JP2003049907A - 高負荷伝動ベルト - Google Patents

高負荷伝動ベルト

Info

Publication number
JP2003049907A
JP2003049907A JP2002080472A JP2002080472A JP2003049907A JP 2003049907 A JP2003049907 A JP 2003049907A JP 2002080472 A JP2002080472 A JP 2002080472A JP 2002080472 A JP2002080472 A JP 2002080472A JP 2003049907 A JP2003049907 A JP 2003049907A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
belt
block
load transmission
transmission belt
high load
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002080472A
Other languages
English (en)
Inventor
Takehiko Ito
武彦 伊東
Shoji Tsuji
勝爾 辻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsuboshi Belting Ltd
Original Assignee
Mitsuboshi Belting Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsuboshi Belting Ltd filed Critical Mitsuboshi Belting Ltd
Priority to JP2002080472A priority Critical patent/JP2003049907A/ja
Publication of JP2003049907A publication Critical patent/JP2003049907A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16GBELTS, CABLES, OR ROPES, PREDOMINANTLY USED FOR DRIVING PURPOSES; CHAINS; FITTINGS PREDOMINANTLY USED THEREFOR
    • F16G5/00V-belts, i.e. belts of tapered cross-section
    • F16G5/16V-belts, i.e. belts of tapered cross-section consisting of several parts
    • F16G5/166V-belts, i.e. belts of tapered cross-section consisting of several parts with non-metallic rings

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 張力帯の内周側において、エラストマーにか
かる応力が緩和されるので発熱量も抑えることができ、
張力帯の劣化や熱によるブロックの劣化を防止しベルト
の寿命を延ばすことができるものである。 【解決手段】 張力帯3a、3bと複数のブロック2と
からなる高負荷伝動ベルト1において、心体5を埋設し
た張力帯3a、3bと該張力帯に設けた複数のブロック
2とからなる高負荷伝動ベルト1において、心体5は張
力帯3a、3bの厚み方向の中心よりもベルトの内周側
に配置している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、張力帯の長手方向
に沿って多数のブロックを固定した高負荷伝動ベルトに
関する。
【0002】
【従来の技術】ベルト式無段変速装置に使用するベルト
は、プーリのV溝幅を変えることによってプーリに巻き
かかる有効径を変化させ変速比を調節する様な変速プー
リに巻き掛けて使用するものであり、プーリからの側圧
が大きくなるのでベルトは大きな側圧に耐えるものでな
くてはならない。また、無段変速の用途以外にも通常の
ゴムベルトでは寿命が短くなりすぎるような高負荷伝動
の用途には特別に高負荷に耐えうるようなベルトを用い
る必要がある。
【0003】そのようなベルトとして使用されるものの
中に、センターベルトにブロックを固定してベルト幅方
向の強度を高めた高負荷伝動ベルトがあり、具体的な構
成としては、心体をゴムなどのエラストマー中に埋設し
たセンターベルトにボルトやリベットなどの止着材を用
いてセンターベルトに使用しているエラストマーよりも
比較的硬質のエラストマーからなるブロックを止着固定
したものや、特開昭63−34342に示すようにブロ
ックの両側面に溝を有しており、一対の張力帯を前記側
面に設けた溝に嵌合したようなベルトがある。
【0004】このような引張伝動式の高負荷伝動ベルト
の要求品質としては、上記のように無段変速の用途とし
て使われる。無段変速ではベルトを巻きかけるプーリの
有効径を変化させることによって変速するような仕組み
となっており、ベルトは小プーリ径で用いられることに
なる。
【0005】特に小プーリ径にベルトが巻きかかる際
に、張力帯の内周面側がブロックに挟まれた状態になっ
て応力が集中し、張力帯を構成するゴムが劣化してクラ
ックが生じたり、ベルト切断の原因となったりしてい
た。
【0006】そこでそのような張力帯にかかる応力の集
中を緩和するために特開昭62−151646には、張
力帯の内周面に設けた凸部上端がブロックの凸部下端位
置よりも上に位置するように設定して、ベルトがプーリ
に巻きかかって屈曲した際に張力帯の凸部がブロックに
よって挟まれることがないようにしたベルトが提案され
ている。
【0007】また、特開平9−25999にはブロック
と張力帯の嵌合する部分において張力帯内周面に形成す
る凹部の曲率半径よりブロックの形成する凸部の曲率半
径を小さく設定することによって両者の間に隙間を設け
るようにしたベルトが開示されている。
【0008】また一方で、このような引張伝動式の高負
荷伝動ベルトのブロックの要求品質としては、上記のよ
うに摩擦伝動において高負荷の伝動を目的としているた
めに、曲げ疲労性、耐摩耗性、耐熱性、剛性、耐衝撃性
等の性質をバランス良く保有する必要がある。さらにプ
ーリを摩耗させないようにすることも大切な要素であ
る。
【0009】これらの要求を満たす高負荷伝動ベルトと
して、例えば、特開昭63−34342号公報に開示さ
れているようなものがある。このベルトは、ブロックと
プーリの接触する部分が、フェノール系樹脂成分にゴム
成分が添加された樹脂成形材料によって、金属等によっ
て形成されているインサート材を被覆した2重構造のブ
ロックを用いたものである。
【0010】また、特公平7−110900号公報に
は、フェノール系樹脂にアクリロニトリル−ブタジエン
系ゴムをマトリックスとして炭素繊維及びアラミド繊維
の2繊維を含む繊維質充填率25〜60重量部を配合さ
せて、炭素繊維はオニオン構造を有し、結晶層厚が25
〜200μmであるフェノール系樹脂を用いたブロック
が用いられた高負荷伝動ベルトが開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前記特開昭62−15
1646や特開平9−25999のような構成を採るこ
とによって、ベルトの屈曲によって張力帯の内周面に応
力が集中して、張力帯に亀裂を生じることや、発熱を来
たしてゴムなどの材料が劣化するといった問題が発生す
ることは緩和することができる。
【0012】しかし、基本的にブロックによって拘束さ
れた張力帯が屈曲する、特に小プーリ径にて屈曲するこ
とによって張力帯の内周面が大きく圧縮されてどうして
も内部発熱が発生し、張力帯の劣化につながったり、樹
脂製のブロックを軟化させてブロックの破損につながっ
たりする問題が解消されない。
【0013】また、最近はニーズの多様化により、高負
荷ではあるが従来のものよりも負荷が少し低く、高速で
回転させることができる高負荷伝動ベルトの要求も出て
きているが、例えば特開昭63−34342号公報に開
示されているベルトは、アルミニウム合金等をインサー
ト材として使用しているため、高速で回転すると、その
重量のため、大きな遠心力がかかり、ベルトに大きな張
力が作用して、ベルトが早期破損するという問題が生じ
るようになった。
【0014】また、高速回転により、プーリとブロック
間で発生する熱量も多くなり、そのため、特公平7−1
10900号公報で開示されているようなフェノール系
樹脂を主成分とするブロックでは、フェノール系樹脂が
耐衝撃性に劣るところがあり、ベルトの破損が発生する
ことがある。これを改善しなくては、前述の高負荷伝動
ベルトとしての要求を高いレベルで満足することができ
ないものであった。また、フェノール樹脂は熱硬化性樹
脂であるために成形サイクルが長くなってしまうことや
リサイクル性に劣るといった問題もある。
【0015】そこで、本発明は前記のような問題を解決
して小プーリ径にてベルトが屈曲するような用い方をし
たとしても、張力帯の内周側を形成するエラストマーか
らの発熱が少なく、張力帯やブロックの熱による劣化を
緩和し、ひいてはベルト寿命を延長することができ、更
にはブロック重量を軽くすることで高速回転した場合で
あっても、十分な強度を有するとともに、高負荷伝動ベ
ルトとして要求されている条件を高いレベルで満足でき
る引張伝動式の高負荷伝動ベルトの提供を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】以上のような目的を達成
するために本発明の請求項1では、エラストマー中に心
体を埋設した張力帯と、該張力帯に設けた複数のブロッ
クとからなる高負荷伝動ベルトにおいて、心体の位置は
張力帯の厚み方向の中心よりもベルト内周側に配置した
ことを特徴とする。
【0017】このように張力帯の心体の位置を厚み方向
の中心よりもベルト内周側に位置させることによって、
ベルトが屈曲したときに圧縮される心体よりも内周側の
エラストマーの厚みが薄くなり、エラストマーにかかる
応力が緩和されるので発熱量も抑えることができ、張力
帯の劣化や熱によるブロックの劣化を防止しベルトの寿
命を延ばすことができるものである。
【0018】請求項2では、心体の位置は張力帯の内周
面から全厚みの30〜48%に位置している請求項1記
載の高負荷伝動ベルトとしている。
【0019】心体の位置を前記の範囲内とすることによ
って、張力帯やブロックの劣化を防止するという効果を
十分に発揮することができて、しかも心体よりも内周側
のエラストマーの厚みが薄すぎることによる張力帯の破
損などの問題もない高負荷伝動ベルトを提供することが
できるものである。
【0020】請求項3では、ブロックはインサート材を
埋設していない合成樹脂材料からなる請求項1または2
記載の高負荷伝動ベルトとしている。
【0021】金属などのインサート材を埋設していない
ブロックを用いたベルトの場合は、比較的負荷の小さ
い、たとえば自動二輪などの用途に向けられることが多
く、変速の幅を広くとるために小プーリ径で用いられる
ことが頻繁になるので、張力帯の内周側の厚みを薄くし
て屈曲をよくし、発熱を抑えることによる効果が顕著で
ある。
【0022】請求項4では、合成樹脂材料は曲げ弾性率
が15〜20GPaであり、且つ、ブロックの幅をW、
厚みをtとするとt/Wの数値が0.11〜0.20の
歯にとした高負荷伝動ベルトとしている。
【0023】従来補強材としてブロック中に埋設してい
たアルミニウム合金などのインサート材を埋設していな
いためブロックを軽量化することができるが、ブロック
自身の強度としては低下することになる。そこでブロッ
クの幅と厚みの比を上記のように0.11〜0.20の
範囲とすることによって、負荷によるブロック変形量を
少なくすることができ、伝達性能が向上するとともに寿
命を大幅に改善することができる。
【0024】請求項5では合成樹脂材料はポリアミド樹
脂に繊維状補強材を15〜40質量%配合したものであ
る高負荷伝動ベルトとしている。
【0025】ブロックに繊維状補強材を配合したポリア
ミド樹脂を用いることで、強度を向上させることができ
るとともにブロック重量を軽量にすることが可能とな
り、作用する遠心力を小さくすることができる。
【0026】請求項6では、繊維状補強材が炭素繊維で
ある高負荷伝動ベルトとしており、ブロックの硬度が高
くなり、耐摩耗性に優れたものとすることができる。
【0027】請求項7では、ポリアミド樹脂がナイロン
46である高負荷伝動ベルトとしており、他のポリアミ
ドに比べて靭性が高く、樹脂の破損や割れが発生しにく
いことからより高負荷伝動ベルトの寿命の改善につなが
る。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明を
具体的に説明する。
【0029】図1は、本発明に係る高負荷伝動ベルト1
の一例を示す斜視概略図であり、図2はその側断面図で
ある。本発明の高負荷伝動ベルト1は、エラストマー4
内にロープ状の心体5をスパイラル状に埋設してなる同
じ幅の二本の張力帯3a、3bと、この張力帯3a、3
bの、上面に所定ピッチで形成された凹部6に嵌合し、
係止固定されている複数のブロック2とから構成されて
いる。このブロック2の両側面2a、2bは、プーリの
V溝と係合する傾斜のついた面となっており、駆動され
たプーリから動力を受け取って、係止固定されている張
力帯3a、3bを引張り、駆動側プーリの動力を従動側
プーリに伝動している。
【0030】ブロック2は、図1に示すように、上ビー
ム部11および下ビーム部12と、上下ビーム部11、
12の中央部同士を連結したセンターピラー13からな
っており、ブロック2の両側面には張力帯3a、3bを
嵌めこむ溝14、15が形成されている。また、溝15
内の溝上面16および溝下面17には張力帯3の上面に
設けた凹条部18と下面に設けた凹条部19に係合する
凸条部20、21が設けられている。
【0031】図3は、別のベルトの例であり、ビーム部
31の両端から上方に向かって一対のサイドピラー3
2、33が延びており、このサイドピラー32、33の
上端からそれぞれブロック2の中心に向かって延びるロ
ック部34、35が対向するように設けられている。そ
して、これらビーム部31、サイドピラー32、33及
びロック部34、35によって張力帯3a、3bが嵌合
する嵌合溝30が形成されている。この嵌合溝30に、
張力帯3a、3bが、ロック部34、35間の開口部よ
り挿入され装着される。また、ロック部34、35の嵌
合溝30側には、凸部37がそれぞれ設けられており、
この凸部37が、張力帯3a、3bに所定ピッチで設け
られている凹部36に嵌合する。これによって、張力帯
3a、3bは、装着後はブロック2から抜けにくい状態
となる。
【0032】このブロック2は合成樹脂素材のみからな
っており、アルミニウム合金などの金属などからなるイ
ンサート材は一切埋設されていない。ただし、ここで金
属などからなるインサート材というのは、それだけでほ
ぼブロックの形状を呈する骨組的なものことを指し、例
えば合成樹脂素材中に配合する形で加える短繊維やウィ
スカなどの補強材を添加することはインサート材を埋設
することを意味するものではない。
【0033】本発明では請求項1および請求項2におい
てはインサート材を埋設したブロックを使用したベルト
も対象としているが、請求項3においてインサート材を
埋設しないベルトに限定している。このようなインサー
ト材を埋設していないブロックを用いたベルトの場合、
インサート材を埋設したブロックを用いたベルトより
も、軽量化が可能なので高回転で使用してもベルトに発
生する遠心力が小さいという優位点があるが、耐側圧性
には劣ることになって、自動二輪などの比較的軽負荷で
使用されることになる。
【0034】このような用途では変速比が重要であり、
変速の幅を広くとるためにかなりの小プーリ径で用いら
れることも頻繁である。小プーリ径に巻きかかるとベル
トはより屈曲したときに内周側のエラストマーの圧縮が
大きくなり、応力による張力帯の劣化、内部発熱による
エラストマーや樹脂製のブロックの軟化や劣化が問題と
なってくる。
【0035】そこで、本発明では張力帯3a、3bにお
いて、心体5の位置は張力帯3a、3bの厚み方向の中
心よりもベルト内周側に配置している。これは図1およ
び図2において張力帯3a、3bの全厚みDの中心の位
置よりも心体5の厚み方向の中心が、ベルトの内周側に
ずれているように配置するということである。
【0036】張力帯3a、3bは屈曲する際に心体5の
ラインを基準に曲がり、心体5より外周側のエラストマ
ー4aは伸張され、一方心体5より内周側のエラストマ
ー4bは圧縮されている。張力帯3a、3bに多数のブ
ロック2を嵌合した本発明で用いられるような高負荷伝
動ベルト1では、樹脂製のブロック2により張力帯3
a、3bが挟まれており、高負荷伝動ベルト1が屈曲し
て心体5より内周側のエラストマー4bが圧縮されても
体積的に逃げ場がなく、エラストマー4bに大きな内部
発熱を発生する。
【0037】本発明のように心体5を張力帯3a、3b
の厚み方向の中心よりもベルト内周側に配置することに
よって、心体5より内周側のエラストマー4bの厚みが
薄くなり、屈曲しても圧縮はより小さなものになるので
発熱量も少なくすることができてベルトの長寿命化にも
寄与することができる。
【0038】そして、心体5の位置は張力帯3a、3b
の内周面6から全厚みの30〜48%の範囲内とするこ
とが好ましい。これは内周面6から心体5の厚み方向の
中心までの距離dが、張力帯3a、3bの全厚みDの3
0〜48%とするという意味である。
【0039】前記のような範囲内とすることによって心
体5を張力帯の内周側に配置することによる効果を十分
に得ることができて、しかも張力帯内周側のエラストマ
ー4bの厚みが薄くなりすぎて心体5がブロック2によ
ってダメージを受けるなどの問題も防止することができ
る。
【0040】また、ブロック2が合成樹脂素材のみから
なっており、アルミニウム合金などの金属からなるイン
サート材を埋設することによって補強していないものの
場合、インサート材による補強がなされてないことか
ら、ベルトに負荷がかかることによってブロックが変形
しやすく、ブロックの変形が大きくなるとベルトの伝達
性能が落ちるとともに、ブロックの繰り返し変形による
劣化も激しくベルトの寿命を短くすることになる。
【0041】本発明ではインサート材を埋設していない
ブロックの場合に、合成樹脂の曲げ弾性率が15〜20
GPaの範囲であり、しかもブロックの幅をW、厚みを
tとするとt/Wが0.11〜0.20の範囲としてい
る。インサート材を埋設していないブロックであっても
このような条件を満たすブロックとすることによって、
変形量が少なくなり、伝達性能が向上するとともに寿命
が大幅に改善される。ブロックの幅Wとは図4に示すよ
うにブロックの上幅であり、厚みtとはブロックの上ビ
ーム部における厚みとする。また、本発明でいう曲げ弾
性率とはASTM D790 23℃での値とする。
【0042】t/Wの比が0.11より小さくなると不
簡易よりブロックが湾曲座屈し、短時間でベルトが破壊
してしまうことにもなる。また、t/Wが0.20より
大きくなるとブロックの変形は少ないものの、ブロック
の厚みが大きくなるのでピッチが増大することによるブ
ロックとプーリとの衝突エネルギーが増大するとともに
プーリ中でベルトが多角形を形成することになるので、
ベルト振動の増大により騒音が高くなってしまうこと
や、寿命が短くなってしまうといった問題が発生するの
で好ましくない。
【0043】張力帯3a、3bのエラストマー4として
使用されるものは、クロロプレンゴム、天然ゴム、ニト
リルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水素化ニトリル
ゴムなどの単一材またはこれらを適宜ブレンドしたゴム
あるいはポリウレタンゴム等が挙げられる。そして、心
体5としてはポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラ
ミド繊維、ガラス繊維、スチールワイヤ等から選ばれた
ロープが用いられる。また、心体5はロープをスパイラ
ル状に埋設したもの以外にも、上記の繊維の織布、編布
や金属薄板等を使用することもできる。
【0044】ブロックの樹脂として用いることができる
のは、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹
脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリブ
チレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリイミド(P
I)樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)樹脂、ポ
リエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等の合成樹
脂が用いられるが、中でも低摩擦係数で耐摩耗性に優
れ、剛性があるとともに曲げに対しても弾力性を有して
おり、簡単に破損してしまうことのない樹脂がよく、ポ
リアミド樹脂、なかでもナイロン46が好ましいといえ
る。
【0045】本発明では前述のようにブロックを形成す
る合成樹脂中に繊維状の補強材やウィスカ状の補強材を
配合することは可能であり、繊維状の補強材は15〜4
0重量%の範囲で配合する。15重量%未満であると補
強効果が少なくブロックの耐磨耗性が十分でないなどの
問題があり、40重量%を超えると樹脂への配合が困難
になったり射出成形が困難になるなどの問題があるので
好ましくない。
【0046】合成樹脂に配合する繊維状補強材として
は、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアミド
繊維、ポリエステル繊維などを挙げることができる。そ
の中でも前記のブロックを構成する樹脂で好ましい例で
あるナイロン46と炭素繊維を組み合わせて用いること
によって炭素繊維がナイロン46の吸水性の欠点を改善
し、剛性を大幅に向上させることができて、且つナイロ
ン46の有する耐摩耗性、耐衝撃性、耐疲労性を生かす
ことができるものである。炭素繊維の中でも、PAN系
炭素繊維を用いることが好ましい。また、炭素繊維と組
み合わせてアラミド繊維を配合することによってブロッ
クの靭性が向上し、耐摩耗性や、耐衝撃性を一層向上さ
せることができる。
【0047】ここで、使用されるPAN系炭素繊維は、
熱可塑性樹脂と相性が良く、用いる炭素繊維の長さは1
〜5mmのものが好ましい。1mm未満であると、ブロ
ックの補強が十分になされず、また、5mmを越える
と、樹脂との混練が困難になること、また、混練時に折
れて短くなってしまうので好ましくない。
【0048】また、前記繊維状補強材として上記の有機
繊維のほかにも酸化亜鉛ウィスカ、チタン酸カリウムウ
ィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカなどの無機繊維を
配合してもよい。これらの中では、酸化亜鉛ウィスカを
用いることが好ましい。酸化亜鉛ウィスカは、テトラポ
ット状に四方に手が延びた立体的形状をしている。この
酸化亜鉛ウィスカは、これ単独でも耐熱性、耐摩耗性に
優れたものであるが、前述のようにテトラポット状の立
体的形状をしているため、炭素繊維とともに配合する
と、炭素繊維の配向が抑制され、成形時のそりや成形収
縮の異方性が改良される。さらに、このように炭素繊維
の配向を低減できるため、ブロック2の靭性、曲げ剛性
等の強度についての異方性も低減することができ、か
つ、摩擦係数が安定するため、耐摩耗性が向上する。
【0049】また、酸化亜鉛ウィスカは、高比重、高剛
性であるため、プーリとの接触時の振動を低減でき、ノ
イズの発生を小さくすることができる。なお、この酸化
亜鉛ウィスカの配合量が少ない場合は、添加した効果が
発現せず、多すぎると、混練できず、成形することが困
難となる。
【0050】このような材料構成とすることによって、
プーリと接する際に受ける側圧にも十分に耐えうる剛
性、靭性等の強度を有するとともに、耐摩耗性に優れ、
更には、摩擦時に発生する熱に対しても強いブロックと
することが可能となり、プーリから受ける動力を効率よ
く張力帯3a、3bに引張力として伝えることができ、
引張伝動式の高負荷伝動ベルトを構成することができ
る。
【0051】なお、これらの他に、二硫化モリブデン、
グラファイト、フッ素系樹脂から選ばれてなる少なくと
も一つを混入することによってもブロック2の潤滑性を
向上させることができる。フッ素系樹脂としては、ポリ
4フッ化エチレン(PTFE)、ポリフッ化エチレンプ
ロピレンエーテル(PFPE)、4フッ化エチレン6フ
ッ化プロピレン共重合体(PFEP)、ポリフッ化アル
コキシエチレン(PFA)等が挙げられる。
【0052】なお、本発明にかかる高負荷伝動ベルトに
用いられるブロックには、本実施形態に示した形態に限
定されるものではない。
【0053】
【実施例】次に、張力帯における心体の位置を変化させ
た高負荷伝動ベルトを作製し、それぞれのベルト用いて
走行試験を行い性能の比較を行った。
【0054】(実施例1)使用した高負荷伝動ベルト
は、図1に示すようなブロックを用いたものであり、そ
のブロックの材料としてはナイロン46の100重量部
に炭素繊維を30重量部配合したものを用いた。また張
力帯にはエラストマーとして水素化ニトリルゴムを用
い、心体としてはアラミド繊維からなるロープをエラス
トマー中にスパイラル状に埋設した。なお、心体の位置
は張力帯の内周面から張力帯の全厚みの43%の位置に
配置した。
【0055】得られたベルトを用いて表1に示す条件で
走行させ、耐久時間を測定した。その結果を表2に示
す。
【0056】(比較例1)心体の位置を張力帯の内周面
から張力帯の全厚みの50%(心体の上下の厚みが同
じ)の位置に配置した以外は実施例1と全く同じ高負荷
伝動ベルトを作成し、同様に走行試験を行った。その結
果を表2に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】表2の結果から判るように、実施例1のベ
ルトは寿命時間も長い結果となっているのに対して、比
較例では寿命が短く、故障現象も下ビーム部の破損とな
っている。張力帯の内周側のエラストマーが圧縮される
ことによって発生した熱によってブロックを構成するナ
イロン46が軟化して破損に至っていると予測される。
【0060】次に、t/Wの値を変えたブロックを用い
た高負荷伝動ベルトを作製し、それぞれのベルト用いて
走行試験を行い性能の比較を行った。
【0061】(実施例2)使用した高負荷伝動ベルト
は、図1に示すようなブロックを用いたものであり、そ
のブロックの材料としてはナイロン46の100重量部
に炭素繊維を30重量部配合したStanyl TW2
00B6(日本合成ゴム社製)を用いた。ブロックのt
/Wの値は0.11とした。表3に示す条件で走行させ
耐久時間と騒音を測定した。その結果を表4に示す。
【0062】(実施例3)ブロックのt/Wの値を0.
14とした以外は実施例1と全く同じ高負荷伝動ベルト
を作成し、同様に走行試験を行った。その結果を表4に
示す。
【0063】(実施例4)ブロックのt/Wの値を0.
20とした以外は実施例1と全く同じ高負荷伝動ベルト
を作成し、同様に走行試験を行った。その結果を表4に
示す。
【0064】(比較例2)ブロックのt/Wの値を0.
08とした以外は実施例1と全く同じ高負荷伝動ベルト
を作成し、同様に走行試験を行った。その結果を表4に
示す。
【0065】(比較例3)ブロックのt/Wの値を0.
10とした以外は実施例1と全く同じ高負荷伝動ベルト
を作成し、同様に走行試験を行った。その結果を表4に
示す。
【0066】(比較例4)ブロックのt/Wの値を0.
22とした以外は実施例1と全く同じ高負荷伝動ベルト
を作成し、同様に走行試験を行った。その結果を表4に
示す。
【0067】(比較例5)ブロックのt/Wの値を0.
24とした以外は実施例1と全く同じ高負荷伝動ベルト
を作成し、同様に走行試験を行った。その結果を表4に
示す。
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】表4の結果から判るように、実施例2、3
のベルトは耐久時間も長く、騒音も低い結果になってお
り、実施例4はブロックのピッチが大きくなっているこ
とからわずかに騒音が大きくなっているが問題のない範
囲である。
【0071】比較例2、3は短時間で走行方向にブロッ
クが湾曲座屈してベルトが切断した。比較例4はブロッ
クの変形は認められないがベルトが切断しており、新線
の疲労であると推定される。また、比較例5は比較例4
よりも更にブロックピッチが大きくなっており、ベルト
の振動の影響が増し発生する騒音のレベルも増加が見ら
れる。
【0072】
【発明の効果】以上のように本発明の請求項1の高負荷
伝動ベルトは、エラストマー中に心体を埋設した張力帯
と、該張力帯に設けた複数のブロックとからなる高負荷
伝動ベルトにおいて、心体の位置は張力帯の厚み方向の
中心よりもベルト内周側に配置したことを特徴とする。
【0073】このように張力帯の心体の位置を厚み方向
の中心よりもベルト内周側に位置させることによって、
ベルトが屈曲したときに圧縮される心体よりも内周側の
エラストマーの厚みが薄くなり、エラストマーにかかる
応力が緩和されるので発熱量も抑えることができ、張力
帯の劣化や熱によるブロックの劣化を防止しベルトの寿
命を延ばすことができるものである。
【0074】請求項2では、心体の位置は張力帯の内周
面から全厚みの30〜48%に位置している請求項1記
載の高負荷伝動ベルトとしている。
【0075】心体の位置を前記の範囲内とすることによ
って、張力帯やブロックの劣化を防止するという効果を
十分に発揮することができて、しかも心体よりも内周側
のエラストマーの厚みが薄すぎることによる張力帯の破
損などの問題もない高負荷伝動ベルトを提供することが
できるものである。
【0076】請求項3では、ブロックはインサート材を
埋設していない合成樹脂材料からなる請求項1または2
記載の高負荷伝動ベルトとしている。
【0077】金属などのインサート材を埋設していない
ブロックを用いたベルトの場合は、比較的負荷の小さ
い、たとえば自動二輪などの用途に向けられることが多
く、変速の幅を広くとるために小プーリ径で用いられる
ことが頻繁になるので、張力帯の内周側の厚みを薄くし
て屈曲をよくし、発熱を抑えることによる効果が顕著で
ある。
【0078】請求項4では、合成樹脂材料は曲げ弾性率
が15〜20GPaであり、且つ、ブロックの幅をW、
厚みをtとするとt/Wの数値が0.11〜0.20の
歯にとした高負荷伝動ベルトとしている。
【0079】従来補強材としてブロック中に埋設してい
たアルミニウム合金などのインサート材を埋設していな
いためブロックを軽量化することができるが、ブロック
自身の強度としては低下することになる。そこでブロッ
クの幅と厚みの比を上記のように0.11〜0.20の
範囲とすることによって、負荷によるブロック変形量を
少なくすることができ、伝達性能が向上するとともに寿
命を大幅に改善することができる。
【0080】請求項5では合成樹脂材料はポリアミド樹
脂に繊維状補強材を15〜40質量%配合したものであ
る高負荷伝動ベルトとしている。
【0081】ブロックに繊維状補強材を配合したポリア
ミド樹脂を用いることで、強度を向上させることができ
るとともにブロック重量を軽量にすることが可能とな
り、作用する遠心力を小さくすることができる。
【0082】請求項6では、繊維状補強材が炭素繊維で
ある高負荷伝動ベルトとしており、ブロックの硬度が高
くなり、耐摩耗性に優れたものとすることができる。
【0083】請求項7では、ポリアミド樹脂がナイロン
46である高負荷伝動ベルトとしており、他のポリアミ
ドに比べて靭性が高く、樹脂の破損や割れが発生しにく
いことからより高負荷伝動ベルトの寿命の改善につなが
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高負荷伝動ベルトの一例を示す斜
視概略図である。
【図2】高負荷伝動ベルトの側断面図である。
【図3】本発明に係る高負荷伝動ベルトの他の例を示す
斜視概略図である。
【図4】本発明に係る高負荷伝動ベルトの更に別の例を
示す斜視概略図である。
【符号の説明】
1 高負荷伝動ベルト 2 ブロック 3a 張力帯 3b 張力帯 4 エラストマー 5 心体 11 上ビーム部 12 下ビーム部ー 13 センターピラー 14 嵌合溝 15 嵌合溝

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エラストマー中に心体を埋設した張力帯
    と、該張力帯に複数設けたブロックとからなる高負荷伝
    動ベルトにおいて、心体の位置は張力帯の厚み方向の中
    心よりもベルト内周側に配置したことを特徴とする高負
    荷伝動ベルト。
  2. 【請求項2】 心体の位置は張力帯の内周面から全厚み
    の30〜48%に位置している請求項1記載の高負荷伝
    動ベルト。
  3. 【請求項3】 ブロックはインサート材を埋設していな
    い合成樹脂材料からなる請求項1または2記載の高負荷
    伝動ベルト。
  4. 【請求項4】 合成樹脂材料は曲げ弾性率が15〜20
    GPaであり、且つ、ブロックの幅をW、厚みをtとす
    るとt/Wの数値が0.11〜0.20の歯にとした請
    求項3記載の高負荷伝動ベルト。
  5. 【請求項5】 合成樹脂材料はポリアミド樹脂に繊維状
    補強材を15〜40質量%配合したものである請求項3
    または4記載の高負荷伝動ベルト。
  6. 【請求項6】 繊維状補強材が炭素繊維である請求項5
    記載の高負荷伝動ベルト。
  7. 【請求項7】 ポリアミド樹脂がナイロン46である請
    求項5または6記載の高負荷伝動ベルト。
JP2002080472A 2001-04-25 2002-03-22 高負荷伝動ベルト Pending JP2003049907A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002080472A JP2003049907A (ja) 2001-04-25 2002-03-22 高負荷伝動ベルト

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001127548 2001-04-25
JP2001-127548 2001-04-25
JP2001161648 2001-05-30
JP2001-161648 2001-05-30
JP2002080472A JP2003049907A (ja) 2001-04-25 2002-03-22 高負荷伝動ベルト

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003049907A true JP2003049907A (ja) 2003-02-21

Family

ID=27346605

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002080472A Pending JP2003049907A (ja) 2001-04-25 2002-03-22 高負荷伝動ベルト

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003049907A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7070529B2 (en) Power transmission belt
JP2002195351A (ja) 高負荷伝動ベルト及び高負荷伝動ベルト用ブロック
JP2003049907A (ja) 高負荷伝動ベルト
JP2003322217A (ja) 高負荷伝動ベルト
JP2004028200A (ja) 高負荷伝動ベルト
JP2006207793A (ja) 高負荷伝動ベルト
JP2004060773A (ja) 高負荷伝動ベルト
JP2008157440A (ja) 高負荷伝動ベルト
JP2004003531A (ja) 高負荷伝動ベルト
JP4933135B2 (ja) 高負荷伝動ベルト
JP4694248B2 (ja) 高負荷伝動ベルト
JP4624759B2 (ja) 高負荷伝動ベルト
JP2002061716A (ja) 高負荷伝動ベルト
JP2001311453A (ja) 高負荷伝動ベルト及びそのブロック
JP2006329375A (ja) 高負荷伝動ベルト
JP4439987B2 (ja) 高負荷伝動ベルト
JP2004245404A (ja) 高負荷伝動ベルト
JP2004028118A (ja) 高負荷伝動ベルト
JP4790482B2 (ja) 高負荷伝動ベルト
JP2003004103A (ja) 高負荷伝動ベルト
JP2007040528A (ja) 高負荷伝動ベルト
JP2006226524A (ja) 高負荷伝動ベルト
JP2010127412A (ja) 高負荷伝動ベルト
JP2004286079A (ja) 高負荷伝動ベルト
JP2008180344A (ja) 高負荷伝動ベルト及び高負荷伝動ベルト用ブロック