JP2003058256A - アクティブ制振方法及びアクティブ制振装置 - Google Patents

アクティブ制振方法及びアクティブ制振装置

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JP2003058256A
JP2003058256A JP2001250721A JP2001250721A JP2003058256A JP 2003058256 A JP2003058256 A JP 2003058256A JP 2001250721 A JP2001250721 A JP 2001250721A JP 2001250721 A JP2001250721 A JP 2001250721A JP 2003058256 A JP2003058256 A JP 2003058256A
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一郎 長島
Tatsuhiro Ranki
龍大 欄木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 種々の制振レベルに応じて最適な動的補償器
を設定することができる。 【解決手段】 アクティブ制振システムは、応答量X1
〜XNから、変数αによりその補償特性が変化し、駆動
指令電圧U(α)を求める可変式動的補償器10と、可
変式動的補償器10が求めた駆動指令電圧U(α)に基
づいて制振装置5の駆動を制御する駆動装置制御回路4
とを備えている。ここで、このアクティブ制振システム
は、前記補償特性を、前記応答量とその応答量の所定の
基準値との差が小さくなる方向へ連続的に変化させてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地震や風外乱等に
よって揺れる建物及び土木構築物等の構造物や機械等を
アクティブに制振するアクティブ制振方法及びその装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】構造物や構造物に設置された制振装置の
外乱や制振の結果に対する応答量に所定の制御ゲインを
掛けて、制振装置の制御量を求める方法が提案されてい
る。しかし、前記制御ゲインとして、最適制御理論等に
より予め計算した一定の値が使用されており、制御ゲイ
ンは構造物への地震や風等の外乱のレベルの変化に対応
して変化することもないので、想定外の大きな外乱レベ
ルに比例して大きくなった制御力が、制振装置で許容さ
れる値を超えてしまうという問題が生じていた。このよ
うな問題を解決するアクティブ制振方法として、例えば
特開平8−338473号公報(以下、単に従来例とい
う。)に記載されているものが開示されている。従来例
の概略は以下のようになる。
【0003】図13に示すように、コントローラ210
では、構造物100に配設した各センサ201からA/
D変換器202を介して入力されてくる各応答量X1
Nに制御ゲインを掛けて駆動指令電圧を得る。駆動指
令電圧は、D/A変換器203及び駆動装置制御回路2
04を介して制御信号として出力され、制振装置205
は、この制御信号に基づいて駆動されている。
【0004】ここで、各制御ゲインは、定数制御ゲイン
iに変数αの関数であるゲイン関数Ai(α)を掛ける
ことで現され、変数αは、制御の強さを示す指標になっ
ており、制御電流値Yが許容目標値YMAXに近づくよう
に小刻みに増減する。具体的には、各ゲイン関数A
i(α)は、変数αが大きくなるほど駆動指令電圧U
(α)が大きくなるように設定されており、また、変数
αが小さくなるほど駆動指令電圧U(α)が小さくなる
ように設定されている。
【0005】この従来例のアクティブ制振方法は、外乱
が小さくても所定以上の制御量を確保し、また、外乱が
想定したレベルよりも大きくても所定の制御量近傍の値
で制振することで、制振装置205の動力制約内できめ
細かい制御を可能として、外乱レベルに応じて制御性能
レベルを滑らかに変化させていた。なお、前記コントロ
ーラ210は、一般的には、動的補償器としても把握さ
れるものである。すなわち、図13に示したシステム
は、図14に示すように、前記コントローラ210であ
る伝達関数K(s)の動的補償器210が、構造物10
0からなる伝達関数P(s)の制御対象100の応答量
に基づいてフィードバック制御するものとして考えるこ
とができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来例のア
クティブ制振方法に、前記コントローラ(動的補償器)
210にバンドパスフィルタ等を組み込むことは有用な
ことである。例えば、バンドパスフィルタを組み込むこ
との効果としては、長周期の風外乱による制振装置に発
生するドリフト成分を低減し、又は制御対象が高次モー
ドで励振することによる制御力のスピルオーバを抑止す
ること等が挙げられる。
【0007】しかし、従来よりコントローラにバンドパ
スフィルタ等を組み込むことはなされているが、そのフ
ィルタの補償特性は一定値に設定されている。よって、
従来例のアクティブ制振方法では、極めて強い制御から
弱い制御まで非常に広い制御で種々の制振レベルをカバ
ーしているが、単にバンドパスフィルタ等を組み込んだ
だけでは、種々の制振レベルにてそのバンドパスフィル
タの性能も発揮できないばかりか、従来例のアクティブ
制振方法における制振レベルに応じて制御性能レベルを
滑らかに変化させるといった効果を阻害してしまうこと
になる。
【0008】なお、幅広い範囲の制振レベルに対応して
適切に応答することの方策として、新たな関数を定義し
たり、フィードフォワード制御のように別個の機構を設
けたり、制御量を求めるための演算において、変数を増
やしたり、或いは新たな伝達関数を定義したりすること
が挙げられる。しかし、バンド幅が大きくなって計算時
間が長くなったり、繰り返し回数を増やす必要があるな
ど、機構が複雑になって演算負荷が大きくなってしま
う。
【0009】そこで、本発明は、上述の問題点に着目し
てなされたもので、種々の制振レベルに応じて最適な補
償特性を設定することができるアクティブ制振方法及び
その装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の問題を解決するた
めに、請求項1記載のアクティブ制振方法は、制御対象
に制御力を入力する制振装置の応答量、及び外乱や前記
制振装置による制御対象の応答量の少なくとも1つを動
的補償手段に入力して制御量を求め、その制御量に応じ
た制御力を前記制振装置を介して前記制御対象に入力す
るアクティブ制振方法において、前記動的補償手段の補
償特性を、前記制振装置による応答量とその応答量の所
定の基準値との差が小さくなる方向へ連続的に変化させ
ることを特徴としている。
【0011】また、請求項2記載のアクティブ制振方法
は、請求項1記載のアクティブ制振方法において、前記
動的補償手段の補償特性を変数αにより変化させて、前
記変数αを、前記補償特性を前記制振装置の応答量とそ
の応答量の前記所定の基準値との差が小さくなる方向へ
連続的に変化させることを特徴としている。また、請求
項3記載のアクティブ制振方法は、請求項2記載のアク
ティブ制振方法において、前記変数αを、前記制振装置
の応答量が前記所定の基準値を下回っている場合は所定
上限値を限度に増加させて、前記制振装置の応答量が前
記所定の基準値以上である場合には所定下限値を限度に
減少させることを特徴としている。
【0012】また、請求項4記載のアクティブ制振装置
は、制御対象に制御力を入力する制振装置と、この制振
装置の応答量及び外乱や前記制振装置による制御対象の
応答量の少なくとも1つに基づいて制御量を求める動的
補償手段と、この動的補償手段が求めた制御量に基づい
て前記制振装置の駆動を制御する駆動制御手段とを備え
たアクティブ制振装置であって、前記動的補償手段の補
償特性は、前記制振装置による応答量とその応答量の所
定の基準値との差が小さくなる方向へ連続的に変化する
ことを特徴としている。
【0013】一般に、応答量はほぼ外乱のレベルに比例
するので、請求項1及び4に記載された発明は、適当な
応答量を選択することによって、応答量が所定基準値よ
り小さい状態、つまり外乱レベルが想定以上に低い場合
でも、制御量として所定以上の値を確保し、且つ応答量
が所定基準値より大きい状態、つまり外乱レベルが想定
以上に高い場合でも、制御量が所定以下の値になってし
まうことを抑えている。また、動的補償手段の補償特性
は、時々刻々、連続的に変化するので、そのように補償
特性により補償された制御量も連続的に小刻みに変化し
て、制御量に不連続が生じたりその不連続が頻繁に生じ
ることが抑えられる。
【0014】また、前記補償特性としては、制御ゲイン
や前記動的補償手段に組み込まれているフィルタの特性
がある。よって、本発明は、上述のように外乱レベルに
応じて制御量を所定の値に確保しつつも、フィルタの特
性についてもその外乱レベルに応じて変化するものにな
っている。また、請求項2に記載された発明は、補償特
性を変数αに依存させており、前記制御ゲインや前記フ
ィルタの特性が単一の変数αにより連続的に変化する。
【0015】また、請求項3に記載された発明は、所定
基準値を設定することで、変数α及び制御量が小さくな
りすぎたり、大きくなりすぎたりすることを防止してい
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しつつ詳細に説明する。この実施の形態
は、図1に示すように、複数のセンサ1、A/D変換器
2、動的補償器10、D/A変換器3、駆動装置制御回
路4及び制振装置5を備えているアクディブ制振システ
ムに本発明を適用したものである。
【0017】各センサ1は、制御対象である構造物10
0の地上階、最上階、及び中間の階等それぞれに配設さ
れている。各センサ1はそれぞれ、設置位置での変位
量、速度、加速度等の外乱や制振の結果による応答量X
1 〜XNを検出する変位計や加速度計等である。センサ
1で検出された応答量X1〜XNに応じた応答量信号は、
それぞれA/D変換器2に供給されて、A/D変換器2
では、応答量信号をデジタル化した各応答量X1〜XN
して動的補償器10に出力する。
【0018】動的補償器10は、後述する変数αにより
その補償特性が可変とされており、いわゆる可変式動的
補償器を構成している。この動的補償器10は、具体的
には、図2に示すように、フィルタ11及び制御量演算
部12を備えており、フィルタ11及び制御量演算部1
2それぞれに各応答量X1〜XNが入力される。フィルタ
11は、応答量X1〜XNから補償値を求めており、本実
施の形態では、バンドパスフィルタとして例示される。
フィルタ11は、入力された各応答量X1〜XNをフィル
タリングして得た2次的応答量としての出力データ
1,z2を、制御量演算部12に出力する。
【0019】制御量演算部12は、A/D変換器2を介
して各応答量X1〜XN及びフィルタ11から入力した出
力データz1,z2にそれぞれ対応する制御ゲインA
i(α)・Giを掛けることで制御量である駆動指令電圧
U(α)を求める。ここで、制御ゲインAi(α)・Gi
及びフィルタ11の出力データz1,z2は、動的補償器
10における前記補償特性をなす。
【0020】この制御量演算部12は、駆動指令電圧U
(α)を、D/A変換器3に出力して、D/A変換器3
は、入力された駆動指令電圧U(α)をアナログ変換し
て駆動装置制御回路4に出力する。駆動装置制御回路4
は、入力された駆動指令電圧U(α)に応じた制御信号
(制御電流)を制振装置5に出力する。制振装置5は、
制御対象である構造物100に対して駆動出力して制振
する制振装置である。この制振装置5は、上層の階に配
置されており、例えばアクティブマスダンパーやアクテ
ィブテンドン等である。この制振装置5は、駆動装置制
御回路4からの制御信号に応じた制御力を構造物100
に入力する。
【0021】前記コントローラ5の制御量演算部12に
おける駆動指令電圧U(α)の演算は、下記(1)式の
ように、各応答量X1〜XNに対応する各制御ゲインAi
(α)・Giを掛け合わせることでなされる。
【0022】
【数1】
【0023】ここで、ゲイン関数Ai(α)は、変数α
の多項式等によって現される関数であって、Ai(α)
と変数αとは、対応する応答量X1〜XNにより、例え
ば、図3に示されるような関係になる。一般には、ゲイ
ン関数Ai(α)は図3中に実線で示すように変数αに
比例して増減するが、所定の応答量X1〜XNの場合に
は、ゲイン関数Ai(α)は、図3中に破線で示すよう
に一定量変数α以降で、変数αの増加に対して減少する
ようにしてもよい。
【0024】また、各応答量X1〜XNに応じた各制御ゲ
インAi(α)・Gi は、所定の各定数制御ゲインG
iに、変数αで現される各ゲイン関数Ai(α)を重み付
けされて求められる可変ゲインである。よって、変数α
を制御中に変化させることでゲイン関数Ai(α)が変
化して、さらにはこの制御ゲインAi(α)・Giも変化
する。
【0025】次に、制御実行時の前記制御量演算部12
における処理について説明する。図4は、その処理手順
の概要を示している。なお、実施の形態では、制振装置
5の応答量の一つである制御力に対応した制御電流値Y
に応じて制御ゲインAi(α)・Giを連続的に変化させ
る場合を例に挙げて説明する。ここで、制御電流値Y
は、応答量X1〜XNの一つ又は所定の応答量X1〜XN
ら導き出せる値である。また、実施の形態では、その制
御電流値Yの能力限界値よりやや低い値である許容目標
値YMAXを後述の演算に使用する。例えば、許容目標値
MAXは、制御電流値Yの能力限界値の80%の値であ
る。また、制御電流値Yは、入力した値をそのまま使用
してもよく、或いは前回の制御ゲインを掛けた値を使用
してもよい。
【0026】先ず、制御開始時に、ステップS1におい
て、適当な初期値αinitを変数αに設定しておく。次
に、制御量演算部12は、ステップS2において、各セ
ンサ1からの応答量X1〜X2及び制御電流値Yを読み取
り、続くステップS3において、制振装置3の現在の制
御電流値Yと許容目標値YMAXとを比較して余裕変数β
を算出する。ここで、余裕変数βとは、例えば、下記
(2)式によって定義される値である。
【0027】
【数2】
【0028】この(2)式から、制御電流値Yが許容目
標値YMAXを越えている場合には、余裕変数βは負を示
す値であり、また、制御電流値Yが許容目標値YMAX
下回っている場合には、余裕変数βは正を示す値である
ことがわかる。すなわち、余裕関数βは、所定基準値か
らみた制御電流値Yの余裕状態(制御量の余裕状態)を
示すものであり、制御電流値Yが許容目標値YMAXを下
回っている場合、すなわち余裕がある場合には、その余
裕に応じた正の値を取り、制御電流値Yが許容目標値Y
MAXを越えている場合には、その超えた分に応じた負の
値をとる。なお、余裕変数βの算出は、前記(2)式に
より定義されることに限定されるものではなく、下記
(3)式により定義されるものであってもよい。ここ
で、Nは整数である。要は、前記説明したように、余裕
関数βは、所定基準値からみた制御電流値Yの余裕状態
を示唆するように定義されていればよい。
【0029】
【数3】
【0030】次に、ステップS4において、制御量演算
部12は、ステップS3において求めた余裕変数βを下
記(4)式に代入して変数αを更新する。
【0031】
【数4】
【0032】ここで、Δαは変数αの増分量である。こ
の(4)式によって、変数αは、制御電流値Yに余裕が
あれば、増加方向に変化し、許容目標値YMAXを越えて
いれば減少方向に変化する。すなわち、変数αは、制御
電流値Yが許容目標値YMAXに近づくように小刻みに、
つまり滑らかに増減する。次に、ステップS5におい
て、制御量演算部12は、変数αと所定下限値αMI N
を比較する。ここで、変数αが所定下限値αMIN以下の
場合、制御量演算部12は、変数αを所定下限値αMIN
の値にして、ステップS9に進み、変数αが所定下限値
αMINよりも大きい場合、ステップS7に進む。ステッ
プS7では、制御量演算部12は、変数αと所定上限値
αMAXとを比較して、変数αが所定上限値αMAX以上の場
合、変数αをαMAXの値にして、ステップS9に進み、
変数αが所定上限値αMAX未満の場合には、そのままス
テップS9に進む。このステップS5からステップS8
における処理により、変数αは、最小値が所定下限値α
MI Nとされ、最大値が所定下限値αMAXとされて、或いは
所定下限値αMINと所定下限値αMAXとの間の値として決
定される。
【0033】ステップS9では、制御量演算部12は、
上述のようにして決定された変数αに基づいて、各ゲイ
ン関数Ai(α)の値をそれぞれ求め、この各ゲイン関
数Ai(α)を各制御定数ゲインGiに掛けることで、各
制御ゲインAi(α)・Giを更新し、前記(1)式のよ
うに、その制御ゲインAi(α)・Giを各応答量X1
N及びフィルタ11からの出力データz1,z2に掛け
て駆動指令電圧U(α)値を算出する。
【0034】ここで、変数αは、増分Δαを基準に小刻
みに、つまり連続的に変化し、その変数αの関数とされ
るゲイン関数Ai(α)、さらには、各制御ゲインA
i(α)・Giも小刻みに、つまり連続的に変化するよう
になる。また、変数αは、制御の強さを現す指標となっ
ていて、応答量X1〜XNが一定であれば、変数αが大き
くなる程、駆動指令電圧U(α)が大きくなるように各
i(α)は設定されており、また、変数αが小さくな
る程、駆動指令電圧U(α)が小さくなるよう各A
i(α)は設定されている。すなわち例えば、変数αが
大きくなっても、それに比例して各制御ゲインA
i(α)・Giの変化を決定するゲイン関数Ai(α)
は、上述のように大きくなるとは限らないが、制御電流
値Yが許容目標値YMAXよりも小さい場合では、変数α
が増加して駆動指令電圧U(α)が大きくなるように、
つまり、制御電流値Yと許容目標値YMAX(所定基準
値)との差が小さくなる方向に、各制御ゲインA
i(α)・Giが変化するように設定されている。
【0035】次に、ステップS10において、制御量演
算部12は、ステップS9で得た駆動指令電圧U(α)
とその上限の許容値Ulimitとを比較する。ここで、駆
動指令電圧U(α)が許容値Ulimit以上の場合、駆動
指令電圧U(α)を許容値Ul imitをU(α)の値にす
る。このように、上限の許容値Ulimitを設けること
で、駆動指令電圧U(α)が過大化することを防止して
いる。そして、ステップS12において、制御量演算部
12は、ステップS11で算出して得た駆動指令電圧U
(α)を、或いは駆動指令電圧U(α)が許容値U
limit未満である場合にはそのままの駆動指令電圧U
(α)を駆動装置制御回路4に出力する。そして、制御
量演算部12は、上述の処理を所定サンプル時間毎に繰
り返して行う。
【0036】制御量演算部12は、以上のような処理手
順により、制御ゲインAi(α)・Giを求め、或いは制
御ゲインAi(α)・Giを用いた駆動指令電圧U(α)を
求めている。次に、以上のようなアクティブ制振システ
ムによる構造物100の制振等について説明する。
【0037】地震や風等による外乱が構造物100に入
力され構造物100が揺れると、前記外乱に対する構造
物100の各応答量X1〜XNが各センサ1によって検出
され、検出された応答量X1〜XNが、A/D変換器2を
介して動的補償器10に入力される。動的補償器10で
は、フィルタ11にて応答量X1〜XNから各データ
1,z2を得て、この各データz1,z2を制御量演算部
12に出力し、制御量演算部12にてこのデータz1
2及び応答量X1〜XNから駆動指令電圧U(α)を求
める。動的補償器10は、このようにして求めた駆動指
令電圧U(α)をD/A変換器3を介して駆動装置制御
回路4に供給する。駆動装置制御回路4では、供給され
た駆動指令電圧U(α)に基づいて制振装置5を駆動
し、駆動指令電圧U(α)に応じた制御力を構造物10
0に入力して構造物100を制振する。
【0038】このようなアクティブ制振システムによ
り、地震や風等の外乱のレベルが小さい場合には、動的
補償器10に入力される制御電流値Yも小さいので、駆
動指令電圧U(α)は小さくなるが、ここで、許容目標
値YMAXと比較した制振装置5の制御電流値Yが小さい
場合には、変数αは大きくなる方向に変化し、外乱のレ
ベルが小さい状態でも所定値以上の制御力を構造物10
0に入力される。この結果、アクティブ制振システム
は、外乱のレベルが想定したレベルよりも低くても、制
振装置5の性能が有効に発揮させて、有効に制振するこ
とができる。
【0039】また、地震や風等の外乱のレベルが大きい
場合には、動的補償器10に入力される応答量X1〜XN
が大きくなって、駆動指令電圧U(α)も大きくなる
が、ここで、制振装置5の制御電流値Yが許容目標値Y
MAXを越えると、変数αは小さくなる方向に変化して、
これにより、駆動指令電圧U(α)も小さくなる方向に
変化する。これによって、アクティブ制振システムは、
外乱のレベルが想定したレベルよりも大きい場合でも、
制振装置5の許容性能を越えることを回避して、制振装
置5が停止してしまうようなこともなく、制振性能の許
容目標値YMAX近傍の制御力で制振することができる。
【0040】すなわち、アクティブ制振システムは、動
的補償器10の補償特性を可変として、制振装置5によ
る応答量X1〜XNの指標となる制御電流値Yと所定の基
準値とされる許容目標値YMAXとの差が小さくなるよう
にその補償特性を変化させることで、制振装置5の制振
性能の許容範囲内で有効な制御力で制振するようにして
いる。
【0041】ここで、制御の一例を模式的に現すと、図
5に示すようになる。外乱のレベルが想定したレベルよ
り小さい状態では、対応する制御電流値Yも小さいため
に、変数αが増加して上限値αMAX近傍を維持し、それ
に応じた制御力を出力する。そして、制御電流値Yが許
容目標値YMAXを越えるほど、つまり、外乱のレベルが
想定したレベルより大きくなると、それに追従して変数
αが減少するように変化して、制御力の増分を抑える。
このように、外乱レベルに応じて変数α、更には制振力
が変化し、制振装置5は、外乱レベルに応じて制約され
た機能の範囲内で所定の制御力を発揮する。
【0042】また、変数αは、小刻みに、すなわち滑ら
かに変化するので、制御ゲインAi(α)・Giも連続し
て変化しており、これにより、アクティブ制振システム
は、フィルタ11からの出力データz1,z2や制御ゲイ
ン等の補償特性が変化する際に制御指令値電圧にスパイ
クノイズやチャタリングが発生することを回避すること
ができ、安定且つきめ細かく制振することができる。
【0043】さらに、アクティブ制振システムは、フィ
ルタ11により、長周期の風外乱による制振装置に発生
するドリフト成分を低減し、又は制御対象が高次モード
で励振することによる制御力のスピルオーバを抑止する
こと等を可能にしているが、このとき、フィルタ11の
性能は、制振性能のレベルに応じて十分発揮されたもの
になる。
【0044】ここで、フィルタ11からの出力データz
1,z2及び応答量X1〜XNにともに、変数αを同一パラ
メータの関数である制御ゲインAi(α)・Giを掛け
て、制御量が求められている。すなわち、フィルタ11
からの出力データz1,z2及び応答量X1〜XNはとも
に、変数αを同一パラメータとして調整されている。こ
のようにすることで、各値の調整のために種々のパラメ
ータを用意する必要もないので、単一のパラメータのみ
を操作することにより、容易に調整することができる。
すなわち、アクティブ制振システムは、変数αという単
一のパラメータで、無段階で変化する種々の制振レベル
を設定するとともに、その種々の制振レベルに合わせて
補償特性を適切に調整することができる。これにより、
アクティブ制振システムは、上述したように種々の制振
レベルに対応して変数αの関数として制御ゲインを連続
的に滑らかに切換えて種々の効果を得ているが、同一の
変数αを用いることでその効果を維持しつつも、フィル
タ11の性能を種々の制振レベルに応じて適切に調整す
ることを実現している。
【0045】次に、上述のアクティブ制振システムを、
フィルタ11を含む動的補償器10、構造物100、制
振装置5からなるシステムとしてモデル化して、いわゆ
るバンドパスフィルタと建造物−アクティブマスダンパ
ーとの併合拡大系(以下、単に併合拡大系という。)と
して得られる状態方程式について説明する。なお、上述
の説明では、フィルタ11からの出力データz1,z2
制御ゲインAi(α)・Giを掛けて、変数αをフィルタ
11の出力に反映させているが、以下の例では、フィル
タ11部分の特性も変数αの関数にした場合も含めて説
明する。
【0046】先ず、フィルタ11をバンドパスフィルタ
としてモデル化する。バンドパスフィルタは、下記
(5)式により定義することができる。
【0047】
【数5】
【0048】ここで、zは制御力入力(バンドパスフィ
ルタへの入力)であり、ufはバンドパスフィルタの制
御力出力であり、ω0はバンドパスフィルタの中心円振
動数であり、そしてQはバンドパスフィルタ性能の調整
パラメータである。そして、任意の円振動数に対する周
波数応答関数の振幅F(ω)及び位相φ(ω)は、下記
(6)式及び(7)式により得ることができる。
【0049】
【数6】
【0050】
【数7】
【0051】例えば、1次モード周期4秒(ω0=1.75r
ad)、調整パラメータQが1,0.8,0.6,0.
4,0.2,0.1に設定した場合には、バンドパスフ
ィルタのフィルタ特性は、図6のような結果になる。図
6中(A)に示すように、調整パラメータQの値に応じ
て振幅F(ω)の値が変化しており、図6中(B)に示
すように、調整パラメータQの値に応じて位相φ(ω)
の値が変化しており、これにより、調整パラメータQに
応じてバンドパスフィルタのフィルタ特性或いはフィル
タの強さを調整できることがわかる。なお、ここでは示
さないものの、ω 0の値を変えることでも、中心円振動
数を変えることもでき、フィルタ特性を調整することが
できる。
【0052】そして、バンドパスフィルタへの入力をz
とし、制御力出力をufとして、バンドパスフィルタの
特性を示す中心円振動数ω0と調整パラメータQとを変
数αの関数として設定した場合には、前記(5)式は下
記(8)式として示すことができる。
【0053】
【数8】
【0054】このように、変数αによりフィルタ11の
特性を変化させることにより、上述したような変数αの
関数とされた制御ゲインAi(α)・Giを前記出力デー
タz 1,z2に掛ける場合の効果と同様に、アクティブ制
振システムは、単一パラメータによりフィルタ11の性
能を制振レベルに応じて調整を容易に実現している。ま
た、下記(9)式を定義して、バンドパスフィルタの状
態方程式は下記(10)式のように表すことができる。
【0055】
【数9】
【0056】
【数10】
【0057】ここで、例えば、前記(9)式の右辺の行
列の各要素は、フィルタ11が出力する各2次的応答量
1,z2に相当し、低振動成分及び高振動成分を低減し
た信号を示すものになっている。次に、構造物100及
び制振装置5をモデル化したものを示す。構造物100
は1質点系に単純化した建物モデルとしてモデル化し、
制振装置5はアクティブマスダンパーをモデル化する。
このような制御対象の状態方程式は、その状態ベクトル
を下記(11)式のように現した場合に、下記(12)
式のように表すことができる。
【0058】
【数11】
【0059】
【数12】
【0060】ここで、xaは制振装置5のストロークで
あり、xsは構造物100の変位であり、Uは制御力で
あり、maは制振装置5の重量であり、msは構造物10
0の重量であり、μはマス比であり、ωaは制振装置5
の固有円振動数であり、haは制振装置5の減衰定数で
あり、hsは構造物100の減衰定数である。そして、
制振装置5に作用する制御力は、前記(10)式を用い
て下記(13)式として表すことができる。
【0061】
【数13】
【0062】前記(10)式、(12)式及び(13)
式により、併合拡大系の状態方程式は、下記(14)式
を用いて、下記(15)式のように表すことができる。
【0063】
【数14】
【0064】
【数15】
【0065】さらに、変数αの関数として設定したフィ
ルタ11により得た出力データz1,z2についても制御
ゲインを掛けて制御量を求めると、下記(16)式のよ
うに表すことができる。
【0066】
【数16】
【0067】この(16)式は、制御入力が、建物−ア
クティブマスダンパー連成系の状態量xに関するG
(α)と、フィルタ状態量uに関するGf(α)から構
成されていることを現し、フィルタ11からの出力uと
制御ゲインGf(α)とを乗算して、建物−アクティブ
マスダンパー連成系の状態量xと制御ゲインG(α)と
を乗算して、それらを加えている。このように、ここ
で、フィルタ11の出力と変数αの関数とされた制御ゲ
インとが乗算されている。
【0068】以上のような関係より、制振装置5に出力
する駆動指令電圧Uの算定までの流れは概略として以下
のようになる。建物−アクティブマスダンパー連成系の
状態量xとフィルタ状態量uから(16)式により、併
合拡大系への制御入力(右辺)を算出する。ここで、建
物−アクティブマスダンパー連成系の状態量xはセンサ
ー1で実際の構造物100や制振装置5の応答を観測す
ることで得られ、フィルタ状態量uはバンドパスフィル
タの状態量を(10)式により計算することで得られ
る。さらに、フィルタ状態量uについては、バンドパス
フィルタへの制御入力を再び(10)式に作用させて得
る。このようにして得たフィルタ状態量uから、(1
3)式により、制御指令電圧Uを算出する。また、図7
は、以上のような併合拡大系に対するアクティブ制振シ
ステムの回路ブロック構成例を示している。
【0069】さらに、このようにしてモデル化されたア
クティブ制振システムの数値計算結果の実施例について
説明する。先ず、計算条件は次のようにしている。制振
対象である構造物モデルとして、重量が10000to
n、固有周期が3.14秒、減衰定数が1%の1質点振動系
に単純化した高層ビルにモデル化している。そして、こ
の構造物モデルには、頂部平均風速25m/secの風が
作用しており、制振により、この風向方向振動を抑制す
るもの想定する。また、変数αの変動範囲は0.2〜2.0と
して、変数αが小さくなるほど、アクティブマスダンパ
ーの装置振幅を小さくして、制振効果を抑制するように
設定し、一方、変数αが大きくなるほど、アクティブマ
スダンパーの装置振幅が大きくなるようにして、制振効
果が増大するように設定している。
【0070】また、図8は、変数αと各ゲイン関数Af
(α)との関係を示している。図8中(A)は、変数α
と4個の各応答量X1〜X4に対応される各ゲイン関数A
f(α)との関係を示しており、図8中(B)は、変数
とフィルタ11からの出力z 1,z2に対応される各ゲイ
ン関数Af(α)との関係を示している。また、図9
は、フィルタ11を備えていない場合のシステムにおけ
る各応答量X1〜X4に対応される各ゲイン関数A
f(α)と変数αとの関係を示している。
【0071】以上のような計算条件の下で行った風応答
解析結果は次のようになる。図10(A)は、構造物1
00に与える風外乱の時間歴であり、図10中(B)
は、装置振幅の時間歴であり、図10中(C)は、変数
αの時間歴であり、図10中(D)は、加速度応答の時
間歴である。また、各図中、実線の結果は本発明が適用
されて、フィルタ11を備えているアクティブ制振シス
テムの結果であり、破線の結果は、その比較対象のフィ
ルタ11を備えていない場合の結果である。
【0072】この図10中(A)に示すように風外乱に
はドリフト成分があり、フィルタ11を用いない場合に
は、風外乱に含まれるそのドリフト成分により、図10
中(B)に示すように、装置振幅が片側へドリフトする
傾向が生じており、これにより、図10中(C)に示す
ように、その制振装置の振幅を抑制するために変数αも
小さい値を示している。
【0073】一方、フィルタ11が組み込まれた場合で
は、図10中(B)に示すように、装置振幅のドリフト
成分がフィルタ効果により取り除かれており、装置振幅
はプラスマイナスの方向で同程度の振幅を示す。また、
これにより、図10中(C)に示すように、変数αもあ
まり小さくはならない。このため、変数αに応じてその
特性が変化するフィルタ11を用いた場合、その特性も
適宜変化するので、高い制振効果が実現され、さらに、
応答加速度については、フィルタ11を用いない場合に
比べて低減される。
【0074】なお、以上のような動的補償器を使用する
同様な技術として、特開平9−250591号公報に開
示されている能動除振装置の技術がある。この能動除振
装置は、概略として、図11に示すように、フィードバ
ック補償器101によるフィードバック制御と、フィー
ドフォワード制御器102によるフィードフォワード制
御とを組み合わせて除振台103の振動を制御してい
る。この能動除振装置では、フィードバック制御は、除
振台103の応答を計測して、制御力を決定する制御で
あり、フィードフォワード制御は、除振台103に設置
されている基礎等の応答を計測して、制御力を決定する
制御である。そして、この能動除振装置は、適応フィル
タからなるフィードフォワード制御器102にデジタル
積分補償器を含ませていることを特徴としている。
【0075】フィードフォワード制御では、制御力の強
さの決定の際には、適応フィルタを使用することが一般
的であり、その適応フィルタは推定のための演算が多く
なるという問題があった。このようなことから、前記能
動除振装置は、適応フィルタとしてデジタル積分補償器
を含ませることで、演算量の軽減を図っている。一方、
本発明を適用したアクティブ制振システムは、このよう
な能動除振装置も備えるデジタル積分補償器等の動的補
償器を用いることを前提にしているが、フィルタ11か
らの出力と変数αの関数(制御ゲイン)とを乗算した
り、或いはフィルタ11そのものの特性を変数αの関数
としたりする点が異なっており、アクティブ制振システ
ムは、このようにフィルタ11についての特性を変数α
により変化させることで上述したような種々の優れた効
果を得ている。
【0076】以上、本発明を適用したアクティブ制振シ
ステムを実施の形態として説明した。しかし、本発明は
上述の実施の形態に限定されるものではない。上述の実
施の形態では、フィルタ11の中心円振動数ω0及び調
整パラメータQ等の特徴量を変数αの関数とし、さら
に、フィルタ11からの出力データ(2次的応答量)と
乗算する制御ゲインを変数αの関数としているが、これ
に限定されるものではない。すなわち、何れか一方のみ
を必要に応じて変数αの関数にすることもでき、例え
ば、中心円振動数ω0及び調整パラメータQ等のフィル
タ11の特徴量のみを変数αの関数とし、この場合、フ
ィルタ11からの出力データには固定値の制御ゲインを
掛けるようにする。要は、動的補償器10が変数αの関
数とされて所定の特性を示すように変化する構成をなし
ていればよく、すなわち例えば、動的補償器が、図14
で示した動的補償器210の伝達係数K(s)が演算子
αについての関数とされて伝達関数K(s,α)を有す
るようにする、といったようにである。
【0077】また、中心円振動数ω0及び調整パラメー
タQは、具体的には次のように変数αの関数にする。例
えば、変数αに応じて、建物応答を抑制する制御から装
置振幅を抑制する制御に、滑らかに制御性能を変化させ
る場合を想定する。この場合、先ず、建物応答を抑制す
る制御では、動的補償器(例えば、バンドパスフィル
タ)11の中心円振動数ω0を、制御対象である建物の
卓越振動数と一致させて、更に、スピルオーバ等を抑止
するために調整パラメータQを大きめの値に設定する。
例えば、調整パラメータQは2〜3程度にする。一方、
装置振幅を抑制する制御では、制御により装置剛性を硬
くして、建物と装置の連成効果を抑制する必要がある。
例えば、中心円振動数ω0を、建物の卓越振動数の3倍
程度の値にする。この場合、制御力は、装置応答の抑制
にも使われ、建物へのスピルオーバの可能性は低くなる
のため、調整パラメータQは小さめに設定してよい。こ
のような関係から、変数αと中心円振動数ω0及び調整
パラメータQとの関係を図12に示すようにする。この
図12に示すように、変数αが大きくなると、中心円振
動数ω0が増加し、フィルタ性能パラメータQが減少す
るような関係にする。このようにすることで、フィルタ
11は、変数αに応じて、すなわり制振レベルに応じ
て、その補償特性が滑らかに変化するようになる。
【0078】また、上述の実施の形態では、フィルタ1
1としてバンドパスフィルタが組み込まれた場合を説明
した。しかし、これに限定されるものではなく、動的補
償器10は、例えば、ローパスフィルタ、ハイパスフィ
ルタ、カルマンフィルタを組み込んだり或いはH∞制御
器等であってもよい。例えば、フィルタ11がカルマン
フィルタである場合、フィルタ11からの出力は次のよ
うになる。例えば、上述の建物−アクティブマスダンパ
ーの連成系の状態量のうち、一部の状態量(例えば、マ
ス変位と建物変位)を計測して、カルマンフィルタによ
り他の状態量(例えば、マス速度と建物変位)を推定す
る場合があり、このような場合には、カルマンフィルタ
であるフィルタ11からの出力は、この推定する状態量
(例えば、マス速度と建物変位)になる。
【0079】また、上述の実施の形態では、制御ゲイン
i(α)・Giの変数αを、制御装置5の駆動電流や制
御力に基づいて変化させている。しかし、変数αは、こ
れに限定されるものではなく、外乱若しくは制振に対す
る構造物100の応答量又は制振装置5の応答量に応じ
て変化する変数であればよい。例えば、変数αは、制振
装置5の消費電力、制振装置5がアクティブマスダンパ
ーを使用したものであればそのマスのストローク量等の
応答量に基づいて変化させるようにしてもよい。また、
変数αは、必ずしも制御装置5の応答量に基づいて変化
させるものに限定されるものではなく、構造物100側
の加速度等の応答量に基づいて変化させてもよい。この
場合、例えば、想定される平均の外乱レベルでの加速度
を所定基準値としておき、実際の加速度が所定基準値よ
りも小さければ変数αが大きくなる方向に、すなわち制
御量が大きくなる方向に変化させるように各制御ゲイン
i(α)・Giを変化させ、また、実際の加速度が所定
基準値よりも大きければ変数αが小さくなる方向に、す
なわち制御量が小さくなる方向に変化させるように各制
御ゲインAi(α)・Giを変化させる。このとき、変数
αは所定上限値及び下限値の範囲でのみ変化するので、
この上限値や下限値、変数αとゲイン関数Ai(α)と
の関係等を適当に設定することで、前記制御量、すなわ
ち制御装置5による制御力は、外乱が小さくても所定以
上の大きさが確保され、且つ外乱が大きすぎても所定目
標値近傍の値となり、該制振装置の能力範囲内で且つ作
動効率が向上して外乱の大きさに関係なく有効に制振可
能となる。
【0080】また、一つの応答量Yに基づいて変数α、
すなわちゲイン関数Ai(α)を更新するようにしてい
るが、複数の応答量に基づいて変数αを変化させるよう
にしてもよいし、また、前記対象とする制御ゲイン毎に
対応するαを複数個用意して各制御ゲインを更新するよ
うにしてもよい。また、変数αを変化させるための応答
量は、前記(1)式の演算のために使用される応答量で
ある必要はない。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
動的補償手段の補償特性を、制振装置による応答量とそ
の応答量の所定の基準値との差が小さくなる方向へ連続
的に変化させることで、外乱が小さくても所定以上の制
御量を確保し、また、外乱が想定したレベルよりも大き
くても、所定の制御量近傍の値で制振可能となって、制
振装置の能力制約内で且つきめ細かい制御を可能とする
と共に制振装置の作動効率を大幅に向上させることが可
能になる。また、前記補償特性を連続的に変化させるこ
とで、外乱の変化等の影響を受けることなく、安定した
制御力が発揮可能になる。
【0082】そして、前記補償特性は、制御ゲインやフ
ィルタの特性であり、これにより、上述のように外乱レ
ベルに応じて制御量を所定の値に確保しつつも、フィル
タの特性についてもその外乱レベルに応じて変化された
ものになっている。さらに、変数αが滑らかに変化する
ことで、フィルタを組み込んだ効果を各外乱レベルで維
持しつつも、その切り替え時に制御力にスパイク(チャ
タリング)が発生してしまうことを防止することができ
る。
【0083】また、請求項2に記載された発明は、前記
動的補償手段の補償特性を変数αにより変化させて、前
記変数αを、前記補償特性を前記制振装置の応答量とそ
の応答量の前記所定の基準値との差が小さくなる方向へ
連続的に変化させることで、前記制御ゲインとともに前
記フィルタの特性を単一の変数により変化させることが
できる。
【0084】また、請求項3に記載された発明は、前記
変数αを、前記制振装置の応答量の応答量が前記所定の
基準値を下回っている場合は所定上限値を限度に増加さ
せて、前記制振装置の応答量が前記所定の基準値以上で
ある場合には所定下限値を限度に減少させることで、制
振装置の制御力等の応答量に基づいて前記制御を変化さ
せるので、外乱のレベルの大小に関係なく、確実に制御
量を制振装置の能力限界値に近い値等、所定の基準値近
傍に常時近づけるように制御可能になるので、制振装置
の制約内で確実に制振装置の能力を有効に発揮させて制
振を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態であるアクティブ制振シス
テムの構成を示す図である。
【図2】前記アクティブ制振システムの動的補償器の構
成を示す図である。
【図3】変数αとゲイン関数Aiとの関係の一例を示す
図である。
【図4】コントローラの処理手順を示すフローチャート
である。
【図5】制御による模式的な状態を示す図であり、
(A)は、外乱の時間歴を、(B)は、外乱に対応する
変数αの時間歴を、(C)は、外乱に対応する制御力の
時間歴の示す。
【図6】調整パラメータQ変化によるバンドパスフィル
タの特性の模式的な状態を示す図であり、(A)は、振
幅変化を、(B)は、位相変化を示している。
【図7】モデル化したバンドパスフィルタと構造物−ア
クティブマスダンパーとの併合拡大系に対するアクティ
ブ制振システムを示す回路ブロック図である。
【図8】変数αと各ゲイン関数Af(α)との関係を示
す図であり、(A)は、変数αと4個の各応答量X1
4における関係を示し、(B)は、フィルタ11から
の出力z1,z2における関係を示している。
【図9】フィルタ11を備えていないシステムにおける
各応答量X1〜X4に対応される各ゲイン関数Af(α)
と変数αとの関係を示す図である。
【図10】風応答解析結果を示す図であり、図9(A)
は、構造物100に与える風外乱の時間歴であり、図9
中(B)は、装置振幅での時間歴であり、図9中(C)
は、変数αの時間歴であり、図9中(D)は、加速度応
答の時間歴である。
【図11】特開平9−250591号公報に開示されて
いる能動除振装置の要部概略を示す図である。
【図12】変数αと中心円振動数ω0及びフィルタ性能
パラメータQとの関係一例を示す図である。
【図13】従来のアクティブ制振システムの構成を示す
図である。
【図14】前記従来のアクティブ制振システムの構成を
一般化した構成を示す図である。
【符号の説明】 1 センサ 2 A/D変換器 3 D/A変換器 4 駆動装置制御回路 5 制振装置 10 動的補償器 11 フィルタ 12 制御量演算部 100 構造物

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御対象に制御力を入力する制振装置の
    応答量、及び外乱や前記制振装置による制御対象の応答
    量の少なくとも1つを動的補償手段に入力して制御量を
    求め、その制御量に応じた制御力を前記制振装置を介し
    て前記制御対象に入力するアクティブ制振方法におい
    て、 前記動的補償手段の補償特性を、前記制振装置による応
    答量とその応答量の所定の基準値との差が小さくなる方
    向へ連続的に変化させることを特徴とするアクティブ制
    振方法。
  2. 【請求項2】 前記動的補償手段の補償特性を変数αに
    より変化させて、前記変数αは、前記補償特性を前記制
    振装置の応答量とその応答量の前記所定の基準値との差
    が小さくなる方向へ連続的に変化させることを特徴とす
    る請求項1記載のアクティブ制振方法。
  3. 【請求項3】 前記変数αは、前記制振装置の応答量が
    前記所定の基準値を下回っている場合は所定上限値を限
    度に増加させて、前記制振装置の応答量が前記所定の基
    準値以上である場合には所定下限値を限度に減少させる
    ことを特徴とする請求項2記載のアクティブ制振方法。
  4. 【請求項4】 制御対象に制御力を入力する制振装置
    と、この制振装置の応答量及び外乱や前記制振装置によ
    る制御対象の応答量の少なくとも1つに基づいて制御量
    を求める動的補償手段と、この動的補償手段が求めた制
    御量に基づいて前記制振装置の駆動を制御する駆動制御
    手段とを備えたアクティブ制振装置であって、 前記動的補償手段の補償特性は、前記制振装置による応
    答量とその応答量の所定の基準値との差が小さくなる方
    向へ連続的に変化することを特徴とするアクティブ制振
    装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016011717A (ja) * 2014-06-30 2016-01-21 大成建設株式会社 アクティブ制振方法
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