JP2003059105A - 光ディスクおよびその製造方法 - Google Patents

光ディスクおよびその製造方法

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JP2003059105A
JP2003059105A JP2001252864A JP2001252864A JP2003059105A JP 2003059105 A JP2003059105 A JP 2003059105A JP 2001252864 A JP2001252864 A JP 2001252864A JP 2001252864 A JP2001252864 A JP 2001252864A JP 2003059105 A JP2003059105 A JP 2003059105A
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optical disc
recording
optical
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Kazuya Hayashibe
和弥 林部
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた記録特性の確保と情報の改竄防止機能
の確保とを両立させることが可能な光ディスクおよびそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 記録層14に情報を記録したのち、熱処
理により光透過層16を熱収縮させ、その厚みをD1か
らD2(D2<D1)に減少させる。光ディスクに対し
てレーザ光Lを照射させた際、光透過層16を透過する
レーザ光Lの光路長が熱処理工程前の状態よりも短くな
り、光学収差が生じる。この光学収差により、記録層1
4に対するレーザ光Lの照射スポット径が熱処理工程前
の照射スポット径W1よりも大きいW2(W2>W1)
となり、レーザ光Lの分解能が低下する。記録層14に
記録された情報の再生のみが可能となり、情報の書き換
えが不能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ光により情
報を記録または再生可能な光ディスクおよびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、情報記録メディアとして、レ
ーザ光により情報を記録または再生可能な光ディスクが
多様な用途に利用されている。この光ディスクは、主
に、プラスチック基板に、レーザ光を反射する反射層,
情報が記録される記録層,レーザ光の反射率を変化させ
る誘電体層,光ディスクを水分,酸素,キズ等から保護
する保護膜がこの順に積層された構成をなしている。
【0003】光ディスクの利用用途としては、例えば、
情報の記録・再生を反復して行う一般用途の他、最近で
は、公文書や機密文書などを保存するために、一度記録
された情報の書き換えを不能にし、情報の改竄を防止す
る用途などがある。このような情報の改竄防止機能を有
する光ディスクは、一般に、追記型光ディスク(ライト
ワンスディスク)と呼ばれており、例えばCD−R(Co
mpact Disc-Recordable )やDVD−R(Digital Vers
atile Disc-Recording)として知られている。
【0004】この追記型光ディスクとしては、例えば、
記録層の形成材料(記録材料)として各種合金を用いた
ものが知られている。ところが、合金により構成された
記録層では、(1)熱応答が緩慢で、(2)ジッター特
性が十分でなく、(3)記録密度の高密度化が困難であ
るという欠点がある。このような欠点を改善し得る記録
材料としては、例えば、相変化記録材料や光磁気記録材
料などが挙げられる。相変化記録材料を用いて構成され
た光ディスクは例えばDVD(Digital Versatile Dis
c)として知られており、光引き記録材料を用いて構成
された光ディスクは例えばMO(Magneto-Optical )デ
ィスクとして知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
DVDやMOディスクでは、相変化記録材料や光磁気記
録材料による可逆的な特性変化を利用して情報の記録が
行われるため、優れた記録特性を確保することが可能な
反面、一度記録された情報が書換可能となってしまい、
情報の改竄防止機能を確保することが困難であるという
問題があった。
【0006】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、優れた記録特性の確保と情報の
改竄防止機能の確保とを両立させることが可能な光ディ
スクおよびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の光ディスクは、
基板に少なくとも記録層および光透過層が形成されてな
るものであり、記録層に情報が記録されたのち、光透過
層を透過するレーザ光の光路長が変化可能なようにした
ものである。
【0008】本発明の光ディスクの製造方法は、基板に
少なくとも記録層および光透過層が形成されてなる光デ
ィスクを製造する方法であり、記録層に情報を記録した
のち、光透過層を透過するレーザ光の光路長を変化させ
るようにしたものである。
【0009】本発明の光ディスクまたはその製造方法で
は、記録層に情報が記録されたのち、光透過層を透過す
るレーザ光の光路長が変化する。このレーザ光の光路長
の変化に起因して生じる光学収差を利用することによ
り、情報の再生のみが可能になり、情報の書き換えが不
能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】[第1の実施の形態]<光ディスクの製造
方法>まず、図1および図2を参照して、本発明の第1
の実施の形態に係る光ディスクの製造方法について説明
する。なお、本発明の光ディスクは、本実施の形態に係
る光ディスクの製造方法により具現化されるので、以下
併せて説明する。図1は光ディスクの製造工程における
一工程を説明するものであり、図2は完成した光ディス
クの断面構成を表している。本実施の形態に係る光ディ
スクの製造方法により製造される光ディスクは、情報の
改竄防止機能を備えた追記型光ディスクであり、主に、
「光ディスク本体の形成工程」,「情報の記録工程」,
「熱処理工程」をこの順に経て製造される。
【0012】《光ディスク本体の形成工程》光ディスク
を製造する際には、まず、光ディスク本体の形成工程を
行う。すなわち、基板11を形成するために必要な金属
製の記録原盤(スタンパ)を形成したのち、このスタン
パを用いて、射出成形により、例えばポリカーボネート
よりなる基板11を約1.1mmの厚みで形成する(図
1参照)。基板11を形成する際には、例えば、ほぼ中
央部に円形の開口を有する円盤状をなすようにすると共
に、表面にエンボスピットやグルーブなどの凹凸構造を
設けるようにする。
【0013】続いて、基板11の表面に、例えばスパッ
タリングにより、例えばアルミニウム銅合金(AlC
u)やアルミニウムチタン合金(AlTi)などのアル
ミニウム系合金よりなる反射層12を約60nmの厚み
で形成する。この反射層12は、主に、光ディスクに対
して照射されたレーザ光Lを反射させるためのものであ
る。
【0014】続いて、反射層12の上に、例えばスパッ
タリングにより、例えば酸化アルミニウム(Al
2 3 )などの金属酸化物,硫化亜鉛−酸化珪素(Zn
S−SiO 2 )などのシリコン酸化物または窒化珪素
(Si3 4 )などのシリコン窒化物よりなる誘電体層
13を約10nmの厚みで形成する。この誘電体層13
は、主に、最適なレーザ光Lの強度(記録感度)を変化
させるためのものである。
【0015】続いて、誘電体層13の上に、例えばスパ
ッタリングにより、例えば相変化記録材料よりなる記録
層14を約20nmの厚みで形成する。相変化記録材料
としては、例えばゲルマニウムアンチモンテルル合金
(GeSbTe),アンチモンテルル合金(SbT
e),インジウムゲルマニウムアンチモンテルル合金
(InGeSbTe),銀インジウムアンチモンテルル
合金(AgInSbTe),銀インジウムゲルマニウム
アンチモンテルル合金(AgInGeSbTe),ゲル
マニウムアンチモンテルル錫合金(GeSbTeSn)
などの合金を用いるようにする。この記録層14は、主
に、アモルファス状態と結晶状態との間の可逆的な状態
変化を利用することにより情報が記録されるものであ
る。
【0016】続いて、記録層14の上に、誘電体層13
を形成した場合と同様の形成材料および形成方法によ
り、誘電体層15を約60nmの厚みで形成する。この
誘電体層15は、主に、光ディスクに対して照射された
レーザ光Lの反射率を変化させるためのものである。
【0017】続いて、誘電体層15上に、例えばスピン
コートにより、例えば変性アクリレートなどの光透過性
を有する紫外線硬化型樹脂層を形成したのち、この樹脂
層に紫外線を照射して硬化させることにより、厚みD1
(例えばD1=約98.4μm)となるように光透過層
16を形成する。この光透過層16は、主に、光ディス
クに対して照射されたレーザ光Lを透過させて記録層1
4まで導くと共に、光ディスクを水分,酸素,キズ等か
ら保護するためのものである。光透過層16を形成する
際には、例えば、記録時における光学収差が最も小さく
なるように、ピックアップの光学系に応じて厚みD1を
適正に設定する。これにより、光ディスク本体が完成す
る。
【0018】《情報の記録工程》続いて、光ディスクに
対する情報の記録工程を行う。すなわち、光ディスクに
対して光透過層16側からレーザ光Lを照射し、記録層
14に、情報を記録マークMとして記録する(図1参
照)。
【0019】《熱処理工程》続いて、光ディスクに情報
の改竄防止機能を付与するために、光ディスクの熱処理
工程を行う。すなわち、記録工程において情報が記録さ
れた光ディスクを、約80℃の恒温槽中に約24時間投
入する。この熱処理により、光透過層16が熱収縮し、
その厚みがD1からD2(D2<D1;例えばD2=約
92.7μm)に減少する(図2参照)。これにより、
相変化型記録方式の改竄防止型光ディスクが完成する。
なお、情報の改竄防止機構の詳細については後述する。
【0020】<光ディスクの作用>次に、図2を参照し
て、光ディスクの作用について説明する。
【0021】この光ディスクでは、光透過層16側から
レーザ光Lが照射されると、このレーザ光Lが光透過層
16を透過して記録層14に到達する。そして、記録層
14に対するレーザ光Lの照射領域がアモルファス状態
から結晶状態に変化し、この状態変化に応じて照射領域
の反射率が変化することにより、情報が記録マークMと
して記録層14に記録される。
【0022】一方、光ディスクに対してレーザ光Lを照
射し、レーザ光Lが記録層14から反射する際の反射率
の高低を検出することにより、記録層14に記録された
情報が再生される。
【0023】<情報の改竄防止機構>次に、図1および
図2を参照して、情報の改竄防止機構について説明す
る。この光ディスクでは、以下のような原理により、一
度記録された情報の改竄が防止される。
【0024】すなわち、熱処理工程前の光ディスク(図
1参照)では、光ディスクに対してレーザ光Lが照射さ
れると、レーザ光Lは光透過層16の表面で屈折したの
ち、厚みD1(=約98.4μm)の光透過層16を透
過して記録層14に到達する。このとき、記録層14に
対するレーザ光Lの照射スポット径をW1とすると、記
録層14に記録される記録マークMのマーク幅もW1と
なり、比較的高い分解能で光ディスクに情報が記録され
る。この状態では、情報の再生および書き換えがいずれ
も可能である。
【0025】これに対して、熱処理工程後の光ディスク
(図2参照)では、光透過層16の厚みがD1からD2
(=約92.7μm)に減少しているため、光透過層1
6を透過するレーザ光Lの光路長が熱処理工程前の状態
よりも短くなり、光ディスクに対してレーザ光Lを照射
させた際に光学収差が生じることとなる。このとき生じ
る光学収差は、レーザ光Lの照射時における焦点位置の
制御では避けられないものである。この光学収差によ
り、記録層14に対するレーザ光Lの照射スポット径が
W1よりも大きいW2(W2>W1)となり、レーザ光
Lの分解能が低下する。この状態では、振幅が減少する
こととなるが、照射スポット径が大きくなった低分解能
のレーザ光Lにより高分解能の記録マークMを読み取っ
て情報を再生することは可能となる。一方、低分解能の
レーザ光Lにより記録マークMを書き換えようとする
と、さらに低分解能のマークが記録されるため、このマ
ークを再び読み取ることは困難となる。したがって、光
ディスクに記録されている情報の書き換えが不能とな
る。なお、熱処理工程後におけるレーザ光Lの照射スポ
ット径W2の大きさは、記録マークMを読み取ることが
可能な範囲内で自由に設定可能である。照射スポット径
W2の上限としては、例えば、情報の再生機能を確保す
るために、記録工程時におけるレーザ光Lの照射スポッ
ト径W1の2倍程度とするのが好ましい。
【0026】このことは、図3に示した光ディスクの特
性試験結果から明らかである。図3は光ディスクの記録
・再生特性に関する試験結果を表すものであり、「横
軸」はレーザ強度(mW),「縦軸」はタイミングジッ
ター値(%)をそれぞれ示している。図中の「3A」は
熱処理工程前の記録・再生時,「3B」は熱処理工程後
の再生時,「3C」は熱処理工程後の記録時においてそ
れぞれ測定されたタイミングジッター値を示している。
なお、情報の記録工程では、線速=約5.72m/sで
光ディスクを回転させた状態において、開口数(NA)
=約0.85,波長=約405nmの光学系を用い、Ch
annel clock 66MHz,1−7変調にてランダムパタ
ーンを記録層14に記録した。
【0027】図3から判るように、熱処理工程前の記録
・再生時のタイミングジッター値(3A)は約10%〜
12%であり、良好な信号特性を判断する際の指標とし
てのタイミングジッター値=約15%よりも小さい値で
あった。一方、熱処理工程後のタイミングジッター値
は、再生時(3B)について約11%〜14%と信号特
性が良好であるのに対して、記録時(3C)について約
16%〜29%と信号特性が劣化してしまった。このこ
とから、熱処理工程後の光ディスクでは、情報の再生の
みが可能になり、情報の書き換えが不能になることが確
認された。
【0028】<第1の実施の形態の効果>以上説明した
ように、本実施の形態に係る光ディスクまたはその製造
方法では、記録層14に情報が記録されたのち、熱収縮
によって光透過層16の厚みが減少することにより、光
透過層16を透過するレーザ光Lの光路長が短くなるよ
うにしたので、上記「情報の改竄防止機構の項」におい
て説明したように、光路長の変化に起因して生じる光学
収差を利用することにより情報の再生のみが可能にな
り、情報の書き換えが不能になる。しかも、記録層14
は相変化記録材料により構成されているため、優れた記
録特性が確保される。したがって、本実施の形態では、
光ディスクについて優れた記録特性の確保と改竄防止機
能の確保とを両立させることができる。
【0029】また、本実施の形態では、既存の相変化型
光ディスクの製造工程に煩雑または困難な工程を附加す
る必要がなく、比較的簡単な「情報の記録工程」および
「熱処理工程」を附加することにより追記型光ディスク
を製造することが可能になるため、既存の製造技術を流
用して追記型光ディスクを容易に製造することができ
る。これにより、さらに、追記型光ディスクの生産性向
上および低コスト化も図ることができる。
【0030】<第1の実施の形態の変形例>なお、本実
施の形態では、情報の改竄防止機能をDVDなどの相変
化型光ディスクに適用した場合について説明したが、必
ずしもこれに限られるものではなく、例えばDVR(Da
ta&Video Recording)やMOディスクなどの他の光ディ
スクについても適用可能である。これらのDVRやMO
ディスクは、例えば、図1に示した相変化型光ディスク
とほぼ同様の構成および製造方法により製造可能であ
り、各構成要素の材質および厚みは以下の通りである。
すなわち、DVRについて、例えば、基板11としてポ
リカーボネート(約1.1mm),反射層12としてア
ルミニウム銅合金(約100nm),誘電体層13とし
て窒化珪素(約15nm),記録層14としてゲルマニ
ウムインジウムアンチモンテルル合金などの相変化記録
材料(約14nm),誘電体層15として窒化珪素(約
50nm),光透過層16として変性アクリレートなど
の紫外線硬化型樹脂(約100μm)がそれぞれ挙げら
れる。また、MOディスクについて、例えば、基板11
としてポリカーボネート(約1.1mm),反射層12
としてアルミニウムチタン合金(約60nm),誘電体
層13として窒化珪素(約10nm),記録層14とし
てテルビウム鉄コバルト合金(TbFeCo)などの光
磁気記録材料(約20nm),誘電体層15として窒化
珪素(約60nm),光透過層16として変性アクリレ
ートなどの紫外線硬化型樹脂(約100μm)がそれぞ
れ挙げられる。MOディスクでは、主に、光磁気記録材
料よりなる記録層14にレーザ光Lが照射されると、そ
の照射領域において磁化方向が変化することにより情報
が記録される。これらのDVRやMOディスクについて
も、上記実施の形態において説明したDVDの場合と同
様の効果を得ることができる。
【0031】また、本実施の形態では、光ディスクに情
報の改竄防止機能を付与するために、熱処理による光透
過層16の熱収縮現象を利用してレーザ光Lの光路長を
短くするようにしたが、必ずしもこれに限られるもので
はない。例えば、記録層14に情報を記録したのち、ス
ピンコートにより、付加的な光透過層として変性アクリ
レートなどよりなる紫外線硬化樹脂層をさらに光透過層
16上に形成することにより、レーザ光Lの光路長を長
くするようにしてもよい。この場合においても、レーザ
光Lの光路長について紫外線硬化樹脂層の形成前または
形成後で差異が生じ、これにより光学収差が生じること
となるため、上記実施の形態の場合と同様の効果を得る
ことができる。
【0032】[第2の実施の形態]<光ディスクの製造
方法>次に、図4および図5を参照して、本発明の第2
の実施の形態に係る光ディスクの製造方法について説明
する。図4は光ディスクの製造工程における一工程を説
明するものであり、図5は完成した光ディスクの断面構
成を表している。本実施の形態に係る光ディスクの製造
方法は、熱収縮現象を利用して光透過層16の厚みを減
少させた上記第1の実施の形態の場合とは異なり、例え
ば、光透過層を2層構成とし、そのうち1層を選択的に
除去することにより光透過層の厚みを減少させるもので
ある。この光ディスクの製造工程は、主に、「光ディス
ク本体の形成工程」,「情報の記録工程」,「剥離工
程」をこの順に経て製造される。
【0033】《光ディスク本体の形成工程》光ディスク
を製造する際には、まず、光ディスク本体の形成工程を
行う。すなわち、上記第1の実施の形態の場合と同様
に、基板11に反射層12,誘電体層13,記録層1
4,誘電体層15を順次形成したのち、誘電体層15の
上に、粘着材を塗布して粘着層21を約30μmの厚み
で形成する(図4参照)。粘着層21の形成材料として
は、例えば、誘電体層15と後述する第1層目の光透過
層22との間で剥離が生じない程度の強粘着性を有する
光透過性のものを用いるようにし、具体的には、圧力を
加えることで接着力が発生するアクリル系感圧性接着剤
を用いる。なお、感圧接着剤は、上記したアクリル系に
代えて、例えばゴム系,ウレタン系,シリコン系などの
ものを用いることも可能である。
【0034】続いて、粘着層21の上に、例えばレーザ
光Lを透過可能なポリカーボネートシートよりなる第1
層目の光透過層22(第1の光透過層部分)を貼り付け
る。
【0035】続いて、第1層目の光透過層22の上に、
粘着材を塗布して粘着層23を約30μmの厚みで形成
する。粘着層23の形成材料としては、例えば、第1層
目の光透過層22と後述する第2層目の光透過層24と
の間で剥離可能な程度の弱粘着性を有する光透過性のア
クリル系感圧性粘着剤を用い、第2層目の光透過層24
を剥離した際に、この第2層目の光透過層24と共に粘
着層23が剥離するようにする。粘着層23の形成材料
についても、上記したアクリル系に代えて、例えばゴム
系,ウレタン系,シリコン系などのものを用いることも
可能である。
【0036】続いて、粘着層23の上に、第1層目の光
透過層22と同様の材質よりなる第2層目の光透過層2
4(第2の光透過層部分)を貼り付ける。これにより、
光ディスク本体が完成する。
【0037】《情報の記録工程》続いて、上記第1の実
施の形態の場合と同様に情報の記録工程を行い、レーザ
光Lにより記録層14に情報を記録マークMとして記録
する(図4参照)。
【0038】《剥離工程》続いて、光ディスクに情報の
改竄防止機能を付与するために、剥離工程を行う。すな
わち、記録工程において情報が記録された光ディスクの
うち、第2層目の光透過層24(粘着層22を含む)を
選択的に剥がして除去し、第1層目の光透過層22のみ
を残存させる(図5参照)。これにより、相変化型記録
方式の改竄防止型光ディスクが完成する。
【0039】<情報の改竄防止機構>この光ディスクで
は、以下のような原理により情報の改竄が防止される。
【0040】すなわち、剥離工程前の光ディスク(図4
参照)では、光ディスクに対して照射されたレーザ光L
が厚みD3の光透過領域(粘着層21,第1層目の光透
過層22,粘着層23,第2層目の光透過層24)を透
過して記録層14に到達することにより情報の記録が行
われ、記録マークMのマーク幅は、レーザ光Lの照射ス
ポット径に等しいW3となる。
【0041】これに対して、剥離工程後の光ディスク
(図5参照)では、厚みD3より小さい厚みD4(D4
<D3)の光透過領域(粘着層21,第1層目の光透過
層22)を透過してレーザ光Lが記録層14に到達する
ため、レーザ光Lの光路長が剥離工程前の状態よりも短
くなり、これにより光学収差が生じることになる。記録
層14に対するレーザ光Lの照射スポット径は、W3よ
りも大きいW4(W4>W3)となる。したがって、光
透過層16の熱収縮によりレーザ光Lの光路長を短くし
た上記第1の実施の形態の場合と同様の作用により、情
報の再生のみが可能になり、情報の書き換えが不能とな
る。
【0042】<第2の実施の形態の効果>以上のことか
ら、上記「情報の改竄防止機構」の項において説明した
ように、本実施の形態に係る光ディスクまたはその製造
方法では、剥離工程の前後における光透過層の厚みの変
化に起因して生じる光学収差を利用することにより、上
記第1の実施の形態の場合と同様に、優れた記録特性の
確保と情報の改竄防止機能の確保とを両立させることが
できる。なお、本実施の形態に係る光ディスクまたはそ
の製造方法に関する上記以外の動作,機能,作用,効果
および変形例等は、上記第1の実施の形態の場合と同様
である。
【0043】[第3の実施の形態]<光ディスクの製造
方法>次に、図6および図7を参照して、本発明の第3
の実施の形態に係る光ディスクの製造方法について説明
する。図6は光ディスクの製造工程における一工程を説
明するものであり、図7は完成した光ディスクの断面構
成を表している。本実施の形態に係る光ディスクの製造
方法は、光透過層の厚みを変化させることによりレーザ
光Lの光路長を変化させた上記第1または第2の実施の
形態の場合とは異なり、光透過層の厚みは変化させず、
その屈折率を変化させることによりレーザ光Lの光路長
を変化させるものである。この光ディスクの製造工程
は、主に、「光ディスク本体の形成工程」,「情報の記
録工程」,「感光工程」をこの順に経て製造される。
【0044】《光ディスク本体の形成工程》光ディスク
を製造する際には、まず、光ディスク本体の形成工程を
行う。すなわち、上記第1の実施の形態の場合と同様
に、基板11に反射層12,誘電体層13,記録層1
4,誘電体層15を順次形成したのち、誘電体層15の
上に、例えばスピンコートにより光透過層31を約10
0μmの厚みで形成する。光透過層31の形成材料とし
ては、例えば変性アクリレートよりなる光透過性の紫外
線硬化型樹脂に、所定の光線により感光して屈折率が変
化可能な材料、例えば赤外線により感光可能なフタロシ
アニン色素を含有させたものを用いるようにする。
【0045】《情報の記録工程》続いて、上記第1の実
施の形態の場合と同様に情報の記録工程を行い、レーザ
光Lにより記録層14に情報を記録マークMとして記録
する(図6参照)。
【0046】《感光工程》続いて、光ディスクに情報の
改竄防止機能を付与するために、感光工程を行う。すな
わち、記録工程において情報が記録された光ディスクに
対して赤外線Rを照射し、光透過層31に含まれている
感光材料(フタロシアニン色素)を感光させる(図7参
照)。これにより、相変化型記録方式の改竄防止型光デ
ィスクが完成する。
【0047】<情報の改竄防止機構>この光ディスクで
は、以下のような原理により情報の改竄が防止される。
【0048】すなわち、感光工程前の光ディスク(図6
参照)では、光ディスクに対して照射されたレーザ光L
が屈折率n1の光透過層31を透過して記録層14に到
達することにより情報の記録が行われ、記録マークMの
マーク幅は、レーザ光Lの照射スポット径に等しいW5
となる。
【0049】これに対して、感光工程後の光ディスク
(図7参照)では、赤外線Rの照射により屈折率がn1
からn2に変化した光透過層31を透過してレーザ光L
が記録層14に到達するため、屈折率の変化に応じてレ
ーザ光Lの光路長が感光工程前の状態と比べて変化し、
これにより光学収差が生じることとなる。記録層14に
対するレーザ光Lの照射スポット径は、W5よりも大き
いW6(W6>W5)となる。したがって、光透過層1
6の熱収縮によりレーザ光Lの光路長を短くした上記第
1の実施の形態の場合と同様の作用により、情報の再生
のみが可能になり、情報の書き換えは不能となる。
【0050】<第3の実施の形態の効果>以上のことか
ら、上記「情報の改竄防止機構」の項において説明した
ように、本実施の形態に係る光ディスクまたはその製造
方法では、感光工程の前後における光透過層31の屈折
率の変化に起因して生じる光学収差を利用することによ
り、上記第1の実施の形態の場合と同様に、優れた記録
特性の確保と情報の改竄防止機能の確保とを両立させる
ことができる。なお、本実施の形態に係る光ディスクま
たはその製造方法に関する上記以外の動作,機能,作
用,効果および変形例等は、上記第1の実施の形態の場
合と同様である。
【0051】以上、いくつかの実施の形態を挙げて本発
明を説明したが、本発明は上記各実施の形態に限定され
るものではなく、種々変形可能である。上記各実施の形
態において説明した光ディスクの構成やその製造方法に
関する詳細は、必ずしも上記実施の形態において説明し
たものに限られるものではなく、記録層に情報が記録さ
れたのち、光透過層を透過するレーザ光の光路長を変化
させることにより情報の改竄防止機能を確保することが
可能な限り、自由に変更可能である。
【0052】特に、上記各実施の形態では、光ディスク
に情報の改竄防止機能を付与するための各種工程、すな
わち第1の実施の形態における熱処理工程,第2の実施
の形態における剥離工程,第3の実施の形態における感
光工程が光ディスクの製造工程中において行われるよう
にしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、これ
らの各種処理がユーザ自身により行われるようにしても
よい。この場合には、上記熱処理工程等が施される前の
状態の光ディスク(情報が記録されていない空き光ディ
スク)がユーザに販売されることとなり、ユーザは所望
の情報を光ディスクに記録することができる。なお、上
記の各種処理を行うために要する熱処理装置や感光装置
などは、ユーザに個別に販売するようにしてもよいし、
あるいは所定の店舗(例えばコンビニエンスストア)に
据え置き、各ユーザが共有して利用するようにしてもよ
い。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1ないし請
求項7のいずれか1項に記載の光ディスクまたは請求項
8ないし請求項14のいずれか1項に記載の光ディスク
の製造方法によれば、記録層に情報を記録したのち、光
透過層を透過するレーザ光の光路長を変化させるように
したので、光路長の変化に起因して生じる光学収差を利
用することにより、情報の再生のみが可能になり、情報
の書き換えが不能になる。しかも、例えば相変化記録材
料や光磁気記録材料により記録層を構成することによ
り、優れた記録特性が確保される。したがって、光ディ
スクについて優れた記録特性の確保と改竄防止機能の確
保とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る光ディスクの
製造方法の一工程を説明するための断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る光ディスクの
断面構成を表す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る光ディスクの
記録・再生特性に関する試験結果を表す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る光ディスクの
製造方法の一工程を説明するための断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る光ディスクの
断面構成を表す断面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る光ディスクの
製造方法の一工程を説明するための断面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る光ディスクの
断面構成を表す断面図である。
【符号の説明】
11…基板、12…反射層、13,15…誘電体層、1
4…記録層、16,31…光透過層、21,23…粘着
層、22…第1層目の光透過層、24…第2層目の光透
過層、L…レーザ光、M…記録マーク、n1,n2…屈
折率、R…赤外線。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/26 531 G11B 7/26 531 11/105 531 11/105 531E 531F 531K 546 546A

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板に少なくとも記録層および光透過層
    が形成されてなる光ディスクであって、 前記記録層に情報が記録されたのち、前記光透過層を透
    過するレーザ光の光路長が変化可能であることを特徴と
    する光ディスク。
  2. 【請求項2】 熱処理によって前記光透過層の厚みが変
    化することにより、前記レーザ光の光路長が変化するこ
    とを特徴とする請求項1記載の光ディスク。
  3. 【請求項3】 前記光透過層が、前記記録層に近い側の
    第1の光透過層部分と遠い側の第2の光透過層部分とを
    含んで構成されており、 前記第1の光透過層部分を残して前記第2の光透過層部
    分が選択的に除去され、前記光透過層の厚みが変化する
    ことにより、前記レーザ光の光路長が変化することを特
    徴とする請求項1記載の光ディスク。
  4. 【請求項4】 前記光透過層が感光材料を含んで構成さ
    れており、 感光処理によって前記感光材料が感光され、前記光透過
    層の屈折率が変化することにより、前記レーザ光の光路
    長が変化することを特徴とする請求項1記載の光ディス
    ク。
  5. 【請求項5】 前記感光材料はフタロシアニン色素を含
    むものであり、 前記感光材料は赤外線により感光されることを特徴とす
    る請求項4記載の光ディスク。
  6. 【請求項6】 前記記録層は、相変化記録材料により構
    成されていることを特徴とする請求項1記載の光ディス
    ク。
  7. 【請求項7】 前記記録層は、光磁気記録材料により構
    成されていることを特徴とする請求項1記載の光ディス
    ク。
  8. 【請求項8】 基板に少なくとも記録層および光透過層
    が形成されてなる光ディスクの製造方法であって、 前記記録層に情報を記録したのち、前記光透過層を透過
    するレーザ光の光路長を変化させることを特徴とする光
    ディスクの製造方法。
  9. 【請求項9】 熱処理によって前記光透過層の厚みを変
    化させることにより、前記レーザ光の光路長を変化させ
    ることを特徴とする請求項8記載の光ディスクの製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記光透過層は、前記記録層に近い側
    の第1の光透過層部分と遠い側の第2の光透過層部分と
    を含んで形成されたものであり、 前記第1の光透過層を残して前記第2の光透過層を選択
    的に除去し、前記光透過層の厚みを変化させることによ
    り、前記レーザ光の光路長を変化させることを特徴とす
    る請求項8記載の光ディスクの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記光透過層は感光材料を含んで形成
    されたものであり、 感光処理によって前記感光材料を感光し、前記光透過層
    の屈折率を変化させることにより、前記レーザ光の光路
    長を変化させることを特徴とする請求項8記載の光ディ
    スクの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記感光材料はフタロシアニン色素を
    含むものであり、 赤外線により前記感光材料を感光することを特徴とする
    請求項11記載の光ディスクの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記記録層は、相変化記録材料により
    形成されたものであることを特徴とする請求項8記載の
    光ディスクの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記記録層は、光磁気記録材料により
    形成されたものであることを特徴とする請求項8記載の
    光ディスクの製造方法。
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