JP2003049904A - 動力伝達機構および回転機械 - Google Patents

動力伝達機構および回転機械

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JP2003049904A
JP2003049904A JP2001238380A JP2001238380A JP2003049904A JP 2003049904 A JP2003049904 A JP 2003049904A JP 2001238380 A JP2001238380 A JP 2001238380A JP 2001238380 A JP2001238380 A JP 2001238380A JP 2003049904 A JP2003049904 A JP 2003049904A
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transmission mechanism
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side rotating
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JP2001238380A
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Masaki Ota
太田  雅樹
Hiroshi Ataya
拓 安谷屋
Takashi Kawada
剛史 川田
Takayasu Suzuki
隆容 鈴木
Tomoharu Arai
智晴 新井
Akihito Yamanochi
亮人 山ノ内
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Toyota Industries Corp
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Toyota Industries Corp
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H55/00Elements with teeth or friction surfaces for conveying motion; Worms, pulleys or sheaves for gearing mechanisms
    • F16H55/32Friction members
    • F16H55/36Pulleys
    • F16H2055/366Pulleys with means providing resilience or vibration damping

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  • Sealing With Elastic Sealing Lips (AREA)
  • Sealing Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 動力伝達機構に発生する振動の抑制が可能で
あるとともに、前記回転機械や動力伝達機構自体の耐久
性の向上や、前記回転機械の回転軸に発生する該回転軸
の径方向の振動に対しての抑制効果の向上が容易な動力
伝達機構を提供する。 【解決手段】 動力伝達機構PTは、ハウジング側に支
持されたプーリ17と、駆動軸16に固定された受承部
材42とを有している。受承部材42には、周壁部42
Cに形成された転動案内面42Eに沿って移動すること
で振り子運動を行うコロ46を有するダイナミックダン
パが設けられている。コロ46は、プーリ17と受承部
材42との間に形成された収容室に収容されている。プ
ーリ17と受承部材42との間の動力伝達経路上には、
プーリ17と受承部材42との軸心ずれを吸収しながら
動力伝達を行うゴムダンパ43が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転機械のハウジ
ングに回転可能に支持された回転軸に対して外部駆動源
からの動力を伝達するための動力伝達機構及び該動力伝
達機構を備えた回転機械に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、外部駆動源と、これによって
駆動される回転機械との間に発生する共振などの振動を
抑制するための構成として、例えば、特開2000−2
97844公報に開示されたものが知られている。この
公報には、外部駆動源によって駆動される慣性マス(駆
動側回転体)が、クランク軸(回転軸)に取着されたハ
ブ(被駆動側回転体)に対して環状エラストマを介して
前記ハブの外周側に連結された構成が開示されている。
また、前記ハブには、遠心マス(質量体)の振り子運動
によって前記クランク軸の回転振動を低減するための振
動数可変型吸振系(ダイナミックダンパ)が設けられて
いる。この振動数可変型吸振系の吸振作用及び前記環状
エラストマの緩衝作用によって、前記クランク軸から前
記慣性マスに伝達される回転振動の抑制が可能となる。
【0003】前記外部駆動源からの動力は、例えば、前
記外部駆動源の回転部と前記慣性マスとを連結する動力
伝達用のベルトなどを介して前記慣性マスに伝達され
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記構
成では、前記ベルトのテンションなどによって前記クラ
ンク軸には径方向(該クランク軸の径方向)に応力が作
用する。この応力は、前記クランク軸を支持する軸受部
材の耐久性、ひいては、前記回転機械の耐久性を低下さ
せる要因となる。
【0005】これを解決するためには、例えば、前記ク
ランク軸を支持する前記回転機械のハウジングに対して
前記ハブがさらに前記軸受部材とは別の軸受部材によっ
て直接的に支持されるようにすることで、前記クランク
軸を支持する軸受部材に作用する応力を低減するという
方法が考えられる。しかしこの場合、前記クランク軸を
支持する軸受部材と前記別の軸受部材との間に軸心ずれ
が存在すると、前記両軸受部材にはこれに起因する応力
が発生する。
【0006】本発明の第1の目的は、動力伝達機構に発
生する振動の抑制が可能であるとともに、前記回転機械
や動力伝達機構自体の耐久性の向上や、前記回転機械の
回転軸に発生する該回転軸の径方向の振動に対しての抑
制効果の向上が容易な動力伝達機構を提供することにあ
る。また、第2の目的は、前記動力伝達機構を備えた回
転機械を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ために、請求項1に記載の発明は、回転機械のハウジン
グに回転可能に支持された回転軸に対して外部駆動源か
らの動力を伝達するための動力伝達機構であって、前記
回転軸に対して一体回転可能に固定された被駆動側回転
体と、該被駆動側回転体に作動連結されるとともに前記
被駆動側回転体とほぼ同軸位置に配設された状態で前記
ハウジングに対して回転可能に支持された駆動側回転体
とを有し、前記被駆動側回転体には、該被駆動側回転体
の回転中心軸線から所定間隔だけ離間した点を通過する
該回転中心軸線にほぼ平行な軸線を中心とした振り子運
動を行なう質量体を有するダイナミックダンパが設けら
れていることを要旨とする。
【0008】この発明によれば、ダイナミックダンパの
作用により、動力伝達機構に発生する振動が抑制される
ようになる。また、駆動側回転体はハウジングに対して
支持されているため、前記外部駆動源と前記駆動側回転
体とを連結するための索体(ベルトなど)のテンション
などによって前記回転軸及びこれを支持する軸受部材等
が径方向に受ける応力が低減される。
【0009】また、本発明では、一体的に構成された回
転体が前記回転軸及び前記ハウジングの両方に支持され
る構成とせず、それぞれ前記ハウジング及び前記回転軸
に個別に支持された前記駆動側回転体と前記被駆動側回
転体とを用いて前記動力伝達を行うようにした。これに
よれば、各回転体の軸心が互いにずれていた場合にも、
各回転体側を支持するための部材(例えば、軸受部材)
において前記軸心ずれに起因して発生する応力を低減す
ることが容易になる。したがって、前記回転機械や動力
伝達機構の耐久性を向上させることが容易になる。
【0010】また、前記回転軸に固定された前記被駆動
側回転体に対して前記質量体を設けたため、前記質量体
を前記駆動側回転体に設けた場合に比較して、前記被駆
動側回転体の質量を大きく設定することが容易になる。
したがって、前記回転軸に発生する該回転軸の径方向の
振動に対しての抑制効果を向上させることが容易にな
る。
【0011】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、前記駆動側回転体と前記被駆動側回転
体との間の動力伝達経路上には、前記各回転体の軸心の
ずれを吸収するための弾性部材が設けられていることを
要旨とする。
【0012】この発明によれば、前記各回転体の軸心が
互いにずれていることに起因して各回転体側を支持する
ための部材(例えば、軸受部材)に発生する応力を、弾
性部材の変形によって低減することができる。したがっ
て、動力伝達機構やこれを備えた回転機械の耐久性を向
上させることが可能になる。
【0013】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載の発明において、前記質量体は、前記被駆動側
回転体に設けられた断面円弧状の案内面に沿って移動す
ることで前記振り子運動を行うことを要旨とする。
【0014】この発明によれば、質量体に前記振り子運
動を行わせるために該質量体を軸支する必要がない。そ
のため、質量体を軸支した構造に比較して、構造が簡単
になる。また、質量体を軸支した構造に比較して、支軸
と該支軸が挿通される該質量体の軸孔との隙間の存在に
起因する、該質量体の振り子運動中心(支点)と重心と
の距離の変化がなくなる。したがって、前記振動の抑制
が、より良好に行なわれる。
【0015】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載
の発明において、前記駆動側回転体と前記被駆動側回転
体との間に、前記質量体を収容するための収容室を形成
したことを要旨とする。
【0016】この発明によれば、例えば、前記質量体を
収容するための収容室を、被駆動側回転体を構成する部
材のみで形成した場合に比較して、例えば前記収容室を
形成するための壁材を省略することなどにより、収容室
のスペースを大きく確保することが容易になる。つま
り、前記質量体を大きく形成することが容易になる。し
たがって、前記振動抑制効果の向上が容易に実現される
ようになる。
【0017】請求項5に記載の発明は、請求項4に記載
の発明において、前記駆動側回転体及び前記被駆動側回
転体の少なくとも一方に、前記駆動側回転体と前記被駆
動側回転体との隙間を塞ぐためのシール部材を設けるこ
とで、外部から前記収容室への異物の侵入を防止するよ
うにしたことを要旨とする。
【0018】この発明によれば、シール部材によって外
部から前記収容室への異物の侵入が防止される。これに
より、前記異物が前記収容室に侵入することがなくなる
ため、前記異物による質量体の前記振り子運動に対する
悪影響がなくなる。したがって、前記振動抑制効果が良
好に維持されるようになる。
【0019】請求項6に記載の発明は、回転軸を有する
とともに該回転軸に外部駆動源からの回転力を伝達する
ための動力伝達機構を備えた回転機械において、前記動
力伝達機構として、請求項1〜5のいずれか一項に記載
の動力伝達機構を設けたことを要旨とする。
【0020】この発明によれば、前記動力伝達機構を備
えた回転機械において、請求項1〜5のいずれか一項に
記載の発明の効果を得ることができる。請求項7に記載
の発明は、請求項6に記載の発明において、前記回転軸
の回転に基づいて駆動される圧縮機構を有することを要
旨とする。
【0021】この発明によれば、前記回転軸の回転に基
づいて駆動される圧縮機構を有する回転機械において、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の発明の効果を得る
ことが可能になる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図1
及び図2に従って説明する。なお、図1では、図面左方
を圧縮機の前方、右方を後方としている。
【0023】図1に示すように、車両用空調装置を構成
する圧縮機Cは、シリンダブロック11と、その前端に
接合固定されたフロントハウジング12と、シリンダブ
ロック11の後端に弁形成体13を介して接合固定され
たリヤハウジング14とを備えている。シリンダブロッ
ク11、フロントハウジング12、弁形成体13及びリ
ヤハウジング14は、圧縮機Cのハウジングを構成して
いる。
【0024】シリンダブロック11とフロントハウジン
グ12とで囲まれた領域には、クランク室15が区画さ
れている。前記ハウジングには、クランク室15を貫通
するように配設された回転軸としての駆動軸16が回転
可能に支持されている。駆動軸16の前端部側は、フロ
ントハウジング12の前壁に固定されたラジアルベアリ
ング12Aによって支持されている。また、駆動軸16
の後端部側は、シリンダブロック11に固定されたラジ
アルベアリング11Aによって支持されている。
【0025】駆動軸16の前端部はフロントハウジング
12の前壁を貫通して外部に突出するように配置されて
いる。この駆動軸16の前端部は、動力伝達機構PT及
び該動力伝達機構PTを構成するプーリ17に掛装され
たベルト18を介して外部駆動源としての車両エンジン
Eに作動連結されている。なお、動力伝達機構PT及び
圧縮機Cによって、回転機械が構成されている。
【0026】駆動軸16には、クランク室15において
ラグプレート19が一体回転可能に固定されている。ク
ランク室15には、カムプレートとしての斜板20が収
容されている。斜板20は、駆動軸16に対してスライ
ド移動可能かつ傾動可能に支持されている。斜板20
は、ヒンジ機構21を介してラグプレート19に作動連
結されている。斜板20は、ヒンジ機構21を介したラ
グプレート19との前記作動連結、及び駆動軸16の支
持により、ラグプレート19及び駆動軸16と同期回転
可能であるとともに、駆動軸16の回転中心軸線方向へ
のスライド移動を伴いながら該駆動軸16に対して傾動
可能となっている。
【0027】斜板20は、駆動軸16に固定された係止
リング22、及び、該係止リング22と斜板20との間
に配設されたバネ23によって、該斜板20の最小傾斜
角度が規定されるようになっている。なお、斜板20の
最小傾斜角度とは、該斜板20の、駆動軸16の軸線方
向との角度が90°に最も近づいた状態における傾斜角
度を意味している。
【0028】シリンダブロック11には、複数(図1で
は一つのみ図示)のシリンダボア24が駆動軸16の回
転中心軸線方向に沿うようにして貫通形成されている。
シリンダボア24には、片頭型のピストン25が往復動
可能に収容されている。シリンダボア24の前後開口
は、弁形成体13及びピストン25によって閉塞されて
おり、このシリンダボア24内にはピストン25の往復
動に応じて体積変化する圧縮室が区画形成されている。
各ピストン25は、シュー26を介して斜板20の外周
部に係留されている。これにより、駆動軸16の回転に
伴う斜板20の回転運動が、シュー26を介してピスト
ン25の往復直線運動に変換されるようになっている。
【0029】なお、シリンダブロック11(シリンダボ
ア24)、駆動軸16、ラグプレート19、斜板20、
ヒンジ機構21、ピストン25及びシュー26によっ
て、容量可変型ピストン式圧縮機構が構成されている。
【0030】リヤハウジング14には、吸入室27及び
吐出室28がそれぞれ区画形成されている。吸入室27
及び吐出室28の前方側は、弁形成体13によって閉塞
されている。吸入室27の冷媒ガスは、各ピストン25
の上死点側から下死点側への移動により、弁形成体13
に形成された吸入ポート29及び吸入弁30を介してシ
リンダボア24(圧縮室)に導入される。シリンダボア
24に導入された低圧な冷媒ガスは、ピストン25の下
死点側から上死点側への移動により所定の圧力にまで圧
縮され、弁形成体13に形成された吐出ポート31及び
吐出弁32を介して吐出室28に導入される。
【0031】吸入室27と吐出室28とは、図示しない
外部冷媒回路で接続されている。吐出室28から吐出さ
れた冷媒は、前記外部冷媒回路に導入される。この外部
冷媒回路では、前記冷媒を利用した熱交換が行われる。
前記外部冷媒回路から排出された冷媒は、吸入室27に
導入され、シリンダボア24に吸入されて再度圧縮作用
を受ける。
【0032】前記ハウジングには、クランク室15と吸
入室27とを連通する抽気通路33が設けられている。
また、前記ハウジングには、吐出室28とクランク室1
5とを連通する給気通路34が設けられている。給気通
路34は、該給気通路34上(給気通路34の途中)に
配設された制御弁35によってその開度が調節され得る
ようになっている。
【0033】制御弁35の開度を調節することで給気通
路34を介したクランク室15への高圧冷媒ガスの導入
量と抽気通路33を介したクランク室15からのガス排
出量とのバランスが制御され、クランク圧(クランク室
15の内圧)Pcが決定される。クランク圧Pcの変更
に応じて、ピストン25を介してのクランク圧Pcと前
記圧縮室の内圧との差が変更され、斜板20の傾斜角度
が変更される結果、ピストン25のストロークすなわち
駆動軸16の一回転あたりの吐出容量が調節される。
【0034】図1及び図2に示すように、フロントハウ
ジング12の前側外壁面には、略円筒状の支持筒部40
が駆動軸16の前端部を取り囲むようにして突設されて
いる。支持筒部40の外周面の中心軸線は、駆動軸16
の中心軸線とほぼ一致するように設定されている。
【0035】支持筒部40の内周側には、支持筒部40
と駆動軸16との隙間を封止するリップシール41が設
けられている。このリップシール41によって、支持筒
部40の内周側と駆動軸16との間の部分を介したクラ
ンク室15から前記ハウジングの外部への冷媒の漏洩が
防止されるようになっている。
【0036】被駆動側回転体としての受承部材42は、
前記ハウジングの外部において駆動軸16の前端部に一
体回転可能に固定されている。受承部材42は、支持筒
部40のリップシール41よりも前方において支持筒部
40の内周側に挿入された円筒状部42Aを有してい
る。また、受承部材42は、円筒状部42Aと一体形成
されるとともに支持筒部40よりも前方に配設された、
前方から見た状態での外形形状が円形状のハブ部42B
を有している。
【0037】受承部材42は、駆動軸16の前端との間
に配設されたリング状のスペーサ16Aによって、駆動
軸16の軸線方向についての駆動軸16への組み付け位
置が調節され得るようになっている。
【0038】駆動側回転体としてのプーリ17は、受承
部材42のハブ部42Bの後側に配設されている。プー
リ17は、その外周側に、車両エンジンEの出力軸の動
力(トルク)を該プーリ17に伝達するためのベルト1
8が掛けられる略円筒状のベルト掛け部17Aを有して
いる。また、プーリ17は、その内周側に円筒状の筒部
17Bを有している。筒部17Bの内周側には、支持筒
部40の外周側に嵌合されたラジアルベアリング40A
の外輪部が取着されている。すなわち、プーリ17は、
前記ハウジングに対して回転可能に支持されるととも
に、駆動軸16及び受承部材42とほぼ同軸位置に配設
された状態で駆動軸16及び受承部材42と相対回転可
能となっている。
【0039】プーリ17においてベルト掛け部17Aと
筒部17Bとの間の部分には、環状の凹部17Cが形成
されている。凹部17Cは、ハブ部42B側に開口を有
するように形成されている。凹部17Cには、ベルト掛
け部17Aの内周面から内方に向けて径方向に延びるよ
うに連結突部17Dが複数(本実施形態では3つ)形成
されている。連結突部17Dは、プーリ17の周方向に
等間隔に(本実施形態では120°毎に)配設されてい
る。
【0040】凹部17C内には、ハブ部42Bの周縁部
において後方に延びるように立設された環状の周壁部4
2Cが、前方から挿入された状態で配置されている。周
壁部42Cの外周面には、連結突部17Dに対応するよ
うに、かつ、該連結突部17Dのほぼ全体を取り囲むよ
うに、連結凹部42Dが連結突部17Dと同数だけ凹設
されている。
【0041】連結凹部42Dと連結突部17Dとの間の
部分には、前方から見た状態での形状がU字状の弾性部
材(緩衝部材)としてのゴムダンパ43が配設されてい
る。この構成では、車両エンジンEからプーリ17に伝
達された駆動力がゴムダンパ43を介して受承部材42
側に伝えられる。つまり、ゴムダンパ43は、プーリ1
7と受承部材42との間の動力伝達経路上に配設されて
いる。ゴムダンパ43の前側は、ハブ部42Bの周縁部
によって覆われた状態となっている。
【0042】周壁部42Cの内周面には、プーリ17の
回転中心軸線に直交する平面での断面形状が円弧状の案
内面としての転動案内面42Eが複数(本実施形態では
9つ)形成されている。本実施形態では、各連結凹部4
2Dどうしの間の部分において3つずつの転動案内面4
2Eが、周壁部42Cの内周面においてプーリ17の周
方向に等間隔に配設されている。
【0043】転動案内面42Eは、プーリ17の回転中
心軸線から所定間隔(この間隔をR 1とする)だけ離間
するとともに該回転中心軸線に平行な軸線を中心とした
半径r1の仮想円筒内周面の一部を構成している。
【0044】各転動案内面42Eと筒部17Bの外周面
との間の部分には、質量体としての円柱状の剛体部材で
あるコロ46(このコロ46の直径をd1とし、同コロ
46の一つ当たりの質量をm1とする)が一つずつ収容
されている。各コロ46は、各転動案内面42Eと筒部
17Bの外周面との間の部分を転動案内面42Eに沿っ
て該転動案内面42Eの周方向に転動可能な状態で収容
されている。
【0045】本実施形態では、凹部17C、ハブ部42
Bの周縁部分及び周壁部42Cによって、コロ46を収
容するための収容室が構成されている。つまり、プーリ
17と受承部材42との間に、コロ46を収容するため
の収容室が形成されている。
【0046】各コロ46は、車両エンジンEによる圧縮
機Cの駆動時すなわち駆動軸16の回転時には、遠心力
が作用して転動案内面42Eに当接した状態になるよう
になっている(図1及び図2の状態)。この状態で、駆
動軸16の捻り振動(回転振動)等に起因するトルク変
動が発生すると、各コロ46は、それぞれ、転動案内面
42Eに沿って(転動案内面42Eの周方向に)往復動
を始める。つまり、各コロ46(の重心)は、転動案内
面42Eによってその一部が構成される前記仮想円筒内
周面の中心軸線を中心とした振り子運動を行う。したが
って、各コロ46は、車両エンジンEによる圧縮機Cの
駆動時には、遠心振り子として作用する。本実施形態で
は、前記トルク変動を、コロ46の振り子運動によって
抑え込むために、該コロ46の受承部材42における配
置位置や大きさ、質量などを設定している。
【0047】なお、周壁部42C(各転動案内面42
E)及び各コロ46によって、それぞれ、ダイナミック
ダンパが構成されている。また、スペーサ16A、プー
リ17、ラジアルベアリング40A、受承部材42、ゴ
ムダンパ43及びコロ46によって、動力伝達機構PT
が構成されている。
【0048】ここで、遠心振り子として作用するコロ4
6に対する前述の各設定について説明する。コロ46
は、該コロ(遠心振り子)46の固有振動数に等しい振
動数における前記トルク変動(該トルク変動の変動幅)
を抑え込む作用をなす。したがって、コロ46の固有振
動数が、前記トルク変動のピークの振動数と等しくなる
ように該コロ46の受承部材42における配置位置や大
きさ、質量等を設定することで、このピークの前記トル
ク変動を抑え、前記トルク変動による全体としての影響
を有効に抑え込むことが可能となる。なお、前記トルク
変動のピークは、該トルク変動の変動幅のピーク、すな
わち、回転次数成分を指している。
【0049】前記トルク変動の振動数及びコロ46の固
有振動数は、駆動軸16の回転速度に相関する該駆動軸
16の角速度ω1に比例する。また、圧縮機Cの前記ト
ルク変動のピークのうち最も大きな変動幅となるピーク
が現れる際の該トルク変動の振動数は、駆動軸16の単
位時間あたりの回転数(=ω1/2π)と気筒数(シリ
ンダボア24の数)Nとの積(ω1/2π)・Nによっ
て与えられる。なお、圧縮機Cにおいては、前記トルク
変動のピークのうちn番目(nは自然数)に大きなもの
の振動数が、積n・(ω1/2π)・Nと同等の値を示
す傾向にあることが実験などにより求まっている。
【0050】一方、コロ46の固有振動数は、駆動軸1
6の単位時間あたりの回転数(=ω 1/2π)と、比R
/rの平方根値との積によって与えられる。なお、ここ
でいうRは受承部材42(振り子運動を行う質量体が設
けられた回転体)の回転中心軸線とコロ46(質量体)
の振り子運動の中心軸線との距離であり、rはコロ46
の振り子運動の中心軸線と該コロ46の重心との距離で
ある。
【0051】したがって、比R/rの平方根値を積n・
Nの値に等しく設定することで、前記トルク変動のn番
目に大きなピークの振動数とコロ46の固有振動数とを
合わせることができる。これにより、n番目に大きなピ
ークの振動数における前記トルク変動を抑えることが可
能になる。
【0052】このことに従い、本実施形態では、前記ト
ルク変動の最も大きなピークを抑え込むために、比R/
rの平方根値がN(n=1のときのn・Nの値)の値と
等しくなるように、R及びrの大きさを設定している。
【0053】コロ46の振り子運動によって前記トルク
変動を効率的に押さえ込むためには、該コロ46によっ
て作用される受承部材42の回転中心軸線回りのトルク
Tを、前記トルク変動の変動幅と等しい大きさにして対
抗させる必要がある。前記トルク変動のピークの振動数
とコロ46の固有振動数が一致した状態での前記トルク
Tの大きさは、以下の式によって与えられることが解か
っている。
【0054】(式1) T=m・(ωa2 ・(R+r)・R・φ ここで、mは全コロ46の合計質量(m=9・m1)で
あり、ωaは、微小振り角度φで振り子運動を行なうコ
ロ46の平均角速度である。
【0055】本実施形態のコロ46においては、質量m
をできるだけ大きく設定することで、値R,r及びφを
小さく抑えて受承部材42の大型化をできるだけ抑え込
みながら、トルクTを大きく確保するようにしている。
【0056】なお、本実施形態では、転動案内面42E
によってその一部が構成される前記仮想円筒内周面の中
心軸線が、コロ46の前記振り子運動の中心軸線(該振
り子運動の支点はこの中心軸線上にある)と一致する。
すなわち、受承部材42の回転中心軸線と前記仮想円筒
内周面の中心軸線との距離R1が、前記距離Rに相当す
る。
【0057】また、コロ46の前記振り子運動の中心軸
線と、該コロ46の重心との距離は、前記仮想円筒内周
面の半径r1から、前記コロ46の直径d1の半分を差し
引いた数値に等しい。すなわち、差{r1−(d1
2)}が、前記距離rに相当する。
【0058】すなわち、本実施形態では、最も大きな前
記トルク変動のピークを抑え込むために、前記比R/r
の平方根値に相当する、比R1/{r1−(d1/2)}
の平方根値がN(n=1のときのn・Nの値)の値と等
しくなるように、R1、r1及びd1の大きさを設定して
いる。
【0059】なお、前述の振り子運動においては、コロ
46をその重心に質量が集中した質点として各種設定が
なされている。次に、前述のように構成された圧縮機C
の作用について説明する。
【0060】車両エンジンEからプーリ17や受承部材
42等を介して駆動軸16に動力が供給されると、駆動
軸16とともに斜板20が回転する。斜板20の回転に
伴って各ピストン25が斜板20の傾斜角度に対応した
ストロークで往復動され、各シリンダボア24において
冷媒の吸入、圧縮及び吐出が順次繰り返される。
【0061】なお、制御弁35の開度が小さくなると、
吐出室28から給気通路34を経由してクランク室15
へ供給される高圧冷媒ガスの量が少なくなり、クランク
圧Pcが低下し、斜板20の傾斜角度が大きくなって、
圧縮機Cの吐出容量が大きくなる。逆に、制御弁35の
開度が大きくなると、吐出室28から給気通路34を経
由してクランク室15へ供給される高圧冷媒ガスの量が
多くなり、クランク圧Pcが上昇し、斜板20の傾斜角
度が小さくなって、圧縮機Cの吐出容量が小さくなる。
【0062】駆動軸16の回転時には、冷媒の圧縮反力
やピストン25の往復動に基づく反力が斜板20やヒン
ジ機構21などを介して該駆動軸16に伝えられること
で、該駆動軸16には捻り振動(回転振動)が発生す
る。この捻り振動はトルク変動を発生させる。前記トル
ク変動は、圧縮機C自身や、プーリ17にベルト18を
介して作動連結された外部機器(車両エンジンEや補機
など)と該圧縮機Cとの間に共振を発生させる原因とな
るものである。
【0063】前記トルク変動が発生すると、受承部材4
2に設けられたコロ46が振り子運動を始める。この振
り子運動によって受承部材42の回転中心軸線回りに作
用されるトルクが、前記トルク変動を抑えるように作用
する。コロ46は、その固有振動数が前記トルク変動の
最も大きなピークの振動数に等しく設定されているた
め、この最大ピークの前記トルク変動が抑えられ、全体
として有効に受承部材42のトルク変動が低減される。
【0064】前記ダイナミックダンパを構成するコロ4
6は受承部材42に形成された転動案内面42E上を移
動するように構成されている。つまり、質量体であるコ
ロ46は受承部材42に設けられているため、前記質量
体をプーリ17側に設けた場合に比較して、受承部材4
2側の質量を大きくできる。したがって、駆動軸16に
発生する該駆動軸16の径方向の振動に対しての抑制効
果を向上させることが容易になる。
【0065】また、プーリ17はゴムダンパ43を介し
て駆動軸16側(受承部材42)に連結されているた
め、受承部材42側からプーリ17側に伝達される前記
トルク変動はゴムダンパ43によって減衰される。この
結果、このトルク変動に起因する前記共振が効果的に抑
えられる。
【0066】また、前記ダイナミックダンパはゴムダン
パ43よりも振動源となる駆動軸16側に配置されてい
るため、ゴムダンパ43には前記ダイナミックダンパに
よるダンパ作用によりその変動量が抑制された状態の前
記トルク変動が伝達される。したがって、ゴムダンパ4
3の耐久性が向上する。
【0067】さらに、ゴムダンパ43が介在されている
ことにより、プーリ17及び受承部材42(すなわち駆
動軸16)の回転中心軸線(軸心)が互いにずれている
ことに起因してラジアルベアリング12A,40A等の
軸受部材などに発生する応力が低減される。
【0068】なお、ゴムダンパ43によるダンパ作用
は、比較的高周波な前記トルク変動において有効に作用
され、コロ46の振り子運動によるダンパ作用は、比較
的低周波な前記トルク変動において有効に作用される。
【0069】本実施形態では、以下のような効果を得る
ことができる。 (1) 受承部材42に、該受承部材42の回転中心軸
線から所定間隔R1だけ離間し、かつ該回転中心軸線に
平行な軸線を中心とした振り子運動を行なうコロ46を
設けた。これによれば、コロ46の振り子運動によって
前記回転振動(前記トルク変動)が抑えられ、動力伝達
機構PTや、これを備えた圧縮機C、動力伝達機構PT
に作動連結された車両エンジンE等の前記外部機器と該
圧縮機Cとの間に発生する共振等の振動が抑えられる。
【0070】(2) プーリ17は前記ハウジングに対
して支持されているため、車両エンジンEと前記プーリ
17とを連結するための索体(ベルトなど)のテンショ
ンなどによって駆動軸16及びラジアルベアリング12
A等が径方向に受ける応力が低減される。
【0071】(3) 本実施形態では、一体的に構成さ
れた回転体が駆動軸16及び前記ハウジングの両方に支
持される構成とせず、それぞれ前記ハウジング及び駆動
軸16に個別に支持されたプーリ17と受承部材42と
を用いて前記動力伝達を行うようにした。これによれ
ば、プーリ17及び受承部材42(すなわち駆動軸1
6)の回転中心軸線(軸心)が互いにずれていた場合に
も、前記軸心ずれに起因してラジアルベアリング12
A,40A等の軸受部材などに発生する応力を低減する
ことが容易になる。したがって、前記回転機械や動力伝
達機構PTの耐久性を向上させることが容易になる。
【0072】そして、本実施形態では、プーリ17と受
承部材42との間(の動力伝達経路上)においてゴムダ
ンパ43が設けられている。これによれば、前記軸心ず
れに起因してラジアルベアリング12A,40A等の軸
受部材などに発生する応力を、ゴムダンパ43の変形に
よって低減することができる。
【0073】(4) 前記ダイナミックダンパを構成す
るコロ46は受承部材42に形成された転動案内面42
E上を移動するように構成されている。つまり、質量体
であるコロ46は受承部材42に設けられている。その
ため、前記質量体をプーリ17側に設けた場合に比較し
て、受承部材42側の質量を大きくできる。したがっ
て、駆動軸16に発生する該駆動軸16の径方向の振動
に対しての抑制効果を向上させることが容易になる。
【0074】(5) プーリ17と受承部材42との間
の動力伝達経路上に設けられたゴムダンパ43により、
受承部材42側からプーリ17側に伝達される前記トル
ク変動の減衰が可能になる。つまり、コロ46の振り子
運動によるダンパ効果に加えて、ゴムダンパ43による
ダンパ効果を得ることができる。したがって、前記振動
抑制がより効果的に行われる。
【0075】(6) 前記ダイナミックダンパはゴムダ
ンパ43よりも振動源となる駆動軸16側に配置されて
いる。これによれば、ゴムダンパ43には前記ダイナミ
ックダンパによるダンパ作用によりその変動量が抑制さ
れた状態の前記トルク変動が伝達される。したがって、
ゴムダンパ43の耐久性が向上する。
【0076】また、駆動軸16の回転振動がゴムダンパ
43を介することなく前記ダイナミックダンパに直接的
に伝達されるため、前記ダイナミックダンパはゴムダン
パ43による影響を受けていない状態の前記回転振動に
対してこれを抑制するように作用する。つまり、駆動軸
16の回転振動がゴムダンパ43を介して前記ダイナミ
ックダンパに伝達される構成と比較して、前記ダイナミ
ックダンパの前記各設定に基づく振動抑制効果が、より
理想的なものとなる。
【0077】(7) 円柱状の剛体部材であるコロ46
を、受承部材42に設けた断面円弧状の転動案内面42
Eに沿って移動可能に配設した。これによれば、コロ4
6は振り子運動の支点に軸支されていないため、質量体
を軸支した構造に比較して、構造が簡単になる。また、
質量体を軸支した構造に比較して、支軸と該支軸が挿通
される該質量体の軸孔との隙間の存在に起因する、該質
量体の振り子運動中心(支点)と重心との距離の変化が
なくなる。したがって、振動の抑制が、より良好に行な
われる。
【0078】(8) プーリ17と受承部材42との間
に、コロ46を収容するための収容室を形成した。これ
によれば、例えば、コロ46を収容するための収容室
を、受承部材42を構成する部材のみで形成した場合に
比較して、前記収容室を形成するための壁材の一部を省
略することが可能になり、収容室のスペースを大きく確
保することが容易になる。つまり、コロ46を大きく形
成することが容易になる。したがって、前記振動抑制効
果の向上が容易に実現されるようになる。
【0079】(9) 受承部材42は、駆動軸16の前
端との間に配設されたリング状のスペーサ16Aによっ
て、駆動軸16の軸線方向についての駆動軸16への組
み付け位置が調節され得るようになっている。これによ
れば、前記収容室の前記軸線方向の寸法を、コロ46の
前記振り子運動に対して適切なものに設定することが容
易になる。
【0080】実施の形態は前記に限定されるものではな
く、例えば、以下の様態としてもよい。 ○ 前記実施形態において、プーリ17及び受承部材4
2の少なくとも一方に、プーリ17と受承部材42との
隙間を塞ぐためのシール部材を設けることで、外部から
前記収容室への異物の侵入を防止するようにしてもよ
い。この場合、例えば、図3に示すような構成とする。
図3において、受承部材42のハブ部42Bの外周部に
は、プーリ17の周縁部との隙間を塞ぐための環状のシ
ール部材としてのリップシール50が固着されている。
リップシール50は、その先端部が、プーリ17の周縁
部の表面であって凹部17Cよりも外周側の部分に密着
するように配設されている。これによれば、ハブ部42
Bとプーリ17の前面側との隙間を介した外部から前記
収容室への異物の侵入が、リップシール50によって防
止される。したがって、前記異物が前記収容室に侵入す
ることがなくなるため、前記異物によるコロ46の前記
振り子運動に対する悪影響がなくなる。したがって、前
記振動抑制効果が良好に維持されるようになる。
【0081】○ 前記実施形態では、コロ46を収容す
るための収容室を、プーリ17を構成する部材と、受承
部材42を構成する部材とで形成したが、例えば、受承
部材を構成する部材のみで形成してもよい。つまり、例
えば、受承部材において、コロを収容するとともに蓋な
どを用いて密閉状態とされた収容室を形成してもよい。
【0082】○ 前記振り子運動を行う質量体を有する
ダイナミックダンパを、受承部材42側に加えてプーリ
17側に設けてもよい。 ○ 前記実施形態において、質量体を球状に形成しても
よい。
【0083】○ 前記実施形態において、コロ46を有
するダイナミックダンパが何個設けられていてもよい。
圧縮機Cの気筒数等に相関した個数にする必要はない。 ○ 前記実施形態において、比R/rの平方根値に相当
する値を、n=1としたn・Nの値つまり、Nに等しく
設定したが、nを2以上の自然数(たとえば、2,3な
ど)としたn・Nの値に等しく設定してもよい。
【0084】○ 前記実施形態において、質量体(コ
ロ)を複数設け、各質量体について、比R/r(の平方
根値)に相当する値を、それぞれ異なる値に設定するよ
うにしてもよい。これによれば、前記比率R/rに相当
する値が複数設定されることで、前記トルク変動の複数
のピーク(回転次数)に対してその変動幅を抑え込むこ
とができるようになる。この場合、この比R/rに相当
する値の平方根値を合わせる対象の値を、たとえば、n
の値を1から順に数種類(たとえば、3種類の値を対象
とする場合は、1,2および3)選んで、これらとNと
を掛け合わせた値(積n・N)とすることが好ましい。
これによれば、前記トルク変動のピークのうち最も大き
なものから数種類(この場合3種類)のものを抑えるこ
とができるようになり、共振抑制効果が大きなものにな
る。
【0085】○ 前記実施形態では、受承部材42に形
成した転動案内面42Eに沿って移動するコロ46によ
って振り子運動を行わせるようにした。これに対して、
受承部材に、該受承部材に固定した支軸を支点として振
り子運動を行う質量体を設けてもよい。また、質量体自
体に支軸を設け、該支軸を受承部材に形成した孔に挿通
させて、前記質量体を前記受承部材上で振り子運動可能
に支持するようにしてもよい。
【0086】○ 前記実施形態では、前記振り子運動に
おいて、前記質量体をその重心に質量が集中した質点と
して各種設定を行ったが、望ましくは、前記質量体の慣
性質量を考慮して前述の各種設定を行ったほうがよい。
この場合、例えば、円柱状のコロ46の前記振り子運動
においては、前記実施形態の比R/rを比2R/3rに
置き換えることで前記慣性質量を考慮した設定が可能に
なる。また、この場合の前記トルク変動のピークの振動
数とコロ46の固有振動数が一致した状態での前記トル
クTの大きさは、以下の式によって与えられる。
【0087】(式2) T=(3/2)・m・(ωa2 ・(R+r)・R・φ また、前記転動案内面に沿って転動することで前記振り
子運動を行う前記質量体を球状とした場合には、前述の
比R/rを比5R/7rに置き換えることで前記慣性質
量を考慮した設定が可能になる。また、この場合の前記
トルク変動のピークの振動数と球状の前記質量体の固有
振動数が一致した状態での前記トルクTの大きさは、以
下の式によって与えられる。
【0088】(式3) T=(7/5)・m・(ωa2 ・(R+r)・R・φ なお、前記質量体を上記の円柱状や球状以外の形状とし
た場合にも、それぞれの形状に対応した慣性質量を考慮
した前記各種設定を行うことで、前記共振抑制をより効
果的に行うことが可能になる。
【0089】○ 前記実施形態において、ゴムダンパ4
3は、連結突部17Dや連結凹部42Dに対して固着さ
れていてもされていなくてもどちらでもよい。ゴムダン
パ43の位置ずれ等をより確実に防ぐためには、固着さ
れていることが望ましい。
【0090】○ 前記実施形態では、ゴム製のゴムダン
パ43を利用したが、たとえば、エラストマ等を用いて
形成したダンパを利用してもよい。 ○ 圧縮機Cのシリンダボア24の数はいくつに設定さ
れていてもよい。
【0091】○ 動力伝達機構PTは、圧縮機Cのよう
な、片頭型のピストンに圧縮動作を行なわせる片側式の
圧縮機にではなく、クランク室を挟んで前後両側に設け
られたシリンダボアにおいて両頭型のピストンに圧縮動
作を行なわせる両側式の圧縮機に設けられていてもよ
い。
【0092】○ 圧縮機Cを、カムプレート(斜板2
0)が駆動軸16と一体回転する構成に代えて、カムプ
レートが駆動軸に対して相対回転可能に支持されて揺動
するタイプ、例えば、揺動(ワッブル)式圧縮機として
もよい。
【0093】○ 圧縮機Cは、ピストン25のストロー
クが一定に設定された固定容量タイプであってもよい。 ○ 前記実施形態において、ピストンが往復動を行うピ
ストン式圧縮機の適用例を示したが、スクロール型圧縮
機等の回転型圧縮機に適用してもよい。
【0094】○ 前記実施形態において、前記駆動側回
転体として、プーリ以外にも、スプロケットやギヤ等を
適用してもよい。 ○ 前記実施形態において、圧縮機の適用例を示した
が、動力伝達機構PTが作動連結された回転軸を備え、
該回転軸に捻り振動(回転振動)が発生し得る構成の回
転機械であれば、どのようなものに適用してもよい。
【0095】○ 前述の全実施形態において、前記質量
体の前記振り子運動の中心軸線は、前記質量体が設けら
れた前記回転体の回転中心軸線に対して必ずしも平行と
なっていなくてもよい。この場合、前記伝達トルク変動
(の最大量)の抑制において所望の効果を得ることがで
きる範囲内において、前記振り子運動の中心軸線を前記
回転体の回転中心軸線に対して傾斜させてもよい。
【0096】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜5に記
載の発明によれば、動力伝達機構に発生する振動の抑制
が可能になるとともに、前記回転機械や動力伝達機構自
体の耐久性の向上や、前記回転機械の回転軸に発生する
該回転軸の径方向の振動に対しての抑制効果の向上が容
易になる。また、請求項6及び7に記載の発明によれ
ば、回転機械における振動の抑制が可能になるととも
に、前記回転機械の耐久性の向上や、前記回転機械の回
転軸に発生する該回転軸の径方向の振動に対しての抑制
効果の向上が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の動力伝達機構及び圧縮機の全体模
式断面図。
【図2】(a)同じく、動力伝達機構の概要を示す正面
図、(b)図2(a)のb−b線における部分断面図。
【図3】(a)別例の動力伝達機構の概要を示す正面
図、(b)図3(a)のb−b線における部分断面図。
【符号の説明】
11…シリンダブロック、12…フロントハウジング、
13…弁形成体、14…リヤハウジング(11,12,
13及び14はハウジングを構成する)、16…回転軸
としての駆動軸、17…駆動側回転体としてのプーリ、
17C…凹部、19…ラグプレート、20…斜板、21
…ヒンジ機構、25…ピストン、26…シュー(11,
16,19,20,21,25及び26は容量可変型ピ
ストン式圧縮機構を構成する)、42…被駆動側回転体
としての受承部材、42B…ハブ部、42C…周壁部
(17C,42B及び42Cは収容室を構成する)、4
2E…案内面としての転動案内面、43…弾性部材とし
てのゴムダンパ、46…質量体としてのコロ(42C及
び46はダイナミックダンパを構成する)、50…シー
ル部材としてのリップシール、C…圧縮機、E…外部駆
動源としての車両エンジン、PT…動力伝達機構(C及
びPTは回転機械を構成する)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川田 剛史 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機内 (72)発明者 鈴木 隆容 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機内 (72)発明者 新井 智晴 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機内 (72)発明者 山ノ内 亮人 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機内 Fターム(参考) 3J043 AA15 BA06 CA02 CB13 DA06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転機械のハウジングに回転可能に支持
    された回転軸に対して外部駆動源からの動力を伝達する
    ための動力伝達機構であって、 前記回転軸に対して一体回転可能に固定された被駆動側
    回転体と、 該被駆動側回転体に作動連結されるとともに前記被駆動
    側回転体とほぼ同軸位置に配設された状態で前記ハウジ
    ングに対して回転可能に支持された駆動側回転体とを有
    し、前記被駆動側回転体には、該被駆動側回転体の回転
    中心軸線から所定間隔だけ離間した点を通過する該回転
    中心軸線にほぼ平行な軸線を中心とした振り子運動を行
    なう質量体を有するダイナミックダンパが設けられてい
    る動力伝達機構。
  2. 【請求項2】 前記駆動側回転体と前記被駆動側回転体
    との間の動力伝達経路上には、前記各回転体の軸心のず
    れを吸収するための弾性部材が設けられている請求項1
    に記載の動力伝達機構。
  3. 【請求項3】 前記質量体は、前記被駆動側回転体に設
    けられた断面円弧状の案内面に沿って移動することで前
    記振り子運動を行う請求項1または2に記載の動力伝達
    機構。
  4. 【請求項4】 前記駆動側回転体と前記被駆動側回転体
    との間に、前記質量体を収容するための収容室を形成し
    た請求項3に記載の動力伝達機構。
  5. 【請求項5】 前記駆動側回転体及び前記被駆動側回転
    体の少なくとも一方に、前記駆動側回転体と前記被駆動
    側回転体との隙間を塞ぐためのシール部材を設けること
    で、外部から前記収容室への異物の侵入を防止するよう
    にした請求項4に記載の動力伝達機構。
  6. 【請求項6】 回転軸を有するとともに該回転軸に外部
    駆動源からの回転力を伝達するための動力伝達機構を備
    えた回転機械において、前記動力伝達機構として、請求
    項1〜5のいずれか一項に記載の動力伝達機構を設けた
    回転機械。
  7. 【請求項7】 前記回転軸の回転に基づいて駆動される
    圧縮機構を有する請求項6に記載の回転機械。
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