JP2003047466A - 塩ストレス耐性を制御する新規イネ遺伝子 - Google Patents
塩ストレス耐性を制御する新規イネ遺伝子Info
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Abstract
ドする遺伝子を提供すること。 【解決手段】 イネ由来の塩ストレス耐性を制御する植
物遺伝子をコードするポリヌクレオチドであって、上記
ポリヌクレオチドがコードするアミノ酸配列、または該
アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠
失、置換および/もしくは付加されたアミノ酸配列をコ
ードするヌクレオチド配列を有し、かつ塩ストレス耐性
を制御する機能を有するポリヌクレオチドを含む、ポリ
ヌクレオチド。
Description
る。より詳細には、植物において塩ストレス耐性を制御
する機能を有するタンパク質をコードする新規遺伝子に
関する。
にストレスを受けている。このようなストレスには、
塩、乾燥、高温、低温、強光、空気汚染などのさまざま
なものが含まれる。農業生産の観点から、塩ストレスが
注目されている。土壌および岩石が分解すると塩類が生
じる。塩類の生成は絶えず続いており、雨が降るとそれ
らは川または海に流され得る。雨量の少ない砂漠地帯で
は流出する塩類が少ないために、土壌水中の塩類の濃度
は極めて高くなる。植物は、水とともに塩類を根によっ
て浸透的に吸収して栄養分とするが、塩類濃度が高くな
ると吸水できなくなる。また、イオン固有の生理作用に
より成長阻害が起こる。植物の塩ストレスに対する応答
はまた、乾燥、高浸透圧、低温などの環境ストレスと重
複した応答を示すことが知られている。これらのストレ
スは、農業上極めて深刻な被害をもたらす。
連作により、土壌中での塩類の高濃度集積が見られるよ
うになり、特にハウス土壌では塩類集積の弊害が頻発し
ている。また、海岸付近地域での海水や海風による塩害
や、乾燥地帯や半乾燥地帯での過度の蒸散による土壌表
層の塩類集積などが生じており、農地の利用を制限して
いる。このような問題の解決方法としては、土壌を交換
することや潅水により除去することが一般的に行われて
いるが、多大の費用や労力を要する。また、潅水による
塩類除去は、周辺地域に大量の塩水を流入させることか
ら、環境汚染を引き起こすとして使用規制が行われよう
としている。
を有する植物を見い出すことは、非常に重要なことであ
る。
物についての研究から、耐塩性植物を、非ストレス条件
から塩ストレス条件に移すと新たな遺伝子の発現が誘発
され、これらの遺伝子の産物が塩ストレス耐性に役立っ
ていることが知られている。Nicotiana属植物
においては、塩ストレス耐性を有する種類の植物が存在
することが知られており、その遺伝子を単離したという
報告も存在する(Nelsonら、(1992) Pl
ant Molecular Biology,vo
l.19,577−588,Yunら(1996) P
lant Physiology,vol.111,1
219−1225)。他に、塩ストレスに対する応答に
関連のあるNicotiana属植物遺伝子としては、
特開平11−187877号、特開平11−18787
8号、特開平11−187879号、特開平11−18
7880号に記載の塩ストレス耐性種であるNicot
iana paniculata由来の遺伝子が挙げら
れる。特開平11−187877号には、塩ストレスに
より誘導される新規な遺伝子が記載され、この遺伝子が
コードする遺伝子産物は、植物に水分ストレス耐性を付
与する機能があると考えられている。特開平11−18
7878号には、塩ストレスにより誘導される新規なカ
リウムチャンネル遺伝子が記載され、この遺伝子がコー
ドするカリウムチャンネル遺伝子は、植物に水分ストレ
ス耐性を付与する機能があると考えられている。特開平
11−187879号には、塩ストレスにより誘導され
る新規なINPS遺伝子が記載され、この遺伝子がコー
ドするINPS遺伝子は、植物に水分ストレス耐性を付
与する機能を有する。特開平11−187880号植物
には、塩ストレスにより誘導される新規な葉緑体型フル
クトースビスフォスフェートアルドラーゼが記載され、
この遺伝子がコードするアルドラーゼは、植物に水分ス
トレス耐性を付与する機能を有すると考えられる。
に関連のある遺伝子として、葉緑体グルタミン合成酵素
(GS2)遺伝子(Hoshidaら、Plant M
ol.Biol.43:103−11(2000));
およびΔ1−ピロリン−5−カルボン酸(P5C)合成
酵素(OsP5CS)遺伝子(Igarashiら、P
lant Mol.Biol.33:857−65(1
997))が知られている。上記文献において、GS2
遺伝子は、光呼吸能を増大させ、これにより塩ストレス
に対する耐性を植物に与えることが記載されている。プ
ロリンの生合成に関与するOsP5CSの遺伝子は、高
濃度の塩、脱水、アブシジン酸での処理、および低温に
よって誘発される。塩ストレス下でのOsP5CSの遺
伝子の発現は、塩耐性栽培種であるDee−gee−w
oo−genでは安定に増大したが、塩感受性育種系で
あるIR28では僅かに増大した。
培養によって活性化され転移をする性質を利用して、イ
ネの多数の遺伝子破壊系統が作出されている。トランス
ポゾンは、動物、酵母、細菌および植物のゲノムに遍在
することが知られる変異誘発遺伝子である。トランスポ
ゾンは、その転移(transposition)機構
により2つのクラスに分類されている。クラスIIに属
するトランスポゾンは、複製することなくDNAの形態
で転移する。クラスIIに属するトランスポゾンとし
て、トウモロコシ(Zea mays)のAc/Ds、
Spm/dSpmおよびMu要素(Fedoroff、
1989、Cell 56、181−191;Fedo
roffら、1983、Cell 35、235−24
2;Schiefelbeinら、1985、Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA 82、47
83−4787)、キンギョソウ(Antirrhin
ummajus)のTam要素(Bonasら、198
4、EMBO J、3、1015−1019)が知られ
ている。クラスIIに属するトランスポゾンは、トラン
スポゾン・タッギングを利用する遺伝子単離に広く利用
されている。この技術は、トランスポゾンがゲノム上で
転移して、ある遺伝子中に挿入されると遺伝子の生理学
的および形態学的変異が起こり、遺伝子が制御する表現
型が変化することを利用する。この変化を検出すること
により影響を受けた遺伝子を単離する(Bancrof
tら、1993、The Plant Cell、5、
631−638;Colasantiら、1998、C
ell、93、593−603;Grayら、199
7、Cell、89、25−31;Keddieら、1
998、The Plant Cell、10、877
−887;Whithamら、1994、Cell、7
8、1101−1115)。
ロトランスポゾンとも呼ばれ、RNA中間体を介して複
製し、転移する。クラスIトランスポゾンは、最初、シ
ョウジョウバエおよび酵母で同定され、そして特徴付け
られたが、最近の研究により植物ゲノム中に遍在し、そ
のかなりの部分を占めていることが明らかにされている
(Bennetzen、1996、Trends Mi
crobiolo.、4、347−353;Voyta
s、1996、Science、274、737−73
8)。レトロトランスポゾンの大部分は、非移動性の組
み込みユニットであるようである。最近の研究は、これ
らのいくつかが、創傷、病原体の攻撃および細胞培養な
どのストレス条件下で活性化されることを示している
(Grandbastien、1998、Trends
in Plant Science、3、181−1
87;Wessler、1996、Curr.Bio
l.6、959−961;Wesslerら、199
5、Curr.Opin.Genet.Devel.
5、814−821。例えば、タバコではTnt1Aお
よびTto1(Pouteauら、1994、Plan
t J.、5、535−542;Takedaら、19
88、Plant Mol. Biol.、36、36
5−376)、およびイネではTos17(Hiroc
hikaら、1996、Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA、93、7783−7788)につ
いて、ストレス条件下における活性化が報告されてい
る。
は、最も良く研究されている植物中のクラスI要素であ
る。Tos17は、Ty1−copia群レトロ要素の
間の逆転写酵素ドメインの保存アミノ酸配列を基に作成
された縮重プライマーを用いたRT−PCR法によりク
ローン化された(Hirochikaら、1992、M
ol. Gen. Genet.、233、209−2
16)。Tos17は、4.3kbの長さの、2つの同
じ138bpのLTR(長鎖末端反復)および開始メチ
オニンtRNAの3’末端に相補的なPBS(プライマ
ー結合部位)を持つ(Hirochikaら、199
6、上述)。Tos17の転写は、組織培養により強く
活性化され、そして培養時間とともにTos17のコピ
ー数が増加する。ゲノム研究のモデルジャポニカ品種で
ある日本晴では、Tos17の当初のコピー数は2であ
るが、組織培養後、再生した植物では、5〜30コピー
に増加している(Hirochikaら、1996、上
述)。酵母およびショウジョウバエで特徴付けられたク
ラスIトランスポゾンとは異なり、Tos17は、染色
体中をランダムな様式で転移し、そして安定な変異を引
き起こし、そしてそれ故、イネにおける遺伝子の機能解
析の強力なツールを提供する(Hirochika、1
997、Plant Mol.Biol.35,231
−240;1999、Molecular Biolo
gy of Rice(K.Shimamoto編集、
Springer−Verlag、43−58)。
ストレスおよび/または浸透圧ストレス感受性を決定し
得るタンパク質をコードする遺伝子を明らかにし、これ
により、塩ストレスおよび浸透圧ストレスを含む複数の
環境ストレスに対する感受性の操作および感受性の異な
る植物の選抜、ならびにさらには、これらの環境ストレ
スに対する耐性を強化した植物の作出のために有用な遺
伝子を提供することを目的とする。
トロトランスポゾンTos17が培養によって活性化さ
れ転移をする性質を利用して作製された多数のイネ遺伝
子破壊系統の中から、塩ストレスに対して感受性の高い
変異体を発見した。この変異体は、塩ストレス条件下
で、器官の生育阻害および形態異常といった形質を示
す。形質の変化と塩ストレスとの関連を鋭意検討した結
果、この形質の変化が、塩ストレス感受性を決定し得る
遺伝子の変異に起因することを見出し、本発明を完成す
るに至った。
遺伝子をコードするポリヌクレオチドであって、該ポリ
ヌクレオチドが、配列表の配列番号2の1位のメチオニ
ンから243位のアスパラギンまでのアミノ酸配列をコ
ードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、
または該アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ
酸が欠失、置換および/もしくは付加されたアミノ酸配
列をコードするヌクレオチド配列を有し、かつ塩ストレ
ス耐性を制御する機能を有するポリヌクレオチドを含
む、ポリヌクレオチドに関する。
伝子は、浸透圧ストレス耐性をさらに制御する。
クレオチドは、イネ由来である。
植物遺伝子をコードするポリヌクレオチドであって、該
ポリヌクレオチドが、配列表の配列番号1の233位の
Aから961位のCまでに示されるヌクレオチド配列ま
たは該ヌクレオチド配列にストリンジェントな条件下で
ハイブリダイズするヌクレオチド配列を有するポリヌク
レオチドを含む、ポリヌクレオチドに関する。
伝子は、浸透圧ストレス耐性をさらに制御する。
クレオチドは、イネ由来である。
離され、機能が解明された植物新規遺伝子を提供する。
遺伝情報を担う構造単位で、形質を規定する因子をい
う。遺伝子は、高分子DNAまたはRNAでの一定の領
域の塩基配列により規定される遺伝の作用単位として定
義され得る。従って、遺伝子は、最終的にタンパク質に
翻訳され得る、DNAまたはRNAであり得、物質とし
ては、ポリヌクレオチドとして理解され得る。
外部から与えられる、植物の生育に変化を生じさせる要
因をいう。「環境ストレス」とは外部環境の変動により
与えられるストレスであり、このようなストレスには、
塩、高浸透圧、乾燥、高温、低温、強光、空気汚染など
が含まれる。
る植物遺伝子をコードするポリヌクレオチドが提供され
る。本願明細書で使用する用語「塩ストレス」とは、栽
培媒体(例えば、土壌、植物の栽培が可能な培地(固形
または液状)など)中の塩類濃度が上昇して、植物の生
育に対して有害となることを意味する。塩類には、植物
に吸水阻害を引き起こすあらゆる塩が含まれ、例えば、
マグネシウム塩、塩化物塩、アルミニウム塩などが含ま
れ得る。本願明細書で用いる用語「塩ストレス耐性」
は、上記の塩ストレスに対して抵抗性であることを意味
する。「塩ストレス感受性」とは、上記の塩ストレスに
対して感受性であること、例えば、生育に不利な影響を
受け得ることを意味する。「塩ストレス感受性」の株
は、中低濃度(例えば、50〜300mM、好ましく
は、100〜150mM)の塩類濃度が含まれる栽培媒
体(例えば、土壌、植物の栽培が可能な培地(固形また
は液状)など)上で生育される場合、植物の器官および
組織の生育阻害および形態異常を示し得る。「塩ストレ
ス耐性を制御する」とは、塩ストレスに関与する遺伝子
の発現を抑制または促進する、あるいは、塩ストレス耐
性を決定するタンパク質をコードする、またはその働き
を制御することを意味する。
レス耐性を制御し得る。「浸透圧ストレス」とは、浸透
圧が生じて、植物の生育に対して有害となることを意味
する。浸透圧は、内部に水を取り込んで体積を増加させ
る、植物細胞の成長(吸水成長)に関与する。一般に、
植物は、浸透圧が高くなるにつれて、吸水力が低下す
る。本願明細書で用いる用語「浸透圧ストレス耐性」
は、上記の浸透圧ストレスに対して抵抗性であることを
意味する。「浸透圧ストレス感受性」とは、上記の浸透
圧ストレスに対してある種の反応を示すことを意味す
る。「浸透圧ストレス感受性」の株は、高浸透圧(例え
ば、マンニトール当量として50〜600mM、好まし
くは、150mM以上)を生じる栽培媒体(例えば、土
壌、植物の栽培が可能な培地(固形または液状)など)
上で生育される場合、植物体(特に、根)の顕著な生育
阻害を示し得る。「浸透圧ストレス耐性を制御する」と
は、浸透圧ストレスに関与する遺伝子の発現を抑制また
は促進する、あるいは、浸透圧ストレス耐性を決定する
タンパク質をコードする、またはその働きを制御するこ
とを意味する。
は、代表的には、配列表の配列番号2の1位のメチオニ
ン(Met)から243位のアスパラギン(Asn)ま
でのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、また
はこのアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸
が欠失、置換および/もしくは付加されたアミノ酸配列
をコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチ
ドを含む、ポリヌクレオチドである。1つの実施形態で
は、本発明のポリヌクレオチドは、配列表の配列番号1
の233位〜961位に示されたヌクレオチド配列を有
するポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチドであ
る。本発明のポリヌクレオチドは、上述した領域(配列
番号2の1位のメチオニン(Met)から243位のア
スパラギン(Asn)までのアミノ酸配列をコードする
ヌクレオチド配列領域または配列番号1の233位〜9
61位に示されたヌクレオチド配列領域)の外側、すな
わち、5’末端側または3’末端側に、さらなるヌクレ
オチド配列(例えば、非翻訳領域)を含み得る。より好
ましくは、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1の
1位〜1154位に示された全長配列からなる。ここ
で、本願発明のポリヌクレオチドは、配列番号1におけ
る縮重異性体をすべて含むものである。ここで、「縮重
異性体」とは、縮重コドンにおいてのみ異なっていて、
同一のポリペプチドをコードすることのできるDNAを
意味する。例えば、配列番号1の塩基配列を有するDN
Aに対して、そのアミノ酸のどれかに対応するコドン、
例えばAsnに対応するコドン(AAC)が、これと縮
重関係にあるコドン例えばAATに変わったものを、縮
重異性体と呼ぶこととする。
ロトランスポゾンTos17が培養によって活性化され
転移をする性質を利用して作出されたイネの遺伝子破壊
系統の、塩ストレスに対して感受性の高い変異体の発見
から出発して、このTos17を目印としてイネゲノム
DNAから単離されたものである。従って、1つの実施
形態では、本発明のポリヌクレオチドは、イネに由来す
る。
よりコードされたタンパク質のフラグメントおよび改変
体もまた、本発明により包含される。「フラグメント」
によって、ヌクレオチド配列の一部またはアミノ酸配列
の一部、従って、それによってコードされるタンパク質
もまた意図される。ヌクレオチド配列のフラグメント
は、ネイティブタンパク質の機能的な生物学的活性の1
つ以上を保持するタンパク質フラグメントをコードし得
る。
れるタンパク質の改変体とは、このタンパク質のN末端
および/またはC末端に対する1つ以上のアミノ酸の欠
失(いわゆる短縮化)または付加;このタンパク質中の
1つ以上の部位のアミノ酸の欠失または付加;あるいは
このタンパク質中の1つ以上の部位のアミノ酸の置換に
よりネイティブタンパク質から誘導されたタンパク質を
意図する。このような改変体は、例えば、遺伝的多型ま
たは人為操作から生じ得る。
れるタンパク質は、種々の方法(アミノ酸置換、欠失、
短縮化、および挿入を包含する)で変化され得る。この
ような操作のための方法は、一般に、当該分野で公知で
ある。例えば、本発明のストレス耐性を制御し得る植物
遺伝子によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列改
変体は、DNAにおける変異生成によって調製され得
る。変異誘発およびヌクレオチド配列改変のための方法
は、当該分野で周知である。例えば、Kunkel(1
985)Proc.Natl.Acad.Sci.US
A 82:488−492;Kunkelら(198
7)Methods in Enzymol.154:
367−382;米国特許第4,873,192号;W
alkerおよびGaastra編(1983)Tec
hniques in Molecular Biol
ogy (MacMillian Publishin
g Company、New York)およびその中
で引用されている参考文献を参照のこと。目的のタンパ
ク質の生物学的活性に影響しない適当なアミノ酸置換に
関する指針は、Dayhoffら(1987)Atla
s of Protein Sequence and
Structure(Natl.Biomed.Re
s.Found.Washington、D.C.、こ
れは、参考として本明細書中に援用される)のモデルに
見出され得る。保存的置換(例えば、1つのアミノ酸を
同様の特性を有する別のものと交換する置換)が好まし
いとされ得る。このような置換としては、疎水性アミノ
酸(Ala、Ile、Leu、Met、Phe、Pr
o、Trp、Tyr、Val);親水性アミノ酸(Ar
g、Asp、Asn、Cys、Glu、Gln、Gl
y、His、Lys、Ser、Thr);脂肪族側鎖を
有するアミノ酸(Gly、Ala、Val、Leu、I
le、Pro);水酸基含有側鎖を有するアミノ酸(S
er、Thr、Tyr);硫黄原子含有側鎖を有するア
ミノ酸(Cys、Met);カルボン酸およびアミド含
有側鎖を有するアミノ酸(Asp、Asn、Glu、G
ln);塩基含有側鎖を有するアミノ酸(Arg、Ly
s、His);芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(Hi
s、Phe、Tyr、Trp)同士の置換が挙げられ
る。
よび/もしくは付加された」とは、遺伝的多型または人
為操作(上述したような周知の方法を含む)によって置
換、欠失および/もしくは付加され得る程度の数のアミ
ノ酸が置換、欠失および/もしくは付加され得ることを
意味する。「1もしくは数個が欠失、置換および/もし
くは付加された」とは、本発明のポリヌクレオチドによ
りコードされるタンパク質が有する機能を発現し得る限
り、上記アミノ酸配列においていかなる数のアミノ酸が
欠失、付加、および/もしくは置換されていてもよい。
アミノ酸の置換、欠失および/もしくは付加のような改
変が活性に与える影響は、改変されるアミノ酸の位置、
程度、種類などに依存し得ることは当業者には明らかで
ある。本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリヌク
レオチドによりコードされるタンパク質が有する機能を
発現し得る限り、例えば、上記アミノ酸配列の全長にお
いて、以下のアミノ酸配列同一性を満たす個数で欠失、
置換および/もしくは付加され得る。
伝子をコードするポリヌクレオチドは、植物において塩
ストレス耐性を制御し得る限り、配列表の配列番号2の
1位のMetから243位のAsnまでのアミノ酸配列
と、少なくとも60%の配列同一性、好ましくは少なく
とも65%、より好ましくは少なくとも70%、さらに
より好ましくは少なくとも75%、なおより好ましくは
少なくとも80%、なおより好ましくは少なくとも90
%、なおより好ましくは少なくとも95%、最も好まし
くは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配
列をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチ
ドを包含する。
伝子をコードするポリヌクレオチドは、植物において塩
ストレス耐性を制御し得る限り、配列表の配列番号2の
1位のMetから243位のAsnまでのアミノ酸配列
をコードするヌクレオチド配列(好ましくは、配列番号
1の233位のAから961位のCまでに示されるヌク
レオチド配列)と、少なくとも70%、好ましくは少な
くとも75%、より好ましくは少なくとも80%の配列
同一性、なおより好ましくは少なくとも85%の配列同
一性、さらにより好ましくは少なくとも90%の配列同
一性、さらになおより好ましくは少なくとも95%の配
列同一性、最も好ましくは少なくとも99%の配列同一
性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを
包含する。
列」とは、配列比較の基準として使用される規定の配列
である。参照配列は、記載された配列のサブセットまた
は全体であり得る;例えば、全長cDNAもしくは遺伝
子配列のセグメント、または完全DNAもしくは遺伝子
配列としてである。
ンドウ」は、ポリヌクレオチド配列の連続しかつ特定化
されたセグメントについて言及し、ここで比較ウィンド
ウにおけるポリヌクレオチド配列は、2つの配列の最適
なアラインメントのために、参照配列(これは、付加ま
たは欠失を含まない)と比較して、付加または欠失(す
なわち、ギャップ)を含み得る。一般的に、比較ウィン
ドウは、少なくとも20の連続するヌクレオチド長であ
り、そして必要に応じて、30、40、50、100以
上の長さであり得る。当業者は、ポリヌクレオチド配列
中にギャップを含むことにより、参照配列に対して高い
類似性となることを避けるために、典型的には、ギャッ
プペナルティーを導入し、そしてこれを、一致の数から
差し引くことを理解する。
は、当該分野において周知である。参照配列(本発明の
配列)と対象配列との間の最適な全体の整合を決定する
ための好ましい方法として、BLAST(Altshu
lら、1997、Nucleic Acids Re
s.、25、3389−3402)を利用した相同性解
析が用いられる。配列整列において、参照配列および対
象配列は、両方ともDNA配列である。RNA配列は、
UをTに変換することによって比較され得る。上記の全
体的配列整列の結果が、同一性%である。配列アライン
メントは、上記のプログラムのデフォルトのパラメータ
ーを使用して行われ得る。
配列またはポリペプチド配列の文脈において「配列同一
性」または「同一性」は、特定化された比較ウインドウ
にわたって最大に一致するように整列された場合に同一
である2つの配列中の残基に対して言及される。タンパ
ク質に関して配列同一性%が使用される場合、しばし
ば、保存的アミノ酸置換によって、同一ではない残基位
置は異なることが理解される。上述したように、保存的
アミノ酸置換では、アミノ酸残基が、類似の化学的特性
(例えば、電荷または疎水性)を有する他のアミノ酸残
基で置換されるため、分子の機能的特性を変化させな
い。配列が保存的置換において異なる場合、配列同一性
パーセントは、置換の保存的性質について矯正するよう
に上方に調整され得る。このような保存的置換によって
異なる配列は、「配列類似性」または「類似性」を有す
るといわれる。この調整をするための手段は、当業者に
は周知である。代表的には、これは、完全なミスマッチ
ではなく、部分的なものとして保存性置換を点数付けす
ることを含み、それによって配列同一性パーセントを増
加させる。従って、例えば、同一のアミノ酸が1のスコ
アを与えられ、そして非保存的置換が0のスコアを与え
られる場合、保存的置換は、0と1との間のスコアを与
えられる。保存的置換の点数付けは、例えば、プログラ
ムPC/GENE(Intelligenetics,
Mountain View,California)
において実行されるように計算される。
性%」は、比較ウィンドウにわたって最適にアラインさ
れた2つの配列を比較することによって決定された値を
意味し、ここで比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチ
ド配列の一部は、2つの配列の最適なアラインメントの
ために、参照配列(これは、付加または欠失を含まな
い)と比較して、付加または欠失(すなわち、ギャッ
プ)を含み得る。この割合(%)は、同一の核酸塩基ま
たはアミノ酸残基が両方の配列に存在して一致した位置
の数を生じる、位置の数を決定すること、一致した位置
の数を比較ウィンドウ中の位置の総数で除算すること、
およびその結果に100をかけて配列同一性のパーセン
テージを得ることによって計算される。
性」は、ポリヌクレオチドが、標準的なパラメーターを
使用して、記載されるアラインメントプログラムの1つ
を用いて参照配列と比較して、少なくとも70%、好ま
しくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも9
0%、および最も好ましくは少なくとも95%の配列同
一性を有する配列を含むことを意味する。当業者は、コ
ドンの縮重、アミノ酸の類似性、リーディングフレーム
の位置などを考慮に入れることによって、2つのヌクレ
オチド配列によってコードされるタンパク質の対応する
同一性を決定するために、これらの値が適切に調整され
得ることを理解する。これらのために、アミノ酸配列の
実質的な同一性は、通常、少なくとも60%、より好ま
しくは少なくとも70%、80%、90%、および最も
好ましくは少なくとも95%の配列同一性を意味する。
性」は、ペプチドが、特定化された比較ウィンドウにわ
たって、参照配列に対して、少なくとも70%の配列同
一性、好ましくは80%、より好ましくは85%、最も
好ましくは少なくとも90%または95%の配列同一性
を有する配列を含むことである。好ましくは、最適なア
ラインメントは、Needlemanら(1970)
J.Mol.Biol.48:443の相同性アライン
メントアルゴリズムを使用して行われる。例えば、2つ
のペプチドが保存的置換によってのみ異なる場合に、ペ
プチドは、第2のペプチドと実質的に同一である。「実
質的に類似の」ペプチドは、同一ではない残基の位置が
保存的アミノ酸変化によって異なり得るということ以外
は、上記に示したような配列を共有する。
ク質の生物学的に活性な部分をコードする、塩ストレス
耐性を制御する植物遺伝子ヌクレオチド配列のフラグメ
ントは、少なくとも15、25、30、50、100、
125、150、175、200、225の連続するア
ミノ酸、または本発明の全長タンパク質に存在するアミ
ノ酸の総数まで(例えば、配列番号2の243アミノ
酸)をコードする。PCRプライマーについてハイブリ
ダイゼーションプローブとして用いるための、塩ストレ
ス耐性を制御する植物遺伝子ヌクレオチド配列のフラグ
メントは、一般に、塩ストレス耐性を制御するタンパク
質の生物学的に活性な部分をコードする必要はない。
耐性を制御する植物遺伝子をコードするポリヌクレオチ
ドもまた、本願発明の範囲内に含まれ得る。そのような
ポリヌクレオチドは、例えば、開示された全長または一
部のヌクレオチド配列に基づいて設計したプライマーを
用いて、選択した植物のゲノミックDNAを鋳型として
PCRを行い、その後、得られた増幅DNA断片をプロ
ーブとして用いて同じ植物のゲノミックDNAまたはc
DNAライブラリーをスクリーニングすることにより単
離され得る。このようにして、PCR、ハイブリダイゼ
ーションなどのような方法が、本明細書中に記載の配列
に対するそれらの配列同一性に基づいてこのような配列
を同定するために使用され得る。本明細書中に記載の配
列全体に対する、またはそれらのフラグメントに対す
る、それらの配列同一性に基づいて単離された配列は、
本発明によって包含される。
知のヌクレオチド配列の全てまたは部分が、選択された
生物由来のクローン化されたゲノムDNAフラグメント
またはcDNAフラグメントの集団(すなわち、ゲノム
ライブラリーまたはcDNAライブラリー)中に存在す
る他の対応するヌクレオチド配列に選択的にハイブリダ
イズするプローブとして使用される。このハイブリダイ
ゼーションプローブは、ゲノムDNAフラグメント、c
DNAフラグメント、RNAフラグメント、または他の
オリゴヌクレオチドであり得、そして検出可能な基(例
えば、32P)または任意の他の検出可能なマーカーで標
識化され得る。従って、例えば、ハイブリダイゼーショ
ンのためのプローブは、本発明の塩ストレス耐性を制御
する植物遺伝子のヌクレオチド配列に基づいて合成オリ
ゴヌクレオチドを標識することによって作製され得る。
ハイブリダイゼーションおよびcDNAライブラリーお
よびゲノムライブラリーの構築のためのプローブの調製
のための方法は、一般に、当該分野で公知であり、そし
てSambrookら(1989)Molecular
Cloning:A Laboratory Man
ual(第2版、Cold Spring Harbo
r Laboratory Press、Plainv
iew、New York、(これは、本明細書中に参
考として援用される))において開示される。
ス耐性を制御する植物遺伝子をコードするヌクレオチド
配列全体、またはそれらの1つ以上の部分が、対応する
塩ストレス耐性を制御する植物遺伝子配列およびメッセ
ンジャーRNAに特異的にハイブリダイズし得るプロー
ブとして使用され得る。種々の条件下で特異的なハイブ
リダイゼーションを達成するために、このようなプロー
ブは、塩ストレス耐性を制御する植物遺伝子配列間で独
特であり、そして好ましくは少なくとも約10ヌクレオ
チド長、最も好ましくは少なくとも約20ヌクレオチド
長である配列を包含する。このようなプローブは、選択
された生物から対応する塩ストレス耐性を制御する植物
遺伝子配列をPCRによって増幅するために使用され得
る。PCR増幅の方法は、当該分野で周知である(PC
R Technology: Principles
and Applications for DNA
Amplification、HA Erlich編、
Freeman Press、NewYork、NY
(1992);PCR Protocols: AGu
ide to Methods and Applic
ations、Innis、Gelfland、Sni
sky、およびWhite編、Academic Pr
ess、San Diego、CA(1990);Ma
ttilaら(1991) Nucleic Acid
s Res. 19: 4967;Eckert、K.
A.およびKunkel、T.A.(1991)PCR
Methods and Applications
1: 17;PCR、McPherson、Quir
kes、およびTaylor、IRL Press、O
xford、これらは、本明細書中で参考として援用す
る)。この技術は、所望の生物からさらなるコード配列
を単離するために、または生物中のコード配列の存在を
決定するための診断アッセイとして使用され得る。ハイ
ブリダイゼーション技術は、プレート化したDNAライ
ブラリーのハイブリダイゼーションスクリーニングを包
含する(プラークまたはコロニーのいずれか;例えば、
Sambrookら(1989)Molecular
Cloning:A Laboratory Manu
al(第2版、Cold Spring Harbor
Laboratory Press 、Plainv
iew、New York)を参照のこと)。
は、ストリンジェントな条件下で実施され得る。「スト
リンジェントな条件」または「ストリンジェントなハイ
ブリダイゼーション条件」とは、プローブが、他の配列
に対するよりも、検出可能により大きな程度(例えば、
バックグラウンドよりも少なくとも2倍)で、その標的
配列に対してハイブリダイズする条件を意図する。スト
リンジェントな条件は配列依存性であり、そして異なる
環境下で異なる。ハイブリダイゼーションおよび/また
は洗浄条件のストリンジェンシーを制御することによ
り、プローブに対して100%相補的である標的配列が
同定され得る。あるいは、ストリンジェンシー条件は、
より低い程度の類似性が検出され得るように、配列中に
いくらかミスマッチとなることが可能になるように調整
され得る。一般に、プローブは、約1000ヌクレオチ
ド長未満であり、好ましくは500ヌクレオチド長未満
である。
塩濃度が約1.5M Naイオン未満であり、代表的に
は約0.01〜1.0M Naイオン濃度(または他の
塩)(pH7.0から8.3)であり、そして温度が、
短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)につ
いては少なくとも約30℃であり、そして長いプローブ
(例えば、50ヌクレオチドより大きい)については少
なくとも約60℃である条件である。ストリンジェント
な条件はまた、脱安定剤(例えば、ホルムアミド)の添
加によって達成され得る。ストリンジェントな条件とし
て、例えば、30〜35%ホルムアミド、1M NaC
l、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の緩衝溶液
を用いる37℃でのハイブリダイゼーション、および1
×から2×のSSC(20×SSC=3.0M NaC
l/0.3Mクエン酸三ナトリウム)を用いる50〜5
5℃での洗浄が挙げられる。よりストリンジェントな条
件としては、例えば、40〜45%ホルムアミド、1.
0M NaCl、1%SDS中での37℃でのハイブリ
ダイゼーション、および0.5×から1×のSSCを用
いる55〜60℃での洗浄が挙げられる。さらによりス
トリンジェントな条件としては、例えば、50%ホルム
アミド、1M NaCl、1%SDS中での37℃での
ハイブリダイゼーション、および0.1×のSSCを用
いる60〜65℃での洗浄が挙げられる。
ション後の洗浄の関数であり、決定的な要因は、最終洗
浄溶液のイオン強度および温度である。DNA−DNA
ハイブリッドについては、Tmは、Meinkothお
よびWahl(1984)Anal.Biochem.
138:267−284の式:Tm=81.5℃+1
6.6(logM)+0.41(%GC)−0.61
(%form)−500/Lから概算され得;ここでM
は、1価カチオンのモル濃度であり、%GCは、DNA
中のグアノシンヌクレオチドおよびシトシンヌクレオチ
ドのパーセンテージであり、%formは、ハイブリダ
イゼーション溶液中のホルムアミドのパーセンテージで
あり、そしてLは、塩基対中のハイブリッドの長さであ
る。Tmは、相補的な標的配列の50%が完全に一致す
るプローブにハイブリダイズする温度(規定されたイオ
ン強度およびpHで)である。Tmは、1%のミスマッ
チにつき約1℃低下する;従って、Tm、ハイブリダイ
ゼーション、および/または洗浄条件は、所望の同一性
の配列にハイブリダイズするために調整され得る。例え
ば、90%以上の同一性を有する配列が求められる場
合、Tmは、10低下し得る。一般的に、ストリンジェ
ントな条件は、規定されたイオン強度およびpHでの特
定の配列およびその相補物に対する熱融点(Tm)より
も約5℃低く選択される。しかし、厳しいストリンジェ
ントな条件は、熱融点(Tm)よりも1、2、3、また
は4℃低いハイブリダイゼーションおよび/または洗浄
を利用し得;中程度のストリンジェントな条件は、熱融
点(Tm)よりも6、7、8、9、または10℃低いハ
イブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用し得;
低いストリンジェントな条件は、熱融点(Tm)よりも
11、12、13、14、15、または20℃低いハイ
ブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用し得る。
この式、ハイブリダイゼーションおよび洗浄組成物、な
らびに所望されるTmを使用して、当業者は、ハイブリ
ダイゼーションのストリンジェンシーおよび/または洗
浄溶液におけるバリエーションが固有に記載されること
を理解する。所望されるミスマッチの程度が45℃(水
溶液)または32℃(ホルムアミド溶液)よりも低いT
mを生じる場合、より高い温度が使用され得るようにS
SC濃度を増加させることが好ましい。核酸のハイブリ
ダイゼーションについての広範なガイドは、Tijss
en(1993)Laboratory Techni
ques in Biochemistry and
Molecular Biology−Hybridi
zation with Nucleic AcidP
robes、第1部、第2章(Elsevier,Ne
w York);およびAusubelら編(199
5)Current Protocols in Mo
lecular Biology、第2章(Green
e Publishing and Wiley−In
terscience,New York)に見出され
る。Sambrookら(1989)Molecula
r Cloning:A Laboratory Ma
nual(第2版、Cold Spring Harb
or Laboratory Press,Plain
view,New York)を参照のこと(これらは
本明細書中に参考として援用される)。
公知のヌクレオチド配列解析法または市販されている自
動シーケンサーにより決定し得る。
は、本明細書に記載の方法に従って得られるが、本発明
に開示された配列を基に、化学合成によっても得られ得
る。例えば、本発明のポリヌクレオチドは、例えば、A
pplied BioSystems社(現Perki
n Elmer社)により市販されるポリヌクレオチド
合成機を用いて製造業者によって提供される仕様書に従
って合成され得る。
レオチドは、塩ストレスの感受性および浸透圧ストレス
の感受性を決定することが、以下の実施例において実証
されたように、明らかである。植物の塩ストレスに対す
る応答は、乾燥、高浸透圧、低温などの環境ストレスと
重複した応答を示し得ることが知られている(蛋白質核
酸 酵素(1999)Vol.44、2147−214
8/2188−2198;Curr.Opinion.
Plant.Biol.(2001)vol.4 24
1−246;Curr.Opinion.Plant.
Biol.(2000)vol.3 217−223;
TRENDS in Plant Science(2
001)Vol.6 66−71)。本発明のポリヌク
レオチドは、乾燥または低温によるストレスにも関与し
ている可能性が高い。本発明のポリヌクレオチドがその
機能を発揮する場合、植物は、ストレス条件下でも通常
の生育を示すか、または生育に有害な影響を及ぼされな
い。しかし、本発明のポリヌクレオチドが何らかの理由
によって機能が働かない場合、ストレス条件下に置かれ
た植物に生育阻害をもたらし得る。
化学合成手法のような手順に従って生成されたポリヌク
レオチドが、所望の活性、すなわち塩ストレス耐性を制
御する作用、を有することを、以下のようにして確認し
得る。すなわち、得られたポリヌクレオチドを、塩スト
レス感受性植物(例えば、下述の実施例1により得られ
たND1004(−/−)系統)に当該分野で周知の技
術を用いて導入して、塩ストレス耐性が回復されること
により、所望の活性、すなわち塩ストレス耐性を制御す
る作用、を有することを、確認し得る。塩ストレス耐性
を制御する作用を有することは、以下の実施例5に記載
の手順と実質的に同様の手順によって確認し得る。例え
ば、ポリヌクレオチドは、ND1004(−/−)系統
に導入されたとき、上記手順において、下述の実施例5
に記載されるような野生型植物と実質的に同等の程度の
塩ストレス耐性を示すと、塩ストレス耐性を制御する作
用を有することが確認される。「野生型植物と実質的に
同等の程度の塩ストレス耐性を示す」とは、塩ストレス
条件下および塩ストレスを与えない条件下で、当該ポリ
ヌクレオチドが導入された植物の生長において、実施例
5に示されるように、顕著な差異が見られないものであ
り得る。なお、ここでの「塩ストレス条件」とは、上述
した中低濃度(例えば、50〜300mM、好ましく
は、100〜150mM)の塩類濃度が含まれる栽培媒
体(例えば、土壌、植物の栽培が可能な培地(固形また
は液状)など)上で生育される条件であり得る。
ストレスおよび浸透圧ストレスを含む上述のようなスト
レスに対する植物の感受性を操作する、またはこのスト
レスに対する感受性の異なる植物を選抜する(例えば、
本配列のポリヌクレオチドの全体または一部に基づくプ
ローブまたはプライマーを使用して、種々の植物系統を
スクリーニングすることにより)ために使用され得る。
たストレスに対する耐性を強化した植物を作出するため
に使用され得る。この植物が農業的に有用であれば、な
お好ましい。このようなストレス耐性植物の開発は、環
境ストレスによる農業上の被害の軽減のみならず、栽培
可能面積の拡大による作物の増収、環境の保全のよう
な、有益な効果をもたらすことが期待される。
または改変されて、当業者に周知の方法を用いて、適切
な植物発現ベクターに連結され、公知の遺伝子組換え技
術により、植物細胞に導入され得る。導入された遺伝子
は、植物細胞中のDNAに組み込まれて存在する。な
お、植物細胞中のDNAとは、染色体のみならず、植物
細胞中に含まれる各種オルガネラ(例えば、ミトコンド
リア、葉緑体など)に含まれるDNAを含む。
の発現を調節するプロモーターなどの種々の調節エレメ
ントが宿主植物の細胞中で作動可能に連結されている核
酸配列をいう。本願明細書で用いる用語「制御配列」
は、機能的プロモーターおよび、任意の関連する転写要
素(例えば、エンハンサー、CCAATボックス、TA
TAボックス、SPI部位など)を有するDNA配列を
いう。本願明細書で用いる用語「作動可能に連結」は、
遺伝子が発現し得るように、ポリヌクレオチドが、その
発現を調節するプロモーター、エンハンサー等の種々の
調節エレメントとが宿主細胞中で作動し得る状態で連結
されることをいう。植物発現ベクターは、好適には、植
物遺伝子プロモーター、ターミネーター、薬剤耐性遺伝
子、およびエンハンサーを含み得る。発現ベクターのタ
イプおよび使用される調節エレメントの種類が、宿主細
胞に応じて変わり得ることは、当業者に周知の事項であ
る。本発明に用いる植物発現ベクターは、さらにT−D
NA領域を有し得る。T−DNA領域は、特にアグロバ
クテリウムを用いて植物を形質転換する場合に遺伝子の
導入の効率を高める。
現するプロモーターを意味する。再生植物のすべての組
織において、本発明のポリヌクレオチドの発現を指向さ
せる植物プロモーターフラグメントを採用し得る。構成
的に発現させるためのプロモーターとしては、例えば、
ノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター(Langri
dge,1985,Plant Cell Rep.
4,355)、カリフラワーモザイクウイルス19S−
RNAを生じるプロモーター(Guilley,198
2,Cell 30,763)、カリフラワーモザイク
ウイルス35S−RNAを生じるプロモーター(Ode
ll,1985,Nature 313,810)、イ
ネのアクチンプロモーター(Zhang,1991,P
lantCell 3,1155)、トウモロコシユビ
キチンプロモーター(Cornejo 1993,Pl
ant Mol.Biol.23,567)、REXφ
プロモ−タ−(Mitsuhara,1996,Pla
nt Cell Physiol.37,49)などを
用いることができる。
において本発明のポリヌクレオチドの発現を指向させ得
るか、またはそうでなければ、より特異的な環境または
発達の制御下にあり得る。このようなプロモーターは、
本明細書では、「誘導可能な」プロモーターと称する。
誘導可能なプロモーターとしては、例えば、光、低温、
高温、乾燥、紫外線の照射、特定の化合物の散布などの
外因によって発現することが知られているプロモーター
などが挙げられる。この様なプロモーターとしては、例
えば、光照射によって発現するリブロース−1,5−2
リン酸カルボキシラーゼ小サブユニットをコードする遺
伝子のプロモーター(Fluhr,1986,Pro.
Natl.Acad.Sci.USA 83,235
8)、低温によって誘導されるイネのlip19遺伝子
のプロモーター(Aguan,1993,Mol.Ge
n.Genet.240,1)、高温によって誘導され
るイネのhsp72、hsp80遺伝子のプロモーター
(Van Breusegem,1994,Plant
a 193,57)、乾燥によって誘導されるシロイヌ
ナズナのrab16遺伝子のプロモーター(Nund
y,1990,Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA 87,1406)、紫外線の照射によって
誘導されるトウモロコシのアルコールデヒドロゲナーゼ
遺伝子のプロモーター(Schulze−Lefer
t,1989,EMBO J.8,651)などが挙げ
られる。また、rab16遺伝子のプロモーターは植物
ホルモンのアブシジン酸の散布によっても誘導される。
質をコードする領域の下流に位置し、DNAがmRNA
に転写される際の転写の終結、およびポリA配列の付加
に関与する配列である。ターミネーターは、mRNAの
安定性に寄与し、そして遺伝子の発現量に影響を及ぼす
ことが知られている。ターミネーターの例としては、C
aMV35Sターミネーター、およびノパリン合成酵素
遺伝子のターミネーター(Tnos)が挙げられるが、
これらに限定されない。
抜を容易にするものであることが望ましい。カナマイシ
ン耐性を付与するためのネオマイシンフォスフォトラン
スフェラーゼII(NPTII)遺伝子、およびハイグ
ロマイシン耐性を付与するためのハイグロマイシンフォ
スフォトランスフェラーゼ遺伝子などが好適に用いられ
得るが、これらに限定されない。
率を高めるために用いられ得る。エンハンサーとして
は、CaMV35Sプロモーター内の上流側の配列を含
むエンハンサー領域が好適である。エンハンサーは、1
つの植物発現ベクターあたり複数個用いられ得る。
に周知の遺伝子組換え技術を用いて作製され得る。植物
発現ベクターの構築には、例えば、pBI系のベクター
またはpUC系のベクターが好適に用いられるが、これ
らに限定されない。
入法などに応じて、葉、茎、根、塊茎、プロトプラス
ト、カルス、花粉、種子胚、苗条原基などから適当なも
のを選択することができる。「植物細胞」とは、任意の
植物細胞であり得る。「植物細胞」の例としては、葉お
よび根などの植物器官の細胞、カルスならびに懸濁培養
細胞が挙げられる。植物細胞は、培養細胞、培養組織、
培養器官、または植物体のいずれの形態であってもよ
い。好ましくは、培養細胞、培養組織、または培養器官
であり、より好ましくは培養細胞である。
する場合、材料としてプロトプラストが用いられ、エレ
クトロポーレーション法、ポリエチレングリコール法な
どの物理・化学的方法によってDNAの導入が行われる
のに対して、植物組織へDNAを導入する場合、材料と
しては葉、茎、根、塊茎、カルス、花粉、種子胚、苗条
原基など、好ましくは葉、茎、カルスが用いられ、ウイ
ルスもしくはアグロバクテリウムを用いた生物学的方
法、またはパーティクルガン法などの物理・化学的方法
によってDNAの導入が行われる。アグロバクテリウム
を介する方法としては、例えば、Nagelらの方法
(Microbiol.Lett.,67,325(1
990))が用いられ得る。この方法は、まず、植物発
現ベクターで(例えば、エレクトロポレーションによっ
て)アグロバクテリウムを形質転換し、次いで、形質転
換されたアグロバクテリウムをリーフディスク法などの
周知の方法により植物組織に導入する方法である。これ
らの方法は、当該分野において周知であり、形質転換す
る植物に適した方法が、当業者により適宜選択され得
る。
えば、カナマイシン耐性などの薬剤耐性を基準として選
択される。選択された細胞は、常法により植物体に再生
され得る。
物細胞から植物を再生させるには、このような植物細胞
を、再分化培地、ホルモンフリーのMS培地などに培養
すればよい。発根した幼植物体は、土壌に移植して栽培
することにより植物体とすることができる。再生(再分
化)の方法は植物細胞の種類により異なる。様々な文献
にイネ(Fujimura,1995,Plant T
issue Culture Lett.2,74)、
トウモロコシ(Shillito,1989,Bio/
Technol.7,581、Gorden−Kam
m,1990,Plant Cell 2,603)、
ジャガイモ(Visser,1989,Theor.A
ppl.Genet.78,594)、タバコ(Nag
ata,1971,Planta 99,12)など各
種の植物に対しての再分化の方法が記載されている。
の手法を用いて、導入された本発明の遺伝子の発現を確
認し得る。この確認は、例えば、ノーザンブロット解析
を用いて行い得る。具体的には、植物の葉から全RNA
を抽出し、変性アガロースでの電気泳動の後、適切なメ
ンブランにブロットする。このブロットに、導入遺伝子
の一部分と相補的な標識したRNAプローブをハイブリ
ダイズさせることにより、本発明の遺伝子のmRNAを
検出し得る。
換され得る植物は、遺伝子導入の可能ないずれの植物を
も包含する。「植物」は、単子葉植物および双子葉植物
の両方を包含する。このような植物には、任意の有用植
物、特に作物植物、蔬菜植物、および花卉植物が含まれ
る。好ましくは、イネ、トウモロコシ、モロコシ、オオ
ムギ、コムギ、ライムギ、ヒエ、アワ、アスパラガス、
ジャガイモ、ダイコン、ダイズ、エンドウ、ナタネ、ホ
ウレンソウ、トマト、ペチュニアなどが挙げられるが、
これらに限定されない。本発明が適用される最も好まし
い植物は、イネであり、特に、ジャポニカイネである。
は、ナス科、イネ科、アブラナ科、バラ科、マメ科、ウ
リ科、シソ科、ユリ科、アカザ科、セリ科の植物が挙げ
られる。
ana、Solanum、Datura、Lycope
rsion、またはPetuniaに属する植物が挙げ
られ、例えば、タバコ、ナス、ジャガイモ、トマト、ト
ウガラシ、ペチュニアなどを含む。
Hordenum、Secale、Scccharu
m、Echinochloa、またはZeaに属する植
物が挙げられ、例えば、イネ、オオムギ、ライムギ、ヒ
エ、モロコシ、トウモロコシなどを含む。
anus、Brassica、Arabidopsi
s、Wasabia、またはCapsellaに属する
植物が挙げられ、例えば、大根、アブラナ、シロイヌナ
ズナ、ワサビ、ナズナなどを含む。
s、Malus、Pynus、Fragaria、また
はRosaに属する植物が挙げられ、例えば、ウメ、モ
モ、リンゴ、ナシ、オランダイチゴ、バラなどを含む。
e、Vigna、Phaseolus、Pisum、V
icia、Arachis、Trifolium、Al
phalfa、またはMedicagoに属する植物が
挙げられ、例えば、ダイズ、アズキ、インゲンマメ、エ
ンドウ、ソラマメ、ラッカセイ、クローバ、ウマゴヤシ
などを含む。
Cucurbita、またはCucumisに属する植
物が挙げられ、例えば、ヘチマ、カボチャ、キュウリ、
メロンなどを含む。
ula、Mentha、またはPerillaに属する
植物が挙げられ、例えば、ラベンダー、ハッカ、シソな
どを含む。
ium、Lilium、またはTulipaに属する植
物が挙げられ、例えば、ネギ、ニンニク、ユリ、チュー
リップなどを含む。
ciaに属する植物が挙げられ、例えば、ホウレンソウ
を含む。
ca、Daucus、Cryptotaenia、また
はApitumに属する植物が挙げられ、例えば、シシ
ウド、ニンジン、ミツバ、セロリなどを含む。
び以下で記載される実験室手順は、当該分野で周知で一
般的に用いられる手順を使用する。標準的な技術は、組
換え法、ポリヌクレオチド合成、ならびに細胞培養につ
いて使用される。この技術および手順は、一般的に、当
該分野、およびこの書類を通じて提供される種々の一般
的な参考文献(一般的には、Sambrookら、Mo
lecular Cloning: A Labora
tory Manual、第2版(1989)Cold
Spring Harbor Laboratory
Press、Cold Spring Harbo
r、N.Y.を参照。これらは、本明細書中で参考とし
て援用される)。
本発明はこれに限定されない。実施例で使用した材料、
試薬などは、他に特定のない限り、商業的な供給源から
入手可能である。
および得られた変異体の特徴付け)ジヤポニカ種の品種
「日本晴」、「ひとめぼれ」などの完熟種子を出発材料
に用い、先に記載のように(Hirochikaら、1
996、Proc.Natl.Acad.Sci.US
A、93、7783−7788)(前述)、カルス開始
培養および細胞懸濁培養を行った。遺伝子破壊を行うた
めに使用したTos17を活性化するための培養条件
は、大槻(1990)の方法(イネ・プロトプラスト培
養系、農林水産技術情報協会)の方法に従った。
クロロフェノキシ酢酸(2,4−D)を添加したMS培
地(大槻(1990)、前述)で培養し(25℃、1ケ
月間)、カルス誘導を行った。得られたカルスを、2,
4−Dを添加したN6液体培地(大槻(1990)、前
述)で5ヶ月間培養したのち、再分化培地(大槻(19
90)、前述)に移し再分化イネ(第1世代(R1)植
物)を得た。
ぞれの株から約20のR1種子を回収した。この種子
を、1.0%の次亜塩素酸ナトリウムで殺菌し、十分洗
浄した後、25℃で24時間水中に浸した。次いで、種
子を、塩ストレス条件下の150mMの塩化ナトリウム
を含むMS固形培地(MurashigeおよびSko
og、1962、Physiol.Plant.、1
5、473−497に記載)に植え、第2世代(R2)
植物を得て形態分析を行った。R2集団の各植物の表現
型を発芽後3〜4週間にわたり注意深く観察した結果、
ND1004(品種日本晴)株のR2集団の中に、塩ス
トレス条件下で、野生型のND1004に比較して、地
上部および根の激しい生育阻害(図1のAの最も左以外
の幼苗)、および根の著しい分岐(図1のBの右側の幼
苗)を示す変異体が見出された。一方、野生型のND1
004は、塩ストレス条件下においても顕著な生育の阻
害を示さなかった(図1のAの最も左の幼苗;図1のB
の左側の幼苗)。
表現型の発現は、Tos17の転移による遺伝子破壊に
より生じた可能性が考えられる。
離)実施例1で見られたような表現型を支配する遺伝子
を突き止めるために、ゲノムDNA中に転移されたTo
s17の隣接配列を単離した。
4株)からCTAB法(MurrayおよびThomp
son、1980、Nucleic Acids Re
s.8、4321−4325)によりDNAを調製し
た。Tos17標的部位配列の増幅は、先に記載のよう
に(Hirochikaら、1996、前述;Sugi
motoら、1994、Plant J.、5、863
−871)、総DNAを用いる逆PCRにより実施し
た。
るTos17が転移挿入された標的部位を持つ変異植物
(ND1004−/−株)からの総DNAの約0.5μ
gを、XbaIで消化した。消化したDNAをフェノー
ル/クロロホルム抽出、次いでエタノール沈澱により精
製し、そしてT4DNAリガーゼを用いることにより、
12℃で総容量300μlで一晩連結した。連結された
DNAを精製し、その3分の1量をPCRの鋳型として
用いた。以下に示すプライマーを用いるPCRにより増
幅反応を行った:Tos17−3911F、GAGAG
CATCATCGGTTACATCTTCTCおよびT
os17−xbaI−R、CATGAAATAGATC
CATGTATATCT。逆PCR産物をpCR2.1
−TOPOベクター(Invitrogen社)中にク
ローニングし、シークエンサー(ABI社、モデル31
0)を用いて配列を決定した。この配列を基にして設計
した、プライマー0F、GCCATCACAAATCA
GCAAGCおよびプライマー3R、ATGGATTG
AAGGCCAAGCCACを用いて、組織培養を行わ
ない通常植物の総DNAを鋳型とした逆PCRを行い、
Tos17の挿入の標的部位を増幅した。上記と同様に
して、塩基配列を決定した。
析)土壌で11日間生育させた野生型イネ(日本晴)の
幼苗から以下のようにRNAを調製した。まず、ISO
GEN溶液を用いて幼苗から総RNAを抽出した。mR
NA精製キット(Stratagene)に含まれるオ
リゴ(dT)セルロースカラムを用いて、総RNAから
ポリ(A)mRNAを得た。得られたポリ(A)mRN
Aから常法に従いcDNAを合成し、cDNAライブラ
リーをHybriZAP−2.1ベクター(Strat
agene)中に構築した。このcDNAライブラリー
は、5×105プラークの感染能力を持つ。陽性のcD
NA挿入片を含むpBluescriptプラスミドの
インビボ切除は、Escherichia coli
XL1−Blue MRF2株で行った。
ular Cloning、A Laboratory
Manual(Sambrookら、1989)に記
載の方法に従って、実施例2で得たTos17が転移し
た隣接配列の逆PCR産物をプローブとして用いてスク
リーニングした。
ダイゼーションシグナルを示す9つのcDNAクローン
が得られた。
サイズのcDNAを3100シークエンサー(Appl
ied BioSystems社(ABI))を用いて
その両方向について配列決定し、オープンリーディング
フレーム(ORF)、BLAST(Altshulら、
1997、Nucleic Acids Res.、2
5、3389−3402)を利用した相同性解析、およ
びMac Vector 6.0プログラム(帝人シス
テムテクノロジー(株))を用いる分析に供した。
ーンは1154bp(配列番号1)の長さを有した。M
ac Vector 6.0パッケージを用いたmRN
Aの分析により、243アミノ酸(配列番号2)からな
るタンパク質をコードする最長の729bpオープンリ
ーディングフレームが同定された。配列番号1に示し
た、この1154bpのcDNA配列を図3に示す。オ
ープンリーディングフレームは、上記cDNA配列の2
33〜961位に位置する。上記オープンリーディング
フレームによりコードされるポリペプチドの推定アミノ
酸配列(配列番号2)を図4に示す。
例1において塩ストレス条件下で地上部および根の生育
阻害を示す変異系統ND1004を選抜し、実施例3に
おいてはこの表現型を支配する候補遺伝子を単離した。
もし、同じ遺伝子にTos17の挿入変異をもつ他の独
立の変異系統で同じ表現型が観察されたら、実施例3で
単離された遺伝子が、表現型を支配する遺伝子であると
結論される。このことを確かめるために、以下のような
方法で、独立な変異系統のスクリーニングを行った。
にしてDNAを調製した。実施例3において得られたc
DNAの塩基配列に基いて以下の4種類のプライマーを
設計し、上記DNAを鋳型としてPCRを行った:GT
CTGGCCAGTCGTGCAATG;CTGCTG
GCAAGAGGGCTGAT;TGGGTTCTTG
GTGGCCTCAT;GCCAAGCCACTGAA
GCCATT)。変異体のPCRスクリーニングは、宮
尾安藝雄、廣近洋彦(2001)イネのTos17によ
る遺伝子破壊法、細胞工学別冊「植物のゲノムサイエン
スプロトコール」、秀潤社、73−81に記載の方法に
従って行った。その結果、1種類の変異系統NC832
8(品種日本晴由来)が得られた。
ーとしてTos17隣接配列データベース(http:
//pc7080.abr.affrc.go.jp/
〜miyao/pub/Tos17/)を検索すると、
もう1種類の変異系統H0851(品種ひとめぼれ由
来)が同定された。
ストレス条件下で生育させたとき、地上部および根の生
育阻害、および形態異常を呈した(図2A(NC832
8;最も左が野生型、中央および右側が変異型である)
および図2B(H0851;最も左が野生型、それ以外
の4つの幼苗が変異型である))。
実施例では、実施例2〜4で得た遺伝子と塩ストレス感
受性との関連を調べた。当該遺伝子を有する系統として
日本晴ND1004株を選択し、当該遺伝子が破壊され
た変異体としてND1004−/−株を使用した。
該遺伝子を有する個体と、当該遺伝子が破壊された変異
体が分離してくる。前者をND1004+/+株、後者
をND1004−/−株として実験に用いた。変異体で
あるかどうかの判定はサザン解析によって行った。つま
り、ND1004株のR2世代の植物からDNAを抽出
し、制限酵素XbaIで切断後、アガロースゲル電気泳
動を行い、ナイロン膜にDNAを転写した。その後32P
で標識した当該遺伝子をプローブとしてハイブリダイゼ
ーションを行い、遺伝子の変異を確認した。変異型のバ
ンドパターンを示す個体をND1004−/−株とし
た。これら一連の解析は、Molecular Clo
ning、A Laboratory Manual
(Sambrookら、1989)に記載の条件で行っ
た。
004−/−株の種子(1株あたり約30の種子)を、
1.0%の次亜塩素酸ナトリウムで殺菌し、十分洗浄し
た後、25℃で24時間水中に浸した。次いで、これら
の種子を、0mMおよび150mMの塩化ナトリウムを
含むMS固形培地(MurashigeおよびSkoo
g、前出)にて無菌的に発芽させ、そして25℃、明所
14時間、暗所10時間で、18日間生育させた。これ
らの生育の様子を図5のAおよびBに示す。図5のA
は、塩化ナトリウムを添加しない培地における野生型お
よび変異型の地上部および根(左側)および根(右側)
を示す(左側の写真では、最も左が野生型であり、それ
以外は変異型である;右側の写真では、左側が野生型で
あり、右側は変異型である)。Bは、塩化ナトリウムを
添加した培地における野生型(最も左側)および変異型
(残りの3個体)の地上部および根を示す。野生型ND
1004株は、塩ストレス条件下でも、塩ストレスを与
えない条件と比較して若干生育が遅れるものの、地上部
および根の形態に顕著な変化は見られなかった(図5A
および5B)。変異型ND1004−/−株は、塩スト
レス条件下において地上部および根の顕著な生育阻害、
根の形態異常が見られた(図5B)が、このような生育
阻害および形態異常は、ストレスを与えない条件下では
見られなかった(図5A)。
ない土壌で発芽させ、そして生育させたとき(温室で3
ヶ月生育)、正常に生育した(図5C)。
対する感受性を発現した。このことは、当該遺伝子が塩
ストレスに対する感受性を決定することを示す。
価)本実施例では、実施例2〜4により得られた遺伝子
と浸透圧ストレス感受性との関連を調べた。当該遺伝子
を有する系統として日本晴ND1004株を選択し、当
該遺伝子が破壊された変異体としてND1004−/−
株を使用した。本株は、実施例5と同様にして得た。
004−/−株の種子(1株あたり約30の種子)を、
1.0%の次亜塩素酸ナトリウムで殺菌し、十分洗浄し
た後、25℃で24時間水中に浸した。次いで、これら
の種子を、実施例5と同様の条件下で11日間、マンニ
トールを含まないMS固形培地(Murashigeお
よびSkoog、前出)にて無菌的に発芽させ、そして
生育させた。11日間生育させた幼苗において、地上部
上方および根を切断除去した(切断部位を、図6におい
て矢印で示す)。残りの組織片を、150mMのマンニ
トールを含むMS固形培地に移植し、上記と同様の条件
下で、さらに7日間生育させた。野生型からは、新生根
が正常に生育するが、変異型では、新生根の顕著な生育
阻害が見られた(図6の右側が変異型であり、残りの2
個体が野生型である)。
ストレスに対する感受性を発現した。このことは、当該
遺伝子が浸透圧ストレスに対する感受性を決定すること
を示す。
を制御する新規ポリヌクレオチドが提供される。さら
に、環境ストレスに対する感受性の操作および感受性の
異なる植物の選抜、ならびに、これらの環境ストレスに
対する耐性を強化した植物の作出に有用なポリヌクレオ
チドが提供される。
高感受性変異体および対照の野生型の幼苗の地上部およ
び根の形態を示す写真(A)、ならびに根の形態を示す
写真(B)である。
系統群(B)から独立に見出された塩ストレス高感受性
変異体および対照の野生型の幼苗の地上部および根の形
態を示す写真である。
NA配列を示す図である。
ドされるタンパク質の推定アミノ酸配列を示す図であ
る。
塩化ナトリウム添加培地(B)で発芽および生育させた
野生型および変異型の地上部および根の形態、ならびに
通常の土壌で生育させた変異型の生育形態を示す写真で
ある。
生型および変異型の地上部および根の生育形態を示す写
真である。
Claims (6)
- 【請求項1】 塩ストレス耐性を制御する植物遺伝子を
コードするポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオ
チドが、配列表の配列番号2の1位のメチオニンから2
43位のアスパラギンまでのアミノ酸配列をコードする
ヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、または該
アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠
失、置換および/もしくは付加されたアミノ酸配列をコ
ードするヌクレオチド配列を有し、かつ塩ストレス耐性
を制御する機能を有するポリヌクレオチドを含む、ポリ
ヌクレオチド。 - 【請求項2】 前記植物遺伝子が浸透圧ストレス耐性を
さらに制御する、請求項1に記載のポリヌクレオチド。 - 【請求項3】 イネ由来である、請求項1または2に記
載のポリヌクレオチド。 - 【請求項4】 塩ストレス耐性を制御する植物遺伝子を
コードするポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオ
チドが、配列表の配列番号1の233位のAから961
位のCまでに示されるヌクレオチド配列または該ヌクレ
オチド配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイ
ズするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含
む、ポリヌクレオチド。 - 【請求項5】 前記植物遺伝子が浸透圧ストレス耐性を
さらに制御する、請求項4に記載のポリヌクレオチド。 - 【請求項6】 イネ由来である、請求項4または5に記
載のポリヌクレオチド。
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