JP2003064409A - 溶銑予備処理方法 - Google Patents

溶銑予備処理方法

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JP2003064409A
JP2003064409A JP2001254425A JP2001254425A JP2003064409A JP 2003064409 A JP2003064409 A JP 2003064409A JP 2001254425 A JP2001254425 A JP 2001254425A JP 2001254425 A JP2001254425 A JP 2001254425A JP 2003064409 A JP2003064409 A JP 2003064409A
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JP2001254425A
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English (en)
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Masanobu Nakamura
正信 中村
Taiichi Kamiyama
泰一 上山
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶銑の予備処理に際し、インジェクションラ
ンスのノズルへの凝固付着物の生成・肥大化を抑制する
ことができる溶銑予備処理方法を提供する。 【解決手段】 溶銑に精錬剤をインジェクションランス
から吹き込んで、溶銑の予備処理をするに際し、溶銑へ
の精錬剤の吹き込みの条件を下記又はのいずれかを
満たす条件に制御することを特徴とする溶銑予備処理方
法。 0.18<R<0.83、又は、1.26<R<
5.1 〔但し、R:(精錬剤中の酸化鉄分の質量%)
/(精錬剤中のCaO分の質量%)〕 0.2≦MRI≦0.8 〔但し、MRI=f
(R、溶銑予備処理終了時点での溶銑温度T、酸素吹込
み速度QO 、含油スラッジ吹込み速度QS 、含油スラッ
ジ中油分の割合N)〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶銑予備処理方法
に関する技術分野に属し、詳細には、溶銑に精錬剤をイ
ンジェクションランスから吹き込んで、溶銑の予備処理
をする溶銑予備処理方法に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】溶銑予備処理は高炉から出銑された溶銑
を転炉に装入する前に脱りん処理や脱珪処理等を施す処
理である。溶銑予備処理をすることにより、転炉でのC
濃度等の調整を容易にすることができるようになる。
【0003】溶銑予備処理において、溶銑の脱りん処理
をする場合は、CaOおよび酸化鉄を主成分とする精錬
剤を用い、これをインジェクションランス(以下、ラン
スともいう)から溶銑に吹き込む。また、溶銑の脱珪処
理をする場合においても、スロッピングやフォーミング
を抑制するために、酸化鉄のみでなく、CaOを主成分
とする精錬剤を用い、これをランスから溶銑に吹き込
む。なお、これらの精錬剤は粉体である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような溶銑予備処
理において、ランスの先端のノズル上あるいはノズルの
上方にスラグと銑鉄の凝固物である凝固付着物が生成し
て肥大化するという問題点がある。このような凝固付着
物の生成・肥大化は、下記〜のような深刻な問題を
引き起こす。
【0005】 ランスのノズル(以下、ランスノズル
ともいう)の閉塞が生じ、精錬剤(粉体)を溶銑中に所
定の速度にて吹き込むことができず、更には完全にノズ
ルが閉塞した場合は全く吹き込むことができなくなる。
この場合、処理時間の延長、それに伴う処理効率の悪
化、更には操業の中断を余儀なくされる。 ランスがランス孔から抜けなくなり、操業の中断を
余儀なくされる。 ランスの凝固付着物を機械的に除去する必要があ
り、それにより作業負荷が増大する。 前記凝固付着物の除去作業により、ランスノズルの
周辺およびスラグラインの耐火物も同時に劣化して、ラ
ンス寿命の低下を招く。
【0006】本発明は、このような事情に着目してなさ
れたものであって、その目的は、溶銑の予備処理に際
し、上記のような深刻な問題を引き起こすランスノズル
への凝固付着物の生成・肥大化を抑制することができる
溶銑予備処理方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明に係る溶銑予備処理方法は、請求項1〜3記
載の溶銑予備処理方法としており、それは次のような構
成としたものである。
【0008】即ち、請求項1記載の溶銑予備処理方法
は、溶銑に精錬剤をインジェクションランスから吹き込
んで、溶銑の予備処理をする溶銑予備処理方法におい
て、溶銑への精錬剤の吹き込みの条件を下記式(1) また
は式(2) を満たす条件に制御することを特徴とする溶銑
予備処理方法である(第1発明)。ただし、下記式(1)
、式(2) において、R:〔精錬剤中の酸化鉄分の量
(質量%)〕/〔精錬剤中のCaO分の量(質量%)〕
である。
【0009】 0.18<R<0.83 ------------ 式(1) 1.26<R<5.1 ------------ 式(2)
【0010】請求項2記載の溶銑予備処理方法は、溶銑
に精錬剤をインジェクションランスから吹き込んで、溶
銑の予備処理をする溶銑予備処理方法において、溶銑へ
の精錬剤の吹き込みの条件を下記式(3) を満たす条件に
制御することを特徴とする溶銑予備処理方法である(第
2発明)。ただし、下記式(3) において、MRIは、下
記式(4) で示されるRの値が1未満のときには下記式
(5) で示されるMRIの値、Rの値が1以上のときには
下記式(6) で示されるMRIの値である。下記式(5) 、
(6) において、T:溶銑予備処理の終了時点での溶銑温
度(℃)、QO :気体酸素の吹き込み速度〔Nm3 /分
/t(溶銑)〕である。
【0011】 0.2≦MRI≦0.8 ------------ 式(3)
【0012】 R=〔精錬剤中の酸化鉄分の量(質量%)〕/〔精錬剤中のCaO分 の量(質量%)〕 ------------------------------------ 式(4) MRI=−0.15+11/(T−1200) +0.14×e2.1R−0.5 ×QO ----式(5) MRI=−0.15+11/(T−1200) +1/R−0.5 ×QO --------- 式(6)
【0013】請求項3記載の溶銑予備処理方法は、溶銑
に精錬剤をインジェクションランスから吹き込んで、溶
銑の予備処理をする溶銑予備処理方法において、溶銑へ
の精錬剤の吹き込みの条件を下記式(7) を満たす条件に
制御することを特徴とする溶銑予備処理方法である(第
3発明)。ただし、下記式(7) において、MRIは、下
記式(8) で示されるRの値が1未満のときには下記式
(9) で示されるMRIの値、Rの値が1以上のときには
下記式(10)で示されるMRIの値である。下記式(9) 、
(10)において、T:溶銑予備処理の終了時点での溶銑温
度(℃)、QO :気体酸素の吹き込み速度〔Nm3 /分
/t(溶銑)〕、QS :含油スラッジの吹き込み速度
〔kg/分/t(溶銑)〕、N:含油スラッジ中の油分
の量(質量%)である。
【0014】 0.2≦MRI≦0.8 -------------- 式(7)
【0015】 R=〔精錬剤中の酸化鉄分の量(質量%)〕/〔精錬剤中のCaO分 の量(質量%)〕 ------------------------------------ 式(8) MRI=−0.15+11/(T−1200) +0.14×e2.1R−0.5 ×QO +0.21×QS ×N ---------------------------------- 式(9) MRI=−0.15+11/(T−1200) +1/R−0.5 ×QO +0.21×QS ×N ---------------------------------- 式(10)
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は例えば次のような形態で
実施する。高炉より出銑された溶銑を溶銑予備処理用容
器に装入した後、この溶銑に対してCaO、酸化鉄等の
精錬剤をインジェクションランスから吹き込んで、溶銑
の予備処理をする。このとき、溶銑への精錬剤の吹き込
みの条件を前述の式(1) または式(2) を満たす条件に制
御する。または、前述の式(3) を満たす条件に制御す
る。そうすると、ランスのノズルへの凝固付着物の生成
・肥大化を生じることなく、溶銑の予備処理をすること
ができる。なお、含油スラッジ(圧延工場等から発生す
る油分を含んだミルスケール等)を精錬剤の酸化鉄とし
て利用する場合には、前述の式(7) を満たす条件に制御
する。
【0017】このような形態で本発明が実施される。
【0018】本発明は、溶銑の予備処理に際してランス
ノズルへの凝固付着物の生成・肥大化が生じ難い溶銑予
備処理方法を開発すべく、種々の処理条件で実験を重
ね、得られたデータを解析するという研究を鋭意行い、
その結果、得られた知見に基づき完成されたものであ
る。即ち、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、溶銑
予備処理の際の溶銑への精錬剤の吹き込みの条件を特定
の条件に制御することにより、ランスノズルへの凝固付
着物の生成・肥大化を抑制することができることを見出
し、この知見に基づき本発明を完成させた。このように
して完成された本発明は溶銑予備処理方法に係わり、そ
れは請求項1〜3記載の溶銑予備処理方法(第1発明〜
第3発明に係る溶銑予備処理方法)である。
【0019】本発明の第1発明(請求項1)に係る溶銑
予備処理方法によれば、溶銑への精錬剤の吹き込みの条
件を前述の式(1) または式(2) を満たす条件に制御する
こととしており、これにより、ランスノズルへの凝固付
着物の生成・肥大化を抑制することができる。
【0020】即ち、ランスノズルへの付着生成物は精錬
剤を主成分としたスラグと溶銑が混合凝固したものであ
り、この成長を抑制することができれば凝固付着物の生
成・肥大化を抑制することができる。かかる付着生成物
の成長を抑制するためには、(1) 精錬剤の低融点化、
(2) 精錬剤の冷却能の低下が重要である。先ず、(1) に
係る精錬剤の融点に関しては、CaO−FeOの状態図
(図4)よりわかる如く、精錬剤組成がCaO:25%
程度の場合に最も低融点であり、それよりCaO配合率
が増加または低下するにつれて融点が高くなる。次に、
(2) に係る精錬剤の冷却能に関しては、酸化鉄分の配合
率が高くなるほど大きくなる。これら(1),(2) の相乗効
果により、ランスノズルへの付着物の成長が起こりやす
い精錬剤組成の範囲が存在し、この範囲外の精錬剤組成
の場合にはランスノズルへの付着生成物の成長を抑制す
ることができる。
【0021】しかし、付着物の生成を抑制し過ぎると、
ランスノズル周辺耐火物は付着物による保護がなくなる
ために溶損して寿命低下を招く。従って、付着生成物が
成長し過ぎずに適度に存在することが必要である。
【0022】第1発明(請求項1)に係る溶銑予備処理
方法は、以上のことを考慮して、溶銑への精錬剤の吹き
込みの条件を前述の式(1) または式(2) を満たす条件に
制御するように定めたものである。従って、ランスノズ
ルへの凝固付着物の生成・肥大化を抑制することがで
き、しかも付着生成物を適度に存在させることもでき、
それによりランスノズル周辺耐火物の保護も可能とな
る。換言すれば、付着物の生成の過剰な抑制によるラン
スノズル周辺耐火物の溶損・寿命低下を生じることな
く、ランスノズルへの凝固付着物の生成・肥大化を抑制
することができる。なお、前述の式(1) でのRを0.3
5〜0.7とすると、ランスノズルへの凝固付着物の生
成・肥大化をより一層効果的に抑制することができ、前
記Rを0.5〜0.6とすると、ランスノズルへの凝固
付着物の生成・肥大化を更に効果的に抑制することがで
きる。また、前述の式(2) でのRを1.5〜3.3とす
ると、ランスノズルへの凝固付着物の生成・肥大化をよ
り一層効果的に抑制することができ、前記Rを1.7〜
2.4とすると、ランスノズルへの凝固付着物の生成・
肥大化を更に効果的に抑制することができる。
【0023】本発明の第2発明(請求項2)に係る溶銑
予備処理方法によれば、溶銑への精錬剤の吹き込みの条
件を前述の式(3) を満たす条件に制御することとしてお
り、これにより、ランスノズルへの凝固付着物の生成・
肥大化を抑制することができる。
【0024】即ち、ランスノズルへの凝固付着物の生成
・肥大化の抑制には精錬剤の組成的制御が最も有効であ
るが、これ以外の要因についても研究した。溶銑温度
は、高い方が凝固付着物が生成し難い。しかし、脱りん
は酸化反応であるため、溶銑温度が低い方が効率が良
く、このため、溶銑温度を上昇させるには限界がある。
気体酸素の吹き込み速度は大きい方が昇熱能が大きくな
るので、凝固付着物が生成し難くなる。
【0025】第2発明(請求項2)に係る溶銑予備処理
方法は、これらの要因をも定量的に指数化すると共に上
記のことを考慮して、溶銑への精錬剤の吹き込みの条件
を前述の式(3) を満たす条件に制御するように定めたも
のである。従って、付着生成物を適度に存在させること
もできると共に、第1発明の場合よりも、ランスノズル
への凝固付着物の生成・肥大化を確実に抑制することが
できる。なお、前述の式(3) でのMRIを0.3〜0.
7とすると、ランスノズルへの凝固付着物の生成・肥大
化をより一層効果的に抑制することができ、前記MRI
を0.4〜0.6とすると、ランスノズルへの凝固付着
物の生成・肥大化を更に効果的に抑制することができ
る。
【0026】本発明の第3発明(請求項3)に係る溶銑
予備処理方法によれば、溶銑への精錬剤の吹き込みの条
件を前述の式(7) を満たす条件に制御することとしてお
り、これにより、ランスノズルへの凝固付着物の生成・
肥大化を抑制することができる。
【0027】即ち、第3発明(請求項3)に係る溶銑予
備処理方法は、第2発明に係る溶銑予備処理方法と、基
本的には構成が同様であり、制御するMRIの範囲も同
様であるので、第2発明の場合と同様の作用効果を奏す
る。ただし、MRIを構成するファクターが第2発明の
場合よりも少し多く、第3発明に係るMRIは含油スラ
ッジ(圧延工場等から発生する油分を含んだミルスケー
ル等)の吹き込み速度および含油スラッジ中の油分の量
もファクターとして含んでいる。従って、第3発明に係
る溶銑予備処理方法は、含油スラッジも酸化鉄源として
利用する場合、即ち、精錬剤に含油スラッジも含まれる
場合に適用するものである。なお、第3発明に係る前述
の式(7) でのMRIを0.3〜0.7とすると、ランス
ノズルへの凝固付着物の生成・肥大化をより一層効果的
に抑制することができ、前記MRIを0.4〜0.6と
すると、ランスノズルへの凝固付着物の生成・肥大化を
更に効果的に抑制することができる。
【0028】なお、第2発明に係る式(3) でのMRIを
定義する式(5), (6)において、QOは気体酸素の吹き込
み速度〔Nm3 /分/t(溶銑)〕であり、これはイン
ジェクションランスからの気体酸素の吹き込み速度であ
る。気体酸素をインジェクションランスから吹き込まず
に上吹きランスから吹き込む場合は、式(5), (6)でのQ
O はゼロ(QO =0)となるが、この場合も第2発明に
含まれる。つまりQO=0の場合にも第2発明は適用可
能である。この場合、式(5), (6)でのQO をゼロ(QO
=0)として式(5), (6)を取り扱う。
【0029】第3発明の場合も上記第2発明の場合と同
様であり、気体酸素をインジェクションランスから吹き
込まずに上吹きランスから吹き込む場合も、第3発明に
含まれ、第3発明は適用可能である。この場合は式(9),
(10) でのQO をゼロ(QO=0)として式(9), (10)
を用いる。
【0030】本発明において、t(溶銑)はトン(溶
銑)のことである。気体酸素の吹き込み速度〔Nm3
分/t(溶銑)〕は、溶銑1t(トン)当たりの気体酸
素の吹き込み速度〔Nm3 /分〕のことである。含油ス
ラッジの吹き込み速度〔kg/分/t(溶銑)〕は、溶
銑1t(トン)当たりの含油スラッジの吹き込み速度
〔kg/分〕のことである。
【0031】
【実施例】本発明の実施例及び比較例を以下説明する。
尚、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0032】〔実施例1、比較例1〕高炉より出銑され
た溶銑を270t混銑車に装入した後、脱りんステーシ
ョンに輸送し、この溶銑(処理前温度:1300〜14
50℃)に対してインジェクションランスから気体酸素
を溶銑中に吹き込むと共に、生石灰(CaO)、鉄鉱
石、スケール(酸化鉄)を混合した粉体をインジェクシ
ョンランスから溶銑中に吹き込んで、溶銑の予備処理
(脱珪・脱りん処理)を行った。このとき、前記混合し
た粉体、即ち、インジェクションランスから吹き込む精
錬剤のR:〔精錬剤中の酸化鉄分の量(質量%)〕/
〔精錬剤中のCaO分の量(質量%)〕をパラメータと
して変化させた。そして、ランスノズルへの凝固付着物
の生成の状況を調査した。なお、上記インジェクション
ランスとしては、水平T字−2孔タイプのもので、ノズ
ル内径が38.7mmのものを使用した。このインジェ
クションランスを図5に示す。ただし、この図5は、ラ
ンスノズルへの凝固付着物1の生成・肥大化が生じた場
合のものを示している。
【0033】上記調査の結果を図1に示す。図1におい
て付着物生成指数は、1回の処理で凝固付着物が大きく
成長してランス孔からランスが抜けずに操業を中断せざ
るを得なくなる場合の付着物の量を基準とし、この場合
を1とし、これに対する割合を示すものである。具体的
には、例えば付着物生成指数:0.5の場合は、付着物
の量が付着物生成指数:1 の場合の50%であることに
なる。
【0034】図1からわかる如く、0.83<R<1.
26の場合には、付着物生成指数が大きくて凝固付着物
の生成量が多く、ランスノズルへの凝固付着物の生成・
肥大化が生じる。例えば、図5に示すような凝固付着物
1の生成・肥大化が生じる。これに対して、R<0.8
3の場合、及び、R>1.26の場合には、付着物生成
指数が小さくて凝固付着物の生成量が少なく、ランスノ
ズルへの凝固付着物の生成・肥大化が生じ難く、これが
抑制される。
【0035】しかし、R<0.18の場合、及び、R>
5.1の場合には、付着物の生成が抑制され過ぎてラン
スノズル周辺耐火物は付着物による保護がなくなるため
に溶損して寿命低下を招くことが確認された。
【0036】以上より、0.18<R<0.83、また
は、1.26<R<5.1とするとよく、そうすること
により、付着物の生成の過剰な抑制によるランスノズル
周辺耐火物の溶損・寿命低下を招くことなく、ランスノ
ズルへの凝固付着物の生成・肥大化を抑制し得ることが
確認された。即ち、本発明の第1発明の有効性が実証さ
れた。
【0037】〔実施例2、比較例2〕高炉より出銑され
た溶銑を270t混銑車に装入した後、この溶銑の予備
処理として脱りん処理を行った。そして、ランスノズル
への凝固付着物の生成の状況およびランスノズル周辺耐
火物の寿命を調査した。
【0038】このとき、予備処理前の溶銑温度は130
0〜1450℃である。溶銑予備処理の条件について
は、上吹き酸素原単位:1〜6Nm3 /t(溶銑)〔以
下、t(溶銑)をt・pという〕、上吹き酸素供給速
度:0.1〜2.0Nm3 /分/t・p、インジェクシ
ョンランスからの気体酸素の供給(吹き込み)速度:
0.01〜0.5Nm3 /分/t・p、精錬剤(脱りん
剤)の供給方法:粉体でインジェクションランスからの
吹き込み、精錬剤の粒径:0.5mm以下、インジェク
ションランスの浸漬深さ:1000〜2000mmとし
た。なお、上記インジェクションランスとしては、実施
例1、比較例1の場合と同様の水平T字−2孔タイプの
もので、ノズル内径が38.7mmのものを使用した
(図5)。キャリアガスには窒素を用いた。このキャリ
アガスはAr等の不活性ガスでもよい。
【0039】精錬剤(脱りん剤)の使用条件、即ち、原
単位および供給速度は、表1に示す通りである。また、
脱りん剤として、含油スラッジを生石灰と混合したもの
も用いた。これには、表2に示す如く組成が異なる4種
類のものを用いた。なお、表2において、それぞれの上
段(混合前と表示)の欄での組成は含油スラッジ自体の
組成であり、その下段(混合後と表示)の欄での組成は
前記含油スラッジを生石灰と混合して得た精錬剤の組成
である。表1に示す数値の単位は、kg/t・pであ
る。表2に示す数値の単位は、重量%(質量%)であ
る。
【0040】上記調査の結果を図2に示す。図2におい
てランス耐火物寿命はランスノズル周辺耐火物の寿命の
ことであり、ランス耐火物寿命(指数)は、ランスノズ
ル周辺耐火物の溶損が寿命律速にならない場合(即ち、
ランスノズル周辺耐火物の溶損によってランス耐火物寿
命が定まるのではない場合、換言すれば、スラグライン
でのランス耐火物の溶損が寿命律速になる場合、即ち、
スラグラインでのランス耐火物の溶損によってランス耐
火物寿命が定まる場合)のランス耐火物寿命を基準と
し、この場合を1とし、これに対する割合を示すもので
ある(後述の図3の場合も同様)。具体的には、例え
ば、ランス耐火物寿命(指数):0.5の場合は、ラン
スノズル周辺耐火物の溶損が寿命律速になり(ランスノ
ズル周辺耐火物の溶損によってランス耐火物寿命が定ま
り)、ランス耐火物寿命がランス耐火物寿命(指数):
1の場合の50%である(1/2と短くなる)ことにな
る。
【0041】図2からわかる如く、MRI<0.2の場
合には、付着物の生成が抑制され、付着物の生成がない
か、もしくは極めて少ないが、ランス耐火物寿命が短く
て不充分である。MRI>0.8の場合には、ランス耐
火物寿命が長くて充分であるが、凝固付着物の生成量が
多く、ランスノズルへの凝固付着物の生成・肥大化が生
じ、操業不可能になる。これに対して、0.2≦MRI
≦0.8の場合には、凝固付着物の生成量が適正であ
り、ランスノズルへの凝固付着物の生成・肥大化が生じ
ず、これが抑制されると共に、ランス耐火物寿命が長く
て充分である。
【0042】以上より、0.2≦MRI≦0.8とする
とよく、そうすることにより、付着物の生成の過剰な抑
制によるランスノズル周辺耐火物の溶損・寿命低下を招
くことなく、ランスノズルへの凝固付着物の生成・肥大
化を抑制し得ることが確認された。即ち、本発明の第2
発明および第3発明の有効性が実証された。
【0043】〔実施例3、比較例3〕高炉より出銑され
た溶銑を270t混銑車に装入した後、この溶銑の予備
処理として脱珪処理を行った。そして、ランスノズルへ
の凝固付着物の生成の状況およびランスノズル周辺耐火
物の寿命を調査した。
【0044】このとき、予備処理前の溶銑温度は、13
00〜1450℃である。溶銑予備処理の条件について
は、上吹き酸素原単位:1〜6Nm3 /t・p、上吹き
酸素供給速度:0.1〜2.0Nm3 /分/t・p、イ
ンジェクションランスからの気体酸素の供給(吹き込
み)速度:0.01〜0.5Nm3 /分/t・p、精錬
剤(脱珪剤)の供給方法:粉体でインジェクションラン
スからの吹き込み、精錬剤の粒径:0.5mm以下、イ
ンジェクションランスの浸漬深さ:1000〜2000
mmとした。なお、上記インジェクションランスとして
は、実施例1、比較例1の場合と同様のものを用いた
(図5)。キャリアガスには窒素を用いた。このキャリ
アガスはAr等の不活性ガスでもよい。
【0045】精錬剤(脱珪剤)の使用条件、即ち、原単
位および供給速度は、表3に示す通りである。また、脱
珪剤として含油スラッジを生石灰と混合したものも用い
た。これには、表4に示す如く組成が異なる4種類のも
のを用いた。なお、表4において、それぞれの上段(混
合前と表示)の欄での組成は含油スラッジ自体の組成で
あり、その下段(混合後と表示)の欄での組成は前記含
油スラッジを生石灰と混合して得た精錬剤の組成であ
る。表3に示す数値の単位は、kg/t・pである。表
4に示す数値の単位は、重量%(質量%)である。
【0046】上記調査の結果を図3に示す。図3からわ
かる如く、MRI<0.2の場合には、付着物の生成が
抑制され、付着物の生成がないか、もしくは極めて少な
いが、ランス耐火物寿命が短くて不充分である。MRI
>0.8の場合には、ランス耐火物寿命が長くて充分で
あるが、凝固付着物の生成量が多く、ランスノズルへの
凝固付着物の生成・肥大化が生じ、操業不可能になる。
これに対して、0.2≦MRI≦0.8の場合には、凝
固付着物の生成量が適正であり、ランスノズルへの凝固
付着物の生成・肥大化が生じず、これが抑制されると共
に、ランス耐火物寿命が長くて充分である。
【0047】従って、溶銑予備処理として脱珪処理を行
う場合も、0.2≦MRI≦0.8とするとよく、そう
することにより、付着物の生成の過剰な抑制によるラン
スノズル周辺耐火物の溶損・寿命低下を招くことなく、
ランスノズルへの凝固付着物の生成・肥大化を抑制し得
ることが確認された。即ち、本発明の第2発明および第
3発明の有効性が実証された。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【発明の効果】本発明に係る溶銑予備処理方法によれ
ば、ランスノズル(インジェクションランスのノズル)
への凝固付着物の生成・肥大化を抑制することができ、
しかも付着生成物を適度に存在させることもでき、それ
によりランスノズル周辺耐火物の保護も可能となる。即
ち、付着物の生成の過剰な抑制によるランスノズル周辺
耐火物の溶損・寿命低下を生じることなく、ランスノズ
ルへの凝固付着物の生成・肥大化を抑制することができ
るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1及び比較例1に係るR=(精錬剤中
の酸化鉄分重量%)/(精錬剤中のCaO分重量%)と
付着物生成指数との関係を示す図である。
【図2】 実施例2及び比較例2に係るMRI値とラン
ス耐火物寿命および付着物生成の状況との関係を示す図
である。
【図3】 実施例3及び比較例3に係るMRI値とラン
ス耐火物寿命および付着物生成の状況との関係を示す図
である。
【図4】 CaO−FeOの状態図を示す図である。
【図5】 水平T字−2孔タイプのインジェクションラ
ンス及びそのノズルへの凝固付着物の生成・肥大化の状
況を示す模式図である。
【符号の説明】
1--- 凝固付着物。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶銑に精錬剤をインジェクションランス
    から吹き込んで、溶銑の予備処理をする溶銑予備処理方
    法において、溶銑への精錬剤の吹き込みの条件を下記式
    (1) または式(2) を満たす条件に制御することを特徴と
    する溶銑予備処理方法。 0.18<R<0.83 ------------ 式(1) 1.26<R<5.1 ------------ 式(2) ただし、上記式(1) 、式(2) において、R:〔精錬剤中
    の酸化鉄分の量(質量%)〕/〔精錬剤中のCaO分の
    量(質量%)〕である。
  2. 【請求項2】 溶銑に精錬剤をインジェクションランス
    から吹き込んで、溶銑の予備処理をする溶銑予備処理方
    法において、溶銑への精錬剤の吹き込みの条件を下記式
    (3) を満たす条件に制御することを特徴とする溶銑予備
    処理方法。 0.2≦MRI≦0.8 ------------ 式(3) ただし、上記式(3) において、MRIは、下記式(4) で
    示されるRの値が1未満のときには下記式(5) で示され
    るMRIの値、Rの値が1以上のときには下記式(6) で
    示されるMRIの値である。 R=〔精錬剤中の酸化鉄分の量(質量%)〕/〔精錬剤中のCaO分 の量(質量%)〕 ---------------------------------- 式(4) MRI=−0.15+11/(T−1200) +0.14×e2.1R−0.5 ×QO ----式(5) MRI=−0.15+11/(T−1200) +1/R−0.5 ×QO ------- 式(6) ただし、上記式(5) 、(6) において、T:溶銑予備処理
    の終了時点での溶銑温度(℃)、QO :気体酸素の吹き
    込み速度〔Nm3 /分/t(溶銑)〕である。
  3. 【請求項3】 溶銑に精錬剤をインジェクションランス
    から吹き込んで、溶銑の予備処理をする溶銑予備処理方
    法において、溶銑への精錬剤の吹き込みの条件を下記式
    (7) を満たす条件に制御することを特徴とする溶銑予備
    処理方法。 0.2≦MRI≦0.8 ------------ 式(7) ただし、上記式(7) において、MRIは、下記式(8) で
    示されるRの値が1未満のときには下記式(9) で示され
    るMRIの値、Rの値が1以上のときには下記式(10)で
    示されるMRIの値である。 R=〔精錬剤中の酸化鉄分の量(質量%)〕/〔精錬剤中のCaO分 の量(質量%)〕 ---------------------------------- 式(8) MRI=−0.15+11/(T−1200) +0.14×e2.1R−0.5 ×QO +0.21×QS ×N -------------------------------- 式(9) MRI=−0.15+11/(T−1200) +1/R−0.5 ×QO +0.21×QS ×N -------------------------------- 式(10) ただし、上記式(9) 、(10)において、T:溶銑予備処理
    の終了時点での溶銑温度(℃)、QO :気体酸素の吹き
    込み速度〔Nm3 /分/t(溶銑)〕、QS :含油スラ
    ッジの吹き込み速度〔kg/分/t(溶銑)〕、N:含
    油スラッジ中の油分の量(質量%)である。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014162976A (ja) * 2013-02-27 2014-09-08 Jfe Steel Corp 溶銑の予備処理方法

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