JP2003055316A - ノルボルネン構造を有する基を有する化合物及びその製造方法 - Google Patents

ノルボルネン構造を有する基を有する化合物及びその製造方法

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JP2003055316A
JP2003055316A JP2001238311A JP2001238311A JP2003055316A JP 2003055316 A JP2003055316 A JP 2003055316A JP 2001238311 A JP2001238311 A JP 2001238311A JP 2001238311 A JP2001238311 A JP 2001238311A JP 2003055316 A JP2003055316 A JP 2003055316A
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Hideki Hiraoka
秀樹 平岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬化時の硬化収縮率が小さく、且つ硬化物の
光透過性、耐水性等の諸性質に優れる硬化性樹脂の原料
として有用な新規なノルボルネン構造を有する化合物及
びその製造方法を提供する。 【解決手段】 下記式(B)で表されるジ(メタ)アク
リロイル化合物と、シクロペンタジエンと、を反応させ
ることにより得られる、化学式(A)で表されるノルボ
ルネン構造を有する化合物。 【化1】 (XはCH、CHCH、(CHC、O又はS
であり、m、m、m はそれぞれ独立して0〜5の
整数を表し、R,Rはそれぞれ独立して水素原子ま
たはメチル基を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なノルボルネ
ン構造を有する基を有する化合物及びその製造方法に関
し、更に詳しくは、硬化時の硬化収縮率が小さく、且つ
樹脂硬化物の光透過性、耐水性等の諸性質に優れる硬化
性樹脂の原料として有用である新規なノルボルネン構造
を有する基を有する化合物及びその製造方法に関する。
本発明のノルボルネン構造を有する基を有する化合物を
原料として得られる硬化性樹脂は、上記特長を生かし、
光学材料、各種電気・電子材料、成形品、複合材料、接
着剤、塗料等として用いることができる。尚、本明細書
中、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又は
メタアクリレートの総称である。また、「(メタ)アク
リロイル基」とはアクリロイル基又はメタアクリロイル
基の総称である。
【0002】
【従来の技術】多官能(メタ)アクリレートは、光や熱
でラジカルを発生する重合開始剤を添加して、光照射又
は加熱することにより、樹脂硬化物となる。この樹脂硬
化物は、可視光領域の光を透過し、目視による透明度は
良好であるという性質を有する。このため、従来より、
かかる多官能(メタ)アクリレートは、発光ダイオー
ド、液晶ディスプレイ等の表示装置、各種レンズ類等の
様々な光学部品において、接着剤、コーティング剤、あ
るいはレンズそのものや封止剤として使用されている。
近年、このような光学部品の分野では、部品の小型軽量
化だけでなく、情報の記録、読み取り及び通信の高速
化、高密度化が求められており、これらの要求を満たす
ため、用いる光の波長は短波長、即ち、青から紫外領域
に広がりつつある。
【0003】しかしながら、従来から使用されてきた多
官能(メタ)アクリレート等の樹脂硬化物の場合、光の
波長が短い紫外領域周辺においては光の吸収が大きいた
め、透明性に問題があり、短波長光に対応するのが困難
である。また、硬化の際に添加するラジカル発生剤の残
渣によっても、短波長領域の光透過性が低下するという
問題がある。しかも、短波長領域の光は高エネルギーな
ので、短波長領域における透明性が低い樹脂を青色や近
紫外光を透過する用途に使用すると、樹脂を透過できず
に吸収した光によって樹脂硬化物が劣化しやすく、この
ため樹脂硬化物の寿命が短くなるという問題もある。
【0004】これに加え、多官能(メタ)アクリレート
の樹脂硬化物は、硬化収縮が大きく、吸水率が高いなど
の欠点を持っていたため、レンズ等の精密な形状が求め
られる成形品には向いておらず、しかも、吸湿によって
透明性が損なわれるという問題も有している。これらの
問題のため、従来より用いられている多官能(メタ)ア
クリレートの樹脂硬化物は光学材料等への用途が制限さ
れていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みてなされたものであり、硬化時の硬化収縮率が小さ
く、且つ樹脂硬化物の光透過性、耐水性等の諸性質に優
れる硬化性樹脂の原料として有用である新規なノルボル
ネン構造を有する基を有する化合物及びその製造方法を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の構造を有する
新規なノルボルネン構造を有する基を有する化合物を原
料として得られる硬化性樹脂は、容易に硬化すると共
に、硬化後の樹脂硬化物は、上記問題点を解消し得る良
好な物性を発揮することを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0007】本発明のノルボルネン構造を有する基を有
する化合物は、下記化学式(A)で表されるノルボルネ
ン構造を有する基を有することを特徴とする。
【0008】
【化4】
【0009】上記「化学式(A)」においてXは、CH
、(CHC、CHCH、O又はSから選択さ
れるものであり、この中で、特にXとしてCH、(C
C又はCHCHである骨格を有する化合物と
すると、耐水性に優れた樹脂硬化物とすることができる
ので好ましい。尚、上記式(1)において、Xが2以上
ある場合、各X同士は通常は同じ種類であるが、異なる
種類でもよい。
【0010】また、上記「化学式(A)」において、R
,Rはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表
す。化学式(A)の化合物を製造する際に用いる前駆体
の官能基がアクリロイル基の場合には、上記R、R
は水素となり、前駆体の官能基がメタクリロイル基であ
る場合には、上記R、Rはメチル基となる。また、
上記R、Rは通常、共に水素原子であったり、共に
メチル基であるが、2種以上の前駆体を用いることによ
り、どちらか一方が水素原子で、他方がメチル基である
構成とすることができる。
【0011】更に、上記「化学式(A)」において、m
、m及びmはそれぞれ独立して0〜5の整数を表
し、好ましくは0〜3、更に好ましくは0〜1の整数で
ある。上記m、m及びmは、ノルボルネン部分の
合成条件によって、それぞれが0であるノルボルネン基
となる場合や、1以上となった多環骨格を持った基とな
る場合もある。上記m、m及びmが5を超えるも
のとすると、化合物の粘度が高くなりすぎて取り扱いが
困難となることから好ましくない。尚、本文中におい
て、これらの基を総称しノルボルネン構造あるいはノル
ボルネン基と称する場合がある。尚、上記m、m
びmは、各々が同じ値でもよく、また、異なる値でも
よい。
【0012】本発明のノルボルネン構造を有する基を有
する化合物を製造する方法については特に限定はなく、
例えば、以下に示すように、前駆体である化学式(B)
で表されるジ(メタ)アクリロイル化合物と、シクロペ
ンタジエンと、を反応させる方法が挙げられる。本製造
方法によれば、以下の式(1)に示すように、ディール
スアルダー反応により、ジ(メタ)アクリロイル化合物
中の炭素炭素二重結合に、シクロペンタジエンを付加す
ることにより、本発明のノルボルネン構造を有する基を
有する化合物を得ることができる。
【0013】
【化5】 (XはCH、CHCH、(CHC、O又はS
であり、mはそれぞれ独立して0〜5の整数を表し、
,Rはそれぞれ独立して水素原子またはメチル基
を表す。)
【0014】
【化6】
【0015】本発明の製造方法において、上記化学式
(B)で表される「ジ(メタ)アクリロイル化合物」と
しては、例えば、ジシクロペンタジエンジメタノールの
ジアクリレート(例えば、共栄社化学株式会社製「ライ
トアクリレートDCP−A」)、ジシクロペンタジエン
ジメタノールのジメタクリレート、トリシクロペンタジ
エンのジアクリレート、トリシクロペンタジエンのジメ
タクリレート等が挙げられる。また、上記「ジ(メタ)
アクリロイル化合物」は、1種だけでなく、2種以上併
用することもできる。
【0016】また、本発明の製造方法において、シクロ
ペンタジエンは市販されているシクロペンタジエンをそ
のまま用いてもよいが、その他、ジシクロペンタジエン
を130〜200℃で加熱して逆ディールス反応を起こ
させることにより得ることもできる。この場合、シクロ
ペンタジエンは放置すると徐々にディールスアルダー反
応を起こしてジシクロペンタジエン等になるため、本発
明の製造反応を行う直前に発生させて、前駆体である上
記「ジ(メタ)アクリロイル化合物」を導入するか、あ
るいは、発生させた後、一旦冷蔵しておくのが望まし
い。また、ラジカル重合禁止剤を加え、加熱状態の上記
「ジ(メタ)アクリロイル化合物」にジシクロペンタジ
エンを徐々に添加していき、シクロペンタジエンの発生
と上記「ジ(メタ)アクリロイル化合物」との反応を一
括して行うこともできる。
【0017】本発明の製造方法において、反応条件につ
いては特に限定はなく、必要に応じて種々の条件とする
ことができる。例えば、本発明の製造方法における反応
は、加熱又は室温下で容易に進行するので、反応温度は
通常−20〜150℃、好ましくは0〜120℃、更に
好ましくは20〜100℃である。また、本発明の製造
方法において、溶剤は必ずしも必要ではないが、上記
「ジ(メタ)アクリロイル化合物」の粘度が高い場合
は、溶剤に溶解して攪拌することにより、より効率的に
反応させることができるので好ましい。この場合、溶剤
の種類については特に限定はなく、通常は、アセトン、
メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン
類、メタノール、エタノールなどのアルコール類、ベン
ゼン、トルエンなどの芳香族、酢酸エチル、酢酸ブチル
などのエステル類、エチルエーテルなどのエーテル類等
が用いられる。
【0018】また、本発明のノルボルネン構造を有する
基を有する化合物の別の製造方法としては、例えば、下
記化学式(C)及び(D)で表される各単官能のノルボ
ルネン化合物と、下記化学式(E)で表されるジオール
化合物と、を反応させる方法が挙げられる。本製造方法
によれば、以下の式(2)に示すように、エステル交換
反応によって、本発明のノルボルネン構造を有する基を
有する化合物を得ることができる。
【0019】
【化7】 (XはCH、CHCH、(CHC、O又はS
であり、m、m、m はそれぞれ独立して0〜5の
整数を表し、R,Rはそれぞれ独立して水素原子ま
たはメチル基を表す。また、R,Rはアルキル基を
表す。)
【0020】
【化8】
【0021】上記化学式中、X、R、R、m、m
及びmは、上記と同様の理由で種類及び数値の異な
る化合物が容易にでき得る。また、上記式中、R及び
はアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、フェニル
基、ベンジル基が挙げられ、この中で、特にメチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基が副生成物であるアル
コールの除去がし易く反応収率が高いことから好まし
い。また、R及びRを構成するアルキル基として
は、炭化水素基のみならず、他の原子を含む炭化水素基
でもよい。
【0022】上記本発明の別の製造方法において、上記
化学式(C)及び(D)で表される化合物は、以下の式
(3)に示すように、シクロペンタジエンと(メタ)ア
クリレートとを反応させることにより得ることができ
る。この場合、上記のように、シクロペンタジエンは市
販されているシクロペンタジエンをそのまま用いてもよ
いが、その他、ジシクロペンタジエンを130〜200
℃で加熱して逆ディールス反応を起こさせることにより
得ることもできる。その他、上記のように、ラジカル重
合禁止剤を加え、加熱状態の(メタ)アクリレートにジ
シクロペンタジエンを徐々に添加していき、シクロペン
タジエンの発生と上記「ジ(メタ)アクリロイル化合
物」との反応を一括して行うこともできる。また、上記
化学式(E)で表される「ジオール化合物」としては、
例えば、ジシクロペンタジエンジメタノール、トリシク
ロペンタジエンジメタノール、テトラシクロペンタジエ
ンジメタノール等が挙げられる。
【0023】
【化9】
【0024】また、上記本発明の別の製造方法におい
て、反応条件については特に限定はなく、必要に応じて
種々の条件とすることができる。例えば、反応温度は通
常50〜200℃、好ましくは80〜150℃、更に好
ましくは100〜130℃である。また、本発明の製造
方法において、溶剤は必ずしも必要ではないが、上記
「ジ(メタ)アクリロイル化合物」の粘度が高い場合
は、溶剤に溶解して攪拌することにより、より効率的に
反応させることができるので好ましい。この場合、溶剤
の種類については特に限定はなく、通常は、 ベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの芳香族、エーテル類、ケ
トン類等が用いられる。
【0025】本発明のノルボルネン構造を有する基を有
する化合物は、 過酸化物、アゾ化合物等の熱ラジカル
発生剤、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケ
トン等の光ラジカル発生剤等のラジカル発生剤を少量加
えることで単独硬化させることもできるが、チオール化
合物やマレイミド化合物を併用する方が反応性がよいの
で好ましい。特に、チオール化合物を併用すると、その
付加反応により得られる樹脂硬化物は、光透過性、耐水
性に優れていることから好ましい。
【0026】本発明のノルボルネン構造を有する基を有
する化合物は、重合性の官能基を複数有していることか
ら、硬化性樹脂の原料として好ましく使用できる。本発
明のノルボルネン構造を有する基を有する化合物を原料
として得られた硬化性樹脂の樹脂硬化物、特に多官能チ
オール類とを併用した硬化性樹脂の樹脂硬化物は、硬化
収縮が少なく、広い波長領域、特に短波長領域での光透
過性、耐水性、機械的強度等の諸性質に優れている。こ
れらの特性が得られる理由は、本発明のノルボルネン構
造を有する基を有する化合物に含まれるノルボルネン構
造はかさ高く、極性が低いため、耐水性が向上し、更
に、ノルボルネン基は幅広い波長範囲の光を透過するこ
とから、光透過性にも優れるものと推察される。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、実施例及び比較例によって
本発明を更に詳しく説明する。 (1)ノルボルネン構造を有する基を有する化合物の合
成 <合成例1>温度計、ジムロート、攪拌器を備えた10
0mlの3口フラスコにジシクロペンタジエンジメタノ
ールのジアクリル酸エステル(共栄社化学株式会社製
「ライトアクリレートDCP−A」)30g(0.09
9mol)を仕込み、室温下で攪拌しながら、予めジシ
クロペンタジエンを150℃で分解することにより得ら
れたシクロペンタジエン26.1g(0.39mol)
を30分かけて滴下した。そのまま20時間攪拌後、内
容物を100mlナス型フラスコに移し替え、反応せず
に残ったシクロペンタジエンを減圧下で留去した。そし
て、フラスコ内の残留成分をNMRにより分析した。そ
の結果を図1に示す。尚、NMRの測定条件は、270
MHzのプロトンNMRで、溶剤は重クロロホルム、測
定温度は室温、基準物質はテトラメチルシラン(TM
S)とした。
【0028】原料であるジシクロペンタジエンジメタノ
ールのジアクリル酸エステルのNMRスペクトルを図2
に示す。図1では、図2で現れている原料が有していた
5.8〜6.5ppm付近のアクリロイル基のC=Cに
結合したプロトンのピークが消失して、新たに5.9〜
6.2ppm付近にノルボルネンの二重結合部分のプロ
トンが出現し、また2.8〜3ppm付近にノルボルネ
ンの橋頭位のプロトンが確認された。この結果より、原
料が有するアクリロイル基にシクロペンタジエンがディ
ールスアルダー反応により付加し、ノルボルネン骨格に
なったジシクロペンタジエンジメタノールのジノルボル
ネンカルボキシレートが生成していることが確認され
た。
【0029】(2)樹脂硬化物の調製 <実施例1>上記合成例1で得られたノルボルネン構造
を有する基を有する化合物20gに、ペンタエリスリト
ールテトラ(3−メルカプトプロピオネート)11.2
gを加えて攪拌混合して樹脂組成物とした。次に、攪拌
混合した樹脂組成物を減圧状態で脱泡し、ガラス板上に
載せたフッ素樹脂製の型に流し込み、その上にガラス板
を載せてふたをした。これを熱プレス機の熱板間に挟
み、10kg/cmで加圧しながら100℃で30分
間加熱し、更に150℃に昇温して1時間加圧加熱を続
けて樹脂の硬化を行い、樹脂硬化物を型から取り外して
実施例1の樹脂硬化物を得た。
【0030】<比較例1>多官能アクリレートであるジ
シクロペンタジエンジメタノールのジアクリレート(共
栄社化学株式会社製「ライトアクリレートDCP−
A」)30gに、増感剤としてベンジルジメチルケター
ル(東亞合成株式会社製「C−101」)1.5gを加
えて攪拌混合して樹脂組成物とした。次に、攪拌混合し
た樹脂組成物を減圧状態で脱泡し、ガラス板上に載せた
フッ素樹脂製の型に流し込み、その上にガラス板を載せ
てふたをした。これをアイグラフィックス株式会社製紫
外線硬化用電源装置を用い、紫外線を1000mJ/c
照射して樹脂組成物を硬化し、樹脂硬化物を型から
取り外して比較例1の樹脂硬化物を得た。
【0031】<比較例2>ジシクロペンタジエンジメタ
ノールのジアクリレート(共栄社化学株式会社製「ライ
トアクリレートDCP−A」)20gに、ペンタエリス
リトールテトラ(3−メルカプトプロピオネート)1
6.1gを加えて攪拌混合して樹脂組成物とした。次
に、上記実施例1と同じ方法により樹脂の硬化を行い、
樹脂硬化物を型から取り外して比較例2の樹脂硬化物を
得た。比較例2の樹脂硬化物はゴム状でメルカプタン臭
が残っており、光学部品には適さないものであった。
【0032】(3)性能評価 以下の方法により、上記実施例1及び比較例1〜2の各
樹脂硬化物の性能評価を行った。その結果を以下の表1
に示す。尚、上記比較例2の樹脂硬化物は、べたつきが
あり硬化性が悪いため、硬化収縮率及び吸水率の測定は
行わず、分光光度計による光透過性の測定のみをおこな
った。 光透過性 実施例及び比較例1〜2の樹脂組成を用いて作成した厚
さ1mmの樹脂硬化物を試験片として使用した。島津製
作所株式会社製分光光度計「UV−2400PC」を用
い、波長190〜800nmにおける試験片の光透過率
を測定した。測定は長波長から短波長へ操作して測定を
行い、光透過性は、光透過率が50%を最初に切った時
点での波長(nm)として評価した。 吸水率 実施例及び比較例1〜2の樹脂組成を用いて作成した厚
さ2mmの樹脂硬化物を試験片として使用した。試験片
を50℃のオーブン内に24時間放置して乾燥し、乾燥
時重量を測定した。次に、試験片を23℃に保った蒸留
水に24時間浸した後、表面についた水を拭き取って、
吸水後の重量を測定した。吸水率(%)は、両測定値か
ら重量増加率(%)を計算することにより求めた。 硬化収縮率 硬化前の実施例及び比較例1〜2のモノマー混合物の比
重をピクノメーターで測定し、次に硬化後の実施例及び
比較例1〜2の樹脂硬化物の比重を水中置換法により測
定した。両比重より硬化収縮率(%)を算出した。 鉛筆硬度 市販の鉛筆を用い、樹脂硬化物の表面の鉛筆硬度を測定
した。
【0033】
【表1】
【0034】(4)実施例の効果 表1より、本発明のノルボルネン構造を有する基を有す
る化合物を用いた実施例1の樹脂硬化物では、樹脂硬化
物の光透過率が50%を最初に切った時点での波長が3
10nmと低く、広い波長領域での光透過性に優れてい
ることが判る。また、鉛筆硬度が3Hであることから、
樹脂硬化物は硬化性に優れ、しかも、硬化収縮率が4.
2%、吸水率が0.12%と低いことから、優れた耐水
性、低い硬化収縮性を有するものであることが判る。
【0035】これに対し、従来から使用されてきた多官
能(メタ)アクリレート等の樹脂硬化物である比較例1
では、実施例1と比べて、鉛筆硬度は3Hとほぼ実施例
1と同様の硬度を示しているが、硬化収縮率が6.6
%、吸水率が0.37%と実施例1よりも高いことか
ら、実施例1よりも耐水性に劣り、硬化収縮性が大きい
ことが判る。しかも、樹脂硬化物の光透過率が50%を
最初に切った時点での波長が380nmと高いことか
ら、光透過性に優れている波長領域が実施例1よりも狭
く、特に短波長領域における光透過性に劣ることが判
る。また、比較例2では、樹脂硬化物の光透過率が50
%を最初に切った時点での波長は、320nmとやや低
い値を示している反面、樹脂硬化物はゴム状でメルカプ
タン臭が残っており、鉛筆硬化も下限以下であり、べた
つきがあり硬化性が悪いため、光学部品には不適である
ことが判る。
【0036】尚、本発明においては、上記具体的実施例
に示すものに限られず、目的、用途に応じて種々変更し
た実施例とすることができる。
【0037】
【発明の効果】本発明のノルボルネン構造を有する基を
有する化合物は、重合性の官能基を複数有しており、硬
化性樹脂の原料として好ましく使用できる。本発明のノ
ルボルネン構造を有する基を有する化合物を原料として
得られる硬化性樹脂、特に、多官能チオール類との組成
物である硬化性樹脂組成物は、広い波長領域に及ぶ光に
対する光透過性、高い耐水性、低い硬化収縮等の特長を
樹脂硬化物を与えることができる。そのため、光学材
料、各種電気・電子材料、成形品、複合材料、接着剤、
塗料等の様々な用途に応用することができ、極めて有用
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例1のノルボルネン構造を有する基を有す
る化合物のNMRスペクトルを示す図である。
【図2】合成例1において、原料として用いたジシクロ
ペンタジエンジメタノールのジアクリル酸エステルのN
MRスペクトルを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08G 61/08 C08G 61/08 Fターム(参考) 4C072 MM08 UU03 4H006 AA01 AA02 AB49 BJ30 KA03 KA31 4J032 CA34 CA36 CC03 4J100 AS15P BA15P BC12P CA01 CA04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化学式(A)で表されるノルボルネ
    ン構造を有する基を有する化合物。 【化1】 (XはCH、CHCH、(CHC、O又はS
    であり、m、m、m はそれぞれ独立して0〜5の
    整数を表し、R,Rはそれぞれ独立して水素原子ま
    たはメチル基を表す。)
  2. 【請求項2】下記化学式(B)で表されるジ(メタ)ア
    クリロイル化合物と、シクロペンタジエンと、を反応さ
    せることを特徴とする請求項1記載の化学式(A)で表
    されるノルボルネン構造を有する基を有する化合物の製
    造方法。 【化2】 (XはCH、CHCH、(CHC、O又はS
    であり、mはそれぞれ独立して0〜5の整数を表し、
    ,Rはそれぞれ独立して水素原子またはメチル基
    を表す。)
  3. 【請求項3】下記化学式(C)及び(D)で表される各
    単官能のノルボルネン化合物と、下記化学式(E)で表
    されるジオール化合物と、を反応させることを特徴とす
    る請求項1記載の化学式(A)で表されるノルボルネン
    構造を有する基を有する化合物の製造方法。 【化3】 (XはCH、CHCH、(CHC、O又はS
    であり、m、m、m はそれぞれ独立して0〜5の
    整数を表し、R,Rはそれぞれ独立して水素原子ま
    たはメチル基を表す。また、R,Rはアルキル基を
    表す。)
JP2001238311A 2001-08-06 2001-08-06 ノルボルネン構造を有する基を有する化合物及びその製造方法 Pending JP2003055316A (ja)

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