JP2003053628A - ワイヤ放電加工機、プログラム - Google Patents

ワイヤ放電加工機、プログラム

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JP2003053628A
JP2003053628A JP2001248903A JP2001248903A JP2003053628A JP 2003053628 A JP2003053628 A JP 2003053628A JP 2001248903 A JP2001248903 A JP 2001248903A JP 2001248903 A JP2001248903 A JP 2001248903A JP 2003053628 A JP2003053628 A JP 2003053628A
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wire
machining
control parameter
electric discharge
discharge machine
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JP2001248903A
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Hiroshi Mizukoshi
弘 水越
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Brother Industries Ltd
Original Assignee
Brother Industries Ltd
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  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】加工中のワイヤ不足を防止でき、ワイヤの無駄
をなくすことができるワイヤ放電加工機を提供する。 【解決手段】加工速度が速くワイヤ消費量の多い加工条
件である通常加工1と、加工速度は遅いがワイヤ消費量
の少ない加工条件である通常加工2をROMに記憶して
おり、通常加工1の加工条件で加工を行っている途中
に、現在のワイヤ残量とNC加工プログラムの最後まで
加工を行った場合のワイヤ消費予定量を算出し、ワイヤ
残量がワイヤ消費予定量よりも少なくなった場合に、加
工条件を通常加工2に変更することにより、NC加工プ
ログラムの終了時にワイヤをちょうど使い切るようにす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】ワイヤ放電加工機等に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、加工プログラムに基づき、張
架されたワイヤ電極を走行させ、工作物との間にパルス
電圧を印加しながら両者を相対的に移動させて放電加工
を行うワイヤ放電加工機が知られている。このようなワ
イヤ放電加工機では、ワイヤを駆動するモータ、工作物
を移動するためのモータ、ワイヤを走行させるモータ等
の回転速度や、印加するパルス電圧による放電エネルギ
を制御するための制御パラメータを加工条件毎に記憶し
ており、選択された加工条件に対応する制御パラメータ
を用いてこれらのモータ等を制御してワイヤ放電加工を
行っている。
【0003】例えば、図3に示すように、ワイヤ放電加
工機に加工条件として、通常加工1、通常加工2、通常
加工3…を設け、それぞれの加工条件に対応する制御パ
ラメータとして、加工テーブル送り速度、放電周期、放
電エネルギ、ワイヤ電極送り速度、…、下ノズル流量等
を記憶しておく。そして、ワイヤ放電加工機は、作業者
によって選択されたいずれかの加工条件に対応する制御
パラメータ(制御目標)を用いて工作物の加工を行って
いる。
【0004】ここで図3において、通常加工1〜3は1
回の加工で加工を完了するための加工条件である。これ
らの加工条件の場合、S制御(極間電圧一定制御)機能
がオンであるため、加工テーブル送り速度の値は、目標
値として図3のように表示されるが、実際の加工テーブ
ル送り速度は、極間電圧が目標極間電圧になるように自
動的に制御される。通常加工1は、加工をできるだけ速
く行うための加工時間優先の加工条件であり、放電エネ
ルギを大きくし、目標極間電圧を低く設定することによ
り、結果的に加工テーブル送り速度が最も速くなる条件
である。また放電エネルギを大きく設定することで、ワ
イヤの損傷が激しくなりワイヤが断線する可能性が高く
なるためワイヤ電極送り速度を速く設定している。この
ように速さを優先して加工を行うため面粗さは最も荒く
なってしまう。一方、通常加工3は、面粗さ優先の加工
条件であり、放電エネルギを小さくし、目標極間電圧を
高く設定することにより、結果的にテーブル送り速度が
遅くなる条件である。したがってワイヤ送り速度は遅く
設定することができ、断線しにくい。また通常加工2は
通常加工1と3の中間の加工条件であり、図4に示すよ
うに加工距離当たりのワイヤ消費量が最も少ないワイヤ
消費量優先の加工条件である。
【0005】作業者はこうした加工条件の中から適した
加工条件を選択入力し、ワイヤ放電加工機は、選択され
た加工条件に対応する制御パラメータを用いて工作物の
加工を行うことで、作業者の要求に応じた加工を行うこ
とができる。また、こうしたワイヤ放電加工機では、加
工の途中でワイヤがなくなると、工作物に縦筋が入るな
ど加工精度を悪化させたり、加工中にワイヤボビンの交
換を行うために作業員を配置する必要があるなどの問題
があるため、加工中のワイヤ不足が起こらないようにし
たい。このようなワイヤ不足を防止するために、加工開
始前にワイヤ残量を検出し、ワイヤ消費量を加工プログ
ラムと設定された制御パラメータから予測して、これら
を比較し不足する場合には予め交換を促すシステムがあ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうし
た予測は設定された制御パラメータに基づいて行われる
ため、例えば制御パラメータの設定を変更すればワイヤ
不足が起きない場合であっても、交換を促すことにな
る。
【0007】またワイヤ放電加工機のワイヤは一般的に
使い捨てであり、加工中のワイヤボビンの交換を行いた
くない場合には、予め未使用の残りワイヤを空運転等を
行って廃棄して新しいワイヤに交換してしまう。このよ
うにしてワイヤボビンの交換を行っていると多くのワイ
ヤが無駄になるといった問題がある。
【0008】そこで本発明は、加工中のワイヤ不足を防
止し、ワイヤの無駄をなくすことができるワイヤ放電加
工機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】上述した
問題点を解決するためになされた請求項1に記載のワイ
ヤ放電加工機によれば、所定のポイントまでの加工に際
してワイヤが不足することが予測される場合には別の制
御パラメータに変更して加工を行う。こうすることでワ
イヤ不足の発生を防止することができる。この予測は、
加工開始時のみならず加工中の所定の箇所で、あるい
は、加工中に常に行うとよい。このようにすれば、従来
のように加工開始前に予めワイヤを交換しておく場合に
比べ、無駄なくワイヤを利用することができる。
【0010】ワイヤ不足が発生しないように制御パラメ
ータを変更する場合には、請求項2に示すようにしてで
きるだけワイヤを使い切るようにするとよい。なお、請
求項2において「ワイヤが所定量余る程度」とは、例え
ばワイヤボビンの1層に相当する量など、ワイヤ放電加
工機のワイヤ送りの精度に応じて余裕をみた量に決定す
ればよい。また、この所定量を利用者が設定するように
してもよい。
【0011】また、所定のポイントは、作業者がワイヤ
を交換しても良い点として設定した任意の点としてもよ
いし、請求項3のように加工の終了点または中断点とし
てもよい。このようにすれば、適切なポイントでワイヤ
を使い切るように加工を進めることができる。そしてこ
のような所定のポイントは、加工プログラムから自動的
に求めるとよい。すなわち、例えば加工プログラムの加
工停止命令のあるポイントを所定のポイントとして設定
する。
【0012】このようにして所定のポイントまで加工を
行った際には、請求項5に示すようにして、ワイヤの交
換を促す報知をするとよい。例えばメッセージを表示装
置に表示させたり、音声等を出力して知らせる。このよ
うにすれば、作業者は所定のポイントに加工が達したこ
とを容易に知ることができる。
【0013】ところで、制御パラメータは、入力された
加工条件から所定の演算によって求めるように構成した
ものや、予め加工条件に対応する制御パラメータを記憶
しておいて利用するものがある。後者の場合、請求項6
に示すようにするとよい。そして加工が所定のポイント
へ達した際にワイヤが無くならないようにするために
は、例えば請求項7や請求項8のようにすればよい。請
求項7に記載のワイヤ放電加工機によれば、ワイヤ残量
が予測したワイヤ消費量に一致した時点で別の制御パラ
メータに変更する。一方、請求項8に記載のワイヤ放電
加工機によれば、ワイヤ消費量がワイヤ残量を上回った
時点で最適な制御パラメータに変更する。
【0014】そして、変更対象の制御パラメータの候補
が複数ある場合には請求項9のように所定の優先条件を
加味した制御パラメータを採用するとよい。このように
すれば、作業者の意図に沿った加工を行うことができ
る。例えば請求項10に示すようにして、例えば加工時
間の最も短いものを採用したり、ワイヤが断線しない安
定性の高いものを採用したりすることができる。
【0015】なお、ワイヤ消費量に関連する制御パラメ
ータとしては、例えば、請求項11に示すようにワイヤ
送り速度とテーブル移動速度とがある。このようにして
制御中に制御パラメータを変更すると工作物の加工精度
に悪影響が生じるおそれがあるため、精度が要求される
場合には制御パラメータの変更を禁止したい。このよう
な場合には、請求項12に示すようにすればよい。ま
た、請求項12のようにして変更を禁止した場合にも、
請求項13に示すようにワイヤ残量が前記ワイヤ消費量
より少ない場合にはワーニングを表示装置に表示させる
とよい。
【0016】そして、請求項1〜13のいずれかに記載
のワイヤ放電加工機としての機能は、請求項14に示す
ように、例えば、コンピュータで実行するプログラムと
して備えることができる。このようなプログラムの場
合、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、
CD−ROM、ハードディスク、ROM、RAM等のコ
ンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、必要に応
じてコンピュータにロードして起動することにより用い
ることができる。また、ネットワークを介してロードし
て起動することにより用いることもできる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明が適用された実施例
について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の
形態は、下記の実施例に何ら限定されることなく、本発
明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうること
は言うまでもない。 [第1実施例]図1はワイヤ放電加工機の概略構成を示
す図である。
【0018】工作物1が載置固定されるテーブル2は図
示しない案内構造に案内され、水平面内で移動可能であ
る。テーブル2はX軸サーボモータ3及びY軸サーボモ
ータ4によりワイヤ電極11に対して相対的に移動す
る。ワイヤ電極11は上下に配設されたダイス状のワイ
ヤガイド16,17により案内され、垂直に張架され
る。上下のワイヤガイド16,17とそれぞれ一体に、
加工液を噴射するノズル8,9が設けられている。上下
の各ノズル8,9はそれぞれワイヤ電極11の軸方向に
加工液を噴射し、加工間隙5に強い加工液流を作る。ワ
イヤ電極11には給電子10が摺接され、図示しない電
源装置からパルス状の電圧が印加される。このパルス状
の電圧によりワイヤ電極11と工作物1との間に放電を
発生し加工を行う。
【0019】ワイヤ電極11はワイヤボビン12から繰
出され、テンションローラ13及びピンチローラ14の
間を通り、上案内ローラ15を経由して給電子10に摺
接し、上下のワイヤガイド16,17を挿通して下案内
ローラ18に至り、ワイヤ駆動ローラ19及びピンチロ
ーラ20の間を通って図示しない巻取りボビンに排出さ
れる。下方のワイヤ駆動ローラ19はワイヤ駆動モータ
21に連結され、所定回転速度で回転駆動される。ま
た、上方のテンションローラ13はブレーキモータ22
に連結され、所定トルクが与えられる。駆動ローラ19
及びテンションローラ13により上下のワイヤガイド1
6,17間のワイヤ電極11に所定の張力が与えられ垂
直に張架される。
【0020】そしてワイヤ電極の走行速度を検出する走
行速度検出器として、テンションローラ13の回転を検
出するエンコーダ23がテンションローラ13に連結さ
れている。また、ワイヤボビン12の回転速度を検出す
る回転速度検出器として、エンコーダ24がワイヤボビ
ン12に連結されている。上記2つのエンコーダ23,
24からの信号は制御装置30に出力される。
【0021】図2は制御装置30を示すブロック図であ
る。制御装置30は、コンピュータ(CPU)31,各
種メモリ(ROM,RAM)32,33,キーボード3
4,CRTディスプレイ35を備え、各エンコーダ2
3,24からの出力信号を計数するカウンタ36,37
を備えている。また、制御装置30には、X軸サーボモ
ータ3、Y軸サーボモータ4、ノズル8,9、電源装
置、ワイヤ駆動モータ21、ブレーキモータ22が接続
されている。
【0022】CPU31はROM32に記憶されたプロ
グラムを実行し、RAM33に記憶されたNC加工プロ
グラムに基づいてこれら各装置を制御する。これら各装
置の制御は、ROM32に記憶された制御パラメータを
制御目標として行われる。この制御パラメータは、工作
物1の材質・板厚・ワイヤ電極の種類・ワイヤ傾斜角度
毎に、加工条件別にROM32に記憶されている。CP
U31はキーボード34から設定された加工条件やNC
加工プログラム内の加工条件設定命令で設定された加工
条件に対応する制御パラメータを制御目標として制御を
行う。
【0023】こうした加工条件毎の制御パラメータの値
の一例を図3に示す。図3は、工作物1の材質がSKD
−11で、ワイヤ電極がS25−H、板厚が50mm、
ワイヤ傾斜角度が0度の場合の各加工条件に対する制御
パラメータの一部を示す図である。各加工条件毎の制御
パラメータは、工作物1の材質やワイヤ電極の種類、板
厚、ワイヤ傾斜角度の値別に、加工条件番号を主キーと
してROM32にテーブルとして記憶している。図3で
は、加工条件として「通常加工1」「通常加工2」「通
常加工3」「セカンドカット1」「セカンドカット2」
を示している。通常加工1〜3は、それぞれ1回の加工
で加工を完了する加工条件である。またセカンドカット
1、2は、はじめにセカンドカット1の制御パラメータ
で1回目の加工を行い、続いて同一の箇所をセカンドカ
ット2の制御パラメータで加工を行うことにより、面粗
さを抑えた高精度の加工を行うための加工条件である。
なお、こうした加工条件と制御パラメータのテーブルは
ユーザがキーボード34から入力しRAM33に定義し
ておくこともできる。
【0024】そして制御パラメータとしては、給電子1
0に対して電源装置から供給する電圧の制御値である放
電周期・放電エネルギ・目標極間電圧、ワイヤ駆動モー
タ21及びブレーキモータ22の制御値であるワイヤ電
極送り速度とワイヤ張力などがある。また、加工テーブ
ル送り速度は、極間電圧が目標極間電圧になるように自
動的に制御される。すなわちS制御(極間電圧一定制
御)機能がオンであるため極間電圧が目標極間電圧にな
るようにX軸サーボモータ3及びY軸サーボモータ4の
制御値が決定される。このように決定された加工テーブ
ル送り速度を、図3に加工テーブル送り速度として、図
4に加工速度平均として図示している。
【0025】通常加工1は、加工をできるだけ速く行う
ための加工時間優先の加工条件であり、放電エネルギを
大きくし、目標極間電圧を低く設定することにより、結
果的に加工テーブル送り速度が最も速くなる条件であ
る。また放電エネルギを大きく設定することで、ワイヤ
の損傷が激しくなりワイヤが断線する可能性が高くなる
ためワイヤ電極送り速度を速く設定している。このよう
に速さを優先して加工を行うため面粗さは最も荒くなっ
てしまう。一方、通常加工3は、面粗さ優先の加工条件
であり、放電エネルギを小さくし、目標極間電圧を高く
設定することにより、結果的にテーブル送り速度が遅く
なる条件である。したがってワイヤ送り速度は遅く設定
することができ、断線しにくい。また通常加工2は通常
加工1と3の中間の加工条件であり、図4に示すように
加工距離当たりのワイヤ消費量が最も少ない(341.
6m)、ワイヤ消費量優先の加工条件である。
【0026】こうしたそれぞれの通常加工条件につい
て、加工速度平均値、100mm加工を行った際の加工
時間、ワイヤ送り速度、ワイヤ消費量をまとめると図4
のようになる。そして、加工速度とワイヤ消費量との関
係をそれぞれの加工条件毎にグラフにプロットすると図
5の○印で示すようになる。すなわち、ワイヤ消費量と
いう観点から見ると、通常加工1は加工速度は速い(加
工時間が短い)がワイヤ消費量が多い。一方、通常加工
2は、加工速度は遅い(加工時間が長い)がワイヤ消費
量が少ない。そして、通常加工3は加工速度は遅く(加
工時間が長い)、ワイヤ消費量も多いが、断線しにく
い。作業者は、加工開始前にこうした加工条件の中から
適した加工条件を選択入力したり、NC加工プログラム
内に加工条件設定命令を組み込む。
【0027】一般的には、できるだけ加工時間を短くす
るため、通常加工1が加工条件として選ばれる場合が多
い。このような場合には、加工の途中でワイヤが不足す
る可能性が他の加工条件を選択した場合よりも高くな
る。そこでワイヤボビン12に巻かれたワイヤ電極11
の残量が、NC加工プログラムの終了までのワイヤ消費
予定量より少なくなった時点で、NC加工プログラムの
終了時にちょうどワイヤが消費し尽くされることを目標
として、制御パラメータを変更する処理を行う。このよ
うにワイヤを加工完了とともに使いきるワイヤ使い切り
モードにおける制御パラメータの管理処理を図6を参照
して説明する。
【0028】図6は、ワイヤ放電加工機のCPU31の
加工制御とともにマルチタスクで並行して実行される制
御パラメータの管理処理を示すフローチャートである。
図6のS110では、ワイヤボビン12に巻かれた現在
のワイヤ残量を算出する。ここでワイヤボビン12のワ
イヤ電極11の残量は、種々の方法で求めることができ
る。例えば、ワイヤボビン12の重さから求めたり、次
のように求めたりすることができる。図7はワイヤボビ
ン12を示す断面図である。ここで、D Oはボビンの軸
径,Bはワイヤの巻幅,Dはワイヤ電極11の巻径であ
る。図1のテンションローラ13の直径をDRとし、テ
ンションローラ13の回転速度がNR、ワイヤボビン1
2の回転速度がNBであったとすると、ワイヤ電極11
の供給走行速度fは次式で与えられる。
【0029】f=πDNB=πDRR …(1) 従って、ワイヤボビン12での巻径Dは次式で算出され
る。 D=DR・NR/NB …(2) 巻径Dが与えられた場合、ワイヤボビン12に巻回され
ているワイヤ電極11の長さlは次式で与えられる。
【0030】l=η×(D2−DO 2)B/d2 …(3) ここで、dはワイヤ電極の直径,ηはワイヤ電極11の
巻子率(巻回密度)である。ηはワイヤ電極11の種類
に対応した一定値を示し、通常は0.4〜0.7の一定
値である。上式に(2)式を代入することにより、ワイ
ヤ電極の長さ残量lは次式で算出される。
【0031】 l=η{(DR・NR/NB2−DO 2}B/d2 …(4) 従って、ワイヤボビン12の形状に依存するパラメータ
である巻幅B,軸径D O,及びワイヤ電極11の種類に
依存するパラメータである線径d,巻子率ηを予め記憶
しておくことにより、各エンコーダ23,24から検出
されるテンションローラ13の回転速度NRとワイヤボ
ビン12の回転速度NBとから、CPU31によって、
現在のワイヤ電極11の長さ残量lを(4)式により算
出することができる。
【0032】続くS120では、RAM33に記憶され
たNC加工プログラムのうち、現在処理中(加工中)の
行から処理が完了(終了)する行までのNC加工プログ
ラムの命令群に従った加工を行うのに必要なワイヤ消費
予定量を求める。この時、プログラム中に制御パラメー
タの設定命令がある場合には、その命令で設定される制
御パラメータに基づいてワイヤ消費予定量を求める。
【0033】そして続くS130では、S110で求め
たワイヤ残量とS120で求めたワイヤ消費予定量とを
比較し、ワイヤ残量がワイヤ消費予定量より少ない場合
(S130:YES)、すなわちワイヤ電極11が加工
完了までに消費し尽くされてしまうことが予測される場
合にはS140へ移行する。一方、ワイヤ残量がワイヤ
消費予定量より多い場合には(S130:NO)、制御
パラメータを変更せずにS110へ戻る。
【0034】S140では、加工完了時にワイヤを使い
切るように制御パラメータの値を求め、S150でS1
40で求めた制御パラメータに変更する。例えば図5に
示す通常加工1の加工条件で加工を行っている際に、ワ
イヤ残量がワイヤ消費予定量より少なくなった場合に
は、残りのNC加工プログラムによる加工距離と現在の
ワイヤ残量とから制御パラメータであるワイヤ送り速度
を遅く設定しなおす。例えば、NC加工プログラムから
求められた残りの加工距離が図4と同様に100mm
で、ワイヤ残量が350mであれば、通常加工1と通常
加工2の略中間値である加工速度平均3.12mm/m
in、ワイヤ送り速度182mm/sとなるように放電
エネルギを調整する。このようにすればワイヤ消費量は
350mとなり、加工終了と同時にワイヤ電極11を使
い切ることができる。なお、実際には誤差が生じる場合
があるので、少し余裕をみて例えばワイヤ送り速度を1
80mm/s程度になるように放電エネルギを調整して
もよい。この余裕としてみるべきワイヤ電極11の長さ
は、例えば図7のワイヤボビン12における1層分に相
当する量とすればよい。
【0035】S150の制御パラメータの変更後は、S
110へ戻る。このようにして再びワイヤ残量がワイヤ
消費予定量より少なくなった場合には、ワイヤ送り速度
等の制御パラメータを再調整する。このような処理によ
りワイヤボビン12のワイヤ電極11の残量が、NC加
工プログラムの終了までのワイヤ消費予定量より少なく
なった時点で、通常加工1と通常加工2の中間の加工条
件に自動的に変更し、NC加工プログラムの終了までワ
イヤが不足しないように制御することができる。
【0036】なお、本実施例では、制御パラメータはR
OM等に記憶された加工条件毎に記憶された値を用いる
こととしたが、所定の計算式で算出するようにしても構
わない。また、図3に示した通常加工1〜3をさらに細
分化して多数の加工条件を記憶しておき、それらのいず
れかを適切なタイミングで選択することで、ワイヤ消費
量を調整するようにしてもよい。
【0037】ただし、加工条件が加工の途中で変更され
ると、高精度の加工を行いたい場合には問題が生じる場
合がある。したがって、図6のS150の制御パラメー
タの変更を行うか否かをキーボード34から予め入力し
て設定できるようにするとよい(自動変更有効無効設定
手段に相当する)。なお、制御パラメータの変更を行わ
ない(禁止する)ように設定されている場合には、図6
のS150ではS140で算出した制御パラメータをC
RT35に表示したり、CRT35にワイヤ不足の発生
する旨のワーニングと加工条件を変更することによりワ
イヤを使い切って加工を行うことができる旨を表示す
る。
【0038】なお本実施例においては、テーブル2が移
動して加工する構成としたが、テーブル2が固定で上下
ワイヤガイド16,17等が移動して加工する構成でも
よい。本実施例において、S110がワイヤ残量算出手
段としての処理に相当し、S120がワイヤ消費量予測
手段としての処理に相当する。また、S130〜S15
0が制御パラメータ変更手段としての処理に相当し、R
OM32及びRAM33が記憶手段に相当する。 [第2実施例]第1実施例では加工終了までのワイヤ消
費予定量を算出することとしたが、例えば、NC加工プ
ログラム内で加工を停止する命令が含まれる場合など、
加工を中断して結線しても問題ない中断点がある場合に
は、その中断点までのワイヤ消費予定量を算出してもよ
い。この場合、第1実施例と同様の構成で次のように処
理を行えばよい。
【0039】図8に示すように、例えば中断点1まで条
件A(例えば第1実施例における通常加工1の加工条
件)でワイヤが足りるならば、そのまま加工する。中断
点1に到達したら、そのままの加工条件でワイヤが中断
点2まで足りるかどうかを判断する。足りない場合(図
8(a)参照)には、所定の優先順位から選択した条件
B(例えば第1実施例における通常加工2の加工条件)
で中断点2までの加工ができるかどうか判断する。条件
Bでも中断点2までにワイヤが足りなくなるのであれ
ば、中断点1でワイヤの加工を中断してワイヤボビンの
交換を促す。
【0040】一方、条件Bなら中断点2を通過できる場
合には(図8(b)参照)、次の計算を行う。中断点1
から中断点2までの加工距離をL2、条件Aでの加工距
離をLa、条件Bでの加工距離をLbとすると、 L2=La+Lb …(5) ワイヤ残量をl、条件Aでのワイヤ消費予定量をla、
条件Bでのワイヤ消費予定量をlb、各条件での加工平
均速度から算出した定数をA及びBとすると、 l=la+lb=ALa+BLb …(6) なお、(6)式の定数A,Bは次のように求める。例え
ば、第1実施例における通常加工1の加工条件から定数
Aを求めると、図4より加工速度平均をF、ワイヤ送り
速度をfとして、 F=3.42[mm/min] f=205[mm/s] =12.3[m/min] A=f/F=3.59 となる。これは、1mm加工するのに3.59mのワイ
ヤが消費されることを意味する。定数Bについても同様
にして例えば第1実施例における通常加工2の加工条件
などから求めることができる。
【0041】上記(5)式、(6)式よりLa,Lbを
求め、Laが0になるまで、条件Aでの加工を続行す
る。その後条件Bに自動変更し、丁度中断点2でワイヤ
を使い切るようにする。このようにして図8(c)に示
すように加工条件と途中変更するパターン1の処理を行
うことができる。
【0042】また、パターン1と同様に条件Bでなら中
断点を通過できる場合(図8(b)参照)、中断点1の
時点で条件Aと条件Bの中間の条件Cを算出して、丁度
中断点2でワイヤを使い切るようにしてもよい(図8
(d)に示すパターン2)。例えば、図9に示すよう
に、工作物1のポイントX1から加工を開始し、正方形
に切り出す加工を場所を変えて連続して3回行うNC加
工プログラムの場合には、ポイントX2,X3でそれぞ
れ結線しなおす必要がある。このような場合、例えば、
ポイントX1から条件Aの制御パラメータで加工を開始
した場合に、そのまま条件Aで加工を行うとポイントa
でワイヤがなくなること判明した場合には、ポイントX
3を中断点2としてワイヤを使い切るように制御パラメ
ータを変更する。そして、ポイントX3の手前まで加工
を行った際に、加工を停止してワイヤボビン12の交換
を促すメッセージをCRT35に表示する。このように
すれば、ワイヤを無駄にすることなく加工を行うことが
でき、加工時間とワイヤ消費量のバランスのよい加工を
行うことができる。
【0043】なお、本実施例の処理をベースとして、第
1実施例の加工完了点でワイヤを使い切る機能を実現し
てもよい。すなわち、本実施例における中断点1を開始
点とし、中断点2を加工完了点とすることで、第1実施
例のように加工完了時にちょうどワイヤを使い切るよう
にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のワイヤ放電加工機の構成を示すブロッ
ク図である。
【図2】実施例のワイヤ放電加工機の制御装置の構成を
示すブロック図である。
【図3】加工条件と制御パラメータの関係を示すテーブ
ルの一例の説明図である。
【図4】図3のテーブルでの各々の通常加工の場合の加
工速度・加工時間・ワイヤ送り速度・ワイヤ消費量を示
す説明図である。
【図5】図4の各々の通常加工の場合の加工速度とワイ
ヤ消費量の関係を示す説明図である。
【図6】制御パラメータの管理処理を示すフローチャー
トである。
【図7】ワイヤボビンの説明図である。
【図8】第2実施例の処理を示す説明図である。
【図9】中断点の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1…工作物 2…テーブル 3…X軸サーボモータ 4…Y軸サーボモータ 5…加工間隙 8…ノズル 10…給電子 11…ワイヤ電極 12…ワイヤボビン 13…テンションローラ 14…ピンチローラ 15…上案内ローラ 16,17…ワイヤガイド 18…下案内ローラ 19…ワイヤ駆動ローラ 20…ピンチローラ 21…ワイヤ駆動モータ 22…ブレーキモータ 23,24…エンコーダ 30…制御装置 31…CPU 32…ROM 33…RAM 34…キーボード 35…CRTディスプレイ 36…カウンタ

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加工プログラムに基づき、張架されたワイ
    ヤ電極を走行させながら工作物との間にパルス電圧を印
    加し放電加工を行うワイヤ放電加工機において、 ワイヤ残量を算出するワイヤ残量算出手段と、 前記加工プログラムと現在の制御パラメータに基づき加
    工を行った場合の、加工工程内の所定のポイントまでの
    ワイヤ消費量を予測するワイヤ消費量予測手段と、 前記ワイヤ残量算出手段によって算出されたワイヤ残量
    と、前記ワイヤ消費量予測手段によって予測されたワイ
    ヤ消費量とを比較し、前記ワイヤ残量が前記ワイヤ消費
    量より少ない場合には、前記所定のポイントへ加工が達
    した際にワイヤが無くならないような別の制御パラメー
    タに変更する制御パラメータ変更手段を備えることを特
    徴とするワイヤ放電加工機。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のワイヤ放電加工機におい
    て、 前記制御パラメータ変更手段は、前記ワイヤが無くなら
    ないような別の制御パラメータとして、前記加工が所定
    のポイントに達した際に丁度前記ワイヤが消費され尽く
    される制御パラメータ、あるいは、前記ワイヤが所定量
    余る程度の制御パラメータを用いることを特徴とするワ
    イヤ放電加工機。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載のワイヤ放電加工
    機において、 前記所定のポイントは、加工の終了点または中断点であ
    ることを特徴とするワイヤ放電加工機。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載のワイヤ放
    電加工機において、 前記所定のポイントは、前記加工プログラムから求める
    ことを特徴とするワイヤ放電加工機。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載のワイヤ放
    電加工機において、 前記制御パラメータ変更手段は、前記所定のポイントま
    で加工をした際にワイヤボビンの交換を促す報知を行う
    ことを特徴とするワイヤ放電加工機。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載のワイヤ放
    電加工機において、 前記制御パラメータは、加工条件毎に記憶手段に記憶さ
    れており、前記ワイヤ消費量の少ない別の制御パラメー
    タは、現在の加工条件とは別の前記記憶手段に記憶され
    た加工条件用の制御パラメータの値、あるいは、前記記
    憶手段に記憶された複数の加工条件用の制御パラメータ
    を補間して求めた値とすることを特徴とするワイヤ放電
    加工機。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載のワイヤ放
    電加工機において、 前記制御パラメータ変更手段は、前記加工が前記所定の
    ポイントへ達した際にワイヤが無くならないようにする
    ために、前記別の制御パラメータによるワイヤ消費量を
    予測し、前記ワイヤ残量が予測したワイヤ消費量に一致
    した時点で当該別の制御パラメータに変更することを特
    徴とするワイヤ放電加工機。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載のワイヤ放
    電加工機において、 前記制御パラメータ変更手段は、前記加工が前記所定の
    ポイントへ達した際にワイヤが無くならないようにする
    ために、前記別の制御パラメータによるワイヤ消費量が
    ワイヤ残量と一致するような制御パラメータを算出し
    て、その算出した制御パラメータに変更することを特徴
    とするワイヤ放電加工機。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載のワイヤ放
    電加工機において、 前記制御パラメータ変更手段は、前記別の制御パラメー
    タとして複数の候補がある場合には、所定の優先条件を
    加味した制御パラメータを採用することを特徴とするワ
    イヤ放電加工機。
  10. 【請求項10】請求項9に記載のワイヤ放電加工機にお
    いて、 前記所定の優先条件は、加工時間、あるいは、前記ワイ
    ヤ電極が断線しないことであることを特徴とするワイヤ
    放電加工機。
  11. 【請求項11】請求項1〜10のいずれかに記載のワイ
    ヤ放電加工機において、 前記制御パラメータには、ワイヤ電極を走行させる速度
    であるワイヤ送り速度と、前記ワイヤ電極に対して前記
    工作物を相対的に移動させるためのテーブルの移動速度
    であるテーブル移動速度を含むことを特徴とするワイヤ
    放電加工機。
  12. 【請求項12】請求項1〜11のいずれかに記載のワイ
    ヤ放電加工機において、 前記制御パラメータ変更手段による加工中に制御パラメ
    ータの自動変更を行うか否かを設定する自動変更有効無
    効設定手段を備え、 前記制御パラメータ変更手段は、前記自動変更有効無効
    設定手段によって自動変更が無効に設定されている場合
    には制御パラメータの自動変更を行わないことを特徴と
    するワイヤ放電加工機。
  13. 【請求項13】請求項12に記載のワイヤ放電加工機に
    おいて、 前記制御パラメータ変更手段は、前記自動変更有効無効
    設定手段によって、自動変更を無効に設定された場合に
    も、前記ワイヤ残量が前記ワイヤ消費量より少ない場合
    には警告を報知することを特徴とするワイヤ放電加工
    機。
  14. 【請求項14】請求項1〜13のいずれかに記載のワイ
    ヤ放電加工機としての機能をコンピュータに実現させる
    ためのプログラム。
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