JP2003053801A - 射出成形金型および光記録媒体の製造方法および光記録媒体 - Google Patents

射出成形金型および光記録媒体の製造方法および光記録媒体

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JP2003053801A
JP2003053801A JP2001241583A JP2001241583A JP2003053801A JP 2003053801 A JP2003053801 A JP 2003053801A JP 2001241583 A JP2001241583 A JP 2001241583A JP 2001241583 A JP2001241583 A JP 2001241583A JP 2003053801 A JP2003053801 A JP 2003053801A
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tip
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Jun Shimizu
純 清水
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板内の最大せん断応力分布が均一で複屈折
の一周内変動を小さくした光記録媒体、例えばカード形
CDを製造することができるようにする。 【解決手段】 カード形CDを製造する射出成形金型に
おいて、長軸と短軸を有した基板を成形するための空間
15が区画形成されるように、固定ミラー11および可
動ミラー16を互いに所定距離隔てて対向配設する。固
定ミラー11の中央に、樹脂流入口17aの先端部が前
記空間15の中央に臨むようにスプルブッシュ17を配
設する。可動ミラー16側に、先端部がスプルブッシュ
17の先端部と対向するように、ゲートカットパンチ2
0を、前記基板の回転軸方向に可動自在に配設する。ス
プルブッシュ17の空間15側端部とゲートカットパン
チ20の先端部との間に形成される筒状のゲート18の
厚みを、前記基板の短軸方向における厚みよりも長軸方
向における厚みが厚くなるように形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、文字、音、絵など
をデジタル情報として記録してあって、所定の装置によ
って読み取り可能とした光記録媒体およびその製造方法
および光記録媒体製造用の射出成形金型に係り、特にデ
ジタル情報を光学的手段によって読み取り可能としたコ
ンパクト・ディスク(CD)に関する。
【0002】
【従来の技術】文字、音、写真や絵などの映像等、様々
な情報をデジタル化して記録しておく媒体として、コン
パクト・ディスク(以下、CDと称する)が広く使用さ
れている。このCDは、ディスクという円盤形のプレー
トの表面に、中心から所定半径離隔したところに環状に
情報を記録可能な信号パターンが設けられており、コン
ピュータやプレーヤなどの装置にセットし、回転駆動さ
せたCDに当てた光の反射率(光学式)によって情報を
読み取るものである。このCDは既に規格化されてお
り、おもに2種類の大きさのCDが使用されている。
【0003】これらCDは、大きい方も小さい方も形状
が円盤形であって、しかも小さいCDであっても半径は
4cmであり、直径となれば8cmとなる。これを背広
のポケットなどに入れては嵩張る。そして実際には、そ
れほど多量の情報量を入力しておく必要のない場合で
も、最低直径8cmの円盤を持ち運ばねばならない。
【0004】一方、近年身元などの少量の情報を、光レ
ーザー方式や磁気記録などの方式にて入力しておき、簡
単に情報を読み取り可能にしたものとして、各種カード
なるものが頻繁に採用されている。
【0005】銀行で使用するバンキングカードやクレジ
ット契約のために身元照会に利用されるクレジットカー
ドなどがそれである。これら各種カード類は、大きさが
全て同じに統一され、財布や定期入れなどの小間物入れ
などにも、規格化されたカードを収納するためのカード
ポケットが必ず設けられているほどである。
【0006】もし上記のようなCDの機能を持ち、しか
もカードサイズのものがあれば、手頃な容量の情報のみ
を記録しておき、それをカードとして財布などに入れて
持ち運べたら、極めて簡便である。必要なときに日頃身
に付けている財布などからさっと取り出してコンピュー
タなどで情報を読み取り、名刺代わりに相手に差し出し
て日頃身につけてもらうことも可能である。
【0007】このようなカードサイズのCDとして、例
えば国際公開WO99/00765の考案が開示されて
いる。
【0008】初期において、前記カードサイズのCDを
生産する方法は、例えばデジタル情報が記録してあるス
タンパーを用いて、直径12cmの基板を射出成形し、
記録膜あるいは反射膜をスパッタリングし、その表面を
UV樹脂等の保護膜で覆った上に、文字、写真、絵柄な
どを印刷する。その後、切削加工機やレーザー加工機を
用いて、上記カード状の形状にすることが主流であっ
た。
【0009】しかしながら上記方法においては、材料
費、加工工数の無駄が多く、コスト高になってしまい、
新たなる生産方法が求められていた。そこで、カードC
D形状のキャビティーを有する金型用いて、射出成形に
よりカード形状のCDを製作することが考えられるよう
になった。
【0010】この射出成形金型によるカードCDは例え
ば次のようにして製作される。まず固定側金型および可
動側金型を有した射出成形金型を射出成形機に取り付け
る。これら固定側金型および可動側金型の間には、成形
されるカードCD基板の外形形状に対応した成形キャビ
ティーの空間が構成されている。
【0011】そしてデジタル情報が記録してあるスタン
パーを、固定側金型又は可動側金型のいずれか一方に取
り付け、射出成形機シリンダー内で溶融された樹脂を、
固定側金型中心部に配設されたスプルブッシュ中心の流
入口より、前記成形キャビティー内に充填する。
【0012】なおこのとき、溶融樹脂は、センターホー
ルを形成するリング状のゲート部を通過し、成形キャビ
ティー内に充填される。このリング状ゲートは、一周内
において均一の厚さをしており、溶融樹脂の充填量はす
べての方向に対して均一の量で成形キャビティー内に充
填される。
【0013】また、固定側金型、可動側金型は、固定側
冷却水路、可動側冷却水路を通じて温調され、スタンパ
ー表面温度を上昇させた状態において、溶融樹脂が充填
されることにより、スタンパーのデジタル信号パターン
が上述のカードCDプラスチック基板に転写される。
【0014】前記成形キャビティー内に溶融樹脂が完全
充填された後、可動側金型内周部に配設されたゲートカ
ットパンチが、スプルブッシュ外径およびゲートカット
ダイス内径により構成された固定側金型の中心部に穿設
された空間に進入し、センターホールが形成される。
【0015】前記成形されたカードCD基板は、取り出
し可能温度(一般的にはガラス転移点以下)に冷却さ
れ、製品突き出しブッシュを用いて金型外部に突き出さ
れる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところが前記の射出成
形金型による製造方法では、カード形状の基板を成形す
る場合において、センターホールに設けられたリング状
ゲートからすべての方向に対して均一に溶融樹脂が充填
されるので、カード基板形状(長方形)の長軸方向と短
軸方向の流動長の差が原因となって、図7に示す応力分
布図のように、溶融樹脂流動時に発生する最大せん断応
力は一周内において大きな応力の変化が発生する。
【0017】これは、長軸方向に対しての樹脂の充填量
を満足させるため、短軸方向に対しては必要以上の充填
量を射出し、短軸方向における最大せん断応力が増大し
ていることが原因である。
【0018】この応力変化が原因となって、複屈折(物
質中を光が伝搬する際に、x成分、y成分の伝搬速度が
異なって位相差を生じる現象)は例えば図8のように不
均一となり、カードCDのデジタル記録部の複屈折、反
りが一周内において大きく変動する。
【0019】尚図8は光記録媒体の半径26mmにおけ
る円周方向複屈折を実測した結果を表し、0°、180
°は長軸方向、90°、270°は短軸方向を示してい
る。前記複屈折は、例えば入射角30°、−30°、0
°を同時に測定して垂直方向複屈折演算を行ったもので
あり、その測定方式は以下のとおりである。
【0020】 測定方式 回転検光子・円偏光入射・平行ビーム方式 光源:半導体レーザー、波長632.8nm 出力:4mW 偏光子:GLAN THOMPSON PRISM 2
式 1/4波長板:水晶板2枚構成 2式 検光子:GLAN THOMPSON PRISM 検出器:SPDおよび増幅器 上記を各3ユニット。
【0021】このように複屈折の値が大きく不均一であ
ると、オプティカルヘッドのフォーカスサーボが暴れて
レーザーの焦点が呆けたり、再生する際に記録信号に不
均一なオフセットが加わったり、再生信号変調度にくび
れができたりして、十分に記録、再生ができない不具合
が生じる。
【0022】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
その目的は、基板内の最大せん断応力分布が均一で複屈
折の一周内変動を小さくした光記録媒体を製造すること
ができる、射出成形金型および光記録媒体の製造方法お
よび光記録媒体を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の射出成形金型は、長軸と短軸を有した基板を
成形するための空間が区画形成されるように、互いに所
定距離隔てて対向配設された射出成形用の固定側金型お
よび可動側金型と、前記固定側金型側の中央に設けら
れ、先端部が前記空間の中央に臨んで配設された溶融樹
脂射出部と、前記可動側金型側であって、先端部が前記
溶融樹脂射出部と対向する部位の空間に臨み、前記基板
の回転軸方向に可動自在に配設されたゲートカットパン
チとを備え、前記溶融樹脂射出部の前記空間側端部と前
記ゲートカットパンチの先端部との間に形成される筒状
のゲート部の厚みは、前記基板の短軸方向における厚み
よりも長軸方向における厚みが厚く形成されていること
を特徴としている。
【0024】また前記筒状のゲート部の厚みは、前記基
板の長軸方向における厚みと短軸方向における厚みとの
差が0.05mm〜1.15mmの範囲内であることを
特徴としている。
【0025】また前記ゲートカットパンチの先端部の高
さは、前記基板の長軸方向に沿った部位は低く、短軸方
向に沿った部位は高く形成されていることを特徴として
いる。
【0026】また前記ゲートカットパンチの先端面は、
凹湾曲面に形成されていることを特徴としている。
【0027】また前記ゲートカットパンチの先端面は、
凸湾曲面に形成されていることを特徴としている。
【0028】また、前記溶融樹脂射出部の外周に設けら
れ、先端部が前記空間に臨んで配設されたゲートカット
ダイスを備え、前記ゲートカットダイスの先端部の高さ
は、前記基板の長軸方向に沿った部位は低く、短軸方向
に沿った部位は高く形成されていることを特徴としてい
る。
【0029】また前記ゲートカットダイスの先端面は、
凹湾曲面に形成されていることを特徴としている。
【0030】また、前記溶融樹脂射出部の外周に設けら
れ、先端部が前記空間に臨んで配設されたゲートカット
ダイスを備え、前記溶融樹脂射出部の先端部は前記ゲー
トカットダイスよりも突出して配設され、前記溶融樹脂
射出部の先端部の高さは、前記基板の長軸方向に沿った
部位は低く、短軸方向に沿った部位は高く形成されてい
ることを特徴としている。
【0031】また前記溶融樹脂射出部の先端面は、凸湾
曲面に形成されていることを特徴としている。
【0032】また本発明の光記録媒体の製造方法は、外
形が非円形状に形成されるとともに、環状のデジタル記
録部を有する光記録媒体を製造する方法において、長軸
と短軸を有した基板を成形するための空間であって、中
央部の厚みが、前記基板の短軸方向における厚みよりも
長軸方向における厚みが厚く形成された空間を区画形成
する工程と、前記空間の中央部から空間内へ溶融樹脂を
充填する工程と、前記溶融樹脂充填後に前記中央部を除
去してドライブ孔を形成する工程とを備えたことを特徴
としている。
【0033】また本発明の光記録媒体は、外形が非円形
状に形成されるとともに、環状のデジタル記録部を有す
る光記録媒体において、長軸と短軸を有した基板を成形
するための空間であって、中央部の厚みが、前記基板の
短軸方向における厚みよりも長軸方向における厚みが厚
く形成された空間を区画形成する工程と、前記空間の中
央部から空間内へ溶融樹脂を充填する工程と、前記溶融
樹脂充填後に前記中央部を除去してドライブ孔を形成す
る工程とを実行することにより製造され、基板内の最大
せん断応力分布が均一で複屈折の一周内変動が小さく構
成されたことを特徴としている。
【0034】
【発明の実施の形態】以下図面を参照しながら本発明の
射出成形金型の実施形態例を説明する。本発明では、以
下の実施形態例により、前記溶融樹脂の長軸方向と短軸
方向の各流動長に最適なゲート圧を設定することができ
る金型を構成した。
【0035】カードCD形状のキャビティーに溶融樹脂
が充填される直前に、溶融樹脂が通過するゲート部の厚
みを、カード形状の長軸方向と短軸方向において連続的
に変化させるものである。
【0036】例えば、ゲート形成しているゲートカット
パンチ、スプルブッシュ、ゲートカットダイスの先端部
形状を平面形状ではなく、連続的に高さを変化させる円
筒面の構成とし、それぞれの流動量に差を生じさせる構
造である。
【0037】前記ゲート部の形状は、カード形状の長軸
方向に沿って流動する部分の厚さは厚く、短軸方向に沿
っては薄くするものであり、これによって、長軸方向に
沿って流動する樹脂は流出量が多く、短軸方向に沿って
流動する樹脂は流出量が少なくなり、結果的に楕円形の
流動パターンを形成しながら樹脂は流動し、長方形の基
板を成形することになる。
【0038】カードCDを、射出成形法によってセンタ
ーホールから流動樹脂を充填し作成する場合、従来は、
樹脂がキャビティー内を流動した時の長軸方向と短軸方
向の流動距離の違いにより、最大せん断応力の差が生じ
て基板一周内の複屈折、反りが悪くなるという問題を発
生していたが、本発明の金型を用いて射出成形した基板
においては、長軸方向と短軸方向の充填時間に差がなく
製造されることから、複屈折の一周内変動が小さく、反
りも損なうことがない基板を成形することができる。
【0039】図1は本発明をカードCDに適用して製造
されたカードCDの形態を示しており、(a)は平面
図、(b)は斜視図である。図1において、外形をカー
ド形に形成した基板1内に円形状の再生領域又は記録再
生領域2を有し、ディスクドライブ装置によってセンタ
ーホール(ドライブ孔)3を中心に回転させて光を照射
することで再生、記録が行える。前記基板1の長辺は9
0mm、短辺は60mm、基板厚みは1.2mmであ
る。
【0040】図2は本発明の射出成形金型の一実施形態
例を示している。図2において、11は射出成形金型を
構成する固定ミラーである。この固定ミラー11の端面
には、デジタル情報(信号パターン)が記録してあるス
タンパー12が装着されている。このスタンパー12
は、固定ミラー11の内周においてスタンパー位置決め
ブッシュ13によってセンタリングされるとともに、外
周スタンパーホルダー14によって固定されている。
【0041】スタンパー12を装着した固定ミラー11
に対向して、カード形CD基板成形用の空間15(成形
キャビティー)を隔てて可動ミラー16が配設されてい
る。
【0042】固定ミラー11の中心部位には、シリンダ
ー(図示省略)から供給される溶融されたポリカーボネ
イト樹脂を導くスプルブッシュ17が設けられ、樹脂流
入口17a先端のゲート18が前記空間に臨むよう配設
されている。このスプルブッシュ17の略中央から空間
15側先端部までの外周には、ゲートカットダイス19
が設けられている。
【0043】可動ミラー16の内周には、前記スプルブ
ッシュ17の空間15側先端部に対向してゲートカット
パンチ20が、基板の回転軸方向に可動自在に配設され
ている。このゲートカットパンチ20の空間15側先端
は、カード基板に形成されるセンターホールの内径寸法
に対応した外径を有しており、前記スプルブッシュ17
の空間15側先端部外径と同一外径寸法を有している。
したがってゲートカットダイス19の空間15側内径
は、前記スプルブッシュ17の先端部外径とゲートカッ
トパンチ20の先端部外径と同一外径寸法に形成されて
いる。
【0044】ゲートカットパンチ20の外周には、製品
突出しブッシュ21が基板の回転軸方向に可動自在に配
設されている。この製品突出しブッシュ21の一方の端
部は前記空間15に臨み、他方の端部には突出しエアー
回路22および戻しエアー回路23が設けられている。
【0045】前記空間15の外周は外周リング24で閉
塞されている。25は固定側冷却水路、26は可動側冷
却水路、27はゲートカットパンチ20の、空間15と
反対側端部に設けられた戻しエアー回路である。
【0046】前記スプルブッシュ17、ゲートカットダ
イス19およびゲートカットパンチ20にて構成される
円筒部分がゲート18(リングゲート部)となり、その
円筒の高さがゲート厚さとなる。
【0047】本実施形態例では、前記ゲート厚さが、円
筒の先端面全周において同一の厚さとならない、例えば
図3のようなゲートカットパンチ20aを設けた。図3
において、(a)はゲートカットパンチ20aの空間1
5側の先端部の斜視図を示しており、該先端部は中心部
が凹面の円筒形状に形成され、先端部の高さは、カード
基板の長軸方向に対しては(b)に示すように低く、短
軸方向に対しては(c)に示すように高く設定され、そ
の高低差Tは例えば0.6mmに設定されている。
【0048】したがってゲート18(リングゲート部)
の厚さは、カードCDの長軸方向に対しては厚く、短軸
方向に対しては薄く設定されることになる。
【0049】上記のように構成された金型を射出成形機
に取り付け、カードCD基板を成形するには、まず射出
成形機シリンダー内で溶融されたポリカーボネイト樹脂
を、スプルブッシュ17の樹脂流入口17aから空間1
5内へ流し込む。
【0050】このとき、溶融されたポリカーボネイトが
スプルブッシュ17、ゲートカットダイス19およびゲ
ートカットパンチ20で構成されたセンターホール内の
リングゲート部(ゲート18)を通過する。このリング
ゲート部の厚さは、カードCDの長軸方向に対しては厚
く、短軸方向に対しては薄く設定されているので、それ
ぞれの方向に対して流出量の差が発生し、楕円形の流動
パターンを形成しながら流れていくことが観測された。
【0051】その後、可動ミラー16の内周部に配設さ
れたゲートカットパンチ20が、カード基板(成形キャ
ビティー)の軸方向に移動し、ゲートカットパンチ20
の先端部が、スプルブッシュ17外径およびゲートカッ
トダイス19の内径により構成された固定ミラー11の
中心部に穿設された空間に進入し、センターホールが形
成される。成形されたカードCD基板は、取り出し可能
温度(一般的にはガラス転移点以下)に冷却され、製品
突き出しブッシュ21を用いて金型外部に突き出され
る。
【0052】前記カードCDは、短軸方向、長軸方向と
も略同一時間で充填が完了し、それぞれの方向に発生す
る最大せん断応力も略同一であることから、一周内にお
いて均一な複屈折を有するカードCD基板を成形するこ
とができた。
【0053】また前記ゲート18(リングゲート部)の
厚さを、カードCDの長軸方向に対しては厚く、短軸方
向に対しては薄く設定するために、前記図3のゲートカ
ットパンチ20aの代わりに、例えば図4のように構成
されたゲートカットパンチ20bを設けても良い。
【0054】図4において、(a)はゲートカットパン
チ20bの空間15側の先端部の斜視図を示しており、
該先端部は中心部が凸面の円筒形状に形成され、先端部
の高さは、カード基板の長軸方向に対しては(c)に示
すように低く、短軸方向に対しては(b)に示すように
高く設定され、その高低差Tは例えば0.6mmに設定
されている。したがってゲート18(リングゲート部)
の厚さは、カードCDの長軸方向に対しては厚く、短軸
方向に対しては薄く設定されることになる。
【0055】図4のゲートカットパンチ20bを用いた
場合も、前記同様に溶融樹脂を空間15内へ流し込んだ
際、基板の長軸、短軸それぞれの方向に対して流出量の
差が発生し、楕円形の流動パターンを形成しながら流れ
ていくことが観測され、短軸方向、長軸方向とも略同一
時間で充填が完了し、それぞれの方向に発生する最大せ
ん断応力も略同一であることから、一周内において均一
な複屈折を有するカードCD基板を成形することができ
た。
【0056】また前記ゲート18(リングゲート部)の
厚さを、カードCDの長軸方向に対しては厚く、短軸方
向に対しては薄く設定するために、前記図2のゲートカ
ットダイス19およびスプルブッシュ17の代わりに、
例えば図5のように、ゲートカットダイス19aの先端
部をスプルブッシュ17aの先端部よりも突出させて、
ゲートカットダイス19aの先端部の高さを、前記基板
の長軸方向に沿った部位は(b)のように低く、短軸方
向に沿った部位は(c)のように高く形成して(短軸方
向線に沿った中央部位が凹湾曲面となる)構成しても良
い。
【0057】この場合もゲートカットダイス19aの先
端部とスプルブッシュ17aの先端部の高低差Tは例え
ば0.6mmに設定されている。したがってゲート18
(リングゲート部)の厚さは、カードCDの長軸方向に
対しては厚く、短軸方向に対しては薄く設定されること
になる。
【0058】図5のようにゲートカットダイス19aお
よびスプルブッシュ17aを構成した場合も、前記同様
に溶融樹脂を空間15内へ流し込んだ際、基板の長軸、
短軸それぞれの方向に対して流出量の差が発生し、楕円
形の流動パターンを形成しながら流れていくことが観測
され、短軸方向、長軸方向とも略同一時間で充填が完了
し、それぞれの方向に発生する最大せん断応力も略同一
であることから、一周内において均一な複屈折を有する
カードCD基板を成形することができた。
【0059】また前記ゲート18(リングゲート部)の
厚さを、カードCDの長軸方向に対しては厚く、短軸方
向に対しては薄く設定するために、前記図5のゲートカ
ットダイス19aおよびスプルブッシュ17aの代わり
に、例えば図6のように、スプルブッシュ17bの先端
部をゲートカットダイス19bの先端部よりも突出さ
せ、スプルブッシュ17bの先端部の高さを、前記基板
の長軸方向に沿った部位は低く、短軸方向に沿った部位
は高く形成して(長軸方向線に沿った中央部位が凸湾曲
面となる)構成しても良い。
【0060】この場合もゲートカットダイス19bの先
端部とスプルブッシュ17bの先端部の高低差Tは例え
ば0.6mmに設定されている。したがってゲート18
(リングゲート部)の厚さは、カードCDの長軸方向に
対しては厚く、短軸方向に対しては薄く設定されること
になる。
【0061】図6のようにゲートカットダイス19bお
よびスプルブッシュ17bを構成した場合も、前記同様
に溶融樹脂を空間15内へ流し込んだ際、基板の長軸、
短軸それぞれの方向に対して流出量の差が発生し、楕円
形の流動パターンを形成しながら流れていくことが観測
され、短軸方向、長軸方向とも略同一時間で充填が完了
し、それぞれの方向に発生する最大せん断応力も略同一
であることから、一周内において均一な複屈折を有する
カードCD基板を成形することができた。
【0062】尚前記筒状のゲート部(ゲート18)にお
ける、基板の長軸方向における厚みと短軸方向における
厚みとの差、すなわち図3、図4におけるゲートカット
パンチ20a,20bの高低差Tや、図5、図6におけ
るゲートカットダイス19a,19bの先端部とスプル
ブッシュ17a,17bの先端部との高低差Tは、前記
0.6mmに設定するに限らず、0.05mm〜1.1
5mmの範囲内に設定するものである。
【0063】本発明の光記録媒体の製造方法の実施形態
例は、外形が非円形状に形成されるとともに、環状のデ
ジタル記録部を有する光記録媒体、例えば図1のような
カード型CDを製造する際に、長軸と短軸を有した基板
を成形するための空間であって、中央部の厚みが、前記
基板の短軸方向における厚みよりも長軸方向における厚
みが厚く形成された空間、例えば図2で述べたの金型の
空間15を区画形成する工程と、前記空間の中央部から
空間内へ図2で述べたようにして溶融樹脂を充填する工
程と、前記溶融樹脂充填後に前記中央部を除去してドラ
イブ孔(センターホール)を形成する工程とを実行する
ものである。
【0064】前記製造方法によれば、溶融樹脂を空間内
へ充填する工程を実行した際、基板の長軸、短軸それぞ
れの方向に対して流出量の差が発生し、短軸方向、長軸
方向とも略同一時間で充填が完了する。このためそれぞ
れの方向に発生する最大せん断応力も略同一であること
から、一周内において均一な複屈折を有する光記録媒体
を成形することができる。
【0065】尚本発明の光記録媒体の製造方法は、図2
のように構成された射出成形金型を用いるに限らず、前
記同様の作用、効果を奏する他の構成の射出成形金型又
は製造装置を用いても良い。
【0066】尚、本発明はカード形CDに限らず、外形
を四角形以外の他の非円形状に形成した光記録媒体に適
用しても良く、その場合も前記同様の作用、効果を奏す
る。
【0067】
【発明の効果】(1)以上のように本発明の射出成形金
型によれば、従来の切削加工法から脱却し、射出成形に
より光記録媒体、例えばカードCD基板を製造すること
ができるため、大幅なコストダウンを図ることができ
る。
【0068】またカードCD基板などの光記録媒体の成
形時に発生する複屈折、反りを低減し、信号特性の改善
を図り、品質を向上させることができる。したがって、
信号特性の向上が見込めることから、カードCD基板な
どの光記録媒体の高密度化が実現できるようになる。
【0069】さらに、金型構造により対策をとることで
成形条件のマージンが広がり、歩留まりの向上、成形サ
イクルの短縮も期待でき、大幅なコストダウンを図るこ
とが可能となる。 (2)本発明の光記録媒体の製造方法によれば、基板内
の最大せん断応力分布が均一で複屈折の一周内変動を小
さくした、高品質の光記録媒体を製造することができ
る。また、簡単な工程を実行するだけで製造することが
できるので、製造時間が短くて済み生産性が向上する。 (3)本発明の光記録媒体によれば、基板内の最大せん
断応力分布が均一で複屈折の一周内変動が小さく、反り
が低減されるので、信号特性の向上を図ることができ
る。これによって高品質で高密度の光記録媒体が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録媒体であるカード形CDの外観
を表し、(a)は正面図、(b)斜視図。
【図2】本発明の射出成形金型の一実施形態例の断面
図。
【図3】本発明の一実施形態例の要部を表し、(a)は
ゲートカットパンチの先端部の斜視図、(b)はゲート
カットパンチの先端部であって、基板の長軸方向の断面
図、(c)はゲートカットパンチの先端部であって、基
板の短軸方向の断面図。
【図4】本発明の他の実施形態例の要部を表し、(a)
はゲートカットパンチの先端部の斜視図、(b)はゲー
トカットパンチの先端部であって、基板の長軸方向の断
面図、(c)はゲートカットパンチの先端部であって、
基板の短軸方向の断面図。
【図5】本発明の他の実施形態例の要部を表し、(a)
はゲートカットダイスの先端部の斜視図、(b)はゲー
トカットダイスの先端部であって、基板の長軸方向の断
面図、(c)はゲートカットダイスの先端部であって、
基板の短軸方向の断面図。
【図6】本発明の他の実施形態例の要部を表し、(a)
はスプルブッシュの先端部の斜視図、(b)はスプルブ
ッシュの先端部であって、基板の長軸方向の断面図、
(c)はスプルブッシュの先端部であって、基板の短軸
方向の断面図。
【図7】従来のカード形CDの最大せん断応力分布図。
【図8】従来のカード形CDの半径26mmにおける円
周方向複屈折の特性図。
【符号の説明】
1…基板、2…再生領域又は記録再生領域、3…センタ
ーホール、11…固定ミラー、12…スタンパー、13
…スタンパー位置決めブッシュ、14…外周スタンパー
ホルダー、15…空間、16…可動ミラー、17,17
a,17b…スプルブッシュ、18…ゲート、19,1
9a,19b…ゲートカットダイス、20,20a,2
0b…ゲートカットパンチ、21…製品突出しブッシ
ュ、22…突出しエアー回路、23,27…戻しエアー
回路、24…外周リング、25…固定側冷却水路、26
…可動側冷却水路。

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光記録媒体を製造する射出成形金型にお
    いて、 長軸と短軸を有した基板を成形するための空間が区画形
    成されるように、互いに所定距離隔てて対向配設された
    射出成形用の固定側金型および可動側金型と、 前記固定側金型側の中央に設けられ、先端部が前記空間
    の中央に臨んで配設された溶融樹脂射出部と、 前記可動側金型側であって、先端部が前記溶融樹脂射出
    部と対向する部位の空間に臨み、前記基板の回転軸方向
    に可動自在に配設されたゲートカットパンチとを備え、 前記溶融樹脂射出部の前記空間側端部と前記ゲートカッ
    トパンチの先端部との間に形成される筒状のゲート部の
    厚みは、前記基板の短軸方向における厚みよりも長軸方
    向における厚みが厚く形成されていることを特徴とする
    射出成形金型。
  2. 【請求項2】 前記筒状のゲート部の厚みは、前記基板
    の長軸方向における厚みと短軸方向における厚みとの差
    が0.05mm〜1.15mmの範囲内であることを特
    徴とする請求項1に記載の射出成形金型。
  3. 【請求項3】 前記ゲートカットパンチの先端部の高さ
    は、前記基板の長軸方向に沿った部位は低く、短軸方向
    に沿った部位は高く形成されていることを特徴とする請
    求項1に記載の射出成形金型。
  4. 【請求項4】 前記ゲートカットパンチの先端部の高さ
    は、前記基板の長軸方向に沿った部位は低く、短軸方向
    に沿った部位は高く形成されていることを特徴とする請
    求項2に記載の射出成形金型。
  5. 【請求項5】 前記ゲートカットパンチの先端面は、凹
    湾曲面に形成されていることを特徴とする請求項3に記
    載の射出成形金型。
  6. 【請求項6】 前記ゲートカットパンチの先端面は、凹
    湾曲面に形成されていることを特徴とする請求項4に記
    載の射出成形金型。
  7. 【請求項7】 前記ゲートカットパンチの先端面は、凸
    湾曲面に形成されていることを特徴とする請求項3に記
    載の射出成形金型。
  8. 【請求項8】 前記ゲートカットパンチの先端面は、凸
    湾曲面に形成されていることを特徴とする請求項4に記
    載の射出成形金型。
  9. 【請求項9】 前記溶融樹脂射出部の外周に設けられ、
    先端部が前記空間に臨んで配設されたゲートカットダイ
    スを備え、 前記ゲートカットダイスの先端部の高さは、前記基板の
    長軸方向に沿った部位は低く、短軸方向に沿った部位は
    高く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の
    射出成形金型。
  10. 【請求項10】 前記溶融樹脂射出部の外周に設けら
    れ、先端部が前記空間に臨んで配設されたゲートカット
    ダイスを備え、 前記ゲートカットダイスの先端部の高さは、前記基板の
    長軸方向に沿った部位は低く、短軸方向に沿った部位は
    高く形成されていることを特徴とする請求項2に記載の
    射出成形金型。
  11. 【請求項11】 前記ゲートカットダイスの先端面は、
    凹湾曲面に形成されていることを特徴とする請求項9に
    記載の射出成形金型。
  12. 【請求項12】 前記ゲートカットダイスの先端面は、
    凹湾曲面に形成されていることを特徴とする請求項10
    に記載の射出成形金型。
  13. 【請求項13】 前記溶融樹脂射出部の外周に設けら
    れ、先端部が前記空間に臨んで配設されたゲートカット
    ダイスを備え、 前記溶融樹脂射出部の先端部は前記ゲートカットダイス
    よりも突出して配設され、 前記溶融樹脂射出部の先端部の高さは、前記基板の長軸
    方向に沿った部位は低く、短軸方向に沿った部位は高く
    形成されていることを特徴とする請求項1に記載の射出
    成形金型。
  14. 【請求項14】 前記溶融樹脂射出部の外周に設けら
    れ、先端部が前記空間に臨んで配設されたゲートカット
    ダイスを備え、 前記溶融樹脂射出部の先端部は前記ゲートカットダイス
    よりも突出して配設され、 前記溶融樹脂射出部の先端部の高さは、前記基板の長軸
    方向に沿った部位は低く、短軸方向に沿った部位は高く
    形成されていることを特徴とする請求項2に記載の射出
    成形金型。
  15. 【請求項15】 前記溶融樹脂射出部の先端面は、凸湾
    曲面に形成されていることを特徴とする請求項13に記
    載の射出成形金型。
  16. 【請求項16】 前記溶融樹脂射出部の先端面は、凸湾
    曲面に形成されていることを特徴とする請求項14に記
    載の射出成形金型。
  17. 【請求項17】 外形が非円形状に形成されるととも
    に、環状のデジタル記録部を有する光記録媒体を製造す
    る方法において、 長軸と短軸を有した基板を成形するための空間であっ
    て、中央部の厚みが、前記基板の短軸方向における厚み
    よりも長軸方向における厚みが厚く形成された空間を区
    画形成する工程と、 前記空間の中央部から空間内へ溶融樹脂を充填する工程
    と、 前記溶融樹脂充填後に前記中央部を除去してドライブ孔
    を形成する工程とを備えたことを特徴とする光記録媒体
    の製造方法。
  18. 【請求項18】 外形が非円形状に形成されるととも
    に、環状のデジタル記録部を有する光記録媒体におい
    て、 長軸と短軸を有した基板を成形するための空間であっ
    て、中央部の厚みが、前記基板の短軸方向における厚み
    よりも長軸方向における厚みが厚く形成された空間を区
    画形成する工程と、 前記空間の中央部から空間内へ溶融樹脂を充填する工程
    と、 前記溶融樹脂充填後に前記中央部を除去してドライブ孔
    を形成する工程とを実行することにより製造され、 基板内の最大せん断応力分布が均一で複屈折の一周内変
    動が小さく構成されたことを特徴とする光記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100709845B1 (ko) * 2005-12-19 2007-04-23 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 재질 이방성이 적고 저온 인성이 우수한 고장력 강판
CN109849282A (zh) * 2019-03-20 2019-06-07 深圳创维-Rgb电子有限公司 一种双层分流注塑模具
CN110947928A (zh) * 2019-12-18 2020-04-03 宁波拓普集团股份有限公司 一种立式挤压机铸造模具

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