JP2004147650A - トリコモナスなどのヒドロラーゼのアッセイ法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】低pHで限定されたクラスの基質を加水分解するヒドロラーゼがトリコモナス原虫から放出され、しかもトリコモナス症とは無関係のヒドロラーゼからの干渉はないということが、低pHにおいて膣液によるこれら基質の加水分解を測定するというトリコモナス症選択的診断アッセイの基礎である。トリコモナス症選択的診断アッセイは、膣液サンプルから粒子状物質を除去し、選択したサイズよりも大きな粒子を含まない分画を抽出し、望むのであればその抽出した分画を特定のヒドロラーゼ・インヒビターと混合した後、その分画のヒドロラーゼ酵素活性をテストすることによっても実行できる。トリコモナス症のこうした特徴は、肉眼その他の手段で非常に正確に検出できる結果を生み出す一連の診断テストおよびテスト装置の基礎である。
【選択図】 なし
Description
低pHにおいて膣液サンプルの加水分解活性を選択されたタイプのヒドロラーゼの基質を用いて調べる本発明の実施態様では、低pHは、2〜3.5の範囲であることが好ましい。より好ましい範囲は2.3〜2.4である。この範囲にあるpHでアッセイを行なうためには、膣液サンプルを酸性化してpHの値をこの範囲にする必要がある。というのも、最初に採取されたサンプルのpHは約3.8〜約6.5の範囲内のどれかの値になっている可能性があるからである。酸性化は、さまざまな段階を経て実現することができる。例えばサンプルを酸性化した後に基質と接触させたり、サンプルと基質を接触させたまま、サンプルと基質のいずれか、または両方を酸性化したりする。酸性化するための1つの方法は、サンプルを酸性バッファの水溶液で希釈してそのサンプルを望むpH値にした後、その酸性化したサンプルを基質と接触させるというものである。酸性バッファは、液体の形態でも固体の形態でもよく、酸性バッファの具体例は、リンゴ酸、グリシン、リシン、トレオニンである。これらのうち、リンゴ酸とトレオニンが好ましい。特に好ましいバッファは、pH値を2.3または2.4にした200mMのトレオニンである。
(1)液体の粘性を変化させて液体が表面に付着しやすくするため、
(2)均一なままに留まり、時間が経過したり最初の層の上に別の層を付着させたりしたときに分解したり粒子化したりしない連続的で滑らかな固体層の形成を助長するため、
(3)層の溶解性を、この層の上に付着させる層の中で使われている溶媒を用いて変化させるため、あるいは層を、その下に付着している層を溶かさない溶媒に溶けるようにするため、
あるいはこれらの目的の組み合わせが挙げられる。ポリマー材料は、これらの目的のうちの1つまたはすべてを実現するのに使用することができる。セルロースとさまざまなセルロース誘導体は特に役に立つ。誘導体を適切に置換すると、望む溶解特性が実現する。
CBZまたはZ カルボベンゾキシ
BZ ベンゾイル
BOC t-ブトキシカルボニル
MNA 4-メトキシ-2-ナフチルアミン
βNA β-ナフチルアミン
AMC 7-アミド-4-メチルクマリン
A.トリコモナスのヒドロラーゼ
材料:膣トリコモナス培養物(ATCC30001)と、pHが約6.5の採取用バッファ(14mMのマルトース、6mMのL-システイン、10mMのHEPESを含むリン酸緩衝溶液)。
材料と手続きは、トリコモナス原虫の密度を10倍にした点以外は、トリコモナスのヒドラーゼの調製におけるのと同じである。採取用バッファの中で一度遠心分離することによって後期対数増殖期培養物中のトリコモナス原虫を洗浄し、トリコモナス原虫を108匹/mlの割合で採取用バッファの中に再び分散させ、35℃にて4〜5時間にわたってインキュベートし、遠心分離によってペレット化した。上清のアリコートをマイクロフュージ管に入れ、使用するときまで-80℃で保管した。
材料:膣トリコモナス培養物(ATCC30001)と、pHが約6.5の洗浄用バッファ(14mMのマルトースを含むリン酸緩衝溶液)。
上記のCと同じ材料を用い、同様の手続きを行なった。ただし、ヒドロラーゼは別の膣トリコモナス単離物から回収し、上清だけでなく全ライセートを用いた。冷やした(4℃)洗浄用バッファの中で一度遠心分離することによって後期対数増殖期培養物中のトリコモナス原虫を洗浄し、トリコモナス原虫を108匹/mlの割合で脱イオン水の中に再び分散させ、3〜4時間にわたって4℃に維持することによりトリコモナス原虫を増殖させ、短時間撹拌することによりトリコモナス原虫を溶解させ、分散液のアリコートをマイクロフュージ管に入れ、使用するときまで-80℃で保管した。
材料:CBZ-Arg-Arg-Arg-MNA三酢酸塩(ZRRR-MNA)と、200mMのL-システインヒドロクロリドを含む水と、25%(w/w)ヒドロキシプロピルセルロースを含むエタノール。
材料:D-Val-Leu-Arg-MNA(VLR-MNA)と、200mMのL-システインヒドロクロリドを含む水と、25%(w/w)ヒドロキシプロピルセルロースを含むエタノール。
材料:ファースト・レッドRLまたはファースト・ガーネットGBC、10%w/wのエチルセルロースを含むメタノールのほか、マイヤー・ロッド、またはゴムローラー、または液体の薄膜をプラスチック・シートに付着させるための他の装置。
この実験では、pHが2.8〜9.2の範囲においてトリコモナスのヒドロラーゼに基質CBZ-Arg-Arg-Arg-MNA(ZRRR-MNA)とD-Val-Leu-Lys-MNA(VLK-MNA)を加水分解させ、膣液が各pHにおいてヒドロラーゼの活性に及ぼす影響を調べる。
200mMの緩衝液:
グリシル-グリシン(Gly-gly)、pH2.8、
酢酸ナトリウム、pH5.1、
2-(N-モルホリノ)プロパン-スルホン酸(MOPS)、pH7.0、
N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸(HEPES)、pH7.5、
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、pH8.0、
ホウ化ナトリウム、pH9.5。
プールした正常な膣液の上清(NVS)。これは以下のようにして調製する:正常な未感染の女性からダクロン製スワブに採取した膣液サンプルを遠心分離してスワブから膣液を抽出し、このプールした膣液を使用するときまで凍結させておく。解凍した膣液を遠心分離して粒子状物質をペレット化し、粒子状物質と上清を分離し、それぞれを酢酸バッファで10倍に希釈する。
2mMのCBZ-Arg-Arg-MNA酢酸塩(ZRR-MNA)。まず最初にジメチルホルムアミドを用いて100mMの溶液として調製し、次に脱イオン水を用いて2mMの溶液に希釈する。
2mMのD-Val-Leu-Lys-MNA(VLK-MNA)。まず最初にジメチルホルムアミドを用いて100mMの溶液として調製し、次に脱イオン水を用いて2mMの溶液に希釈する。
指示薬溶液。25mMのパラ-ジメチルアミノシンナムアルデヒドを含むエタノールを100μl、10%w/vの2%ドデシル硫酸ナトリウムを900μl、100mMのクエン酸を1.35ml、200mMのリン酸二ナトリウムを450μl、水を3.5mlからなるできたての混合物。
100mMの酢酸バッファ、pH3.7。
正常な膣液の上清が存在していない状態でのアッセイ:6個のウエルが2セットあるマイクロタイター・プレートを用意した。各ウエルには、6種類ある200mMのバッファのうちの1つを80μlと、水10μlと、希釈したトリコモナスのヒドロラーゼ10μlを入れた。第1のウエル・セットの各ウエルにZRR-MNAを10μl添加し、第2のウエル・セットの各ウエルにVLK-MNAを10μl添加した。15分後、各ウエルに指示薬溶液を100μl添加した。高pHだと指示薬溶液によって生じる色の濃さを薄くする可能性があるため、各ウエルに100mMの酢酸バッファ(pH3.7)を50μl添加した。ただしpHが2.8のウエルは別で、酢酸の代わりに水を添加した。さらに15分後、ウエル内の溶液の吸光度を540nmの波長にてマイクロタイター・プレート読み取りセットで測定した。
正常な膣液の上清が存在していない状態でのアッセイ:トリコモナスの酵素が持つ加水分解活性は、色がピンクまたは明るい紫紅になることと、540nmにおける吸光度が上昇することに反映されるが、以下の表1.1に示すように、この酵素の活性は、非常に広い範囲のpHで大きかった。ZRR-MNAを基質として用いた場合には、酵素活性はpH2.8〜pH8.0の間でほんのわずかしか変化せず(吸光度の読みは0.631〜0.738であった)、pHが9.2になって初めて低下した(吸光度が0.172に下がった)。異なるpHプロファイルが、VLK-MNAを基質として用いた場合に観察された。活性のピークはpHが5.1のとき(吸光度が1.622)であり、pHが9.2でも高い活性を有する(吸光度は1.459)。テストしたすべてのpHの範囲において、ZRR-MNAよりもVLK-MNAで濃い色が現われた。
これらの結果から、トリコモナスのヒドロラーゼは広い範囲のpHで活性であるが、ヒドロラーゼの活性が最大になる最適pHは、使用する基質によって異なることがわかる。最適pHは、強い抑制要因となる可能性のある膣液の上清が存在していることによる影響も受ける。例えば、膣液がアッセイ混合物中に存在していない場合には、ZRR-MNAがトリコモナスの酵素によって加水分解されて発生するピンク色は、pHが2.8と低かろうがpHが8と高かろうが同程度である。しかし膣液の存在下では、色の発生が抑制される程度は、pHが2.8または5.1のときよりもpHが7または8のときのほうがはるかに小さい。アッセイ混合物中に膣液の上清が存在していると、トリコモナスの酵素によって特定の基質が容易に加水分解されるかどうかに強い影響を及ぼす可能性がある。このことは、特にVLK-MNAに当てはまる。VLK-MNAは、膣液が存在していないとトリコモナスの酵素によって容易に加水分解されるが、ほんのわずかでも膣液が存在していると、ほとんど加水分解されない。膣液の存在下でトリコモナスのヒドロラーゼの活性に基づいた有効なテスト・システムを生み出すには、実験室で調製したトリコモナスのヒドロラーゼと膣液の上清の混合物、あるいはトリコモナス症の患者からの膣液サンプルを用い、最適な基質とpHを明らかにすることが重要である。トリコモナスのヒドロラーゼによって容易に加水分解する適切な基質を最初に選択するには、膣液全体ではなく膣液の上清を用いることが好ましい。というのも、膣液全体は粒子状物質に関係した非トリコモナス由来のヒドロラーゼを含んでいるからである(そのことを以下の実験で明らかにする)。
この実験では、トリコモナスのヒドロラーゼと膣液のヒドロラーゼに基質CBZ-Arg-Arg-MNA(ZRR-MNA)、BOC-Leu-Arg-Arg-AMC(BLRR-AMC)、BOC-Leu-Lys-Arg-AMC(BLKR-AMC)、CBZ-Lys-Lys-Arg-AMC(ZKKR-AMC)を加水分解させる。
バッファ。200mMの酢酸ナトリウム(pH5)、または200mMのトリス-(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)(pH8)からなる。
100mMのCBZ-Arg-Arg-MNA酢酸塩(ZRR-MNA)を含むエタノール。
100mMのBOC-Leu-Arg-Arg-AMC(BLRR-AMC)を含むジメチルホルムアミド。
100mMのBOC-Leu-Lys-Arg-AMC(BLKR-AMC)を含むジメチルホルムアミド。
100mMのCBZ-Lys-Lys-Arg-AMC(ZKKR-AMC)を含む水。
6.3mMのL-システインヒドロクロリドを含む水。
プールした正常な膣液の上清(NVS)。正常な未感染の女性から膣液サンプルをダクロン製スワブに採取し、遠心分離してスワブから未希釈の膣液を抽出し、粒子状物質をペレット化し、上清をプールすることによって調製する。
正常な未感染の1人のドナーからの正常な全膣液(NVF)。膣液サンプルを含むダクロン製スワブを遠心分離してスワブから未希釈の膣液を抽出した後、粒子状物質を膣液中に再び分散させることによって調製する。
容量が200μlのマイクロウエルを備えた96ウエルのマイクロタイター・プレート。
容量が20μlの円錐形マイクロウエルを備えた60ウエルのマイクロウエル・ミニトレイ。
指示薬溶液。0.4mMのパラ-ジメチルアミノシンナムアルデヒドと、1.4%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウムと、100mMのクエン酸(pH4)からなる。
2種類あるバッファ(酢酸塩、TRIS)のうちの1つに、4種類ある基質(ZRR-MNA、BLRR-AMC、BLKR-AMC、ZKKR-AMC)のうちの1つが8mM含まれる基質溶液を調製した。その際、100mMの基質4μlを、6.3mMのL-システイン6μl、200mMのバッファ14μl、水26μlと混合した。トリコモナスのヒドロラーゼの活性を調べるアッセイを、NVSを添加した場合としない場合について、200μlのマイクロウエルの中で行なった。1つのマイクロウエル・セットでは、それぞれの基質/バッファの組み合わせ10μlを、未希釈のトリコモナスのヒドロラーゼと混合した。第2のマイクロウエル・セットでは、それぞれの基質/バッファの組み合わせ10μlを、90%v/vのトリコモナスのヒドロラーゼと10%のNVSからなる混合物10μlと混合した。15分後、指示薬溶液を各ウエルに50μl添加した。さらに15分後、ウエル内の各溶液の吸光度をマイクロタイター・プレート読み取りセットを用いて540nmの波長において測定した。
テストした全部で4つのペプチド基質について、pH5(以下の表2.2)とpH8(以下の表2.3)の両方において、トリコモナスのヒドロラーゼよるヒドロラーゼの活性を検出した。pH5では、全部で4つある基質は、膣液を添加したとき、活性が急激に低下した。膣液の上清に由来するトリコモナスのヒドロラーゼは、ZRR-MNAの場合に抑制が最大になり、吸光度が、pH5では0.420から0.068に低下し、pH8では0.385から0.182に低下した。膣液の上清に由来するトリコモナスのヒドロラーゼは、BLRR-AMC、BLKR-AMC、ZKKR-AMCではpH8のときに抑制されなかった。ZRR-MNAをpH5で用いた場合、あるいはどの基質であれpH8で用いた場合には、大きな加水分解活性が(粒子状物質を含む)全膣液において検出された。しかしBLRR-AMC、BLKR-AMC、ZKKR-AMCは、pH5では、正常な全膣液に存在するヒドロラーゼに対して相対的に低い感度しか示さなかった。
実験1より、トリコモナスのヒドロラーゼが、短いペプチド上のリシン基またはアルギニン基と結合した4-メトキシ-2-ナフチルアミド(MNA)レポーター基を有するペプチド基質を開裂させうることと、加水分解が広いpHの範囲で起こりうることがわかった。他方、実験2により、トリコモナスのヒドロラーゼが、短いペプチド上のリシン基またはアルギニン基と結合した7-アミド-4-メチルクマリン(AMC)レポーター基を有するペプチド基質を開裂させうることがわかる。
この実験では、正常な未感染の女性から採取した膣液中に存在するほとんどの干渉性加水分解活性が、粒子状物質の中に存在していることと、遠心分離によってその大部分を除去できることを示す。
スワブ(ドナー1人につき2個)。正常な未感染の女性から1〜2日の間隔で採取した膣液を含む。
基質溶液。8mMのCBZ-Arg-Arg-MNA酢酸塩(ZRR-MNA)と、0.8mMのL-システインと、100mMの酢酸ナトリウム(pH5)または100mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)(pH8)とからなる。
指示薬溶液。0.4mMのパラ-ジメチルアミノシンナムアルデヒドと、1.4%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウムと、100mMのクエン酸(pH4)からなる。
ドナーから3つの異なる日(1日目、3日目、4日目)に膣液サンプルのペアを取得し、採取した日にテストした。膣液は、それぞれのスワブから遠心分離によって抽出した。遠心分離中にマイクロフュージ管の底にペレットを形成した粒子状物質を再び分散させることはせず、各ドナーから得た第1のスワブからの膣液の上清を使用した。各ドナーから得た第2のスワブからの膣液は激しく混合して粒子状物質を再び分散させ、“全”膣液にした。各ドナーにつき、パラフィルム・シート上で、膣液の上清2μlをpH5の基質溶液2μlと混合し、膣液の上清2μlをpH8の基質溶液2μlと混合した。同様にして、各ドナーにつき、全膣液2μlをpH5の基質溶液2μlと混合し、全膣液2μlをpH8の基質溶液2μlと混合した。パラフィルム・シートを湿潤ボックスに入れ、液滴の蒸発を遅らせた。15分後、指示薬溶液2μlを各液滴に添加した。10分後、各液滴の色を、肉眼で、上記の表2.1に示した0〜6までのスケールを用い、0.5点単位で点数化した。
これらの結果は、正常な未感染の女性の膣液に存在している干渉性加水分解活性の大部分が、膣液中の粒子状物質(例えば細菌、膣細胞、その他の細胞の残骸)と関係していることを示している。遠心分離その他の方法によって粒子状物質を除去すると、膣液サンプル中に存在するトリコモナスのヒドロラーゼでないヒドロラーゼの量が大きく低下するため、アッセイがトリコモナスのヒドロラーゼの活性に対する選択性を持つようになる。
この実験では、正常な未感染の女性から採取した膣液に存在している干渉性加水分解活性の大部分が、粒子状物質に存在していることのさらに別の証拠を提供する。この実験では、粒子状ヒドロラーゼが濾過(特に遠心濾過)によって除去される。
スワブ(ドナー1人につき2個)。正常な未感染の女性から採取した膣液サンプルを含む。
トリコモナスのヒドロラーゼ。上記の調製法Cに記載したようにして調製する。
希釈溶液。20mlのドロッパ・ボトルに入れた50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)バッファ(pH8.3)からなる。
1.5mlのポリスチレン製キュベット。
0.2ミクロンのポアを有する複数のナノセップMF遠心濾過装置(ポール・フィルトロン社)。それぞれには上部チェンバーの内側に粗い円板状濾紙が取り付けられていて、それがプレフィルタとして機能する。
基質溶液。2mlのドロッパ・ボトルに入れた4mMのCBZ-Arg-Arg-MNA酢酸塩(ZRR-MNA)と1mMのL-システインからなる。
指示薬溶液。2mlのドロッパ・ボトルに入れた0.8mMのパラ-ジメチルアミノシンナムアルデヒドと、2%w/vのドデシル硫酸ナトリウムからなる。
2mlのドロッパ・ボトルに入れた400mMのリンゴ酸(pH3.4)。
それぞれのダクロン製スワブから膣液を抽出するため、バッファを10滴(約400μl)キュベットに入れた後、スワブをキュベットに挿入し、何回か回転させた。スワブが回転すると先細になったキュベットの狭い部分がスワブの頭部を締め付けるため、スワブの内容物が希釈溶液中に完全に混合した。スワブを取り出して廃棄した。各ドナーからの両方のスワブに対してここまでは同じ処理を行なった。次に、トリコモナスのヒドロラーゼ30μlを各ペアからのキュベットの1つに添加した。使い捨てのスポイトを用い、未濾過の膣液を1滴、各キュベットからマイクロタイター・プレートの別々のマイクロウエルに移した。各キュベットに残った膣液は、別々の遠心濾過装置に注ぎ込んだ。これら濾過装置をマイクロフュージの中に配置し、5分間にわたって遠心分離した。使い捨てのスポイトを用い、濾液を1滴、各濾過装置からマイクロタイター・プレートの別々のマイクロウエルに移した。基質溶液を1滴、各マイクロウエルに添加した。マイクロタイター・プレートを軽く数回叩いてウエルの中身を混合した。10分後、指示薬溶液を1滴とリンゴ酸を1滴、各ウエルに添加した。マイクロタイター・プレートを再び軽く数回叩いてウエルの中身を混合した。5分後、各ウエルの色を、肉眼で、上記の表2.1に示した0〜6までのスケールを用い、0.5点単位で点数化した。
この実験では、9人のドナーのうちの2人(ドナーFとドナーH)からの膣液においてのみ、トリコモナスのヒドロラーゼを添加しない状態でヒドロラーゼの活性が陽性であった。以下の表4.1から、濾過によってこれらサンプルから加水分解活性が完全に失われていることがわかる(この表の第2列と第3列を比較のこと)。膣液にトリコモナスのヒドロラーゼを添加した場合には、すべての膣液サンプルでヒドロラーゼが高いレベルの活性を示した。未濾過の溶液と濾過した溶液で差はほとんどなかった(この表の第4列と第5列)。
この実験では、実験3におけるよりも検出可能なヒドロラーゼの活性を有する膣液サンプルの数が少なかった。これは、おそらく、この実験では膣液がより希釈されていたからであろう。加水分解活性を有する2つのサンプルに存在する干渉性の膣液ヒドロラーゼは、濾過によって検出不能なレベルに減少した。これは、干渉性の膣液ヒドロラーゼが水にほとんど溶けないことを意味する。抽出した膣液サンプルにトリコモナスのヒドロラーゼを添加したとき、トリコモナスのヒドロラーゼはフィルタを簡単に通過した。その結果として、濾過した溶液と未濾過の溶液で差はほとんどなかった。これは、トリコモナスのヒドロラーゼが水に溶けることを示唆している。上記の多数の実験に関しては、トリコモナスのヒドロラーゼを単独でテストするのではなく、膣液に添加し、膣液の存在下で活性なヒドロラーゼだけが検出されるようにした。
この実験では、正常な未感染の女性から採取した膣液に存在している干渉性加水分解活性の大部分が、粒子状物質に存在していることのさらに別の証拠を提供する。この実験では、粒子状のヒドロラーゼが濾過によって除去される。濾過は、サンプルを多孔性材料からなるストリップの長さ方向に沿って流すことによって実現される。
トリコモナスのヒドロラーゼ。上記の調製法Bに記載したようにして調製する。
多孔性材料:SMW50ファイバー、マンニウエブ・フィルトレーション・システムズ・プロダクツ社。
プラスチック製の飲み物用ストロー。長さ2インチに切断し、一端を熱融着により閉じる。
バッファ。100mMのイミダゾール溶液(pH7.3)からなる。
ダクロン製スワブ。正常な未感染の1人の女性から採取した膣液サンプルを含む。
基質溶液。4mMのCBZ-Arg-Arg-MNA酢酸塩(ZRR-MNA)を含む100mMのイミダゾール(pH7.3)からなる。
発色溶液。以下の指示薬溶液と酸溶液の新鮮な等量混合物からなる。
a.指示薬溶液:25mMのパラ-ジメチルアミノシンナムアルデヒドを含むエタノール160μlと、10%w/vのドデシル硫酸ナトリウム1mlと、水8.8mlからなる。
b.1Mのリンゴ酸(pH3)。
幅が3mmで長さが45〜50mmのストリップを3本、多孔性材料から切り出した。各ストリップをパラフィルム・シートの上に置き、幅が3mmのベルト状テープを2本、各ストリップを横断するように固定させた。第1のベルト状テープはストリップの末端から5mmに位置させ、第2のベルト状テープは第1のベルト状テープから5mmのところに位置させることで、各ストリップを3つの区画に分割した。すなわち開始端にある長さが5mmの上流区画と、長さが5mmの中間区画と、長さが約30〜35mmの下流区画である。同じドナーからの膣液サンプルを異なった3つの方法で処理した。
正常な全膣液に存在しているほとんどの加水分解活性は、多孔性ストリップ上で膣液を付着させた区画Bで検出された。出発端のある区画から中間区画を通って下流区画へとバッファが流れても、加水分解活性がバッファとともに流れることはあまりなかった。これは、このアッセイによって検出される膣液のヒドロラーゼの大部分が、多孔性材料の内部または表面に捕捉された粒子状物質と結合している、あるいはその粒子状物質と関係していることの強力な証拠となっている。膣液のヒドロラーゼの非常にわずかの割合だけが明らかに可溶形態になっている。可溶性のヒドロラーゼは、バッファ流とともにストリップの端部まで運ばれた。膣液をスワブから紙製ストリップに移すこれら2つの方法は、このストリップに捕捉されるヒドロラーゼの量には影響を及ぼさない。
この実験では、ある種のプロテアーゼ・インヒビターが、トリコモナスのヒドロラーゼの活性を調べるアッセイの選択性をさらに高めることを示す。この実験で使用するインヒビターは、アンチパイン(チオール・プロテアーゼのインヒビター)とキモスタチン(セリン・プロテアーゼであるキモトリプシンのインヒビター)である。これらインヒビターは、全膣液サンプルに対して行なうアッセイにある程度の選択性を与えるが、特に有効なのは、濾過または遠心分離によって粒子状ヒドロラーゼを除去した膣液サンプルに対してである。正常ないくつかの膣液サンプル中にいろいろな割合で存在する少量の可溶性ヒドロラーゼを除去するには、比較的低濃度のインヒビターで十分である。上記インヒビターは、この実験で使用する濃度では、トリコモナスのヒドロラーゼの活性を実質的に抑制しなかった。
スワブ(ドナー1人につき2個)。正常な未感染の女性から採取した膣液サンプルを含む。
トリコモナスのヒドロラーゼ。上記の調製法Bに記載したようにして調製する。
希釈溶液。10mMのL-システインを含む水からなる。
0.2ミクロンのポアを有する濾過膜を備えた0.5mlの遠心濾過ユニット。
20μlの円錐形マイクロウエルを備えた60ウエルのマイクロウエル・ミニトレイ(元々は血清型の分類を目的として設計された)。
100mMのCBZ-Arg-Arg-MNA酢酸塩(ZRR-MNA)を含むエタノール。
1MのN-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸(HEPES)、pH7.6。
200μg/mlのアルパインを含む水。
10mMのキモスタチン。DMSO中に作った330mMの貯蔵溶液に脱イオン水を添加することによって調製する。
発色溶液。以下の溶液の新鮮な等量混合物からなる。
a.指示薬溶液:25mMのパラ-ジメチルアミノシンナムアルデヒドを含むエタノール320μlと、10%w/vのドデシル硫酸ナトリウム1mlと、水7.7mlからなる。
b.400mMのリンゴ酸(pH3.4)。
1.正常な膣液の上清に存在する非トリコモナス由来のヒドロラーゼを強く抑制することの証明:
100mMのZRR-MNAを4μlと、1MのHEPESバッファ20μlと、脱イオン水56μlと、アンチパインまたはキモスタチンまたは脱イオン水20μlを混合することにより、基質/インヒビターのさまざまな組み合わせを調製した。濾過した膣液を各サンプルから以下のようにして調製した:希釈剤を200μl含むキュベットにスワブを入れ、この希釈剤の中でスワブを回転させてスワブの内容物を希釈剤の中に完全に混合した。スワブを取り出し、スワブの頭部をちぎってマイクロフュージ管に入れ、スワブの頭部に残っている液体を遠心分離によって強制的に放出させた。スワブから抽出した液体をキュベットの中の液体と合体させ、遠心濾過ユニットを用いて全量の液体を濾過して粒子状物質を除去した。
濾過した各膣液サンプルにトリコモナスのヒドロラーゼを添加し(トリコモナスのヒドロラーゼの調製物10μlを膣液の濾液90μlに添加した)、上記の実験を繰り返した。
表6.1の結果は、正常な6つの膣液サンプルのうちの5つが、ZRR-MNAを加水分解することのできるヒドロラーゼを含んでいたことを示している(表の第2列)。アンチパインは、これら5つのサンプルすべてでヒドロラーゼを完全に抑制した(第3列)。キモスタチンは、これら5つのサンプルのうちの4つでヒドロラーゼを完全に抑制し、酵素活性が最大のサンプルでヒドロラーゼを一部抑制した(第4列)。
表6.2の結果は、トリコモナスのヒドロラーゼで増強した場合にはサンプルの加水分解活性が上昇することを示している(第2列)。アンチパインもキモスタチンも、インヒビターを含まないウエル(第2列)と比べ、トリコモナスのヒドロラーゼによる色の濃さを0.5単位を超えて低下させることはなかった(第3列と第4列)。
この実験は、適切な濃度のヒドロラーゼ・インヒビターが、正常な膣液サンプルに天然の状態で存在する干渉性ヒドロラーゼを選択的に抑制するのに対し、トリコモナスのヒドロラーゼのほうは活性なままにしておくことをはっきりと示している。このことを利用すると、トリコモナスのヒドロラーゼを特異的に検出する能力をさらに向上させることができる。この実験で使用したインヒビターは、異なる2つのクラスからのものであった。すなわち、アンチパインはチオール・プロテアーゼのインヒビターであり、キモスタチンは、セリン・プロテアーゼであるキモトリプシンのインヒビターである。しかしそれぞれが干渉性ヒドロラーゼを選択的に抑制した。
この実験では、STD(性感染病)治療のクリニックに通っている女性から採取した膣液サンプルにおいて、2種類のチオール・プロテアーゼ(E64とアンチパイン)が非トリコモナス由来の水溶性ヒドロラーゼを選択的に抑制する能力を比較する。
スワブ(ドナー1人につき2個)。STD治療のクリニックに通っている女性から採取した膣液サンプルを含む。これら女性の多くは細菌性膣炎、膣酵母感染症、あるいは他の膣炎を患っており、膣トリコモナスを5日間培養することにより、トリコモナス陽性(膣が膣トリコモナスに感染している)またはトリコモナス陰性であると判定された。
飲み物を飲むためのプラスチック製ストロー。長さ2インチに切断し、一端を熱融着によって閉じる。
0.2ミクロンのポアを有する濾過膜を備えた0.5mlの遠心濾過ユニット。
250μlの丸底ウエルを有する96ウエルのマイクロウエル・プレート。
基質試薬溶液。4mMのCBZ-Arg-Arg-MNA酢酸塩(ZRR-MNA)と、400mMのイミダゾール・バッファ(pH7.3)と以下の2つのインヒビターのうちの1つを含む:
0.4mMのトランス-エポキシスクシニル-L-ロイシルアミド-(4-グアニジノ)ブタン(E64)
5μg/mlのアンチパイン。
発色溶液。以下の溶液の新鮮な等量混合物からなる。
a.指示薬溶液:25mMのパラ-ジメチルアミノシンナムアルデヒドを含むエタノール160μlと、10%w/vのドデシル硫酸ナトリウム2mlと、水7.8mlからなる。
b.400mMのリンゴ酸(pH3.4)。
通院患者からの各膣液サンプルを、脱イオン水250μlを含む熱融着したプラスチック製ストローの中に入れた。ストローをつまみながらスワブを回転させてスワブの内容物を完全に水の中に混合させた後、ストローを締め付けながらスワブを取り出し、スワブの頭部から液体の大部分が滲み出すようにした。粒子状物質を除去するため、抽出した膣液を濾過ユニットに移し、小さな携帯用遠心分離器を用いて最長で5分間の時間をかけて遠心分離した。E64を含む基質溶液25μlをピペットを用いて丸底のマイクロウエルに移した。アンチパインを含む基質溶液25μlをピペットを用いて第2のウエルに移した。濾過した膣液25μlを2つのウエルのそれぞれに添加した。10分後、発色溶液25μlを各ウエルに添加した。5分後、各ウエルの色を、肉眼で、表2.1に示した0〜6までのスケールを用い、0.5点単位で点数化した。
この実験は、2つのインヒビターの効果を調べるために設計した。このクリニックの各ドナーからは2つのサンプルしか利用できなかった。そのため、インヒビターの不在下でヒドロラーゼの活性もテストしながら2種類のインヒビターを比較することは不可能だった。しかし実験6で証明したように、濾過後に非トリコモナス由来のヒドロラーゼが膣液にある程度の量残っている可能性がある。だがアンチパインを用いると、この非トリコモナス由来のヒドロラーゼを選択的に抑制できる。この実験7は、別のチオール・ヒドロラーゼ・インヒビターであるE64も、膣液サンプル中に存在している可能性のある非トリコモナス由来のヒドロラーゼを選択的に抑制するのに非常に効果的である可能性があることを示している。テストしたインヒビターの濃度では、トリコモナスのヒドロラーゼを活性な状態にしたまま、膣にトリコモナスが感染していない通院患者からの膣液サンプルに存在している非トリコモナス由来のヒドロラーゼを選択的に抑制する上で、E64がアンチパインよりも効果的であった。
この実験では、ある種のポリペプチドを用いると、膣液中に存在する非トリコモナス由来のヒドロラーゼを選択的に抑制できるが、トリコモナスのヒドロラーゼは比較的わずかしか抑制せず、他のポリペプチドにはこのような効果がないことを示す。
スワブ。正常な未感染の4人の女性から採取した膣液サンプルを含む。
トリコモナスのヒドロラーゼ。上記の調製法Aに記載したようにして調製する。
20μlの円錐形マイクロウエルを備えた60ウエルのマイクロウエル・ミニトレイ。
基質/ポリペプチド溶液。8mMのCBZ-Arg-Arg-MNA酢酸塩(ZRR-MNA)と、0.8mMのL-システインと、56mMの酢酸塩バッファ(pH5)またはTRISバッファ(pH8)と、以下のポリペプチドのうちの1つを10mM含む:
Lys-Arg-Gln-His-Pro-Gly(KRQHPG)
Lys-Pro-Gln-Leu-Trp-Pro(KPQLWP)
Arg-Lys-Asn-Val-Tyr(RKNVY)
Arg-Pro-Lys-Pro-Gln-Phe-Phe-Gly-Leu-Met(RPKPQFFGLM)
ポリペプチドなし(対照)。
指示薬溶液。0.4mMのパラ-ジメチルアミノシンナムアルデヒドと、1.4%w/vのドデシル硫酸ナトリウムと、100mMのクエン酸(pH4)からなる。
膣液を遠心分離により各スワブから抽出した後、粒子状物質と混合して粒子状物質を再び分散させた。各ドナーにつき、膣液2μlを10個のマイクロウエルのそれぞれにピペットで移した後、10種類ある基質/バッファ/ポリペプチドの組み合わせのうちの1つを2μl、各ウエルに添加した。さらに、トリコモナスのヒドロラーゼ2μlを、10ウエルのセットの中で、基質/ポリペプチドのそれぞれ2μlと混合した。15分後、指示薬溶液2μlを各ウエルに添加した。10分後、各ウエルの色を、肉眼で、表2.1に示した0〜6までのスケールを用い、0.5点単位で点数化した。
ポリペプチドRPKPQFFGLMは、トリコモナスのヒドロラーゼによる基質(ZRR-MNA)の加水分解と正常な膣液のヒドロラーゼによる基質(ZRR-MNA)の加水分解の両方を減少させたため、膣液中の非トリコモナス由来のヒドロラーゼを選択的に抑制するという望む特性を示さなかった。調べた他の3つのペプチドは、トリコモナスのヒドロラーゼによる発色を低下させなかった。そのうちの1つKRQHPGは、膣液のヒドロラーゼに対する抑制効果がほとんどなかったが、残る2つのポリペプチド(KPQLWPとRKNVY)は、膣液のヒドロラーゼを特にpH5において選択的に抑制した。
この実験では、いくつかのジペプチドについて、全膣液と膣液の上清に存在しているトリコモナスのヒドロラーゼは相対的にわずかしか抑制しない状態で、非トリコモナス由来のヒドロラーゼを選択的に抑制する能力を比較する。
スワブ。正常な未感染の4人の女性から採取した膣液サンプルを含む。
トリコモナスのヒドロラーゼ。上記の調製法Aに記載したようにして調製する。
20μlの円錐形マイクロウエルを備えた60ウエルのマイクロウエル・ミニトレイ。
基質/ポリペプチド溶液。8mMのCBZ-Arg-Arg-MNA酢酸塩(ZRR-MNA)と、0.8mMのL-システインと、56mMの酢酸塩バッファ(pH5)またはTRISバッファ(pH8)と、以下のポリペプチドのうちの1つを10mM含む:
Lys-Pro
Lys-Val
Lys-Lys
ジペプチドなし(対照)。
指示薬溶液。0.4mMのパラ-ジメチルアミノシンナムアルデヒドと、1.4%w/vのドデシル硫酸ナトリウムと、20mMのリンゴ酸(pH3.4)からなる。
各サンプルについて、膣液を遠心分離によってスワブから抽出し、膣液の上清2μlをマイクロフュージ管から取り出し、残りの膣液は粒子状物質と混合して粒子状物質を再び分散させた。各サンプルについて、このようにして再構成した膣液2μlをピペットを用いて4つのマイクロウエルに移した後、各ウエルに対し、4種類ある基質/ジペプチドの組み合わせのうちの1つを2μl添加した。別の4つのウエル・セットの中で、各サンプルからの膣液の上清2μlをトリコモナスのヒドロラーゼ18μlと混合し、この混合物2μlを、それぞれの基質/ジペプチドの組み合わせ2μlと混合した。15分後、指示薬溶液2μlを各ウエルに添加した。10分後、各ウエルの色を、肉眼で、表2.1に示した0〜6までのスケールを用い、0.5点単位で点数化した。
テストした3つのジペプチドのうちの2つ(リシン-バリンとリシン-リシン)は、膣液のヒドロラーゼまたはトリコモナスのヒドロラーゼによる発色に対してほとんど影響を及ぼさなかった(色彩スコアの差がわずかに0.5であるということは、各ウエルにピペットで移した粒子状材料の量の違いが原因である可能性がある)。しかしリシン-プロリンは、トリコモナスのヒドロラーゼはほんのわずかしか抑制しない状態で、膣液のヒドラーゼを選択的に抑制した。
この実験は、STD治療のクリニックに通っている女性から採取した膣液サンプルに関するテストにおいて、指示薬であるパラ-ジメチルアミノ-シンナムアルデヒドと、基質複合体であるCBZ-Arg-Arg-MNA(ZRR-MNA)と、酵素インヒビターE64とを染み込ませたストリップ状の濾紙を含むテスト装置をどのように使用するかを示している。
スワブ(ドナー1人につき2個)。STD治療のクリニックに通っている女性から採取した膣液サンプルを含む。これら女性の多くは細菌性膣炎、膣酵母感染症、あるいは他の膣炎を患っており、膣トリコモナスを5日間培養することにより、トリコモナス陽性(膣が膣トリコモナスに感染している)またはトリコモナス陰性であると判定された。
100mMのイミダゾール・バッファ、pH7.1。
40mMのCBZ-Arg-Arg-MNA(ZRR-MNA)と、0.2mMのトランス-エポキシスクシニル-L-ロイシルアミド-(4-グアニジノ)ブタン(E64)を含むエタノール。
24mMのパラ-ジメチルアミノ-シンナムアルデヒド(pDMAC)と、5%(w/w)のヒドロキシ-プロピルセルロース(HPC)を含むエタノール。
3Mのリンゴ酸、2%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウム、6%(w/v)のヒドロキシプロピルセルロースを含む水。
図3a〜図3dを参照すると、テスト装置は以下のように組み立てられたことがわかる。長さが1インチの2本のストリップ状両面テープを、互いに3/4インチ離した状態で、厚さが5ミルのマイラー・シート11に平行に固定した。3/16インチ×5/8インチのストリップにしたアールストローム237濾紙12を、このストリップ状濾紙の一端(“上方”端、すなわち図面の右端)が2本のストリップ状テープの端部と揃うようにして、マイラー・シートに固定した。約1μlのpDMAC混合物をコーティング13としてストリップ状濾紙の上方側の半分に付着させ、乾燥させた。2μlのZRR-MNA混合物14をストリップ状濾紙の反対側の端部に均等に1/4インチの厚さにピペットで移し、乾燥させた。第2のマイラー・シート20を最初のシートに固定し、2本のストリップ状両面テープで一体化することにより、平坦なスリーブを形成した。ストリップ状濾紙12は、2枚のマイラー・シートの間でスリーブを形成している部分に沿って存在していた。乾燥したリンゴ酸混合物の薄膜17であらかじめ被覆してある第3のマイラー・シート16を最初のマイラー・シート11に固定し、被覆した表面がストリップ状濾紙12の上に来るようにした。ただし第2のマイラー・シート20によって濾紙とはしばらくの間接触しないようにした。
この実験から、基質と指示薬とインヒビターを染み込ませたストリップ状濾紙を備える簡単な装置を用いると、膣液サンプル中のトリコモナスのヒドロラーゼを正確に検出できることがわかる。バッファ溶液を除くすべての試薬は、装置内で乾燥した形態であった。膣液サンプルをバッファで希釈する、膣液サンプルを濾過する、基質を加水分解する、指示薬と反応させて目に見える色を出させるといったすべてのステップが、この装置内で実行された。バッファと混合した膣液は、スワブから滲み出させることによって濾紙に移した。膣液が多孔性支持体を横方向に移動するにつれ、粒子状物質が濾過されて除かれると同時に、指示薬が混入する。この混合物が基質とインヒビターを含む帯域に到達すると、膣液中にトリコモナスのヒドロラーゼが存在している場合には基質の加水分解が起こった。15分待つと、膣液がストリップを流れていき、十分な量の基質がトリコモナス陽性のサンプルによって加水分解された。酸をストリップに付着させた後、基質の加水分解による生成物を指示薬と反応させたところ、ストリップにはっきりと目に見えるピンク色の線が現われた。これは陽性であることを示している。
この実験では、トリコモナスのヒドロラーゼによるCBZ-Arg-Arg-Arg-MNA(ZRRR-MNA)の加水分解を、1.9〜3.4の範囲のさまざまなpH値で比較する。この実験では、スワブを乾燥した基質フィルムに押しつけ、その10分後に指示薬に押しつけ、結果を直接スワブの表面に読み取る方法も示す。
トリコモナスのヒドロラーゼ。調製法Dに記載したようにして調製した後、トリコモナスのヒドロラーゼ50μlに100mMのL-システインヒドロクロリド5μlと水445μlを混合することによって10%v/vに希釈する。
100mMのDL-リンゴ酸溶液。HClを用いてpHを1.3、1.6、1.9、2.2、2.5、2.8、3.1、3.4のいずれかの値に調整する。
200mMのCBZ-Arg-Arg-Arg-MNA三酢酸塩(ZRRR-MNA)を含むエタノール。
25%(w/w)ヒドロキシプロピルセルロースを含むエタノール。
指示薬フィルム。100mMのファースト・レッドRL染料を用い、調製法Gに記載したようにして調製する。
200mMのZRRR-MNA溶液を25%のヒドロキシプロピルセルロース溶液と混合し、エタノールを追加して、最終濃度が80mMのZRRR-MNAと5%のヒドロキシプロピルセルロースになるようにした。マイラー・シート上の直径約1/4インチの円形領域に混合物1μlをピペットで移し、乾燥した窒素流のもとで乾燥させることにより、基質フィルムを作った。上記の各pH値になったリンゴ酸バッファ溶液のアリコート80μlを、マイクロタイター・プレート上の別々の8つの丸底ウエルのそれぞれに、ピペットを用いて移した。トリコモナスのヒドロラーゼの10%溶液80μlを各ウエルに添加し、完全に混合した。次に各ウエル(80μl)の半分の体積を8つのウエルからなる第2のセットに移し、その中にスワブを挿入した。各ウエルからの液体80μlをそれぞれのスワブに吸収させた後、各スワブを基質フィルムにこすりつけた。スワブを基質に曝露した10分後、各スワブを指示薬(ファースト・レッド)フィルムにこすりつけた。1分後に各スワブに現われたピンク色の濃さを、肉眼で、以下の表11.1に示した0〜9までのスケールを用い、0.5点単位で点数化した。トリコモナスのヒドロラーゼとバッファの8通りの混合物の最終pHを明らかにするため、8つのウエルからなる第1のセットに残っている液体のpHを、pHメーターを用いて測定した。pH値が最小のウエルとpH値が最大のウエルを取り除き、以上の操作を繰り返した。
表11.2のデータは、トリコモナスのヒドロラーゼ溶液に存在している酵素が低pHでZRRR-MNAを加水分解しうることを示している。活性のピークはpHがほぼ2.4のときである。トリコモナスのヒドロラーゼが持つこの特徴は、トリコモナス症に対する選択性を持つ簡単な診断テストの開発に応用できる。というのも、ほとんどのヒドロラーゼは、このような低pHでは働きが非常に弱いからである。
この実験では、pHが2.0〜2.6の4つの異なるバッファにおいて、トリコモナスのヒドロラーゼがCBZ-Arg-Arg-Arg-MNA(ZRRR-MNA)を加水分解する能力を比較する。
トリコモナスのヒドロラーゼ。調製法Dに記載したようにして調製した後、トリコモナスのヒドロラーゼ100μlに100mMのL-システインヒドロクロリド10μlと水890μlを混合することによって10%v/vに希釈する。
100mMのL-システインヒドロクロリド
100mMのバッファ溶液群。各バッファ溶液は、pHが2.0、2.2、2.4、2.6である。
a.DL-リンゴ酸
b.グリシン
c.L-トレオニン
d.L-リシン
8mMのCBZ-Arg-Arg-Arg-MNA酢酸塩(ZRRR-MNA)。200mMの貯蔵溶液を含むエタノールを水で希釈することによって調製した。
指示薬フィルム。100mMのファースト・レッドRL染料を用い、調製法Gに記載したようにして調製した。
各バッファ溶液(pHは2.0、2.2、2.4、2.6の4通り)50μlを、ピペットを用いてマイクロタイター・プレートの別々のウエルに移した。8mMのZRRR-MNAを25μlと、トリコモナスのヒドロラーゼの10%溶液25μlを各ウエルに添加した後、各ウエルから最終pHの測定用に20μlを取り出した。この混合物を作製した10分後、ダクロン製スワブを各ウエルに挿入して液体を吸収させ、次いで各スワブをファースト・レッドRLフィルムにこすりつけた。5分後に各スワブの表面に現われたピンク色の濃さを、肉眼で、前の実施例の表11.1に示した0〜9までのスケールを用い、0.5点単位で点数化した。
結果を表12.1に示す。各ウエルの最終pHは、使用したバッファに関係なく、100mMの各バッファ貯蔵溶液よりも値にして0.3〜0.5大きかったことがわかる。トレオニンで全体的なpH値の制御が最もうまくいき、バッファ溶液のpHとウエル内の混合物の最終pHとの差が最小だった。最終pHがどのような値であれ、色彩スコアはバッファとしてトレオニンを用いた場合に最高であった。すなわち、pH2.4ではトレオニンのウエルで点数が6.0であるのに対してグリシンでは5.0、リンゴ酸では4.5であり、pH2.7ではトレオニンのウエルで点数が6.5であるのに対してグリシンでは6.0、リンゴ酸では5.5であり、pH2.9ではトレオニン、グリシン、リンゴ酸のウエルで点数がすべて6.0であった。
実験11により、pH2.4でトリコモナスのヒドロラーゼの酵素活性が最大になることがわかった。この理想的なバッファは、このpHでバッファとしての十分な性能を提供しつつ、トリコモナスのヒドロラーゼによる最大の酵素活性を支えるであろう。バッファ能力が不十分だと、結果としてpHが高くなるため、トリコモナスのヒドロラーゼによる活性が低下したり、非トリコモナス由来のヒドロラーゼによる活性が増加したりする可能性がある。さらに、バッファの濃度が大きいと、トリコモナスのヒドロラーゼの活性が抑制される可能性がある。
この実験では、一連のペプチド基質複合体について、トリコモナスのヒドロラーゼが低pHで基質を加水分解する能力を比較する。
トリコモナスのヒドロラーゼ。調製法Dに記載したようにして調製する。
200mMのL-トレオニン・バッファ、pH2.4。
2mMのL-システインヒドロクロリドを含む水。
プールした正常な膣液の上清(NVS)。これは、正常な未感染の女性からダクロン製スワブに採取した膣液サンプルを遠心分離してスワブから未希釈の膣液を抽出し、粒子状物質をペレット化することによって調製する。上清をプールし、使用するときまで凍結させておく。
0.2mg/mlのファースト・ガーネットGBC硫酸塩。水に溶かしてから1時間以内に使用する。
2%ドデシル硫酸ナトリウムを含む500mMの酢酸塩バッファ(pH5)(SDS/酢酸塩)。
後出のリストに示した一連の基質のそれぞれをトレオニン・バッファに溶かした2mMの溶液。
まず疎水性ペプチド基質を少量のDMSOに溶かした後、トレオニン・バッファの中に希釈して2mMにした。
1.膣液が存在しない状態でのアッセイ
それぞれの基質40μlを、マイクロタイター・プレートのペアになったウエルにピペットを用いて移した。このプレートをテープで覆い、25℃のインキュベータに入れて温めた。解凍したばかりのトリコモナスのヒドロラーゼの溶液1部(v/v)を2mMのL-システイン溶液9部と混合することにより、希釈した酵素混合物を調製した。この混合物40μlをペアになったウエルの一方に添加した。ネガティブ・コントロールのため、2mMのL-システイン40μlをペアになったウエルのもう一方に添加した。プレートをインキュベータに戻し、10分間にわたってインキュベートした。SDS/酢酸塩溶液40μlを各ウエルに添加した後、ファースト・ガーネット溶液を40μl添加した。5分後に各ウエルに現われた色の濃さを、肉眼で、表13.1に示した色彩スケールを用いて評価した。
1.膣液が存在していない状態でのアッセイ。
61種類のペプチド基質についての結果を表13.2に示す。これらの基質のうち、13種類だけがトリコモナスのヒドロラーゼによって加水分解された。加水分解されたその13種類の基質のうち、9種類だけが適切な濃さの色であった(評価が++または+++)。
膣液の上清なしでトリコモナスのヒドロラーゼによって加水分解されて濃いピンク色になった(評価が++または+++)9種類の基質のうち、4種類だけが膣液の上清の存在下で濃いピンク色になった。その結果を表13.3に示す。
テストした61種類のペプチド基質のうちで13種類だけが、トリコモナスのヒドロラーゼの存在下で非常に小さなpHにて発色した。これらのうち、9種類だけが十分に発色した。その9種類の基質のうちで4種類が、膣液の存在下でトリコモナスのヒドロラーゼによって加水分解された。すなわち、D-Val-Leu-Arg-MNA(VLR-MNA)、CBZ-Leu-Arg-MNA(ZLR-MNA)、CBZ-Arg-Arg-Arg-MNA(ZRRR-MNA)、CBZ-Val-Arg-MNA(ZVR-MNA)である。
この実験では、正常な未感染の女性の膣液サンプルを、トリコモナスのヒドロラーゼを添加した膣液サンプルと比較し、これらのサンプルが低pHで4つのペプチド基質に及ぼす作用について調べる。この実験では、サンプルを含むスワブを基質と指示薬に付着させた後、結果を直接スワブの表面に読み取る方法も示す。
トリコモナスのヒドロラーゼ。調製法Dに記載したようにして調製する。
綿製スワブ(ドナー1人につき2個)。正常な未感染の女性から採取した膣液サンプルを含む。
200mMのL-トレオニン・バッファ、pH2.4。
ペプチド基質:
400mMのD-Val-Leu-Arg-MNA(VLR-MNA)と6MのHClを10%(v/v)含むエタノール
400mMのCBZ-Leu-Arg-MNA(ZLR-MNA)と10%(v/v)のジメチルホルムアミドを含むエタノール
400mMのCBZ-Arg-Arg-Arg-MNA(ZRRR-MNA)を含むエタノール
400mMのCBZ-Val-Arg-MNA(ZVR-MNA)と10%(v/v)のジメチルホルムアミドを含むエタノール
2mMのL-システインヒドロクロリドを含む水。
25%(v/v)ヒドロキシプロピルセルロースを含むエタノール。
指示薬フィルム。10mMのファースト・ガーネット・ジアゾニウム染料または70mMのファースト・レッドRLジアゾニウム染料を用い、調製法Gに記載したようにして調製する。
1.基質フィルムの調製
400mMの基質貯蔵溶液と、25%ヒドロキシプロピルセルロース溶液と、200mMのL-システインの混合物にエタノールを追加し、最終的に150〜320mMの基質、20mMのL-システイン、2〜5%のヒドロキシプロピルセルロースという濃度にした。マイラー・シート上の直径約1/4インチの円形領域に混合物1μlをピペットで移し、乾燥した窒素流のもとで乾燥させることにより、基質フィルムを作った。乾燥したこのフィルムは、使用するまで乾燥剤入りの容器の中に保管した。
ドナーから採取した膣液サンプルの各ペアについて、一方のスワブを1つの基質フィルムにこすりつけ、他方のスワブを別の基質フィルムにこすりつけ、これら2つの基質を同時に比較した。溶液中に150mM〜320mMの濃度で含まれる基質を用いて基質フィルムを作ったが、(以下に示す表14.1、表14.2、表14.3に記載したように)個々の比較は等しいモル濃度の基質で行なった。スワブ内で膣液とバッファを用いて基質を希釈し、スワブの頭部における基質の最終濃度を、フィルムを作るのに用いた溶液中での基質の濃度の1/60にした。各スワブを基質フィルムにこすりつけた直後、1滴(35μl)のトレオニン・バッファをプラスチック上で基質フィルムがある位置に付着させ、スワブを再び同じスポットにこすりつけてバッファをスワブに吸収させた。スワブをプラスチックの上に10分間放置した後、各スワブをファースト・レッドまたはファースト・ガーネット・フィルムにこすりつけた。ZLRとZVRの比較およびVLR-MNAとZRRR-MNAの比較を行なうため、10mMのファースト・ガーネットで作ったフィルムを使用した。ZVRとVLR-MNAの比較を行なうため、70mMのファースト・レッドで作ったフィルムを使用した。2分後に各スワブに現われたピンク色の濃さを、肉眼で、上記の表11.1に示した0〜9までのスケールを用いて点数化した。1.3など小数表記の点数は、スワブ間で色の濃さがわずかに異なっている場合に使用した。
実験のこの部分では、アッセイの直前に、膣液を含む各スワブの先端部にトリコモナスのヒドロラーゼ20μlを、付着させた。その点を除き、手続きは、膣液だけを含むスワブの場合とまったく同じであった。
結果を以下の表に示す。表14.1では320mMでZLR-MNAとZVR-MNAを比較し、表14.2では150mMでVLR-MNAとZVR-MNAを比較し、表14.3では200mMでVLR-MNAとZRRR-MNAを比較する。
臨床で使用する際に重要なのは、基質が、正常な未感染の女性からの膣液を含むサンプルには痕跡程度を超える色を生じさせず、膣液にトリコモナスのヒドロラーゼを添加したスワブに点数が1以上の濃さの色を生じさせることである。ZLRは、膣液にトリコモナスのヒドロラーゼを添加したスワブに点数が1未満の濃さの色をときどき生じさせたため、ZVRと比べて貧弱な基質であることがわかった。しかしZVRは、正常な膣液サンプルに存在するヒドロラーゼとの反応性が許容できないほど大きいため、VLR-MNAのほうが望ましい。VLR-MNAとZRRR-MNAの両方とも、この実験で好ましい結果を出した。
この実験では、スワブに含まれている膣液サンプルにトリコモナスのヒドロラーゼを添加したものを用い、2つのテスト手続きを比較した。その手続きとは、a)スワブを基質フィルムにこすりつけた直後にこのスワブにジアゾニウム染料を付着させる方法と;b)スワブを基質フィルムにこすりつけてから10分後にジアゾニウム染料を付着させる方法(スワブへの試薬の“2段階”付着)である。目的は、基質とジアゾニウム染料を“1ステップ”でほぼ同時に付着させた場合に、生じるピンク色の濃さに影響があるかどうかを明らかにすることであった。
トリコモナスのヒドロラーゼ。調製法Dに記載したようにして調製する。
綿製スワブ(ドナー1人につき2個)。正常な未感染の女性から採取した膣液サンプルを含む。
200mMのL-トレオニン・バッファ、pH2.4。
基質フィルム。80mMのZRRR-MNAを用い、調製法Eに記載したようにして調製した。
指示薬フィルム。10mMのファースト・ガーネット・ジアゾニウム染料を用い、調製法Gに記載したようにして調製した。
各アッセイを行なう直前にトリコモナスのヒドロラーゼ10μlをそれぞれの膣液サンプルに添加した。各サンプル・ペアからの一方のスワブを基質フィルムにこすりつけ、ファースト・ガーネット・フィルムにこすりつけ、1滴(35μl)のトレオニン・バッファにこすりつけた後、バッファをスワブに吸収させた(試薬の“1段階”付着)。それと同時に、各サンプル・ペアからの第2のスワブを同様にして処理した。ただし、ファースト・ガーネット・フィルムは省略した。10分後、各ペアからの第2のスワブをファースト・ガーネット・フィルムにこすりつけた(試薬の“2段階”付着)。さらに30秒後、両方のスワブに現われたピンク色の濃さを、肉眼で、表11.1に示した0〜9までのスケールを用い、0.5点単位で点数化した。
両方の手順において、各ウエブに基質を付着させてから10.5分後、生じたピンク色の濃さを点数で評価した。しかしピンク色は、ジアゾニウム染料を最初に付着させた場合には、10分後に付着させたときよりも薄かった。いずれの手続きでもトリコモナスのヒドロラーゼを検出できるが、“2段階”手順のほうが濃い色が生じる。
この実験では、ペプチドをベースとした2つの基質が、STD治療のクリニックに通っている女性からのサンプルに対して低pHでどのように応答するかを比較した。サンプルには、トリコモナス陽性のサンプルとトリコモナス陰性のサンプルの両方が含まれている。
ダクロン製スワブ(ドナー1人につき2個)。STD治療のクリニックに通っている女性から採取した膣液サンプルを含む。これら女性の多くは細菌性膣炎、膣酵母感染症、あるいは他の膣炎を患っており、膣トリコモナスを5日間培養することにより、トリコモナス陽性(膣が膣トリコモナスに感染している)またはトリコモナス陰性であると判定された。
200mMのL-トレオニン・バッファ、pH2.4。
基質フィルム。200mMのZRRR-MNAを用いたときには調製法Eに記載したようにして調製し、200mMのVLR-MNAを用いたときには調製法Fに記載したようにして調製した。
指示薬フィルム。10mMのファースト・ガーネット・ジアゾニウム染料を用い、調製法Gに記載したようにして調製した。
通院患者から採取した膣液サンプルの各ペアにつき、一方のスワブをZRRR-MNAフィルムにこすりつけ、他方のスワブをVLR-MNAフィルムにこすりつけた。各スワブを基質フィルムにこすりつけた直後、スワブを1滴(35μl)のトレオニン・バッファにこすりつけ、バッファをスワブに吸収させた。スワブをプラスチックの上に10分間放置した後、各スワブをファースト・ガーネット・フィルムにこすりつけた。30秒後に各スワブの表面に現われたピンク色の濃さを、肉眼で、表11.1に示した0〜9までのスケールを用い、0.5点単位で点数化した。
両方のペプチド基質が、トリコモナス症の女性から採取した膣液サンプルに存在しているヒドロラーゼによって効果的に加水分解されたが、VLR-MNAは、トリコモナス陰性のサンプルによって加水分解される程度がZRRR-MNAよりも少なかった。
この実験では、D-Val-Leu-Arg-MNA(VLR-MNA)の量を増やすことが、トリコモナスのヒドロラーゼを含む綿製スワブに生じるピンク色の濃さにどのような影響を及ぼすかを調べる。
トリコモナスのヒドロラーゼ。調製法Dに記載したようにして調製する。
プールした正常な膣液の上清。正常な未感染の女性からダクロン製スワブに採取した膣液サンプルを遠心分離してスワブから未希釈の膣液を抽出し、粒子状物質をペレット化することによって調製する。上清をプールし、使用するときまで凍結させておく。
100mMのL-システインヒドロクロリドを含む水。
200mMのL-トレオニン・バッファ、pH2.4。
基質フィルムのドット。100mMのVLR-MNAを用い、調製法Fに記載したようにして調製した。
指示薬フィルム。10mMのファースト・ガーネット・ジアゾニウム染料を用い、調製法Gに記載したようにして調製した。
トリコモナスのヒドロラーゼ20μlを100mMのL-システイン4μlおよび水176μlと混合することにより、10%v/vのトリコモナスのヒドロラーゼと2mMのL-システインを含む溶液Aを調製した。トリコモナスのヒドロラーゼ40μlを正常な膣液の上清10μl、100mMのL-システイン4μl、水176μlと混合することにより、20%v/vのトリコモナスのヒドロラーゼと、5%v/vの正常な膣液の上清と、2mMのL-システインを含む溶液Bを調製した。溶液A、溶液B、トレオニン・バッファそれぞれの液滴(35μl)を数滴、マイラー・シート上の別々の領域にピペットで別々に移した。個々の綿製スワブを溶液Aまたは溶液Bの液滴にこすりつけ、次いで1滴、または2滴、または3滴からなる基質のドットにこすりつけ、次いでバッファの液滴にこすりつけた。10分後、各スワブを指示薬フィルムにこすりつけた。30秒後に各スワブの表面に現われたピンク色の濃さを、肉眼で、表11.1に示した0〜9までのスケールを用い、0.5点単位で点数化した。
トリコモナスのヒドロラーゼによって生じるピンク色は、膣液が存在しているかどうかに関係なく、基質の量を増やすにつれて濃くなった。したがって、スワブの膣液サンプル中に存在するトリコモナスのヒドロラーゼを検出する感度を最大にするためには、高濃度の基質を使用する必要がある。乾燥フィルムは、基質をスワブに移すのに非常に効果的な手段である。
この実験では、基質をスワブに付着させた10分後の発色に関し、正常な膣液サンプルを含むスワブと、トリコモナスのヒドロラーゼを添加した正常な膣液サンプルを含むスワブを用い、2つのジアゾニウム染料を比較する。目的は、どのジアゾニウム染料が、トリコモナス陽性のスワブに生じさせるピンク色を最も濃くするかと、トリコモナス陰性のスワブに生じさせるピンク色を最も淡くするかを明らかにすることであった。
トリコモナスのヒドロラーゼ。調製法Dに記載したようにして調製する。
綿製スワブ(ドナー1人につき2個)。正常な未感染の女性から採取した膣液サンプルを含む。
200mMのL-トレオニン・バッファ、pH2.4。
基質フィルム。200mMのVLR-MNAを用い、調製法Fに記載したようにして調製した。
指示薬フィルム。10mMのファースト・ガーネット・ジアゾニウム染料を用い、調製法Gに記載したようにして調製した。
1.正常な未感染の女性から採取した膣液サンプルを利用した、ジアゾニウム染料の比較
それぞれの膣液サンプルを乾燥した基質フィルムにこすりつけた後、1滴(35μl)のトレオニン・バッファにこすりつけ、バッファをスワブに吸収させた。10分後、各ペアからの一方のスワブをファースト・レッドRLにこすりつけ、他方のスワブをファースト・ガーネット・フィルムにこすりつけた。30秒後に各スワブの表面に現われたピンク色の濃さを、肉眼で、表11.1に示した0〜9までのスケールを用い、0.5点単位で点数化した。0.3など小数表記の点数は、スワブ間で色の濃さがわずかに異なっている場合に使用した。
実験のこの部分では、アッセイを行なう直前に、トリコモナスのヒドロラーゼ20μlを、膣液サンプルを含む各スワブの先端に付着させた。それ以外は、膣液だけを含むスワブの場合とまったく同じ手続きにした。
ファースト・レッドRLまたはファースト・ガーネットのいずれかを装置内で用いると、トリコモナスのヒドロラーゼを検出することができる。どちらの染料も、正常な未感染の女性からの膣液を含むスワブにはピンク色をほとんど、またはまったく生じさせず、膣液にトリコモナスのヒドロラーゼを添加したスワブにはピンク色を生じさせた。しかしファースト・レッドRLは、トリコモナスのヒドロラーゼを含むスワブにファースト・ガーネットよりも濃いピンク色を生じさせた。
この実験では、実験18で調べた2つのジアゾニウム染料をさらに調べる。ただし、STD治療のクリニックに通っている女性から実際に採取した膣液を使用する。
ダクロン製または綿製のスワブ(ドナー1人につき2個)。STD治療のクリニックに通っている女性から採取した膣液サンプルを含む。これら女性の多くは細菌性膣炎、膣酵母感染症、あるいは他の膣炎を患っており、膣トリコモナスを5日間培養することにより、トリコモナス陽性(膣が膣トリコモナスに感染している)またはトリコモナス陰性であると判定された。
200mMのL-トレオニン・バッファ、pH2.4。
基質フィルム。200mMのVLR-MNAを用い、調製法Fに記載したようにして調製した。
指示薬フィルム。10mMのファースト・ガーネット・ジアゾニウム染料または70mMのファースト・レッドRLジアゾニウム染料を用い、調製法Gに記載したようにして調製した。
各通院患者からの2つの膣液サンプルのそれぞれを基質フィルムにこすりつけた後、1滴(35μl)のトレオニン・バッファにこすりつけ、バッファをスワブに吸収させた。10分待機した後、各ペアからの一方のスワブをファースト・レッドRLフィルムにこすりつけ、他方のスワブをファースト・ガーネット・フィルムにこすりつけた。30秒後に各スワブの表面に現われたピンク色の濃さを、肉眼で、表11.1に示した0〜9までのスケールを用い、0.5点単位で点数化した。
実験18の結果と一致していることだが、ファースト・レッドRLは、(トリコモナス症の女性からの膣液を含む)トリコモナス陽性のスワブにおいて、ファースト・ガーネットよりも濃いピンク色を生じさせた。
この実験では、STD治療のクリニックに通っている女性から採取した膣液サンプルを含むスワブを用い、2つの手続きを比較した。その手続きとは、(a)スワブを基質フィルムにこすりつけた後にバッファを付着させる方法と;(b)バッファを基質フィルムに付着させた後にスワブをフィルムにこすりつける方法である。目的は、どのジアゾニウム染料が、トリコモナス陽性のスワブに生じさせるピンク色を最も濃くするかと、トリコモナス陰性のスワブに生じさせるピンク色を最も淡くするかを明らかにすることであった。
綿製スワブ(ドナー1人につき2個)。STD治療のクリニックに通っている女性から採取した膣液サンプルを含む。これら女性の多くは細菌性膣炎、膣酵母感染症、あるいは他の膣炎を患っており、膣トリコモナスを5日間培養することにより、トリコモナス陽性(膣が膣トリコモナスに感染している)またはトリコモナス陰性であると判定された。
200mMのL-トレオニン・バッファ、pH2.4。
基質フィルム。200mMのVLR-MNAを用い、調製法Fに記載したようにして調製した。
指示薬フィルム。10mMのファースト・ガーネット・ジアゾニウム染料または70mMのファースト・レッドRLジアゾニウム染料を用い、調製法Gに記載したようにして調製した。
各通院患者からの2つの膣液サンプルのうちの1つを基質フィルムにこすりつけた後、1滴(35μl)のトレオニン・バッファにこすりつけ、バッファをスワブに吸収させた(基質の後にバッファという手続き)。1滴(35μl)のトレオニン・バッファを基質フィルムに付着させた直後、各ペアからの第2のスワブを基質フィルムにこすりつけ、バッファと基質の両方がスワブに同時に混合するようにした(同時に基質とバッファという手続き)。10分待機した後、各スワブをファースト・レッドRLにこすりつけた。30秒後に各スワブの表面に現われたピンク色の濃さを、肉眼で、表11.1に示した0〜9までのスケールを用い、0.5点単位で点数化した。
同時に基質とバッファという手続きでは、基質の後にバッファという手続きの場合と比べると、トリコモナス陽性のサンプルによるピンク色の望ましい発生が維持された状態で、トリコモナス陰性のサンプルからのテスト結果が偽陽性になる場合の数が減った。
この実験では、STD治療のクリニックに通っている女性から採取した膣液サンプルを含むスワブを用い、テスト時間を10分から数分へと短くする効果を調べた。
綿製スワブ(ドナー1人につき2個)。STD治療のクリニックに通っている女性から採取した膣液サンプルを含む。これら女性の多くは細菌性膣炎、膣酵母感染症、あるいは他の膣炎を患っており、膣トリコモナスを5日間培養することにより、トリコモナス陽性(膣が膣トリコモナスに感染している)またはトリコモナス陰性であると判定された。
200mMのL-トレオニン・バッファ、pH2.4。
基質フィルム。200mMのVLR-MNAを用い、調製法Fに記載したようにして調製した。
指示薬フィルム。10mMのファースト・ガーネット・ジアゾニウム染料または70mMのファースト・レッド・ジアゾニウム染料を用い、調製法Gに記載したようにして調製した。
1滴(35μl)のトレオニン・バッファを基質フィルムに付着させた直後、各通院患者からの2つの膣液サンプルのうちの1つを基質フィルムにこすりつけた。5分間待機した後、一方のスワブをファースト・レッドRLフィルムにこすりつけた。さらに5分経過した後、第2のスワブをファースト・レッドRLフィルムにこすりつけた。30秒後に各スワブの表面に現われたピンク色の濃さを、肉眼で、表11.1に示した0〜9までのスケールを用い、0.5点単位で点数化した。
この実験により、膣トリコモナス症の検出を目的として、スワブを利用した“こすりつけて読み取る”正確に5分間のテストを、pH2.4のバッファと、2枚のはがれて取れる乾燥フィルムとを用いて構成できることが明らかになった。
この実験では、STD治療のクリニックに通っている女性から採取した膣液サンプルを含むスワブを用い、ピンク色の濃さに関して綿製スワブをダクロン製スワブと比較した。
スワブ(ドナー1人につき2個で、1個は綿製、1個はダクロン製)。STD治療のクリニックに通っている女性から採取した膣液サンプルを含む。これら女性の多くは細菌性膣炎、膣酵母感染症、あるいは他の膣炎を患っており、膣トリコモナスを5日間培養することにより、トリコモナス陽性(膣が膣トリコモナスに感染している)またはトリコモナス陰性であると判定された。
200mMのL-トレオニン・バッファ、pH2.4。
基質フィルム。200mMのVLR-MNAを用い、調製法Fに記載したようにして調製した。
指示薬フィルム。10mMのファースト・ガーネット・ジアゾニウム染料を用い、調製法Gに記載したようにして調製した。
1滴(35μl)のトレオニン・バッファを基質フィルムに付着させた直後、各通院患者からの2つの膣液サンプル(一方が綿製スワブで、他方がダクロン製スワブ)のそれぞれを基質フィルムにこすりつけた。5分間待機した後、一方のスワブをファースト・レッドRLフィルムにこすりつけた。30秒後に各スワブの表面に現われたピンク色の濃さを、肉眼で、表11.1に示した0〜9までのスケールを用い、0.5点単位で点数化した。
トリコモナス症の診断を目的として膣液サンプルを採取する際には、ダクロン製スワブと綿製スワブのいずれを用いることもできる。このテストがサンプル採取用の特別なタイプのスワブに限定されることはない。
Claims (10)
- 膣液中で膣トリコモナス(Trichomoniasis vaginalis)を検出する方法であって、
(a)pHが2〜3.5の範囲で膣液サンプルを基質に接触させるステップ、ただしこの基質は、ある1つのペプチドのC末端に共有結合によって結合した化学種を含んでおり、加水分解による開裂でこの化学種がこのペプチドから切断されたときに検出可能な変化を生じさせ、上記ペプチドは、C末端にリシン及びアルギニンから成る群から選ばれる構成員を有する;及び
(b)上記の検出可能な変化が起こったかどうかを観察するステップを含み、この検出可能な変化の発生が、上記膣液中に膣トリコモナスが存在していることを示している方法。 - 上記化学種が、4-メトキシ-2-ナフチルアミン、β-ナフチルアミン、7-アミノ-4-メチルクマリン、α-ナフトール、β-ナフトール、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、6-ヒドロキシ-2-ナフタレンスルホン酸、1-ナフトール-3,6-ジスルホン酸、6-ブロモ-2-ナフトール、6-ヒドロキシ-2-ナフチルジスルフィド、4-ヒドロキシ-1-ナフタレンスルホン酸からなるグループの中から選択した化合物であり、ステップ(b)がさらに、上記サンプルと接触させた結果として上記ペプチドから切断される上記化合物のうちの任意のものをジアゾニウム染料と接触させる操作を含んでいる、請求項1に記載の方法。
- 上記基質が、カルボベンゾキシ-L-バリン-L-アルギニン-4-メトキシ-2-ナフチルアミン、カルボベンゾキシ-L-アルギニン-L-アルギニン-4-メトキシ-2-ナフチルアミン、カルボベンゾキシ-L-アルギニン-L-アルギニン-L-アルギニン-4-メトキシ-2-ナフチルアミン、カルボベンゾキシ-L-ロイシン-L-アルギニン-4-メトキシ-2-ナフチルアミン、カルボベンゾキシ-L-バリン-L-アルギニン-4-メトキシ-2-ナフチルアミン、D-バリン-L-ロイシン-L-アルギニン-4-メトキシ-2-ナフチルアミンからなるグループの中から選択したメンバーである、請求項1に記載の方法。
- 膣液中で膣トリコモナスを検出する方法であって、
(a)液体を保持することのできる器具を、pHが2〜3.5の範囲において膣液で濡らし、この濡れた器具を、ある1つのペプチドのC末端に存在するリシンまたはアルギニンに共有結合によって結合した試薬を含む固相複合体に付着させるステップ、ただしこの試薬は、開裂してこのペプチドから切断されたときに濡れた上記器具によって保持され、上記リシンまたはアルギニンから離れて指示薬と接触したときにこの指示薬に検出可能な変化を起こさせる;
(b)上記器具を、固相複合体に付着させた後に、固相形態になった上記指示薬に付着させるステップ;
(c)上記器具の表面に検出可能な変化が起こったかどうかを検出するステップを含み、この検出可能な変化の発生が、上記膣液中に膣トリコモナスが存在していることを示している方法。 - 上記固相複合体が、カルボベンゾキシ-L-バリン-L-アルギニン-4-メトキシ-2-ナフチルアミン、カルボベンゾキシ-L-アルギニン-L-アルギニン-4-メトキシ-2-ナフチルアミン、カルボベンゾキシ-L-アルギニン-L-アルギニン-L-アルギニン-4-メトキシ-2-ナフチルアミン、カルボベンゾキシ-L-ロイシン-L-アルギニン-4-メトキシ-2-ナフチルアミン、カルボベンゾキシ-L-バリン-L-アルギニン-4-メトキシ-2-ナフチルアミン、D-バリン-L-ロイシン-L-アルギニン-4-メトキシ-2-ナフチルアミンからなるグループの中から選択したメンバーであり、上記指示薬がジアゾニウム染料である、請求項4に記載の方法。
- 膣液中で膣トリコモナスを検出する方法であって、
(a)液体を保持することのできる器具を、pHが2〜3.5の範囲において膣液で濡らし、この濡れた器具を、ある1つのペプチドのC末端に存在するリシンまたはアルギニンに共有結合によって結合した試薬を含む固相複合体に付着させるステップ、ただしこの試薬は、開裂してこのペプチドから切断されたときに濡れた上記器具によって保持され、上記リシンまたはアルギニンから離れたときに検出可能な変化を起こす;
(b)上記器具の表面に検出可能な変化が起こったかどうかを検出するステップを含み、この検出可能な変化の発生が、上記膣液中に膣トリコモナスが存在していることを示している方法。 - 膣液中で膣トリコモナスを検出する方法であって、
(a)膣液サンプルを採取するステップと;
(b)この膣液サンプルから、直径が20ミクロンを超える粒子状物質を含まない上清を抽出するステップと;
(c)この上清を、加水分解によって開裂したときに検出可能な変化を生じさせる基質と接触させるステップと;
(d)上記の検出可能な変化が起こったかどうかを観察するステップを含み、この検出可能な変化の発生が、上記膣液中に膣トリコモナスが存在していることを示している方法。 - 体液サンプル中に水溶性ヒドロラーゼが存在しているかどうかを調べるためのテスト装置であって、
体液サンプルを付着させるための所定の付着部位を有する流路と;
上記流路内に保持されていて、直径が20ミクロンを超える粒子状物質を捕捉する一方で水性液体は通過させる多孔性固体材料と;
上記流路内に固体形態で堆積されていて、活性化した試薬と接触したときに検出可能な変化を生じさせる水溶性の指示薬と;
固体形態で上記流路に堆積されている複合体とを備え、だたしこの複合体は、共有結合によって結合メンバーに結合した上記試薬を含んでおり、この試薬は、酵素を通じた加水分解による開裂作用によってこの結合メンバーから切断されて活性化される;
上記指示薬における検出可能な変化が、上記粒子状物質を上記多孔性固体材料によってサンプルから除去した後に残っている分画における上記ヒドロラーゼの加水分解活性によってのみ生じるようにするのに十分な距離だけ、上記指示薬と上記複合体のうちの少なくとも一方を、上記付着部位とは空間的に離してある装置。 - 体液サンプル中に水溶性ヒドロラーゼが存在しているかどうかを調べるためのテスト装置であって、
水性液体を通過させる一方で直径が20ミクロンを超える粒子状物質は捕捉する多孔性固体材料からなるストリップと;
共有結合によって結合メンバーに結合していて、加水分解によってこの結合メンバーから切断されるクロモゲンを含む複合体とを備え、このクロモゲンは、加水分解によってこの結合メンバーから切断されたときに検出可能な変化を起こす化学種であり、上記複合体は、上記ストリップ上で、この複合体が存在していない所定の距離だけ付着部位から空間的に離れた領域に堆積されており、上記付着部位に付着させた体液サンプルが上記距離を通じて移動して複合体に到着するまでに、上記粒子状物質が除去されるテスト装置。 - 体液サンプル中に加水分解酵素が存在しているかどうかを調べるためのテスト装置であって、
(a)空間的に互いに離れた複数の領域にテスト材料を堆積させるための表面を有する不活性な固体支持体、ただし、これら複数の領域には、
(i)共有結合によって結合メンバーに結合していて、加水分解による開裂を通じてこの結合メンバーから解放されて活性化することが可能な試薬を含む複合体が堆積される第1の領域と、
(ii)活性化した形態の上記試薬と接触したときに検出可能な変化を起こす指示薬が堆積される第2の領域とが含まれ;
(b)吸収性であるために体液で濡らすことができ、濡らして上記第1の領域と上記第2の領域にこすりつけたとき、第1の領域と第2の領域に存在しているテスト材料が付着する器具とを備える装置。
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