JP2003053165A - 高選択性分離機能を有する浸透気化分離膜 - Google Patents

高選択性分離機能を有する浸透気化分離膜

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JP2003053165A JP2001246488A JP2001246488A JP2003053165A JP 2003053165 A JP2003053165 A JP 2003053165A JP 2001246488 A JP2001246488 A JP 2001246488A JP 2001246488 A JP2001246488 A JP 2001246488A JP 2003053165 A JP2003053165 A JP 2003053165A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分離機能が従来の浸透気化分離膜よりも格段
に優れる浸透気化分離膜を提供する。 【解決手段】 多孔質無機基材表面のOH基に、疎水性
シランカップリング剤を反応させて得られた多孔質無機
膜からなる浸透気化分離膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多孔質無機膜から
なる浸透気化分離膜に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来よ
り、浸透気化(パーベーパレーション、PV)に供せら
れる分離膜としては、有機高分子膜やゼオライト膜が一
般的であった。
【0003】しかしながら、有機高分子膜は、長時間の
分離操作中に、有機化合物や水による膨潤、変質、分解
等が起こり易く、耐久性に劣る。さらに、比較的高温で
の分離は、事実上不可能である。
【0004】また、ゼオライト膜においては、製膜する
ための基材が高価であることや製膜条件の複雑さに加え
て、平板状の膜でのみ供されるので、膜面積を容易に増
加できないという不便さがある。
【0005】さらに、有機高分子膜やゼオライト膜にお
いては、分離性能がそれほど優れてはおらず、例えば、
メタノールを5%含有するメタノール水溶液中からのメ
タノールの分離能は100程度(あるいはそれ以下)で
ある。
【0006】本発明は、分離機能が従来の浸透気化分離
膜よりも格段に優れる浸透気化分離膜を提供することを
主な目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために研究を重ねた結果、多孔質無機基材の表
面を特定の方法で修飾することにより、優れた浸透気化
分離能が付与されることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0008】すなわち、本発明は、下記の浸透気化分離
膜を提供するものである。 項1. 多孔質無機基材表面のOH基に、疎水性シラン
カップリング剤を反応させて得られた多孔質無機膜から
なる浸透気化分離膜。 項2. 多孔質無機基材が多孔質ガラス基材であること
を特徴とする項1に記載の浸透気化分離膜。 項3. 多孔質無機基材が多孔質基材の表面に無機酸化
物をコーティングしたものであることを特徴とする項1
に記載の浸透気化分離膜。 項4. 疎水性シランカップリング剤が官能性基を1個
有することを特徴とする項1〜3のいずれかに記載の浸
透気化分離膜。 項5. 疎水性シランカップリング剤が、疎水性基とし
て炭素数8〜22の炭化水素基を1以上有するシランカ
ップリング剤であることを特徴とする項1〜4のいずれ
かに記載の浸透気化分離膜。 項6. 疎水性シランカップリング剤がフッ素を含有す
ることを特徴とする項1〜4のいずれかに記載の浸透気
化分離膜。 項7. 疎水性シランカップリング剤が(ヘプタデカフ
ルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)ジメチ
ルクロロシランである項6に記載の浸透気化分離膜。 項8. 疎水性シランカップリング剤が、疎水性基とし
て炭素数8〜22の炭化水素基を1以上有するシランカ
ップリング剤と、疎水性基として炭素数1〜4の炭化水
素基のみを有するシランカップリング剤との組合せであ
る項1〜4のいずれかに記載の浸透気化分離膜。 項9. 疎水性シランカップリング剤がオクタデシルジ
メチルクロロシランとトリメチルクロロシランとの組合
せである項8に記載の浸透気化分離膜。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明における多孔質無機基材
は、その表面にOH基を有するものであれば、特に限定
されない。このようなOH基含有多孔質無機基材として
は、例えば、多孔質ガラス基材や、多孔質ガラス基材、
多孔質炭素基材、多孔質アルミナ基材、多孔質焼結ステ
ンレス基材などの多孔質基材の表面にシリカやジルコニ
アなどの無機酸化物をコーティングした基材などが挙げ
られる。さらに、それらの基材の表面に多孔質ガラス基
材の成分(無機酸化物)をコーティングした基材も使用
できる。
【0010】上記多孔質ガラス基材の材質としては、特
に限定されるものではないが、例えば、シリカ系多孔質
ガラスA(母体ガラスのガラス組成:SiO2(55〜
80重量%)−B23−Na2O−(Al23))、シ
リカ系多孔質ガラスB(母体ガラスのガラス組成:Si
2(35〜55重量%)−B23−Na2O)、シリカ
系多孔質ガラスC(母体ガラスのガラス組成:SiO2
−B23−CaO−Al23)、シリカ系多孔質ガラス
D(母体ガラスのガラス組成:SiO2−P2 5−Na2
O)、シリカ系多孔質ガラスE(SiO2−B23−N
2O−RO(R=アルカリ土類金属,Zn))、Ti
2系多孔質ガラス(母体ガラスのガラス組成:SiO2
−B23−CaO−MgO−Al23−TiO2(Ti
2は49.5モル%まで添加可能))、希土類系多孔
質ガラス(母体ガラスのガラス組成:B23−Na2
−(CeO2,ThO2,HfO2,La23))などが
挙げられる。これらの母体ガラスを適宜多孔化処理した
ものを、本発明に用いることができる。このような多孔
質ガラス基材においては、その表面にOH基が存在す
る。
【0011】また、多孔質ガラス基材、多孔質炭素基
材、多孔質アルミナ基材、多孔質焼結ステンレス基材な
どの多孔質基材の表面に、シリカやジルコニアなどの無
機酸化物(無機金属酸化物)を、1種類または2種類以
上コーティングした多孔質無機基材の表面にも反応性に
富むOH基が存在し、それと疎水性シランカップリング
剤を反応させることができる。
【0012】さらに、上記した基材の表面に上記多孔質
ガラス基材の成分(無機酸化物)をコーティングした多
孔質無機基材の表面にも、反応性に富むOH基が存在し
ているので、それと疎水性シランカップリング剤を反応
させることができる。
【0013】上記無機酸化物をコーティングする方法
は、特に限定されるものではなく、例えば、ゾルゲル法
によるコーティング、ディップコーティング、スプレー
コーティング、スピンコーティングなどの公知の方法が
用いられる。
【0014】本発明における多孔質無機基材の形状は、
特に限定されるものではないが、管状または平板状であ
るのが好ましい。
【0015】また、多孔質無機基材における細孔径は、
特に限定されないが、平均細孔径として、1nm〜0.
1μm程度であることが好ましく、1〜10nm程度で
あることがより好ましい。
【0016】本発明における疎水性シランカップリング
剤としては、特に限定されるものではないが、オクタデ
シルジメチルクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−
1,1,2,2−テトラヒドロデシル)ジメチルクロロ
シラン、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシ
ラン、3−クロロプロピルジメチルメトキシシラン、メ
トキシジメチルビニルシラン、n−オクタデシルジメチ
ルメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピ
ル)ジメチルメトキシシラン、ジメチルメトキシシラ
ン、3−クロロプロピルジメチルメトキシシラン、メタ
クリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、クロロメ
チルメトキシジメチルシラン、クロロメチルジメチルエ
トキシシラン、ジメチルエトキシエチニルシラン、ジフ
ェニルホスフィノエチルジメチルエトキシシラン、メタ
クリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、(メタク
リロキシメチル)ジメチルエトキシシラン、3−アミノ
プロピルジメチルエトキシシラン、ジメチルエトキシ−
3−グリシドキシプロピルシラン、ベンジリデン−3−
エトキシジメチルシリルプロピルアミン、アセトキシエ
チルジメチルクロロシラン、アリルジメチルクロロシラ
ン、ベンジルジメチルクロロシラン、11−ブロモウン
デシルジメチルクロロシラン、10−(カルボメトキ
シ)デシルジメチルクロロシラン、4−クロロブチルジ
メチルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラ
ン、[(クロロメチル)フェニルエチル]ジメチルクロ
ロシラン、3−クロロプロピルジメチルクロロシラン、
3−シアノプロピルジメチルクロロシラン、n−デシル
ジメチルクロロシラン、(N,N−ジメチルアミノ)ジ
メチルクロロシラン、(3,3−ジメチルブチル)ジメ
チルクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピ
ル)ジメチルクロロシラン、3−(トリメチルシロキシ
プロピル)ジメチルクロロシラン、10−ウンデセニル
ジメチルクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、
3−フェノキシプロピルジメチルクロロシラン、イソプ
ロピルジメチルクロロシラン、エチルジメチルクロロシ
ラン、5−ヘキセニルジメチルクロロシラン、イソブチ
ルジメチルクロロシラン、3−イソシアナートプロピル
ジメチルクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルジ
メチルクロロシラン、n−オクタデシルジメチルクロロ
シラン、7−オクテニルジメチルクロロシラン、n−オ
クチルジメチルクロロシラン、n−プロピルジメチルク
ロロシラン、ジクロロメチルジメチルクロロシラン、3
−クロロプロピルジメチルクロロシラン、ジメチルイソ
プロピルクロロシラン、ペンタフルオロフェニルプロピ
ルジメチルクロロシラン、フェネチルジメチルクロロシ
ランなどの官能性基を1個有する1官能性の疎水性シラ
ンカップリング剤が、好ましいものとして例示される。
官能性基は、ケイ素原子に直接結合している。ここで官
能性基とは、多孔質無機基材表面のOH基の活性水素と
反応して脱離する基であり、例えば、クロロ基、アルコ
キシド基が挙げられ、反応性の点からクロロ基が好まし
い。
【0017】これらの疎水性シランカップリング剤は、
単独または2種以上を混合して、溶液の状態で使用す
る。浸透気化分離膜の分離能の点からは、(ヘプタデカ
フルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)ジメ
チルクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピ
ル)ジメチルメトキシシラン、(3,3,3−トリフル
オロプロピル)ジメチルクロロシランなどのフッ素含有
シランカップリング剤や、3−フェノキシプロピルジメ
チルクロロシランなどの芳香族基含有シランカップリン
グ剤が好ましい。また、オクタデシルジメチルクロロシ
ラン、10−ウンデセニルジメチルクロロシラン、n−
オクチルジメチルクロロシラン、10−(カルボメトキ
シ)デシルジメチルクロロシランなどの、疎水性基とし
て炭素数8〜22の炭化水素基を1以上有するシランカ
ップリング剤と、トリメチルクロロシラン、トリエチル
クロロシランなどの、疎水性基として炭素数1〜4の炭
化水素基のみを有するシランカップリング剤とを組み合
わせるのが好ましい。
【0018】シランカップリング剤溶液の調製に使用す
る有機溶媒としては、特に限定されないが、トルエン、
キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、エタノー
ル、メタノール、エーテルなどが挙げられる。シランカ
ップリング剤溶液は、シランカップリング剤1重量部に
対し、有機溶媒10〜50重量部程度を配合して調製す
る。
【0019】本発明において、多孔質無機基材表面のO
H基にシランカップリング剤を反応させるには、例え
ば、シランカップリング剤溶液中に多孔質無機基材を浸
漬し、加熱し、必要に応じて還流することにより行う。
このようにすることにより、多孔質無機基材の細孔部の
表面が改質されて疎水性の多孔質無機膜が得られる。
【0020】すなわち、例えば、多孔質無機基材として
シリカ系ガラスを用い、シランカップリング剤としてオ
クタデシルジメチルクロロシランを用いて反応させる
と、下記反応式に示すようにシリル化が起こり、多孔質
無機基材表面のOH基の活性水素がトリアルキルシリル
基などの3置換シリル基で置換される。
【0021】≡Si−OH + C1837(CH32Si
Cl →≡Si−O−Si(CH321837 + HC
l このようにして、多孔質無機基材の細孔部の表面にオク
タデシル基などの疎水性基が導入されて改質され、表面
は疎水性となる。
【0022】疎水性シランカップリング剤の使用量は、
特に限定されないが、多孔質無機基材1重量部に対して
0.01重量部〜3重量部の疎水性シランカップリング
剤を有機溶媒に溶解して使用するのが好ましい。
【0023】疎水性シランカップリング剤溶液には、上
記反応式で副生するHClを反応除去するために、多孔
質無機基材1gに対して1〜10000mmolのアミ
ン(例えば、ピリジンなど)を添加するのが好ましい。
【0024】加熱して反応させる際の温度は、特に限定
されるものではないが、50〜150℃程度の温度で行
うのが好ましい。還流させる場合の温度は、シランカッ
プリング剤溶液中の有機溶媒の種類によって異なり、特
に限定されるものではないが、50〜150℃程度の温
度で行うのが好ましい。
【0025】反応時間についても、特に限定されるもの
ではないが、10〜200時間程度が好ましい。
【0026】反応後、余分なシランカップリング剤を洗
浄するため、多孔質無機膜を有機溶媒中で1時間以上加
熱還流するのが好ましい。還流後、室温で風乾して余分
な有機溶媒を除去した後、減圧下で室温からシランカッ
プリング剤分解温度より低い温度で乾燥するのが好まし
い。
【0027】なお、上記のような表面改質処理を2度以
上行うことも有効である。その際には、同種のシランカ
ップリング剤を用いて行ってもよいし、他種のシランカ
ップリング剤を用いて行ってもよい。例えば、オクタデ
シルジメチルクロロシランのような、疎水性基として炭
素数8〜22の炭化水素基を1以上有するシランカップ
リング剤を用いて表面改質した後に、トリメチルクロロ
シランのような、疎水性基として炭素数1〜4の炭化水
素基のみを有するシランカップリング剤を用いて表面改
質すると、多孔質無機膜の細孔部の疎水性化が促進され
るので好ましい。
【0028】以上のようにして表面改質した多孔質無機
膜からなる浸透気化分離膜は、多孔質無機基材の細孔径
によっても異なるが、その平均細孔径が1nm程度以下
であり、好ましくは0.3〜0.8nm程度である。
【0029】本発明の浸透気化分離膜は、多孔質無機膜
からなり、耐熱性、化学的耐久性、耐候性などに優れて
いる。また、その細孔径を自由に制御できる。さらに、
多孔質無機基材として多孔質ガラス基材を使用した場合
には、得られる多孔質無機膜は多孔質ガラス膜となるた
め、透光性が非常に高い。
【0030】本発明の浸透気化分離膜は、多孔質無機基
材の表面に存在するOH基と疎水性シランカップリング
剤を反応させて得られており、水中に存在するアルコー
ルなどの有機化合物を浸透気化により高選択的に分離す
ることができる。
【0031】本発明の浸透気化分離膜においては、多孔
質無機基材の細孔内が疎水性シランカップリング剤によ
って表面改質されており、分離機能が従来の無機膜に比
べて格段に向上している。例えば、メタノールを5%含
有するメタノール水溶液中からのメタノールの分離能は
1000以上である。さらに、多孔質無機基材として多
孔質ガラス基材を使用した場合には、得られる多孔質無
機膜は多孔質ガラス膜となるため、良好な透明性を有し
ており、300nm以上の波長の光を透光することが確
認された。
【0032】これらのことから、酵素や光触媒などの光
によって省エネルギー的に有機化合物を生成するシステ
ムや、メタン資化菌類などによって有機化合物を生成す
るシステムから、その場で有機化合物を高選択的に分離
することができ、非平衡反応を確保し、高効率なシステ
ム稼働を実現できることに資する。
【0033】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明の特徴とすると
ころをより一層明確にする。
【0034】実施例1 平均細孔径が4nmの多孔質ガラス管を170℃で乾燥
した後、トルエンにシランカップリング剤であるオクタ
デシルジメチルクロロシラン(ODS)を0.4g/1
gGlass添加した反応液中に入れ、多孔質ガラス1gに
対して10mmolのピリジンを添加して、100℃で
24時間還流した。表面改質後、余分なシランカップリ
ング剤を洗浄するため、トルエン中で再度24時間還流
した。室温で風乾して余分なトルエンを除去した後、真
空中、65℃で乾燥して多孔質ガラス膜を得た。
【0035】得られた膜を、図1に示すようにPV装置
内に取り付け、30℃にて種々の有機化合物(水中に5
%含有)の分離を行ったところ、表1に示すような結果
が得られた。図1は、PV装置における分離膜サンプル
ホルダの概略図であり、図2は、有機化合物の分離を行
うためのPV装置の全体の概略図である。
【0036】さらに、膜の透光性を観察したところ、図
3のように波長が400nm以上の光は90%以上透過
することが示された。図3において、(1)は未改質多
孔質ガラス基材の紫外可視スペクトルを示し、(2)は
ODS改質多孔質ガラス膜の紫外可視スペクトルを示
す。
【0037】 [表1](ODS改質多孔質ガラス膜による水中に5%含有する種々の有機化 合物水溶液からのPVによる分離結果) 化合物名 分離係数 透過流束[g/m2h] メタノール 1000 3000 エタノール 2000 5000 酢酸 1200 2000 ブタノール 3500 4000 メチルエチルケトン 1000 1200 1−プロパノール 1500 3500 2−プロパノール 2300 2800 酢酸エチル 1200 2000 アセトン 2800 3000 ジオキサン 1400 2600
【0038】実施例2 実施例1と同様の処理により、多孔質ガラス管表面を
(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロ
デシル)ジメチルクロロシラン(FDS)で表面改質し
て、30℃にて種々の有機化合物(水中に5%含有)の
分離を行ったところ、表2に示すような結果が得られ
た。また、実施例1と同様の透光性は当該膜においても
観察された。
【0039】 [表2](FDS改質多孔質ガラス膜による水中に5%含有する種々の有機化 合物水溶液からのPVによる分離結果) 化合物名 分離係数 透過流束[g/m2h] メタノール 2500 3500 エタノール 4500 5000 酢酸 2200 2200 ブタノール 4300 4500 メチルエチルケトン 1100 1200 1−プロパノール 2000 3500 2−プロパノール 3300 3800 酢酸エチル 1500 2300 アセトン 3100 3400 ジオキサン 1900 2400
【0040】実施例3 実施例1と同様の処理により、多孔質ガラス管表面をO
DSで表面改質し、未反応シラノール基部をトリメチル
クロロシラン(TMS)で再度表面処理をした管状多孔
質ガラス膜を用いて、30℃にて種々の有機化合物(水
中に5%含有)の分離を行ったところ、表3に示すよう
な結果が得られた。また、実施例1と同様の透光性は当
該膜においても観察された。
【0041】 [表3](ODS+TMS改質多孔質ガラス膜による水中に5%含有する種々 の有機化合物水溶液からのPVによる分離結果) 化合物名 分離係数 透過流束[g/m2h] メタノール 1500 4000 エタノール 2700 5200 酢酸 1500 2300 ブタノール 4600 4100 メチルエチルケトン 1200 1500 1−プロパノール 1800 3800 2−プロパノール 3400 2900 酢酸エチル 2500 2900 アセトン 4000 3300 ジオキサン 1500 2900
【0042】 実施例4 ジルコニウムテトラブトキシド(ZrBu)を2−プロ
パノールに溶かし(0.05M)、これにジエチレング
リコール(DEG)をDEG/ZrBu=2のモル比で
添加し、密封して室温で2日間撹拌したコーティング液
に、アセトン中で5分間超音波洗浄して100℃で乾燥
する操作を2回以上行って洗浄した市販の多孔質アルミ
ナ管(最外表面の平均細孔径0.1μm)を浸漬した
後、ディップコートして空気中の水分で加水分解した
後、150℃で加熱処理を行ってジルコニアコーティン
グ管(平均細孔径4nm)を得た。この管の表面を実施
例1と同様の処理により、ODSで表面改質し、30℃
にて種々の有機化合物(水中に5%含有)の分離を行っ
たところ、表4に示すような結果が得られた。
【0043】 [表4](ジルコニアコーティング多孔質アルミナ管の表面をODSで改質し た膜による水中に5%含有する種々の有機化合物水溶液からのPVによる分離結 果) 化合物名 分離係数 透過流束[g/m2h] メタノール 1400 3400 エタノール 2400 5000 酢酸 1300 2200 ブタノール 4800 4300 メチルエチルケトン 1600 1400 1−プロパノール 1600 3400 2−プロパノール 3500 2700 酢酸エチル 2200 3200 アセトン 4300 3700 ジオキサン 1700 3300
【0044】実施例5 0.02molのジルコニウムテトラプロポキシド、
0.24molの1−プロパノールおよび0.005m
olの1,5−ジアミノペンタンを混合して密閉し、室
温で30分間撹拌した後に0.08molの氷酢酸を添
加した。徐々に白濁しだしたゾル液を透明にするため
に、濃硝酸を滴下して加えた。このゾル液を実施例4と
同様の多孔質アルミナ管の表面にディップコーティング
し、500℃で空気中で加熱処理してジルコニアコーテ
ィング管(平均細孔径4nm)を得た。この管の表面を
実施例1と同様の処理により、ODSで表面改質し、3
0℃にて種々の有機化合物(水中に5%含有)の分離を
行ったところ、表5に示すような結果が得られた。
【0045】 [表5](ジルコニアコーティング多孔質アルミナ管の表面をODSで改質し た膜による水中に5%含有する種々の有機化合物水溶液からのPVによる分離結 果) 化合物名 分離係数 透過流束[g/m2h] メタノール 1200 3700 エタノール 2400 5100 酢酸 1300 2400 ブタノール 4700 3400 メチルエチルケトン 1500 1800 1−プロパノール 1900 3700 2−プロパノール 3600 3100 酢酸エチル 2600 2400 アセトン 3700 3100 ジオキサン 1700 2500
【0046】
【発明の効果】本発明の浸透気化分離膜は、分離機能が
従来の浸透気化分離膜よりも格段に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】PV装置における分離膜サンプルホルダの概略
図である。
【図2】PV装置の全体の概略図である。
【図3】未改質多孔質ガラス基材およびODS改質多孔
質ガラス膜の紫外可視スペクトルを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D006 GA25 HA21 MA02 MA03 MA06 MA22 MB10 MB11 MB15 MB20 MC02 MC03 MC04X MC05 MC07 MC65X NA46 NA54 NA64 PA04 PB25 PB32 PB70

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質無機基材表面のOH基に、疎水性
    シランカップリング剤を反応させて得られた多孔質無機
    膜からなる浸透気化分離膜。
  2. 【請求項2】 多孔質無機基材が多孔質ガラス基材であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の浸透気化分離膜。
  3. 【請求項3】 多孔質無機基材が多孔質基材の表面に無
    機酸化物をコーティングしたものであることを特徴とす
    る請求項1に記載の浸透気化分離膜。
  4. 【請求項4】 疎水性シランカップリング剤が官能性基
    を1個有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載の浸透気化分離膜。
  5. 【請求項5】 疎水性シランカップリング剤が、疎水性
    基として炭素数8〜22の炭化水素基を1以上有するシ
    ランカップリング剤であることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれかに記載の浸透気化分離膜。
  6. 【請求項6】 疎水性シランカップリング剤がフッ素を
    含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
    載の浸透気化分離膜。
  7. 【請求項7】 疎水性シランカップリング剤が(ヘプタ
    デカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)
    ジメチルクロロシランである請求項6に記載の浸透気化
    分離膜。
  8. 【請求項8】 疎水性シランカップリング剤が、疎水性
    基として炭素数8〜22の炭化水素基を1以上有するシ
    ランカップリング剤と、疎水性基として炭素数1〜4の
    炭化水素基のみを有するシランカップリング剤との組合
    せである請求項1〜4のいずれかに記載の浸透気化分離
    膜。
  9. 【請求項9】 疎水性シランカップリング剤がオクタデ
    シルジメチルクロロシランとトリメチルクロロシランと
    の組合せである請求項8に記載の浸透気化分離膜。
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