JP2003055948A - 改良土及びその製造方法並びに施工方法 - Google Patents

改良土及びその製造方法並びに施工方法

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JP2003055948A JP2001243160A JP2001243160A JP2003055948A JP 2003055948 A JP2003055948 A JP 2003055948A JP 2001243160 A JP2001243160 A JP 2001243160A JP 2001243160 A JP2001243160 A JP 2001243160A JP 2003055948 A JP2003055948 A JP 2003055948A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】セメント系材料や石灰系材料が添加された処理
土であっても低コストかつ安全確実に緑化を行う。 【構成】本実施形態に係る改良土は、建設泥土、浚渫泥
土等の排泥にセメント系材料又は石灰系材料を主成分と
する固化材が添加されてなる処理土を攪拌しながら該処
理土に所定の薬剤を添加して前記処理土の土粒子又は土
塊の表面に結晶被膜を形成してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として緑化を行
う際に使用される改良土及びその製造方法並びに施工方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】SMW(ソイルセメント柱列壁)工法
や、地中連続壁工法、シールド工法といった泥水工法に
おいては、建設泥土が多量に発生する。また、水質汚染
を防止するため、その原因となるヘドロ層を浚渫によっ
て除去することがあるが、かかる浚渫工事においても浚
渫泥土が多量に発生する。
【0003】このような発生土は、従来であれば脱水、
pH処理といった処理を経た後、産業廃棄物として処分
されることが多かったが、資源の有効利用や環境保護あ
るいは処分コストの低減といった観点から言えば、でき
るだけ再利用されることが望ましい。
【0004】このような背景の下、最近では、発生土に
セメント系材料または石灰系材料を添加混合して強度を
改善し、かかる処理土を盛土材、法面形成材、遮水壁の
構築材あるいは裏込め等の空洞充填材として有効利用さ
れることが多くなってきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
処理土が使用された箇所では、セメント系材料や石灰系
材料が添加されている関係上、アルカリ性が強くて植物
の生育に適さない環境となり、緑化することが非常に困
難となるという問題を生じていた。
【0006】なお、どうしても緑化が必要な場合には、
健全な良質土を客土するか、硫酸、硫酸第一鉄、イオウ
華といった薬剤を添加して中和する等の方法が考えられ
なくもないが、前者の方法ではコストがかかりすぎると
いう問題が生じ、後者の方法では、薬剤が危険物である
ので取り扱いに十分な配慮が必要になるとともに作業に
あたっては有資格者が必要となるという新たな問題が生
じる。また、後者の方法では、適量を添加することが難
しく、ややもすれば過剰添加となって酸性地盤になって
しまうことも少なくなかった。
【0007】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、セメント系材料や石灰系材料が添加された処
理土であっても低コストかつ安全確実に緑化を行うこと
が可能な改良土及びその製造方法並びに施工方法を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る改良土は請求項1に記載したように、
建設泥土、浚渫泥土等の排泥にセメント系材料又は石灰
系材料を主成分とする固化材が添加されてなる処理土を
攪拌しながら該処理土に所定の薬剤を添加して前記処理
土の土粒子又は土塊の表面に結晶被膜を形成してなるも
のである。
【0009】また、本発明に係る改良土は、前記薬剤を
燐酸系又は硫酸系化学肥料としたものである。
【0010】また、本発明に係る改良土は、前記薬剤を
過燐酸石灰、重過燐酸石灰又は硫酸マグネシウムとした
ものである。
【0011】また、本発明に係る改良土は請求項4に記
載したように、建設泥土、浚渫泥土等の排泥にセメント
系材料又は石灰系材料を主成分とする固化材が添加され
てなる処理土を攪拌しながら乾燥湿潤を繰り返すことで
前記処理土の土粒子又は土塊の表面に炭酸カルシウム被
膜を形成してなるものである。
【0012】また、本発明に係る改良土は請求項5に記
載したように、建設泥土、浚渫泥土等の排泥にセメント
系材料又は石灰系材料を主成分とする固化材が添加され
てなる処理土を攪拌しながら乾燥湿潤を繰り返すととも
に所定の薬剤を添加することで、前記処理土の土粒子又
は土塊の表面に炭酸カルシウム被膜及び結晶被膜を形成
してなるものである。
【0013】また、本発明に係る中性混合改良土は、請
求項1乃至請求項5のいずれか一記載の改良土を所定の
酸性土と混合してなるものである。
【0014】また、本発明に係る改良土の製造方法は請
求項7に記載したように、建設泥土、浚渫泥土等の排泥
にセメント系材料又は石灰系材料を主成分とする固化材
が添加されてなる処理土を攪拌しながら該処理土に所定
の薬剤を添加することで前記処理土の土粒子又は土塊の
表面に結晶被膜を形成するものである。
【0015】また、本発明に係る改良土の製造方法は、
前記固化材の添加量に応じて前記薬剤の添加量を定める
ものである。
【0016】また、本発明に係る改良土の製造方法は、
前記薬剤を燐酸系又は硫酸系化学肥料としたものであ
る。
【0017】また、本発明に係る改良土の製造方法は、
前記薬剤を過燐酸石灰、重過燐酸石灰又は硫酸マグネシ
ウムとしたものである。
【0018】また、本発明に係る改良土の製造方法は請
求項11に記載したように、建設泥土、浚渫泥土等の排
泥にセメント系材料又は石灰系材料を主成分とする固化
材が添加されてなる処理土を攪拌しながら乾燥湿潤を繰
り返すことで前記処理土の土粒子又は土塊の表面に炭酸
カルシウム被膜を形成するものである。
【0019】また、本発明に係る改良土の製造方法は、
前記固化材の添加量に応じて前記乾燥湿潤の繰り返し工
程に関する諸事項を定めるものである。
【0020】また、本発明に係る改良土の製造方法は請
求項13に記載したように、建設泥土、浚渫泥土等の排
泥にセメント系材料又は石灰系材料を主成分とする固化
材が添加されてなる処理土を攪拌しながら乾燥湿潤を繰
り返すとともに所定の薬剤を添加することで、前記処理
土の土粒子又は土塊の表面に炭酸カルシウム被膜及び結
晶被膜を形成するものである。
【0021】また、本発明に係る改良土の製造方法は、
前記固化材の添加量に応じて前記薬剤の添加量及び前記
乾燥湿潤の繰り返し工程に関する諸事項を定めるもので
ある。
【0022】また、本発明に係る改良土の施工方法は、
請求項1記載の改良土を酸性土壌の上に積層し、次いで
該改良土の上に中性混合改良土を積層して該中性混合改
良土の上を農地又は緑地とする改良土の施工方法であっ
て、前記中性混合改良土を前記改良土と所定の酸性土と
を混合して製造するものである。
【0023】また、本発明に係る改良土の施工方法は、
請求項4記載の改良土を酸性土壌の上に積層し、次いで
該改良土の上に中性混合改良土を積層して該中性混合改
良土の上を農地又は緑地とする改良土の施工方法であっ
て、前記中性混合改良土を前記改良土と所定の酸性土と
を混合して製造するものである。
【0024】また、本発明に係る改良土の施工方法は、
請求項5記載の改良土を酸性土壌の上に積層し、次いで
該改良土の上に中性混合改良土を積層して該中性混合改
良土の上を農地又は緑地とする改良土の施工方法であっ
て、前記中性混合改良土を前記改良土と所定の酸性土と
を混合して製造するものである。
【0025】請求項1に係る改良土及び請求項7に係る
製造方法においては、建設泥土、浚渫泥土等の排泥にセ
メント系材料又は石灰系材料を主成分とする固化材が添
加されてなる処理土を攪拌しながら該処理土に所定の薬
剤を添加して前記処理土の土粒子又は土塊の表面に結晶
被膜を形成する。
【0026】このようにすると、固化材に起因するアル
カリ成分は、土粒子又は土塊の表面に形成された結晶被
膜によってその内部に閉じ込められ、外部への溶出が抑
制される。そして、その結果として、電気伝導度(E
C)が植物の生育に適した値に低下する。
【0027】そのため、酸性度や電気伝導度が緑化や農
地化に適さない土壌であっても、かかる改良土を盛土材
や法面形成材あるいは土壌改良材として用いることによ
り、酸性土壌を緑地や農地として利用することが可能と
なる。
【0028】ここで、前記固化材の添加量に応じて前記
薬剤の添加量を定めるようにすれば、薬剤添加の作業が
省力化されるとともに、薬剤量を過不足なく適切に定め
ることが可能となる。
【0029】薬剤としては、処理土に含まれる水酸化カ
ルシウムと反応して土粒子又は土塊の表面に結晶被膜を
形成するものであればどのようなものでもよいが、該薬
剤を燐酸系若しくは硫酸系化学肥料とするならば、比較
的入手が容易で安全性も高く、過剰添加による影響も少
ない。また、かかる薬剤は、長期的にみれば、燐酸が少
しずつ溶出するため、植物への栄養源ともなる。
【0030】特に、前記薬剤を過燐酸石灰、重過燐酸石
灰若しくは硫酸マグネシウムとするならば、可溶性のた
めに取り扱いが容易であるとともに、土壌内に広く浸透
することにより植物の成長に適した環境を得ることもで
きる。
【0031】請求項4に係る改良土及び請求項11に係
る製造方法においては、建設泥土、浚渫泥土等の排泥に
セメント系材料又は石灰系材料を主成分とする固化材が
添加されてなる処理土を攪拌しながら乾燥湿潤を繰り返
すことで、処理土内の水酸化カルシウムと空気中の二酸
化炭素とを反応させて前記処理土の土粒子又は土塊の表
面に炭酸カルシウム被膜を形成する。
【0032】このようにすると、固化材に起因するアル
カリ成分は、土粒子又は土塊の表面に形成された炭酸カ
ルシウム被膜によってその内部に閉じ込められ、外部へ
の溶出が抑制される。そして、その結果として、電気伝
導度(EC)が植物の生育に適した値に低下する。
【0033】そのため、酸性度や電気伝導度が緑化や農
地化に適さない土壌であっても、かかる改良土を盛土材
や法面形成材あるいは土壌改良材として用いることによ
り、酸性土壌を緑地や農地として利用することが可能と
なる。
【0034】ここで、前記固化材の添加量に応じて前記
乾燥湿潤の繰り返し工程に関する諸事項を定めるように
すれば、乾燥湿潤工程を合理的に進めることが可能とな
る。乾燥湿潤の繰り返し工程に関する諸事項とは、乾燥
湿潤の繰り返しを行うにあたって必要となる指標、例え
ば、繰り返し回数、乾燥期間、湿潤期間、湿潤のための
水量などが該当する。
【0035】請求項5に係る改良土及び請求項13に係
る製造方法においては、建設泥土、浚渫泥土等の排泥に
セメント系材料又は石灰系材料を主成分とする固化材が
添加されてなる処理土を攪拌しながら乾燥湿潤を繰り返
すとともに所定の薬剤を添加することで、前記処理土の
土粒子又は土塊の表面に炭酸カルシウム被膜及び結晶被
膜を形成する。
【0036】このようにすると、固化材に起因するアル
カリ成分は、土粒子又は土塊の表面に形成された結晶被
膜や炭酸カルシウム被膜によってその内部に閉じ込めら
れ、外部への溶出が抑制される。そして、その結果とし
て、電気伝導度(EC)が植物の生育に適した値に低下
する。
【0037】そのため、酸性度や電気伝導度が緑化や農
地化に適さない土壌であっても、かかる改良土を盛土材
や法面形成材あるいは土壌改良材として用いることによ
り、酸性土壌を緑地や農地として利用することが可能と
なる。
【0038】ここで、固化材の添加量に応じて薬剤の添
加量及び乾燥湿潤の繰り返し工程に関する諸事項を定め
るようにしたならば、薬剤添加の作業が省力化され、薬
剤量を過不足なく適切に定めることが可能となるととも
に、乾燥湿潤工程を合理的に進めることが可能となる。
【0039】なお、請求項1乃至請求項5に係る改良土
は、アルカリ溶出が抑制される構造になっているので、
その用途としては緑化や農地化に適しているが、その一
方、これらの用途に限定されるものではなく、一般的な
盛土材、法面形成材、裏込め等の空洞充填材、埋立材と
してなどさまざまな用途に利用することができることは
言うまでもない。
【0040】建設泥土、浚渫泥土等の排泥とは、建築土
木現場において含水比が高いためにそのままでは運搬等
の取り扱いができず、固化材を添加する必要があるもの
をすべて包含するものであり、建設泥土の具体例として
は、SMW工法で発生した残土、連続地中壁工法やシー
ルド工法といった泥水工法で発生する劣化泥水などが該
当する。
【0041】処理土を攪拌しながら薬剤を添加したり乾
燥湿潤を繰り返したりするプロセスを実施するにあたっ
ては、処理土そのものの含水比がさまざまであることが
予想されるが、含水比が高い処理土に薬剤を使用すると
きには粉末あるいは顆粒状の形態の薬剤を使用し、含水
比が低い処理土に使用するときには溶液状の薬剤を使用
することが考えられる。
【0042】なお、薬剤を使用する場合には、含水比が
高くても土粒子や土塊の表面に結晶被膜を形成すること
ができるが、乾燥湿潤を繰り返すことで炭酸カルシウム
被膜を形成する場合には、空気中の二酸化炭素と土粒子
あるいは土塊との接触が必要になるため、かかる場合に
おける処理土については、予め例えば機械脱水によって
含水比を十分低下させ、さらに固化材の水和反応を待つ
ことで処理土全体をある程度固めておくのが望ましい。
【0043】上述した各改良土は、それらを単独使用し
てもかまわないが、これらを所定の酸性土と混合してあ
らたな改良土、すなわち中性混合改良土とすることも可
能である。
【0044】かかる構成においては、請求項1乃至請求
項5記載のいずれか一の改良土から溶出するアルカリ成
分を酸性土からの酸性成分によって中和させるととも
に、EC(電気伝導度)を低下させることもできるの
で、植物の生育に適した土とすることが可能となる。
【0045】なお、請求項1乃至請求項5に係る改良土
は、請求項4、請求項1、請求項5の順でアルカリ溶出
の抑制が強くなるので、混合する酸性土のpHや電気伝
導度を考慮して、いずれの改良土と混合するかを適宜定
めればよい。
【0046】請求項15に係る改良土の施工方法におい
ては、請求項1と同様、まず、建設泥土、浚渫泥土等の
排泥にセメント系材料又は石灰系材料を主成分とする固
化材が添加されてなる処理土を攪拌しながら該処理土に
所定の薬剤を添加して前記処理土の土粒子又は土塊の表
面に結晶被膜を形成してなる改良土を製造する。
【0047】次に、かかる改良土を酸性土壌の上に積層
する。
【0048】次に、この改良土と所定の酸性土とを混合
してなる中性混合改良土を改良土の上に積層する。
【0049】そして、中性混合改良土の上を畑、水田等
の農地又は緑地とする。
【0050】このようにすると、酸性土壌からの酸性成
分は、改良土からわずかに溶出するアルカリ成分で中和
されてpHが低下し、上下に積層された位置関係とも相
まって中性混合改良土へは酸性成分はほとんど浸出しな
い。一方、中性混合改良土は、改良土と所定の酸性土と
を混合してなり、改良土からわずかに溶出するアルカリ
成分と酸性土からの酸性成分とが中和し、全体として中
性土壌になっている。
【0051】そのため、中性混合改良土を植生基盤とし
て形成された農地又は緑地は、植物が生育するのに適し
た環境となる。
【0052】請求項16に係る改良土の施工方法におい
ては、請求項4と同様、まず、建設泥土、浚渫泥土等の
排泥にセメント系材料又は石灰系材料を主成分とする固
化材が添加されてなる処理土を攪拌しながら乾燥湿潤を
繰り返すことで前記処理土の土粒子又は土塊の表面に炭
酸カルシウム被膜を形成してなる改良土を製造する。
【0053】次に、かかる改良土を酸性土壌の上に積層
する。
【0054】次に、この改良土と所定の酸性土とを混合
してなる中性混合改良土を改良土の上に積層する。
【0055】そして、中性混合改良土の上を畑、水田等
の農地又は緑地とする。
【0056】このようにすると、酸性土壌からの酸性成
分は、改良土から若干溶出するアルカリ成分によってp
Hが低下し、上下に積層された位置関係とも相まって中
性混合改良土へは酸性成分はほとんど浸出しない。一
方、中性混合改良土は、改良土と所定の酸性土とを混合
してなり、改良土から若干溶出するアルカリ成分と酸性
土からの酸性成分とが中和し、全体として中性土壌にな
っている。
【0057】そのため、中性混合改良土を植生基盤とし
て形成された農地又は緑地は、植物が生育するのに適し
た環境となる。
【0058】請求項17に係る改良土の施工方法におい
ては、まず、請求項5の改良土を製造し、次いで、かか
る改良土を酸性土壌の上に積層する。
【0059】次に、この改良土と所定の酸性土とを混合
してなる中性混合改良土を改良土の上に積層し、しかる
後、中性混合改良土の上を畑、水田等の農地又は緑地と
する。
【0060】このようにすると、酸性土壌から酸性成分
が浸入したとしても、改良土からほんのわずか溶出する
アルカリ成分によってpHが低下し、上下に積層された
位置関係とも相まって中性混合改良土へは酸性成分はほ
とんど浸出しない。一方、中性混合改良土は、改良土と
所定の酸性土とを混合してなり、改良土からわずかに溶
出するアルカリ成分と酸性土からの酸性成分とが中和
し、全体として中性土壌になっている。
【0061】そのため、中性混合改良土を植生基盤とし
て形成された農地又は緑地は、植物が生育するのに適し
た環境となる。
【0062】なお、炭酸カルシウム被膜タイプよりも結
晶被膜タイプの方がアルカリ溶出抑制作用が強い、言い
換えれば、結晶被膜タイプよりも炭酸カルシウム被膜の
方が酸性中和性能に優れるため、請求項15に係る改良
土の施工方法は酸性土壌の酸性度が中程度である場合に
適し、請求項16に係る改良土の施工方法は酸性土壌の
酸性度が強酸性である場合に適する。
【0063】一方、炭酸カルシウム被膜及び結晶被膜が
両方形成される請求項17に係る改良土の施工方法で
は、酸性中和性能は低いため、弱酸性の酸性土壌に適す
る。
【0064】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る改良土及びそ
の製造方法並びに施工方法の実施の形態について、添付
図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同
一の部品等については同一の符号を付してその説明を省
略する。
【0065】(第1実施形態)
【0066】本実施形態に係る改良土は、建設泥土、浚
渫泥土等の排泥にセメント系材料又は石灰系材料を主成
分とする固化材が添加されてなる処理土を攪拌しながら
該処理土に所定の薬剤を添加して前記処理土の土粒子又
は土塊の表面に結晶被膜を形成してなる。
【0067】本実施形態に係る改良土を製造するには、
まず、建設泥土、浚渫泥土等の排泥にセメント系材料又
は石灰系材料を主成分とする固化材が添加されてなる処
理土を準備する必要があるが、かかる処理土は、例え
ば、地中連続壁を構築する際に生じた劣化泥水を、サイ
クロン、スクリューデカンタ、フィルタープレス等で機
械脱水して脱水ケーキとし、これを処理土とすることが
できる。なお、固化材についてはセメントを採用し、該
セメントを例えばフィルタープレスで加圧脱水する前に
予め添加しておけばよい。
【0068】次に、地上に設置された攪拌槽内やピット
内に処理土を投入するとともに、該攪拌槽やピット内の
処理土をミキサーやバックホウなどで適宜攪拌しなが
ら、燐酸系又は硫酸系化学肥料、特に過燐酸石灰、重過
燐酸石灰又は硫酸マグネシウムを薬剤として処理土に添
加して改良土を製造する。
【0069】ここで、脱水ケーキである処理土の含水比
が小さくて固い場合には、薬剤を溶液状の形態で使用す
ればよいし、含水比が大きい場合には、粉末状あるいは
顆粒状の形態で使用すればよい。
【0070】図1は、製造された改良土の土粒子1及び
土塊2を取り出して示した断面図であり、該土粒子及び
土塊の表面に結晶被膜3が形成されていることがわか
る。
【0071】かかる結晶被膜3は、燐酸系肥料を薬剤と
した場合には燐酸カルシウムで形成されることとなる。
【0072】なお、薬剤を添加するにあたっては、処理
土が製造されたときのセメントの添加量を予め調べてお
き、該添加量に応じて薬剤の添加量を定めるようにする
のがよい。
【0073】このようにして製造された改良土において
は、固化材であるセメントに起因するアルカリ成分が土
粒子1又は土塊2の表面に形成された結晶被膜3によっ
てその内部に閉じ込められ、外部への溶出が抑制され
る。そして、その結果、電気伝導度(EC)は、植物の
生育に適した値に低下する。
【0074】そのため、酸性度や電気伝導度が緑化や農
地化に適さない土壌であっても、かかる改良土を盛土材
や法面形成材あるいは土壌改良材として用いれば、酸性
土壌を緑地や農地として利用することが可能となる。
【0075】次に、このようにして製造された改良土を
施工する例を説明する。
【0076】図2は、かかる改良土の施工方法を示した
図であり、同図でわかるように、本実施形態に係る施工
方法においては、本実施形態の改良土12を酸性土壌1
1の上に積層する。ここで、酸性土壌11は、肥料が原
因で中程度の酸性を呈している酸性土壌を想定してい
る。
【0077】一方、改良土12と所定の酸性土とを混合
することで中性混合改良土13を別途製造しておく。
【0078】中性混合改良土13は、全体として中性と
なるよう、それに用いる酸性土を、改良土12の土粒子
1あるいは土塊2から溶出されるアルカリ成分を中和す
る程度の酸性成分を有するものから選択する。例えば、
改良土12は、その土粒子1や土塊2の表面に結晶被膜
3が形成されているため、アルカリ成分の溶出はわずか
である。したがって、改良土12と混合する酸性土とし
ては、酸性が中程度のもの、例えば肥料が原因で中程度
の酸性になっている酸性土壌から掘削採取されたものが
望ましい。
【0079】次に、このように混合されてなる中性混合
改良土13を改良土12の上に積層する。
【0080】最後に、中性混合改良土13を植生基盤と
してその上に農地である水田14をつくる。
【0081】このようにすると、酸性土壌11からの酸
性成分は、改良土12からわずかに溶出するアルカリ成
分によってpHが低下し、上下に積層された位置関係と
も相まって中性混合改良土13へは酸性成分はほとんど
浸出しない。一方、中性混合改良土13は、改良土12
と所定の酸性土とを混合してなり、改良土12からわず
かに溶出するアルカリ成分と酸性土からの酸性成分とが
中和し、全体として中性土壌になっている。
【0082】そのため、中性混合改良土13を植生基盤
として形成された水田14は、植物が生育するのに適し
た環境となる。
【0083】以上説明したように、本実施形態に係る改
良土及びその製造方法によれば、従来であれば、産業廃
棄物として処分するしかなかったセメント排泥を、農地
や緑地のために使用することが可能な改良土として再生
することが可能となり、産業廃棄物の減容化を図ること
ができるとともに廃棄処分としていたセメント排泥を農
地用あるいは緑化用植生基盤として有効利用することが
できる。
【0084】また、本実施形態に係る改良土及びその製
造方法によれば、固化材であるセメントの添加量に応じ
て薬剤の添加量を定めるようにしたので、薬剤添加の作
業が省力化されるとともに、薬剤量を過不足なく適切に
定めることが可能となる。
【0085】また、本実施形態に係る中性混合改良土に
よれば、全体として中性となるよう上述した改良土に酸
性土を加えたので、緑化が必要な場合も含め、通常の土
と同様、ありとあらゆる場所に再利用することができ
る。
【0086】なお、産業廃棄物の減容化に資する点につ
いては改良土の場合と全く同様であるとともに、酸性土
壌を切り土工事した際に生じた酸性土をも有効利用する
ことが可能となる。
【0087】また、本実施形態に係る改良土の施工方法
によれば、酸性土壌であるために農地として利用できな
い状況であっても、本実施形態の改良土12を下層に、
本実施形態の改良土に酸性土を加えてなる中性混合改良
土13を上層に積層することにより、改良土12では、
酸性土壌11からの酸性成分を中和するとともに上方へ
の浸透を遮断するため、上層に拡がる中性混合改良土1
3では、良好な植生基盤として植物を順調に成長させる
ことが可能となる。
【0088】本実施形態では、特に言及しなかったが、
本発明に係る改良土や中性混合改良土は、その用途が農
地に限定されるものではないことは言うまでもなく、法
面に被覆して植生基盤とすることもできるし、樹木を植
えるときの客土として利用することも可能である。
【0089】さらに言えば、緑化が不要な場所であって
も、例えばシールドトンネルの裏込め材や埋立材として
本実施形態の改良土を利用すれば、上述したように産業
廃棄物の減容化を同様に図ることができる。
【0090】本実施形態では、本発明の改良土を水田に
適用したが、適用対象は畑等の他の農地でもよいし、公
園、ゴルフ場等の緑地でもかまわない。
【0091】(第2実施形態)
【0092】次に、第2実施形態について説明する。な
お、上述の実施形態と実質的に同一の部品等については
同一の符号を付してその説明を省略する。
【0093】本実施形態に係る改良土は、建設泥土、浚
渫泥土等の排泥にセメント系材料又は石灰系材料を主成
分とする固化材が添加されてなる処理土を攪拌しながら
乾燥湿潤を繰り返すことで前記処理土の土粒子又は土塊
の表面に炭酸カルシウム被膜を形成してなる。
【0094】本実施形態に係る改良土を製造するには、
まず、建設泥土、浚渫泥土等の排泥にセメント系材料又
は石灰系材料を主成分とする固化材が添加されてなる処
理土を準備する必要があるが、かかる処理土は第1実施
形態と同様、例えば、地中連続壁を構築する際に生じた
劣化泥水を、サイクロン、スクリューデカンタ、フィル
タープレス等で機械脱水して脱水ケーキとし、これを処
理土とすることができる。なお、固化材についてはセメ
ントを採用し、該セメントを例えばフィルタープレスで
加圧脱水する前に予め添加しておけばよい。
【0095】次に、地上に設置された攪拌槽内やピット
内に処理土を投入するとともに、該攪拌槽やピット内の
処理土をミキサーやバックホウなどで適宜攪拌しなが
ら、乾燥湿潤を繰り返すことで、処理土内の水酸化カル
シウムと空気中の二酸化炭素とを反応させて処理土の土
粒子や土塊の表面に炭酸カルシウム被膜を形成してなる
改良土を製造する。
【0096】図3は、製造された改良土の土粒子21及
び土塊22を取り出して示した断面図であり、該土粒子
及び土塊の表面に炭酸カルシウム被膜23が形成されて
いることがわかる。
【0097】なお、乾燥湿潤を行うにあたっては、処理
土が製造されたときのセメントの添加量を予め調べてお
き、該添加量に応じて乾燥湿潤の繰り返し工程に関する
諸事項を定めるのがよい。
【0098】乾燥湿潤の繰り返し工程に関する諸事項と
しては、乾燥湿潤の繰り返しを行うにあたって必要とな
る指標、例えば、繰り返し回数、乾燥期間、湿潤期間、
湿潤のための水量などが該当する。
【0099】このようにして製造された改良土において
は、固化材であるセメントに起因するアルカリ成分が土
粒子21又は土塊22の表面に形成された炭酸カルシウ
ム被膜23によってその内部に閉じ込められ、外部への
溶出が抑制される。そして、その結果、電気伝導度(E
C)は、植物の生育に適した値に低下する。
【0100】そのため、酸性度や電気伝導度が緑化や農
地化に適さない土壌であっても、かかる改良土を盛土材
や法面形成材あるいは土壌改良材として用いれば、酸性
土壌を緑地や農地として利用することが可能となる。
【0101】次に、このようにして製造された改良土を
施工する例を説明する。
【0102】図4は、かかる改良土の施工方法を示した
図であり、同図でわかるように、本実施形態に係る施工
方法においては、本実施形態の改良土32を酸性土壌3
1の上に積層する。ここで、酸性土壌31は、硫化物で
強酸性になっている酸性土壌を想定している。
【0103】一方、改良土32と所定の酸性土とを混合
することで中性混合改良土33を別途製造しておく。
【0104】中性混合改良土33は、全体として中性と
なるよう、それに用いる酸性土を、改良土32の土粒子
21あるいは土塊22から溶出されるアルカリ成分を中
和する程度の酸性成分を有するものから選択する。例え
ば、改良土32は、その土粒子21や土塊22の表面に
炭酸カルシウム被膜23が形成されているため、アルカ
リ成分は若干溶出する。したがって、改良土32と混合
する酸性土としては、比較的酸性が強いもの、例えば硫
化物で強酸性になっている酸性土壌から掘削採取された
ものが望ましい。
【0105】次に、このように混合されてなる中性混合
改良土33を改良土32の上に積層する。
【0106】最後に、中性混合改良土33を植生基盤と
してその上に農地である水田34をつくる。
【0107】このようにすると、酸性土壌31からの酸
性成分は、改良土32から若干溶出するアルカリ成分に
よってpHが低下し、上下に積層された位置関係とも相
まって中性混合改良土33へは酸性成分はほとんど浸出
しない。一方、中性混合改良土33は、改良土32と所
定の酸性土とを混合してなり、改良土32から若干溶出
するアルカリ成分と酸性土からの酸性成分とが中和し、
全体として中性土壌になっている。
【0108】そのため、中性混合改良土33を植生基盤
として形成された水田34は、植物が生育するのに適し
た環境となる。
【0109】以上説明したように、本実施形態に係る改
良土及びその製造方法によれば、従来であれば、産業廃
棄物として処分するしかなかったセメント排泥を、農地
や緑地のために使用することが可能な改良土として再生
することが可能となり、産業廃棄物の減容化を図ること
ができるとともに廃棄処分としていたセメント排泥を農
地用あるいは緑化用植生基盤として有効利用することが
できる。
【0110】また、本実施形態に係る改良土及びその製
造方法によれば、固化材であるセメントの添加量に応じ
て乾燥湿潤の繰り返し工程に関する諸事項を定めるよう
にしたので、乾燥湿潤作業を合理的に行うことが可能と
なる。
【0111】また、本実施形態に係る中性混合改良土に
よれば、全体として中性となるよう上述した改良土に酸
性土を加えたので、緑化が必要な場合も含め、通常の土
と同様、ありとあらゆる場所に再利用することができ
る。
【0112】なお、産業廃棄物の減容化に資する点につ
いては改良土の場合と全く同様であるとともに、酸性土
壌を切り土工事した際に生じた酸性土をも有効利用する
ことが可能となる。
【0113】また、本実施形態に係る改良土の施工方法
によれば、酸性土壌であるために農地として利用できな
い状況であっても、本実施形態の改良土32を下層に、
本実施形態の改良土に酸性土を加えてなる中性混合改良
土33を上層に積層することにより、改良土32では、
酸性土壌31からの酸性成分を中和するとともに上方へ
の浸透を遮断するため、上層に拡がる中性混合改良土3
3では、良好な植生基盤として植物を順調に成長させる
ことが可能となる。
【0114】本実施形態では、特に言及しなかったが、
本発明に係る改良土や中性混合改良土は、その用途が農
地に限定されるものではないことは言うまでもなく、法
面に被覆して植生基盤とすることもできるし、樹木を植
えるときの客土として利用することも可能である。
【0115】さらに言えば、緑化が不要な場所であって
も、例えばシールドトンネルの裏込め材や埋立材として
本実施形態の改良土を利用すれば、上述したように産業
廃棄物の減容化を同様に図ることができる。
【0116】本実施形態では、本発明の改良土を水田に
適用したが、適用対象は畑等の他の農地でもよいし、公
園、ゴルフ場等の緑地でもかまわない。
【0117】(第3実施形態)
【0118】次に、第3実施形態について説明する。な
お、上述の実施形態と実質的に同一の部品等については
同一の符号を付してその説明を省略する。
【0119】本実施形態に係る改良土は、建設泥土、浚
渫泥土等の排泥にセメント系材料又は石灰系材料を主成
分とする固化材が添加されてなる処理土を攪拌しながら
乾燥湿潤を繰り返し、次いで所定の薬剤を添加すること
で、前記処理土の土粒子又は土塊の表面に炭酸カルシウ
ム被膜及び結晶被膜を形成してなる。
【0120】本実施形態に係る改良土を製造する際に必
要となる処理土については、第1、第2実施形態と同様
であるので、ここではその説明を省略する。
【0121】処理土が準備できたならば、地上に設置さ
れた攪拌槽内やピット内にかかる処理土を投入するとと
もに、該攪拌槽やピット内の処理土をミキサーやバック
ホウなどで適宜攪拌しながら乾燥湿潤を繰り返すこと
で、処理土内の水酸化カルシウムと空気中の二酸化炭素
とを反応させ、処理土の土粒子や土塊の表面に炭酸カル
シウム被膜を形成させるとともに、燐酸系又は硫酸系化
学肥料、特に過燐酸石灰、重過燐酸石灰又は硫酸マグネ
シウムを薬剤として処理土に添加し、処理土の土粒子や
土塊の表面に結晶被膜を形成させる。
【0122】ここで、薬剤の形態としては、処理土の乾
燥がかなり進んでいるため、粉末状あるいは顆粒状の形
態で使用することが考えられる。
【0123】図5は、製造された改良土の土粒子41及
び土塊42を取り出して示した断面図であり、該土粒子
及び土塊の表面に炭酸カルシウム被膜及び結晶被膜から
なる被膜43が形成されていることがわかる。
【0124】かかる結晶被膜は、燐酸系肥料を薬剤とし
た場合には燐酸カルシウムで形成されることとなる。
【0125】なお、乾燥湿潤を行うにあたっては、処理
土が製造されたときのセメントの添加量を予め調べてお
き、該添加量に応じて乾燥湿潤の繰り返し工程に関する
諸事項を定めるのがよい。
【0126】乾燥湿潤の繰り返し工程に関する諸事項と
しては、乾燥湿潤の繰り返しを行うにあたって必要とな
る指標、例えば、繰り返し回数、乾燥期間、湿潤期間、
湿潤のための水量などが該当する。
【0127】また、薬剤を添加するにあたっては、処理
土が製造されたときのセメントの添加量を予め調べてお
き、該添加量に応じて薬剤の添加量を定めるようにする
のがよい。
【0128】このようにして製造された改良土において
は、固化材であるセメントに起因するアルカリ成分が土
粒子41又は土塊42の表面に形成された被膜43によ
ってその内部に閉じ込められ、外部への溶出が抑制され
る。そして、その結果、電気伝導度(EC)は、植物の
生育に適した値に低下する。
【0129】そのため、酸性度や電気伝導度が緑化や農
地化に適さない土壌であっても、かかる改良土を盛土材
や法面形成材あるいは土壌改良材として用いれば、酸性
土壌を緑地や農地として利用することが可能となる。
【0130】次に、このようにして製造された改良土を
施工する例を説明する。
【0131】図6は、かかる改良土の施工方法を示した
図であり、同図でわかるように、本実施形態に係る施工
方法においては、本実施形態の改良土52を酸性土壌5
1の上に積層する。ここで、酸性土壌51は、降水等で
塩基が溶脱し粘土中のアルミニウムによって弱酸性にな
っている酸性土壌を想定している。
【0132】一方、改良土52と所定の酸性土とを混合
することで中性混合改良土53を別途製造しておく。
【0133】中性混合改良土53は、全体として中性と
なるよう、それに用いる酸性土を、改良土52の土粒子
41あるいは土塊42から溶出されるアルカリ成分を中
和する程度の酸性成分を有するものから選択する。例え
ば、改良土52は、その土粒子41や土塊42の表面に
炭酸カルシウム被膜と結晶被膜とからなる被膜43が形
成されているため、アルカリ成分はほとんど溶出しな
い。したがって、改良土52と混合する酸性土として
は、降水等で塩基が溶脱し粘土中のアルミニウムによっ
て弱酸性になっている酸性土壌から掘削採取されたもの
が望ましい。
【0134】次に、このように混合されてなる中性混合
改良土53を改良土52の上に積層する。
【0135】最後に、中性混合改良土53を植生基盤と
してその上に農地である水田54をつくる。
【0136】このようにすると、酸性土壌51から仮に
酸性成分が改良土52に浸入したとしても、改良土52
からほんのわずかに溶出するアルカリ成分によってpH
が低下し、上下に積層された位置関係とも相まって中性
混合改良土53へは酸性成分はほとんど浸出しない。一
方、中性混合改良土53は、改良土52と所定の酸性土
とを混合してなり、改良土52から若干溶出するアルカ
リ成分と酸性土からの酸性成分とが中和し、全体として
中性土壌になっている。
【0137】そのため、中性混合改良土53を植生基盤
として形成された水田54は、植物が生育するのに適し
た環境となる。
【0138】以上説明したように、本実施形態に係る改
良土及びその製造方法によれば、従来であれば、産業廃
棄物として処分するしかなかったセメント排泥を、農地
や緑地のために使用することが可能な改良土として再生
することが可能となり、産業廃棄物の減容化を図ること
ができるとともに廃棄処分としていたセメント排泥を農
地用あるいは緑化用植生基盤として有効利用することが
できる。
【0139】また、本実施形態に係る改良土及びその製
造方法によれば、固化材であるセメントの添加量に応じ
て乾燥湿潤の繰り返し工程に関する諸事項を定めるよう
にしたので、乾燥湿潤作業を合理的に行うことが可能と
なる。
【0140】また、本実施形態に係る改良土及びその製
造方法によれば、固化材であるセメントの添加量に応じ
て薬剤の添加量を定めるようにしたので、薬剤添加の作
業が省力化されるとともに、薬剤量を過不足なく適切に
定めることが可能となる。
【0141】また、本実施形態に係る改良土及びその製
造方法によれば、空気中の二酸化炭素によって炭酸カル
シウム被膜を、薬剤によって結晶被膜をそれぞれ土粒子
や土塊に形成するようにしたので、アルカリ溶出を安価
でしかもより確実に抑制することが可能となる。
【0142】また、本実施形態に係る中性混合改良土に
よれば、全体として中性となるよう上述した改良土に酸
性土を加えたので、緑化が必要な場合も含め、通常の土
と同様、ありとあらゆる場所に再利用することができ
る。
【0143】なお、産業廃棄物の減容化に資する点につ
いては改良土の場合と全く同様であるとともに、酸性土
壌を切り土工事した際に生じた酸性土をも有効利用する
ことが可能となる。
【0144】また、本実施形態に係る改良土の施工方法
によれば、酸性土壌であるために農地として利用できな
い状況であっても、本実施形態の改良土52を下層に、
本実施形態の改良土に酸性土を加えてなる中性混合改良
土53を上層に積層することにより、改良土52では、
酸性土壌51からの酸性成分を中和するとともに上方へ
の浸透を遮断するため、上層に拡がる中性混合改良土5
3では、良好な植生基盤として植物を順調に成長させる
ことが可能となる。
【0145】本実施形態では、特に言及しなかったが、
本発明に係る改良土や中性混合改良土は、その用途が農
地に限定されるものではないことは言うまでもなく、法
面に被覆して植生基盤とすることもできるし、樹木を植
えるときの客土として利用することも可能である。
【0146】さらに言えば、緑化が不要な場所であって
も、例えばシールドトンネルの裏込め材や埋立材として
本実施形態の改良土を利用すれば、上述したように産業
廃棄物の減容化を同様に図ることができる。
【0147】本実施形態では、本発明の改良土を水田に
適用したが、適用対象は畑等の他の農地でもよいし、公
園、ゴルフ場等の緑地でもかまわない。
【0148】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に係る改良土
及びその製造方法並びに施工方法によれば、従来であれ
ば、産業廃棄物として処分するしかなかったセメント排
泥を、農地や緑地のために使用することが可能な改良土
として再生することが可能となり、産業廃棄物の減容化
を図ることができるとともに廃棄処分としていたセメン
ト排泥を農地用あるいは緑化用植生基盤として有効利用
することができる。
【0149】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る改良土から取り出した土粒
子及び土塊の断面図。
【図2】第1実施形態に係る改良土の施工方法を示した
図。
【図3】第2実施形態に係る改良土から取り出した土粒
子及び土塊の断面図。
【図4】第2実施形態に係る改良土の施工方法を示した
図。
【図5】第3実施形態に係る改良土から取り出した土粒
子及び土塊の断面図。
【図6】第3実施形態に係る改良土の施工方法を示した
図。
【符号の説明】
1、21、41 土粒子 2、22、42 土塊 3 結晶被膜 11、31、51 酸性土壌 12、32、52 改良土 13、33、53 中性混合改良土 23 炭酸カルシウム被膜 43 被膜(炭酸カルシウム被
膜、結晶被膜)

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建設泥土、浚渫泥土等の排泥にセメント
    系材料又は石灰系材料を主成分とする固化材が添加され
    てなる処理土を攪拌しながら該処理土に所定の薬剤を添
    加して前記処理土の土粒子又は土塊の表面に結晶被膜を
    形成してなることを特徴とする改良土。
  2. 【請求項2】 前記薬剤を燐酸系又は硫酸系化学肥料と
    した請求項1記載の改良土。
  3. 【請求項3】 前記薬剤を過燐酸石灰、重過燐酸石灰又
    は硫酸マグネシウムとした請求項2記載の改良土。
  4. 【請求項4】 建設泥土、浚渫泥土等の排泥にセメント
    系材料又は石灰系材料を主成分とする固化材が添加され
    てなる処理土を攪拌しながら乾燥湿潤を繰り返すことで
    前記処理土の土粒子又は土塊の表面に炭酸カルシウム被
    膜を形成してなることを特徴とする改良土。
  5. 【請求項5】 建設泥土、浚渫泥土等の排泥にセメント
    系材料又は石灰系材料を主成分とする固化材が添加され
    てなる処理土を攪拌しながら乾燥湿潤を繰り返すととも
    に所定の薬剤を添加することで、前記処理土の土粒子又
    は土塊の表面に炭酸カルシウム被膜及び結晶被膜を形成
    してなることを特徴とする改良土。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれか一記載
    の改良土を所定の酸性土と混合してなることを特徴とす
    る中性混合改良土。
  7. 【請求項7】 建設泥土、浚渫泥土等の排泥にセメント
    系材料又は石灰系材料を主成分とする固化材が添加され
    てなる処理土を攪拌しながら該処理土に所定の薬剤を添
    加することで前記処理土の土粒子又は土塊の表面に結晶
    被膜を形成することを特徴とする改良土の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記固化材の添加量に応じて前記薬剤の
    添加量を定める請求項7記載の改良土の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記薬剤を燐酸系又は硫酸系化学肥料と
    した請求項7記載の改良土の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記薬剤を過燐酸石灰、重過燐酸石灰
    又は硫酸マグネシウムとした請求項9記載の改良土の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 建設泥土、浚渫泥土等の排泥にセメン
    ト系材料又は石灰系材料を主成分とする固化材が添加さ
    れてなる処理土を攪拌しながら乾燥湿潤を繰り返すこと
    で前記処理土の土粒子又は土塊の表面に炭酸カルシウム
    被膜を形成することを特徴とする改良土の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記固化材の添加量に応じて前記乾燥
    湿潤の繰り返し工程に関する諸事項を定める請求項11
    記載の改良土の製造方法。
  13. 【請求項13】 建設泥土、浚渫泥土等の排泥にセメン
    ト系材料又は石灰系材料を主成分とする固化材が添加さ
    れてなる処理土を攪拌しながら乾燥湿潤を繰り返すとと
    もに所定の薬剤を添加することで、前記処理土の土粒子
    又は土塊の表面に炭酸カルシウム被膜及び結晶被膜を形
    成することを特徴とする改良土の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記固化材の添加量に応じて前記薬剤
    の添加量及び前記乾燥湿潤の繰り返し工程に関する諸事
    項を定める請求項13記載の改良土の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項1記載の改良土を酸性土壌の上
    に積層し、次いで該改良土の上に中性混合改良土を積層
    して該中性混合改良土の上を農地又は緑地とする改良土
    の施工方法であって、前記中性混合改良土を前記改良土
    と所定の酸性土とを混合して製造することを特徴とする
    改良土の施工方法。
  16. 【請求項16】 請求項4記載の改良土を酸性土壌の上
    に積層し、次いで該改良土の上に中性混合改良土を積層
    して該中性混合改良土の上を農地又は緑地とする改良土
    の施工方法であって、前記中性混合改良土を前記改良土
    と所定の酸性土とを混合して製造することを特徴とする
    改良土の施工方法。
  17. 【請求項17】 請求項5記載の改良土を酸性土壌の上
    に積層し、次いで該改良土の上に中性混合改良土を積層
    して該中性混合改良土の上を農地又は緑地とする改良土
    の施工方法であって、前記中性混合改良土を前記改良土
    と所定の酸性土とを混合して製造することを特徴とする
    改良土の施工方法。
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