JP2003051360A - カーボンブラシおよびそれを用いた整流子電動機ならびに電気機器 - Google Patents

カーボンブラシおよびそれを用いた整流子電動機ならびに電気機器

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JP2003051360A
JP2003051360A JP2001240837A JP2001240837A JP2003051360A JP 2003051360 A JP2003051360 A JP 2003051360A JP 2001240837 A JP2001240837 A JP 2001240837A JP 2001240837 A JP2001240837 A JP 2001240837A JP 2003051360 A JP2003051360 A JP 2003051360A
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commutator motor
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JP2001240837A
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Akihiko Watanabe
彰彦 渡辺
Noriteru Maeda
憲輝 前田
Seiji Kurozumi
誠治 黒住
Nobuhito Ueno
信人 上野
Katsutoshi Fujita
克敏 藤田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 寿命の長いカーボンブラシを提供し、前記カ
ーボンブラシを用いた整流子電動機および電気機器の長
寿命化を達成することを目的とする。 【解決手段】 フィラーの脱水熱分解あるいは吸熱融解
の少なくとも一方による吸熱反応を利用してカーボンブ
ラシ1の温度上昇を抑制したものである。これにより、
整流子の表面状態の変動や子片段差、雰囲気温度、湿度
等の変動が発生してもスパークを防止し、温度上昇を抑
制でき、カーボンブラシ寿命、および前記カーボンブラ
シを用いた整流子電動機ならびに前記整流子電動機を搭
載した電気機器の寿命を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は整流子と接触しなが
ら常に回転力を発生させるために電機子に流れる電流を
整流するためのカーボンブラシ、およびそれを用いた整
流子電動機ならびに前記整流子電動機を搭載した掃除
機、ジューサーミキサー等の電気機器に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】カーボンブラシが用いられる整流子電動
機において、例えば掃除機に使用される整流子電動機
は、近年、高入力化、高速回転化が進んでいる。これに
伴って、カーボンブラシの発熱、振動等が増加し、ま
た、カーボンブラシの早期摩耗により寿命が短くなって
いた。
【0003】この対策として、特開2000−1973
15公報では摩耗率低減とカーボンブラシ温度上昇低減
のために、固体潤滑剤を含有させ、かつ電気良導性金属
の皮膜を形成させている。
【0004】また、カーボンの摩擦抵抗を低減するため
に特開平5−190249号公報ではカーボンブラシに
アルミニウム粉末やチタン粉末を含有させている。
【0005】一方、特開平10−23717号公報では
カーボンブラシ温度を低減させるために高導電性金属層
をカーボンブラシに接合させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のカーボンブラシでは、整流子の表面状態の変動や子
片段差、雰囲気温度、湿度等の変動によりカーボンブラ
シと整流子間でスパークの発生により、カーボンブラシ
の温度上昇を促進させていた。
【0007】特に黒鉛粉を熱硬化性樹脂等の結合材で混
練し硬化したカーボンブラシ(レジンボンド系)の結合
材を劣化させ、カーボンブラシ寿命が低下し、整流子電
動機または整流子電動機を使用した電気機器の寿命が短
くなるという課題があった。
【0008】本発明はこのような課題に鑑み発明された
ものであり、寿命の長いカーボンブラシを提供し、前記
カーボンブラシを用いた整流子電動機および電気機器の
長寿命化を達成することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、フィラーの脱水熱分解あるいは吸熱融解の
少なくとも一方による吸熱反応を利用してカーボンブラ
シの温度上昇を抑制したものである。
【0010】これにより、整流子の表面状態の変動や子
片段差、雰囲気温度、湿度等の変動が発生してもスパー
クを防止し、温度上昇を抑制でき、カーボンブラシ寿
命、および前記カーボンブラシを用いた整流子電動機な
らびに前記整流子電動機を搭載した電気機器の寿命を向
上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本願請求項1に記載の発明は、吸
熱反応を利用して温度上昇を抑制することを特徴とする
カーボンブラシであり、運転時の整流子とカーボンブラ
シ間に発生するカーボンブラシの温度上昇を抑制するこ
とができる。
【0012】請求項2に記載の発明は、吸熱反応が脱水
熱分解あるいは吸熱融解の少なくとも一方によるもので
あることを特徴とする請求項1に記載のカーボンブラシ
であり、脱水熱分解あるいは融解吸熱(融解のときに熱
を吸収する作用)、またはその両方によりカーボンブラ
シの温度上昇を抑制することができる。
【0013】請求項3に記載の発明は、フィラーによる
吸熱反応であることを特徴とする請求項2に記載のカー
ボンブラシであり、フィラーの変更のみにより、あらゆ
る温度範囲で吸熱反応を起こすことができる。
【0014】請求項4に記載の発明は、フィラーが水酸
化アルミニウム、水酸化マグネシウムあるいは室温で固
体の金属セッケンのいずれか一つ、またはこれらの組合
せであることを特徴とする請求項3に記載のカーボンブ
ラシであり、脱水熱分解による吸熱反応を200℃から
300℃(水酸化アルミニウム)、あるいは300℃か
ら400℃(水酸化マグネシウム)で起こすことが可能
で、反応後に生成される高硬度の酸化金属(酸化アルミ
ニウムあるいは酸化マグネシウム)により、整流子表面
が清浄(整流子表面が前記酸化物により研磨)され、そ
の表面を平滑に保持することができる。
【0015】また、フィラーを室温で固体の金属セッケ
ンとした場合は、より低温度における融解吸熱による吸
熱反応を起こすことができ、さらに、融解した金属セッ
ケンは潤滑剤としてカーボンブラシと整流子表面の摩擦
抵抗を低減させ、温度上昇を低減できる。
【0016】また、水酸化アルミニウム、水酸化マグネ
シウムあるいは室温で固体の金属セッケンのうち複数を
フィラーとして添加した場合、上記各フィラーのもつ特
有の作用を同時に得ることができる。
【0017】なお、室温で液体の金属セッケンの場合、
整流子電動機の回転始動時に整流子表面とカーボンブラ
シとの間に油膜が発生し、電気伝導性を悪化する。
【0018】請求項5に記載の発明は、室温で固体の金
属セッケンがステアリン酸亜鉛若しくはステアリン酸カ
ルシウム、またはこれらの組合せであることを特徴とす
る請求項3に記載のカーボンブラシであり、金属セッケ
ンを110℃から130℃に融点を有するステアリン酸
亜鉛、あるいは145℃から165℃に融点を有するス
テアリン酸カルシウムとすることで、融解吸熱でカーボ
ンブラシの温度上昇を低減でき、また、融解した金属セ
ッケンは潤滑剤としてカーボンブラシと整流子表面の摩
擦抵抗を低減させ、温度上昇を低減できる。
【0019】請求項6に記載の発明は、フィラーの粒子
径が10μm以下であることを特徴とする請求項3から
請求項5のいずれか1項に記載のカーボンブラシであ
り、フィラーの脱落を防止することができ、かつフィラ
ーの吸熱反応を効果的に発生させることができる。
【0020】請求項7に記載の発明は、フィラーをカー
ボンブラシ内部に均一に混合させたことを特徴とする請
求項3から請求項6のいずれか1項に記載のカーボンブ
ラシであり、カーボンブラシと整流子表面が接触してい
る部分中の微小な部分(局部的に電流が流れる部分)の
温度上昇を抑制させることができる。
【0021】請求項8に記載の発明は、フィラーを含む
複合樹脂層をカーボンブラシ本体に一体的に固着させた
ことを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか1項
に記載のカーボンブラシであり、カーボンブラシ本体を
共通として、あらゆる温度範囲に対応できるフィラーを
含むカーボンブラシの製造を容易にすることができる。
【0022】請求項9に記載の発明は、フィラーを含む
複合樹脂層の結合材がカーボンブラシ本体を形成する結
合材と同一であることを特徴とする請求項8に記載のカ
ーボンブラシであり、カーボンブラシ本体と複合樹脂層
との硬度および摩耗量を同一にすることが可能で、かつ
カーボンブラシ本体と複合樹脂層が強固に一体化し、カ
ーボンブラシ本体と複合樹脂層の分離を防止できる。
【0023】請求項10に記載の発明は、複合樹脂層に
カーボンが混合されていることを特徴とする請求項8ま
たは請求項9に記載のカーボンブラシであり、熱伝導率
を向上させ、カーボンブラシの温度上昇を低減させるこ
とができる。
【0024】請求項11に記載の発明は、請求項1から
請求項10のいずれか1項に記載のカーボンブラシを用
いたことを特徴とする整流子電動機であり、カーボンブ
ラシの摩耗量を低減させることができる。
【0025】請求項12に記載の発明は、請求項11に
記載の整流子電動機を搭載したことを特徴とする電気機
器であり、電気機器の長寿命化が図られる。
【0026】
【実施例】以下、本発明の具体例について、図1および
図2を用いて説明する。
【0027】(実施例1)図1はカーボンブラシに高温
で吸熱反応を起こすフィラーを均一に混合させたカーボ
ンブラシの斜視図である。
【0028】カーボンブラシ1は黒鉛粉、熱硬化樹脂等
の結合材および硬化剤を混練し硬化したものや、黒鉛
粉、熱硬化樹脂またはピッチ等の結合材および硬化剤で
混練し、低温度で焼成して結合材を炭化させたものや、
前記低温度で焼成したものをさらに高温で焼成して炭素
成分の一部を黒鉛化処理したものがある。
【0029】このようなカーボンブラシ1は、水酸化ア
ルミニウムまたは水酸化マグネシウムからなるフィラ
ー、若しくはステアリン酸亜鉛あるいはステアリン酸カ
ルシウム等の室温で固体の金属セッケンからなるフィラ
ーを均一に分布するように混合したものであり、整流子
表面と微小に接触する面に、粒子径が10μm以下のフ
ィラーを接触させることができる。
【0030】水酸化アルミニウムは200〜300℃
で、水酸化マグネシウムは300〜400℃で、脱水熱
分解による吸熱反応を起こすため、このようなフィラー
を混合したカーボンブラシ1を用いた整流子電動機にお
いては、整流子との摩擦あるいはスパークによりカーボ
ンブラシ2の温度が上昇した場合、さらなる上昇が抑制
されることになる。
【0031】さらに、脱水熱分解による吸熱反応後、高
硬度の酸化アルミニウム、あるいは酸化マグネシウムが
生成され、これら酸化金属が整流子表面を研磨する研磨
材となり、この結果、整流子表面が清浄され、整流子表
面の平滑が保持される。
【0032】また、フィラーを室温で固体の金属セッケ
ンとした場合についても、金属セッケンの融解による吸
熱反応が起こり、脱水熱分解の場合と同様に、整流子と
の摩擦あるいはスパークによりカーボンブラシ1の温度
が上昇した場合、さらなる上昇を抑制することができ
る。
【0033】なお、金属セッケンとは、脂肪酸等、有機
酸の非アルカリ金属塩の総称したものであり、水には溶
けず、潤滑剤、離型剤等に使用され特に樹脂との分散性
が優れているものであり、本実施例におけるカーボンブ
ラシの用途としては、融点等を考慮するとよい。
【0034】すなわち、本実施用途における金属セッケ
ンとしては、ステアリン酸亜鉛あるいはステアリン酸カ
ルシウムが最適である。
【0035】ステアリン酸亜鉛の融点は、110〜13
0℃であり、またステアリン酸カルシウムの融点は、1
45〜165℃である。
【0036】また、これら融解した金属セッケンは、潤
滑剤としての機能を有しており、カーボンブラシ1と整
流子表面の摩擦抵抗を低減させ、温度上昇を低減でき
る。
【0037】以上のような、カーボンブラシ1の製造に
あたっては、黒鉛粉、エポキシ樹脂硬化剤およびフィラ
ーを混練し、所定の硬化温度させカーボンブラシ1とし
た。
【0038】硬化温度は、フィラーの脱水熱分解あるい
は融解吸熱による吸熱反応開始温度以上であっても短時
間であれば問題はないが、吸熱反応を起こすフィラーが
反応を開始する温度以下で硬化させるとよい。
【0039】さらに、フィラーの含有率は水酸化アルミ
ニウムまたは水酸化マグネシウムについては、好ましく
は10wt%以上とするとよい。
【0040】また、ステアリン酸亜鉛あるいはステアリ
ン酸カルシウム等の室温で固体の金属セッケンについて
も同様10wt%以上とするとよい。
【0041】次に、本具体例におけるカーボンブラシ1
(具体的には、10wt%のステアリン酸カルシウムを
混練したものを例とする)と、黒鉛粉とエポキシ樹脂と
硬化剤を混練したのみのカーボンブラシ(以下、「比較
材」と示す)であって、共に150℃で硬化させた各カ
ーボンブラシを用いた整流子電動機を搭載した掃除機用
整流子電動機の定格運転において、各カーボンブラシの
温度上昇および摩耗量を測定したので、その結果につい
て記載する。
【0042】なお、各カーボンブラシの温度上昇は熱電
対を各カーボンブラシに取り付けて測定し、また、摩耗
量は定格運転で200時間運転させた後の、各カーボン
ブラシの摩耗量を測定した。
【0043】カーボンブラシ1を用いた整流子電動機を
搭載した掃除機用整流子電動機は、比較材を用いた整流
子電動機を搭載した掃除機用整流子電動機と比較し、温
度上昇が5℃低減し、摩耗量は5%減少する。
【0044】この結果より、整流子の表面とカーボンブ
ラシ間の摩擦抵抗が低減されており、温度上昇が低減で
き、ブラシ寿命を長くすることができる。なお、前記の
ような有利な効果は、前述の各種フィラーにおいても得
ることができる。
【0045】上記説明では、水酸化アルミニウム、水酸
化マグネシウムあるいは金属セッケン単独をフィラーと
したカーボンブラシ2とした場合について記載してある
が、前記物質の複数、例えば、水酸化アルミニウムとス
テアリン酸カルシウムをフィラーとして添加しても良
く、このような場合、融解吸熱および脱水熱分解による
吸熱反応を広範囲の温度域で起こすことが可能となり
(上記組合せ例においては、おおよそ145〜300℃
の範囲について対応)、さらに、研磨材および潤滑剤と
しての両機能も得ることができる。
【0046】さらに、上記水酸化アルミニウム、水酸化
マグネシウムあるいは金属セッケンのうち複数の物質を
フィラーとした場合についても、カーボンブラシの温度
上昇および摩耗量に関しても前述と同等以上の有利な効
果を得ることができる。
【0047】なお、カーボンブラシ1にフィラーと共
に、ハロゲン化合物、りん化合物あるいはアンチモン化
合物等の難燃剤として使用されている材料を混合または
単独で配合しすることで、スパーク発生を低減すること
ができる。
【0048】(実施例2)図2はカーボンブラシに高温
で吸熱反応を起こすフィラーを混合させた複合樹脂層を
固着させたカーボンブラシの斜視図であるの斜視図であ
る。
【0049】カーボンブラシ2は黒鉛粉、熱硬化樹脂等
の結合材および硬化剤を混練し硬化したものや、黒鉛
粉、熱硬化樹脂またはピッチ等の結合材および硬化剤で
混練し、低温度で焼成して結合材を炭化させたものや、
前記低温度で焼成したものをさらに高温で焼成して炭素
成分の一部を黒鉛化処理したものがある。
【0050】また、複合樹脂層3の結合材としての熱硬
化性の樹脂には、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂等が使用され、硬化温度は硬化剤を適宜選択すること
により室温から200℃の間で調整することができる。
【0051】なお、硬化温度を200℃以上としても短
時間であれば問題はないが、脱水熱分解あるいは融解吸
熱による吸熱反応を起こすフィラーが反応を開始する温
度以下で硬化させるのがよい。
【0052】また、フィラーの含有量は、脱水熱分解の
吸熱反応を起こすフィラーは混合樹脂層の10wt%以
上、好ましくは40%以上混合し、室温で固体の金属セ
ッケンは混合樹脂層2の5wt%以上が好ましい。
【0053】なお、フィラーとして添加する物質は実施
例1と同様であり、その諸特性についての記載は省略す
る。
【0054】このようなフィラーを含有する複合樹脂層
3をカーボンブラシ本体4に一体的に固着させる方法と
しては、以下に示す方法がある。
【0055】すなわち、第1の方法は、接着剤で固着す
る方法であり、第2の方法は、複合樹脂層3の結合材
と、カーボンブラシ本体4の結合材を同一のものとし
て、硬化剤にて共に硬化させる方法である。
【0056】特に後者の場合、カーボンブラシ本体4と
複合樹脂層3との硬度を合わせることができ、この結
果、摩耗量が同一となり、カーボンブラシ本体4または
複合樹脂層3のいずれか一方のみが整流子に接触すると
いうような状態を回避することができる。
【0057】次に、本具体例におけるカーボンブラシ2
(具体的には、40wt%の水酸化アルミニウムを混練
し、150℃で硬化させた厚み1mmの複合樹脂層3
を、接着剤でカーボンブラシ本体4に一体的に固着した
ものを例とする)と、比較材(実施例1同様)を用いた
整流子電動機を搭載した掃除機用整流子電動機の定格運
転において、各カーボンブラシの温度上昇および摩耗量
を測定したので、その結果について記載する。
【0058】なお、各カーボンブラシの温度上昇は熱電
対を各カーボンブラシに取り付けて測定し、また、摩耗
量は定格運転で200時間運転させた後の、各カーボン
ブラシの摩耗量を測定した。
【0059】カーボンブラシ2を用いた整流子電動機を
搭載した掃除機用整流子電動機は、比較材を用いた整流
子電動機を搭載した掃除機用整流子電動機と比較し、温
度上昇が15℃低減し、摩耗量は10%減少する。
【0060】この結果より、整流子の表面とカーボンブ
ラシ間の摩擦抵抗が低減されており、温度上昇が低減で
き、ブラシ寿命を長くすることができる。なお、前記の
ような有利な効果は、前述の各種フィラーにおいても得
ることができる。
【0061】上記説明では、水酸化アルミニウム、水酸
化マグネシウムあるいは金属セッケン単独をフィラーと
したカーボンブラシ2とした場合について記載してある
が、前記物質の複数をフィラーとした場合についても、
実施例1に記載の有利な効果と同様の効果を得ることが
できる。
【0062】なお、その詳細な効果については実施例1
と同様であるため、その記載は省略する。
【0063】さらに、カーボンブラシ本体4あるいは複
合樹脂層3の少なくとも一方に、ハロゲン化合物、りん
化合物あるいはアンチモン化合物等の難燃剤として使用
されている材料を混合または単独で配合することで、ス
パーク発生を低減することができる。
【0064】
【発明の効果】以上のように本願記載の発明によれば、
脱水熱分解あるいは吸熱融解の少なくとも一方による吸
熱反応を利用して温度上昇を抑制することを特徴とする
カーボンブラシであり、運転時の整流子とカーボンブラ
シ間に発生するカーボンブラシの温度上昇を抑制するこ
とができる。
【0065】また、脱水熱分解あるいは吸熱融解の少な
くとも一方による吸熱反応は、水酸化アルミニウム、水
酸化マグネシウムあるいは室温で固体の金属セッケン
(ステアリン酸亜鉛あるいはステアリン酸カルシウム)
のいずれか一つ、またはこれらの組合せによるフィラー
とすることで、フィラーの変更のみにより、あらゆる温
度範囲で吸熱反応を起こすことができ、例えば、前記フ
ィラーの全てを含有するカーボンブラシの場合、おおよ
そ110〜400℃の範囲で吸熱反応を起こすことがで
きる。また、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシ
ウムにおいては、反応後に生成される高硬度の酸化金属
(酸化アルミニウムあるいは酸化マグネシウム)によ
り、整流子表面が清浄され、その表面を平滑に保持する
ことができ、ステアリン酸亜鉛あるいはステアリン酸カ
ルシウム等の室温で固体の金属セッケンにおいては、融
解した前記金属セッケンは潤滑剤としてカーボンブラシ
と整流子表面の摩擦抵抗を低減させることができる。さ
らに、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムあるい
は室温で固体の金属セッケンのうち複数をフィラーとし
て添加した場合、上記各フィラーのもつ清浄作用および
潤滑作用を同時に得ることができる。
【0066】さらに、カーボンブラシの形態を、カーボ
ンブラシ内部に均一にフィラーを混合させた場合、カー
ボンブラシと整流子表面が接触している部分中の微小な
部分(局部的に電流が流れる部分)の温度上昇を抑制さ
せることができる。
【0067】また、カーボンブラシの形態を、フィラー
を含む複合樹脂層をカーボンブラシ本体に一体的に固着
させた場合、カーボンブラシ本体を共通として、あらゆ
る温度範囲に対応できるフィラーを含むカーボンブラシ
の製造を容易にすることができる。そして、複合樹脂層
の結合材とカーボンブラシ本体を形成する結合材と同一
とすることで、カーボンブラシ本体と複合樹脂層との硬
度および摩耗量を同一にすることが可能で、かつカーボ
ンブラシ本体と複合樹脂層が強固に一体化し、カーボン
ブラシ本体と複合樹脂層の分離を防止できる。さらに、
複合樹脂層にカーボンを混合することで、熱伝導率を向
上させ、カーボンブラシの温度上昇を低減させることが
できる。
【0068】以上のようなカーボンブラシを整流子電動
機に、さらに前記整流子電動機を電気機器に搭載した場
合、カーボンブラシの摩耗量を低減させることが可能
で、電気機器の長寿命化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高温で吸熱反応を起こすフィラーを均
一に混合させたカーボンブラシの斜視図
【図2】本発明の高温で吸熱反応を起こすフィラーを混
合させた複合樹脂層を固着させたカーボンブラシの斜視
【符号の説明】
1、2 カーボンブラシ 3 複合樹脂層 4 カーボンブラシ本体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒住 誠治 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 上野 信人 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 藤田 克敏 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5H613 AA01 AA03 BB04 BB15 GA09 GB01 GB06 GB08 GB09 GB13 GB16 KK02 QQ04 SS04 5H623 AA04 AA08 AA10 JJ08

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸熱反応を利用して温度上昇を抑制する
    ことを特徴とするカーボンブラシ。
  2. 【請求項2】 吸熱反応が脱水熱分解あるいは吸熱融解
    の少なくとも一方によるものであることを特徴とする請
    求項1に記載のカーボンブラシ。
  3. 【請求項3】 フィラーによる吸熱反応であることを特
    徴とする請求項2に記載のカーボンブラシ。
  4. 【請求項4】 フィラーが水酸化アルミニウム、水酸化
    マグネシウムあるいは室温で固体の金属セッケンのいず
    れか一つ、またはこれらの組合せであることを特徴とす
    る請求項3に記載のカーボンブラシ。
  5. 【請求項5】 室温で固体の金属セッケンがステアリン
    酸亜鉛若しくはステアリン酸カルシウム、またはこれら
    の組合せであることを特徴とする請求項3に記載のカー
    ボンブラシ。
  6. 【請求項6】 フィラーの粒子径が10μm以下である
    ことを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項
    に記載のカーボンブラシ。
  7. 【請求項7】 フィラーをカーボンブラシ内部に均一に
    混合させたことを特徴とする請求項3から請求項6のい
    ずれか1項に記載のカーボンブラシ。
  8. 【請求項8】 フィラーを含む複合樹脂層をカーボンブ
    ラシ本体に一体的に固着させたことを特徴とする請求項
    3から請求項6のいずれか1項に記載のカーボンブラ
    シ。
  9. 【請求項9】 フィラーを含む複合樹脂層の結合材がカ
    ーボンブラシ本体を形成する結合材と同一であることを
    特徴とする請求項8に記載のカーボンブラシ。
  10. 【請求項10】 複合樹脂層にカーボンが混合されてい
    ることを特徴とする請求項8または請求項9に記載のカ
    ーボンブラシ。
  11. 【請求項11】 請求項1から請求項10のいずれか1
    項に記載のカーボンブラシを用いたことを特徴とする整
    流子電動機。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の整流子電動機を搭
    載したことを特徴とする電気機器。
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