JP2003053479A - 精密鋳造用鋳型の製造方法 - Google Patents

精密鋳造用鋳型の製造方法

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JP2003053479A
JP2003053479A JP2001251251A JP2001251251A JP2003053479A JP 2003053479 A JP2003053479 A JP 2003053479A JP 2001251251 A JP2001251251 A JP 2001251251A JP 2001251251 A JP2001251251 A JP 2001251251A JP 2003053479 A JP2003053479 A JP 2003053479A
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model
mold
mold structure
precision casting
refractory
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貞文 ▲吉▼野
Sadafumi Yoshino
Yukio Kajiura
幸生 梶浦
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】消失性模型を消失させる際に、鋳型の損傷を有
効に阻止し、高品質な鋳型を効率的に得ることを可能に
する。 【解決手段】光造形法により消失性模型10を作製し、
この消失性模型10の表面に耐火物14を被覆して鋳型
鋳造体16を形成するとともに、前記耐火物14と同一
の熱膨張係数の材料を用いて湯口部12を作製し、前記
湯口部12を前記消失性模型10の湯口部分に対応して
接合する。次いで、鋳型構造体16を加熱して消失性模
型10を消失させるとともに、精密鋳造用鋳型18を製
造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消失性模型を使用
して精密鋳造用鋳型を製造するための精密鋳造用鋳型の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、形状の複雑な製品を精密鋳造
する精密鋳造法として、インベストメント鋳造法が知ら
れている。このインベストメント鋳造法は、ロストワッ
クス法としても知られており、可溶性ろう、または、ポ
リスチレン樹脂等を用いて模型を作製し、この模型の周
囲に耐火物の泥状混合物を浸漬し、耐火物をコーティン
グして乾燥処理する工程を数回から数十回繰り返すこと
により耐火物を積層させた後、該模型を溶融流出させ、
さらに焼成鋳型として注湯するものである。
【0003】ところで、最近、比較的簡単な操作により
短時間で複雑な形状の3次元立体モデルを造形すること
ができることから、3次元CADデータを用いた光造形
法が採用されている。この光造形法は、鋳造方案部を含
む製作模型の3次元CADデータをコンピュータに入力
し、所定のフォーマットに変換した後、任意の積層ピッ
チで輪切りにしたスライスデータに変換する。そして、
光硬化性樹脂に、例えば、紫外線レーザを輪切りにした
スライスデータに沿って照射し、第1層目を造形する。
次いで、第2層目から最後の層まで、順次、同様に紫外
線レーザの照射によって造形を行い、これによりスライ
スした層が積層されて立体模型である消失性模型が造形
される。
【0004】この消失性模型の表面に所定の厚さの耐火
物が被覆されることにより、鋳型構造体が得られる。さ
らに、鋳型構造体が消失性模型を構成する樹脂の分解温
度以上に加熱されることにより、前記消失性模型が燃焼
除去されるとともに、加熱処理によって精密鋳造用鋳型
が製造される。
【0005】この場合、消失性模型には、通常、油性ワ
ックスで形成された湯口部分が接合されており、この湯
口部分を脱ろうするために、オートクレーブが使用され
ている。ところが、オートクレーブによりワックスを溶
融除去する際に、鋳型構造体内の空気や消失性模型が膨
張して前記鋳型構造体が損傷するとともに、該鋳型構造
体の前記消失性模型が密着している部分にクラックが発
生するおそれがある。一方、湯口部分が接合された状態
で、消失性模型を加熱炉により消失させる際には、この
湯口部分を構成するワックスが膨張して、鋳型構造体の
前記湯口部分に割れが発生し易いという不具合がある。
【0006】そこで、特開平9−52145号公報に開
示されているように、光造形法により作製された樹脂型
を消失性模型として使用するとともに、前記消失性模型
の湯口部分に水溶性物質を使用した精密鋳造法が知られ
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術では、
湯口部分が水溶性物質で作製されているため、主型を内
包したシェルを水中に浸漬してこの湯口部分を消失させ
た後、前記シェルを加熱炉に入れて樹脂部分を消失させ
ている。しかしながら、シェルが加熱炉内で加熱される
際に、このシェルに吸収されている水分による悪影響が
懸念される。このため、加熱前のシェルに乾燥処理を施
す必要があり、工程数が増加するとともに、精密鋳造用
鋳型の製造作業全体の効率化が容易に遂行されないとい
う問題が指摘されている。
【0008】本発明はこの種の問題を解決するものであ
り、消失性模型を消失させる際に鋳型の損傷を有効に阻
止し、高品質な鋳型を効率的に得ることが可能な精密鋳
造用鋳型の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る精密鋳造用
鋳型の製造方法は、光造形法により消失性模型を作製
し、前記消失性模型の表面に耐火物を被覆して鋳型構造
体を形成した後、該消失性模型を消失させて精密鋳造用
鋳型を製造する精密鋳造用鋳型の製造方法であって、前
記耐火物と同一の熱膨張係数の材料を用いてカップ状部
材を作製し、前記カップ状部材を、前記消失性模型の湯
口部分に対応して接合することを特徴とする(請求項1
記載の発明)。
【0010】このため、鋳型構造体を加熱して消失性模
型を消失させる際に、前記鋳型構造体とカップ状部材と
の熱膨張が等しくなり、該鋳型構造体に損傷やクラック
が発生することを確実に阻止することができる。これに
より、高品質な精密鋳造用鋳型を容易かつ効率的に得る
ことが可能になるとともに、カップ状部材を繰り返し使
用することができ、経済的なものとなる。
【0011】また、本発明では、消失性模型が、湯口部
分に通じるランナ部およびゲート部を含む鋳造方案部と
製品部とを一体的に設けている(請求項2記載の発
明)。従って、消失性模型自体の強度を有効に維持する
とともに、製品部の設計変更にも柔軟に対応することが
可能になる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施形態に係る
精密鋳造用鋳型の製造方法の基本工程説明図である。
【0013】この基本工程を概略的に説明すると、ま
ず、光造形法によりエポキシ系樹脂等の光硬化性樹脂を
用いて、消失性模型10が作製される。次いで、消失性
模型10に湯口部(カップ状部材)12が取り付けられ
た後、前記消失性模型10が、コロイダルシリカに粉末
状アルミナ等の骨材を混錬したスラリに浸漬(ディッピ
ング)され、さらに、アルミナ等の耐火物粒によるサン
ディングの後、乾燥される。この工程を繰り返すことに
より、消失性模型10の周囲に所定の厚さの耐火物14
が被膜された鋳型構造体16が得られる。
【0014】この鋳型構造体16は、湯口部12を下方
向に向けた状態で、加熱処理および内部の加圧処理が施
されることによって消失性模型10が消失され、精密鋳
造用鋳型18が製造される。この鋳型18内には、溶湯
19が鋳込まれて鋳造品が得られ、この鋳造品から不要
部分が切り落とされることによって製品20が製造され
る。
【0015】図1の(a)および図2に示すように、消
失性模型10は、湯口部12に通じるランナ部22およ
びゲート部24を含む鋳造方案部26と、製品20に対
応する製品部28とを一体的に有するとともに、一部、
例えば、前記ランナ部22の外側端縁部には、複数本の
排気ベント30が一体的に設けられる。
【0016】図3に示すように、消失性模型10は、中
空状のハニカム構造32を有する。このハニカム構造3
2は、多層に構成されるとともに、各層には光造形法に
より、例えば、0.1mmの厚さ毎に造形処理を行って
合計20回積層された樹脂積層体34が、六角形状の各
辺に空間部36と交互に配置される。1つのハニカム部
の上下には、空間部36に対応して樹脂積層体34が配
置されており、全体として多層構成のハニカム構造32
が構成されている。
【0017】消失性模型10の最外殻には、例えば、
0.4mm〜1.0mm程度の薄いスキン層38が造形
されている。図4に示すように、消失性模型10の中央
部に設けられているダウンポール部40の内周面側のス
キン層38には、複数個のガス抜き用孔部42が設けら
れている。孔部42は、例えば、直径が5mm〜10m
mの範囲内に設定されている。
【0018】消失性模型10のランナ部22の略中央部
には、湯口部12がワックス44を介して固定される。
湯口部12は円錐台形状を有しており、耐火物14と同
一の熱膨張係数を有する材料、例えば、アルミナ系材料
により構成されている。湯口部12は、プレス加工法の
他、スラリを型内に押し込む固形鋳込み成形法により作
製される。
【0019】この湯口部12の小径側端部が、ワックス
44を介して消失性模型10に固定される一方、前記湯
口部12の大径側端部には、蓋体46を介して固定機構
48が取り付けられる。この固定機構48は、消失性模
型10を保持してこの消失性模型10にディッピング処
理およびサンディング処理を施すために用いられる。
【0020】固定機構48は、ねじシャフト50と、締
め付けナット58と、前記ねじシャフト50上に配した
他のナット(図示せず)とにより消失性模型10に固定
される。
【0021】図1の(d)に示すように、消失性模型1
0の湯口部12を下向きにして配置した状態で、この消
失性模型10を消失させるために製造装置60が用いら
れる。図5に示すように、製造装置60は、消失性模型
10の表面に耐火物14を被覆した鋳型構造体16が配
置され、前記消失性模型10を消失させるとともに、鋳
型18を得るための加熱室62が設けられた加熱炉64
と、前記加熱室62内で前記鋳型構造体16の内部に配
置され、前記消失性模型10が消失される際に、該鋳型
構造体16の内部を加圧することにより、前記鋳型構造
体16の内部に発生する分解ガスを強制的に外部に排出
させる加圧機構66とを備える。
【0022】加熱室62内には、加熱炉64の側壁68
に沿って複数のヒータ70が配置されるとともに、床面
72の下方に複数のヒータ74が配置される。床面72
上には、倒立配置部76が設けられており、この倒立配
置部76は、鋳型構造体16を保持し得るように3箇所
に配置される耐火煉瓦78を備えている。
【0023】加圧機構66は、鋳型構造体16の内部
に、すなわち、湯口部12からダウンポール部40内に
挿入され、加熱された媒体(例えば、酸素含有ガス)を
送り出す供給管80を備える。供給管80は、加熱炉6
4の側壁68に封止部82を介して封止される一方、鋳
型構造体16の内部に挿入される部分には、複数の孔部
84が形成される。
【0024】供給管80の先端には、蓋86が取り付け
られており、この蓋86から所定距離だけ下方向に離間
した位置には、例えば、3個の孔部84が等角度間隔
(120°間隔)ずつ離間し、かつ螺旋状に配置される
第1孔部群88aが設けられる。この第1孔部群88a
から下方向に所定距離だけ離間した位置には、同様に3
個の孔部84が等角度間隔ずつ離間し、かつ螺旋状に配
置される第2孔部群88bが設けられる。第1および第
2孔部群88a、88bは、消失性模型10のランナ部
22が延在する方向に沿って、それぞれ前記消失性模型
10の形状に対応して所定の位置に設定される。
【0025】このように構成される製造装置60の動作
について、本実施形態に係る製造方法との関連で以下に
説明する。
【0026】まず、光造形法により、エポキシ系樹脂等
の光硬化性樹脂を用いて消失性模型10が作製される。
この光造形法では、製品20、例えば、ガスタービンエ
ンジンのノズルに関する3次元CADデータを所定のフ
ォーマットに変換した後、任意の積層ピッチ(例えば、
0.1mm)で輪切りにしたスライスデータに変換す
る。次に、液状の光硬化性樹脂の槽の中にテーブルを置
き、積層ピッチの厚さ分に対応して前記テーブルを液状
の光硬化性樹脂中に沈め、紫外線レーザを輪切りにした
スライスデータに沿って照射する。
【0027】これにより、第1番目の層の造形が行わ
れ、さらにテーブルを積層ピッチ分だけ液状の光硬化性
樹脂中に沈めて、同様に第2番目の層を造形する。この
作業を最後の層まで繰り返し行うことによって、スライ
スした層を積層し、立体模型である消失性模型10が造
形される。
【0028】その際、消失性模型10の最外殻には、
0.4mm〜1.0mm程度の薄いスキン層38が造形
されている。
【0029】また、上記のように、積層造形によって消
失性模型10が作製されるため、この消失性模型10の
曲面部分は階段状に積層されている。この消失性模型1
0の外表面は、製品20の外表面を構成するものであ
り、階段状部分を研磨してモデル形状を仕上げる必要が
ある。一方、モデル形状によってはサポートが必要であ
り、積層後にサポートを除去して、モデル形状に研磨し
て仕上げる必要がある。
【0030】ここで、消失性模型10は半透明であるた
めに、目視によって表面状態を正確に把握することが困
難であり、前記消失性模型10の表面にプライマ(サー
フェイサ)を塗布する。このプライマは、無機顔料を含
まないものが使用される。無機顔料は、鋳型18の焼成
時に無機質の膜を形成してしまい、前記鋳型18内に残
留して鋳造品(製品20)の異物混入による鋳造不良が
発生するおそれがあるからである。
【0031】そこで、消失性模型10の表面にプライマ
が塗布されることにより、この表面の色合いが鋳物に近
似するものとなって、該表面の凹凸状態が容易に可視化
される。次いで、消失性模型10の表面状態を手仕上げ
によって処理することにより、この表面状態をモデル形
状に沿って良好かつ容易に仕上げることができる。
【0032】消失性模型10の表面仕上げ処理が行われ
た後、この消失性模型10には、湯口部12がワックス
44を介して固定される。さらに、図4に示すように、
固定機構48を構成するねじシャフト50が湯口部12
から消失性模型10内に挿入され、前記ねじシャフト5
0と、締め付けナット58と、前記ねじシャフト50上
に配した他のナット(図示せず)とにより消失性模型1
0に固定される。
【0033】固定機構48に保持された消失性模型10
は、コロイダルシリカ等のバインダに、例えば、粉末状
アルミナ等の骨材を混ぜたスラリに浸漬(ディッピン
グ)され、このスラリを付着させて表面が乾く前にアル
ミナ等の耐火物粒をまぶして(サンディング)、乾燥さ
せる。この場合、初層でコーティングする耐火物粒は、
消失性模型10の表面状態を鋳肌に忠実に転写させるた
めに微細な粒度のものを使用し、中間層からバックアッ
プ層でコーティングする耐火物粒は、鋳型強度を上げる
ために徐々に粒度の大きなものを使用する。
【0034】そして、上記の処理を所定の回数だけ繰り
返すことにより、消失性模型10の表面には、所定の厚
さに耐火物14がコーティングされ、鋳型構造体16が
得られる。この鋳型構造体16が得られた後、固定機構
48を構成するねじシャフト50がナット52から離脱
され、前記固定機構48および蓋体46が前記鋳型構造
体16から取り外される。
【0035】鋳型構造体16は、製造装置60を構成す
る加熱炉64内の倒立配置部76に配置される。その
際、鋳型構造体16は、湯口部12を製品部28よりも
下方に位置するように、倒立配置部76を構成する3つ
の耐火煉瓦78上に載置される。ここで、加圧機構66
を構成する供給管80は、鋳型構造体16に囲繞されて
いる消失性模型10のダウンポール部40内に挿入さ
れ、製品部28側まで延在している。
【0036】次に、加熱炉64に配置されている複数の
ヒータ70、74がONされて加熱室62内が昇温され
るとともに、加圧機構66を構成する供給管80には、
加熱されたエア(媒体)が供給される。加熱炉64によ
る加熱条件は、400℃まで昇温させた後、この400
℃の温度を一定時間保持するように設定されており、こ
れによって消失性模型10の消失処理が行われる。消失
性模型10を構成する樹脂(エポキシ系樹脂)は、26
0℃付近から分解が始まり、その重量減少が500℃で
完全になくなる。従って、加熱室62内を400℃の温
度に保持することにより、エポキシ系樹脂が完全に分解
して除去されることになる。
【0037】一方、供給管80には、所定圧の加熱され
たエアが供給されており、このエアが複数の孔部84か
ら鋳型構造体16の内部に導出されている。エアの供給
圧力は、消失性模型10を破壊することがないように、
例えば、9.8×104Pa〜19.6×104Paの範
囲内に設定される。
【0038】このため、図6に示すように、鋳型構造体
16内で消失性模型10が消失するとともに、この消失
時に発生する分解ガスが、加圧機構66を構成する供給
管80の周面から噴射される加熱されたエアによって加
圧される。これにより、分解ガスは、排気ベント30に
対応して形成されたベント孔92および湯口部12から
前記鋳型構造体16の外部に強制的に排出される。しか
も、鋳型構造体16の内部に加熱されたエアが円滑に供
給されるため、消失性模型10を確実に燃焼させて残渣
の発生を有効に阻止することが可能になる。
【0039】上記のように、消失性模型10の消失処理
が終了した後、鋳型構造体16を焼き固める処理が施さ
れる。具体的には、加熱室内62内を400℃から10
50℃に昇温させた後、1050℃で一定時間だけ保持
する。これにより、鋳型構造体16が焼き固められて鋳
型18が製造される。
【0040】その際、鋳型構造体16内では、消失性模
型10が完全に燃焼除去されるとともに、分解ガスが強
制的に外部に排出されている。このため、鋳型18には
樹脂の残渣による不純物の溶着が惹起されることがな
く、この鋳型18を介して鋳造される製品20の外表面
に、柚子肌が発生することを阻止し、高品質な製品20
を効率的に得ることが可能になる。
【0041】この場合、本実施形態では、例えば、アル
ミナの耐火物粒を含む耐火物14が消失性模型10の周
囲に被覆されて鋳型構造体16が得られるとともに、湯
口部12が、前記耐火物14と同一の熱膨張係数を有す
る材料、例えば、アルミナ系材料により構成されてい
る。このため、加熱室62内で鋳型構造体16を加熱し
て消失性模型10の消失処理を行う際、この鋳型構造体
16と湯口部12との熱膨張の差がなく、熱バランスの
違いによって該鋳型構造体16に割れやクラック等が発
生することを確実に阻止することができる。
【0042】これにより、湯口部12を水溶性物質で作
製する従来技術に比べ、鋳型構造体16の乾燥処理が不
要となって、工程数を有効に削減するとともに、水溶性
湯口部分の作製作業が不要になり、鋳型18の製造作業
全体の効率化が容易に遂行されるという効果が得られ
る。
【0043】しかも、湯口部12は、アルミナ系材料に
より構成されており、繰り返しの使用に適するものであ
る。従って、極めて経済的であるとともに、種々の鋳型
に有効に適用することができ、汎用性が高いという利点
がある。
【0044】ところで、比較例として、図7に示す鋳型
構造体16aを用いて消失性模型10を消失させる作業
を行った。この鋳型構造体16aでは、ワックスにより
構成される湯口部12aが接合されるとともに、この湯
口部12aには、孔部100が貫通形成されている。鋳
型構造体16aの内部から、加熱された空気を排出させ
るためである。
【0045】そこで、鋳型構造体16aが図示しないオ
ートクレーブ内に配置され、この鋳型構造体16aが1
70℃前後に加熱されることにより、湯口部12aの脱
ろう処理が行われた。その結果、消失性模型10を構成
する樹脂は、オートクレーブの温度程度では溶融しない
が、この樹脂が熱膨張して鋳型構造体16aに密着して
いる部分に割れやクラック等の損傷が発生した。
【0046】一方、鋳型構造体16aを図示しない加熱
炉内に配置して、消失性模型10の消失処理と湯口部1
2aの除去処理とを行った。その際、湯口部12aを構
成するワックスが60℃〜80℃で溶融するものの、こ
の溶融時には、前記ワックス自体が膨張した。このた
め、湯口部12aが接合されている鋳型構造体16aの
部分は、外側に加圧されて破損等が発生した。
【0047】このように、熱的特性の違う2つの材質
(例えば、アルミナとワックス)を組み合わせて使用す
ると、鋳型構造体16aを加熱する際に熱的アンバラン
スが発生し、前記鋳型構造体16aに損傷が発生した。
これに対し、本実施形態では、鋳型構造体16と湯口部
12とを同一の熱膨張係数の材料(本実施形態では、同
一材質であるアルミナ系材料)で構成するだけで、前記
鋳型構造体16の損傷を可及的に阻止し、高品質な鋳型
18を容易かつ効率的に製造することができるという効
果が得られた。
【0048】また、本実施形態では、消失性模型10が
鋳造方案部26と製品部28とを一体的に備えている。
従って、製品部28の設計変更に応じて鋳造方案部26
も一体的に作製することができ、この鋳造方案部26を
ワックスで構成し設計変更毎にワックスによる前記鋳造
方案部の作製を行う構成に比べ、柔軟に対応することが
可能になる。さらに、消失性模型10は、中空状のハニ
カム構造32を有している。このため、樹脂量が大幅に
削減されて消失性模型10全体の軽量化を図るととも
に、消失時間を大幅に短くすることが可能になる。
【0049】ところで、本実施形態では、製品20とし
てノズルを鋳造するための鋳型用消失性模型10を用い
て説明したが、例えば、図8に示すように、翼一体ディ
スク(ロータ)を鋳造するための消失性模型160を用
いることができる。この消失性模型160は、光造形法
によりエポキシ系樹脂等の光硬化性樹脂を用いて作製さ
れるものであり、前記消失性模型160を用いて上記の
本実施形態と同様の製造方法を行うことによって、所望
の鋳型を高精度かつ効率的に製造することが可能にな
る。
【0050】なお、本実施形態では、鋳物製品として翼
一体ディスクとノズルとを用いて説明したが、これに限
定されるものではなく、種々の形状の異なる鋳物製品に
適応することができる。
【0051】
【発明の効果】本発明に係る精密鋳造用鋳型の製造方法
では、鋳型構造体を加熱して消失性模型を消失させる際
に、前記鋳型構造体とカップ状部材との熱膨張が等しく
なり、該鋳型構造体に損傷やクラックが発生することを
確実に阻止することができる。これにより、高品質な精
密鋳造用鋳型を容易かつ効率的に得ることが可能になる
とともに、カップ状部材を繰り返し使用することがで
き、経済的なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る精密鋳造用鋳型の製造
方法の基本工程の説明図である。
【図2】前記製造方法に用いられる消失性模型の概略斜
視説明図である。
【図3】前記消失性模型を構成するハニカム構造の斜視
図である。
【図4】前記消失性模型に固定機構が組み込まれた状態
を示す断面図である。
【図5】前記消失性模型を消失させるための製造装置の
概略構成説明図である。
【図6】前記消失性模型を消失させる際の動作説明図で
ある。
【図7】湯口部にワックスを用いた比較例の説明図であ
る。
【図8】鋳造製品がロータである場合の消失性模型の概
略斜視説明図である。
【符号の説明】
10、160…消失性模型 12、12a…湯口部 14…耐火物 16、16a…鋳型構
造体 18…鋳型 20…製品 22…ランナ部 24…ゲート部 26…鋳造方案部 28…製品部 30…排気ベント 32…ハニカム構造 34…樹脂積層体 36…空間部 38…スキン層 42…ガス抜き用孔部 46…蓋体 48…固定機構 50…ねじシャフト 60…製造装置 62…加熱室 64…加熱炉 66…加圧機構 80…供給管 84、100…孔部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光造形法により消失性模型を作製し、前記
    消失性模型の表面に耐火物を被覆して鋳型構造体を形成
    した後、該消失性模型を消失させて精密鋳造用鋳型を製
    造する精密鋳造用鋳型の製造方法であって、 前記耐火物と同一の熱膨張係数の材料を用いてカップ状
    部材を作製し、前記カップ状部材を、前記消失性模型の
    湯口部分に対応して接合することを特徴とする精密鋳造
    用鋳型の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の製造方法において、前記消
    失性模型は、前記湯口部分に通じるランナ部およびゲー
    ト部を含む鋳造方案部と製品部とを一体的に設けること
    を特徴とする精密鋳造用鋳型の製造方法。
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