JP2003047497A - 新規の細菌分析方法 - Google Patents
新規の細菌分析方法Info
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Abstract
方法を提供する。 【解決手段】 前記細菌分析方法は、(1)分析対象細
菌を含む可能性のある液状被検試料を、その分析対象細
菌を担持可能な支持体と接触させる工程;(2)前記分
析対象細菌検出用の発色酵素基質又は発光酵素基質液
を、発色又は発光酵素基質用支持体に接触させて発色酵
素基質又は発光酵素基質を担持させる工程;及び(3)
前記工程(1)で得られた、液状被検試料を接触させた
分析対象細菌用支持体と、前記工程(2)で得られた、
発色又は発光酵素基質を担持させた発色又は発光酵素基
質用支持体とを接触させ、前記発色又は発光酵素基質担
持発色又は発光酵素基質用支持体における発色又は発光
を分析する工程を含む。
Description
法に関する。
菌の検出において、臨床細菌検査では、分析対象対照細
菌数を、直接分離培地に塗抹することにより検出可能で
あるが、食品細菌検査では、分析対象細菌数が少ない場
合や、分析対象細菌が損傷を受けていることが多い場合
があるため、非選択性培地での前増菌培養が必要であ
る。また、分析対象細菌によっては、更に、前増菌培養
の後の選択増菌培養が必要であり、選択増菌培養の後
に、更に分離培養、確認培養、及び同定検査の手順を踏
まなければならない。確認培養及び同定検査は、多数の
生化学的性状を組み合わせて行なうため、通常、18時
間〜72時間、また検査項目によっては、1週間の培養
が必要な場合もあり、結果が得られるまでに相当な日数
と労力を要する。また、被検試料中の分析対象細菌数が
少ない場合、被検試料の濃縮は、通常、濾過又は遠心に
より実施することが多く、それに必要な装置と手間がか
かるのが現状である。
の細菌を検出し、同定する操作は、あらゆる分野におけ
る細菌検査において極めて繁雑で、時間を要する。或る
特定の細菌の検出及び同定は、培養検査と種々の生化学
的性状検査により行われる。それらの性状は、それぞれ
の酵素反応の現れで、一つの性状検査の結果は、複数の
酵素反応の最終産物で判定させる場合が多く、このこと
が操作の繁雑性及び長時間かかる要因である。また、細
菌検査は、培養が根本的な骨格になっているため、数日
を要する原因の一つである。更に、被検試料中の分析対
象細菌数が少ない場合は、被検試料の濃縮が必要で、こ
れには濾過法や遠心法等があるが、専用の装置や機器が
必要で、大容量試料の処理には手間もかかるのが現状で
ある。本発明の課題は、より簡便且つ迅速に分析対象細
菌を分析する方法を提供することにある。
る、 (1)分析対象細菌を含む可能性のある液状被検試料
を、その分析対象細菌を担持可能な支持体と接触させる
工程; (2)前記分析対象細菌検出用の発色酵素基質又は発光
酵素基質液を、発色又は発光酵素基質用支持体に接触さ
せて発色酵素基質又は発光酵素基質を担持させる工程;
及び (3)前記工程(1)で得られた、液状被検試料を接触
させた分析対象細菌用支持体と、前記工程(2)で得ら
れた、発色又は発光酵素基質を担持させた発色又は発光
酵素基質用支持体とを接触させ、前記発色又は発光酵素
基質担持発色又は発光酵素基質用支持体における発色又
は発光を分析する工程を含むことを特徴とする、細菌の
分析方法により解決することができる。本明細書におけ
る「分析」には、分析対象細菌の存在の有無を判定する
「検出」と、分析対象細菌の数を定量的又は半定量的に
決定する「測定」との両方が含まれる。
対象細菌用支持体」、あるいは、単に「細菌用支持体」
と称する)に、分析対象細菌を含む可能性のある液状被
検試料を接触させる工程(以下、液状被検試料接触工程
と称する); (2)発色又は発光酵素基質用支持体(以下、単に「基
質用支持体」と称することがある)に、前記分析対象細
菌検出用の発色酵素基質又は発光酵素基質の液(例え
ば、溶液又は分散液)を接触させ、発色酵素基質又は発
光酵素基質を担持させる工程(以下、発色又は発光酵素
基質担持工程と称する);及び (3)前記液状被検試料接触工程(1)で得られた、液
状被検試料を接触させた分析対象細菌用支持体(液状被
検試料接触分析対象細菌用支持体;以下、単に「試料接
触細菌用支持体」と称することがある)と、前記発色又
は発光酵素基質担持工程(2)で得られた、発色又は発
光酵素基質を担持させた発色又は発光酵素基質用支持体
(発色又は発光酵素基質担持発色又は発光酵素基質用支
持体;以下、単に「基質担持基質用支持体」と称するこ
とがあります)とを接触させ、基質担持基質用支持体に
おける発色又は発光を分析する工程(以下、分析工程と
称する)を含む。
料は、分析対象細菌を含む可能性のある被検試料である
限り、特に限定されるものではなく、例えば、臨床材料
(例えば、血液、尿、便、髄液、喀痰、又は咽頭拭い液
など)、食品試料(例えば、飲料水、牛乳若しくは乳製
品、卵若しくは卵製品、肉若しくは肉製品、魚介類若し
くは魚介類製品、冷凍食品、日配食品、菓子類、又は香
辛料等)、飼料若しくは飼料製品、工業用水、環境検査
用試料、又は各種ふき取り検査試料を挙げることができ
る。本発明の細菌分析方法では、これらの被検試料を液
状で使用するので、前記被検試料が液体試料の場合は、
そのままで、あるいは、適当な溶媒で希釈した希釈液を
使用することができ、固形試料の場合には、乳化処理し
て得られた液、あるいは、適当な溶媒(例えば、水、生
理食塩水、又は緩衝液等)で洗い出しを行なって得られ
た液を使用することができる。
体としては、例えば、メンブレンフィルターを挙げるこ
とができ、細菌用支持体上に前記分析対象細菌を担持す
ることのできる限り、その材質、フィルター孔径、フィ
ルター形状及び大きさ、並びに色などは、特に限定され
るものではない。
いる基質用支持体としては、例えば、メンブレンフィル
ター、濾紙、ガラスフィルター、又は焼結フィルターを
挙げることができ、基質用支持体上に発色又は発光酵素
基質を担持することができる限り、その材質、フィルタ
ー孔径、フィルター形状及び大きさ、並びに色などは、
特に限定されるものではない。
ブレンフィルターを用いる場合には、その材質として
は、例えば、セルロースアセテート、セルロース混合エ
ステルセルロースナイトレート、ポリカーボネイト、セ
ルローストリアセテート、又はポリスルフォン等を挙げ
ることができる。メンブレンフィルターの孔径は、例え
ば、0.2μm〜3μmであることができる。メンブレ
ンフィルターの形状としては、例えば、円形若しくは楕
円形、又は多角形(例えば、正方形又は長方形)を挙げ
ることができ、円形である場合には、その直径は、例え
ば、5mm〜90mmであることができる。メンブレン
フィルターの色は、分析工程において、発色又は発光酵
素基質に由来する発色又は発光の分析を妨げない限り、
特に限定されるものではない。また、周縁疎水性加工し
たメンブレンフィルターを使用すると、メンブレンフィ
ルターの周縁から細菌試料液が漏れるのを防ぐことがで
きるため、好ましい。
質又は発光酵素基質として、分析対象細菌に特異的な酵
素を検出するために用いることのできる公知の種々の発
色酵素基質又は発光酵素基質を用いることができる。こ
れらの発色酵素基質及び発光酵素基質は、酵素(例え
ば、分析対象細菌が特異的に有する酵素)に関する基質
と、適当な発色物質又は発光物質とを、適当な手段によ
り結合することにより合成される化合物であり、基質と
発色物質又は発光物質とが結合されている状態では発色
又は発光しないが、前記酵素により基質と発色物質又は
発光物質とに切断されると、前記発色物質又は発光物質
に由来する発色又は発光が生じる。
は、例えば、4−ニトロフェノール、2−ニトロフェノ
ール、5−ブロモ−4クロロ−3−インドリル、6−ク
ロロ−3−インドリル、4−ニトロアニリン、若しくは
β−ナフチルアミン、又はこれらの各種発色物質の誘導
体を挙げることができる。
は、例えば、4−メチルウンベリフェロン、7−アミド
−4−メチルクマリン、4−メトキシ−2−ナフチルア
ミン、若しくは7−アミノ−4−トリフルオロメチルク
マリン、又はこれらの各種発光物質の誘導体を挙げるこ
とができる。
素基質としては、例えば、L−ピログルタミン酸、β−
D−ガラクトピラノシド、α−D−ガラクトピラノシ
ド、β−D−グルコピラノシド、α−D−グルコピラノ
シド、β−D−キシロピラノシド、α−L−アラビノピ
ラノシド、β−D−セロピラノシド、β−D−グルクロ
ニド、α−D−グルクロニド、β−D−フコピラノシ
ド、N−アセチル−β−D−ガラクトサミニド、N−ア
セチル−β−D−グルコサミニド、α−D−マンノピラ
ノシド、β−D−マンノピラノシド、ブチレイト、β−
N−アセチルグルコサミニド、β−N−アセチルガラク
トサミニド、カルリル酸、L−アスパラギン酸、L−グ
ルタミン酸、グリシル−プロリン、L−ヒスチジン、L
−プロリン、セリル−トリプシン、L−バリン、L−ア
ルギニン、L−リシン、L−ロイシン、L−メチオニ
ン、L−フェルアラニン、L−アルギニル−L−アルギ
ニン、N−サクシニル−L−アラニル−L−プロリル−
L−アラニン、L−グルタリルグリシン−L−アルギニ
ン、L−グルタミル−L−リシン−L−リシン、L−リ
シン−L−アラニン、L−プログルタミン酸、L−バリ
ン、L−アラニン、リン酸、硫酸、L−ピロリドンカル
ボキシルリン酸、又はデオキシリボヌクレイン酸等を挙
げることができる。発色物質又は発光物質を酵素基質と
結合するには、公知の手段を用いて、適当な結合、例え
ば、ペプチド結合、エステル結合、又はグリコシド結合
により結合することができるし、あるいは、発色物質又
は発光物質と酵素基質とが結合した状態で市販されてい
る複合体をそのまま用いることもできる。
料接触工程では、液状被検試料と細菌用支持体とを接触
させ、液状被検試料中に分析対象細菌が含まれている場
合には、分析対象細菌を細菌用支持体に担持させる。細
菌用支持体に液状被検試料を接触させる方法は、特に限
定されるものではなく、例えば、適当な容器(例えば、
シャーレ)内に配置した細菌用支持体上に、液状被検試
料を滴下することもできるし、あるいは、適当な容器に
入れた液状被検試料中に、細菌用支持体を浸漬すること
もできる。
(例えば、吸収パッド)上に前記細菌用支持体を配置し
た状態で、液状被検試料接触工程を実施することが好ま
しい。より具体的には、細菌用支持体の一方の面を、液
体吸収体と接触させた状態で、前記細菌用支持体の反対
側の面に、液状被検試料を加えることにより、細菌用支
持体に液状被検試料を接触させることができる。液状被
検試料接触工程において、液体吸収体を使用すると、細
菌用支持体中を大量の液状被検試料を通過させることが
でき、その結果として、液状被検試料中に分析対象細菌
が含まれている場合には、分析対象細菌を濃縮して細菌
用支持体に担持させることができる。
る前記液体吸収体は、滅菌(例えば、高圧蒸気滅菌、エ
チレンオキサイド滅菌、又はγ線滅菌)可能な液体吸収
体である限り、特に限定されるものではないが、例え
ば、多孔性フィルター、グラスファイバーフィルター、
濾紙、又はスポンジ等を挙げることができる。液体吸収
体の色、形状、又は大きさは、特に限定されるものでは
なく、例えば、液状被検試料の量に応じて適宜決定する
ことができる。また、前記液体吸収体を2枚以上重ねて
使用することもできる。
開口した筒状体(例えば、シリンダー)を細菌用支持体
上に配置した状態で、液状被検試料接触工程を実施する
ことが好ましい。より具体的には、細菌用支持体上に、
両端が開口している筒状体を、一方の開口端と前記細菌
用支持体とが接触するように配置した状態で、前記筒状
体中に、液状被検試料を加えることにより、細菌用支持
体に液状被検試料を供給することができる。液状被検試
料接触工程において、筒状体を使用すると、接触操作を
簡略化することができる。
る前記筒状体は、滅菌可能である限り、その材質は特に
限定されるものではないが、例えば、プラスティック、
ガラス、又はステンレススチール等を挙げることができ
る。また、前記筒状体の形状及び大きさは、筒状体内に
加えた液状被検試料を細菌用支持体に接触させることが
できる限り、特に限定されるものではなく、使用する細
菌用支持体の大きさに合わせて適宜決定することができ
る。細菌用支持体と同形状且つ同サイズの筒状体を用い
ることが好ましい。
接触工程を実施する際に、前記液体吸収体又は前記筒状
体の一方のみを単独で使用することもできるし、あるい
は、組み合わせて同時に使用することもできる。液体吸
収体及び筒状体を組み合わせて使用すると、より大量の
液状被検試料を、簡略化した操作で処理することがで
き、その結果、液状被検試料中に分析対象細菌が含まれ
ている場合には、より多くの分析対象細菌を濃縮して細
菌用支持体に担持させることができるため、好ましい。
液体吸収体及び筒状体を組み合わせて使用する場合に
は、前記筒状体は、細菌用支持体を液体吸収体に圧着す
るのに充分な重さがある材質(例えば、ステンレススチ
ール又はガラス)からなることが好ましい。また、充分
な重さのないプラスチック等からなる筒状体を使用する
場合には、細菌用支持体を液体吸収体に押しつけるよう
に、手でシリンダーを抑えることができる。
光酵素基質担持工程では、基質用支持体に発色又は発光
酵素基質液を接触させ、発色酵素基質又は発光酵素基質
を担持させる方法は、特に限定されるものではなく、例
えば、発色酵素基質又は発光酵素基質を適当な溶媒に溶
解又は分散させ、得られた溶液又は分散液を基質用支持
体に含ませることにより実施することができる。より具
体的には、適当な容器(例えば、シャーレ)内に配置し
た基質用支持体上に、発色又は発光酵素基質液を滴下す
ることもできるし、あるいは、適当な容器に入れた発色
又は発光酵素基質液中に、基質用支持体を浸漬すること
もできる。
分散させるのに用いる溶媒は、発色酵素基質又は発光酵
素基質の性能に影響を与えない溶媒である限り、特に限
定されるものではなく、例えば、N,N−ジメチルフォ
ルムアミド、ジメチルスルフォキシド、エタノール、メ
タノール、アセトン、トルエン、ブタノール、塩酸、リ
ン酸緩衝液、又は精製水等を挙げることができる。発色
又は発光酵素基質液における発色又は発光酵素基質の濃
度は、特に限定されるものではないが、例えば、0.0
1〜10%であることができ、基質用支持体に接触させ
る発色又は発光酵素基質液の量も、特に限定されるもの
ではないが、例えば、10μL〜500μLであること
ができる。
た、発色又は発光酵素基質液を担持させた基質用支持体
は、そのまま、次の分析工程に使用することもできる
し、あるいは、次の分析工程に使用する前に、乾燥(例
えば、自然乾燥、送風乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、又は
凍結乾燥等)させて、その状態で保存することもでき
る。発色又は発光酵素基質液を担持させた基質用支持体
は、乾燥させても、試薬性能(発色性及び蛍光性)の劣
化は見られず、保存温度に関わらず(例えば、4℃、1
0℃、25℃、又は37℃)、長期間(約2年)安定で
あり、優れた保存安定性を有している。
は、液状被検試料接触工程で得られた試料接触細菌用支
持体と、発色又は発光酵素基質担持工程で得られた基質
担持基質用支持体とを接触させ、所定時間経過した後、
基質担持基質用支持体における発色又は発光を分析す
る。液状被検試料中に分析対象細菌が存在する場合に
は、試料接触細菌用支持体と基質担持基質用支持体とを
接触させると、前記細菌が特異的に有する酵素により、
発色又は発光酵素基質が、発色物質又は発光物質と酵素
基質とに切断され、発色物質又は発光物質が遊離する。
発色酵素基質を用いた場合には、発色物質の遊離によ
り、基質担持基質用支持体が着色するので、例えば、肉
眼判定により、発色物質の有無及び/又は発色物質量を
分析することができる。発光酵素基質を用いた場合に
は、例えば、基質担持基質用支持体に長波長の紫外線
(UV)ランプを照射すると、肉眼判定により、蛍光物
質の有無及び/又は蛍光物質量を分析することができ
る。発色物質に由来する発色、あるいは、蛍光物質に由
来する発光の分析方法は、肉眼判定以外にも、使用する
発色物質又は蛍光物質の種類に応じて適宜選択すること
ができ、例えば、蛍光測定機又は分光光度計を挙げるこ
とができる。
と基質担持基質用支持体とを接触させる場合に、同時
に、前記試料接触細菌用支持体と、分析対象細菌用培地
含有担体とを更に接触させることが好ましい。分析対象
細菌用培地含有担体としては、例えば、分析対象細菌用
培地を吸収させた吸収パッド、あるいは、分析対象細菌
用培地を含む寒天培地(好ましくは、寒天平板培地)を
挙げることができる。前記寒天培地としては、例えば、
普通寒天培地、ハートインフュージョン寒天培地、トリ
プチケースソイ寒天培地、又は血液寒天培地等を挙げる
ことができる。
と分析対象細菌用培地含有担体とを接触させると、液状
被検試料中に分析対象細菌が含まれている場合には、分
析対象細菌の代謝を促進することができ、その結果とし
て、酵素活性を高めることができる。また、分析対象細
菌用培地含有担体として寒天平板培地を用い、基質担持
基質用支持体として、複数種類の分析対象細菌に特異的
な酵素を検出するための、複数種類の基質担持基質用支
持体を用いると、1枚の寒天平板培地上で、複数の分析
対象細菌の分析を同時に行なうことができる。
ものではないが、例えば、図1に示す各工程(A)〜
(I)に従って実施することができる。図1に示す工程
では、発光酵素基質を用いた場合の態様を示すが、発色
酵素基質を用いた場合でも、後述するように、最後の工
程(I)を除き、同様に実施することができる。工程
(A)に示すように、蓋付きの適当な容器1[例えば、
シャーレ(例えば、直径=60mm)]に、滅菌済みの
プレフィルター2[例えば、吸収パッド(例えば、直径
=47mm)]を入れた後、工程(B)に示すように、
前記プレフィルター2の上に、滅菌済みの細菌用支持体
3[例えば、メンブレンフィルター(例えば、孔径=
0.8μm、直径=25mm)]を載せる。工程(C)
に示すように、前記細菌用支持体3上に、滅菌済みのシ
リンダー4(例えば、ステンレススチール製)をかぶ
せ、前記シリンダー4内に、液状被検試料5を入れ、細
菌用支持体3上に液状被検試料5を供給する。液状被検
試料5がプレフィルター2に吸収されるまで放置してか
ら、シリンダー4を取り去ると、工程(D)に示すよう
に、試料接触細菌用支持体3’及び液状被検試料吸収プ
レフィルター2’が得られる。
えば、シャーレ(例えば、直径=60mm)]に、滅菌
済みのプレフィルター(例えば、直径=25mm)を入
れた後、適当量(例えば、650μL)の分析対象細菌
用培地[例えば、ブレインハートインフュージョンブイ
ヨン(BHIB)培地]を染み込ませることにより、分
析対象細菌用培地吸収プレフィルター7が得られる。工
程(F)に示すように、前記の分析対象細菌用培地吸収
プレフィルター7上に、工程(D)で得られた試料接触
細菌用支持体3’を重ねる。工程(G)に示すように、
予め作製した、発光酵素基質を担持させた基質用支持体
(例えば、メンブレンフィルター)8を、緩衝液(すな
わち、分析対象細菌が特異的に有する酵素の至適pHを
維持可能な緩衝液)で湿らせた後、試料接触細菌用支持
体3’の上に、更に重ねる。工程(H)に示すように、
適当な温度(例えば、37℃)でインキュベートした
後、工程(I)に示すように、長波長の紫外線ランプ9
を照射し、発光酵素基質担持基質用支持体8上の蛍光の
有無を肉眼判定する。発光酵素基質の代わりに、発色酵
素基質を用いた場合には、工程(H)の後、発色酵素基
質担持基質用支持体上の発色の有無を肉眼判定する。
大腸菌を分析する場合には、大腸菌を含む液状被検試料
(例えば、尿路感染症の約7〜8割は大腸菌によるもの
で、尿中の大腸菌が104個/mL以上存在すれば、尿
路感染症と診断することができる)を、吸収パッドの上
に載せたメンブレンフィルター上に供給する。これとは
別に、大腸菌に特異的なβ−D−グルクロニダーゼの発
光酵素基質である、4−メチルウンベリフェリル−β−
D−グルクロニドを0.01〜1%に染み込ませ、乾燥
させた発光酵素基質担持メンブレンフィルターを、0.
01mol/L〜0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH
5〜9)で湿らせ、先に調製した液状被検試料接触メン
ブレンフィルターに重ねる。重ねたこれらのメンブレン
フィルターを、培地を含ませた吸収パッド上に載せ、3
7度℃で6時間反応させる。発光酵素基質担持メンブレ
ンフィルターに含まれる4−メチルウンベリフェリル−
β−D−グルクロニドは、大腸菌の酵素により切断さ
れ、発光物質である4−メチルウンベロフェロンが遊離
し、長波長のUVランプ(360〜370nm)を照射
するだけで、発光酵素基質担持メンブレンフィルターが
蛍光を発し、104個/mLの大腸菌の存在を確認する
ことができる。
に特異的な複数の発色又は発光酵素基質を含ませた、複
数の発色又は発光酵素基質担持基質用支持体を用いるこ
とにより、様々な菌の分析を同時に実施することができ
る。例えば、飲料水や河川水、工業用水等においては、
大腸菌群及び大腸菌の存在が問題になるが、この場合、
前記の大腸菌検出用発光酵素基質を担持させた基質用支
持体と、大腸菌群に特異的な酵素である、β−Dガラク
トシダーゼに対する発光酵素基質である4−メチルウン
ベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシドを担持させ
た基質用支持体とを用い、同様の操作を行なうことによ
り、大腸菌群及び大腸菌をそれぞれ区別して検出するこ
とができる。
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。
出》 (A)試験菌の調製 大腸菌JCM1649株をハートインフュージョン寒天
培地に接種し、37℃で一晩培養した。その1集落をブ
レインハートインフュージョンブイヨンに接種し、37
℃で一晩培養した後、0.067mol/Lリン酸緩衝
液(pH8.0)で108個/mL〜103個/mLとな
るように段階的に希釈した希釈液を試験菌液とした。
ターの作製 4ーメチルウンベリフェリル−β−D−グルクロニド
(MUG)(ナカライ社)をN,N−ジメチルフォルム
アミドに溶解した後、更に、0.067mol/Lリン
酸緩衝液(pH8.0)に溶解し、MUGが最終濃度
0.05%になるように調整した。この発光酵素基質溶
液100μLを、滅菌したメンブレンフィルター(セル
ロース混合エステル、直径=25mm、孔径=0.8μ
m;ミリポア社)に染み込ませ、25℃で一晩送風乾燥
した。
すなわち、各々の希釈菌液毎に、滅菌したグラスファイ
バーフィルター(直径=47mm;ミリポア社)を滅菌
プラスチックシャーレ内に4枚重ねて入れ、この上に、
滅菌したメンブレンフィルター(セルロース混合エステ
ル、直径=25mm、孔径=0.8μm:ミリポア社)
を1枚置き、ステンレススチール製滅菌シリンダー(外
径=25mm、内径=21mm、高さ=5cm)を前記
メンブレンフィルターの上に置き、各種希釈菌液10m
Lをシリンダー内に入れた。シリンダー内の菌液がメン
ブレンフィルター上から見えなくなるまで放置し(約1
分30秒)、シリンダーを取り除いた。別の滅菌プラス
チックシャーレ(直径=60mm)に、滅菌したグラス
ファイバーフィルター(直径=25mm;ミリポア社)
を入れ、ブレインハートインフュージョンブイヨン65
0μLを染み込ませた。この上に、先の菌担持メンブレ
ンフィルターを重ね、更にその上に、前項(C)で調製
したMUG溶液を染み込ませたメンブレンフィルター
を、予め0.067mol/Lリン酸緩衝液100μL
で湿らせてから重ねた。従って、菌液を供給したメンブ
レンフィルターは、培地を含ませた吸収パッドと、MU
G溶液を染み込ませたメンブレンフィルターとの間で、
サンドイッチされた状態となる。シャーレの蓋を閉じ、
37℃で2時間〜6時間まで経時的に長波長(366n
m)のUVランプを照射し、MUG溶液を染み込ませた
メンブレンフィルターの蛍光の有無を肉眼判定した。
「−」は、蛍光がないことを表わし、「+」は、蛍光強
度が弱いことを表わし、「++」は、蛍光強度が中程度
であることを表わし、「+++」は、蛍光強度が強いこ
とを表わす。また、「対照」は、培地を含む吸収パッド
上に、直接、MUG溶液担持メンブレンフィルターを重
ねたもの(すなわち、菌担持メンブレンフィルターなし
の場合)を意味する。
であるグルクロニダーゼが基質に作用し、MUG溶液担
持メンブレンフィルターに含まれるMUGを切断し、遊
離した蛍光物質により蛍光が肉眼で観察でき、103個
/mLの大腸菌が6時間後に検出することができた。こ
のことにより、単純尿路感染症の原因菌の7〜8割を占
める大腸菌が、その病因となる菌数である104個/m
L以上存在することで、尿路感染症の診断が可能となる
ことから、本発明方法によれば、培養せずともその検出
が可能となった。
含有担体の効果の確認》本実施例では、実施例1で用い
た、ブレインハートインフュージョンブイヨン(BHI
B)を染み込ませたグラスファイバーフィルターの効果
を確認した。具体的には、BHIB含浸グラスファイバ
ーフィルターの上に、菌担持メンブレンフィルターを重
ね、更にその上に、MUG溶液担持メンブレンフィルタ
ーを重ねる代わりに、BHIB含浸グラスファイバーフ
ィルターを使用せず、菌担持メンブレンフィルターの上
に、MUG溶液担持メンブレンフィルターを重ねること
以外は、実施例1(C)の操作を繰り返した。
は、表1と同じ意味である。また、「対照」も、表1と
同じ意味である。表2に示すように、菌数が極めて多い
場合には、蛍光を観察することができるが、107cf
u/mL以下になると、蛍光が観察されず、表1に示
す、分析対象細菌用培地含有担体を用いた場合と比較す
ると、その検出菌数に明らかな差が見られ、分析対象細
菌用培地含有担体の効果が確認された。
野はもちろん、食品検査や環境検査における細菌検査に
おいて、今までの分離培養や同定操作の繁雑さを解消す
ることができ、更に結果が得られるまで時間をも短縮す
ることができ、細菌検査の抱える種々の問題点を一気に
解決することができるものである。すなわち、様々な分
析対象細菌の有する特異的な酵素に対する発色又は発光
酵素基質を基質用支持体(例えば、メンブレンフィルタ
ー)に含ませ、菌試料液を供給した細菌用支持体(例え
ば、メンブレンフィルター)上に重ね、所望により、更
に培地を含ませた吸収パッドを重ね、あるいは、所望に
より、分析対象細菌用培地を吸収させた吸収パッド、又
は寒天平板培地上に置くことにより、極めて簡単な操作
だけで、分析対象細菌の分析を実施することができる。
分析対象細菌用培地を吸収させた吸収パッド、又は寒天
平板培地を用いることにより、菌の代謝を促進すること
ができ、その結果として、酵素活性を高めることができ
る。更に、本発明の好適態様によれば、被検試料接触工
程において、液体吸収体(例えば、吸収パッド)とシリ
ンダーを用いることで、大量の細菌試料液を特別な装置
又は機器を必要とせずに、簡便に濃縮及び固定化するこ
とができる。
模式的に示す説明図である。
細菌用支持体;4・・・シリンダー;5・・・液状被検
試料;6・・・シャーレ;7・・・分析対象細菌用培地
吸収プレフィルター;8・・・発光酵素基質担持基質用
支持体;9・・・紫外線ランプ。
Claims (7)
- 【請求項1】 (1)分析対象細菌を含む可能性のある
液状被検試料を、その分析対象細菌を担持可能な支持体
と接触させる工程; (2)前記分析対象細菌検出用の発色酵素基質又は発光
酵素基質液を、発色又は発光酵素基質用支持体に接触さ
せて発色酵素基質又は発光酵素基質を担持させる工程;
及び (3)前記工程(1)で得られた、液状被検試料を接触
させた分析対象細菌用支持体と、前記工程(2)で得ら
れた、発色又は発光酵素基質を担持させた発色又は発光
酵素基質用支持体とを接触させ、前記発色又は発光酵素
基質担持発色又は発光酵素基質用支持体における発色又
は発光を分析する工程を含むことを特徴とする、細菌の
分析方法。 - 【請求項2】 前記工程(3)において、前記液状被検
試料接触分析対象細菌用支持体と前記発色又は発光酵素
基質担持発色又は発光酵素基質用支持体とを接触させる
際に、前記液状被検試料接触分析対象細菌用支持体と、
分析対象細菌用培地含有担体とを更に接触させる、請求
項1に記載の細菌分析方法。 - 【請求項3】 前記の分析対象細菌用培地含有担体が、
分析対象細菌用培地を吸収させた吸収パッドである、請
求項2に記載の細菌分析方法。 - 【請求項4】 前記の分析対象細菌用培地含有担体が、
分析対象細菌用培地を含む寒天培地である、請求項2に
記載の細菌分析方法。 - 【請求項5】 前記工程(1)において、前記分析対象
細菌用支持体の一方の面を、液体吸収体と接触させた状
態で、前記分析対象細菌用支持体の反対側の面に、前記
液状被検試料を供給することにより、前記分析対象細菌
用支持体における一方の表面から反対側表面への前記液
状被検試料の通過を促進させる、請求項1〜4のいずれ
か一項に記載の細菌分析方法。 - 【請求項6】 前記工程(1)において、前記分析対象
細菌用支持体上に、両端が開口している筒状体を、一方
の開口端と前記分析対象細菌用支持体とが接触するよう
に配置した状態で、前記筒状体中に、前記液状被検試料
を加えることにより、前記分析対象細菌用支持体に前記
液状被検試料を供給する、請求項1〜5のいずれか一項
に記載の細菌分析方法。 - 【請求項7】 前記工程(2)において、前記発色又は
発光酵素基質用支持体に前記発色又は発光酵素基質液を
接触させることによって発色酵素基質又は発光酵素基質
を担持させた後、前記発色又は発光酵素基質用支持体を
乾燥させる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の細菌
分析方法。
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JP2010517552A (ja) * | 2007-02-08 | 2010-05-27 | ビオメリュー | 細菌検出および/または同定培地 |
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KR970707302A (ko) * | 1994-11-07 | 1997-12-01 | 프랭크 파렌트 | 대장균군 또는 대장균을 검출하기 위한 효소적 방법(enzymatic method for detecting coliform bacteria or e. coli) |
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2001
- 2001-08-02 JP JP2001235405A patent/JP4740486B2/ja not_active Expired - Fee Related
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