JP2003057134A - 弾性体の摩擦パラメータの算出方法、弾性体の設計方法および記録媒体 - Google Patents

弾性体の摩擦パラメータの算出方法、弾性体の設計方法および記録媒体

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JP2003057134A
JP2003057134A JP2001242059A JP2001242059A JP2003057134A JP 2003057134 A JP2003057134 A JP 2003057134A JP 2001242059 A JP2001242059 A JP 2001242059A JP 2001242059 A JP2001242059 A JP 2001242059A JP 2003057134 A JP2003057134 A JP 2003057134A
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friction
elastic body
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friction coefficient
coefficient
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Naoshi Miyashita
直士 宮下
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Yokohama Rubber Co Ltd
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Yokohama Rubber Co Ltd
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】剪断力の負荷により、凝着摩擦と滑り摩擦の少
なくとも一方の摩擦状態を有する接触面を持つ弾性体に
ついて、精度の高い摩擦パラメータを算出することので
きる弾性体の摩擦パラメータの算出方法を提供するとと
もに、この方法で算出された摩擦パラメータを利用した
弾性体の設計方法および記録媒体を提供する。 【解決手段】弾性体の摩擦パラメータを、この弾性体の
摩擦挙動を再現する解析力学モデルに基づいて、上記弾
性体の接触面の滑り率に対する摩擦係数のデータから算
出するに際し、上記摩擦係数のデータから、接触面に作
用する接触圧の分布を規定する接触圧パラメータを、摩
擦パラメータとともに算出する。例えば、接触圧の分布
を下記に示す関数型D(t)によって表す。 D(t) =(1−|2t−1|n )・{1−q・(2t−
1)}

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム単体等の弾性
体単体や空気入りタイヤ等の弾性構造体等の弾性体の摩
擦パラメータを、接触摩擦評価試験等から得られる弾性
体の摩擦係数のデータを用いて算出する弾性体の摩擦パ
ラメータの算出方法、この算出方法に基づいて行なう弾
性体の設計方法および記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】空気入りタイヤは、車両装着時の運動性
能の向上のために、旋回性能の他に、制動時や駆動時の
性能の向上が望まれている。空気入りタイヤの制動時や
駆動時の特性は、一般に、一定負荷荷重および一定走行
速度の条件下、走行するタイヤに駆動トルクや制動トル
クを負荷する室内制駆動試験によって得られるタイヤの
μ−S曲線の計測データによって表される。
【0003】ここで、μ−S曲線とは、タイヤの摩擦係
数、すなわち、制駆動力Fx を荷重Fz で除した摩擦係
数μ(=FX /Fz )が、タイヤのトレッド回転速度を
t、タイヤの走行速度をVp (路面速度)として、下
記式で表された滑り率(スリップ率)Sに応じてどの様
に変化するかを示した曲線である。 図15に示されるように、摩擦係数μは、滑り率S=0
において略線形的に立ち上がり、滑り率Sが増えるにつ
れて制動時は徐々に上に凸の曲線、駆動時は徐々に下に
凸の曲線に移行し、最終的にS=±0.1〜±0.2の
範囲において、制動、駆動時の摩擦係数μの大きさが最
大となり、それ以降では、制動時、駆動時の摩擦係数μ
の大きさが徐々に減少する。
【0004】このようなμ−S曲線を計測して、摩擦係
数μの最大値やこの最大値を取る滑り率Sや、最大値を
越えた領域における摩擦係数μの減少の程度を数値化す
ることによって、タイヤの制駆動時の特性を予測評価し
ている。このようなμ−S曲線は、タイヤを計測するこ
とによって得られるものであるが、μ−S曲線をトレッ
ドゴムの凝着摩擦係数や滑り摩擦係数等の摩擦パラメー
タを用い、さらに、タイヤのベルト構造やカーカス構造
と組み合わせて、タイヤのμ−S特性の予測を行なおう
とする試みも種々行なわれ、タイヤの摩擦挙動を再現す
る解析力学モデルが提案されている。
【0005】例えば、一例として、Fiala−酒井モ
デルが挙げられる(「タイヤ工学」酒井秀男著、グラン
プリ出版(1987))。これによると、ベルトに対応
する円管形状のアンダートレッド部から、トレッドゴム
に対応するブラシ状の弾性体要素を放射状に貼り付けた
タイヤモデルを用いてμ−S曲線を算出する。
【0006】制動時のタイヤの挙動で説明すると、図1
6(a)に示すように、まず、接地面前端で路面と接し
たブラシ状のトレッドはトレッド回転速度Vt で接地面
後方に移動するが、制動時にタイヤと接触する路面は、
トレッド回転速度Vt よりも速いタイヤ走行速度V
p (路面速度)で後方に移動する。トレッド回転速度V
tは、タイヤ走行速度Vp よりも速度が遅いので、この
速度差Vp −Vt によって、ブラシ状の弾性体要素は接
地面前端から後方に向かうに従って走行方向後方に剪断
力を受ける。剪断力がトレッドと地面間の凝着力より小
さい場合は、トレッドと地面との相対的移動は発生せ
ず、凝着摩擦の状態となっているが、剪断力が最大凝着
摩擦力を越えると、弾性体要素は地面に対して相対的に
移動を開始し滑り摩擦状態となる。制動力は、接地面に
発生するこの凝着域の摩擦力と滑り域の摩擦力が合計さ
れた摩擦力によって表され、この摩擦力をタイヤの負荷
荷重で除算することによって、摩擦係数μを求める。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記最大凝
着摩擦力は、凝着摩擦と滑り摩擦の境界を規定し、μ−
S曲線を特徴付ける重要な要因となるものであり、図1
6(b)に示すように、タイヤの回転方向(制駆動力を
受ける方向)における接地圧の分布である接地圧分布p
(x)と凝着摩擦係数μs の積によって概略表すことが
できる。ここで、接地圧分布p(x)は既知の分布とし
て与えられるものであり、例えば2次の放物線関数で表
される。しかし、実際、図17(a)に示すように、制
駆動力の発生しない自由転動時の接地圧分布(図中、実
測データとして表された「+」の分布)は、2次の放物
線形状(実線)から大きく外れるばかりか、図17
(b)に示すように、制動時の接地圧分布p(x)(図
中、実測データとして表された「+」の分布)も接地の
中心線Cに対して非対称の分布を示している。そのた
め、タイヤのμ−S曲線を精度良く予測評価することは
できない。
【0008】また、制動時、どのような接地圧分布p
(x)を設定すれば精度の良い予測評価ができるか検討
がなされていない。そもそも、制駆動時の接地圧分布を
計測して入手することは容易ではない。さらに、実際に
計測して得られたタイヤのμ−S曲線のデータから、こ
のμ−S曲線のデータを最適に近似する凝着摩擦係数や
滑り摩擦係数等の摩擦パラメータを算出しても、μ−S
曲線の回帰が精度よく行われないため、信頼できる摩擦
パラメータを得ることができないのが現状である。
【0009】このような問題は、空気入りタイヤに限ら
ず、剪断力の負荷により、凝着摩擦と滑り摩擦の少なく
とも一方の摩擦状態を有する接触面を持つ弾性体に共通
して発生する問題である。
【0010】そこで、本発明は、上記問題点を解決する
ために、剪断力の負荷により、凝着摩擦と滑り摩擦の少
なくとも一方の摩擦状態を有する接触面を持つ弾性体に
ついて、例えば計測された滑り率に対する摩擦係数のデ
ータ等から、精度が高く信頼性の高い摩擦パラメータを
算出することのできる弾性体の摩擦パラメータの算出方
法を提供するとともに、この方法で算出された摩擦パラ
メータを利用した弾性体の設計方法および記録媒体を提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、剪断力の負荷により凝着摩擦力と滑り摩
擦力の少なくとも一方の力の作用する接触面が形成され
た弾性体の摩擦パラメータを、前記接触面の滑り率に対
する摩擦係数のデータから、この弾性体の摩擦挙動を再
現する解析力学モデルに基づいて算出するに際し、前記
摩擦係数のデータから、前記接触面に作用する接触圧の
分布を規定する接触圧パラメータを、前記摩擦パラメー
タとともに算出することを特徴とする弾性体の摩擦パラ
メータの算出方法を提供するものである。このような方
法は、コンピュータの演算手段や記憶手段を用いて行わ
れる処理によって効率よく行なうことができる。
【0012】ここで、前記摩擦パラメータは、凝着摩擦
係数、滑り摩擦係数、滑り摩擦係数の速度依存性係数、
前記弾性体の剪断強さ、前記凝着摩擦力の前記摩擦係数
に寄与する凝着力寄与成分および前記滑り摩擦力の前記
摩擦係数に寄与する滑り摩擦寄与成分、の少なくとも1
つを含むのが好ましく、前記接触圧の分布は、少なくと
も下記式(1)の関数型によって表されたものであるの
が好ましい。 D(t) =(1−|2t−1|n )・{1−q・(2t−1)} (1) 但し、tは前記剪断力の負荷方向における、前記接触面
の位置を規格化した0以上1以下の位置座標値であり、
nは正の実数、qは0以上1以下の実数である。
【0013】また、前記弾性体は、略円筒形状あるいは
略円柱形状を成し、この略円筒形状の円筒表面あるいは
略円柱形状の円柱表面に平面と接触する接触面を有する
のが好ましい。例えば、前記弾性体は、空気入りタイヤ
である。この場合、前記摩擦係数のデータは、空気入り
タイヤの制動時の摩擦係数の計測データであり、この計
測データから、空気入りタイヤの接地圧分布を算出す
る。また、前記弾性体は、架橋されたゴム材で構成され
たものであってもよい。
【0014】また、本発明は、前記弾性体の摩擦パラメ
ータの算出方法によって算出された弾性体の前記摩擦パ
ラメータ、および前記弾性体の摩擦パラメータの算出方
法によって算出された前記接触圧パラメータで規定され
る前記接触圧の分布の少なくとも1つを、この弾性体の
接触面の形状、弾性体の粘弾性特性、弾性体の構造の少
なくとも1つと対応付けた対応テーブルを予め作成し、
滑り率に対する所望の摩擦係数のデータを持つ弾性体を
設計する際、この摩擦係数のデータから前記弾性体の摩
擦パラメータの算出方法を用いて、前記摩擦パラメータ
および前記接触圧パラメータを算出し、これらの算出さ
れた摩擦パラメータおよび接触圧パラメータの少なくと
も1つから、前記対応テーブルを用いて、前記弾性体の
接触面の形状、前記弾性体の粘弾性特性、前記弾性体の
構造の少なくとも1つを選択することを特徴とする弾性
体の設計方法を提供する。
【0015】また、本発明は、前記弾性体の摩擦パラメ
ータの算出方法によって算出された弾性体の前記摩擦パ
ラメータを、この弾性体の接触面の形状、弾性体の粘弾
性特性、弾性体の構造の少なくとも1つと対応付けた対
応テーブルを予め作成するとともに、摩擦係数のデータ
のうち値が最大となる最大摩擦係数およびその時の滑り
率を、この摩擦係数のデータから算出された前記摩擦パ
ラメータと対応付けた対応曲線を予め作成し、滑り率に
対する所望の摩擦係数のデータを持つ弾性体を設計する
際、前記対応曲線を用いて算出される最大摩擦係数およ
びその時の滑り摩擦が前記所望の摩擦係数のデータの最
大摩擦係数およびその時の滑り率にそれぞれ略一致する
摩擦パラメータを持つように、弾性体の接触面の形状、
弾性体の粘弾性特性、弾性体の構造の少なくとも1つ
が、前記対応テーブルおよび前記対応曲線を用いて選択
されることを特徴とする弾性体の設計方法を提供する。
【0016】ここで、前記摩擦パラメータは、凝着摩擦
係数および滑り摩擦係数を含み、前記最大摩擦係数を前
記摩擦パラメータと対応付けた前記対応曲線は、下記式
(2)で表されたものであってもよい。
【数3】 但し、μpeak:最大摩擦係数 μs :凝着摩擦係数 μdo :滑り摩擦係数、である。 また、前記摩擦パラメータは、凝着摩擦係数、滑り摩擦
係数および弾性体の剪断強さを含み、前記最大摩擦係数
となる滑り率を前記摩擦パラメータと対応付けた対応曲
線は、下記式(3)で表されたものであるのがよい。
【数4】 但し、Speak:最大摩擦係数を取る時の滑り率 μs :凝着摩擦係数 μdo :滑り摩擦係数 Fz :接触面に負荷された荷重 Kx :弾性体の剪断強さ、である。
【0017】このような弾性体の設計方法で設計される
弾性体は、空気入りタイヤであって、空気入りタイヤの
タイヤトレッドパタンを前記弾性体の接触面の形状と
し、空気入りタイヤのトレッドゴムの粘弾性特性を前記
弾性体の粘弾性特性とし、前記空気入りタイヤのベルト
構造およびカーカス構造を前記弾性体の構造として、所
望の摩擦係数データを有する空気入りタイヤを設計する
のが好ましい。
【0018】また、本発明は、剪断力の負荷により凝着
摩擦力と滑り摩擦力の少なくとも一方の力の作用する接
触面が形成された弾性体の摩擦パラメータを、前記接触
面の滑り率に対する摩擦係数のデータから、この弾性体
の摩擦挙動を再現する解析力学モデルに基づいて算出す
るとともに、前記摩擦係数のデータから、前記接触面に
作用する接触圧の分布を規定する接触圧パラメータを算
出するパラメータ算出ステップを、コンピュータの演算
手段を用いて実行するプログラムが記録されたコンピュ
ータの読み取り可能な記録媒体を提供する。
【0019】ここで、前記プログラムは、前記解析力学
モデルに基づいて計算される摩擦係数の回帰曲線の前記
摩擦係数のデータに対する残差の平方和が最小となるよ
うに、前記摩擦パラメータおよび前記接触圧パラメータ
を、前記回帰曲線に対して線形となる線形パラメータと
非線形となる非線形パラメータとに分けて算出するプロ
グラムであって、前記パラメータ算出ステップは、前記
非線形パラメータが設定された状態で前記残差の平方和
が最小となるように前記演算手段を用いて線形パラメー
タを算出する線形パラメータ算出ステップと、所定の収
束条件を満たすように、前記非線形パラメータを逐次修
正しながら、その都度、前記線形パラメータ算出ステッ
プにおいて最小となる残差の平方和を、前記演算手段を
用いて算出する非線形パラメータ算出ステップと、を有
するのが好ましい。
【0020】また、前記パラメータ算出ステップは、前
記接触面上の複数の所定の位置の各々が凝着摩擦と滑り
摩擦の境界位置となる滑り率を前記演算手段を用いて算
出することによって、前記所定の位置と算出された前記
滑り率との関係を定めた参照テーブルを作成する参照テ
ーブル作成ステップと、この参照テーブルを用いて、所
望の滑り率における凝着摩擦と滑り摩擦の境界位置を算
出する境界位置算出ステップとを有するのが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の弾性体の摩擦パラ
メータの算出方法を添付の図面に示される好適実施例を
基に詳細に説明する。
【0022】図1は、タイヤに荷重Fz が負荷された状
態で計測された滑り率Sに対する制動力Fxiの計測デー
タ(Si ,Fxi)(i=1〜M,Mはデータ数)、すな
わちタイヤの摩擦特性データから、タイヤの摩擦挙動を
再現する解析力学モデルであるFiala−酒井モデル
を用いて、後述するタイヤの摩擦パラメータおよび接地
圧分布を規定する接地圧分布パラメータを算出する処理
装置10を示している。処理装置10は、コンピュータ
上でプログラムを実行することによって機能する装置で
あり、パラメータ算出部12と、摩擦係数μ算出部14
と、メモリ16とを有し、マウスやキーボード等の入力
デバイスを備える入力部18とモニタ20とプリンタ2
2とに接続される。パラメータ算出部12や摩擦係数μ
算出部14は、プログラムを実行することによって生成
される部位であり、実質的には、コンピュータの中央処
理ユニット(CPU)によって処理計算が行なわれる。
【0023】パラメータ算出部12は、計測データ(S
i ,Fxi)から、摩擦パラメータである、タイヤの凝着
摩擦係数μs 、滑り摩擦係数μdo、滑り摩擦速度依存性
係数a、係数Kx /(μs ・Fz )の他に、接地圧分布
を規定する放物線次数nおよび非対称係数qの接地圧分
布パラメータを算出する部分である。以降では、これら
のパラメータを単にパラメータという。各パラメータの
算出は、計測データ(Si ,Fxi)から得られるμ−S
曲線のデータとこのμ−S曲線のデータに近似するFi
ala−酒井モデルに基づく回帰μ−S曲線との誤差の
平方和、すなわち、残差平方和が最小となるように、後
述する正規方程式やNewton−Raphson法を
用いて行なう。
【0024】摩擦係数μ算出部14は、得られたパラメ
ータを用いて、回帰μ−S曲線を作成するとともに、摩
擦係数μのうち、凝着摩擦が摩擦係数μに寄与する凝着
摩擦寄与成分μ1 や、滑り摩擦が摩擦係数μに寄与する
滑り摩擦摩寄与成分μ2 を求める。算出された回帰μ−
S曲線や凝着摩擦寄与成分μ1 や滑り摩擦摩寄与成分μ
2 はモニタ20に表示され、また、プリンタ22に出力
される。
【0025】メモリ16は、後述する接地圧分布p
(x)を上記式(1)で表すためのn次傾斜放物線関数
型D(t)や、算出されたパラメータや作成された回帰
μ−S曲線や、参照テーブル等種々のデータを記憶する
部分である。入力部18は、計測データ(Si ,Fxi
の荷重Fz やタイヤ走行速度Vp や回帰μ−S曲線の算
出のための初期条件等の各種条件を入力するために用い
られる。
【0026】このような処理装置10で行なう摩擦パラ
メータの算出や接地圧分布p(x)を規定する接地圧パ
ラメータの算出は、以下の考えに基づいて行なわれる。
まず、回帰μ−S曲線を算出する際に用いる、制動力の
作用する方向の接地圧分布、すなわち、タイヤの接地圧
分布p(x)(xは接地面前端部をx=0とする)をn
次傾斜放物線関数型D(t)を用いて表す。
【0027】n次傾斜放物線関数型D(t)は、放物線
次数nと非対称係数qの2つのパラメータで規定される
特徴を持つ関数型である。放物線次数nが大きくなるほ
ど、図2(a)に示すように、n次傾斜放物線関数型D
(t)の前方領域Aと後方領域Bは先鋭化され、実際の
接地圧分布の形状に近似される。また、非対称係数qが
0から1になるに従って、n次傾斜放物線関数型D
(t)は図2(b)に示すように前後方向で非対称とな
る。このようなn次傾斜放物線関数型D(t)を用いた
接地圧分布p(x)は下記式(4)に従って表される。
ここで、Lはタイヤ接地面における接地長さである。接
地長さLは、後述するように、0以上1以下の実数によ
り無次元化され、接地長さLはパラメータの算出の対象
とされない。Wは、タイヤ接地面における接地幅であ
る。すなわち、接地面は、接地圧分布p(x)が幅方向
に一様に分布するものとして扱われる。
【0028】
【数5】
【0029】一方、タイヤモデルは、ベルトに対応する
円管形状のアンダートレッド部からトレッドゴムに対応
させてブラシ状の弾性体要素を放射状に貼り付けた、図
16(a)に示すFiala−酒井タイヤモデルを用い
る。
【0030】このブラシ状の弾性体要素が凝着摩擦から
滑り摩擦に移行する条件は、制動によって受ける剪断力
が、下記式(5)に示すように、接地圧分布p(x)と
凝着摩擦係数μs の積によって定まる最大凝着摩擦力μ
s ・p(x)と等しくなる位置Lh が存在する場合であ
る。この位置Lh は、上記接地長さLによって、Lh
Lと規格化される。ここで、Lh /Lは、凝着摩擦と滑
り摩擦の境界位置を示す規格化された座標値である。ま
た、Cx は、ブラシ状の弾性体要素の剪断弾性定数であ
り、この剪断弾性定数Cx は、後述する弾性体の剪断強
さKx (ブレーキングスティフネス)に置き換えられる
定数である。
【0031】
【数6】
【0032】なお、凝着摩擦と滑り摩擦は、滑り率が凝
着限界滑り率Sthを越えない範囲において同一の接地面
内において共存し、この凝着限界滑り率Sthを越えると
接地面全体は滑り摩擦の状態となる。すなわち、凝着限
界滑り率Sthは、凝着摩擦の限界を表す滑り率で、この
滑り率より大きくなると滑り摩擦しか存在しなくなる。
このような凝着限界滑り率Sthは、接地面前端の接地圧
分布p(x)の勾配とブラシ状の弾性体要素の剪断弾性
定数Cx によって定まる。すなわち、凝着限界滑り率S
thは、式(5)を満たす位置Lh が存在する限界滑り率
であり、具体的には、Sth=μS ・Fz /Kx ・(n+
1)・(q+1)である。なお、Kx は、後述する滑り
率S=0における制動力Fx の勾配を表すタイヤ剪断強
さ(ブレーキングスティフネス)で、剪断弾性定数Cx
と一定の関係(式(7)参照)を有する。このような滑
り率Sに依存した制動力Fx 、すなわち制動力F
x (S)の式は、下記式(6)に示すように、凝着限界
滑り率Sth以下の滑り率Sでは、凝着摩擦力に対応する
1 の式と滑り摩擦力に対応するE2 の式から構成され
る。凝着限界滑り率Sthより大きい滑り率Sでは、制動
力Fx (S)の式はμd ・Fz となる。
【0033】
【数7】
【0034】また、滑り率S=0における制動力Fx
勾配を表すタイヤ剪断強さKx は、下記式(7)によっ
てブラシ状の弾性体要素の剪断弾性定数Cx と関係付け
られることを利用して、式(5)および(6)を下記式
(8)および(9)に書き換えることができる。さら
に、滑り摩擦係数μd を滑り摩擦速度依存性を考慮し
て、滑り摩擦速度依存性係数aを下記式(10)のよう
に定めることができる。
【0035】
【数8】
【数9】
【数10】
【数11】
【0036】図3には、摩擦挙動を再現するFiala
−酒井モデルで表される摩擦パラメータおよび接地圧分
布を表す接地圧分布パラメータを算出する概略のステッ
プが示されている。
【0037】まず、計測データ(Si ,Fxi)がパラメ
ータ算出部12に読み込まれ(ステップ100)、その
後、メモリ16からn次傾斜放物線関数型D(t)が読
み込まれ(ステップ110)、式(8)〜(10)を用
いた駆動力Fx の計測データ(Si ,Fxi)への回帰処
理が行なわれ(ステップ120)、摩擦パラメータや接
地圧分布パラメータが算出される。この回帰処理につい
ては、後述する。
【0038】計測データ(Si ,Fxi)への最適な回帰
が行なわれた後、摩擦係数μ算出部14において、式
(9)を用いて表される回帰μ−S曲線、すなわち摩擦
係数μが算出され、さらに、制動力Fx を構成する滑り
率Sに対する凝着摩擦力(式(6)中のE1 に対応する
部分)滑り摩擦力(式(6)中のE2 に対応する部分や
μd ・Fz に対応する部分)が算出され荷重Fz で除算
されて、凝着摩擦寄与成分μ1 および滑り摩擦寄与成分
μ2 が算出される(ステップ130)。算出された回帰
μ−S曲線や凝着摩擦寄与成分μ1 や滑り摩擦寄与成分
μ2 がモニタ20やプリンタ22に出力される。なお、
本発明において算出されるパラメータは、凝着摩擦係数
μ0 、滑り摩擦係数μd0、滑り摩擦係数の速度依存性係
数a、弾性体の剪断強さKx 、凝着力寄与成分μ1 およ
び滑り摩擦寄与成分μ2 の少なくとも1つを含むもので
あればよい。
【0039】このようなステップ100〜130の流れ
のうち、ステップ120で行なわれる、計測データ(S
i ,Fxi)への回帰処理について詳細に説明する。計測
データ(Si ,Fxi)への回帰は、式(9)を用いて求
められる制動力F x を計測データ(Si ,Fxi)に最適
に回帰する、式(8)〜(10)における凝着摩擦係数
μs 、滑り摩擦係数μdo、滑り摩擦速度依存性係数a、
係数Kx /(μs ・Fz )、放物線次数nおよび非対称
係数qを、以下の方法によって算出することによって達
成される。
【0040】ここで、凝着摩擦係数μs 、滑り摩擦係数
μdoおよび滑り摩擦速度依存性係数aは、式(9)を変
形することにより、下記式(11)のように表され、線
形係数として表される。ここで、X(t),Y(t)お
よびZ(t)はtに関して非線形の関数である。一方、
係数Kx /(μs ・Fz )、放物線次数nおよび非対称
係数qは、式(8)に組み込まれているn次傾斜放物線
関数型D(t)のパラメータであるとともに、式(8)
中のL/Lh について解く際の非線形方程式のパラメー
タであるため、式(9)において非線形係数として表さ
れる。
【0041】
【数12】
【0042】従って、以降では、凝着摩擦係数μs 、滑
り摩擦係数μdoおよび滑り摩擦速度依存性係数aを線形
パラメータL1 〜L3 とし、係数Kx /(μs
z )、放物線次数nおよび非対称係数qを非線形パラ
メータN1 〜N3 とする。
【0043】また、計測データ(Si ,Fxi)では、滑
り率S=0において制動力Fx は必ずしも0とならない
ため、式(9)においてFx (S0)=0となるS0を
4番目の非線形パラメータN4 として、式(9)に導入
する。すなわち、式(9)によって算出される制動力F
x が、計測データ(Si ,F xi)に最適に回帰するよう
に、本発明の方法は、線形パラメータL1 〜L3 と非線
形パラメータN1 〜N4 を以下の方法によって算出す
る。
【0044】ところで、線形パラメータL1 〜L3 は、
非線形パラメータN1 〜N4 が設定されると、式(1
1)に関する正規方程式を作成して、計測データ
(Si ,Fxi)と式(9)で算出されるFx との残差の
二乗を積算した残差平方和Q’(下記式(12)参照)
を最小とする線形パラメータL1 〜L3 を求めることが
できる。さらに、その時の残差平方和Q' 、すなわち最
小二乗残差和Qを求めることができる。ここで、正規方
程式とは、残差平方和Q’を線形パラメータの各々で偏
微分して偏微分値を0とした、線形パラメータの個数分
設定される線形パラメータに関する方程式である。
【数13】 なお、式(12)におけるNとは、非線形パラメータN
i (i=1〜4)を総称するベクトルである。
【0045】従って、非線形パラメータN1 〜N4 に初
期値を与え、非線形パラメータN1〜N4 に修正パラメ
ータΔNi (i=1〜4)をNewton−Raphs
on法を用いて探索しつつ、その都度、上記方法で線形
パラメータL1 〜L3 を算出して最小二乗残差和Qを求
めることによって、最適な非線形パラメータN1 〜N 4
を見出すことができる。そこで、非線形パラメータN1
〜N4 に与える修正パラメータΔNi (i=1〜4)を
与えて探索する流れを図4に示すフローに沿って説明す
る。まず、初期値設定が行なわれる(ステップ12
1)。すなわち、初期非線形パラメータN1 (1) 〜N4
(1) と刻み幅dNj (j=1〜4)が与えられ、この時
の最小二乗残差和Qが、上述した正規方程式を用いて線
形パラメータL1 〜L3を一意的に定めることによって
計算され、初期最小二乗残差和Q(1) として設定され
る。初期非線形パラメータN1 (1) 〜N4 (1) や刻み幅
dNj は、入力部18からオペレータの入力によって行
われてもよいし、予めメモリ16に記憶されていたもの
を呼び出すことで設定してもよい。なお、刻み幅dNj
は、非線形パラメータN1 〜N4 の修正パラメータΔN
iを求める際に用いられるパラメータである。初期非線
形パラメータNi や最小二乗残差和Qの右片に記される
「(1)」は、繰り返し回数kが1の状態(初期値)を
表している。
【0046】次に、修正パラメータΔNj (j=1〜
4)が算出される(ステップ122)。修正パラメータ
ΔNj (j=1〜4)は、下記式(13)の行列を解く
ことによって算出される。ここで、式(13)の左辺の
行列や右辺のベクトルは、下記式(14)や(15)を
用いて求められる。
【数14】
【数15】
【数16】
【0047】ここで、式(14),(15)における、
修正パラメータを加えた非線形パラメータNi (k) +d
i やNj (k) +dNj (k=1)における最小二乗残
差和Q(k) (k=1)の算出は後述する方法で行なわれ
る。なお、kは繰り返し回数を表す。
【0048】次に、ステップ122において算出された
修正パラメータΔNj から、下記式(16)に従って、
修正された非線形パラメータNj (k+1) (k=1)が算
出される。ここで、αは、0以上1以下の実数からなる
縮小因子であり、ステップ122を行なった段階で縮小
因子αは1.0に設定される。
【数17】
【0049】次に、算出された非線形パラメータNj
(k+1) (k=1)から、上述した正規方程式を用いて線
形パラメータL1 〜L3 が算出され、この非線形パラメ
ータN j (k+1) (k=1)と線形パラメータL1 〜L3
とを用いて、最小二乗残差和Q (k+1) (k=1)が算出
される(ステップ123)。次に、算出された最小二乗
残差和Q(k+1) (k=1)が最小二乗残差和Q(k)(k
=1)に対して小さくなっているか判別される(ステッ
プ124)。算出された最小二乗残差和Q(k+1) (k=
1)が最小二乗残差和Q(k) (k=1)に対して同等あ
るいはそれ以上の場合、最小二乗残差和Q(k+1) (k=
1)が最小二乗残差和Q(k) (k=1)に対して小さく
なるまで、縮小因子αを1/2ずつ半減させる。縮小因
子αを1/2ずつ半減させるのは、縮小因子α=1.0
として修正された非線形パラメータNj (k+1) (k=
1)による最小二乗残差和Q(k+1 ) が常に最小二乗残差
和Q(k) (k=1)に対して小さくなるとは限らないか
らである。
【0050】ステップ124の判別条件を満たすと、修
正パラメータΔNj が刻み幅dNjに対して小さいか否
か判別される(ステップ125)。修正パラメータΔN
j が刻み幅dNj と同等あるいはそれ以上の場合、ステ
ップ124の判別条件を満たす修正された非線形パラメ
ータNj (k+1) (k=1)を基準として、ステップ12
2に戻る。このようにして、ステップ125の判別条件
を満たすまで、逐次、最小二乗残差和Q(k) が算出され
る。このようにして、ステップ122〜125を繰り返
し行い、最小二乗残差和Q(k) を単調に減少させる。
【0051】ステップ125の判別条件を満たす修正パ
ラメータΔNj が定まると、刻み幅dNj を1/4に縮
小する(ステップ126)。その後、ステップ125の
判別条件を満足する修正パラメータΔNj が所定の値ε
より小さくなるか、あるいはステップ124の判別条件
を満足する最小二乗残差和Q(k) が、所定の値δより小
さくなるか否かが判別され、収束の有無が判別される
(ステップ127)。収束しない場合、繰り返し回数k
をk+1として、ステップ122に戻る。
【0052】このようにして、繰り返し回数kが増える
度に、修正パラメータΔNj の大きさを制限する刻み幅
dNj を縮小させつつ、最小二乗残差和Q(k) を減少さ
せることができる。こうして、ステップ127の収束条
件を満たす非線形パラメータN1 〜N4 と線形パラメー
タL1 〜L3 とが決定され、計測データ(Si ,Fxi
に対する最小二乗残差和Q(k) を持つ制動力F
x (Si ,N)が算出される。以上がステップ120の
回帰処理の流れである。
【0053】なお、ステップ120の回帰処理の流れの
中で、例えば、ステップ122やステップ123におけ
る最小二乗和Q(k) を正規方程式を用いて算出する際、
式(8)の条件を満足すべきLh /Lを、与えられた滑
り率Sから求めなければならない。また、ステップ13
0における摩擦係数μの算出の際にも、所定の滑り率S
における制動力Fx を式(9)を用いて求める際、与え
られた滑り率Sから式(8)の条件を満足するLh /L
を求めなければならない。このようなLh /Lは式
(8)をLh /Lに関する方程式として解かなければな
らず、しかも、凝着摩擦と滑り摩擦の境界を規定するも
のであるので、特に正確かつ精度よく算出しなければな
らない。しかし、この方程式は非線形方程式であり、し
かも、滑り率Sや接地圧分布パラメータがその都度変化
するため、計算処理効率の低下に繋がり易い。このよう
な煩雑な解法を正確かつ精度よく、しかも効率よく行な
うために、本実施例では、図5に示すフローに従った算
出方法が実行される。
【0054】図5においては、与えられた滑り率SをS
a とする。まず、滑り率Sa と非線形パラメータN1
4 が読み込まれる(ステップ140)。次に、この非
線形パラメータN1 〜N4 を用いて、例えば、0以上1
以下の等間隔に設定された、規格化された所定の位置が
凝着摩擦と滑り摩擦の境界位置となるように、すなわ
ち、Lh /Lとなるように式(8)を用いて滑り率が算
出される。この位置と求められた滑り率の組が複数組、
例えば100組求められ、境界位置となる位置と滑り率
Sとの対応関係を表す参照テーブルが作成される(ステ
ップ141)。
【0055】次に、非線形パラメータN1 〜N4 から、
凝着摩擦の発生限界を示す滑り率である凝着限界滑り率
thが算出される(ステップ142)。次に、滑り率S
a が凝着限界滑り率Sthより小さいか否か判別される
(ステップ143)。滑り率Sa が凝着限界滑り率Sth
と同等あるいはこれより大きい場合、Lh /L=0とさ
れる(ステップ144)。滑り率Sa が凝着限界を越え
るため、凝着摩擦が接地面に発生しないからである。ス
テップ143の判別条件を満たす場合、ステップ141
で作成された参照テーブルから、滑り率Sa 近傍のサン
プル点(滑り率Sとその滑り率SにおけるL h /Lの
組)を数組選択し、この選択された組を用いて、Sho
enberg−Whittnyの条件に従うスプライン
関数の節点を設定し、この節点を用いて3次スプライン
関数を作成する(ステップ144)。
【0056】次に、この3次スプライン関数を用いて、
滑り率Sa におけるLh /Lを内挿補間によって求める
(ステップ146)。この方法によって、凝着摩擦と滑
り摩擦との境界位置を所望の滑り率に対して精度良く求
めることができる。求められたLh /Lは、ステップ1
30においては式(9)による制動力Fxの算出のため
に用いられ、ステップ122やステップ123において
式(11)、(12)による最小二乗和Q(k) を求める
際の正規方程式の算出のために用いられる。
【0057】このようなステップ140〜ステップ14
6の処理は、コンピュータ上でプログラムが実行される
ことによって機能するサブルーチンとしてユニット化さ
れている。従って、同一の非線形パラメータN1 〜N4
の条件で滑り率Sを変えながら繰り返し計算する場合、
一旦参照テーブルを作成すれば、再度参照テーブルを作
成する必要がないので、Lh /Lの算出を効率よく行な
うことができる。また、滑り率Sを一定の間隔で0から
順番に変えながらFx の値を逐次算出する場合、Lh
Lが滑り率Sの増加に伴って値が単調に減少するので、
制動力F x を算出する際、直前の制動力Fx の算出に用
いた参照テーブルのサンプル点の情報を利用することが
でき、Lh /Lの算出を効率よく行なうことができる。
さらに、滑り率Sa が凝着限界滑り率Sthを越える場
合、Lh /Lを0とするので、スプライン関数を作成し
て内挿補間を行うLh /Lの算出のための処理を行なう
必要がなくなり、算出処理を効率よく行なうことができ
る。
【0058】このようにして、Fiala−酒井モデル
を用いた制動力Fx (S)を、線形パラメータL1 〜L
3 および非線形パラメータN1 〜N4 を用いて計測デー
タ(Si ,Fxi)に最適に回帰させることで、図6
(a)〜(c)に示すように、極めて精度の高い最適な
回帰μ−S曲線を算出することができる。図6(a)
は、空気圧200kPa、荷重Fz =4kNにおけるタ
イヤ走行速度Vp =20km/hにおける計測データ
(Si ,Fxi)から求められるμ−Sデータ(図中、+
でプロットされている)と最適な回帰μ−S曲線(図
中、実線で表されている)とを対比して表している。ま
た同時に、最適な回帰μ−S曲線における摩擦係数μ
(S)を構成する凝着摩擦力成分μ1 (S)および滑り
摩擦力成分μ2 (S)を表している。
【0059】図6(b)はタイヤ走行速度Vp =40k
m/hの条件、 図6(c)はタイヤ走行速度Vp =6
0km/hの条件、図6(d)はタイヤ走行速度Vp
80km/hの条件における、計測データ(Si
xi)から求められるμ−Sデータと、最適な回帰μ−
S曲線と、凝着摩擦力成分μ1 (S)および滑り摩擦力
成分μ2 (S)とを、それぞれ示している。また、タイ
ヤ走行速度Vp =20,40,60および80km/h
の条件において算出された非線形パラメータである放物
線次数nと非対称係数qの2つのパラメータから定まる
接地圧分布p(x)が、図7に示されている。タイヤ走
行速度Vp が増加するに連れて、接地圧分布p(x)は
接地面の前方で高くなり、後方で低くなる傾向を示して
いる。なお、接地圧分布p(x)は、接地幅Wと接地長
さLを便宜上、静止状態(タイヤ走行速度Vp =0)で
の計測値に固定して求めたものである。
【0060】これに対して、接地圧分布p(x)を従来
の2次放物線関数として表した場合、図8に示すよう
に、回帰μ−S曲線(図中、実線で表されている)が、
計測データ(Si ,Fxi)から求められるμ−Sデータ
(図中、+でプロットされている)に十分に回帰されて
いない。これは、接地圧分布p(x)を2次放物線関数
で固定して計算したためである。なお、図8に示すμ−
Sデータは、図6(d)に示すμ−Sデータと同じであ
る。
【0061】図9(a)には、図6(d)に示される回
帰μ−S曲線と計測データ(Si ,Fxi)から求まるμ
−Sデータとの残差を、図9(b)には、図8に示され
る回帰μ−S曲線と計測データ(Si ,Fxi)から求ま
るμ−Sデータとの残差をそれぞれ示している。明らか
に、本発明における回帰曲線の残差は小さく、従って、
残差平方和が小さくなることがわかる。一例として、図
6(d)に示す回帰μ−S曲線における摩擦パラメータ
および接地圧分布パラメータと、接地圧分布p(x)と
して従来の2次放物線関数を用いた方法で求まる摩擦パ
ラメータとを表1に表す。
【0062】
【表1】
【0063】このように、本発明は、計測データ
(Si ,Fxi)から、摩擦パラメータのみならず、接地
圧分布p(x)を規定するパラメータを算出することが
でき、しかも、正確かつ高精度に最適に回帰μ−S曲線
の回帰を行うことができるので、算出された摩擦パラメ
ータのみならず、接地圧分布パラメータから定まる接地
圧分布p(x)も、実際のタイヤの摩擦パラメータおよ
び接地圧分布を正確に精度よく表し、信頼性が高いと言
える。
【0064】また、本方法で算出された摩擦パラメータ
および接地圧分布パラメータのタイヤ走行速度Vp 依存
性を図10および図11にそれぞれ示す。各パラメータ
は、タイヤ走行速度Vp とともに大きく変動することが
わかる。
【0065】このように、Fiala−酒井モデルを用
いた制動力Fx (S)を、線形パラメータL1 〜L3
よび非線形パラメータN1 〜N4 を用いて計測データ
(Si,Fxi)へ回帰させる方法は、コンピュータを実
行させるプログラムとして、CD−ROMやZip等の
記録媒体に記録され、処理装置10の図示されない記録
装置ドライブユニットから読み取られて実行するもので
ある。
【0066】以上、タイヤの計測データ(Si ,Fxi
から、Fiala−酒井モデルに基づいて、摩擦パラメ
ータのみならず、接地圧分布p(x)を規定するパラメ
ータを算出する方法について説明したが、本発明におけ
る解析力学モデルは、Fiala−酒井モデルに限定さ
れず、タイヤの摩擦挙動を再現する解析力学モデルであ
ればいずれであってもよい。さらに、上記例は、タイヤ
の制動時の制動力を対象とするが、本発明においては、
タイヤの駆動時の駆動力を、パラメータ算出の対象とし
てもよい。また、本発明におけるパラメータの算出を行
う対象は、タイヤに限定されず、剪断力の負荷により凝
着摩擦力と滑り摩擦力の少なくとも一方の力が作用する
接触面が形成された弾性体であればよく、タイヤ等の弾
性構造体の他に、略円筒形状あるいは略円柱形状を成
し、円筒軸や円柱軸の軸線を中心に回転するとともに、
円筒表面あるいは円柱表面が平面に接触した接触面を持
つ弾性体単体であってもよい。とくに、架橋されたゴム
材で構成されたものであるのが好ましい。
【0067】このような摩擦パラメータの算出法によっ
て算出された凝着摩擦係数μs 、滑り摩擦係数μdo、滑
り摩擦速度依存性係数aおよびタイヤの剪断強さKx
摩擦パラメータを、図12に示すように、接地面でのパ
タン形状を定めるタイヤトレッドパタン形状(弾性体の
接触面の形状)やタイヤトレッドゴムのE’やtanδ
等の粘弾性特性あるいはタイヤトレッドのゴム種等のタ
イヤ設計要素と対応付けを行うとともに、タイヤの接地
圧分布p(x)あるいはこの接地圧分布パラメータを、
タイヤトレッドゴムのE’やtanδ等の粘弾性特性あ
るいはタイヤトレッドのゴム種やタイヤベルト構造やタ
イヤカーカス構造等のタイヤ設計要素と対応付けを行っ
た対応テーブルを予め作成することができる。以下、こ
の対応テーブルを用いて所望の摩擦係数データを有する
タイヤを設計するタイヤの設計方法について説明する。
【0068】まず、上記対応テーブルを作成する。その
後、図13に示すように、タイヤの摩擦特性として目標
とする、所定荷重Fz における所望のμ−S曲線を設定
する。同時に、製造コストや材料コスト等のタイヤの設
計においてタイヤ設計要素を制限する制約条件を設定す
る(ステップ200)。例えば、材料の原料費に上限を
設定する。
【0069】ここで、上記摩擦パラメータの算出法によ
って、凝着摩擦係数μs 、滑り摩擦係数μd0タイヤ剪断
強さKx 、および滑り摩擦速度依存性係数a等のパラメ
ータや放物線係数nおよび非対称係数q等の接地圧パラ
メータを算出する(ステップ210)。
【0070】こうして算出された凝着摩擦係数μs 、滑
り摩擦係数μd0およびタイヤ剪断強さKx の値に近い値
を凝着摩擦係数μs 、滑り摩擦係数μd0およびタイヤ剪
断強さKx が持つように、タイヤトレッドパタン形状や
タイヤトレッドゴムのE’やtanδ等の粘弾性特性値
あるいはタイヤトレッドのゴム種等のタイヤ設計要素を
対応テーブルから選択し、さらに、対応テーブルから、
選択されたタイヤトレッドの粘弾性特性値あるいはタイ
ヤトレッドのゴム種等の制限の範囲内で制動時の接地圧
分布p(x)をタイヤベルト構造やタイヤカーカス構造
を選択する(ステップ220)。
【0071】こうして求められたタイヤ設計要素の組が
製造コストや材料コスト等の制約条件を満足するか否か
が判定される(ステップ230)。制約条件を満足しな
い場合、ステップ220に戻る。制約条件を満足する場
合、選択されたタイヤ設計要素の組を用いたタイヤの試
作が行われる(ステップ240)。
【0072】その後、試作されたタイヤが目標とするμ
−S曲線を実現するか否かを判断するために、試作され
たタイヤの制動力が計測され、計測データ(Si
xi)から求まるμ−Sデータが、目標とするμ−S曲
線と比較され、試作されたタイヤの摩擦特性が確認され
る(ステップ250)。比較の結果、目標とするμ−S
曲線を正確に実現しないと判断された場合(NGの場
合)、ステップ210に戻り、再度、タイヤ設計要素の
組が選択される。比較の結果、目標とするμ−S曲線を
実現する場合(OKの場合)、選択されたタイヤ設計要
素の組は適切であるとして、所望のμ−S曲線を持つタ
イヤの設計は終了する。
【0073】上記タイヤの設計方法は、ステップ210
において上記摩擦パラメータの算出方法を用いて摩擦パ
ラメータや接地圧パラメータを一意的に算出するもので
あるが、予め上記対応テーブルを作成するとともに、凝
着摩擦係数μs および滑り摩擦係数μdoと、タイヤの摩
擦係数データにおける最大摩擦係数μpeakおよびその時
の滑り率Speakとを対応付ける対応曲線を作成しておい
て、以下に示す処理をステップ210、220の処理に
替えて行ってもよい。ここで、対応曲線とは、下記式
(17)、(18)で表される関数M(μs /μdo)や
関数P(μs /μdo)をいう。
【0074】
【数18】
【数19】
【0075】このように関数MやPを用いて最大摩擦係
数μpeakおよびその時の滑り率Spe akをμs /μdoと対
応付けることができるのは、例えば、式(17)の場
合、図13に示すように、最大摩擦係数μpeakの滑り摩
擦係数μd0に対する比、すなわち、(μpeak/μd0)を
関数M(μs /μdo)によって略良好に表すことができ
ることを、本願発明者が実験的に見いだしたことによる
ものである。すなわち、関数M(μs /μdo)は、算出
された複数の凝着摩擦係数μs および滑り摩擦係数μdo
を用いて、図14に示すようなカーブフィットにより実
験的に求めることができる。式(18)についても同様
である。
【0076】なお、関数M(μs /μdo)を実験的に導
き出すことなく、例えば、接地圧分布p(x)を2次放
物線関数として、Fiala−酒井モデルを用いて解析
的に求められる下記式(19)で表してもよい。
【数20】 同様に、P(μs /μdo)を下記式(20)で表しても
よい。
【数21】 このような対応曲線は、後述するように、最大摩擦係数
μpeakおよびその時の滑り率Speakを、凝着摩擦係数μ
s 、滑り摩擦係数μdoおよびタイヤの剪断強さKx の値
から概略設定するために用いられる。
【0077】すなわち、設定されたμ−S曲線から目標
とする最大摩擦係数μpeakおよびその時の滑り率Speak
の値を求めるとともに、例えば、対応テーブルに設定さ
れているタイヤ設計要素を組み合わせて式(17)およ
び式(18)を用いて算出される最大摩擦係数μpeak
よびその時の滑り率Speakの値が、目標とする最大摩擦
係数μpeakおよびその時の滑り率Speakの値の所定の範
囲内に設定されるタイヤ設計要素の組をすべて選択す
る。
【0078】このようにして選択されたタイヤ設計要素
の組の摩擦パラメータや接地圧分布パラメータの組を用
いて、式(9)による制動力Fx を算出してμ−S曲線
を求めることで、目標とするμ−S曲線を最適に近似す
るμ−S曲線のタイヤ設計要素の組を選択する。このよ
うな方法を用いることで、ステップ210、220の処
理に替えることができる。
【0079】以上、本発明の弾性体の摩擦パラメータの
算出方法、弾性体の設計方法および記録媒体について詳
細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、
本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良お
よび変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0080】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、タイヤに
加わる制動力等の剪断力の負荷により、凝着摩擦と滑り
摩擦の少なくとも一方の摩擦状態を有する接触面を持つ
弾性体について、滑り率に対する摩擦係数のデータか
ら、剪断力を受けた際の接触圧の分布を算出することが
でき、しかも、弾性体の摩擦パラメータを精度良くかつ
正確に算出することができる。さらに、この算出された
摩擦パラメータと接触圧の分布を、タイヤ等の弾性体の
設計要素と対応付けることができるので、所望のμ−S
曲線を有する弾性体を設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の弾性体の摩擦パラメータの算出方法
を実施する処理装置の一例を示すブロック図である。
【図2】 (a)および(b)は、本発明の弾性体の摩
擦パラメータの算出方法において用いる関数型を説明す
る図である。
【図3】 本発明の弾性体の摩擦パラメータの算出方法
の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【図4】 本発明の弾性体の摩擦パラメータの算出方法
の流れのうち、主要部分の流れの一例を示すフローチャ
ートである。
【図5】 本発明の弾性体の摩擦パラメータの算出方法
の流れのうち、主要部分の流れの一例を示すフローチャ
ートである。
【図6】 (a)〜(d)は、本発明の弾性体の摩擦パ
ラメータの算出方法で算出されたパラメータを用いて算
出されたμ−S曲線を示す図である。
【図7】 本発明の弾性体の摩擦パラメータの算出方法
で算出されたパラメータを用いて得られた接地圧分布の
一例を示す図である。
【図8】 従来の方法で最適に求めたμ−S曲線を示す
図である。
【図9】 (a)は、本発明の弾性体の摩擦パラメータ
の算出方法で得られたμ−S曲線の残差を示す図であ
り、(b)は、従来の方法で得られたμ−S曲線の残差
を示す図である。
【図10】 (a)および(b)は、本発明の弾性体の
摩擦パラメータの算出方法で得られた摩擦パラメータの
一例を示す図である。
【図11】 (a)および(b)は、本発明の弾性体の
摩擦パラメータの算出方法で得られた接地圧パラメータ
の一例を示す図である。
【図12】 本発明の弾性体の設計方法で用いる対応テ
ーブルの一例を説明する図である。
【図13】 本発明の弾性体の設計方法の流れの一例を
示すフローチャートである。
【図14】 本発明の弾性体の設計方法で用いる対応曲
線の一例を説明する図である。
【図15】 タイヤの制駆動特性を示すμ−S曲線を説
明する図である。
【図16】 (a)および(b)は、タイヤに制動力が
作用する機構を説明する図である。
【図17】 (a)および(b)は、タイヤの制動時の
接地圧分布と2次放物線とを比較説明する図である。
【符号の説明】
10 処理装置 12 パラメータ算出部 14 摩擦係数μ算出部 16 メモリ 18 入力部 20 モニタ 22 プリンタ

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】剪断力の負荷により凝着摩擦力と滑り摩擦
    力の少なくとも一方の力の作用する接触面が形成された
    弾性体の摩擦パラメータを、前記接触面の滑り率に対す
    る摩擦係数のデータから、この弾性体の摩擦挙動を再現
    する解析力学モデルに基づいて算出するに際し、 前記摩擦係数のデータから、前記接触面に作用する接触
    圧の分布を規定する接触圧パラメータを、前記摩擦パラ
    メータとともに算出することを特徴とする弾性体の摩擦
    パラメータの算出方法。
  2. 【請求項2】前記摩擦パラメータは、凝着摩擦係数、滑
    り摩擦係数、滑り摩擦係数の速度依存性係数、前記弾性
    体の剪断強さ、前記凝着摩擦力の前記摩擦係数に寄与す
    る凝着力寄与成分および前記滑り摩擦力の前記摩擦係数
    に寄与する滑り摩擦寄与成分、の少なくとも1つを含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の弾性体の摩擦パラメ
    ータの算出方法。
  3. 【請求項3】前記接触圧の分布は、少なくとも下記式
    (1)の関数型によって表されたものであることを特徴
    とする請求項1または2に記載の弾性体の摩擦パラメー
    タの算出方法。 D(t) =(1−|2t−1|n )・{1−q・(2t−1)} (1) 但し、tは前記剪断力の負荷方向における、前記接触面
    の位置を規格化した0以上1以下の位置座標値であり、
    nは正の実数、qは0以上1以下の実数である。
  4. 【請求項4】前記弾性体は、略円筒形状あるいは略円柱
    形状を成し、この略円筒形状の円筒表面あるいは略円柱
    形状の円柱表面に平面と接触する接触面を有することを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の弾性体の摩
    擦パラメータの算出方法。
  5. 【請求項5】前記弾性体は、架橋されたゴム材で構成さ
    れたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    かに記載の弾性体の摩擦パラメータの算出方法。
  6. 【請求項6】前記弾性体は、空気入りタイヤであること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の弾性体の
    摩擦パラメータの算出方法。
  7. 【請求項7】前記摩擦係数のデータは、空気入りタイヤ
    の制動時の摩擦係数の計測データであり、この計測デー
    タから、空気入りタイヤの接地圧分布を算出することを
    特徴とする請求項6に記載の弾性体の摩擦パラメータの
    算出方法。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載の弾性体の
    摩擦パラメータの算出方法によって算出された弾性体の
    前記摩擦パラメータ、および前記弾性体の摩擦パラメー
    タの算出方法によって算出された前記接触圧パラメータ
    で規定される前記接触圧の分布の少なくとも1つを、こ
    の弾性体の接触面の形状、弾性体の粘弾性特性、弾性体
    の構造の少なくとも1つと対応付けた対応テーブルを予
    め作成し、 滑り率に対する所望の摩擦係数のデータを持つ弾性体を
    設計する際、 この摩擦係数のデータから前記弾性体の摩擦パラメータ
    の算出方法を用いて、前記摩擦パラメータおよび前記接
    触圧パラメータを算出し、 これらの算出された摩擦パラメータおよび接触圧パラメ
    ータの少なくとも1つから、前記対応テーブルを用い
    て、前記弾性体の接触面の形状、前記弾性体の粘弾性特
    性、前記弾性体の構造の少なくとも1つを選択すること
    を特徴とする弾性体の設計方法。
  9. 【請求項9】請求項7に記載の弾性体の摩擦パラメータ
    の算出方法によって算出された弾性体の前記摩擦パラメ
    ータを、この弾性体の接触面の形状、弾性体の粘弾性特
    性、弾性体の構造の少なくとも1つと対応付けた対応テ
    ーブルを予め作成するとともに、 摩擦係数のデータのうち値が最大となる最大摩擦係数お
    よびその時の滑り率を、この摩擦係数のデータから算出
    された前記摩擦パラメータと対応付けた対応曲線を予め
    作成し、 滑り率に対する所望の摩擦係数のデータを持つ弾性体を
    設計する際、 前記対応曲線を用いて算出される最大摩擦係数およびそ
    の時の滑り摩擦が前記所望の摩擦係数のデータの最大摩
    擦係数およびその時の滑り率にそれぞれ略一致する摩擦
    パラメータを持つように、弾性体の接触面の形状、弾性
    体の粘弾性特性、弾性体の構造の少なくとも1つが、前
    記対応テーブルおよび前記対応曲線を用いて選択される
    ことを特徴とする弾性体の設計方法。
  10. 【請求項10】前記摩擦パラメータは、凝着摩擦係数お
    よび滑り摩擦係数を含み、前記最大摩擦係数を前記摩擦
    パラメータと対応付けた前記対応曲線は、下記式(2)
    で表されたものであることを特徴とする請求項9に記載
    の弾性体の設計方法。 【数1】 但し、μpeak:最大摩擦係数 μs :凝着摩擦係数 μdo :滑り摩擦係数、である。
  11. 【請求項11】前記摩擦パラメータは、凝着摩擦係数、
    滑り摩擦係数および弾性体の剪断強さを含み、 前記最大摩擦係数となる滑り率を前記摩擦パラメータと
    対応付けた対応曲線は、下記式(3)で表されたもので
    あることを特徴とする請求項9または10に記載の弾性
    体の設計方法。 【数2】 但し、Speak:最大摩擦係数を取る時の滑り率 μs :凝着摩擦係数 μdo :滑り摩擦係数 Fz :接触面に負荷された荷重 Kx :弾性体の剪断強さ、である。
  12. 【請求項12】前記弾性体は、空気入りタイヤであっ
    て、 空気入りタイヤのタイヤトレッドパタンを前記弾性体の
    接触面の形状とし、空気入りタイヤのトレッドゴムの粘
    弾性特性を前記弾性体の粘弾性特性とし、前記空気入り
    タイヤのベルト構造およびカーカス構造を前記弾性体の
    構造として、所望の摩擦係数データを有する空気入りタ
    イヤを設計することを特徴とする請求項8〜11のいず
    れかに記載の弾性体の設計方法。
  13. 【請求項13】剪断力の負荷により凝着摩擦力と滑り摩
    擦力の少なくとも一方の力の作用する接触面が形成され
    た弾性体の摩擦パラメータを、前記接触面の滑り率に対
    する摩擦係数のデータから、この弾性体の摩擦挙動を再
    現する解析力学モデルに基づいて算出するとともに、前
    記摩擦係数のデータから、前記接触面に作用する接触圧
    の分布を規定する接触圧パラメータを算出するパラメー
    タ算出ステップを、コンピュータの演算手段を用いて実
    行するプログラムが記録されたコンピュータの読み取り
    可能な記録媒体。
  14. 【請求項14】前記プログラムは、前記解析力学モデル
    に基づいて計算される摩擦係数の回帰曲線の前記摩擦係
    数のデータに対する残差の平方和が最小となるように、
    前記摩擦パラメータおよび前記接触圧パラメータを、前
    記回帰曲線に対して線形となる線形パラメータと非線形
    となる非線形パラメータとに分けて算出するプログラム
    であって、 前記パラメータ算出ステップは、 前記非線形パラメータが設定された状態で前記残差の平
    方和が最小となるように前記演算手段を用いて線形パラ
    メータを算出する線形パラメータ算出ステップと、 所定の収束条件を満たすように、前記非線形パラメータ
    を逐次修正しながら、その都度、前記線形パラメータ算
    出ステップにおいて最小となる残差の平方和を、前記演
    算手段を用いて算出する非線形パラメータ算出ステップ
    と、を有することを特徴とする請求項13に記載のコン
    ピュータの読み取り可能な記録媒体。
  15. 【請求項15】前記パラメータ算出ステップは、 前記接触面上の複数の所定の位置の各々が凝着摩擦と滑
    り摩擦の境界位置となる滑り率を前記演算手段を用いて
    算出することによって、前記所定の位置と算出された前
    記滑り率との関係を定めた参照テーブルを作成する参照
    テーブル作成ステップと、 この参照テーブルを用いて、所望の滑り率における凝着
    摩擦と滑り摩擦の境界位置を算出する境界位置算出ステ
    ップとを有することを特徴とする請求項13または14
    に記載のコンピュータの読み取り可能な記録媒体。
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