071】ステップS17においてNOと判定された
時は、ステップS19においてタイマTをクリアして、
推定されたNO量NOeをリセットし、図8のステッ
プS20に進む。また、上記ステップS6でNOと判定
された時も、同様にステップ図8のS20に進む。
【0072】ステップS20では、ステップS4で推定
したNO吸収材22温度Tcateが所定温度Tca
to以下か否か判定する。ここで、所定温度Tcato
は、NO吸収材22温度が活性温度(例えば、200
℃)以上ではあるが、NO吸収材22中に含まれる貴
金属(例えば、Pt)が不活性状態で、NO浄化率が
低くなる温度に設定される。
【0073】ステップS20でYESと判定された時
は、ステップS21に進み、NO吸収材22温度を昇
温するための主噴射形態を設定する。具体的には、主噴
射を3段噴射として、第1主噴射量Qm1b、第1主噴
射時期Im1b、第2主噴射量Qm2b、第2主噴射時
期Im2b、第3主噴射量Qm3b、第3主噴射時期I
m3bを設定する。また、各主噴射の噴射休止間隔を5
0〜500μsに設定する。尚、3段噴射にする代りに
2段噴射とし、各主噴射の噴射休止間隔を3段噴射に対
して長くする、例えば、500〜1000μsに設定し
てもよい。
【0074】ステップS22では、ステップS21で3
段に分割され、主噴射の噴射終了時期が変更になったの
に伴い、その3段噴射による主燃焼の終了時期と一致す
る時期を最適な後噴射時期Ipbbとして設定する。つ
まり、ここでは主噴射を3段噴射で、かつ主噴射休止間
隔が50〜500μsに設定された場合の主燃焼の終了
時期と一致する時期を最適な後噴射時期Ipbbとして
設定する。続く、ステップS23では、ステップS21
で設定された3段に分割された主噴射を各噴射時期で噴
射するとともに、ステップS3で設定された基本後噴射
量QpbをステップS22で設定された最適な後噴射時
期Ipbbにおいて噴射する。これによって、NO
収材22の温度を昇温することができる。
【0075】ステップS20でNOと判定された時は、
ステップS24に進み主噴射を2段噴射として設定し、
各主噴射間隔を50〜500μsに設定する。ステップ
S25では、後噴射量Qpbが0に設定されているか否
か判定し、NOと判定された時は、ステップS26に進
み、ステップS24で設定された2段噴射に応じて、そ
の2段噴射による主燃焼の終了時期と一致する時期を最
適な後噴射時期Ipbcとして設定する。つまり、ここ
では主噴射が2段噴射で、かつ主噴射間隔が50〜50
0μsに設定された場合の主燃焼の終了時期と一致する
時期を最適な後噴射時期Ipbcとして設定する。ステ
ップS27では、ステップS24で設定された2段に分
割された主噴射を各噴射時期で噴射するとともに、後噴
射量Qpbが設定されている時はステップS26で設定
されたステップS3で設定された基本後噴射量Qpbを
ステップS22で設定された最適な後噴射時期Ipbc
において噴射する。
【0076】以下、第1の実施形態の作用・効果を、図
9、10に基づいて説明する。まず、図9に示されるよ
うに、NO吸収材22の温度Tcateと推定NO
量NOeとに基づいて、以下の4つの状態に分けられ
る。NO吸収材22の温度Tcateが活性温度Tc
atoよりも高く、推定NO 量NOeが許容量NOo
以上となり、NO放出要求が成立した時点T0からタ
イマT1までの間(第1期間1A) NO吸収材22の温度Tcateが活性温度Tcat
oよりも高く、推定NO 量NOeが許容量NOo以上
となり、NO放出要求が成立した時点T0からタイマ
T1まで経過した時点から空燃比リッチ化終了時期Te
nまでの間(第1期間1B) NO吸収材22の温度Tcateが活性温度Tcat
oよりも低く、推定NO 量NOeが許容量NOo以下
の時(第2期間) NO吸収材22の温度Tcateが活性温度Tcat
oよりも高く、推定NO 量NOeが許容量NOo以下
の時(第3期間) そして、上記各状態に応じて図10に示されるように、
以下の主噴射、後噴射制御が行われる。第1期間1Aで
は、図10(a)に示されるように、推定NO量NO
eが許容量NOo以上となり、NO放出要求が設立し
た時点T0からタイマT1までの間、後燃料Qpiの噴
射時期Ipiが主燃焼の終了時期Ipbaに対して段階
的に遅角される(→でその動きを示す)。従って、NO
放出のために空燃比をリーンからリッチに移行した初
期、HC量(還元剤量)の増加を抑制でき、排気中の酸
素濃度の低下を緩慢にできるので、従来、破線で示すよ
うに多量のNOが急激に放出されていたのを、実線で
示すように抑制することができる。第1期間1Aでは、
図10(a)で示されるように、後燃料Qpiが、NO
放出要求時点T0からタイマT1までの間、段階的に
増量される。(図中斜線部分)従って、排気の酸素濃度
の低下を緩慢にでき、多量のNOが急激に放出される
のを抑制できる。第1期間1Bでは、図10(a)の実
線で示される後燃料量Qpi、後噴射時期Ipiのよう
に、後燃料が増量されると共に後噴射時期が遅角される
ことによって、排気中に供給される還元剤量を増加で
き、NO浄化率を向上することができる。第1期間1
A、1Bでは、図10(a)で示されるように、主噴射
回数が2回(Qm1λ、Qm2λ)とされ、主噴射の噴
射回数が減少される。従って、燃費の悪化を抑制でき
る。第2期間では、図10(b)で示されるように、主
噴射の噴射回数が3回(Qm1b、Qm2b、Qm3
b)され、主噴射の噴射回数が増加される。従って、排
気ガス温度を上昇でき、NO吸収材22温度を昇温す
ることができる。第2期間では、図10(b)で示され
るように、後噴射時期IpbbをNO放出要求時の後
噴射時期Ipλに対して進角される。従って、NO
収材22温度が低い時、NO吸収材22温度を昇温す
ることができ、NO浄化率を向上することができる。
第3期間では、図10(c)で示されるように、後燃料
Qpbに基づく後燃焼時期Ipbcが、主燃焼の略終了
時期直後となるよう、後燃料の噴射時期が運転状態に基
づいて設定される。従って、エンジンの燃焼室4内に存
在する炭素と酸素とがよく混合された状態で、後噴射さ
れた後燃料が上記炭素とともに燃焼するため、煤の排出
量を抑制できる。
【0077】(第2の実施の形態)第2の実施の形態
は、第1の実施の形態に対して、(2)の後燃料の噴射
時期制御と、(3)の後燃料の噴射量制御との2点が異
なり、他は同様である。後燃料の噴射時期、後燃料の噴
射量は、具体的には以下のように制御される。 (2)後燃料の噴射時期がNO放出要求成立時点で
は、主燃焼の終了時期に対して離れるように遅角させ、
その後は、主燃焼の終了時期に近づくように制御され
る。 (3)後燃料量が、NO放出要求成立時点では、第1
所定増量に設定され、その後上記第1所定増量よりも少
ない第2所定増量に設定される。
【0078】以下、図11、12に基づいて具体的に説
明する。
【0079】第2の実施の形態では、図7のフローチャ
ート中波線で囲んだステップのみ第1の実施形態と異な
ることから、この相違点のみ説明する。
【0080】図11のステップS109では、後燃料の
噴射時期を主燃焼の終了時期に対して遅角させる期間を
規定するためのタイマT2と、空燃比リッチ化終了時期
Tenとを設定する。ここで、T2と、Tenとは固定
値である。
【0081】ステップS110、S111では、図7の
ステップS11、S12と同様の処理を行う。ステップ
S112では、タイマTが上記ステップS109で設定
したタイマT2よりも小さいか否か判定し、YESと判
定された時は、ステップS113で今回の後噴射量Qp
iと、今回の後燃料の噴射時期Ipiとを設定する。今
回の後噴射量Qpiは、上記ステップS110で設定さ
れた前回の後噴射量Qpに予め設定した固定の増量分Δ
Qpzを加算して求める。今回の後燃料の噴射時期Ip
iは、上記ステップS110で設定された前回の後燃料
の噴射時期Ipに予め設定した固定の遅角補正分ΔIp
zを加算して求める。
【0082】ステップS112でNOと判定された時
は、ステップS114でタイマTがステップS109で
設定したタイマT2よりも大きく、かつ空燃比リッチ終
了時期Tenよりも小さいか否か判定する。ステップS
114でYESと判定された時は、ステップS115で
今回の後噴射量Qpiと、今回の後燃料の噴射時期Ip
iとを設定する。今回の後噴射量Qpiは、図7ステッ
プS18で設定された後噴射量Qpλと同様で、今回の
後燃料の噴射時期Ipiは、図7ステップS18で設定
された後燃料の噴射時期Ipλと同様である。
【0083】以下、第2の実施形態の作用・効果を、図
9、図12に基づいて説明する。尚、実施の形態1と同
様の効果については、その記載を省略する。第1期間1
Aでは、図12(a)に示されるように、推定NO
NOeが許容量NOo以上となり、NO放出要求が設
立した時点T0からタイマT2までの間、後燃料の噴射
時期Ipa+ΔIpが主燃焼の終了時期Ipbaに対し
て遅角される。従って、NO放出のために空燃比をリ
ーンからリッチに移行した初期、HC量を増量でき、N
浄化率の低下を抑制できる。第1期間1Aでは、図
12(a)に示されるように推定NO量NOeが許容
量NOo以上となり、NO放出要求が設立した時点T
0からタイマT2までの間、後燃料量が増加される(図
中斜線部分)。従って、NO放出のために空燃比をリ
ーンからリッチに移行した初期、HC量を増量でき、N
浄化率の低下を抑制できる。第1期間1Bでは、図
12(b)に示されるように、後燃料Qpb量が減量さ
れるとともに後燃料の噴射時期Ipλが進角されるた
め、燃費の悪化を抑制できる。
【0084】尚、本実施形態では、ディーゼルエンジン
の例を示したが、筒内に直接燃料を噴射する筒内直接噴
射式ガソリンエンジンに適用してもよい。その場合、後
燃料の燃焼時期に再度点火プラグにより点火させ、後燃
焼を確実に行わせるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディーゼルエンジンの排気浄化装置を示す全体
図。
【図2】燃焼室ないにおける熱発生率の変化をタイムチ
ャート。
【図3】後噴射量と煤発生量との関係を示すグラフ。
【図4】主噴射量に対する後噴射量の比率と煤発生量と
の関係を示すグラフ。
【図5】主噴射量に対する後噴射量の比率とHC量との
関係を示すグラフ。
【図6】後噴射量と排気ガス温度との関係を示すグラ
フ。
【図7】第1の実施形態における燃料噴射制御を示すフ
ローチャート。
【図8】第1の実施形態における燃料噴射制御を示すフ
ローチャート。
【図9】第1の実施形態に係るタイムチャート。
【図10】第1の実施形態に係るタイムチャート。
【図11】第2の実施形態における燃料噴射制御を示す
フローチャート。
【図12】第2の実施形態に係るタイムチャート。
【図13】NO吸収材の温度に対する浄化率を示す特
性図。
【符号の説明】
1:エンジン本体 5:燃料噴射弁 19:温度センサ 22:NO吸収材 40:主噴射制御手段 41:副噴射制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F01N 3/24 F01N 3/28 301C 3/28 301 F02D 43/00 301H F02D 43/00 301 301J 45/00 314Z 45/00 314 B01D 53/36 101A Fターム(参考) 3G084 AA01 AA03 AA04 BA05 BA08 BA09 BA13 BA15 BA17 BA20 BA24 DA10 DA27 EA11 EB02 EB22 EC01 EC02 FA08 FA10 FA11 FA12 FA20 FA27 FA33 FA37 FA38 3G091 AA02 AA10 AA11 AA12 AA17 AA18 AA24 AA28 AB06 AB13 BA00 BA14 CA13 CB02 CB03 CB05 CB07 CB08 DA01 DA02 DA03 DA04 DA05 DB10 EA00 EA01 EA05 EA06 EA07 EA16 EA17 EA30 EA31 FB10 FB12 GB01X GB03Y GB04Y GB05W GB06W GB09X GB10X GB16X GB17X HA14 HA37 HA39 HB05 HB06 3G301 HA01 HA02 HA04 HA06 HA11 HA13 HA16 JA15 JA24 JA25 JB09 LA03 LB04 LB11 MA01 MA11 MA18 MA26 MA27 MA28 NA06 NA07 NA08 NC02 NE01 NE04 NE06 NE11 NE12 NE13 NE15 NE18 PA04B PA04Z PA07B PA07Z PA11B PA11Z PD11B PD11Z PD12B PD12Z PD15B PD15Z PE01B PE01Z PE03B PE03Z PE08B PE08Z PF03B PF03Z 4D048 AA06 AB02 AC03 BA03X BA10X BA11X BA15X BA30X BA33X BA41X BB02 CC38 DA01 DA02 DA03 DA06 DA08 DA10 DA13 DA20 EA04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁
    と、排気通路に配置され、所定温度以上の時、酸素過剰
    雰囲気でNOを吸収し酸素濃度の低下に伴いNO
    放出するNO吸収材と、圧縮行程上死点付近までの所
    定の時期に上記燃料噴射弁により主燃料を噴射し、該主
    噴射に基づいて少なくとも膨張行程前半において要求ト
    ルクを発生する主燃焼を行う主燃焼手段と、上記NO
    吸収材からのNO放出要求時、上記主燃焼の略終了直
    後に燃焼が開始されるよう、上記主燃料の噴射後、膨張
    行程前半の所定の時期に上記燃料噴射弁により後燃料を
    噴射する後燃焼手段とを備えたものであって、 上記NO吸収材の温度を検出する温度検出手段と、 該温度検出手段により検出された温度が上記所定温度よ
    りも低い時、上記NO 吸収材からのNO放出非要求
    時であっても上記後燃焼手段により後燃料を噴射させる
    とともに、該後燃焼の燃焼時期がNO放出要求時に対
    して上記主燃焼の略終了時期に近接するよう、後燃料の
    噴射時期を進角させる後燃焼時期補正手段とを、備えて
    いることを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、 上記後燃焼手段は、後燃焼の燃焼時期を、上記主燃焼の
    略終了時期から5〜20°遅角させ、 上記後燃焼時期補正手段は、後燃焼の燃焼時期を、上記
    主燃焼の略終了時期に同期させる、 ことを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、 上記エンジンがディーゼルエンジンで、上記主燃焼手段
    は主噴射を圧縮行程上死点付近で複数回に分けて噴射す
    る多段噴射とされ、かつ、NO放出非要求時はNO
    放出要求時に対して、上記多段噴射の噴射回数を増加或
    いは噴射休止間隔を増加させるように構成されているこ
    とを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
  4. 【請求項4】コンピュータを含むハードウェア資源に組
    込まれ、 圧縮行程上死点付近までの所定の時期に燃料噴射弁によ
    り主燃料を噴射し、該主噴射に基づいて少なくとも膨張
    行程前半において要求トルクを発生する主燃焼を行う主
    燃焼手順と、 NO吸収材からのNO放出要求時、上記主燃焼の略
    終了直後に燃焼が開始されるよう、上記主燃料の噴射
    後、膨張行程前半の所定の時期に燃料噴射弁により後燃
    料を噴射し、該後燃料を後燃焼させることにより排気ガ
    ス中の酸素濃度を低下させてNO吸収材に吸収された
    NOを放出する後燃焼手順と、 NO吸収材の温度を検出する温度検出手順と、 該温度検出手順により検出された温度が上記所定温度よ
    りも低い時、上記NO 吸収剤からのNO放出非要求
    時であっても上記後燃焼手段により後燃料を噴射させる
    とともに、該後燃焼の燃焼時期がNO放出要求時に対
    して上記主燃焼の略終了時期に近接するよう、後燃料の
    噴射時期を進角させる後燃焼時期補正手順とを、上記ハ
    ードウエア資源に実行させることを特徴とするコンピュ
    ータ・プログラム。
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