JP2003053481A - 精密鋳造用鋳型の製造方法および装置、並びに消失性模型 - Google Patents

精密鋳造用鋳型の製造方法および装置、並びに消失性模型

Info

Publication number
JP2003053481A
JP2003053481A JP2001251240A JP2001251240A JP2003053481A JP 2003053481 A JP2003053481 A JP 2003053481A JP 2001251240 A JP2001251240 A JP 2001251240A JP 2001251240 A JP2001251240 A JP 2001251240A JP 2003053481 A JP2003053481 A JP 2003053481A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
model
mold
mold structure
precision casting
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001251240A
Other languages
English (en)
Inventor
貞文 ▲吉▼野
Sadafumi Yoshino
Yukio Kajiura
幸生 梶浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2001251240A priority Critical patent/JP2003053481A/ja
Publication of JP2003053481A publication Critical patent/JP2003053481A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Molds, Cores, And Manufacturing Methods Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】簡単な工程および構成で、消失性模型を確実に
除去することができ、鋳造品の鋳肌面の荒れを可及的に
防止することを可能にする。 【解決手段】鋳型構造体16が配置され、消失性模型1
0を消失させる加熱室62を有する加熱炉64と、前記
加熱室62内で前記鋳型構造体16の内部に配置され、
前記消失性模型10を消失させる際に該鋳型構造体16
の内部を加熱することにより、前記鋳型構造体16の内
部に発生する分解ガスを強制的に外部に排出させる加圧
機構66とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消失性模型を使用
して精密鋳造用鋳型を製造するための精密鋳造用鋳型の
製造方法および装置、並びに消失性模型に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、形状の複雑な製品を精密鋳造
する精密鋳造法として、インベストメント鋳造法が知ら
れている。このインベストメント鋳造法は、ロストワッ
クス法としても知られており、可溶性ろう、または、ポ
リスチレン樹脂等を用いて模型を作製し、この模型の周
囲に耐火物の泥状混合物を浸漬し、耐火物をコーティン
グして乾燥処理する工程を数回から数十回繰り返すこと
により耐火物を積層させた後、該模型を溶融流出させ、
さらに焼成鋳型として注湯するものである。
【0003】ところで、最近、比較的簡単な操作により
短時間で複雑な形状の3次元立体モデルを造形すること
ができることから、3次元CADデータを用いた光造形
法が採用されている。この光造形法は、鋳造方案部を含
む製作模型の3次元CADデータをコンピュータに入力
し、所定のフォーマットに変換した後、任意の積層ピッ
チで輪切りにしたスライスデータに変換する。そして、
光硬化性樹脂に、例えば、紫外線レーザを輪切りにした
スライスデータに沿って照射し、第1層目を造形する。
次いで、第2層目から最後の層まで、順次、同様に紫外
線レーザの照射によって造形を行い、これによってスラ
イスした層が積層されて立体模型である消失性模型が造
形される。
【0004】この消失性模型の表面には、耐火物が被膜
されて鋳型構造体が得られる。さらに、鋳型構造体が消
失性模型を構成する樹脂の分解温度以上に加熱されるこ
とにより、前記消失性模型が燃焼除去されるとともに、
加熱処理によって精密鋳造用鋳型が製造される。
【0005】ところが、消失性模型の形状が複雑である
場合には、鋳型構造体の内部が、例えば、袋状態となっ
て通気性が極めて低くなるおそれがある。このため、鋳
型構造体を加熱して消失性模型を消失させる際に発生す
る分解ガスが、前記鋳型構造体の内部から排出されずに
滞留し易い。
【0006】従って、鋳型構造体の内部でガスが膨張し
て、この鋳型構造体に割れが発生するとともに、前記消
失性模型の燃焼が不十分となって、溶融した樹脂が鋳型
内面に密着して炭化物が生成されてしまう。これによ
り、精密鋳造用鋳型の内部表面に炭化物の付着によって
凹凸面が形成されてしまい、この精密鋳造用鋳型を用い
て鋳造作業を行うと、鋳造品の表面に凹凸形状が転写さ
れて前記鋳造品に鋳肌面の荒れ(以下、柚子肌ともい
う)が発生するという不具合が指摘されている。
【0007】さらに、精密鋳造用鋳型の内部に樹脂の残
渣が大量に残ってしまい、注湯時にこの残渣が鋳造品に
巻き込まれて鋳造欠陥が発生するというおそれがある。
【0008】そこで、例えば、特開2000−2547
59号公報に開示されているように、光硬化樹脂からな
り被鋳造物と略同一形状の消失性模型の表面に耐火物を
被覆して鋳型の前駆体を形成し、前記光硬化樹脂の分解
温度以上の温度で前記前駆体の内部に酸素含有気体を吹
き込んで前記消失性模型を燃焼除去する精密鋳造用鋳型
の製造方法が知られている。
【0009】具体的には、図13に示すように、模型1
の表面に所定の厚さの耐火物2を被覆した前駆体3が、
電気炉4内で横向き姿勢に配置されており、この前駆体
3の湯口3aに向かってノズル5の吐出口が対向してい
る。そこで、電気炉4内を所定の温度に保持した状態
で、前駆体3の湯口3aに向かってノズル5からエアが
吹き込まれ、模型1の消失処理が行われている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術では、ノズル5の先端が湯口3aの開口端から
外方に離間して配置されており、模型1の消失時に発生
する分解ガスが前駆体3の内部に滞留し易い。これによ
り、模型1が完全に消失することがなく、前駆体3の内
部に溶融した樹脂が溶着されてしまい、前記前駆体3を
焼成して得られる鋳型を用いて鋳造成形を行う際に、製
品の鋳肌面が荒れてしまうという問題が指摘されてい
る。
【0011】本発明はこの種の問題を解決するものであ
り、形状の複雑な消失性模型であっても、容易かつ確実
に消失させることができ、高品質な鋳造品を効率的に得
ることが可能な精密鋳造用鋳型の製造方法および装置を
提供することを目的とする。
【0012】また、本発明は、複雑な形状であっても、
簡単かつ確実に消失させることが可能な精密鋳造用鋳型
の消失性模型を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
精密鋳造用鋳型の製造方法では、湯口部に通じるランナ
部およびゲート部を含む鋳造方案部と製品部とを有する
とともに、一部に排気ベントが設けられた消失性模型を
得る工程と、前記消失性模型の表面に耐火物を被覆して
鋳型構造体を形成する工程と、前記鋳型構造体の内部に
加圧機構を配置する工程と、前記消失性模型を消失させ
ながら、前記加圧機構の作用下に前記鋳型構造体の内部
を加圧することにより、該鋳型構造体の内部に発生する
分解ガスを少なくとも前記排気ベントから強制的に外部
に排出させる工程と、前記鋳型構造体に加熱処理を施し
て精密鋳造用鋳型を製造する工程とを有することを特徴
とする。
【0014】このため、鋳型構造体の内部に配置された
加圧機構を介して前記鋳型構造体の内部が有効に加圧さ
れ、消失性模型の消失時に発生する分解ガスは、前記消
失性模型に設けられた排気ベントから強制的に外部に排
出される。これにより、鋳型構造体の内部圧力が高くな
ることを阻止して型割れを防止するとともに、消失性模
型の残渣の発生がなく、高品質な精密鋳造用鋳型を容易
かつ効率的に得ることが可能になる。
【0015】また、本発明の請求項2に係る精密鋳造用
鋳型の製造方法では、湯口部に通じるランナ部およびゲ
ート部を含む鋳造方案部と製品部とを有する消失性模型
を得る工程と、前記消失性模型の表面に耐火物を被覆し
て鋳型構造体を形成する工程と、前記鋳型構造体を、前
記湯口部が前記製品部よりも下方に位置するように配置
するとともに、該鋳型構造体の内部に加圧機構を配置す
る工程と、前記消失性模型を消失させながら、前記加圧
機構の作用下に前記鋳型構造体の内部を加圧することに
より、該鋳型構造体の内部に発生する分解ガスを強制的
に外部に排出させる工程と、前記鋳型構造体に加熱処理
を施して精密鋳造用鋳型を製造する工程とを有すること
を特徴とする。
【0016】このように、鋳型構造体が製品部を上方に
して配置された状態で、消失性模型の消失処理が施され
るため、溶融した前記消失性模型が前記製品部から鋳造
方案部に向かって流動し易くなる。これにより、消失性
模型の製品部を消失工程の初期の段階で確実に除去する
ことができ、この製品部に残渣が発生することを可及的
に阻止することが可能になる。特に、単純な階段状や円
弧状等の形状を有する製品部では、消失性模型の製品部
の除去が短時間で確実に遂行され、精密鋳造用鋳型の製
造工程全体の効率化が容易に図られる。
【0017】さらに、本発明の請求項3に係る精密鋳造
用鋳型の製造方法では、湯口部に通じるランナ部および
ゲート部を含む鋳造方案部と製品部とを有するととも
に、一部に排気ベントが設けられた消失性模型を得る工
程と、前記消失性模型の表面に耐火物を被覆して鋳型構
造体を形成する工程と、前記鋳型構造体を、前記湯口部
が前記製品部よりも下方に位置するように配置するとと
もに、該鋳型構造体の内部に加圧機構を配置する工程
と、前記消失性模型を消失させながら、前記加圧機構の
作用下に前記鋳型構造体の内部を加圧することにより、
該鋳型構造体の内部に発生する分解ガスを少なくとも前
記排気ベントから強制的に外部に排出させる工程と、前
記鋳型構造体に加熱処理を施して精密鋳造用鋳型を製造
する工程とを有することを特徴とする。
【0018】従って、加圧機構の作用下に鋳型構造体の
内部が加圧されて、分解ガスを排気ベントから強制的か
つ確実に外部に排出させるとともに、上方に配置されて
いる前記消失性模型の製品部から溶融した前記消失性模
型を早期に円滑に取り除くことができる。これにより、
特に、形状の複雑な製品部を有する消失性模型であって
も、前記消失性模型を容易かつ確実に消失させて残渣の
発生を阻止し、高品質な精密鋳造用鋳型を効率的に製造
することが可能になる。
【0019】さらにまた、本発明の請求項4に係る精密
鋳造用鋳型の製造方法では、排気ベントがランナ部から
製品部に至る間に設けられており、この排気ベントは、
消失性模型の消失時に発生する分解ガスの排出を行うと
ともに、精密鋳造用鋳型におけるガスや空気抜き用のベ
ントとして機能することができる。しかも、排気ベント
をランナ部上に設けることにより、溶湯の鋳込み時に前
記ベント部から溶湯が漏れることがない。
【0020】また、本発明の請求項5および請求項12
に係る精密鋳造用鋳型の製造方法および装置では、加圧
機構が鋳型構造体の内部に挿入されて加熱された媒体を
送り出す供給管を備えている。このため、鋳型構造体の
内部に加熱された媒体を確実に供給することができ、消
失性模型の燃焼が良好に遂行されて残渣の発生を阻止す
ることが可能になる。
【0021】さらに、請求項6および請求項13に係る
精密鋳造用鋳型の製造方法および装置では、供給管の周
囲に形成された複数の孔部から加熱された媒体を導出す
ることにより、この加熱された媒体をランナ部が延在す
る方向に沿って鋳型構造体の内部に供給している。
【0022】従って、鋳型構造体の内部に発生する分解
ガスを、この鋳型構造体の外部に円滑に排出することが
できるとともに、消失性模型の燃焼が一層確実に促進さ
れる。その際、孔部は、供給管の外周に対して等角度間
隔ずつ、かつ螺旋状に位置をずらして形成してもよく、
あるいは等角度間隔ずつ、かつ前記供給管の軸方向に複
数列に配列するとともに、各列の位相を同じに、あるい
はずらして設定してもよい。
【0023】さらにまた、本発明の請求項7および請求
項17に係る精密鋳造用鋳型の製造方法および消失性模
型では、供給管が挿入される消失性模型の内壁面に複数
のガス抜き用孔部が設けられており、前記供給管から導
出される加熱された媒体を鋳型構造体の内部に円滑に供
給することが可能になる。
【0024】また、本発明の請求項8および請求項14
に係る精密鋳造用鋳型の製造方法および装置では、湯口
部が消失性模型を覆う鋳型構造体と同一の熱膨張係数の
材料で構成されている。このため、鋳込み作業時に、溶
湯による加熱作用を介して湯口部が精密鋳造用鋳型から
分離することがなく、良好な鋳込み作業が遂行可能にな
る。
【0025】さらに、本発明の請求項9に係る精密鋳造
用鋳型の製造方法では、光硬化性樹脂を用いた光造形法
により、鋳造方案部と製品部と排気ベントとが一体化さ
れた消失性模型が得られる。従って、この消失性模型を
用いて精密鋳造用鋳型が効率的かつ円滑に製造される。
【0026】また、本発明の請求項10に係る精密鋳造
用鋳型の製造装置では、消失性模型の表面に耐火物を被
覆した鋳型構造体が配置され、前記消失性模型を消失さ
せるとともに、精密鋳造用鋳型を得るための加熱室と、
前記加熱室内で前記鋳型構造体の内部に配置され、前記
消失性模型が消失される際に該鋳型構造体の内部を加圧
することにより、前記鋳型構造体の内部に発生する分解
ガスを強制的に外部に排出させる加圧機構とを備えるこ
とを特徴とする。
【0027】これにより、簡単な構成で、鋳型構造体の
内部から消失性模型を確実に除去することができ、高品
質な精密鋳造用鋳型を効率的に製造することが可能にな
る。
【0028】さらにまた、本発明の請求項11に係る精
密鋳造用鋳型の製造装置では、加熱室内に鋳型構造体を
湯口部が製品部よりも下方に位置するように配置する倒
立配置部が設けられており、特に、前記製品部の形状が
複雑であっても、該製品部を確実かつ短時間に除去する
ことが可能になる。
【0029】また、本発明の請求項15に係る精密鋳造
用鋳型の消失性模型では、精密鋳造用鋳型を製造する際
に使用される消失性模型であって、光硬化性樹脂を用い
た光造形法により、湯口部に通じるランナ部およびゲー
ト部を含む鋳造方案部と製品部と排気ベントとが一体化
されることを特徴とする。
【0030】このように、鋳造方案部と製品部と排気ベ
ントとが一体化されることにより、消失性模型全体の強
度が有効に向上するとともに、例えば、前記鋳造方案部
をワックスで個別に作って組み合わせる構造に比べ、製
作工数が有効に削減される。しかも、設計変更に際して
も、ワックスを用いて鋳造方案部を作り替える場合に比
べ、より柔軟かつ容易に対応することが可能になる。
【0031】さらにまた、本発明の請求項16に係る精
密鋳造用鋳型の消失性模型では、前記消失性模型が中空
状のハニカム構造を有している。これにより、中実構造
に比べて消失性模型全体の樹脂量が大幅に削減され、前
記消失性模型の消失作業が容易かつ短時間で遂行される
とともに、所望の強度を有効に維持することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1の実施形態
に係る精密鋳造用鋳型の製造方法の基本工程説明図であ
る。
【0033】この基本工程を概略的に説明すると、ま
ず、光造形法によりエポキシ系樹脂等の光硬化性樹脂を
用いて、消失性模型10が作製される。次いで、消失性
模型10に湯口部12が取り付けられた後、前記消失性
模型10が、コロイダルシリカに粉末状アルミナ等の骨
材を混錬したスラリに浸漬(ディッピング)され、さら
に、アルミナ等の耐火物粒によるサンディングの後、乾
燥される。この工程を繰り返して、消失性模型10の周
囲に所定の厚さの耐火物14を被膜して鋳型構造体16
が得られる。
【0034】この鋳型構造体16は、湯口部12を下方
向に向けた状態で、加熱処理および内部の加圧処理が施
されることによって消失性模型10が消失され、精密鋳
造用鋳型18が製造される。この鋳型18内には、溶湯
19が鋳込まれて鋳造品が得られ、この鋳造品から不要
部分が切り落とされることによって製品20が製造され
る。
【0035】図1の(a)および図2に示すように、消
失性模型10は、湯口部12に通じるランナ部22およ
びゲート部24を含む鋳造方案部26と、製品20に対
応する製品部28とを一体的に有するとともに、一部
分、例えば、前記ランナ部22の外側端縁部には、複数
本の排気ベント30が一体的に設けられる。
【0036】図3に示すように、消失性模型10は、中
空状のハニカム構造32を有する。このハニカム構造3
2は、多層に構成されるとともに、各層には光造形法に
より、例えば、0.1mmの厚さ毎に造形処理を行って
合計20回積層された樹脂積層体34が、六角形の各辺
に空間部36と交互に配置される。1つのハニカム部の
上下には、空間部36に対応して樹脂積層体34が配置
されており、全体として多層構成のハニカム構造32が
構成されている。
【0037】消失性模型10の最外殻には、例えば、
0.4mm〜1.0mm程度の薄いスキン層38が造形
されている。図4に示すように、消失性模型10の中央
部に設けられているダウンポール部40の内周面側のス
キン層38には、複数個のガス抜き用孔部42が設けら
れている。孔部42は、例えば、直径が5mm〜10m
mの範囲内に設定されている。
【0038】消失性模型10のランナ部22の略中央部
には、湯口部12がワックス44を介して固定される。
湯口部12は円錐台形状を有しており、耐火物14と同
一の熱膨張係数を有する材料、例えば、アルミナ系材料
により構成されている。この湯口部12の小径側端部
が、ワックス44を介して消失性模型10に固定される
一方、前記湯口部12の大径側端部には、蓋体46を介
して固定機構48が取り付けられる。この固定機構48
は、消失性模型10を保持してこの消失性模型10にデ
ィッピング処理およびサンディング処理を施すために用
いられる。
【0039】固定機構48は、ねじシャフト50と、締
め付けナット58と、前記ねじシャフト50上に配した
他のナット(図示せず)とにより消失性模型10に固定
される。
【0040】図1の(d)に示すように、消失性模型1
0の湯口部12を下向きにして配置した状態で、この消
失性模型10を消失させるために製造装置60が用いら
れる。図5に示すように、製造装置60は、消失性模型
10の表面に耐火物14を被覆した鋳型構造体16が配
置され、前記消失性模型10を消失させるとともに、鋳
型18を得るための加熱室62を設ける加熱炉64と、
前記加熱室62内で前記鋳型構造体16の内部に配置さ
れ、前記消失性模型10が消失される際に、該鋳型構造
体16の内部を加圧することにより、前記鋳型構造体1
6の内部に発生する分解ガスを強制的に外部に排出させ
る加圧機構66とを備える。
【0041】加熱室62内には、加熱炉64の側壁68
に沿って複数のヒータ70が配置されるとともに、床面
72の下方に複数のヒータ74が配置される。床面72
上には、倒立配置部76が設けられており、この倒立配
置部76は、鋳型構造体16を保持し得るように3箇所
に配置される耐火煉瓦78を備えている。
【0042】加圧機構66は、鋳型構造体16の内部
に、すなわち、湯口部12からダウンポール部40内に
挿入され、加熱された媒体(例えば、酸素含有ガス)を
送り出す供給管80を備える。供給管80は、加熱炉6
4の側壁68に封止部82を介して封止される一方、鋳
型構造体16の内部に挿入される部分には、複数の孔部
84が形成される。
【0043】供給管80の先端には、蓋86が取り付け
られており、この蓋86から所定距離だけ下方向に離間
した位置には、例えば、3個の孔部84が等角度間隔
(120°間隔)ずつ離間しかつ螺旋状に配置される第
1孔部群88aが設けられる。この第1孔部群88aか
ら下方向に所定距離だけ離間した位置には、同様に3個
の孔部84が等角度間隔ずつ離間しかつ螺旋状に配置さ
れる第2孔部群88bが設けられる。第1および第2孔
部群88a、88bは、消失性模型10のランナ部22
が延在する方向に沿って、それぞれ前記消失性模型10
の形状に対応して所定の位置に設定される。
【0044】なお、第1および第2孔部群88a、88
bに代替して、図6に示すように、互いに120°間隔
ずつ離間する3つの孔部84を、供給管80の軸方向に
3列に、かつ同一位相で設けた孔部群90aや、図7に
示すように、互いに120°間隔ずつ離間する3つの孔
部84を、それぞれ前記供給管80の軸方向に3列にか
つ60°ずつ位相をずらして設けた孔部群90bを採用
してもよい。
【0045】このように構成される製造装置60の動作
について、第1の実施形態に係る精密鋳造用鋳型の製造
方法との関連で以下に説明する。
【0046】まず、光造形法により、エポキシ系樹脂等
の光硬化性樹脂を用いて消失性模型10が作製される。
この光造形法では、製品20、例えば、ガスタービンエ
ンジンのノズルに関する3次元CADデータを所定のフ
ォーマットに変換した後、任意の積層ピッチ(例えば、
0.1mm)で輪切りにしたスライスデータに変換す
る。次に、液状の光硬化性樹脂の槽の中にテーブルを置
き、積層ピッチの厚さ分に対応して前記テーブルを液状
の光硬化性樹脂中に沈め、紫外線レーザを輪切りにした
スライスデータに沿って照射する。
【0047】これにより、第1番目の層の造形が行わ
れ、さらにテーブルを積層ピッチ分だけ液状の光硬化性
樹脂中に沈めて、同様に第2番目の層を造形する。この
作業を最後の層まで繰り返し行うことによって、スライ
スした層を積層し、立体模型である消失性模型10が造
形される。
【0048】その際、消失性模型10の最外殻には、
0.4mm〜1.0mm程度の薄いスキン層38が造形
されている。
【0049】また、上記のように、積層造形法によって
消失性模型10が作製されるため、この消失性模型10
の曲面部分は階段状に積層されている。この消失性模型
10の外表面は、製品20の外表面を構成するものであ
り、階段状部分を研磨してモデル形状を仕上げる必要が
ある。一方、モデル形状によってはサポートが必要であ
り、積層後にサポートを除去して、モデル形状に研磨し
て仕上げる必要がある。
【0050】ここで、消失性模型10は半透明であるた
めに、目視によって表面状態を正確に把握することが困
難であるため、前記消失性模型10の表面にプライマ
(サーフェイサ)を塗布する。このプライマは、無機顔
料を含まないものが使用される。無機顔料は、鋳型18
の焼成時に無機質の膜を形成してしまい、前記鋳型18
内に残留して鋳造品(製品20)の異物混入による鋳造
不良が発生するおそれがあるからである。
【0051】そこで、消失性模型10の表面にプライマ
が塗布されることにより、この表面の色合いが鋳物に近
似するものとなって、該表面の凹凸状態が容易に可視化
される。次いで、消失性模型10の表面状態を手仕上げ
によって処理することにより、この表面状態をモデル形
状に沿って良好かつ容易に仕上げることができる。
【0052】消失性模型10の表面仕上げ処理が行われ
た後、この消失性模型10には、湯口部12がワックス
44を介して固定される。さらに、図4に示すように、
固定機構48を構成するねじシャフト50が湯口部12
から消失性模型10内に挿入され、前記ねじシャフト5
0と、締め付けナット58と、該ねじシャフト50上に
配した他のナット(図示せず)とにより消失性模型10
に固定される。
【0053】固定機構48に保持された消失性模型10
は、コロイダルシリカ等のバインダに、例えば、粉末状
アルミナ等の骨材を混ぜたスラリに浸漬(ディッピン
グ)され、このスラリを付着させて表面が乾く前にアル
ミナ等の耐火物粒をまぶして(サンディング)、乾燥さ
せる。この場合、初層でコーティングする耐火物粒は、
消失性模型10の表面状態を鋳肌に忠実に転写させるた
めに微細な粒度のものを使用し、中間層からバックアッ
プ層でコーティングする耐火物粒は、鋳型強度を上げる
ために徐々に粒度の大きなものを使用する。
【0054】そして、上記の処理を所定の回数だけ繰り
返すことにより、消失性模型10の表面には、所定の厚
さの耐火物14がコーティングされ、鋳型構造体16が
得られる。この鋳型構造体16が得られた後、固定機構
48を構成するねじシャフト50がナット52から離脱
され、前記固定機構48および蓋体46が前記鋳型構造
体16から取り外される。
【0055】鋳型構造体16は、製造装置60を構成す
る加熱炉64内の倒立配置部76に配置される。その
際、鋳型構造体16は、湯口部12を製品部28よりも
下方に位置するように、倒立配置部76を構成する3つ
の耐火煉瓦78上に載置される。ここで、加圧機構66
を構成する供給管80は、鋳型構造体16に囲繞されて
いる消失性模型10のダウンポール部40内に挿入さ
れ、製品部28側まで延在している。
【0056】次に、加熱炉64に配置されている複数の
ヒータ70、74がONされて加熱室62内が昇温され
るとともに、消失性模型10の加圧機構66を構成する
供給管80には、加熱されたエア(媒体)が供給され
る。加熱炉64による加熱条件は、400℃まで昇温さ
せた後、この400℃の温度で一定時間保持するように
設定されており、これによって消失性模型10の消失処
理が行われる。消失性模型10を構成する樹脂(エポキ
シ系樹脂)は、260℃付近から分解が始まり、その重
量減少が500℃で完全になくなる。従って、加熱室6
2内を400℃の温度に保持することにより、エポキシ
系樹脂が完全に分解して除去されることになる。
【0057】一方、供給管80には、所定圧の加熱され
たエアが供給されており、このエアが複数の孔部84か
ら鋳型構造体16の内部に導出されている。エアの供給
圧力は、消失性模型10を破壊することがないように、
例えば、9.8×104Pa〜19.6×104Paの範
囲内に設定される。
【0058】このため、図8に示すように、鋳型構造体
16内で消失性模型10が消失するとともに、この消失
性模型10の消失時に発生する分解ガスが、加圧機構6
6を構成する供給管80の周面から噴射される加熱され
たエアによって加圧される。これにより、分解ガスは、
排気ベント30に対応して形成されたベント孔92およ
び湯口部12から前記鋳型構造体16の外部に強制的に
排出される。しかも、鋳型構造体16の内部に加熱され
たエアが円滑に供給されるため、消失性模型10を確実
に燃焼させて残渣の発生を有効に阻止することが可能に
なる。
【0059】特に、製品部28の形状が複雑であり、例
えば、鋳型構造体16の内部が袋状態となっていても、
この鋳型構造体16の内部に発生する分解ガスをベント
孔92等から円滑に排出することができる。これによ
り、分解ガスによる内圧で鋳型構造体16に割れが発生
したり、燃焼不良による残渣が発生したりすることを確
実に阻止することが可能になるという効果が得られる。
【0060】さらに、加熱室62では、鋳型構造体16
が湯口部12を下方にして配置されている。従って、消
失性模型10が溶融を開始する際に、製品部28で溶融
した樹脂が鋳造方案部26側に円滑に流動し、この製品
部28の内部に残渣が発生することを可及的に阻止する
ことができる。
【0061】上記のように、消失性模型10の消失処理
が終了した後、鋳型構造体16を焼き固める処理が施さ
れる。具体的には、加熱室62内を400℃から105
0℃に昇温させた後、1050℃で一定時間だけ保持す
る。これにより、鋳型構造体16が焼き固められて鋳型
18が製造される。
【0062】その際、鋳型構造体16内では、消失性模
型10が完全に燃焼除去されるとともに、分解ガスが強
制的に外部に排出されている。このため、鋳型18には
樹脂の残渣による不純物の溶着が惹起されることがな
く、この鋳型18を介して鋳造される製品20の外表面
には、柚子肌が発生することがなく、高品質な製品20
を効率的に得ることが可能になる。
【0063】この場合、第1の実施形態に係る製造装置
60では、鋳型構造体16が配置され、消失性模型10
を消失させるとともに、鋳型18を得るための加熱室6
2と、前記鋳型構造体16の内部に配置されて該鋳型構
造体16の内部を加圧することにより、該鋳型構造体1
6の内部に発生する分解ガスを強制的に外部に排出させ
る加圧機構66とを備えている。このため、簡単な構成
で、鋳型構造体16の内部に発生する分解ガスを確実に
外部に排気することができ、しかも消失性模型10を完
全に燃焼させて残渣の発生を可及的に阻止することが可
能になる。
【0064】ここで、加圧機構66を構成する供給管8
0の周面には、複数の孔部84が形成されている。この
孔部84は、所望の数および配置状態に設定された第1
および第2孔部群88a、88bや孔部群90a、90
bを構成することにより、鋳型構造体16の内部の分解
ガスをベント孔92を通して円滑に排気することができ
るとともに、燃焼不足を解消して消失性模型10の消失
効率を向上させることが可能になるという効果がある。
【0065】また、第1の実施形態に係る消失性模型1
0では、湯口部12に通じるランナ部22およびゲート
部24を含む鋳造方案部26と製品部28と排気ベント
30とが一体的に構成されている。これにより、消失性
模型10全体としての強度が有効に向上するとともに、
例えば、鋳造方案部26をワックス等で構成して組み付
ける従来方式に比べ、製造工程数が有効に削減される。
【0066】しかも、製品部28の設計変更に応じて鋳
造方案部26も一体的に作製することができるため、こ
の鋳造方案部26をワックスで構成し設計変更毎にワッ
クスによる前記鋳造方案部26の作製を行うものに比
べ、柔軟に対応することが可能になる。
【0067】さらに、消失性模型10は、中空状のハニ
カム構造32を有している。このため、樹脂量が大幅に
削減されて消失性模型10全体の軽量化を図るととも
に、消失時間を大幅に短くすることが可能になる。
【0068】さらにまた、ハニカム構造32では、六角
形状のハニカムの3辺が樹脂積層体34により、残りの
3辺が空間部36により構成されているため、消失性模
型10を消失させる際に発生する分解ガスが、前記空間
部36を介して円滑かつ確実に外部に排出される。これ
により、消失性模型10は、短時間でかつ確実に燃焼消
失するとともに、分解ガスの排出性が大幅に向上すると
いう利点が得られる。
【0069】図9は、本発明の第2の実施形態に係る製
造装置100の概略構成説明図である。なお、第1の実
施形態に係る製造装置60と同一の構成要素には同一の
参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、
以下に説明する第3および第4の実施形態においても、
同様である。
【0070】製造装置100は、加熱室62を形成する
加熱炉102を備え、この加熱炉102に加熱部104
が併設される。この加熱部104は、ヒータ106とフ
ァン108とを内装しており、加熱炉102に形成され
た窓部110を介して加熱室62に連通している。
【0071】このように構成される製造装置100で
は、加熱部104内でヒータ106がONされるととも
に、ファン108が駆動されることにより、前記加熱部
104内で加熱された空気が窓部110を介して加熱室
62内に導入される。このため、加熱室62に配置され
ている鋳型構造体16では、消失性模型10が加熱され
て燃焼した後、前記加熱室62内が昇温されて鋳型18
が製造される。
【0072】これにより、第2の実施形態に係る製造装
置100では、簡単な構成で、消失性模型10の消失処
理が円滑かつ確実に遂行される等、第1の実施形態に係
る製造装置60と同様の効果が得られる。
【0073】図10は、本発明の第3の実施形態に係る
製造装置120の概略構成説明図である。
【0074】この製造装置120では、鋳型構造体16
内の消失性模型10を消失させる際に、この消失性模型
10を、湯口部12が製品部28よりも上方に位置する
ように配置している。製造装置120を構成する加圧機
構122は、供給管124を備えており、前記供給管1
24は、加熱炉64の側壁68の上部側に封止されると
ともに、加熱室62内で鉛直下方向に延在して配置され
ている。
【0075】このように構成される製造装置120で
は、鋳型構造体16が湯口部12を上方にして加熱室6
2に配置されるとともに、加圧機構122を構成する供
給管124が、前記加熱室62内で上方から前記湯口部
12を介して前記鋳型構造体16内に挿入される。
【0076】次いで、ヒータ70、74が駆動されて加
熱室62内が所望の昇温速度で所望の温度まで加熱され
るとともに、供給管124から鋳型構造体16の内部に
加熱されたエア(媒体)が供給される。これにより、鋳
型構造体16の内部で消失性模型10が燃焼するととも
に、この燃焼によって発生する分解ガスが、供給管12
4から送出される加熱されたエアの圧力を介して排気ベ
ント30に対応して形成されるべント孔92および湯口
部12から加熱室62内に排出される。
【0077】従って、第3の実施形態では、消失性模型
10を完全に消失除去するとともに、分解ガスの滞留が
なく、割れや残渣のない高品質な鋳型18を効率的に製
造することができる等、第1および第2の実施形態と同
様の効果が得られる。特に、第3の実施形態は、湯口部
12が製品部28よりも上方に位置するように配置され
た際、前記湯口部12と対向する位置にあるランナ部2
2が前記製品部28よりも下方に向かって配置される構
造であるときに有効である。溶融した消失性模型10が
重力によって製品部28からランナ部22に流動し易く
なるからである。
【0078】図11は、本発明の第4の実施形態に係る
精密鋳造用鋳型の製造方法の基本工程の説明図である。
【0079】この第4の実施形態では、例えば、光造形
法より光硬化性樹脂を介して消失性模型140が作成さ
れる。この消失性模型140は、ランナ部22およびゲ
ート部24を含む鋳造方案部26と製品部28とを一体
的に備えており、排気ベント30を有していない。
【0080】そこで、消失性模型140は、外表面に耐
火物142が被覆されて鋳型構造体144が得られた
後、この鋳型構造体144が製造装置60を構成する加
熱炉64内に配置される。この加熱炉64では、第1の
実施形態と同様に、鋳型構造体144が湯口部12を下
方にして配置される。
【0081】従って、鋳型構造体144内で消失性模型
140が燃焼消失するとともに、この燃焼時に発生する
分解ガスが、湯口部12から強制的に外気に排出され
る。これにより、割れや残渣のない高品質な鋳型146
を効率的に製造することができる等の効果が得られる。
【0082】ところで、第1乃至第4の実施形態では、
製品20としてノズルを鋳造するための鋳型用消失性模
型10、140を用いて説明したが、例えば、図12に
示すように、翼一体ディスク(ロータ)を鋳造するため
の消失性模型160を用いることができる。この消失性
模型160は、光造形法によりエポキシ系樹脂等の光硬
化性樹脂を用いて作製されるものであり、前記消失性模
型160を用いて上記の第1乃至第4の実施形態と同様
の製造方法を行うことによって、所望の鋳型を高精度か
つ効率的に製造することが可能になる。
【0083】そこで、ノズルと翼一体ディスク(ロー
タ)とを鋳物製品の対象として、加圧機構66の有無、
排気ベント30の有無、および湯口部12を上方に向け
るか下方に向けるかという消失姿勢をそれぞれ設定し、
残渣量および柚子肌の有無を検出する実験を行った。そ
の結果が、表1に示されている。
【0084】
【表1】
【0085】なお、表1中、残渣の欄では、残渣が規定
量以下となった場合を「○」、規定量以下ではないが問
題とならない程度である場合を「△」、規定量以上であ
る場合を「×」で表し、柚子肌の欄では、柚子肌のない
場合を「○」、多少あるが問題とならない程度である場
合を「△」、柚子肌があって品質低下となる場合を
「×」で表している。
【0086】この実験では、実施例1〜3および比較例
1〜4において、それぞれロータおよびノズルに対応す
る消失性模型を光造形法により作製し、この消失性模型
にディッピングとサンディングとを繰り返して鋳型構造
体を得た後、前記鋳型構造体を常温の加熱炉内に配置し
て前記加熱炉内を昇温させた。
【0087】次いで、消失性模型が消失された鋳型の内
部を水洗いしてその水を回収し、ろ過することにより残
渣量を全数測定した。さらに、この鋳型を用いてニッケ
ル系合金で鋳造を行い、得られた鋳造製品の表面に柚子
肌が存在するか否かの確認を行った。
【0088】この結果、加圧機構66を設けない場合に
は(比較例2、3および4)残渣が発生して鋳肌面の荒
れ(柚子肌)が顕著となるとともに、この加圧機構66
を設けた場合であっても、排気ベント30を有すること
なく、湯口部12を上方に配置したものでは(比較例
1)、柚子肌の発生が懸念されてしまう。
【0089】これに対して、加圧機構66を設けること
を前提とし、排気ベント30と湯口部12を下向きにす
る消失姿勢(倒立姿勢)との少なくとも一方を選択する
ことにより(実施例1、2または3)、残渣の発生が有効
に軽減されて柚子肌のない高品質な鋳肌面を得ることが
可能となった。
【0090】また、排気ベント30を用いない場合に
は、鋳物製品としては比較的単純な形状のものが好適に
採用される。例えば、タービンブレード等が適応可能で
ある。
【0091】なお、第1乃至第4の実施形態では、鋳物
製品として翼一体ディスクとノズルとを用いて説明した
が、これに限定されるものではなく、種々の形状の異な
る鋳物製品に適応することができる。
【0092】
【発明の効果】本発明に係る精密鋳造用鋳型の製造方法
では、鋳型構造体の内部に配置された加圧機構の作用下
に、この鋳型構造体の内部を加圧することにより、消失
性模型が消失する際に発生する分解ガスを、少なくとも
排気ベントから強制的に外部に排出させることができ
る。このため、分解ガスの滞留による鋳型の割れを阻止
するとともに、消失性模型の燃焼不足による残渣の発生
を可及的に阻止し、鋳肌面の荒れを回避して高品質な精
密鋳造用鋳型を製造することが可能になる。
【0093】また、本発明では、鋳型構造体を湯口部が
製品部よりも下方に位置するように配置した状態で、前
記鋳型構造体の内部に配置された加圧機構の作用下に、
該鋳型構造体の内部が加圧される。これにより、鋳型構
造体の内部に発生する分解ガスを外部に強制的に排出さ
せるとともに、製品部で溶融する消失性模型が湯口部側
に円滑に流動し、この製品部に残渣が発生することを可
及的に阻止することが可能になる。
【0094】さらにまた、本発明では、鋳型構造体が湯
口部を下方にして配置され、この鋳型構造体の内部に配
置された加圧機構の作用下に、該鋳型構造体の内部に発
生する分解ガスを、少なくとも排気ベントから外部に強
制的に排出させる。従って、消失性模型を確実に燃焼除
去するとともに、鋳型内に残渣が発生することを阻止
し、高品質な精密鋳造用鋳型を効率的に製造することが
できる。
【0095】また、本発明に係る精密鋳造用鋳型の製造
装置では、鋳型構造体が配置される加熱室と、前記加熱
室内で前記鋳型構造体の内部に配置される加圧機構とを
備えており、簡単な構成で、消失性模型の消失処理が確
実かつ短時間に遂行される。
【0096】さらに、本発明に係る精密鋳造用鋳型の消
失性模型では、光硬化性樹脂を用いた光造形法により、
湯口部に通じるランナ部およびゲート部を含む鋳造方案
部と製品部と排気ベントとが一体的に構成される。これ
により、消失性模型全体の強度を有効に向上させるとと
もに、特に、前記製品部の設計変更に際しても柔軟かつ
容易に対応することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る精密鋳造用鋳型
の製造方法の基本工程の説明図である。
【図2】前記製造方法に用いられる消失性模型の概略斜
視説明図である。
【図3】前記消失性模型を構成するハニカム構造の斜視
図である。
【図4】前記消失性模型に固定機構が組み込まれた状態
の断面図である。
【図5】前記消失性模型を消失させるための製造装置の
概略構成説明図である。
【図6】前記製造装置を構成する加圧機構に用いられる
別の孔部群の説明図である。
【図7】さらに別の孔部群の説明図である。
【図8】前記消失性模型を消失させる際の動作説明図で
ある。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る製造装置の概略
構成説明図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る製造装置の概
略構成説明図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る製造方法の基
本工程の説明図である。
【図12】鋳造製品がロータである場合の消失性模型の
概略斜視説明図である。
【図13】従来技術に係る製造方法の説明図である。
【符号の説明】
10、140、160…消失性模型 12…湯口部 14、142…耐火物 16、144…鋳
型構造体 18、146…鋳型 20…製品 22…ランナ部 24…ゲート部 26…鋳造方案部 28…製品部 30…排気ベント 32…ハニカム構
造 34…樹脂積層体 36…空間部 38…スキン層 42…ガス抜き用
孔部 46…蓋体 48…固定機構 50…ねじシャフト 60、100、1
20…製造装置 62…加熱室 64、102…加
熱炉 66、122…加圧機構 80、124…供
給管 84…孔部 88a、88b、90a、90b…孔部群 104…加熱部

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】湯口部に通じるランナ部およびゲート部を
    含む鋳造方案部と製品部とを有するとともに、一部に排
    気ベントが設けられた消失性模型を得る工程と、 前記消失性模型の表面に耐火物を被覆して鋳型構造体を
    形成する工程と、 前記鋳型構造体の内部に加圧機構を配置する工程と、 前記消失性模型を消失させながら、前記加圧機構の作用
    下に前記鋳型構造体の内部を加圧することにより、該鋳
    型構造体の内部に発生する分解ガスを少なくとも前記排
    気ベントから強制的に外部に排出させる工程と、 前記鋳型構造体に加熱処理を施して精密鋳造用鋳型を製
    造する工程と、 を有することを特徴とする精密鋳造用鋳型の製造方法。
  2. 【請求項2】湯口部に通じるランナ部およびゲート部を
    含む鋳造方案部と製品部とを有する消失性模型を得る工
    程と、 前記消失性模型の表面に耐火物を被覆して鋳型構造体を
    形成する工程と、 前記鋳型構造体を、前記湯口部が前記製品部よりも下方
    に位置するように配置するとともに、該鋳型構造体の内
    部に加圧機構を配置する工程と、 前記消失性模型を消失させながら、前記加圧機構の作用
    下に前記鋳型構造体の内部を加圧することにより、該鋳
    型構造体の内部に発生する分解ガスを強制的に外部に排
    出させる工程と、 前記鋳型構造体に加熱処理を施して精密鋳造用鋳型を製
    造する工程と、を有することを特徴とする精密鋳造用鋳
    型の製造方法。
  3. 【請求項3】湯口部に通じるランナ部およびゲート部を
    含む鋳造方案部と製品部とを有するとともに、一部に排
    気ベントが設けられた消失性模型を得る工程と、 前記消失性模型の表面に耐火物を被覆して鋳型構造体を
    形成する工程と、 前記鋳型構造体を、前記湯口部が前記製品部よりも下方
    に位置するように配置するとともに、該鋳型構造体の内
    部に加圧機構を配置する工程と、 前記消失性模型を消失させながら、前記加圧機構の作用
    下に前記鋳型構造体の内部を加圧することにより、該鋳
    型構造体の内部に発生する分解ガスを少なくとも前記排
    気ベントから強制的に外部に排出させる工程と、 前記鋳型構造体に加熱処理を施して精密鋳造用鋳型を製
    造する工程と、 を有することを特徴とする精密鋳造用鋳型の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1または3記載の製造方法におい
    て、前記排気ベントは、前記鋳造方案部において前記ラ
    ンナ部から前記製品部に至る間に設けられることを特徴
    とする精密鋳造用鋳型の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製
    造方法において、前記加圧機構は、前記鋳型構造体の内
    部に挿入され、加熱された媒体を送り出す供給管を備え
    ることを特徴とする精密鋳造用鋳型の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項5記載の製造方法において、前記供
    給管の周面に形成された複数の孔部から前記加熱された
    媒体を導出することにより、該加熱された媒体を前記ラ
    ンナ部が延在する方向に沿って前記鋳型構造体の内部に
    供給することを特徴とする精密鋳造用鋳型の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項6記載の製造方法において、前記供
    給管が挿入される前記消失性模型の内壁面には、複数の
    ガス抜き用孔部が設けられることを特徴とする精密鋳造
    用鋳型の製造方法。
  8. 【請求項8】請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製
    造方法において、前記湯口部は、前記消失性模型を覆う
    前記鋳型構造体と同一の熱膨張係数の材料で構成される
    ことを特徴とする精密鋳造用鋳型の製造方法。
  9. 【請求項9】請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製
    造方法において、光硬化性樹脂を用いた光造形法によ
    り、前記鋳造方案部と前記製品部と前記排気ベントとが
    一体化された前記消失性模型を得ることを特徴とする精
    密鋳造用鋳型の製造方法。
  10. 【請求項10】消失性模型の表面に耐火物を被覆した鋳
    型構造体が配置され、前記消失性模型を消失させるとと
    もに、精密鋳造用鋳型を得るための加熱室と、 前記加熱室内で前記鋳型構造体の内部に配置され、前記
    消失性模型が消失される際に該鋳型構造体の内部を加圧
    することにより、前記鋳型構造体の内部に発生する分解
    ガスを強制的に外部に排出させる加圧機構と、 を備えることを特徴とする精密鋳造用鋳型の製造装置。
  11. 【請求項11】請求項10記載の製造装置において、前
    記消失性模型は、湯口部に通じるランナ部およびゲート
    部を含む鋳造方案部と製品部とを一体的に有するととも
    に、一部に排気ベントが設けられており、前記加熱室内
    には、前記鋳型構造体を、前記湯口部が前記製品部より
    も下方に位置するように配置する倒立配置部が設けられ
    ることを特徴とする精密鋳造用鋳型の製造装置。
  12. 【請求項12】請求項10記載の製造装置において、前
    記加圧機構は、前記鋳型構造体の内部に挿入され、加熱
    された媒体を送り出す供給管を備えることを特徴とする
    精密鋳造用鋳型の製造装置。
  13. 【請求項13】請求項12記載の製造装置において、前
    記加熱された媒体を前記消失性模型に設けられたランナ
    部が延在する方向に沿って前記鋳型構造体の内部に供給
    するために、前記供給管の周面に複数の孔部が形成され
    ることを特徴とする精密鋳造用鋳型の製造装置。
  14. 【請求項14】請求項11記載の製造装置において、前
    記湯口部は、前記消失性模型を覆う前記鋳型構造体と同
    一の熱膨張係数の材料で構成されることを特徴とする精
    密鋳造用鋳型の製造装置。
  15. 【請求項15】精密鋳造用鋳型を製造する際に使用され
    る消失性模型であって、 光硬化性樹脂を用いた光造形法により、湯口部に通じる
    ランナ部およびゲート部を含む鋳造方案部と製品部と排
    気ベントとが一体化されることを特徴とする精密鋳造用
    鋳型の消失性模型。
  16. 【請求項16】請求項15記載の消失性模型において、
    前記消失性模型は、中空状のハニカム構造を有すること
    を特徴とする精密鋳造用鋳型の消失性模型。
  17. 【請求項17】請求項15または16記載の消失性模型
    において、前記消失性模型の内壁面には、複数のガス抜
    き用孔部が設けられることを特徴とする精密鋳造用鋳型
    の消失性模型。
JP2001251240A 2001-08-22 2001-08-22 精密鋳造用鋳型の製造方法および装置、並びに消失性模型 Withdrawn JP2003053481A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001251240A JP2003053481A (ja) 2001-08-22 2001-08-22 精密鋳造用鋳型の製造方法および装置、並びに消失性模型

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001251240A JP2003053481A (ja) 2001-08-22 2001-08-22 精密鋳造用鋳型の製造方法および装置、並びに消失性模型

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003053481A true JP2003053481A (ja) 2003-02-26

Family

ID=19079919

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001251240A Withdrawn JP2003053481A (ja) 2001-08-22 2001-08-22 精密鋳造用鋳型の製造方法および装置、並びに消失性模型

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003053481A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2295808B1 (en) 2009-09-10 2016-06-08 Nijhuis Pompen BV Fish friendly pump or turbine apparatus
CN108655337A (zh) * 2018-05-15 2018-10-16 芜湖新兴新材料产业园有限公司 一种挡环泡塑模型及挡环消失模铸造工艺
WO2020166071A1 (ja) * 2019-02-15 2020-08-20 CSG Investments株式会社 鋳型製造方法及び鋳型製造方法に用いる鋳型構造体再加熱用呼吸炉

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2295808B1 (en) 2009-09-10 2016-06-08 Nijhuis Pompen BV Fish friendly pump or turbine apparatus
CN108655337A (zh) * 2018-05-15 2018-10-16 芜湖新兴新材料产业园有限公司 一种挡环泡塑模型及挡环消失模铸造工艺
CN108655337B (zh) * 2018-05-15 2023-11-07 芜湖新兴新材料产业园有限公司 一种挡环泡塑模型及挡环消失模铸造工艺
WO2020166071A1 (ja) * 2019-02-15 2020-08-20 CSG Investments株式会社 鋳型製造方法及び鋳型製造方法に用いる鋳型構造体再加熱用呼吸炉

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4456368B2 (ja) 鋳造構成要素を製造する方法及び装置
JP4759766B2 (ja) 穴を有する部品の製造方法
EP1813366B1 (en) Investment casting mold design and method for investment casting using the same
EP2359959B1 (en) Green ceramic casting mold system and refractory casting mold obtainable thereof
US6502801B2 (en) Apparatus and method for molding a core for use in casting hollow parts
EP1815923A1 (en) Metallic coated cores to facilitate thin wall casting
CN107199311A (zh) 一种结合面向涡轮叶片快速成型与熔模铸造的熔失熔模方法
JP2005297067A (ja) インベストメント鋳造鋳型形成方法、形成システム、およびインベストメント鋳造方法
EP0649691B1 (en) Method for fabrication of an investment pattern
CN106111943A (zh) 大型叶轮低压铸造方法及冷却控制工艺及排气系统
JP2008504129A (ja) 鋳造物からばりおよび閉塞片を除去するための方法および装置
JP2007098475A (ja) セラミック鋳造中子を製造する方法並びに関連する物品及びプロセス
CN101412076A (zh) 一种陶瓷壳消失模精密铸造工艺
JP2003053481A (ja) 精密鋳造用鋳型の製造方法および装置、並びに消失性模型
JP2003053479A (ja) 精密鋳造用鋳型の製造方法
JP2930354B2 (ja) 光硬化性樹脂原型を用いた鋳造法
JP3597514B2 (ja) 樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型の製造方法
CN113600745B (zh) 一种利用光固化快速成型消失模进行负压铸造铸件产品的方法
JPH0635047B2 (ja) 中子の除去方法
JP2005319474A (ja) 精密鋳造用プラスターモールドの乾燥・脱ロウ・焼成方法
CN117505779A (zh) 一种3d打印空心光敏树脂模熔模铸造用型壳的制作方法及其应用
CN115815574A (zh) 一种高温合金薄壁空心铸件的浇注方法
JPS6130257A (ja) インベストメント鋳造法における鋳型の脱型方法
JP2000301322A (ja) 鋳造方法
JP2002347126A (ja) 光造形方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071128

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20091218