JP2003048055A - アルミニウム鋳造装置 - Google Patents

アルミニウム鋳造装置

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JP2003048055A JP2001236710A JP2001236710A JP2003048055A JP 2003048055 A JP2003048055 A JP 2003048055A JP 2001236710 A JP2001236710 A JP 2001236710A JP 2001236710 A JP2001236710 A JP 2001236710A JP 2003048055 A JP2003048055 A JP 2003048055A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 窒化マグネシウムの生成を短い時間でおこな
い、かつ窒素ガスの使用量を少なくできるアルミニウム
鋳造装置を提供する。 【解決手段】 アルミニウム鋳造装置20は、キャビテ
ィ25内の空気を排出する空気排出部40と、空気を排
出したキャビティ25内に不活性ガスを導入する不活性
ガス導入部45と、不活性ガスを導入した後のキャビテ
ィ25内に気体状のマグネシウムを導入するマグネシウ
ム導入部50と、気体状のマグネシウムを導入した後の
キャビティ25内に加熱した窒素ガスを導入する窒素ガ
ス導入部60と、空気排出部40、不活性ガス導入部4
5、マグネシウム導入部50及び窒素ガス導入部60を
それぞれ制御することでキャビティ25内を所定圧に調
整する制御部70とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳造金型のキャビ
ティにアルミニウム溶湯を供給してキャビティ内でアル
ミニウム鋳物を鋳造する鋳造金型によるアルミニウム鋳
造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウムの鋳造において、金型のキ
ャビティにアルミニウム溶湯を供給する際に、アルミニ
ウム溶湯の表面に酸化膜が生成し、生成した酸化膜がア
ルミニウム溶湯の表面張力を増加させ、アルミニウム溶
湯の流動性を低下させることが起こり得る。このため、
アルミニウム溶湯の表面に酸化膜が生成すると、アルミ
ニウム溶湯の湯廻り性を好適に保つことは難しい。
【0003】そこで、アルミニウム鋳造の際に、アルミ
ニウム溶湯の湯廻り性を好適に維持する鋳造方法とし
て、例えば特願平11−91445号公報(特開200
0−280063)「アルミニウム鋳造方法」が提案さ
れている。以下、この技術について同公報の図を再掲し
て説明する。
【0004】図18は従来のアルミニウム鋳造方法を説
明する概略図である。アルミニウムを鋳造する際には、
先ず窒素ガスボンべ150から窒素ガス(N2ガス)を
金型151のキャビティ152に充填する。次に、窒素
ガスを蓄留タンク153に送り、蓄留タンク153内の
マグネシウム粉末(Mg粉末)を窒素ガスと共に加熱炉
155内に送り込む。この加熱炉155内でマグネシウ
ム粉末を昇華させ、昇華したマグネシウムを窒素ガスと
反応させて気体状のマグネシウム窒素化合物(Mg
32)を得る。
【0005】このマグネシウム窒素化合物を配管156
を通して金型151のキャビティ152内に導入し、導
入したマグネシウム窒素化合物をキャビティ152の表
面に析出させる。次に、キャビティ152内にアルミニ
ウム溶湯157を供給する。供給したアルミニウム溶湯
157をマグネシウム窒素化合物と反応させて、アルミ
ニウム溶湯157の表面の酸化物から酸素を取り除く。
【0006】これにより、アルミニウム溶湯157の表
面に酸化皮膜が発生することを防ぎ、アルミニウム溶湯
157の表面張力が増大することを抑えることができ
る。従って、アルミニウム溶湯157のキャビティ15
2への湯廻り性を好適に保つことができ、アルミニウム
鋳造品の品質を高めることができる。
【0007】ここで、上述したマグネシウム窒素化合物
の生成工程及びアルミニウム溶湯の注湯工程ついて詳し
く説明する。先ず、マグネシウム窒素化合物の生成工程
について説明する。加熱炉155の内部でマグネシウム
粉末を昇華させ、この昇華したマグネシウムを加熱炉1
55の内部で窒素ガスと反応させる。昇華したマグネシ
ウムは加熱炉155の内部で浮遊しているために、マグ
ネシウムの表面全域に窒素ガスが付着し、表面全域にマ
グネシウム窒素化合物を生成することになる。
【0008】次に、アルミニウム溶湯の注湯工程につい
て説明する。図19は従来のアルミニウム鋳造方法の要
部説明図であり、キャビティ152の表面にマグネシウ
ム窒素化合物の層159(以下、「マグネシウム窒素化
合物層159」という)を析出させた後、キャビティ1
52にアルミニウム溶湯157を供給した状態を示す。
キャビティ152にアルミニウム溶湯157を供給する
ことにより、アルミニウム溶湯157の表面157a
が、マグネシウム窒素化合物層159の表面159aに
接触し、アルミニウム溶湯157の表面157aに発生
した酸化物157bから酸素を取り除く。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】図19で説明したよう
に、アルミニウム溶湯157の表面157aをマグネシ
ウム窒素化合物層159の表面159aに接触させるこ
とで、アルミニウム溶湯157の表面157aに発生し
た酸化物157bから酸素を取り除くことができる。こ
のことから、アルミニウム溶湯157の表面157aに
発生した酸化物157bから酸素を取り除くためには、
アルミニウム溶湯157の表面157aが接触するマグ
ネシウム窒素化合物層159の表面159aのみを存在
させればよいことが判る。
【0010】しかし、図18で説明したように、マグネ
シウム窒素化合物の生成を、加熱炉155の内部にマグ
ネシウムを浮遊させた状態でおこなうので、マグネシウ
ムの表面全域に窒素ガスが付着する。このため、マグネ
シウムの表面全域にマグネシウム窒素化合物を生成する
ことになる。このマグネシウム窒素化合物をキャビティ
152の表面に析出させるので、図19に示すように膜
厚tのマグネシウム窒素化合物層159になる。
【0011】このため、キャビティ152の表面に、過
剰なマグネシウム窒素化合物層159を析出させること
になり、マグネシウム窒素化合物層159の生成に時間
がかかり、そのことが生産性を高める妨げになる。加え
て、過剰なマグネシウム窒素化合物層159を生成する
ことになるので、窒素ガスの使用量も多くなり、そのこ
とがコストを下げる妨げになる。
【0012】さらに、上記公報の鋳造方法では、マグネ
シウム窒素化合物層159をキャビティ152の表面に
生成する工程の前工程において、キャビティ152内に
空気を残したままの状態で、キャビティ152内に窒素
ガスを充填する方法を採用している。このため、キャビ
ティ152内から空気を円滑に逃がすことが難しく、キ
ャビティ152内を窒素ガスの雰囲気状態にするまでに
時間がかかり、そのことが生産性を高める妨げになる。
【0013】そこで、本発明の目的は、マグネシウム窒
素化合物の生成を短い時間でおこなうことができ、かつ
窒素ガスの使用量を少なくすることができる鋳造金型に
よるアルミニウム鋳造装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の請求項1は、鋳造金型のキャビティにアルミ
ニウム溶湯を供給してキャビティ内でアルミニウム鋳物
を鋳造するアルミニウム鋳造装置において、このアルミ
ニウム鋳造装置は、キャビティ内の空気を排出する空気
排出部と、空気を排出したキャビティ内に不活性ガスを
導入する不活性ガス導入部と、不活性ガスを導入した後
のキャビティ内に気体状のマグネシウムを導入するマグ
ネシウム導入部と、気体状のマグネシウムを導入した後
のキャビティ内に加熱した窒素ガスを導入する窒素ガス
導入部と、空気排出部、不活性ガス導入部、マグネシウ
ム導入部及び窒素ガス導入部をそれぞれ制御することで
キャビティ内を所定圧に調整する制御部とを備えること
を特徴とする。
【0015】アルミニウム鋳造装置に、空気排出部、不
活性ガス導入部、マグネシウム導入部及び窒素ガス導入
部を備え、これらの各部を制御部で制御してキャビティ
内を所定圧に調整するように構成した。このように、キ
ャビティ内を制御部で所定圧に調整することにより、キ
ャビティの表面にマグネシウムを効率よく析出させるこ
とができ、析出したマグネシウム層の表面に効率よく窒
素マグネシウムを生成させることができる。従って、マ
グネシウム窒素化合物の生成を短い時間でおこなうこと
ができる。
【0016】加えて、マグネシウム層の表面のみに窒素
マグネシウムを生成させることで、マグネシウム層の内
部まで窒素マグネシウムが生成することを防ぐことがで
きる。このため、窒素ガスの使用量を少なくすることが
できる。
【0017】請求項2は、空気排出部がキャビティに臨
む部位と、不活性ガス導入部がキャビティに臨む部位と
を互に対向させて設けたことを特徴とする。
【0018】空気排出部がキャビティに臨む部位と、不
活性ガス導入部がキャビティに臨む部位とを互に対向さ
せて設けることで、キャビティ内に供給した不活性ガス
でキャビティ内の空気を空気排出部側に効率よく寄せる
ことができる。このため、キャビティ内の空気を排出流
路から効率よく排出することができるので、キャビティ
内を短い時間で不活性ガスの雰囲気に変えることができ
る。
【0019】請求項3において、制御部は、空気排出
部、不活性ガス導入部、マグネシウム導入部及び窒素ガ
ス導入部をそれぞれ個別に制御可能としたことを特徴と
する。
【0020】空気排出部、不活性ガス導入部、マグネシ
ウム導入部及び窒素ガス導入部を制御部でそれぞれ個別
に制御することで、キャビティ内の環境を、マグネシウ
ム層の析出条件や窒化マグネシウムの生成条件に合せて
簡単に調整することができる。マグネシウム層の析出条
件や窒化マグネシウムの生成条件を簡単に設定すること
が、マグネシウム層の析出や、窒化マグネシウムの生成
を短い時間でおこなうことができる。
【0021】請求項4は、マグネシウム導入部に、マグ
ネシウムを昇華して気体状のマグネシウムを生成する昇
華部を設けるとともに、窒素ガス導入部に窒素ガスを加
熱する加熱部を設け、昇華部及び加熱部を前記制御部で
制御することにより、それぞれの温度を調整することが
できるようにしたことを特徴とする。
【0022】昇華部及び加熱部をそれぞれ制御部で制御
することで、昇華部でマグネシウムを効率よく好適に昇
華することができ、かつ加熱部で窒素ガスを効率よく好
適に加熱することができる。これにより、マグネシウム
層を効率よく析出させることができ、かつ窒化マグネシ
ウムを効率よく生成することができる。加えて、マグネ
シウム層の析出や、窒化マグネシウムの生成を短い時間
でおこなうことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図に基
づいて以下に説明する。図1は本発明に係るアルミニウ
ム鋳造装置(第1実施形態)で鋳造したディスクロータ
の斜視図である。ディスクロータ10は、円筒形のハブ
部11と、ハブ部11に一体に成形した円盤状のディス
ク部18とからなアルミニウム製の部材である。
【0024】ハブ部11は、周壁12の外側端に蓋13
を一体成形したもので、蓋13の中央に開口14を開
け、開口14の周囲にボルト孔15・・・(・・・は複数個を
示す。以下同様。)及びスタッド孔16・・・を開けたも
のである。ボルト孔15・・・から図示しないボルトを差
込み、これらのボルトでディスクロータ10をドライブ
シャフト(図示しない)側に取り付ける。なお、スタッ
ド孔16・・・は、ディスクロータ10に車輪を取り付け
るために、図示しないスタッドを圧入する孔である。
【0025】図2は本発明に係るアルミニウム鋳造装置
(第1実施形態)の全体概略図である。アルミニウム鋳
造装置20は、鋳造金型22を備えた鋳造装置本体21
と、鋳造金型22に備えたキャビティ25内の空気を排
出する空気排出部40と、空気を排出したキャビティ2
5内にアルゴン(Ar)ガス(不活性ガス(希ガス))
を導入する不活性ガス導入部45と、不活性ガスを導入
した後のキャビティ25内に気体状のマグネシウム(M
g)を導入するマグネシウム導入部50と、気体状のマ
グネシウムを導入した後のキャビティ25内に加熱した
窒素(N2)ガスを導入する窒素ガス導入部60と、キ
ャビティ25内の圧力を検出する検知部65と、この検
知部65の検出情報に基づいてキャビティ25内を所定
圧に調整する制御部70とを備える。
【0026】鋳造装置本体21は、ベース30に固定板
31を取付け、この固定板31に鋳造金型22の固定型
23を取付け、固定板31にガイドロッド32,32を
取付け、ガイドロッド32,32で可動板33を移動自
在に支え、可動板33に鋳造金型22の可動型24を取
付け、固定型23及びベース30にキャビティ25に開
口する湯路34を形成し、湯路34内に移動自在にプラ
ンジャ35を備え、この湯路34から鉛直に湯口36を
形成し、湯口36の上端をほぞ37で塞ぎ、この湯口3
6に連通可能な注湯槽38を湯口36の上方に備える。
固定型23及び可動型24で鋳造金型22を構成する。
【0027】このアルミニウム鋳造装置20によれば、
可動板33を移動手段(図示しない)で矢印の方向に移
動することにより可動型24を型締め位置(図に示す位
置)と型開き位置とに移動することができる。可動型2
4を型締め位置に静止させることで、固定型23と可動
型24とでキャビティ25を形成することができる。こ
のキャビティ25にアルミニウム溶湯39を供給した
後、プランジャ35でアルミニウム溶湯39を加圧する
ことによりキャビティ25内でアルミニウム鋳物を鋳造
することができる。
【0028】空気排出部40は、キャビティ25に排出
流路41を介して真空ポンプ42を連通し、真空ポンプ
42を制御部70からの制御信号に基づいて駆動状態と
停止状態とに切換えるように構成したものである。真空
ポンプ42を駆動状態に切換えることでキャビティ25
内の空気を排出流路41を介して大気中に排出すること
ができる。
【0029】不活性ガス導入部45は、キャビティ25
に導入流路46を介してアルゴンガスボンべ47を連通
し、導入流路46の途中にアルゴン用開閉弁48を備
え、アルゴン用開閉弁48を制御部70からの制御信号
に基づいて開状態と閉状態とに切換えるように構成した
ものである。アルゴン用開閉弁48を開状態に切換える
ことでアルゴンガスボンべ47内のアルゴンを導入流路
46を介してキャビティ25内に導入することができ
る。
【0030】不活性ガス導入部45の導入流路46がキ
ャビティ25に臨む部位25aと、空気排出部40の排
出流路41がキャビティ25に臨む部位25bとを、そ
れぞれキャビティ25の表面のうちの対向する面26
a,26bに設けた。これにより、導入流路46がキャ
ビティ25に臨む部位25aと、排出流路41がキャビ
ティ25に臨む部位25bとを互に対向させることがで
きる。従って、アルゴンガスの導入流路46からキャビ
ティ25内にアルゴンガスを導入した際に、アルゴンガ
スでキャビティ25内の空気を排出流路41側に寄せ
る。このため、キャビティ25内の空気を排出流路41
から効率よく排出することができる。
【0031】マグネシウム導入部50は、導入流路46
の途中に第1マグネシウム導入流路51及び第2マグネ
シウム導入流路52を備え、第1、第2のマグネシウム
導入流路51,52に昇華部53を連通し、第1マグネ
シウム導入流路51の途中にマグネシウム用開閉弁57
を備える。
【0032】昇華部53は、第1マグネシウム導入流路
51の出口端51aに連通するとともに第2マグネシウ
ム導入流路52の入口端52aに連通する収容ケース5
4を備え、この収容ケース54の外側に昇華用ヒータ5
5を備える。この昇華部53は、昇華用ヒータ55を制
御部70からの制御信号に基づいて加熱状態と非加熱態
とに切換えることで加熱温度を調整するように構成した
ものである。昇華用ヒータ55を加熱することで、収容
ケース54内を所定温度(一例として、400℃以上)
まで加熱することにより、収容ケース54内のマグネシ
ウム・インゴット(マグネシウム)58を昇華させて気
体状にすることができる。
【0033】マグネシウム用開閉弁57は、制御部70
からの制御信号に基づいて開状態と閉状態とに切換え可
能な弁である。マグネシウム用開閉弁57を開状態に切
換えることでアルゴンガスボンべ47内のアルゴンガス
を第1マグネシウム導入流路51を介して収容ケース5
4内に導入し、導入したアルゴンガスで気体状のマグネ
シウムを第2マグネシウム導入流路52及び導入流路4
6を介してキャビティ25内に導入することができる。
【0034】窒素ガス導入部60は、キャビティ25に
窒素導入流路61を介して窒素ガスボンべ62を連通
し、窒素導入流路61の途中に窒素用開閉弁63及び加
熱部(ヒータ)64を備える。窒素用開閉弁63は、制
御部70からの制御信号に基づいて開状態と閉状態とに
切換え可能な弁である。窒素用開閉弁63を開状態に切
換えることで窒素ガスボンべ62内の窒素ガスを窒素導
入流路61を介してキャビティ25内に導入することが
できる。
【0035】この窒素ガス導入部60は、加熱部64を
制御部70からの制御信号に基づいて加熱状態と非加熱
態とに切換えることで加熱温度を調整するように構成し
たものである。加熱部64を加熱することで、窒素導入
流路61を流れる窒素ガスを所定温度(一例として、4
00℃以上)まで加熱することができる。
【0036】検知部65は、キャビティ25の上端にセ
ンサ66を備え、このセンサ66でキャビティ25内の
圧力を検出し、検出した情報を制御部70に伝えるもの
である。
【0037】制御部70は、検知部65からの圧力検出
情報に基づいて、空気排出部40、不活性ガス導入部4
5、マグネシウム導入部50及び窒素ガス導入部60を
それぞれ個別に制御可能に構成し、空気排出部40、不
活性ガス導入部45、マグネシウム導入部50及び窒素
ガス導入部60を制御することでキャビティ25内をの
圧力を所定圧に調整するものである。
【0038】この制御部70によれば、真空ポンプ42
を駆動・停止状態に切換える信号を真空ポンプ42に伝
えることができ、アルゴン用開閉弁48を開・閉状態に
切換える信号をアルゴン用開閉弁48に伝えることがで
き、マグネシウム用開閉弁57を開・閉状態に切換える
信号をマグネシウム用開閉弁57に伝えることができ、
窒素用開閉弁63を開・閉状態に切換える信号を窒素用
開閉弁63に伝えることができる。また、この制御部7
0によれば、昇華部53の昇華用ヒータ55を加熱状態
と非加熱態とに切換える信号を昇華用ヒータ55に伝え
ることができ、加熱部64を加熱状態と非加熱態とに切
換える信号を加熱部に伝えることができる。
【0039】以下、本発明に係るアルミニウム鋳造装置
20(第1実施形態)の作用について説明する。図3は
本発明に係る第1実施形態の作用を説明するフローチャ
ートであり、アルミニウム鋳造方法を示す。なお、図中
ST××はステップ番号を示す。 ST10;型閉めした鋳造金型のキャビティ内から空気
を排出するとともにキャビティ内に不活性ガスを充填し
て、キャビティ内を第1の圧力にする。 ST11;キャビティ内に気体状のマグネシウムを導入
してキャビティ表面にマグネシウムを析出させるととも
にキャビティ内を第2の圧力にする。
【0040】ST12;キャビティ内に加熱した窒素ガ
スを導入してキャビティ表面に窒化マグネシウム(Mg
32)を生成させるとともにキャビティ内を第3の圧力
Pにする。 ST13;キャビティ内にアルミニウム溶湯を供給して
アルミニウム溶湯の表面を窒化マグネシウムで還元させ
ながらキャビティ内でアルミニウム製の鋳物を鋳造す
る。以下、本発明に係るアルミニウム鋳造の作用、すな
わちアルミニウム鋳造方法(ST10〜ST13)の工
程を図4〜図11で詳しく説明する。
【0041】図4は本発明に係る第1実施形態の第1作
用説明図であり、ST10を示す。制御部70から真空
ポンプ42に駆動信号を伝えて真空ポンプ42を駆動す
ることにより、キャビティ25内の空気を排出流路41
を介して大気に排出する。同時に、制御部70からアル
ゴン用開閉弁48に開信号を伝えてアルゴン用開閉弁4
8を開状態に切換える。アルゴン用開閉弁48を開状態
に切換えることでアルゴンガスボンべ47内のアルゴン
ガス(「点々」で示す)を導入流路46を介してキャビ
ティ25内に導入する。
【0042】キャビティ25内の空気を排出した後、制
御部70から真空ポンプ42に停止信号を伝えて真空ポ
ンプ42を停止する。検知部65のセンサ66で検知し
たキャビティ25内の圧力が、予め設定した第1の圧力
が大気圧以下の0.5気圧になったとき、制御部70か
らアルゴン用開閉弁48に閉信号を伝えてアルゴン用開
閉弁48を閉状態にする。
【0043】これにより、キャビティ25内をアルゴン
ガスの雰囲気状態にすることができる。キャビティ25
内をアルゴンガルの雰囲気に変える際に、キャビティ2
5内から空気を排出するようにした。このため、キャビ
ティ25内の空気を短い時間でアルゴンガスの雰囲気に
変えることができる。加えて、キャビティ25内を第1
の圧力に調整することにより、大気中の空気がキャビテ
ィ25内に侵入することを防ぐことができる。このた
め、キャビティ25内をアルゴンガスの雰囲気にさらに
効率よく変えることができる。
【0044】図5は本発明に係る第1実施形態の第2作
用説明図であり、不活性ガス導入部45の導入流路46
がキャビティ25に臨む部位25aと、空気排出部40
の排出流路41がキャビティ25に臨む部位25bとを
互に対向させて反対側に設けた状態を示す。
【0045】このように、アルゴンガスの導入流路46
を空気の排出流路41に対して対向する位置に設けたの
で、アルゴンガスの導入流路46からキャビティ25内
にアルゴンガス(「点々」で示す)を矢印の如く導入
した際に、アルゴンガスの領域47aが増すことにより
キャビティ25内の空気の領域41aを排出流路41側
に効率よく寄せることができる。このため、キャビティ
25内の空気を排出流路41から矢印の如く効率よく
排出することができる。従って、キャビティ25内の空
気をさらに短い時間で排出して、アルゴンガスの雰囲気
に変えることができる。
【0046】図6は本発明に係る第1実施形態の第3作
用説明図であり、ST11を示す。制御部70からの信
号で昇華部53の昇華用ヒータ55を加熱状態とし、収
容ケース54内を所定温度(一例として、400℃以
上)まで加熱する。収容ケース54内を加熱することで
マグネシウム・インゴット58を昇華させて気体状にす
る。なお、収容ケース54内の気体状のマグネシウムを
「点々」で示す。
【0047】制御部70からマグネシウム用開閉弁57
に開信号を伝えてマグネシウム用開閉弁57を開状態に
切換える。マグネシウム用開閉弁57を開状態に切換え
ることで、アルゴンガスボンべ47内のアルゴンガスを
第1マグネシウム導入流路51を介して収容ケース54
内に導入する。導入したアルゴンガスで気体状のマグネ
シウム(「点々」で示す)を第2マグネシウム導入流路
52及び導入流路46を介してキャビティ25内に導入
する。この際に、キャビティ25内の第2の圧力(0.
5〜0.7気圧)を大気圧以下になるように調整する。
【0048】ここで、図4で説明したように第1の圧力
(0.5気圧)を第2の圧力(0.5〜0.7気圧)と
同様に大気圧以下にすることで、第1の圧力と第2の圧
力との圧力差を小さく、又は圧力差がないようにできる
ので、第1の圧力から第2の圧力に短い時間で推移する
ことができる。このため、第1の圧力から第2の圧力に
推移する際のタイムラグを抑えることができる。図6に
戻って、気体状のマグネシウムをキャビティ25に導入
する際に、第2マグネシウム導入流路52及び導入流路
46を加熱することで、第2マグネシウム導入流路52
及び導入流路46にマグネシウムが析出しないようにす
ることが好ましい。
【0049】図7は本発明に係る第1実施形態の第4作
用説明図である。キャビティ25内に矢印の如く導入し
た気体状のマグネシウムは、キャビティ25の表面に触
れて150〜250℃に温度が低下する。気体状のマグ
ネシウムの温度が150〜250℃に下がることによ
り、気体状のマグネシウムがキャビティ25の表面に析
出する。この析出したマグネシウムをマグネシウム層5
8aとする。
【0050】ここで、キャビティ25内の第2の圧力
(0.5〜0.7気圧)を大気圧以下に調整すること
で、キャビティ25内をマグネシウムが析出しやすい条
件(すなわち、キャビティ25の表面温度を150〜2
50℃)に簡単に設定することができるので、マグネシ
ウムを効率よく析出させることができる。
【0051】図6に戻って、検知部65のセンサ66で
検知したキャビティ25内の圧力が、予め設定した第2
の圧力になったとき、制御部70からマグネシウム用開
閉弁57に閉信号を伝えてマグネシウム用開閉弁57を
閉状態にする。
【0052】図8は本発明に係る第1実施形態の第5作
用説明図であり、ST12を示す。制御部70からの信
号で窒素ガス導入部60の加熱部64を加熱状態にす
る。この状態で、制御部70から窒素用開閉弁63に開
信号を伝えて窒素用開閉弁63を開状態に切換える。窒
素用開閉弁63を開状態に切換えることで、窒素ガスボ
ンべ62内の窒素ガスを窒素導入流路61に流し、窒素
導入流路61内の窒素ガスを加熱部64で加熱し、加熱
した窒素ガスを窒素導入流路61を介してキャビティ2
5内に導入する。同時に、制御部70から真空ポンプ4
2に駆動信号を伝えて真空ポンプ42を駆動することに
より、キャビティ25内のガスを排出流路41を介して
大気に排出する。これにより、キャビティ25内の圧力
を第3の圧力Pを、一例として0.1気圧と大気圧以下
になるように調整する。
【0053】このように、窒素ガスを加熱炉64で単独
で個別に加熱することで、窒素導入流路61を流れる窒
素ガスを効率よく所定温度(一例として、400℃以
上)まで加熱することができる。
【0054】図9は本発明に係る第1実施形態の第6作
用説明図である。ここで、キャビティ25内の第3の圧
力P(気圧)を、このときのキャビティ25内の窒素ガ
ス(「点々」で示す)の温度をT(℃)とするときに、
P≦(T−270)/130の関係を保つように、第3
の圧力P及び窒素ガスのガス温度Tを設定する。この条
件をみたすことで、キャビティ25の表面に析出したマ
グネシウム層58aと窒素ガスとが反応して、マグネシ
ウム層58aの表面に窒化マグネシウム(Mg32)5
8bを生成させることができる。
【0055】具体的には、例えば検知部65のセンサ6
6で検知したキャビティ25内の第3の圧力Pが0.1
気圧のときには、P≦(T−270)/130の関係か
ら、キャビティ25内の窒素ガスの温度Tを283℃に
なるように調整することで、マグネシウム層58aの表
面に窒化マグネシウム58bを生成させることができ
る。また、キャビティ25内の第3の圧力Pが1気圧の
ときには、P≦(T−270)/130の関係から、キ
ャビティ25内の窒素ガスの温度Tを400℃になるよ
うに調整することで、マグネシウム層58aの表面に窒
化マグネシウム58bを生成させることができる。この
ように、P≦(T−270)/130の関係に基づい
て、第3の圧力Pやキャビティ25内の窒素ガスのガス
温度Tを比較的簡単に決めることができるので、設備の
調整を短い時間でおこなうことができる。
【0056】さらに、窒化マグネシウム58bを生成す
る際に、窒素ガスを加熱し、加熱した窒素ガスを使用す
ることにした。このため、窒化マグネシウム58bを生
成しやすい温度に窒素ガスを加熱することができるの
で、窒化マグネシウム58bを効率よく生成することが
できる。
【0057】ここで、キャビティ25内を第3の圧力P
に調整することで、キャビティ25内を窒化マグネシウ
ム58bが析出しやすい条件(すなわち、第3の圧力P
を0.1気圧、キャビティ25内のガス温度を283℃
に設定すること)に設定することができるので、窒化マ
グネシウム58bを効率よく生成させることができる。
また、キャビティ25内の第3の圧力Pを大気圧以下に
することで、キャビティ25の窒素ガスのガス温度を窒
化マグネシウム58bを生成しやすい温度に調整するこ
とができる。
【0058】図7及び図9で説明したように、窒化マグ
ネシウム58bを生成する際に、先ずキャビティ25の
表面にマグネシウムを析出させてマグネシウム層58a
を形成し、次にキャビティ25に窒素ガスを導入してマ
グネシウム層58aの表面に窒化マグネシウム58bを
生成する。これにより、マグネシウム層58aの表面だ
けに窒化マグネシウム58bを生成することができるの
で、窒化マグネシウム58bの生成時間を短くすること
ができる。加えて、マグネシウム層58aの表面だけに
窒化マグネシウム58bを生成するだけでよいので、窒
素ガスの使用量を少なくすることができる。
【0059】図10(a),(b)は本発明に係る第1
実施形態の第7作用説明図であり、ST13の前半を示
す。(a)において、鋳造装置本体21のほぞ37を操
作して湯口36を開口させることにより、注湯槽38の
アルミニウム溶湯39を湯口36及び湯路34を通して
キャビティ25に矢印の如く供給する。
【0060】(b)において、キャビティ25内に供給
したアルミニウム溶湯39の表面39aが、窒化マグネ
シウム58bに接触する。ここで、アルミニウム溶湯3
9の表面39aには酸化物39bが発生している可能性
があるが、万が一酸化物39bが発生していても、酸化
物39bが窒化マグネシウム58bと反応して酸化物3
9bから酸素を取り除くことができる。
【0061】これにより、アルミニウム溶湯39の表面
39aに酸化皮膜が発生することを防いで、アルミニウ
ム溶湯39の表面張力が増大することを抑えることがで
きる。従って、アルミニウム溶湯39のキャビティ25
への湯廻り性を好適に保つことができる。
【0062】図11(a),(b)は本発明に係る第1
実施形態の第8作用説明図であり、ST13の後半を示
す。(a)において、注湯槽38からアルミニウム溶湯
39をキャビティ25側に所定量供給した後、ほぞ37
で湯口36を閉じる。この状態で、プランジャ35をキ
ャビティ25に向けて押出すことにより、アルミニウム
溶湯39をキャビティ25内に充填する。ここで、図9
においてキャビティ25内の第3の圧力Pを大気圧以下
(一例として、0.1気圧)に調整してあるので、キャ
ビティ25内にアルミニウム溶湯39を円滑に充填する
ことができる。
【0063】(b)において、鋳造金型22を型開きす
ることにより、アルミニウム溶湯39((a)に示す)
が凝固して得たアルミニウム鋳造品39cを取り出す。
アルミニウム鋳造品39cは、注湯の際に湯廻り性を好
適に保つことができるので、品質をより優れたものとす
ることができる。このアルミニウム鋳造品39cを加工
して図1に示すディスクロータ10を得る。
【0064】以上説明したように、第1実施形態によれ
ば、アルミニウム鋳造装置20に、空気排出部40、不
活性ガス導入部45、マグネシウム導入部50及び窒素
ガス導入部60を備え、これらの各部40,45,5
0,60を制御部70で制御してキャビティ25内を所
定圧に調整するように構成した。
【0065】このように、キャビティ25内を制御部7
0で所定圧に調整することにより、キャビティ25の表
面にマグネシウム層58aを効率よく析出させることが
でき、析出したマグネシウム層58aの表面に効率よく
窒素マグネシウム58bを生成させることができる。従
って、窒素マグネシウム58bの生成を短い時間でおこ
なうことができる。加えて、マグネシウム層58aの表
面だけに窒化マグネシウム58bを生成するだけでよい
ので、窒素ガスの使用量を少なくすることができる。
【0066】さらに、第1実施形態によれば、空気排出
部40、不活性ガス導入部45、マグネシウム導入部5
0及び窒素ガス導入部60を制御部70でそれぞれ個別
に制御することを可能にした。このため、キャビティ2
5内の環境を、マグネシウム層58aの析出条件や窒化
マグネシウム58bの生成条件に合せて簡単に調整する
ことができる。マグネシウム層58aの析出条件や窒化
マグネシウム58bの生成条件を簡単に設定すること
が、マグネシウム層58aの析出や、窒化マグネシウム
58bの生成を短い時間でおこなうことができる。
【0067】また、第1実施形態によれば、昇華部53
及び加熱部64をそれぞれ制御部70で制御すること
で、昇華部53でマグネシウムを効率よく且つ好適に気
体状に昇華することができ、かつ加熱部64で窒素ガス
を効率よく好適に加熱することができる。これにより、
マグネシウム層58aを効率よく析出させることがで
き、かつ窒化マグネシウム58bを効率よく生成するこ
とができる。加えて、マグネシウム層58aの析出や、
窒化マグネシウム58bの生成を短い時間でおこなうこ
とができる。
【0068】次に、図2に示すアルミニウム鋳造装置2
0でディスクロータ10(図1参照)を鋳造する変形例
について説明する。この変形例は、キャビティ25内の
第1、第2の圧力をそれぞれ大気圧に設定し、キャビテ
ィ25内の第3の圧力Pを大気圧未満の負圧に設定した
ことを特徴とする。なお、図3〜図11のアルミニウム
鋳造方法では第1、第2の圧力及び第3の圧力Pをそれ
ぞれ大気圧以下に設定している。
【0069】第1の圧力を大気圧に設定することで、キ
ャビティ25内の圧力を大気中と同じにすることができ
るので、キャビティ25内をアルゴンガスの雰囲気に変
える際に、大気中の空気がキャビティ25内に侵入する
ことをさらに確実に防ぐことができる。
【0070】また、キャビティ25内の第2の圧力を大
気圧に設定した。キャビティ25の表面にマグネシウム
を析出させる条件は、第1実施形態で説明したように、
キャビティ25の表面温度を150〜250℃程度に下
げておくことであるが、150〜250℃程度であれば
キャビティ25内の第2の圧力を大気圧以下にさげなく
ても比較的簡単に温度調整が可能である。なお、キャビ
ティ25内の第2の圧力を大気圧に設定した場合には、
マグネシウムの析出温度は300℃である。このため、
例えばキャビティ25の表面温度を150〜250℃程
度に設定しておけばマグネシウムを十分に析出させるこ
とができる。
【0071】さらに、第2の圧力を大気圧に設定するこ
とで、キャビティ25内の圧力を大気中と同じにするこ
とができる。このため、キャビティ25の表面にマグネ
シウムを析出させる際に、大気中の空気がキャビティ2
5内に侵入することを継続的に効率よく防ぐことができ
る。
【0072】このように、第1の圧力及び第2の圧力を
大気圧に設定することで、キャビティ25内に空気が侵
入することをさらに確実に防ぐことができるので、キャ
ビティ25の表面に窒素マグネシウム58bをより効率
よく生成することができる。さらに、キャビティ25内
にアルミニウム溶湯39を供給する際に、アルミニウム
溶湯39の表面39aに酸化物39bが発生することを
抑えることができる。
【0073】また、第3の圧力Pを大気圧未満の負圧に
設定することで、注湯の際にキャビティ25内にアルミ
ニウム溶湯39をより円滑に充填することができる。こ
こで、第2の圧力(大気圧)から第3の圧力P(大気圧
未満)にキャビティ25内の圧力を調整する際には、第
1実施形態と同様に、制御部70から真空ポンプ42に
駆動信号を伝えて真空ポンプ42を駆動することによ
り、キャビティ25内のガスを排出流路41を介して大
気に排出する。
【0074】このように、第1実施形態の変形例によれ
ば、第1の圧力及び第2の圧力を大気圧に設定し、かつ
第3の圧力Pを大気圧未満の負圧に設定することで、ア
ルミニウム鋳造処理をより効率よくおこなうことがで
き、生産性をより高めることができる。
【0075】次に、第2実施形態を図12〜図17に基
づいて説明する。なお、第2実施形態において第1実施
形態と同一部材については同一符号を付して説明を省略
する。図12は本発明に係るアルミニウム鋳造装置(第
2実施形態)の全体概略図である。アルミニウム鋳造装
置80は、鋳造金型82を備えた鋳造装置本体81と、
鋳造金型82に備えたキャビティ87内の空気を排出す
る空気排出部40と、空気を排出したキャビティ87内
にアルゴン(Ar)ガス(不活性ガス(希ガス))を導
入する不活性ガス導入部45と、不活性ガスを導入した
後のキャビティ87内に気体状のマグネシウム(Mg)
を導入するマグネシウム導入部50と、気体状のマグネ
シウムを導入した後のキャビティ87内に加熱した窒素
(N2)ガスを導入する窒素ガス導入部60と、キャビ
ティ87内の圧力を検出する検知部65と、この検知部
65の検出情報に基づいてキャビティ87内を所定圧に
調整する制御部70とを備える。
【0076】鋳造装置本体81は、ベース90に固定板
91を取付け、この固定板91に固定型83を取付け、
ベース90に可動板92を移動自在に取付け、可動板9
2に可動型84を取付け、可動板92を移動する移動手
段93をベース90に設け、ベース90に鋳造金型82
の中子85を昇降手段94で昇降自在に取付け、キャビ
ティ87に開口する湯路95を可動型84に形成し、湯
路95に対して鉛直に湯口96を形成し、アルミニウム
溶湯39を蓄える注湯槽97を湯口96の上方に備え、
鋳造金型82の上端にガス抜きや押湯用の開口98を備
える。固定型83、可動型84及び中子85で鋳造金型
82を構成する。
【0077】なお、図12においては、鋳造装置本体8
1の理解を容易にするために湯口96及び開口98をキ
ャビティ87に対して大きく図示して説明するが、現実
の湯口96及び開口98はキャビティ87に対して十分
に小さく、鋳造金型82を型締めするとキャビティ87
は殆ど密閉状態を維持することができる。
【0078】このアルミニウム鋳造装置80によれば、
可動板92を移動手段93で矢印の方向に移動すること
により可動型84を型締め位置(図に示す位置)と型開
き位置とに移動することができる。また、昇降手段94
で中子85を矢印の方向に移動することにより中子85
を型締め位置(図に示す位置)と型開き位置とに移動す
ることができる。
【0079】可動型84及び中子85を型締め位置に静
止させることで、固定型83、可動型84及び中子85
でキャビティ87を形成することができる。このキャビ
ティ87にアルミニウム溶湯39を供給してキャビティ
87内でアルミニウム鋳物を鋳造することができる。鋳
造装置本体81は、大気圧下で自重を利用してアルミニ
ウム溶湯39をキャビティ87内に流込む構成にしたも
ので、この点で第1実施形態の鋳造装置本体21と異な
る。
【0080】次に、本発明に係るアルミニウム鋳造装置
80(第2実施形態)の作用、すなわち、アルミニウム
鋳造方法について図3及び図12〜図17に基づいて説
明する。先ず、図3のST10の工程を説明する。図1
2に示す制御部70から真空ポンプ42に駆動信号を伝
えて真空ポンプ42を駆動することにより、キャビティ
87内の空気を排出流路41を介して大気に排出する。
【0081】同時に、制御部70からアルゴン用開閉弁
48に開信号を伝えてアルゴン用開閉弁48を開状態に
切換える。アルゴン用開閉弁48を開状態に切換えるこ
とでアルゴンガスボンべ47内のアルゴンガスを導入流
路46を介してキャビティ87内に導入する。
【0082】キャビティ87内の空気を排出した後、制
御部70から真空ポンプ42に停止信号を伝えて真空ポ
ンプ42を停止する。検知部65のセンサ66で検知し
たキャビティ87内の圧力が、予め設定した第1の圧力
が大気圧以下の0.5気圧になったとき、制御部70か
らアルゴン用開閉弁48に閉信号を伝えてアルゴン用開
閉弁48を閉状態にする。
【0083】これにより、キャビティ87内をアルゴン
ガスの雰囲気に変えることができる。キャビティ87内
をアルゴンガルの雰囲気に変える際に、キャビティ87
内から空気を排出するようにした。このため、キャビテ
ィ87内の空気を短い時間でアルゴンガスの雰囲気に変
えることができる。加えて、キャビティ87内を第1の
圧力に調整した。このため、大気中の空気がキャビティ
87内に侵入することを防ぐことができるので、キャビ
ティ内をさらに効率よくアルゴンガスの雰囲気に変える
ことができる。
【0084】図13は本発明に係る第2実施形態の第1
作用説明図であり、不活性ガス導入部45(図12も参
照)の導入流路46がキャビティ87に臨む部位87a
を、空気排出部40(図12も参照)の排出流路41が
キャビティ87に臨む部位87bから離した位置に設け
た状態を示す。
【0085】このように、アルゴンガスの導入流路46
を空気の排出流路41から離した位置に設けたので、ア
ルゴンガスの導入流路46からキャビティ87内にアル
ゴンガス(「点々」で示す)を矢印の如く導入した際
に、アルゴンガスの領域100が増すことによりキャビ
ティ87内の空気の領域101を排出流路41側に効率
よく寄せることができる。このため、キャビティ87内
の空気を排出流路41から矢印の如く効率よく排出す
ることができる。従って、キャビティ87内の空気をさ
らに短い時間で排出させて、アルゴンガスの雰囲気に変
えることができる。
【0086】次に、図3のST11の工程を説明する。
図12に戻って、制御部70からの信号で昇華部53の
昇華用ヒータ55を加熱状態とし、収容ケース54内を
所定温度(一例として、400℃以上)まで加熱する。
収容ケース54内を加熱することでマグネシウム・イン
ゴット58を昇華させて気体状にする。
【0087】制御部70からマグネシウム用開閉弁57
に開信号を伝えてマグネシウム用開閉弁57を開状態に
切換える。マグネシウム用開閉弁57を開状態に切換え
ることで、アルゴンガスボンべ47内のアルゴンガスを
第1マグネシウム導入流路51を介して収容ケース54
内に導入する。導入したアルゴンガスで気体状のマグネ
シウムを第2マグネシウム導入流路52及び導入流路4
6を介してキャビティ87内に導入する。この際に、キ
ャビティ87内の第2の圧力(0.5〜0.7気圧)を
大気圧以下になるように調整する。
【0088】ここで、キャビティ87内をアルゴンガス
の雰囲気に変える際の第1の圧力(0.5気圧)を、第
2の圧力(0.5〜0.7気圧)と同様に大気圧以下に
することで、第1の圧力から第2の圧力に短い時間で推
移することができる。このため、第1の圧力から第2の
圧力に推移する際のタイムラグを抑えることができる。
なお、気体状のマグネシウムをキャビティ87に導入す
る際に、第2マグネシウム導入流路52及び導入流路4
6を加熱することで、第2マグネシウム導入流路52及
び導入流路46にマグネシウムが析出しないようにする
ことが好ましい。
【0089】図14は本発明に係る第2実施形態の第2
作用説明図である。キャビティ87内に矢印の如く導入
した気体状のマグネシウムは、キャビティ87の表面に
触れて150〜250℃に温度が低下する。気体状のマ
グネシウムの温度が150〜250℃に下がることで、
気体状のマグネシウムがキャビティ87の表面に析出す
る。以下、析出したマグネシウムをマグネシウム層10
2として説明する。
【0090】ここで、キャビティ87内の第2の圧力を
大気圧以下に調整することで、キャビティ87内をマグ
ネシウムが析出しやすい条件(すなわち、キャビティ8
7の表面温度を150〜250℃)に簡単に設定するこ
とができるので、マグネシウムを効率よく析出させるこ
とができる。
【0091】図12に戻って、検知部65のセンサ66
で検知したキャビティ87内の圧力が、予め設定した第
2の圧力(0.5〜0.7気圧)になったとき、制御部
70からマグネシウム用開閉弁57に閉信号を伝えてマ
グネシウム用開閉弁57を閉状態にする。
【0092】次いで、図3のST12の工程を説明す
る。図12に示す制御部70からの信号で窒素ガス導入
部60の加熱部64を加熱する。この状態で、制御部7
0から窒素用開閉弁63に開信号を伝えて窒素用開閉弁
63を開状態に切換える。窒素用開閉弁63を開状態に
切換えることで、窒素ガスボンべ62内の窒素ガスを窒
素導入流路61に流し、窒素導入流路61内の窒素ガス
を加熱部64で加熱し、加熱した窒素ガスを窒素導入流
路61を介してキャビティ87内に導入する。同時に、
制御部70から真空ポンプ42に駆動信号を伝えて真空
ポンプ42を駆動することにより、キャビティ87内の
ガスを排出流路41を介して大気に排出する。これによ
り、キャビティ87内の第3の圧力Pを、一例として
0.7〜0.8気圧と大気圧以下になるように調整す
る。
【0093】このように、窒素ガスを加熱炉64で単独
で個別に加熱することで、窒素導入流路61を流れる窒
素ガスを効率よく所定温度(一例として、400℃以
上)まで加熱することができる。
【0094】図15は本発明に係る第2実施形態の第3
作用説明図である。ここで、キャビティ87内の第3の
圧力をP(気圧)、このときのキャビティ87内の窒素
ガス(「点々」で示す)の温度をT(℃)とするとき
に、P≦(T−270)/130の関係を保つように、
第3の圧力P及び窒素ガスの温度Tを設定する。この条
件をみたすことで、キャビティ87の表面に析出したマ
グネシウム層102と窒素ガスとが反応して、マグネシ
ウム層102の表面に窒化マグネシウム103を生成さ
せることができる。
【0095】具体的には、例えば検知部65のセンサ6
6で検知したキャビティ87内の第3の圧力Pが0.7
気圧のときには、P≦(T−270)/130の関係か
ら、キャビティ87内の窒素ガスの温度Tを361℃に
なるように調整することで、マグネシウム層102の表
面に窒化マグネシウム103を生成させることができ
る。また、キャビティ87内の第3の圧力Pが1気圧の
ときには、P≦(T−270)/130の関係から、キ
ャビティ87内の窒素ガスの温度Tを400℃になるよ
うに調整することで、マグネシウム層102の表面に窒
化マグネシウム103を生成させることができる。この
ように、P≦(T−270)/130の関係に基づい
て、第3の圧力Pやキャビティ87内の窒素ガスのガス
温度Tを比較的簡単に決めることができるので、設備の
設定を短い時間でおこなうことができる。
【0096】さらに、窒化マグネシウム103を生成す
る際に、窒素ガスを加熱し、加熱した窒素ガスを使用す
ることにした。このため、窒化マグネシウム103を生
成しやすい温度に窒素ガスを加熱することができるの
で、窒化マグネシウム103を効率よく生成することが
できる。
【0097】ここで、キャビティ87内を第3の圧力P
に調整することで、キャビティ87内を窒化マグネシウ
ム103が析出しやすい条件(一例として、第3の圧力
Pを0.7気圧、キャビティ87内のガス温度を361
℃に設定すること)に設定することができるので、窒化
マグネシウム103を効率よく生成させることができ
る。また、キャビティ87内の第3の圧力Pを大気圧以
下にすることで、キャビティ87の窒素ガスのガス温度
を窒化マグネシウム103を生成しやすい温度に調整す
ることができる。
【0098】図14及び図15に示すように、窒化マグ
ネシウム103を生成する際に、先ずキャビティ87の
表面にマグネシウムを析出させてマグネシウム層102
を形成し、次にキャビティ87に窒素ガスを導入してマ
グネシウム層102の表面に窒化マグネシウム103を
生成する。これにより、マグネシウム層102の表面だ
けに窒化マグネシウム103を生成することができるの
で、窒化マグネシウム103の生成時間を短くすること
ができる。加えて、マグネシウム層102の表面だけに
窒化マグネシウム103を生成するだけでよいので、窒
素ガスの使用量を少なくすることができる。
【0099】次に、図3のST13の工程を説明する。
図16(a),(b)は本発明に係る第2実施形態の第
4作用説明図である。(a)において、鋳造装置本体8
1の注湯槽97を傾けることにより、注湯槽97のアル
ミニウム溶湯39を湯口96及び湯路95を通してキャ
ビティ87に矢印の如く供給する。ここで、キャビティ
87内の第3の圧力Pを大気圧以下に調整してあるの
で、キャビティ87内にアルミニウム溶湯39を円滑に
充填することができる。
【0100】(b)において、キャビティ87内に供給
したアルミニウム溶湯39の表面39aが、窒化マグネ
シウム103に接触する。ここで、アルミニウム溶湯3
9の表面39aには酸化物39bが発生している可能性
があるが、万が一酸化物39bが発生していても、酸化
物39bが窒化マグネシウム103と反応して酸化物3
9bから酸素を取り除くことができる。
【0101】これにより、アルミニウム溶湯39の表面
39aに酸化皮膜が発生することを防いで、アルミニウ
ム溶湯39の表面張力が増大することを抑えることがで
きる。従って、アルミニウム溶湯39のキャビティ87
への湯廻り性を好適に保つことができる。
【0102】図17(a),(b)は本発明に係る第2
実施形態の第5作用説明図である。(a)において、注
湯槽97からアルミニウム溶湯39をキャビティ87に
所定量供給した後、注湯槽97を水平に戻す。アルミニ
ウム溶湯39が凝固した後、昇降手段94で中子85を
矢印の如く下げ、移動手段93で可動型84を矢印
の如く移動することにより、鋳造金型82を型開きす
る。
【0103】(b)において、鋳造金型82を型開きす
ることにより、アルミニウム溶湯39((a)に示す)
が凝固して得たアルミニウム鋳造品105を取り出す。
アルミニウム鋳造品105は、注湯の際に湯廻り性を好
適に保つことができるので、品質をより優れたものとす
ることができる。このアルミニウム鋳造品105から非
製品部105a及び非製品部105bを除去した後、製
品部を加工してエンジンのシリンダブロックを得る。
【0104】以上説明したように、第2実施形態によれ
ば、アルミニウム鋳造装置80に、空気排出部40、不
活性ガス導入部45、マグネシウム導入部50及び窒素
ガス導入部60を備え、これらの各部40,45,5
0,60を制御部70で制御してキャビティ87内を所
定圧に調整するように構成した。
【0105】このように、キャビティ87内を制御部7
0で所定圧に調整することにより、キャビティ87の表
面にマグネシウム層102を効率よく析出させることが
でき、析出したマグネシウム層102の表面に効率よく
窒素マグネシウム103を生成させることができる。従
って、窒素マグネシウム103の生成を短い時間でおこ
なうことができる。加えて、マグネシウム層102の表
面だけに窒化マグネシウム103を生成するだけでよい
ので、窒素ガスの使用量を少なくすることができる。
【0106】さらに、第2実施形態によれば、空気排出
部40、不活性ガス導入部45、マグネシウム導入部5
0及び窒素ガス導入部60を制御部70でそれぞれ個別
に制御することを可能にした。このため、キャビティ8
7内の環境を、マグネシウム層102の析出条件や窒化
マグネシウム103の生成条件に合せて簡単に調整する
ことができる。マグネシウム層102の析出条件や窒化
マグネシウム103の生成条件を簡単に設定すること
が、マグネシウム層102の析出や、窒化マグネシウム
103の生成を短い時間でおこなうことができる。
【0107】また、第2実施形態によれば、昇華部53
及び加熱部64をそれぞれ制御部70で制御すること
で、昇華部53でマグネシウムを効率よく且つ好適に気
体状に昇華することができ、かつ加熱部64で窒素ガス
を効率よく好適に加熱することができる。これにより、
マグネシウム層102を効率よく析出させることがで
き、かつ窒化マグネシウム103を効率よく生成するこ
とができる。加えて、マグネシウム層102の析出や、
窒化マグネシウム103の生成を短い時間でおこなうこ
とができる。
【0108】次に、図12に示すアルミニウム鋳造装置
80でシリンダブロックを鋳造する変形例について説明
する。この変形例は、キャビティ87内の第1、第2の
圧力をそれぞれ大気圧に設定し、第3の圧力Pを大気圧
未満の負圧に設定したことを特徴とする。なお、図13
〜図17のアルミニウム鋳造方法では第1、第2の圧力
及び第3の圧力Pをそれぞれ大気圧以下に設定してい
る。
【0109】第1の圧力を大気圧に設定することで、キ
ャビティ87内の圧力を大気中と同じにすることができ
るので、キャビティ87内をアルゴンガスの雰囲気に変
える際に、大気中の空気がキャビティ87内に侵入する
ことをさらに確実に防ぐことができる。
【0110】また、キャビティ87内の第2の圧力を大
気圧に設定した。キャビティ87の表面にマグネシウム
を析出させる条件は、第2実施形態で説明したように、
キャビティ87の表面温度を150〜250℃程度に下
げておくことであるが、150〜250℃程度であれば
キャビティ87内の第2の圧力を大気圧以下にさげなく
ても比較的簡単に温度調整が可能である。なお、キャビ
ティ25内の第2の圧力を大気圧に設定した場合には、
マグネシウムの析出温度は300℃である。このため、
例えばキャビティ87の表面温度を150〜250℃程
度に設定しておけばマグネシウムを十分に析出させるこ
とができる。
【0111】さらに、第2の圧力を大気圧に設定するこ
とで、キャビティ87内の圧力を大気中と同じにするこ
とができる。このため、キャビティ87の表面にマグネ
シウムを析出させる際に、大気中の空気がキャビティ8
7内に侵入することをさらに確実に防ぐことができる。
【0112】このように、第1の圧力及び第2の圧力を
大気圧に設定することで、キャビティ87内に空気が侵
入することをさらに確実に防ぐことができるので、キャ
ビティ87の表面に窒素マグネシウム103をより効率
よく生成することができる。さらに、キャビティ87内
にアルミニウム溶湯39を供給する際に、アルミニウム
溶湯39の表面39aに酸化物39bが発生することを
抑えることができる。
【0113】また、第3の圧力Pを大気圧未満の負圧に
設定することで、キャビティ87内にアルミニウム溶湯
39をより円滑に充填することができる。ここで、第2
の圧力(大気圧)から第3の圧力P(大気圧未満)にキ
ャビティ87内の圧力を調整する際には、第2実施形態
と同様に、制御部70から真空ポンプ42に駆動信号を
伝えて真空ポンプ42を駆動することにより、キャビテ
ィ87内のガスを排出流路41を介して大気に排出す
る。
【0114】このように、第2実施形態の変形例によれ
ば、第1の圧力及び第2の圧力を大気圧に設定し、かつ
第3の圧力Pを大気圧未満の負圧に設定することで、ア
ルミニウム鋳造処理をより効率よくおこなうことがで
き、生産性をより高めることができる。
【0115】なお、前記実施形態では、鋳造金型のキャ
ビティ内のアルゴンガスの雰囲気に変えた例に例につい
て説明したが、アルゴンガスに変えてヘリウム等の不活
性ガスを使用することも可能である。さらに、アルゴン
ガスなどの不活性ガスに代えて、空気と比較して化学的
に不活発な窒素ガスを使用することも可能である。
【0116】また、前記実施形態のアルミニウムの鋳造
装置は、一例としてシリコン、ニッケルや銅を含んだア
ルミニウム合金や純粋なアルミニウムに適用することが
可能である。さらに、前記実施形態で説明した第1、第
2、第3の圧力の各々の値は一例を示したものであり、
第1、第2、第3の圧力はこれに限るものではない。
【0117】さらに、前記実施形態では、キャビティ2
5、87内の圧力を検知部65のセンサ66で検知し、
この検知圧力情報に基づいてキャビティ25、87内を
所望の圧力に調整する例について説明したが、これに限
らないで、検知部65を使用しないでキャビティ25、
87内を所望の圧力に調整することも可能である。一例
として、検知部65を使用しない場合には、予めティー
チングした条件に基づいて制御部70をコントロールす
ることでキャビティ25、87内を所望の圧力に調整す
ることが可能である。
【0118】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮
する。請求項1は、アルミニウム鋳造装置に、空気排出
部、不活性ガス導入部、マグネシウム導入部及び窒素ガ
ス導入部を備え、これらの各部を制御部で制御してキャ
ビティ内を所定圧に調整するように構成した。このよう
に、キャビティ内を制御部で所定圧に調整することによ
り、キャビティの表面にマグネシウムを効率よく析出さ
せることができ、析出したマグネシウム層の表面に効率
よく窒素マグネシウムを生成させることができる。従っ
て、マグネシウム窒素化合物の生成を短い時間でおこな
うことができるので、生産性を高めることができる。
【0119】加えて、マグネシウム層の表面のみに窒素
マグネシウムを生成させることで、マグネシウム層の内
部まで窒素マグネシウムが生成することを防ぐことがで
きる。このため、窒素ガスの使用量を少なくすることが
できるので、コストを抑えることができる。
【0120】請求項2は、空気排出部がキャビティに臨
む部位と、不活性ガス導入部がキャビティに臨む部位と
を互に対向させて設けることで、キャビティ内に供給し
た不活性ガスでキャビティ内の空気を空気排出部側に効
率よく寄せることができる。このため、キャビティ内の
空気を排出流路から効率よく排出することができるの
で、キャビティ内を短い時間で不活性ガスの雰囲気に変
えることができ、生産性を高めることができる。
【0121】請求項3は、空気排出部、不活性ガス導入
部、マグネシウム導入部及び窒素ガス導入部を制御部で
それぞれ個別に制御することで、キャビティ内の環境
を、マグネシウム層の析出条件や窒化マグネシウムの生
成条件に合せて簡単に調整することができる。マグネシ
ウム層の析出条件や窒化マグネシウムの生成条件を簡単
に設定することが、マグネシウム層の析出や、窒化マグ
ネシウムの生成を短い時間でおこなうことができる。従
って、アルミニウム鋳造品の生産性を高めることができ
る。
【0122】請求項4は、昇華部及び加熱部をそれぞれ
制御部で制御することで、昇華部でマグネシウムを効率
よく好適に昇華することができ、かつ加熱部で窒素ガス
を効率よく好適に加熱することができる。これにより、
マグネシウム層を効率よく析出させることができ、かつ
窒化マグネシウムを効率よく生成することができる。加
えて、マグネシウム層の析出や、窒化マグネシウムの生
成を短い時間でおこなうことができるので、アルミニウ
ム鋳造品の生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアルミニウム鋳造装置(第1実施
形態)で鋳造したディスクロータの斜視図
【図2】本発明に係るアルミニウム鋳造装置(第1実施
形態)の全体概略図
【図3】本発明に係る第1実施形態の作用を説明するフ
ローチャート
【図4】本発明に係る第1実施形態の第1作用説明図
【図5】本発明に係る第1実施形態の第2作用説明図
【図6】本発明に係る第1実施形態の第3作用説明図
【図7】本発明に係る第1実施形態の第4作用説明図
【図8】本発明に係る第1実施形態の第5作用説明図
【図9】本発明に係る第1実施形態の第6作用説明図
【図10】本発明に係る第1実施形態の第7作用説明図
【図11】本発明に係る第1実施形態の第8作用説明図
【図12】本発明に係るアルミニウム鋳造装置(第2実
施形態)の全体概略図
【図13】本発明に係る第2実施形態の第1作用説明図
【図14】本発明に係る第2実施形態の第2作用説明図
【図15】本発明に係る第2実施形態の第3作用説明図
【図16】本発明に係る第2実施形態の第4作用説明図
【図17】本発明に係る第2実施形態の第5作用説明図
【図18】従来のアルミニウム鋳造装置を説明する概略
【図19】従来のアルミニウム鋳造装置の要部説明図
【符号の説明】
20,80…アルミニウム鋳造装置、22,82…鋳造
金型、25,87…キャビティ、25a…不活性ガス導
入部がキャビティに臨む部位、25b…空気排出部がキ
ャビティに臨む部位、39…アルミニウム溶湯、39a
…アルミニウム溶湯の表面、39c,105…アルミニ
ウム鋳造品、40…空気排出部、45…不活性ガス導入
部、50…マグネシウム導入部、53…昇華部、60…
窒素ガス導入部、64…加熱部、70…制御部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅谷 有利 埼玉県狭山市新狭山1丁目10番地1 ホン ダエンジニアリング株式会社内 (72)発明者 加藤 崇 埼玉県狭山市新狭山1丁目10番地1 ホン ダエンジニアリング株式会社内 (72)発明者 越後 隆治 埼玉県狭山市新狭山1丁目10番地1 ホン ダエンジニアリング株式会社内 (72)発明者 松浦 聡司 埼玉県狭山市新狭山1丁目10番地1 ホン ダエンジニアリング株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳造金型のキャビティにアルミニウム溶
    湯を供給してキャビティ内でアルミニウム鋳物を鋳造す
    るアルミニウム鋳造装置において、 このアルミニウム鋳造装置は、キャビティ内の空気を排
    出する空気排出部と、 空気を排出したキャビティ内に不活性ガスを導入する不
    活性ガス導入部と、 不活性ガスを導入した後のキャビティ内に気体状のマグ
    ネシウムを導入するマグネシウム導入部と、 気体状のマグネシウムを導入した後のキャビティ内に加
    熱した窒素ガスを導入する窒素ガス導入部と、 前記空気排出部、不活性ガス導入部、マグネシウム導入
    部及び窒素ガス導入部をそれぞれ制御することでキャビ
    ティ内を所定圧に調整する制御部と、を備えることを特
    徴とするアルミニウム鋳造装置。
  2. 【請求項2】 前記空気排出部がキャビティに臨む部位
    と、前記不活性ガス導入部がキャビティに臨む部位とを
    互に対向させて設けたことを特徴とする請求項1記載の
    アルミニウム鋳造装置。
  3. 【請求項3】 前記制御部は、前記空気排出部、不活性
    ガス導入部、マグネシウム導入部及び窒素ガス導入部を
    それぞれ個別に制御可能としたことを特徴とする請求項
    1記載のアルミニウム鋳造装置。
  4. 【請求項4】 前記マグネシウム導入部に、マグネシウ
    ムを昇華して気体状のマグネシウムを生成する昇華部を
    設けるとともに、前記窒素ガス導入部に窒素ガスを加熱
    する加熱部を設け、 前記昇華部及び加熱部を前記制御部で制御することによ
    り、それぞれの温度を調整することができるようにした
    ことを特徴とする請求項1記載のアルミニウム鋳造装
    置。
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