JP3597514B2 - 樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型の製造方法 - Google Patents

樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複雑な形状を有する鋳物製品を成形する際にロストワックス法による精密鋳造法が広く用いられている。このロストワックス法精密鋳造法は、次のような工程からなるものである。
(1)成形したい鋳物形状に対応する空間を有するワックス(蝋)模型の作製型を製作する工程。(2)このワックス模型作製型で鋳物と同一形状を有するワックス模型を成形する工程。(3)このワックス模型の表面を溶湯温度に耐えて形状維持可能な鋳型材(耐火物)で被膜することによりワックス模型を内包する鋳型の前駆体を製造する工程。(4)この鋳型前駆体ごとワックスの融点以上の温度雰囲気下で加熱してワックス模型を熱溶融・流出させる(消失させる)ことで鋳型(シェル)を製造する工程。(5)この鋳型に溶湯を注入し、溶湯が冷却した後、鋳型を除去することで鋳物を成形する工程。
【0003】
さらに最近では、例えば特開平5−131245に記載されているように、少量の鋳物を成形する場合において、製作期間の短縮や製作精度の向上から、前記のワックス模型の代わりに樹脂材料からなる消失性模型を用いて精密鋳造する方法がある。
この樹脂材料からなる消失性模型を用いて精密鋳造する方法は、まず鋳物と同等に形成した樹脂材料からなる消失性模型の表面に、溶湯の温度において形状維持可能な鋳型材を被覆して鋳型前駆体を製造し、この鋳型前駆体を前記樹脂の熱分解温度以上の雰囲気下で加熱して樹脂材料からなる消失性模型を熱分解させ(消失させ)、このようにして鋳型を製造した上で、その鋳型に金属溶湯を注入し、溶湯が冷却した後、鋳型を除去して鋳物を製造するものである。
【0004】
樹脂材料からなる消失性模型は、光硬化造形法、粉末焼結造形法、熱溶融造形法によって作製する。ここで云う光硬化造形法とは、光を照射すると硬化する液状の樹脂に対し、3次元的に任意の位置に光を照射して、照射領域に対応した立体形状を有する樹脂硬化物を造形する技術であり、例えば特開昭56−144478号に開示されているものをいう。
粉末焼結造形法とは、熱を加えると溶融する粉末状の樹脂に対し、3次元における任意の位置に熱を照射して、照射領域に対応した立体形状を有する樹脂硬化物を造形する技術であり、原理的には光硬化造形法と同じく積層方式の造形法であり液状樹脂の代わり粉末状樹脂を用いたものである。
熱溶融造形法とは、熱溶融させた樹脂を小径のノズル先端から押し出して押し出された領域に対応した立体形状を有する樹脂模型を造形する技術であり、原理的には光硬化造形法と同じく積層方式の造形法であり、液状樹脂の代わりに熱溶融樹脂を用いたものである。
以上から、樹脂材料からなる消失性模型とは、前記の方法によって作製された最終鋳物形状と同一形状を有する樹脂材料からなる模型をいう。
【0005】
従来のロストワックス法精密鋳造と同様の方法で、樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造で鋳型を製造しようとした場合、ワックスと樹脂の特性の違いから鋳型前駆体の加熱時において鋳型前駆体に割れが発生する。
この割れは樹脂材料からなる消失性模型がワックス模型とは異なり加熱によって熱溶融・流出せずに鋳型前駆体内部で熱膨張し、鋳型前駆体に内部応力として作用することから発生するものと考えられている。
すなわち、樹脂の線膨張係数が鋳型材の線膨張係数と比べて極めて大きいため、鋳型には加熱時の樹脂の膨張による応力が作用すること、及び鋳型前駆体の加熱によって発生した樹脂の熱分解ガスが鋳型前駆体内部で蓄圧され、鋳型に内圧として作用することなどが原因で発生すると考えられている。
これを解決しようとして、例えば特願平11−59240に示すように、鋳型前駆体内部に酸素含有気体を吹き込んで鋳型前駆体に内包された模型を燃焼除去する方法が提案されている。しかしこれは、作業が煩雑となりまた火炎による不均一な高熱が発生するという問題がある。
このため、従来の樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造では、鋳型前駆体加熱時の鋳型の破壊を防止するために鋳型前駆体を極端に厚くするか、針金・金網で鋳型前駆体を補強するなどで鋳型前駆体強度を向上させる必要があった。しかし、これは根本的な解決策とは言えず、工程数が増え、鋳型の製造期間および製造費用も増大するという問題があった。
【0006】
【発明が解決しょうとする課題】
本発明は、樹脂材料からなる消失性模型が鋳型前駆体内部で熱膨張し、鋳型前駆体に内部応力として作用することから発生すると考えられる、前記のような鋳型前駆体の破壊問題を解決できる樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型の製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上から、本発明は
1.鋳物形状と同一形状を有する樹脂材料からなる消失性模型の表面に、溶湯の温度において形状維持可能な鋳型材を被覆して鋳型の前駆体を構成し、樹脂の熱分解温度以上の雰囲気下で前記前駆体に内包された樹脂模型を熱分解により消失させる鋳型において、鋳造用の湯口及び揚がり等の開口部に加え、熱分解ガス排出用開口部を前駆体に設けたことを特徴とする樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型
2.熱分解ガス排出用開口部の総面積が樹脂材料からなる消失性模型材料10g当たり12.5mm以上とすることを特徴とする前記1記載の樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型
3.補外ガラス転移開始近傍での樹脂材料からなる消失性模型材料から受ける応力に耐える鋳型の前駆体厚さを備えていることを特徴とする前記1又は2記載の樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型
4.鋳型の前駆体厚さが7mm以上であることを特徴とする前記1〜3のそれぞれに記載の樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型
を提供する。
【0008】
本発明は、また
5.鋳物形状と同一形状を有する樹脂材料からなる消失性模型の表面に、溶湯の温度において形状維持可能な鋳型材を被覆して鋳型の前駆体を形成し、樹脂の熱分解温度以上の雰囲気下で前記前駆体に内包された樹脂模型を加熱し、熱分解により消失させる鋳型の製造方法において、樹脂材料からなる消失性模型材料の引張弾性率が低下する補外ガラス転移開始温度以上の雰囲気下から加熱を開始することを特徴とする樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型の製造方法
6.樹脂材料からなる消失性模型材料の熱分解温度以上の雰囲気下から加熱を開始することを特徴とする前記5記載の樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型の製造方法
7.973K以上の温度に加熱保持することを特徴とする前記5又は6記載の樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型の製造方法
8.1073K以上の温度に加熱保持することを特徴とする前記5又は6記載の樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型の製造方法
9.鋳造用の湯口及び揚がり等の開口部に加え、熱分解ガス排出用開口部を前駆体に設け、熱分解ガスを急速排出することを特徴とする前記5〜8のそれぞれに記載の樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型の製造方法
10.鋳物形状と同一形状を有する樹脂材料からなる消失性模型の表面に、溶湯の温度において形状維持可能な鋳型材を被覆して鋳型の前駆体を形成し、樹脂の熱分解温度以上の雰囲気下で前記前駆体に内包された前記樹脂模型を加熱・熱分解により消失させる鋳型の製造方法において、鋳造用湯口及び揚がり等の開口部に加えてさらに熱分解ガス排出用開口部を設け、これらの開口部の上方に負圧が形成されるようにノズルから圧縮空気を噴出して前駆体内部に発生した熱分解ガスを迅速に排出することを特徴とする樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型の製造方法
11.鋳造用湯口及び揚がり等の開口部に加えてさらに熱分解ガス排出用開口部を設け、これらの開口部の上方に負圧が形成されるようにノズルから圧縮空気を噴出して前駆体内部に発生した熱分解ガスを迅速に排出することを特徴とする前記5〜10のそれぞれに記載の樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型の製造方法
を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明者は、樹脂材料からなる消失性模型を用いて鋳型を製造する方法において、鋳型前駆体の加熱時において発生する鋳型前駆体破壊現象のメカニズムについて構造解析手法と検証実験による検討を行った。
表1に光硬化造形法で作製した樹脂材料からなる消失性模型の機械的・熱的特性試験結果の一例を示す。表2には鋳型前駆体の機械的・熱的特性試験結果の一例を示す。
図1に光硬化造形法で作製した樹脂材料からなる消失性模型材料の引張弾性率と温度の関係を示す。また、図2にはこれらの値を用いて、鋳型前駆体の加熱時において鋳型に発生する最大主応力と温度の関係を構造解析手法により求めた結果を示す。
【0010】
【表1】
Figure 0003597514
【0011】
【表2】
Figure 0003597514
【0012】
図2の構造解析結果を得るために用いた解析モデル形状を図3に示す。解析モデルは上面に直径45mmの開口部を有する1辺75mmで肉厚1mmの内側シェル1(樹脂材料からなる消失性模型の解析用モデル)を外側シェル2(鋳型前駆体の解析用モデル)で包み込んだ形状である。図3の(a)は鋳型前駆体の解析用モデルの斜視図、(b)は同断面図である。
図2から、鋳型前駆体は加熱時において樹脂材料からなる消失性模型材料の補外ガラス転移開始温度近傍で最も大きい応力を樹脂材料からなる消失性模型から受けること、そして鋳型前駆体の曲げ強さを考慮すると鋳型前駆体の破壊防止には、本例の場合で鋳型前駆体の肉厚は7mm以上必要であることなどが推測された。
【0013】
図2の構造解析結果を検証するため、図3の解析モデル形状に基づき光硬化造形法で樹脂材料からなる消失性模型を製作し、それを内包する鋳型前駆体(供試体)を製造することで、その供試体を室温から1323Kまで徐々に温度を上げて行く加熱実験を行った。
表3はその実験結果であるが、鋳型前駆体肉厚6.3mm以下では割れが発生し、鋳型前駆体肉厚7.2mmでは割れが発生しなかった。
また、鋳型前駆体肉厚5.5mmまでは補外ガラス転移開始温度未満で割れが発生した。このことは図2に示した構造解析結果と概ね一致するものであり、これにより、鋳型前駆体破壊現象のメカニズムの解明に用いた構造解析手法の実用性が検証できた。
【0014】
【表3】
Figure 0003597514
【0015】
上記図2の構造解析結果から、鋳型破壊を防止するには樹脂材料からなる消失性模型が鋳型前駆体に及ぼす応力を低減させることが必要で、そのためには鋳型前駆体の加熱時において室温から徐々に加熱を開始するのではなく、樹脂材料からなる消失性模型材料の引張弾性率が低下する補外ガラス転移開始温度以上の雰囲気下から加熱を開始するのが効果的であることが分かった。
このことから補外ガラス転移開始温度以上の温度に至るまで急速加熱することが望ましい。
また、樹脂材料からなる消失性模型材料の熱分解温度以上の雰囲気下から加熱を開始することは、樹脂材料からなる消失性模型構造を破壊できるため樹脂材料からなる消失性模型が鋳型前駆体に及ぼす応力をさらに低減させる効果があることが分かった。
このことから、同様に樹脂材料からなる消失性模型材料の熱分解温度以上の温度に至るまで、急速加熱することがより望ましいことが分かる。
しかし、樹脂材料からなる消失性模型の熱分解温度以上の雰囲気下から加熱を開始する場合、発生した熱分解ガスが鋳型前駆体内部で蓄圧され、内圧として鋳型前駆体に作用し、鋳型前駆体破壊の新たな要因になることが懸念された。
【0016】
樹脂の熱分解温度以上の雰囲気下から加熱を開始する場合の鋳型前駆体破壊防止効果と熱分解ガスが鋳型前駆体に及ぼす影響を検討するため、図3に示す解析モデルの開口部面積と加熱温度を因子とする鋳型前駆体破壊実験を行った。
開口部面積は6.25mmから1600mm までの9水準とし、加熱温度は一定とし、樹脂材料からなる消失性模型材料の熱分解温度以上である673Kから1273Kまでの6水準とした。
鋳型前駆体(供試体)は図2に示す構造解析結果と表3に示す実験結果を参照に、肉厚6〜7mmを目安に製造した。表4にその実験結果を示す。
【0017】
【表4】
Figure 0003597514
【0018】
加熱温度873K以下では全供試体に割れが発生していることから、加熱温度873K以下では樹脂材料からなる消失性模型構造の熱破壊効果が小さかったことが窺える。
また、加熱温度1273Kでは開口部面積が小さいものの方に割れが発生していることから、熱分解ガスが鋳型内部で蓄圧されたことによる割れであると考えられ、加熱温度毎に適切な熱分解ガスの排出用開口面積が必要であることが窺える。
本実験結果から、加熱温度973K以上では樹脂材料からなる消失性模型構造の熱破壊による鋳型前駆体破壊防止効果があり、そして、この際発生する熱分解ガスに起因する鋳型前駆体破壊を防止には、加熱温度毎に必要とされる最小熱分解ガス排出用開口面積が必要であることがわかる。
【0019】
そこで、本発明においては鋳型に注湯する際に必要な湯口、揚がりなどのこれまでの開口部の他に、樹脂材料からなる消失性模型の加熱時において発生する熱分解ガスの排出を目的とした開口部を鋳型前駆体に取り付けることが、熱分解ガスの除去により効果的であることが分かった。
また、さらにはこれらの開口部の上方にノズルを配置し、該ノズル先端から圧縮空気を噴出させ、その圧力と風量により鋳型前駆体内部に負圧を作り出し(エゼクタ効果)、これにより鋳型前駆体内部で発生した熱分解ガスを迅速に排出させ、鋳型前駆体内圧の上昇をさらに抑制し、鋳型前駆体の破壊を抑制できることが分かった。
【0020】
本発明の具体例を図4〜図5に基づいて説明する。図4は成形しようとする鋳造品の一例を示す外観であり、側板外径が177mmで羽根数が6枚のポンプ用インペラである。
図5において、符号3は鋳物形状と同一形状の樹脂材料からなる消失性模型で光硬化造形法によって作製したものである。符号4は樹脂材料からなる消失性模型3の表面に鋳型材を被覆したもので、樹脂材料からなる消失性模型3の消失によって鋳型(シェル)となる鋳型前駆体である。
鋳型材を被覆する方法としては、例えば表5に示すようなジルコンフラワなどの耐火物の骨材に、コロイダルシリカなどのバインダを混ぜ合わせて調合されたスラリの入った槽に、樹脂材料からなる消失性模型3を浸漬して引き上げ、その表面にスラリを付着させたものに、同じく表5に示すジルコンサンドやアルミナサンドなどのスタッコを振りかけ乾燥させる。
この工程を注湯に必要な所定の強さを持った肉厚になるまで繰り返して、鋳型前駆体4を形成する。
【0021】
【表5】
Figure 0003597514
【0022】
図4に示すポンプ用インペラは鋳鉄製であり、鋳鉄の注湯には従来のワックス模型を用いた鋳型の製造方法で7.3mmの肉厚が必要であったことから、同様に本実施例でも7.3mmとした。
符号5は注湯用の湯口、符号6は熱分解ガス排出口である。本実施例では熱分解ガス排出口を上側板と下側板の間に円周上に等分に配置されている6枚の羽根の上部に各1カ所、下側板上に90度等間隔に4カ所、上側板上に対象に2カ所、計12カ所取り付けた。
熱分解ガス排出口の取り付けは、鋳型前駆体割れの発生しなかった表4の鋳型前駆体加熱保持温度1073Kにおける熱分解ガス排出用開口部面積50mmの事例を基準としたもので、この時の供試体に用いた樹脂材料からなる消失性模型の重量が40gであったことから、樹脂材料からなる消失性模型重量10g当たり熱分解ガス排出用開口部面積12.5mmとなるので、本例の場合もこの面積とした。
【0023】
本例では樹脂材料からなる消失性模型重量が180gであったことから、熱分解ガス排出口開口部総面積は225mm以上必要であるとし、20mmの断面積を有する熱分解ガス排出口を12カ所取り付けたものである。
符号7は耐火・耐熱材で被覆された炉で、符号8は発熱体である。鋳型前駆体4を1073Kに保持された炉7に装入し、湯口5および熱分解ガス排出口6などの開口部に圧縮空気吐出ノズル9を近づけ、圧縮空気吐出ノズル元弁10を開き圧縮空気を吐出させた。
圧縮空気を開口部上方に噴出させることで、その圧力と風量によって鋳型前駆体内部をエゼクタ効果により負圧とした。これにより炉7への装入によって発生した鋳型前駆体内部の熱分解ガスは燃焼を伴いながら効率よく排出された。なお、圧縮空気の吐出元圧力は300MPa以上が効率的であった。この条件下による製造方法で鋳型前駆体の破壊は発生せず、従来のロストワックス法による鋳型前駆体と同じ肉厚にて良好な鋳型を製造することができた。
【0024】
上記鋳型製造に用いた装置は、耐火・耐熱材で被覆された炉7、発熱体8、圧縮空気吐出ノズル9、圧縮空気吐出ノズル元弁10、排気口11からなる炉内温度雰囲気調整可能なものである。
表4に示す実験結果から、発熱体8は電気の供給によって熱を発生するものであって炉内雰囲気を1073K以上に保持可能な仕様とする。
圧縮空気吐出ノズル9は鋳型前駆体開口部に合わせ位置調整可能な構造、例えば継手やフレキシブル管などによって炉内の任意の位置に配置可能な構造とする。
圧縮空気吐出ノズル元弁10は弁開度によって圧縮空気の吐出圧力および流量の調整、すなわち、エゼクタ効果を調整可能なものとする。
排気口11はエゼクタ効果を発生させるために炉内に吐出された空気や樹脂材料からなる消失性模型から発生した熱分解ガスなどが炉の設置環境に拡散することで作業者および作業環境に害を与えないように、炉内雰囲気を収集し無害化するための処理設備へ排出するための取り合い開口部とする。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、従来の樹脂の熱分解温度以上の雰囲気下で鋳型前駆体に内包された樹脂材料からなる消失性模型を熱分解・消失させる鋳型の製造に際し、鋳型前駆体に樹脂材料からなる消失性模型の熱分解ガス排出口を設け、また鋳造を目的とした湯口、揚がり等の開口部や熱分解ガス排出口らに圧縮空気を吐出させ前駆体内部に負圧を作り出す(エゼクタ効果)、等により前駆体内部に発生した熱分解ガスを迅速に排出させ、鋳型前駆体の破壊防止に優れた効果がある。
特に、ワックス模型と同じ鋳型前駆体肉厚で鋳型を製造できるので、鋳型の製造期間および製造費用が削減されるなど著しい効果があることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂材料からなる消失性模型の引張強さと温度の関係を示す図である。
【図2】鋳型前駆体の加熱時において鋳型に発生する最大主応力と温度の関係を示す図である。
【図3】(a)は樹脂材料からなる消失性模型の解析モデル外観形状を示し、(b)は鋳型前駆体の解析モデル断面を示す図である。
【図4】鋳造品(ポンプ用インペラ)の外観斜視図である。
【図5】本発明の樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型の製造工程の一例を示す説明図であり、(a)は鋳造品の樹脂材料からなる消失性模型の断面を示す説明図、(b)は樹脂材料からなる消失性模型を鋳型材で被覆した鋳型前駆体を示す説明図、(c)は加熱装置内に配置した鋳型前駆体の概略断面図、(d)は樹脂材料からなる消失性模型の熱分解・消失によって製造された鋳型の断面図をそれぞれ示す。
【符号の説明】
1 内側シェル(樹脂材料からなる消失性模型の解析用モデル)
2 外側シェル(鋳型前駆体の解析用モデル)
樹脂材料からなる消失性模型
4 鋳型前駆体
5 注湯用湯口
6 熱分解ガス排出口
7 炉
8 発熱体
9 圧縮空気吐出ノズル
10 圧縮空気吐出ノズル元弁
11 排気口

Claims (6)

  1. 鋳物形状と同一形状を有する樹脂材料からなる消失性模型の表面に、溶湯の温度において形状維持可能な鋳型材を被覆して鋳型の前駆体を形成し、樹脂の熱分解温度以上の雰囲気下で前記前駆体に内包された前記樹脂模型を加熱・熱分解により消失させる鋳型の製造方法において、鋳造用湯口及び揚がり等の開口部に加えてさらに熱分解ガス排出用開口部を設け、これらの開口部の上方に負圧が形成されるようにノズルから圧縮空気を噴出させて前駆体内部に発生した熱分解ガスを迅速に排出することを特徴とする樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型の製造方法。
  2. 鋳物形状と同一形状を有する樹脂材料からなる消失性模型の表面に、溶湯の温度において形状維持可能な鋳型材を被覆して鋳型の前駆体を形成し、樹脂の熱分解温度以上の雰囲気下で前記前駆体に内包された樹脂模型を加熱し、熱分解により消失させる鋳型の製造方法において、樹脂材料からなる消失性模型材料の引張弾性率が低下する補外ガラス転移開始温度以上の雰囲気下から加熱を開始すると共に、鋳造用湯口及び揚がり等の開口部に加えてさらに熱分解ガス排出用開口部を設け、これらの開口部の上方に負圧が形成されるようにノズルから圧縮空気を噴出させて前駆体内部に発生した熱分解ガスを迅速に排出することを特徴とする樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型の製造方法。
  3. 樹脂材料からなる消失性模型材料の熱分解温度以上の雰囲気下から加熱を開始することを特徴とする請求項2記載の樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型の製造方法。
  4. 973K以上の温度に加熱保持することを特徴とする請求項2又は3記載の樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型の製造方法。
  5. 1073K以上の温度に加熱保持することを特徴とする請求項2又は3記載の樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型の製造方法。
  6. 鋳造用の湯口及び揚がり等の開口部に加え、熱分解ガス排出用開口部を前駆体に設け、熱分解ガスを急速排出することを特徴とする請求項2〜5のそれぞれに記載の樹脂材料からなる消失性模型を用いた精密鋳造用鋳型の製造方法。
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