JP2003057610A - コンタクトレンズ用液剤組成物 - Google Patents

コンタクトレンズ用液剤組成物

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JP2003057610A
JP2003057610A JP2001242441A JP2001242441A JP2003057610A JP 2003057610 A JP2003057610 A JP 2003057610A JP 2001242441 A JP2001242441 A JP 2001242441A JP 2001242441 A JP2001242441 A JP 2001242441A JP 2003057610 A JP2003057610 A JP 2003057610A
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contact lens
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Atsushi Sakaguchi
篤志 阪口
Taiji Tajiri
大治 田尻
Manabu Ando
学 安藤
Fumio Saito
文郎 斉藤
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Ophtecs Corp
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Ophtecs Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンタクトレンズに付着する各種汚れに対し
高い洗浄力を持ち、さらにコンタクトレンズへの脂質付
着防止効果およびアカントアメーバ消毒効果を有するコ
ンタクトレンズ用液剤組成物を提供する。また本発明の
液剤組成物を用いたコンタクトレンズの洗浄・保存方法
を提供する。 【解決手段】 (A)蛋白質分解酵素 0.01〜1.
0w/v%、(B)陰イオン界面活性剤 0.01〜5
w/v%、(C)非還元性多価アルコール 5〜30w
/v%、(D)ホウ酸系緩衝剤 2〜5w/v%、
(E)水溶性高分子化合物 0.001〜5w/v%の
組み合わせからなり、かつ防腐剤を含まないことを特徴
とするコンタクトレンズ用液剤組成物により達成され
る。また、コンタクトレンズを該液剤組成物に浸すだけ
で各種汚れが良好に洗浄され、そのまま浸漬するだけで
コンタクトレンズへの脂質付着防止効果およびアカント
アメーバ消毒効果がありコンタクトレンズを清浄に保存
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、コンタクトレン
ズ用液剤組成物に関する。さらに詳しくは、コンタクト
レンズに付着する各種汚れに対し高い洗浄力を持ち、さ
らにコンタクトレンズへの脂質付着防止効果およびアカ
ントアメーバ消毒効果を有するコンタクトレンズ用液剤
組成物に関する。また本発明の液剤組成物を用いたコン
タクトレンズの洗浄・保存方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 コンタクトレンズは一般に非含水性コ
ンタクトレンズと含水性コンタクトレンズに大別され
る。このうち非含水性コンタクトレンズは、さらにハー
ドコンタクトレンズ、酸素透過性ハードコンタクトレン
ズおよび非含水性ソフトコンタクトレンズに分類され
る。
【0003】 これらコンタクトレンズは眼に装着して
いる間に、例えば蛋白質や脂質等といった涙液由来の汚
れや、化粧品等の汚れが付着する。それゆえコンタクト
レンズの装着終了後にコンタクトレンズに付着したこれ
らの汚れを除去する必要がある。
【0004】 現在非含水性コンタクトレンズを処理す
るために各種製品が販売されている。しかしながらこれ
ら製品は、2液型製剤であるものや、1液型製剤であっ
ても用時混合する必要のある製剤であるものなど、使用
時の簡便性に問題があった。またこの使用時の簡便性の
問題を解決した1液型製剤も販売されているが、蛋白質
や脂質等の汚れに対して充分な洗浄力を保持していない
のが現状である。
【0005】 これらの問題を解決するために、例えば
特開2000−241773号公報に、A成分としてR
−X−Y型の陰イオン性界面活性剤0.05〜2重量
%、B成分として加水分解酵素10−10〜0.008
重量%、C成分として多価アルコール5〜30重量%、
D成分としてホウ素化合物1〜2重量%を含有するコン
タクトレンズ用処理溶液が開示されている。しかしなが
ら、該技術では加水分解酵素の濃度が低いため、コンタ
クトレンズに付着する蛋白質汚れが除去できない可能性
があった。
【0006】 また非含水性コンタクトレンズのうち、
特に酸素透過性ハードコンタクトレンズにおいては、コ
ンタクトレンズに付着する汚れの大部分が脂質であるた
め、脂質汚れを除去することもまた重要となる。
【0007】 現在、脂質汚れを除去するために、界面
活性剤および脂質分解酵素を用いることが一般的に知ら
れている。しかしながら、コンタクトレンズに付着した
脂質の汚れを除去するのみでなく、コンタクトレンズへ
の脂質付着を防止することが本質的に望ましい。
【0008】 またコンタクトレンズに起因する眼障害
の1種として、アカントアメーバ角膜炎が近年注目を浴
びている。アカントアメーバ角膜炎は、これまで欧米を
中心に報告され、特にソフトコンタクトレンズ装用者で
多く観察されてきた。また一方で、非含水性コンタクト
レンズ装用者によるアカントアメーバ角膜炎の例も報告
されている(日本眼科紀要、第48巻第1号、1997
年、p57)。ゆえに、非含水性コンタクトレンズ処理
液についても、アカントアメーバ消毒効果を有すること
が望ましい。
【0009】 それゆえ、コンタクトレンズに付着する
蛋白質汚れや脂質汚れに対して高い洗浄力を持つことは
もちろんのこと、コンタクトレンズへの脂質の付着防止
効果や、アカントアメーバに対して消毒効果があるコン
タクトレンズ用処理液、特に非含水性コンタクトレンズ
用処理液の開発が待たれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】 本発明の目的は、コ
ンタクトレンズ用液剤組成物を提供することにある。さ
らに詳しくは、コンタクトレンズに付着する各種汚れに
対し高い洗浄力を持ち、さらにコンタクトレンズへの脂
質付着防止効果およびアカントアメーバ消毒効果を有す
るコンタクトレンズ用液剤組成物を提供することにあ
る。また、この液剤組成物を用いたコンタクトレンズの
洗浄・保存方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】 本発明によれば、本発
明の上記目的および利点は、以下により達成される。
(1)コンタクトレンズの洗浄・保存に用いる液剤組成
物であって、該組成物が下記(A)、(B)、(C)、
(D)および(E)を下記の濃度で含み、かつ防腐剤を
含まないことを特徴とするコンタクトレンズ用液剤組成
物。 (A)蛋白質分解酵素 0.01〜1.0w/v%、 (B)陰イオン界面活性剤 0.01〜5w/v%、 (C)非還元性多価アルコール 5〜30w/v%、 (D)ホウ酸系緩衝剤 2〜5w/v% (E)水溶性高分子化合物 0.001〜5w/v% (2)蛋白質分解酵素(A)が、動物および微生物由来
の蛋白質分解酵素よりなる群より選択される少なくとも
1種である上記(1)記載の液剤組成物。 (3)陰イオン界面活性剤(B)が、N−アシルアミノ
酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルリン酸
塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、N
−アシルタウリン塩、スルホン酸塩、アルキル硫酸塩お
よびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩よりな
る群より選択される少なくとも1種である上記(1)ま
たは(2)に記載の液剤組成物。 (4)非還元性多価アルコール(C)が、グリセリン、
プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ポリビニルアルコール、マンニトール
およびソルビトールよりなる群より選択される少なくと
も1種である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の液
剤組成物。 (5)ホウ酸系緩衝剤(D)が、ホウ酸およびホウ砂よ
りなる群より選択される少なくとも1種である上記
(1)〜(4)のいずれかに記載の液剤組成物。 (6)水溶性高分子化合物(E)がピロリドン系化合
物、セルロース系化合物、グリコサミノグリカンおよび
グリクロノグリカンよりなる群より選択される少なくと
も1種である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の液
剤組成物。 (7)等張化剤、キレート化剤およびpH調整剤よりな
る群より選択される少なくとも1種をさらに含有する上
記(1)〜(6)のいずれかに記載の液剤組成物。 (8)コンタクトレンズへの脂質付着防止効果およびア
カントアメーバ消毒効果を有する上記(1)〜(7)の
いずれかに記載の液剤組成物。 (9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の液剤組成
物を用いて、コンタクトレンズを洗浄・保存する方法。 (10)コンタクトレンズが非含水性コンタクトレンズ
である上記(9)記載の方法。
【0012】
【発明の実施の形態】 本発明の液剤組成物の構成成分
のうち、蛋白質汚れを除去するために用いられる蛋白質
分解酵素(A)としては、動物由来、微生物由来の蛋白
質分解酵素の他にも、一般に使用されているものであれ
ば制限はないが、本発明において用いられる蛋白質分解
酵素としては特に動物由来または微生物由来の蛋白質分
解酵素が望ましい。市販されているこれら動物由来また
は微生物由来の蛋白質分解酵素には、例えば「ビオプラ
ーゼ」、「ビオタミラーゼ」(ナガセケムテックス株式
会社)、『プロテアーゼN「アマノ」』、「パンクレア
チンF」(天野製薬株式会社)、「スブチリシンA」、
「アルカラーゼ」、「エスペラーゼ」、「トリプシ
ン」、「キモトリプシン」(ノボ・ノルディスクバイオ
インダストリー・ジャパン)等があり、本発明ではそれ
らの1種または2種以上を適宜選択して用いるのが好ま
しい。本発明の液剤組成物における蛋白質分解酵素の濃
度は、洗浄効果と酵素力価に応じて適宜決定されるが、
0.01〜1.0w/v%の範囲で含有されているのが
好ましく、より好ましい濃度は0.01〜0.2w/v
%の範囲である。濃度が0.01w/v%未満であると
洗浄効果が不十分であり、また1.0w/v%を越える
と眼や皮膚等に対する刺激がでるおそれがあるため好ま
しくない。またこれら蛋白質分解酵素の濃度を、活性の
範囲で表した場合には、10〜1000PU/mLの範
囲であるのが好ましく、より好ましい範囲は20〜50
0PU/mLである。なお、本発明においては上記のよ
うな蛋白質分解酵素の他に、糖質分解酵素および脂質分
解酵素を併用することができる。これらを併用する場合
には還元剤や金属イオン等の補助剤が必要となる場合も
あるため、用いる酵素に対応した注意が必要である。
【0013】 また、上記陰イオン界面活性剤(B)と
しては、例えば、N−アシルアミノ酸塩、アルキルエー
テルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテルリン酸塩、N−アシルタウリン
塩、スルホン酸塩、アルキル硫酸塩およびポリオキシエ
チレンアルキルエーテル硫酸塩等があり、本発明ではそ
れらの1種または2種以上を適宜選択して用いるのが好
ましい。より好ましくは、アルキルエーテル硫酸塩およ
びスルホン酸塩を組み合わせて用いるのが好ましい。本
発明の液剤組成物における陰イオン界面活性剤の濃度
は、0.01〜5w/v%の範囲で含有されているのが
好ましく、より好ましい濃度は0.02〜1.0w/v
%の範囲である。
【0014】 本発明の液剤組成物は、陰イオン界面活
性剤の他に、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤な
どを含有することができる。非イオン性界面活性剤の例
としては、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン
ブロック共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポ
リオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリオ
キシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸モノグリセリド、プ
ロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリ
コール脂肪酸エステル、脂肪酸ショ糖エステルおよびポ
リオキシエチレン−ポリオキシプロピレンエチレンジア
ミン縮合物等が挙げられる。また両性界面活性剤の例と
しては、N−ラウロイルアミドプロピル−N、N−ジメ
チルグリシン、N−ココイルアミドプロピル−N−ヒド
ロキシエチルグリシン、N−3−ドデシル−2−ヒドロ
キシプロピル−N、N−ジメチルグリシン、2−アルキ
ル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミ
ダゾリニウムベタイン、N−ココイルアミドプロピル−
N−ヒドロキシエチル−3−アミドプロピオン酸等が挙
げられる。
【0015】 上記非還元性多価アルコール(C)とし
ては、グリセリン、プロピレングリコール、エチレング
リコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコ
ール、マンニトールおよびソルビトール等があり、本発
明ではそれらの1種または2種以上を適宜選択して用い
るのが好ましい。特にこれらのうち、コンタクトレンズ
用処理溶液にて使用実績のあるグリセリン、プロピレン
グリコールおよびエチレングリコールが好ましい。本発
明の液剤組成物における非還元性多価アルコールの濃度
は、5〜30w/v%の範囲で含有されているのが好ま
しく、より好ましい濃度は10〜20w/v%の範囲で
ある。
【0016】 一方、上記ホウ酸系緩衝剤(D)として
は、ホウ酸およびホウ砂等があり、本発明ではそれらの
1種または2種以上を適宜選択して用いるのが好まし
い。本発明の液剤組成物におけるホウ酸系緩衝剤の濃度
は、2〜5w/v%の範囲で含有されているのが好まし
く、より好ましい濃度は2.5〜4w/v%の範囲であ
る。濃度が2w/v%以下であると製剤が不安定となっ
てしまうおそれがあるため好ましくない。
【0017】 さらに、上記水溶性高分子化合物(E)
としては、ポビドン(ポリビニルピロリドン)、ピロリ
ドンカルボン酸およびその塩類、ビニルピロリドンおよ
びジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合物の四
級化物、ビニルピロリドンおよびメタクリルアミドプロ
ピルトリメチルアンモニウム塩の共重合物、ビニルピロ
リドンおよび酢酸ビニルの共重合物等のピロリドン系化
合物、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、
メチルセルロースおよび塩化O−〔2−ヒドロキシ−3
−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシセル
ロース等のセルロース系化合物、ヒアルロン酸およびそ
の塩類、コンドロイチンおよびその塩類またはその硫酸
塩、ヘパリンおよびその塩類、水溶性キチン・キトサン
誘導体ならびにその塩類等のグリコサミノグリカン、ア
ルギン酸およびその塩類、アラビアゴム、キサンタンガ
ム等のグリクロノグリカン等があり、本発明ではそれら
の1種または2種以上を適宜選択して用いるのが好まし
い。本発明の液剤組成物における水溶性高分子化合物の
濃度は、0.001〜5w/v%の濃度で含有されてい
るのが好ましく、より好ましい濃度は0.01〜2w/
v%の範囲である。
【0018】 本発明の液剤組成物を調製するにあたっ
て、精製水、多価アルコール等を用いて調整するのが好
ましいが、このようにして調製した場合のpHは5.0
〜9.0の範囲であるのが好ましく、6.0〜8.5の
範囲であるのがより好ましい。pHがこの範囲外である
と、蛋白質分解酵素の活性が低減するため好ましくな
い。
【0019】 さらに本発明の液剤組成物においては、
上記成分の他に、必要に応じて、等張化剤、キレート化
剤、pH調整剤、ホウ酸系緩衝剤以外の緩衝剤等、一般
にコンタクトレンズ用剤として使用される成分を必要に
応じて適宜配合することができる。
【0020】 本発明の液剤組成物に必要に応じて配合
してもよい等張化剤としては、塩化ナトリウムおよび塩
化カリウム等が挙げられる。またキレート化剤として
は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、
グルコン酸、酒石酸、ジエチレンジアミン五酢酸および
それらのナトリウムあるいはカリウム塩、ポリリン酸ナ
トリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム等が挙げられる。
またpH調整剤としては、例えば塩酸、水酸化ナトリウ
ム等が挙げられる。さらに、ホウ酸系緩衝剤以外の緩衝
剤としては、リン酸系緩衝剤、トリス(ヒドロキシメチ
ル)アミノメタン系緩衝剤等が挙げられる。
【0021】 本発明の液剤組成物は、上記の各成分を
精製水、多価アルコールまたはその他眼に無害な液状媒
体に溶解した液剤であるが、なかでも、次の各成分を精
製水中に含み、上記のpHに調整したものが特に好適で
ある。 (A)動物由来または微生物由来の蛋白質分解酵素
0.01〜0.2w/v% (B)アルキルエーテル硫酸塩およびスルホン酸塩の組
み合わせからなる陰イオン界面活性剤 0.02〜1.
0w/v% (C)グリセリン 10〜20w/v% (D)ホウ酸系緩衝剤 2.5〜4w/v% (E)ピロリドン系化合物 0.01〜2w/v% (F)エチレンジアミン四酢酸・2Na 0.001〜
1.0w/v%
【0022】 本発明の液剤組成物は、例えば、上記の
各成分を同時に精製水、多価アルコールまたはその他眼
に無害な液状媒体に溶解して調製することもできるが、
(1)蛋白質分解酵素以外の成分を精製水に溶解し、
(2)その後蛋白質分解酵素を溶解させ、(3)最後に
精製水にて容量を調整する、の順で調製するのが好まし
い。
【0023】 本発明の液剤組成物を用いてコンタクト
レンズを処理するには、例えば、保存ケースにコンタク
トレンズを保持した後、該液剤組成物を容器内に入れ、
そのまま浸漬するという方法を採用することができる。
【0024】 本発明の液剤組成物は、上記にあげた成
分を必須として含むため、防腐剤を別途添加しなくても
充分な保存効果を示す。一般に防腐剤の中には、眼障害
の一因となりうるものもあるため、本発明の液剤組成物
はこのような防腐剤を含有せず、この点も特徴の1つで
ある。
【0025】 また本発明の液剤組成物は、上記(A)
〜(E)の成分を必須成分として含むことにより、コン
タクトレンズへの脂質付着防止効果を持つ。一般に非含
水性コンタクトレンズ、特に酸素透過性ハードコンタク
トレンズに付着する汚れの大部分が脂質であるため、脂
質付着防止効果を持つ液剤組成物を提供できたことは、
本発明の優れた利点の一つである。
【0026】 さらに本発明の液剤組成物は、上記
(A)〜(E)の成分を必須成分として含むことによ
り、アカントアメーバに対する消毒効果を持つ。アカン
トアメーバには栄養型と嚢子(シスト)の二形態が存在
する。前者の栄養型は、薬剤感受性が高く、比較的殺菌
が容易であるのに対し、後者のシストは薬剤に対する抵
抗性が高く、消毒することは非常に困難であると言われ
ている。本発明の液剤組成物はこのアカントアメーバ
(シスト)に対し消毒効果を持つため、そのような液剤
組成物を提供できたことは、本発明のさらなる優れた利
点の一つである。
【0027】
【実施例】 以下、本発明を実施例および比較例により
具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。
【0028】 実施例1 下記表1に示す組成の溶液および比較液を調製した。
【0029】
【表1】
【0030】 米国食品医薬品局(FDA)のグループ
1に分類されるハードコンタクトレンズに卵白リゾチー
ムを主成分とする人工蛋白質汚れを付着させ、汚れレン
ズを作成した。この汚れレンズをハードコンタクトレン
ズ用保存ケースにセットし、表1に示した各溶液をレン
ズケースの9分目まで満たし、一定温度・一定時間浸漬
した。各溶液で浸漬後の汚れレンズを、水道水にて軽く
すすいだ後、エリスロシン溶液にて染色した。染色後、
余分なエリスロシン溶液を除去し、目視にて洗浄力を評
価した。その評価基準を表2に示す。各溶液での評価結
果、コントロールとして水道水を用いた場合およびタン
パク汚れを付着していないものを用いた場合の評価結果
を表3に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】 上記表3に示したように、溶液1および
溶液2は他の比較液と比較して、優れた洗浄力効果を示
した。溶液1、比較液1および比較液2の結果より、蛋
白質分解酵素が本発明の濃度範囲にあることで、優れた
洗浄効果を得られることが分かった。また同様に溶液2
および比較液3の結果より、陰イオン界面活性剤が1種
のみ含有されている場合であっても、蛋白質分解酵素が
本発明の濃度範囲にあれば、優れた洗浄効果を発揮する
ことが分かった。また、溶液1、溶液2および比較液4
の結果より、陰イオン界面活性剤を1種以上含む場合に
おいて、優れた洗浄効果を発揮することが分かった。さ
らに溶液1および溶液2の結果より、陰イオン界面活性
剤を1種のみ含有しても満足できる洗浄効果はあるもの
の、2種を組み合わせて使用した場合は、さらに優れた
洗浄効果を発揮することが分かった。よって本発明にお
いては蛋白質汚れを除去するうえで、少なくとも蛋白質
分解酵素および陰イオン界面活性剤を必須成分として含
有し、かつ本発明が要求する濃度範囲内で含有する必要
があることが分かった。
【0034】 実施例2 上記溶液1の脂質付着防止効果について調査した。FD
Aグループ3に分類される素材プレートを作成し、初期
吸光度を測定した。このプレートを表1に示した溶液1
に浸漬させて水道水にてすすいだ後、コレステロール、
オレイン酸、トリオレイン、オレイン酸メチルおよびオ
レイン酸コレステリルからなる人工脂質汚れ液に浸漬さ
せて汚れ付けをおこなった。汚れ付けをおこなったプレ
ートの吸光度を測定し、脂質付着防止効果について調査
した。コントロールとして、水に浸漬したプレートに汚
れ付けをおこない、同様に初期吸光度および汚れ付け後
の吸光度を測定した。各吸光度より汚れ付着量を算出
し、コントロールを100%とする相対汚れ付着率(1
00分率)を求めた。その結果、溶液1は66%であ
り、脂質付着防止効果があることが分かった。
【0035】 実施例3 上記溶液1のアカントアメーバに対する消毒効果につい
て調査した。アカントアメーバ用の生理食塩水(以下ア
メーバ生食とする)を「寄生虫疾患の診断法の開発と症
例検討」(医薬ジャーナル社、p89、1991年)に
従って調製した。また消毒を停止するための中和液を、
0.35gのレシチン粉末および0.25gのポリソル
ベート80を50mLのアメーバ生食に懸濁し、121
℃、20分間オートクレーブ滅菌処理して調製した。8
mLの溶液1に80μLの接種原を添加、消毒処理を開
始し、消毒4時間、8時間、24時間後に100μLの
処理液を900μLの中和液に添加し、直ちに消毒作用
を停止させた。消毒処理後のアカントアメーバ生存数を
Reed&Muench法(Am.J.Hyg.、19
38年、p493)により測定した。上記の方法にて、
溶液1およびコントロールとしてアメーバ生食を用い、
消毒効果を調べた。その結果を表4に消毒後の生存シス
ト数の対数値で示した。
【0036】
【表4】
【0037】 上記表4に示したように、アメーバ生食
ではアカントアメーバ(シスト)はほとんど減少してい
ないのに対し、溶液1では明確な減少を示し、アカント
アメーバ(シスト)に対する消毒効果があることが分か
った。
【0038】
【発明の効果】 本発明は、蛋白質分解酵素、陰イオン
界面活性剤、非還元性多価アルコール、ホウ酸系緩衝剤
およびポリビニル系高分子化合物を所定の割合で含み、
かつ防腐剤を含まないコンタクトレンズ用液剤組成物を
用いることで、コンタクトレンズに付着する各種汚れを
洗浄する。さらには本発明の液剤組成物を用いること
で、コンタクトレンズへの脂質付着防止効果およびアカ
ントアメーバ消毒効果をも発現する。すなわち、コンタ
クトレンズを本発明の液剤組成物に浸すだけで各種汚れ
が良好に洗浄されるだけでなく、浸漬状態にて保存する
ことでコンタクトレンズへの脂質付着防止効果およびア
カントアメーバ消毒効果があるので、コンタクトレンズ
が常に清浄な状態で保存される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C11D 1/14 C11D 1/14 1/18 1/18 1/29 1/29 1/34 1/34 3/04 3/04 3/20 3/20 3/22 3/22 3/37 3/37 3/386 3/386 10/02 10/02 17/00 17/00 17/08 17/08 (72)発明者 斉藤 文郎 兵庫県豊岡市神美台156−5 株式会社オ フテクス研究所内 Fターム(参考) 2H006 DA08 DA09 4C058 AA09 BB07 CC02 CC06 JJ07 JJ08 4H003 AB05 AB08 AB23 AB27 AB31 AB38 AB39 BA12 DA16 EA02 EA18 EB04 EB05 EB16 EB33 EB36 EB41 EB42 EB46 EC02 ED02 FA21 FA29 FA34

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンタクトレンズの洗浄・保存に用いる
    液剤組成物であって、該組成物が下記(A)、(B)、
    (C)、(D)および(E)を下記の濃度で含み、かつ
    防腐剤を含まないことを特徴とするコンタクトレンズ用
    液剤組成物。 (A)蛋白質分解酵素 0.01〜1.0w/v%、 (B)陰イオン界面活性剤 0.01〜5w/v%、 (C)非還元性多価アルコール 5〜30w/v%、 (D)ホウ酸系緩衝剤 2〜5w/v% (E)水溶性高分子化合物 0.001〜5w/v%
  2. 【請求項2】 蛋白質分解酵素(A)が、動物および微
    生物由来の蛋白質分解酵素よりなる群より選択される少
    なくとも1種である請求項1記載の液剤組成物。
  3. 【請求項3】 陰イオン界面活性剤(B)が、N−アシ
    ルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキ
    ルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン
    酸塩、N−アシルタウリン塩、スルホン酸塩、アルキル
    硫酸塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸
    塩よりなる群より選択される少なくとも1種である請求
    項1または請求項2に記載の液剤組成物。
  4. 【請求項4】 非還元性多価アルコール(C)が、グリ
    セリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、
    ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、マン
    ニトールおよびソルビトールよりなる群より選択される
    少なくとも1種である請求項1〜請求項3のいずれかに
    記載の液剤組成物。
  5. 【請求項5】 ホウ酸系緩衝剤(D)が、ホウ酸および
    ホウ砂よりなる群より選択される少なくとも1種である
    請求項1〜請求項4のいずれかに記載の液剤組成物。
  6. 【請求項6】 水溶性高分子化合物(E)がピロリドン
    系化合物、セルロース系化合物、グリコサミノグリカン
    およびグリクロノグリカンよりなる群より選択される少
    なくとも1種である請求項1〜請求項5のいずれかに記
    載の液剤組成物。
  7. 【請求項7】 等張化剤、キレート化剤およびpH調整
    剤よりなる群より選択される少なくとも1種をさらに含
    有する請求項1〜請求項6のいずれかに記載の液剤組成
    物。
  8. 【請求項8】 コンタクトレンズへの脂質付着防止効果
    およびアカントアメーバ消毒効果を有する請求項1〜請
    求項7のいずれかに記載の液剤組成物。
  9. 【請求項9】 上記請求項1〜請求項8のいずれかに記
    載の液剤組成物を用いて、コンタクトレンズを洗浄・保
    存する方法。
  10. 【請求項10】 コンタクトレンズが非含水性コンタク
    トレンズである請求項9記載の方法。
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