JP2003056660A - 伝動装置 - Google Patents

伝動装置

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JP2003056660A
JP2003056660A JP2001249193A JP2001249193A JP2003056660A JP 2003056660 A JP2003056660 A JP 2003056660A JP 2001249193 A JP2001249193 A JP 2001249193A JP 2001249193 A JP2001249193 A JP 2001249193A JP 2003056660 A JP2003056660 A JP 2003056660A
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Japan
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rotating member
rotation
rotation axis
disk
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JP2001249193A
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English (en)
Inventor
Kazutoshi Motoike
一利 本池
Yutaka Matsuno
豊 松野
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 伝動装置の耐久性を低下させることなく、第
1の回転部材と第2の回転部材との間で伝達されるトル
ク容量を増加させ、かつ、第2回転部材が、その回転軸
線にほぼ直交する方向に振動することを抑制し、かつ、
第1回転部材が、その回転軸線が、所期の位置に対して
傾斜もしくは撓む方向に弾性変形することを抑制する。 【解決手段】 相互に動力伝動可能な第1回転部材14
と第2回転部材39とを有する伝動装置F1において、
第1回転部材14の回転軸線A1を中心とする円周上
で、第1回転部材14に接触して回転する複数の中間回
転部材30,31と、複数の中間回転部材30,31の
回転速度同士の平均と、第2回転部材39の回転速度と
が一致するように、この複数の第1中間回転部材30,
31と第2回転部材39とを連結する連結装置36,3
7,38とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、相互に動力伝動
可能な第1回転部材と第2回転部材とを有する伝動装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、第1回転部材と第2回転部材と
の間で動力伝達をおこなう場合に用いられる伝動装置と
しては、摩擦伝動装置、歯車伝動装置、ベルト伝動装
置、鎖伝動装置などが知られている。これらの伝動装置
のうち、第1回転部材の回転軸線と第2回転部材の回転
軸線とにより所定の角度が設定され、かつ、第1回転部
材の回転速度と、第2回転部材の回転速度との比、すな
わち変速比を制御する必要がある場合の伝動装置として
は、摩擦伝動装置が用いられる。このような摩擦伝動装
置の一例が、特開昭56−18149号公報、実公平6
−11423号公報に記載されている。
【0003】まず、特開昭56−18149号公報に記
載されている摩擦伝動装置は、円錐形状の円板(第1回
転部材)と、この円板に接触し、かつ、円錐形状に構成
された摩擦輪(第2回転部材)とを有する。摩擦輪が円
板の半径方向に変位可能に配置されており、円板と摩擦
輪との変速比が無段階的に制御される。また、実公平6
−11423号公報に記載されているディスク式無段変
速装置は、円板形状の駆動ディスク(第1回転部材)
と、駆動ディスクのディスク面に接触し、かつ、駆動デ
ィスクの半径方向に変位可能な受動ディスク(第2回転
部材)とを有する。そして、駆動ディスクと受動ディス
クとの圧接状態を維持しながら、受動ディスクを駆動デ
ィスクの半径方向に移動させることにより、駆動ディス
クと受動ディスクとの間における変速比を無段階に操作
可能となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記各公報に記載され
ている伝動装置においては、第1回転部材と第2回転部
材との間における動力伝達点、言い換えれば、接触点が
1箇所であるために、以下のような3つの問題があっ
た。
【0005】 第1回転部材と第2回転部材との間で
伝達されるトルクの容量を増加する場合は、接触点の接
触圧を高めることにより対処できるが、接触点の接触圧
が増加すると、第1の回転部材および第2の回転部材の
少なくとも一方が、摩耗、損傷し易く、伝動装置の耐久
性が低下していた。一方、伝動装置の耐久性の低下を抑
制するためには、接触点の接触圧を所定値以上に高める
ことができず、第1の回転部材と第2の回転部材との間
で伝達されるパワーを所定値以上に大きく設定すること
ができなかった。つまり、伝動装置の耐久性を向上させ
る課題と、第1の回転部材と第2の回転部材との間で伝
達されるパワーを、なるべく大きくするという課題と
を、両立させることができなかった。
【0006】 接触点には、駆動部材である第1回転
部材の回転方向と同じ向きの分力が作用するため、この
分力と同じ向きに、第2回転部材の軸が弾性変形し、そ
の後、分力の向きとは逆向きに軸が復元する作用を繰り
返す。つまり、第2回転部材がその回転軸線にほぼ直交
する方向に振動するとともに、動力伝達面のすべりによ
る動力損失が発生する問題があった。
【0007】 接触点に発生する接触圧の反力が、第
1回転部材の回転軸線を中心とする円周上で、回転軸線
とほぼ平行に作用するため、第1回転部材は、その回転
軸線が、所期の位置に対して傾斜もしくは撓む方向に弾
性変形する。その結果、接触点の接触圧が低下するとと
もに、接触点の接触圧の調整が困難となり、トルク容量
の制御精度が低下する問題があった。
【0008】この発明は上記事情を背景としてなされた
もので、以下の3つの目的を達成することのできる伝動
装置提供することにある。第1の目的は、伝動装置の耐
久性を低下させることなく、第1の回転部材と第2の回
転部材との間で伝達されるトルク容量を増加させること
である。第2の目的は、第2回転部材もしくは第1回転
部材の動力を第2回転部材に伝達するための部材が、そ
の回転軸線にほぼ直交する方向に振動することを抑制す
ることである。第3の目的は、第1回転部材が、その回
転軸線が、所期の位置に対して傾斜もしくは撓む方向に
弾性変形することを抑制することである。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために請求項1の発明は、相互に動力伝動
可能な第1回転部材と第2回転部材とを有する伝動装置
において、前記第1回転部材に接触して回転する複数の
中間回転部材と、複数の中間回転部材の回転速度同士の
平均と、第2回転部材の回転速度とが一致するように、
この複数の第1中間回転部材と前記第2回転部材とを連
結する連結装置とを備えていることを特徴とするもので
ある。この発明には、第1回転部材のトルクが複数の中
間回転部材を介して第2回転部材に伝達される場合、ま
たは、第2回転部材のトルクが複数の中間回転部材を介
して第1回転部材に伝達される場合のうち、少なくとも
一方の場合が含まれる。
【0010】請求項1の発明によれば、第1回転部材と
第2回転部材との間における動力伝達箇所、すなわち、
第1の回転部材と複数の中間部材との接触点が複数形成
されるため、以下のような作用が生じる。まず、第1回
転部材と第2回転部材との間で伝達されるトルクの容量
が、接触点の数に応じて増加されるとともに、各接触点
の接触圧の上昇が抑制される。
【0011】また、各接触点が、第1回転部材の回転軸
線を隔てた両側に位置する場合は、複数の中間回転部材
同士の回転方向が逆になる。このため、第1回転部材と
複数の中間回転部材との各接触点に作用する分力の向き
が相互に逆向きとなり、各分力同士が打ち消し合う。
【0012】さらに、各接触点が、第1回転部材の回転
軸線を隔てた両側に位置する場合は、第1回転部材と複
数の中間回転部材との接触圧に対する反力が、第1回転
部材に対して、その回転軸線の両側に作用する。したが
って、第1回転部材が、その回転軸線が所期の位置から
傾斜もしくは撓む方向に弾性変形することが抑制され
る。
【0013】請求項2の発明は、請求項1の構成に加え
て、前記第1の回転部材と複数の回転部材との接触半径
を変更可能であることを特徴とするものである。
【0014】請求項2の発明によれば、請求項1の発明
と同様の作用が生じる他に、各接触点の接触半径同士の
相対関係を調整することにより、第1回転部材の回転方
向に対する第2回転部材の回転方向を変更することがで
きる。
【0015】請求項3の発明は、請求項1または2の構
成に加えて、前記連結装置が、複数の中間回転部材にそ
れぞれ形成された第1のギヤと、各第1のギヤに噛み合
う第1のピニオンギヤとを有し、この第1のピニオンギ
ヤが前記第2の回転部材に対して回転可能に取り付けら
れており、前記第2回転部材と、第3回転部材および第
4回転部材とを連結するデファレンシャルが設けられて
いるとともに、このデファレンシャルが、第3回転部材
および第4回転部材にそれぞれ形成された第2のギヤ
と、各第2のギヤに噛合する第2のピニオンギヤとを有
し、このピニオンギヤが前記第2の回転部材に対して回
転可能に取り付けられていることを特徴とするものであ
る。
【0016】請求項3の発明によれば、請求項1または
2の発明と同様の作用が生じる他、第1のピニオンギヤ
および第2のピニオンギヤを、共に第2回転部材で保持
できるため、部品点数の増加が抑制される。
【0017】請求項4の発明は、請求項1ないし3のい
ずれかの構成に加えて、前記第1回転部材と複数の中間
部材とを相互に押し付けた場合に、前記第1の回転部材
側に作用する反力と、前記複数の中間回転部材側に作用
し、かつ、前記反力とは逆向きに作用する力とを、共に
受ける保持部材が設けられていることを特徴とするもの
である。
【0018】請求項4の発明によれば、請求項1ないし
3のいずれかの発明と同様の作用が生じる他、接触点の
接触圧を設定する場合に、複数の中間回転部材側に作用
する力と、第1の回転部材側に作用する反力とが、単一
の保持部材に対して逆向きに作用するため、2つの力が
相互に打ち消し合う。
【0019】
【発明の実施の形態】図4は、この発明の適用対象であ
る車両200のパワートレーンの構成を示す概念図であ
る。車両200は、駆動力源201から出力された動力
が、動力伝達装置202および伝動装置203を経由し
て車輪204に伝達されるように構成されている。駆動
力源201としては、エンジンまたは電動機の少なくと
も一方を用いることができる。エンジンは、燃料を燃焼
させて動力を出力する装置であり、エンジンとしては内
燃機関、例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジ
ン、LPGエンジンなどが挙げられる。電動機は、電力
の供給により動力を出力する装置である。
【0020】動力伝達装置202には、駆動力源201
のトルク変動もしくは回転変動を、吸収あるいは緩和す
るダイナミックダンパー(緩衝装置)、入力クラッチ、
変速機などが含まれる。入力クラッチには、流体式クラ
ッチ、摩擦式クラッチ(フリクションスタート機構)、
電磁クラッチなどが含まれる。流体式クラッチには、ト
ルクコンバータ、フルードカップリングなどが含まれ
る。
【0021】伝動装置203は、変速機構としての機能
を有しいる。例えば、変速機構とデファレンシャルと組
み合わせて用いることができる。変速機構は、駆動力源
201とデファレンシャルとの間の動力伝達経路に設け
られるものであり、第1回転部材(入力回転部材)と第
2回転部材(出力回転部材)との間の変速比を変更する
ことができる。デファレンシャルは、変速機構と車輪2
04との間の動力伝達経路に配置される。
【0022】車両200が、駆動力源201の動力を、
前輪または後輪の一方に伝達することのできる二輪駆動
車である場合は、伝動装置203を、フロントデファレ
ンシャルまたはリヤデファレンシャルに用いることがで
きる。また、車両200が、駆動力源201の動力を、
前輪または後輪の少なくとも一方に伝達することのでき
る四輪駆動車である場合は、伝動装置203と、センタ
ーデファレンシャルまたはリヤデファレンシャルまたは
フロントデファレンシャルのうち、少なくとも一つのデ
ファレンシャルとを、組み合わせて用いることができ
る。
【0023】
【実施例】つぎに、この発明の伝動装置の具体的な実施
例を、図1および図2に基づいて説明する。図1および
図2に示す実施例は、この発明の伝動装置の一例である
変速機構F1と、デファレンシャルG1とを組み合わせ
て用いた場合の断面図である。図1および図2におい
て、内部中空の本体ケース1が設けられており、本体ケ
ース1は車体(図示せず)側に固定されている。本体ケ
ース1の前壁2には、軸孔3が形成されており、軸孔3
には軸受4が取り付けられている。
【0024】一方、駆動力源(図示せず)の動力が伝達
される回転部材5が設けられている。回転部材5は、軸
部5Bおよびフランジ5Aを有しており、回転部材5は
回転軸線A1を中心として回転可能である。この軸部5
Bが軸受4により保持されている。また、軸部5Bには
入力軸6が連結されている。具体的には、軸部5Bと入
力軸6とが、ボールスプライン7により連結されてい
る。したがって、回転部材5と入力軸6とが回転軸線A
1を中心として一体回転し、かつ、回転部材5と入力軸
6とが、回転軸線A1に沿って相対移動可能である。
【0025】また、本体ケース1の内部B1には内側ケ
ース8が配置されており、本体ケース1と内側ケース8
との間にはボールスプライン9が介在されている。した
がって、本体ケース1と内側ケース8とが回転軸線A1
に沿って相対移動可能であり、かつ、回転軸線A1を中
心とする相対回転が不可能である。内側ケース8の前壁
10には軸孔11が形成されており、軸孔11には軸受
12が取り付けられている。軸受12は、スラスト荷重
およびラジアル荷重を受けることのできる軸受である。
【0026】入力軸6の一部が軸受12により支持され
ており、入力軸6であって内側ケース8の内部D1側に
は、カムプレート13および入力ディスク14が形成さ
れている。カムプレート13および入力ディスク14
は、共に円板形状を備えており、入力ディスク14と前
壁10との間にカムプレート13が配置されている。カ
ムプレート13と入力軸6とは一体回転し、かつ、回転
軸線A1方向への相対移動が不可能に構成されている。
これに対して、入力ディスク14と入力軸6とは、相対
回転可能であり、かつ、回転軸線A1方向に相対移動が
可能である。
【0027】カムプレート13と入力ディスク14との
対向面には、それぞれカム面15,16が形成されてい
る。カム面15,16は、回転軸線A1を中心とする全
周に亘って形成され、かつ、回転軸線A1方向に凹凸と
なる形状を備えている。さらにカム面15,16の間に
は円筒形状のコロ17が複数配置されている。このカム
面15,16およびコロ17によりトルクカム機構が構
成されている。すなわち、カムプレート13が回転する
と、カム面15とカム面16との間にコロ17が挟み付
けられて、入力ディスク14を回転軸線A1方向に沿っ
て、かつ、カムプレート13から離れる向きに押圧する
加圧力が発生する。このように、カムプレート13のト
ルクを、コロ17により、回転軸線A1方向の加圧力に
変換する機構を、トルクカム機構と呼ぶ。
【0028】一方、前記本体ケース1であって、前壁2
と平行な後壁18には軸孔19が設けられており、軸孔
19には軸受20が取り付けられている。この軸受20
により保持軸21が回転可能に保持されている。軸受2
0はラジアル荷重およびスラスト荷重を受けることがで
きるものである。また、本体ケース1の内部B1から内
側ケース8の内部D1に亘って軸22が配置されてお
り、軸22が軸受23により保持されている。このよう
にして、軸22が回転軸線A1を中心として回転可能と
なっている。内側ケース8であって、前壁10と平行な
後壁24には軸孔25が設けられており、軸孔25に軸
受23が取り付けられている。
【0029】また、軸22と保持軸21とがボールスプ
ライン26により連結されている。つまり、保持軸21
と軸22とは、相対回転が不可能であり、回転軸線A1
方向に相対移動可能である。軸22であって、内側ケー
ス8の内部D1側の端部には、保持ディスク27が形成
されている。保持ディスク27は円板形状に構成されて
おり、保持ディスク27と入力ディスク14との対向面
とが相互に平行になっている。すなわち、保持ディスク
27であって、回転軸線A1に直交する保持面28と、
入力ディスク14であって、回転軸線A1に直交する動
力伝達面29とが相互に平行になっている。このように
して、回転軸線A1を中心として回転可能な保持面28
および動力伝達面29が形成されている。
【0030】そして、入力ディスク14と保持ディスク
27との間には、複数、具体的には2枚の出力ディスク
30,31が配置されている。出力ディスク30,31
は共に環状に構成され、面対称となる形状を備えてい
る。また、出力ディスク30,31の外径は同一に設定
されている。出力ディスク30は軸孔32を有し、出力
ディスク31は軸孔33を有する。軸孔32の内周には
軸受34の外輪が取り付けられ、軸孔33の内周には軸
受35の外輪が取り付けられている。したがって、出力
ディスク30,31は回転軸線E1を中心として回転可
能である。
【0031】また、入力ディスク14と出力ディスク3
0,31とは回転軸線E1方向に相対移動可能であり、
回転軸線A1を中心とする異なる半径の円周上に、入力
ディスク14と出力ディスク30との接触点J1と、入
力ディスク14と出力ディスク31との接触点J2とが
形成される。ここで、接触点J1の半径R1および接触
点J2の半径R2は、共に可変である。なお、回転軸線
E1は車両の幅方向に沿って配置されており、所定の平
面(図示せず)内において、回転軸線A1と回転軸線E
1とがほぼ直交している。
【0032】また、出力ディスク30には、回転軸線E
1を中心とする環状のサイドギヤ36が形成され、出力
ディスク31には、回転軸線E1を中心とする環状のサ
イドギヤ37が形成されている。サイドギヤ36,37
は、出力ディスク30と出力ディスク31との対向面に
形成されている。さらに、出力ディスク30と出力ディ
スク31との間には2個のピニオンギヤ38が配置され
ており、各ピニオンギヤ38とサイドギヤ36,37と
が噛み合わされている。また、2個のピニオンギヤ38
とピニオンピン39とが相対回転可能に連結されてい
る。2個のピニオンギヤ38は、回転軸線E1を中心と
する同一円周上に配置されている。またピニオンピン3
9は回転軸線E1を中心として回転可能である。したが
って、2個のピニオンギヤ38は、ピニオンピン39を
中心として自転可能であり、かつ、2個のピニオンギヤ
38は、回転軸線E1を中心として公転可能である。
【0033】さらに、出力ディスク30と出力ディスク
31との間には環状部材40が配置されている。出力デ
ィスク30,31と環状部材40とは相対回転可能であ
る。環状部材40の内周面には凹部41が2箇所設けら
れており、2つの凹部41によりピニオンピン39の両
端が保持されている。つまり、ピニオンピン39と環状
部材40とが、回転軸線E1を中心として一体回転可能
である。
【0034】さらに、出力ディスク30,31の内部に
は、環状のデフケース150が設けられている。デフケ
ース150は回転軸線E1を中心として回転可能であ
る。デフケース150は、外周側に向けて突出する方向
に屈曲された屈曲部151と、屈曲部151であって、
回転軸線E1方向の両端に連続された円筒部42,43
とを有している。この円筒部42の外周に、軸受32の
内輪が取り付けられており、円筒部43の外周に、軸受
33の内輪が取り付けられている。なお、屈曲部151
には、半径方向に貫通する孔152が2個形成されてお
り、2つの孔152に挿入されたピニオンピン39が設
けられている。
【0035】前記図2に示すように、ケース本体1に
は、車両の前後方向に延ばされ、かつ、相互に平行な側
壁44,45が設けられている。まず、側壁44には回
転軸線E1を中心とする軸孔46が形成されている。軸
孔46には軸受47が取り付けられており、軸受47に
より円筒形状の連結部材48が保持されている。連結部
材48の軸線方向の一端、具体的にはケース本体1の外
部C1側にはフランジ49が形成されている。フランジ
49には、左側ドライブシャフト(図示せず)を介して
右車輪(図示せず)が連結される。
【0036】また、連結部材48には、ボールスプライ
ン50を介して左側出力軸51が連結されている。前記
内側ケース8の側壁52には軸孔53が形成されてお
り、左側出力軸51が、内側ケース8の内部D1、軸孔
53、連結部材48の内部に亘って配置されている。そ
して、ボールスプライン50により、左側出力軸51と
連結部材48とが一体回転可能、かつ、回転軸線E1方
向に相対移動自在に連結されている。
【0037】一方、前記側壁45にも回転軸線E1を中
心とする軸孔54が形成されている。軸孔54には軸受
55が取り付けられており、軸受55により円筒形状の
連結部材56が保持されている。連結部材56の軸線方
向の一端、具体的にはケース本体1の外部C1側にはフ
ランジ57が形成されている。フランジ57には、右側
ドライブシャフト(図示せず)を介して右車輪(図示せ
ず)が連結される。
【0038】また、連結部材56には、ボールスプライ
ン58を介して右側出力軸59が連結されている。左側
出力軸51と右側出力軸59との対向する端部の間には
隙間が形成されており、その隙間に前記ピニオンピン3
9の長さ方向の中途部位が位置している。前記内側ケー
ス8の側壁60には軸孔61が形成されており、右側出
力軸59が、内側ケース8の内部D1、軸孔61、連結
部材58の内部に亘って配置されている。そして、ボー
ルスプライン58により、右側出力軸59と連結部材5
8とが一体回転可能、かつ、回転軸線E1方向に相対移
動自在に連結されている。
【0039】前記左側出力軸51であって、内側ケース
8の内部D1側の端部が、円筒部42内に位置してい
る。また、左側出力軸51の外周にはスリーブ62が固
定されており、スリーブ62と円筒部42とが相対回転
可能になっている。また、スリーブ62であって、屈曲
部151の内部側には外向きのフランジ63Aが形成さ
れている。フランジ63Aの外径は、円筒部42の内径
よりも大きく設定されている。このフランジ63Aであ
って、ピニオンシャフト39側の端部には、回転軸線E
1を中心とするサイドギヤ63が形成されている。
【0040】一方、前記右側出力軸59であって、内側
ケース8の内部D1側の端部が、円筒部43内に位置し
ている。また、右側出力軸59の外周にはスリーブ64
が固定されており、スリーブ64と円筒部43とが相対
回転可能になっている。また、スリーブ64であって、
屈曲部151の内部側には外向きのフランジ64Aが形
成されている。フランジ64Aの外径は、円筒部43の
内径よりも大きく設定されている。このフランジ64A
であって、ピニオンシャフト39側の端部には、回転軸
線E1を中心とするサイドギヤ65が形成されている。
さらに、デフケース150の内部には、2個のピニオン
ギヤ66が設けられており、2個のピニオンギヤ66
が、ピニオンピン39に対して回転可能に取り付けられ
ている。また、各ピニオンギヤ39とサイドギヤ63,
65とが噛合されている。
【0041】前記環状部材40の外周であって、出力デ
ィスク30と出力ディスク31との間には、軸受67が
取り付けられている。具体的には、軸受67の内輪68
が環状部材40に固定され、軸受67の外輪69の外周
には、軸受67の外周側に向けて突出する突出部70が
形成されている。外輪69の外径は、出力ディスク3
0,31の外径未満に設定されている。また突出部70
の先端側が出力ディスク30,31の外周端よりも外側
に位置しており、突出部70には雌ねじ部(図示せず)
が形成されている。この雌ねじ部は回転軸線E1と平行
に形成されている。
【0042】さらに、この雌ねじ部にねじ込まれた雄ね
じ部(図示せず)を有する送り軸71が設けられてお
り、この送り軸71を正逆回転させるモータ72が設け
られている。送り軸71は回転軸線E1と平行に配置さ
れており、かつ、回転軸線E1方向には移動不可能に構
成されている。なお、図1においては、便宜上、突出部
70および送り軸71が保持ディスク27よりも下方に
示されているが、突出部70および送り軸71は、入力
ディスク14と保持ディスク27との中間から、動力伝
達面29に沿って平行移動した位置に配置されている。
このモータ72の駆動・停止・回転方向などの制御は、
電子制御装置(図示せず)によりおこなわれる。この電
子制御装置には、車速、アクセル開度、シフトポジショ
ンなどの信号が入力される。
【0043】図1および図2の実施例においては、入力
ディスク14、出力ディスク30,31、サイドギヤ3
6,37、ピニオンギヤ38、ピニオンピン39などの
要素により、変速機構F1が構成されている。また、ピ
ニオンピン39、サイドギヤ63,65、ピニオンギヤ
66、スリーブ62,64、左側出力軸51、右側出力
軸59などの要素により、デファレンシャルG1が構成
されている。なお、変速機構F1は、デファレンシャル
G1の一部を構成するピニオンピン39と、入力ディス
ク14との間の回転速度比を調整する装置、いわゆる最
終減速装置としての機能をも兼備している。
【0044】さらに、出力ディスク30,31、軸受3
4,35、円筒部42,43、スリーブ62,64、ピ
ニオンギヤ66、ピニオンピン39、左側出力軸51、
右側出力軸59、ピニオンギヤ38、環状部材40、軸
受67などの要素が一体的に組み立てられて、ユニット
H1が構成されている。なお、本体ケース1の軸孔3,
19,46,54にはそれぞれ密封装置73が設けられ
ており、本体ケース1の内部B1と外部C1とが液密に
区画されている。さらに、内側ケース8の内部D1には
潤滑油が供給される。本体ケース1の内部D1の潤滑油
が、外部C1に漏れることが密封装置73により防止さ
れる。
【0045】ここで、図1および図2の実施例の構成
と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、入力軸
6がこの発明の「第1回転部材」に相当し、ピニオンピ
ン39がこの発明の「第2回転部材」に相当し、回転軸
線A1がこの発明の回転軸線に相当し、変速機構F1が
この発明の「伝動装置」に相当し、出力ディスク30,
31がこの発明の「複数の中間回転部材」に相当し、サ
イドギヤ36,37およびピニオンギヤ38がこの発明
の「連結装置」に相当し、半径R1,R2がこの発明の
「接触半径」に相当する。
【0046】また、サイドギヤ36,37がこの発明の
「第1のギヤ」に相当し、ピニオンギヤ38がこの発明
の「第1のピニオンギヤ」に相当し、左側出力軸51と
スリーブ62、および右側出力軸59とスリーブ64と
が、この発明の「第3回転部材および第4回転部材」に
相当し、サイドギヤ63,65がこの発明の「第2のギ
ヤ」に相当し、ピニオンギヤ66がこの発明の「第2の
ピニオンギヤ」に相当し、本体ケース1がこの発明の
「保持部材」に相当する。
【0047】上記のように構成された変速機構F1およ
びデファレンシャルG1ならびにユニットH1におい
て、ピニオンシャフト39とデフケース150とピニオ
ンギヤ38,66とが、回転軸線E1を中心として一体
回転可能である。また、環状部材40とピニオンシャフ
ト39とピニオンギヤ38,66とデフケース150と
スリーブ62,64と出力ディスク30,31とが、回
転軸線E1方向に一体的に移動可能である。
【0048】つぎに、図1および図2に示す実施例の動
作を説明する。まず、駆動力源の動力(言い換えればト
ルク)が回転部材5を経由して入力軸6に伝達される
と、カム面15とカム面16とによりコロ17が挟み付
けられて、入力ディスク14が保持ディスク27側に向
けて加圧される。入力ディスク14から出力ディスク3
0,31に伝達された加圧力は、保持ディスク27によ
り受け止められて、入力ディスク14と保持ディスク2
7とにより、出力ディスク30,31が挟み付けられ
る。その結果、出力ディスク31に対して、回転軸線A
1と平行な方向の圧縮荷重、すなわちエンドロードが与
えられる。
【0049】このようにして、出力ディスク30の外周
と、入力ディスク14の動力伝達面29とが接触する接
触点J1が形成され、出力ディスク31の外周と動力伝
達面29とが接触して接触点J2が形成される。接触点
J1,J2には潤滑油が介在されており、エンドロード
により潤滑油がガラス状となり、入力ディスク14のト
ルクが潤滑油を介して出力ディスク30,31に伝達さ
れる。すなわち、入力ディスク14と出力ディスク3
0,31との間で、潤滑油を介してすべりと転がりとが
共存する摩擦、いわゆるトラクションにより、動力の伝
動がおこなわれる。
【0050】入力ディスク14のトルクが出力ディスク
30,31に伝達されて出力ディスク30,31が回転
されると、出力ディスク30,31に接触している保持
ディスク27も従動回転する。入力ディスク14の回転
方向に対する出力ディスク30,31の回転方向および
ピニオンピン39の回転方向は、回転軸線E1方向にお
ける、入力ディスク14と出力ディスク30,31との
相対位置に基づいて決定される。具体的には、また、入
力ディスク14の回転速度(言い換えれば回転数)と出
力ディスク30,31の回転速度との比(つまり変速
比)と、入力ディスク14の回転速度とピニオンピン3
9の回転速度との比(つまり変速比)とが、半径R1,
R2に基づいて制御される。
【0051】入力ディスク14のトルクがピニオンピン
39に伝達されると、そのトルクがピニオンギヤ66お
よびスリーブ62,64を介して左側出力軸51および
右側出力軸59に伝達される。左側出力軸51および右
側出力軸59のトルクが車輪(図示せず)に伝達されて
駆動力が発生する。なお、車両の惰力走行時は、車輪の
運動エネルギが、デファレンシャルG1および変速機構
F1を出力ディスク30,31を経由して、入力ディス
ク14に伝達される。さらに、デファレンシャルG1で
は、左側出力軸51に連結されている左車輪の負荷と、
右側出力軸59に連結されている右車輪の負荷とに基づ
いて、公知の差動作用により、左側出力軸51と右側出
力軸59との回転速度が設定される。
【0052】図1および図2の実施例においては、モー
タ72の回転方向および回転角度(回転量)を制御する
ことにより、送り軸71に沿って突出部70が回転軸線
E1方向に移動する。つまり、モータ72の駆動状態を
制御することにより、ユニットH1が回転軸線E1方向
に移動して、入力ディスク14の半径方向における、入
力ディスク14と出力ディスク30,31との相対位
置、および前記半径R1,R2が制御される。回転軸線
E1方向におけるユニットH1の位置は、車速、アクセ
ル開度、シフトポジションなどに基づいて制御される。
【0053】つぎに、各シフトポジジョンにおける、出
力ディスク30,31の回転方向および回転速度と、ピ
ニオンピン39の回転方向および回転速度との関係の一
例を、図3の線図に基づいて説明する。図3の縦軸に
は、回転方向および回転速度が表されている。シフトポ
ジションとしては、車両を前進させるD(ドライブ)ポ
ジション、駆動力源の動力を車輪に伝達しないN(ニュ
ートラル)ポジション、車両を後退させるR(リバー
ス)ポジションがある。
【0054】まず、Nポジションが選択された場合につ
いて説明する。この場合は、入力ディスク14の回転軸
線A1の両側に接触点J1,J2が位置し、かつ、半径
R1,R2が同一となるように、回転軸線E1方向にお
けるユニットH1の位置が制御される。ここで、図1に
おいて入力ディスク14が矢印K1方向に回転すると、
出力ディスク30が矢印L1方向に回転する一方、出力
ディスク31が矢印L2方向に回転する。図3において
は、矢印L2方向が正回転として示され、矢印L1方向
が逆回転として示されている。
【0055】つまり、図3の線分Q1に示すように、出
力ディスク30の回転方向と、出力ディスク31の回転
方向とが逆になり、かつ、出力ディスク30の回転速度
(−V2b)と、出力ディスク31の回転速度(V1
a)とが同一になるため、ピニオンギヤ38が自転する
だけで、ピニオンギヤ38は公転せず、ピニオンピン3
9の回転速度(V)が“零”になる。このように、Nポ
ジションが選択されている場合は、回転部材5のトルク
がピニオンピン39には伝達されない。
【0056】つぎに、Dポジションが選択された場合に
ついて説明する。この場合は、ユニットH1の位置が、
Nポジションに相当する位置よりも、図1において右側
に設定される。Dポジションに対応するユニットH1の
位置としては、接触点J1と接触点J2との間に回転軸
線A1が配置される第1の位置と、接触点J1が回転軸
線A1上に設定される第2の位置と、接触点J1が回転
軸線A1と接触点J2との間に設定される第3の位置と
が挙げられる。なお、第1の位置ないし第3の位置は、
車速およびアクセル開度に基づいて設定される。
【0057】まずユニットH1が第1の位置に制御され
た場合の半径R1は、Nポジションに対応する半径R1
よりも小さくなる。ユニットH1が第1の位置に制御さ
れた場合の半径R2は、Nポジションに対応する半径R
2よりも大きくなる。このため、ユニットH1が第1の
位置に制御された場合は、線分Q2に示すように、出力
ディスク30が矢印L1方向に回転し、かつ、出力ディ
スク30の回転速度(−V2a)が、回転速度(−V2
b)よりも低速となる。また、出力ディスク31が矢印
L2方向に回転し、かつ、出力ディスク31の回転速度
(V1b)が、回転速度(V1a)よりも高速となる。
この動作により、ピニオンギヤ38が自転、かつ、公転
して、ピニオンピン39が矢印L2方向に回転するとと
もに、ピニオンピン39の回転速度(Va)が、次式の
ように設定される。
【0058】回転速度(Va)={回転速度(−V2
a)+回転速度(V1b)}/2
【0059】つぎにユニットH1が第2の位置に制御さ
れた場合は、出力ディスク31の回転方向は矢印L2方
向であるが、ユニットH1が第2の位置に制御された場
合の半径R2は、Nポジションに対応する半径R2より
も大きくなる。このため、図3に線分Q3で示すよう
に、出力ディスク31の回転速度V1cは、前記V1b
よりも高速となる。これに対して、接触点J1が回転軸
線A1上にあるため、出力ディスク30の回転速度(V
2)が“零”となる。上記の動作により、ピニオンギヤ
38が自転、かつ、公転してピニオンピン39が矢印L
2方向に回転するとともに、ピニオンピン39の回転速
度(Vb)が、次式のように設定される。なお、回転速
度(Vb)は回転速度(Va)よりも高速である。
【0060】回転速度(Vb)={回転速度(V2)+
回転速度(V1c)}/2
【0061】さらに、ユニットH1の位置が第3の位置
に制御された場合は、図3の線分Q4に示すように、出
力ディスク31の回転速度(V1d)が、前記回転速度
(V1c)よりも高速になる。また、接触点J1が、回
転軸線E1と接触点J2との間に設定されるため、出力
ディスク30が出力ディスク31と同方向に回転する
が、半径R1が半径R2よりも小さいため、出力ディス
ク30の回転速度(V2a)が回転速度(V1c)より
も低速になる。その結果、ピニオンギヤ38が自転、か
つ、公転して、ピニオンピン39が矢印L2方向に回転
するとともに、ピニオンピン39の回転速度(Vc)
が、次式のように設定される。なお、この回転速度(V
c)は回転速度(Vb)よりも高速である。
【0062】回転速度(Vc)={回転速度(V2a)
+回転速度(V1d)}/2
【0063】つぎに、シフトポジションとして、R(リ
バース)ポジションが選択された場合について説明す
る。この場合は、ユニットH1の位置が、Nポジション
に相当する位置よりも、図1において左側に設定され
る。Rポジションに対応するユニットH1の位置として
は、接触点J1と接触点J2との間に回転軸線A1が配
置される第4の位置と、接触点J2が回転軸線A1上に
設定される第5の位置と、接触点J2が回転軸線A1と
接触点J1との間に設定される第6の位置とが挙げられ
る。なお、第4の位置ないし第6の位置は、車速および
アクセル開度に基づいて設定される。
【0064】まずユニットH1が第4の位置に制御され
た場合の半径R2は、Nポジションに対応する半径R2
よりも小さくなる。また、ユニットH1が第4の位置に
制御された場合の半径R1は、Nポジションに対応する
半径R1よりも大きくなる。このため、ユニットH1が
第4の位置に制御された場合は、線分Q5に示すよう
に、出力ディスク30が矢印L1方向に回転し、かつ、
出力ディスク30の回転速度(−V2c)が、回転速度
(−V2b)よりも高速となる。
【0065】また、出力ディスク31が矢印L2方向に
回転し、かつ、出力ディスク31の回転速度(V1e)
が、回転速度(V1a)よりも低速となる。その結果、
ピニオンギヤ38が自転、かつ、公転して、ピニオンピ
ン39が矢印L1方向に回転する。ピニオンギヤ38の
自転の向きおよび公転の向きは、線分Q1ないし線分Q
4の場合とは逆向きである。このようにして、ピニオン
ピン39の回転速度(−Vb)が、次式のようになる。
【0066】回転速度(−Vb)={回転速度(−V2
c)+回転速度(V1e)}/2
【0067】つぎにユニットH1が第5の位置に制御さ
れた場合は、出力ディスク30の回転方向は矢印L1方
向であり、ユニットH1が第5の位置に制御された場合
の半径R1は、第4の位置に対応する半径R1よりも大
きくなる。このため、図3に線分Q6で示すように、出
力ディスク30の回転速度(−V2d)は、前記回転速
度(−V2c)よりも高速となる。これに対して、接触
点J2が回転軸線A1上にあるため、出力ディスク31
の回転速度(V1)が“零”となる。その結果、ピニオ
ンギヤ38が自転、かつ、公転して、ピニオンピン39
が矢印L1方向に回転するとともに、ピニオンピン39
の回転速度(−Vc)が、次式のようになる。
【0068】回転速度(−Vc)={回転速度(−V2
d)+回転速度(V1)}/2
【0069】さらに、ユニットH1の位置が第6の位置
に制御された場合は、図3の線分Q7に示すように、出
力ディスク30が矢印L1方向に回転し、その回転速度
(−V2e)が、前記回転速度(−V2d)よりも高速
になる。また、接触点J2が、回転軸線E1と接触点J
1との間に設定されるため、出力ディスク31も矢印L
1方向に回転するが、半径R2の方が半径R1よりも小
さいため、出力ディスク31の回転速度(V1f)が、
回転速度(−V2e)よりも低速になる。その結果、ピ
ニオンギヤ38が自転、かつ、公転して、ピニオンピン
39が矢印L1方向に回転するとともに、ピニオンピン
39の回転速度(−Vd)が、次式のようになる。な
お、この回転速度(−Vd)は回転速度(−Vc)より
も高速である。
【0070】回転速度(−Vd)={回転速度(−V2
e)+回転速度(−V1f)}/2
【0071】このように、変速機構F1においては、ユ
ニットH1を回転軸線E1方向に動作させることによ
り、半径R1,R2を連続的に、かつ、同期して変化さ
せることができる。すなわち、変速機構F1は、入力デ
ィスク7とピニオンシャフト39との間の変速比を、連
続的(無段階)に制御することができる変速機能、いわ
ゆる無段変速機(CVT;Continuously Variable Tran
smission)としての機能を備えている。また、変速機構
F1は、ピニオンシャフト39を停止したままの状態
で、入力ディスク7の回転速度を無限に高速化させるこ
とにより、前記変速比を無限に大きくする、いわゆる無
限変速機(IVT;Infinitely Variable Transmissio
n)としての機能をも兼備している。
【0072】また、変速機構F1においては、左右の車
輪に作用する負荷が同じである場合は、出力ディスク3
0の回転速度(V2)と出力ディスク31の回転速度
(V1)との平均と、ピニオンピン39の回転速度
(V)とが一致する。そして、入力ディスク14とピニ
オンピン39との間で動力伝達をおこなう場合、入力デ
ィスク14と出力ディスク30,31との間で、複数箇
所の接触点J1,J2を経由してトルクの伝達がおこな
われるため、以下のような作用効果がある。
【0073】まず、入力ディスク14とピニオンピン3
9との間で伝達されるトルクの容量を、接触点J1,J
2の数に応じて増加させつことができる。したがって、
入力ディスク14とピニオンピン39との間で、伝達さ
れるパワーをなるべく高めることができる。また、各接
触点J1,J2の接触圧の上昇が抑制されるため、入力
ディスク14および出力ディスク30,31の摩耗や損
傷が抑制され、変速機構F1の耐久性が向上する。
【0074】また、複数の接触点J1,J2を有してい
るため、各接触点J1,J2が、回転軸線A1の両側に
位置するように、回転軸線E1方向における、入力ディ
スク14とユニットH1との相対位置関係を設定するこ
とができる。このような相対位置関係を設定できるユニ
ットH1の位置として、Nポジションに対応する位置、
および前記第1の位置と第4の位置とが挙げられる。ユ
ニットH1がこれらの位置にある場合は、出力ディスク
30の回転方向と、出力ディスク31の回転方向とが逆
になる。
【0075】つまり、接触点J1に発生し、かつ、前記
回転軸線E1に直交し、かつ、動力伝達面29に沿って
作用する分力の向きと、接触点J2に発生し、かつ、回
転軸線E1に直交し、かつ、動力伝達面29に沿って作
用する分力の向きとが逆向きになる。その結果、一方の
分力が他方の分力を弱める(Nポジションでは各分力が
相殺し合う)ため、ピニオンピン39が回転軸線E1に
直交する方向に、所定の振幅で往復動させられる振動
を、抑制もしくは防止することができる。したがって、
各種のギヤ噛み合い部分の摩耗や異音を抑制できるとと
もに、振動による動力損失をも抑制できる。
【0076】さらに、2つの接触点J1,J2が回転軸
線A1の両側に配置されるように、回転軸線E1方向に
おける、入力ディスク14とユニットH1との相対位置
関係を設定することができる。このような相対位置関係
を設定できるユニットH1の位置として、Nポジション
に対応する位置、および前記第1の位置と第4の位置と
が挙げられる。ユニットH1の位置をこのように設定す
れば、出力ディスク30,31に作用する加圧力に対応
する2つの反力が、回転軸線A1の両側に、かつ、同じ
向きに発生する。
【0077】このため、入力軸6が、その回転軸線A1
が、所期の位置から、傾斜もしくは撓む方向に弾性変形
することが抑制される。所期の位置とは、加圧力に対す
る反力が発生していない状態における入力軸6の回転軸
線A1の位置を意味している。したがって、接触点J
1,J2の接触圧が低下することを抑制できるととも
に、接触点J1,J2の接触圧の調整が容易となり、入
力ディスク14とピニオンピン39との間で伝達される
トルク容量の制御精度が低下することを抑制できる。
【0078】また、半径R1,R2を制御することによ
り、入力ディスク14に対するピニオンピン39、左側
出力軸51、右側出力軸59の回転方向を制御すること
ができる。したがって、駆動力源と変速機構F1との間
の動力伝達経路に、前後進切り換え機構を設ける必要が
なく、部品点数の増加を抑制することができる。さら
に、図1および図2の実施例においては、ピニオンギヤ
38およびピニオンギヤ66が、共に単一のピニオンピ
ン39に取り付けられる構成となっているため、部品点
数の増加が抑制される。したがって、製造工数の低減お
よび製造コストの抑制ならびに車両の軽量化に寄与でき
る。
【0079】さらに図1および図2の実施例において
は、出力ディスク30,31に加圧力が伝達されると、
その加圧力に対する反力が入力ディスク14に作用し、
その反力に相当する荷重が、入力軸6および軸受12を
経由して内側ケース8により受け止められる。前記荷重
の向きは、内側ケース8を回転軸線A1方向に、かつ、
本体ケース1の前壁2側に近づけようとする向きであ
る。
【0080】これに対して、前記加圧力が保持ディスク
27で受け止められると、その荷重が軸22および軸受
23を経由して内側ケース8に伝達される。この荷重の
向きは、内側ケース8を本体ケース1の後壁18側に近
づけようとする向きに発生する。このように、前記加圧
力に対応して、内側ケース8には、相互に逆向きの2種
類の荷重が伝達される。このため、2つの荷重同士が相
殺しあって、内側ケース8が回転軸線A1方向に移動す
ることが抑制される。したがって、内側ケース8が回転
軸線A1方向に移動することを抑制する構造が簡略化さ
れ、部品点数が増加することを抑制できる。
【0081】なお、図1および図2の実施例において
は、左側出力軸51と連結部材48とがボールスプライ
ン50により連結され、右側出力軸59と連結部材56
とがボールスプライン58により連結されているため、
ユニットH1を回転軸線E1方向に動作させた場合で
も、左側出力軸51と連結部材48との間の動力伝達、
および右側出力軸59と連結部材56との間の動力伝達
には、支障が生じない。
【0082】なお、上記実施例において、伝動装置の一
例として挙げた変速機構は、第1回転部材の回転速度と
第2回転部材の回転速度との比を変更することができる
ものであるが、第1回転部材の回転速度と第2回転部材
の回転速度との比を変更することができない伝動装置に
対しても、この発明を適用できる。また、各実施例にお
いては、潤滑油を用いる、いわゆるトラクション伝動が
挙げられているが、潤滑油を用いない形式の伝動装置に
対しても、この発明を適用できる。
【0083】上記の各具体例に基づいて開示されたこの
発明の特徴的な構成を列挙すれば以下のとおりである。
すなわち、第1回転部材の回転軸線と複数の接触点と
が、一直線上に設定される。また、第1回転部材の回転
軸線と、第2回転部材の回転軸線とが直交して配置され
る。
【0084】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明によれば、
第1回転部材と第2回転部材との間で伝達されるトルク
の容量が、接触点の数に応じて増加されるとともに、各
接触点の接触圧の上昇が抑制される。したがって、第1
回転部材および第2回転部材の摩耗および破損が抑制さ
れ、伝動装置の耐久性が向上する。
【0085】また、各接触点が、第1回転部材の回転軸
線を隔てた両側に位置する場合は、複数の中間回転部材
同士の回転方向が逆になる。このため、第1回転部材と
複数の中間回転部材との各接触点に作用する分力同士の
向きが相互に逆向きとなり、各分力同士が打ち消し合
う。したがって、第2回転部材もしくは、第1回転部材
と第2回転部材との間でトルクの伝達をおこなうことに
関与する部材が、第1回転部材の回転軸線に直交する方
向に振動することが抑制され異音や騒音が抑制され、か
つ、振動による動力損失が抑制される。
【0086】さらに、各接触点が、第1回転部材の回転
軸線を隔てた両側に位置する場合は、第1回転部材と複
数の中間回転部材との接触圧に対する反力が、第1回転
部材に対して、その回転軸線の両側に作用する。したが
って、第1回転部材が、その回転軸線が所期の位置から
傾斜もしくは撓む方向に弾性変形することが抑制され
て、第1回転部材の耐久性を向上させることができ、か
つ、各接触点の接触圧を高精度に制御することができ、
安定したトルク伝動機能を得られる。
【0087】請求項2の発明によれば、請求項1の発明
と同様の効果を得られる他に、各接触点が、第1回転部
材の回転軸線を隔てた両側に配置されるように、第1回
転部材と複数の中間回転部材との接触半径を設定すれ
ば、第1回転部材が回転している状態で、第2回転部材
を停止させることができる。また、各接触点の接触半径
同士の相対関係を調整することにより、第1回転部材の
回転方向に対する第2回転部材の回転方向を変更するこ
とができる。したがって、第1回転部材に入力されるト
ルクの向きを切り換える装置を、格別に設けることな
く、第2回転部材の回転の向きを切り換えることができ
る。
【0088】請求項3の発明によれば、請求項1または
2の発明と同様の効果を得られる他、第1のピニオンギ
ヤおよび第2のピニオンギヤを、共に第2回転部材で保
持できるため、部品点数の増加が抑制される。したがっ
て、伝動装置の製造工数および製造コストの低減に寄与
できる。
【0089】請求項4の発明によれば、請求項1ないし
3のいずれかの発明と同様の効果を得られる他、接触点
の接触圧を設定する場合に、複数の中間回転部材側に作
用する力と、第1回転部材側に作用する反力とが、単一
の保持部材に対して逆向きに作用するため、2つの力が
相互に打ち消し合う。したがって、保持部材が第1回転
部材の回転軸線方向に移動することを防止する機構を、
別途設ける必要がなく、部品点数の増加が抑制されて、
伝動装置の製造工数および製造コストの低減に寄与でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例である変速機構と、デフ
ァレンシャルとを組み合わせた平面断面図である。
【図2】 この発明の一実施例である変速機構と、デフ
ァレンシャルとを組み合わせた平面断面図である。
【図3】 図2に示した各要素の回転速度および回転方
向を示す線図である。
【図4】 この発明を適用した車両のパワートレーンを
示す概念図である。
【符号の説明】
1…ケース本体、 6…入力軸、 8…内側ケース、
14…入力ディスク、30,31…出力ディスク、 3
6,38,63,65…サイドギヤ、 38,66…ピ
ニオンギヤ、 39…ピニオンピン、 51…左側出力
軸、 59…右側出力軸、 62,64…スリーブ、
E1…回転軸線、 F1…変速機構、G1…デファレン
シャル、 R1,R2…半径。
フロントページの続き Fターム(参考) 3J051 AA03 BA08 BB02 BD05 BE02 BE03 CA03 CB05 ED15 FA01 3J062 AA01 AB05 AB15 AB22 AC03 CG03 CG13 CG18 CG32 CG42 CG52 CG72 CG82

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相互に動力伝動可能な第1回転部材と第
    2回転部材とを有する伝動装置において、 前記第1回転部材の回転軸線を中心とする円周上で、こ
    の第1回転部材に接触して回転する複数の中間回転部材
    と、 複数の中間回転部材の回転速度同士の平均と、前記第2
    回転部材の回転速度とが一致するように、この複数の第
    1中間回転部材と前記第2回転部材とを連結する連結装
    置とを備えていることを特徴とする伝動装置。
  2. 【請求項2】 前記第1の回転部材と複数の回転部材と
    の接触半径を変更可能であることを特徴とする請求項1
    に記載の伝動装置。
  3. 【請求項3】 前記連結装置が、複数の中間回転部材に
    それぞれ形成された第1のギヤと、各第1のギヤに噛み
    合う第1のピニオンギヤとを有し、 この第1のピニオンギヤが前記第2の回転部材に対して
    回転可能に取り付けられており、 前記第2回転部材と、第3回転部材および第4回転部材
    とを連結するデファレンシャルが設けられているととも
    に、このデファレンシャルが、第3回転部材および第4
    回転部材にそれぞれ形成された第2のギヤと、各第2の
    ギヤに噛合する第2のピニオンギヤとを有し、このピニ
    オンギヤが前記第2の回転部材に対して回転可能に取り
    付けられていることを特徴とする請求項1または2に記
    載の伝動装置。
  4. 【請求項4】 前記第1回転部材と複数の中間部材との
    接触圧力に基づき、前記第1の回転部材側に作用する反
    力と、前記複数の中間回転部材側に作用し、かつ、前記
    反力とは逆向きに作用する力とを、共に受ける保持部材
    が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3の
    いずれかに記載の伝動装置。
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