JP3668736B2 - 塩ストレス耐性を制御する新規イネ遺伝子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規遺伝子に関する。より詳細には、植物において塩ストレス耐性を制御する機能を有するタンパク質をコードする新規遺伝子に関する。
【0002】
【従来の技術】
植物は通常の生育環境下においても、常にストレスを受けている。このようなストレスには、塩、乾燥、高温、低温、強光、空気汚染などのさまざまなものが含まれる。農業生産の観点から、塩ストレスが注目されている。土壌および岩石が分解すると塩類が生じる。塩類の生成は絶えず続いており、雨が降るとそれらは川または海に流され得る。雨量の少ない砂漠地帯では流出する塩類が少ないために、土壌水中の塩類の濃度は極めて高くなる。植物は、水とともに塩類を根によって浸透的に吸収して栄養分とするが、塩類濃度が高くなると吸水できなくなる。また、イオン固有の生理作用により成長阻害が起こる。植物の塩ストレスに対する応答はまた、乾燥、高浸透圧、低温などの環境ストレスと重複した応答を示すことが知られている。これらのストレスは、農業上極めて深刻な被害をもたらす。
【0003】
近年、化学肥料の大量使用や長期にわたる連作により、土壌中での塩類の高濃度集積が見られるようになり、特にハウス土壌では塩類集積の弊害が頻発している。また、海岸付近地域での海水や海風による塩害や、乾燥地帯や半乾燥地帯での過度の蒸散による土壌表層の塩類集積などが生じており、農地の利用を制限している。このような問題の解決方法としては、土壌を交換することや潅水により除去することが一般的に行われているが、多大の費用や労力を要する。また、潅水による塩類除去は、周辺地域に大量の塩水を流入させることから、環境汚染を引き起こすとして使用規制が行われようとしている。
【0004】
したがって、このような塩ストレスに耐性を有する植物を見い出すことは、非常に重要なことである。
【0005】
これまでの国内外で行われてきた耐塩性植物についての研究から、耐塩性植物を、非ストレス条件から塩ストレス条件に移すと新たな遺伝子の発現が誘発され、これらの遺伝子の産物が塩ストレス耐性に役立っていることが知られている。Nicotiana属植物においては、塩ストレス耐性を有する種類の植物が存在することが知られており、その遺伝子を単離したという報告も存在する(Nelsonら、(1992) Plant Molecular Biology,vol.19,577−588,Yunら(1996) Plant Physiology,vol.111,1219−1225)。他に、塩ストレスに対する応答に関連のあるNicotiana属植物遺伝子としては、特開平11−187877号、特開平11−187878号、特開平11−187879号、特開平11−187880号に記載の塩ストレス耐性種であるNicotiana paniculata由来の遺伝子が挙げられる。特開平11−187877号には、塩ストレスにより誘導される新規な遺伝子が記載され、この遺伝子がコードする遺伝子産物は、植物に水分ストレス耐性を付与する機能があると考えられている。特開平11−187878号には、塩ストレスにより誘導される新規なカリウムチャンネル遺伝子が記載され、この遺伝子がコードするカリウムチャンネル遺伝子は、植物に水分ストレス耐性を付与する機能があると考えられている。特開平11−187879号には、塩ストレスにより誘導される新規なINPS遺伝子が記載され、この遺伝子がコードするINPS遺伝子は、植物に水分ストレス耐性を付与する機能を有する。特開平11−187880号植物には、塩ストレスにより誘導される新規な葉緑体型フルクトースビスフォスフェートアルドラーゼが記載され、この遺伝子がコードするアルドラーゼは、植物に水分ストレス耐性を付与する機能を有すると考えられる。
【0006】
イネにおいては、塩ストレスに対する応答に関連のある遺伝子として、葉緑体グルタミン合成酵素(GS2)遺伝子(Hoshidaら、Plant Mol.Biol.43:103−11(2000));およびΔ1−ピロリン−5−カルボン酸(P5C)合成酵素(OsP5CS)遺伝子(Igarashiら、Plant Mol.Biol.33:857−65(1997))が知られている。上記文献において、GS2遺伝子は、光呼吸能を増大させ、これにより塩ストレスに対する耐性を植物に与えることが記載されている。プロリンの生合成に関与するOsP5CSの遺伝子は、高濃度の塩、脱水、アブシジン酸での処理、および低温によって誘発される。塩ストレス下でのOsP5CSの遺伝子の発現は、塩耐性栽培種であるDee−gee−woo−genでは安定に増大したが、塩感受性育種系であるIR28では僅かに増大した。
【0007】
イネのレトロトランスポゾンTos17が培養によって活性化され転移をする性質を利用して、イネの多数の遺伝子破壊系統が作出されている。トランスポゾンは、動物、酵母、細菌および植物のゲノムに遍在することが知られる変異誘発遺伝子である。トランスポゾンは、その転移(transposition)機構により2つのクラスに分類されている。クラスIIに属するトランスポゾンは、複製することなくDNAの形態で転移する。クラスIIに属するトランスポゾンとして、トウモロコシ(Zea mays)のAc/Ds、Spm/dSpmおよびMu要素(Fedoroff、1989、Cell 56、181−191;Fedoroffら、1983、Cell 35、235−242;Schiefelbeinら、1985、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82、4783−4787)、キンギョソウ(Antirrhinum majus)のTam要素(Bonasら、1984、EMBO J、3、1015−1019)が知られている。クラスIIに属するトランスポゾンは、トランスポゾン・タッギングを利用する遺伝子単離に広く利用されている。この技術は、トランスポゾンがゲノム上で転移して、ある遺伝子中に挿入されると遺伝子の生理学的および形態学的変異が起こり、遺伝子が制御する表現型が変化することを利用する。この変化を検出することにより影響を受けた遺伝子を単離する(Bancroftら、1993、The Plant Cell、5、631−638;Colasantiら、1998、Cell、93、593−603;Grayら、1997、Cell、89、25−31;Keddieら、1998、The Plant Cell、10、877−887;Whithamら、1994、Cell、78、1101−1115)。
【0008】
クラスIに属するトランスポゾンは、レトロトランスポゾンとも呼ばれ、RNA中間体を介して複製し、転移する。クラスIトランスポゾンは、最初、ショウジョウバエおよび酵母で同定され、そして特徴付けられたが、最近の研究により植物ゲノム中に遍在し、そのかなりの部分を占めていることが明らかにされている(Bennetzen、1996、Trends Microbiolo.、4、347−353;Voytas、1996、Science、274、737−738)。レトロトランスポゾンの大部分は、非移動性の組み込みユニットであるようである。最近の研究は、これらのいくつかが、創傷、病原体の攻撃および細胞培養などのストレス条件下で活性化されることを示している(Grandbastien、1998、Trends in Plant Science、3、181−187;Wessler、1996、Curr.Biol.6、959−961;Wesslerら、1995、Curr.Opin.Genet.Devel.5、814−821。例えば、タバコではTnt1AおよびTto1(Pouteauら、1994、Plant J.、5、535−542;Takedaら、1988、Plant Mol. Biol.、36、365−376)、およびイネではTos17(Hirochikaら、1996、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93、7783−7788)について、ストレス条件下における活性化が報告されている。
【0009】
イネのレトロトランスポゾンTos17は、最も良く研究されている植物中のクラスI要素である。Tos17は、Ty1−copia群レトロ要素の間の逆転写酵素ドメインの保存アミノ酸配列を基に作成された縮重プライマーを用いたRT−PCR法によりクローン化された(Hirochikaら、1992、Mol. Gen. Genet.、233、209−216)。Tos17は、4.3kbの長さの、2つの同じ138bpのLTR(長鎖末端反復)および開始メチオニンtRNAの3’末端に相補的なPBS(プライマー結合部位)を持つ(Hirochikaら、1996、上述)。Tos17の転写は、組織培養により強く活性化され、そして培養時間とともにTos17のコピー数が増加する。ゲノム研究のモデルジャポニカ品種である日本晴では、Tos17の当初のコピー数は2であるが、組織培養後、再生した植物では、5〜30コピーに増加している(Hirochikaら、1996、上述)。酵母およびショウジョウバエで特徴付けられたクラスIトランスポゾンとは異なり、Tos17は、染色体中をランダムな様式で転移し、そして安定な変異を引き起こし、そしてそれ故、イネにおける遺伝子の機能解析の強力なツールを提供する(Hirochika、1997、Plant Mol.Biol.35,231−240;1999、Molecular Biology of Rice(K.Shimamoto編集、Springer−Verlag、43−58)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、塩ストレスおよび/または浸透圧ストレス感受性を決定し得るタンパク質をコードする遺伝子を明らかにし、これにより、塩ストレスおよび浸透圧ストレスを含む複数の環境ストレスに対する感受性の操作および感受性の異なる植物の選抜、ならびにさらには、これらの環境ストレスに対する耐性を強化した植物の作出のために有用な遺伝子を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、イネのレトロトランスポゾンTos17が培養によって活性化され転移をする性質を利用して作製された多数のイネ遺伝子破壊系統の中から、塩ストレスに対して感受性の高い変異体を発見した。この変異体は、塩ストレス条件下で、器官の生育阻害および形態異常といった形質を示す。形質の変化と塩ストレスとの関連を鋭意検討した結果、この形質の変化が、塩ストレス感受性を決定し得る遺伝子の変異に起因することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明は、塩ストレス耐性を制御する植物遺伝子をコードするポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドが、配列表の配列番号2の1位のメチオニンから243位のアスパラギンまでのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、または該アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換および/もしくは付加されたアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を有し、かつ塩ストレス耐性を制御する機能を有するポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチドに関する。
【0013】
本発明の1つの実施形態では、上記植物遺伝子は、浸透圧ストレス耐性をさらに制御する。
【0014】
本発明の1つの実施形態では、上記ポリヌクレオチドは、イネ由来である。
【0015】
本発明はまた、塩ストレス耐性を制御する植物遺伝子をコードするポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドが、配列表の配列番号1の233位のAから961位のCまでに示されるヌクレオチド配列または該ヌクレオチド配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチドに関する。
【0016】
本発明の1つの実施形態では、上記植物遺伝子は、浸透圧ストレス耐性をさらに制御する。
【0017】
本発明の1つの実施形態では、上記ポリヌクレオチドは、イネ由来である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明は、Tos17を用いて単離され、機能が解明された植物新規遺伝子を提供する。
【0019】
本明細書中で使用する用語「遺伝子」は、遺伝情報を担う構造単位で、形質を規定する因子をいう。遺伝子は、高分子DNAまたはRNAでの一定の領域の塩基配列により規定される遺伝の作用単位として定義され得る。従って、遺伝子は、最終的にタンパク質に翻訳され得る、DNAまたはRNAであり得、物質としては、ポリヌクレオチドとして理解され得る。
【0020】
本明細書中で使用する「ストレス」とは、外部から与えられる、植物の生育に変化を生じさせる要因をいう。「環境ストレス」とは外部環境の変動により与えられるストレスであり、このようなストレスには、塩、高浸透圧、乾燥、高温、低温、強光、空気汚染などが含まれる。
【0021】
本発明によれば、塩ストレス耐性を制御する植物遺伝子をコードするポリヌクレオチドが提供される。本願明細書で使用する用語「塩ストレス」とは、栽培媒体(例えば、土壌、植物の栽培が可能な培地(固形または液状)など)中の塩類濃度が上昇して、植物の生育に対して有害となることを意味する。塩類には、植物に吸水阻害を引き起こすあらゆる塩が含まれ、例えば、マグネシウム塩、塩化物塩、アルミニウム塩などが含まれ得る。本願明細書で用いる用語「塩ストレス耐性」は、上記の塩ストレスに対して抵抗性であることを意味する。「塩ストレス感受性」とは、上記の塩ストレスに対して感受性であること、例えば、生育に不利な影響を受け得ることを意味する。「塩ストレス感受性」の株は、中低濃度(例えば、50〜300mM、好ましくは、100〜150mM)の塩類濃度が含まれる栽培媒体(例えば、土壌、植物の栽培が可能な培地(固形または液状)など)上で生育される場合、植物の器官および組織の生育阻害および形態異常を示し得る。「塩ストレス耐性を制御する」とは、塩ストレスに関与する遺伝子の発現を抑制または促進する、あるいは、塩ストレス耐性を決定するタンパク質をコードする、またはその働きを制御することを意味する。
【0022】
本発明の植物遺伝子はさらに、浸透圧ストレス耐性を制御し得る。「浸透圧ストレス」とは、浸透圧が生じて、植物の生育に対して有害となることを意味する。浸透圧は、内部に水を取り込んで体積を増加させる、植物細胞の成長(吸水成長)に関与する。一般に、植物は、浸透圧が高くなるにつれて、吸水力が低下する。本願明細書で用いる用語「浸透圧ストレス耐性」は、上記の浸透圧ストレスに対して抵抗性であることを意味する。「浸透圧ストレス感受性」とは、上記の浸透圧ストレスに対してある種の反応を示すことを意味する。「浸透圧ストレス感受性」の株は、高浸透圧(例えば、マンニトール当量として50〜600mM、好ましくは、150mM以上)を生じる栽培媒体(例えば、土壌、植物の栽培が可能な培地(固形または液状)など)上で生育される場合、植物体(特に、根)の顕著な生育阻害を示し得る。「浸透圧ストレス耐性を制御する」とは、浸透圧ストレスに関与する遺伝子の発現を抑制または促進する、あるいは、浸透圧ストレス耐性を決定するタンパク質をコードする、またはその働きを制御することを意味する。
【0023】
上述したような本発明のポリヌクレオチドは、代表的には、配列表の配列番号2の1位のメチオニン(Met)から243位のアスパラギン(Asn)までのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、またはこのアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換および/もしくは付加されたアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチドである。1つの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、配列表の配列番号1の233位〜961位に示されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチドである。本発明のポリヌクレオチドは、上述した領域(配列番号2の1位のメチオニン(Met)から243位のアスパラギン(Asn)までのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列領域または配列番号1の233位〜961位に示されたヌクレオチド配列領域)の外側、すなわち、5’末端側または3’末端側に、さらなるヌクレオチド配列(例えば、非翻訳領域)を含み得る。より好ましくは、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1の1位〜1154位に示された全長配列からなる。ここで、本願発明のポリヌクレオチドは、配列番号1における縮重異性体をすべて含むものである。ここで、「縮重異性体」とは、縮重コドンにおいてのみ異なっていて、同一のポリペプチドをコードすることのできるDNAを意味する。例えば、配列番号1の塩基配列を有するDNAに対して、そのアミノ酸のどれかに対応するコドン、例えばAsnに対応するコドン(AAC)が、これと縮重関係にあるコドン例えばAATに変わったものを、縮重異性体と呼ぶこととする。
【0024】
本発明のポリヌクレオチドは、イネのレトロトランスポゾンTos17が培養によって活性化され転移をする性質を利用して作出されたイネの遺伝子破壊系統の、塩ストレスに対して感受性の高い変異体の発見から出発して、このTos17を目印としてイネゲノムDNAから単離されたものである。従って、1つの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、イネに由来する。
【0025】
開示されたヌクレオチド配列およびそれによりコードされたタンパク質のフラグメントおよび改変体もまた、本発明により包含される。「フラグメント」によって、ヌクレオチド配列の一部またはアミノ酸配列の一部、従って、それによってコードされるタンパク質もまた意図される。ヌクレオチド配列のフラグメントは、ネイティブタンパク質の機能的な生物学的活性の1つ以上を保持するタンパク質フラグメントをコードし得る。
【0026】
本発明のポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質の改変体とは、このタンパク質のN末端および/またはC末端に対する1つ以上のアミノ酸の欠失(いわゆる短縮化)または付加;このタンパク質中の1つ以上の部位のアミノ酸の欠失または付加;あるいはこのタンパク質中の1つ以上の部位のアミノ酸の置換によりネイティブタンパク質から誘導されたタンパク質を意図する。このような改変体は、例えば、遺伝的多型または人為操作から生じ得る。
【0027】
本発明のポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質は、種々の方法(アミノ酸置換、欠失、短縮化、および挿入を包含する)で変化され得る。このような操作のための方法は、一般に、当該分野で公知である。例えば、本発明のストレス耐性を制御し得る植物遺伝子によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列改変体は、DNAにおける変異生成によって調製され得る。変異誘発およびヌクレオチド配列改変のための方法は、当該分野で周知である。例えば、Kunkel(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488−492;Kunkelら(1987)Methods in Enzymol.154:367−382;米国特許第4,873,192号;WalkerおよびGaastra編(1983)Techniques in Molecular Biology (MacMillian Publishing Company、New York)およびその中で引用されている参考文献を参照のこと。目的のタンパク質の生物学的活性に影響しない適当なアミノ酸置換に関する指針は、Dayhoffら(1987)Atlas of Protein Sequence and Structure(Natl.Biomed.Res.Found.Washington、D.C.、これは、参考として本明細書中に援用される)のモデルに見出され得る。保存的置換(例えば、1つのアミノ酸を同様の特性を有する別のものと交換する置換)が好ましいとされ得る。このような置換としては、疎水性アミノ酸(Ala、Ile、Leu、Met、Phe、Pro、Trp、Tyr、Val);親水性アミノ酸(Arg、Asp、Asn、Cys、Glu、Gln、Gly、His、Lys、Ser、Thr);脂肪族側鎖を有するアミノ酸(Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro);水酸基含有側鎖を有するアミノ酸(Ser、Thr、Tyr);硫黄原子含有側鎖を有するアミノ酸(Cys、Met);カルボン酸およびアミド含有側鎖を有するアミノ酸(Asp、Asn、Glu、Gln);塩基含有側鎖を有するアミノ酸(Arg、Lys、His);芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(His、Phe、Tyr、Trp)同士の置換が挙げられる。
【0028】
従って、「1もしくは数個が欠失、置換および/もしくは付加された」とは、遺伝的多型または人為操作(上述したような周知の方法を含む)によって置換、欠失および/もしくは付加され得る程度の数のアミノ酸が置換、欠失および/もしくは付加され得ることを意味する。「1もしくは数個が欠失、置換および/もしくは付加された」とは、本発明のポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質が有する機能を発現し得る限り、上記アミノ酸配列においていかなる数のアミノ酸が欠失、付加、および/もしくは置換されていてもよい。アミノ酸の置換、欠失および/もしくは付加のような改変が活性に与える影響は、改変されるアミノ酸の位置、程度、種類などに依存し得ることは当業者には明らかである。本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質が有する機能を発現し得る限り、例えば、上記アミノ酸配列の全長において、以下のアミノ酸配列同一性を満たす個数で欠失、置換および/もしくは付加され得る。
【0029】
本発明の塩ストレス耐性を制御する植物遺伝子をコードするポリヌクレオチドは、植物において塩ストレス耐性を制御し得る限り、配列表の配列番号2の1位のMetから243位のAsnまでのアミノ酸配列と、少なくとも60%の配列同一性、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも75%、なおより好ましくは少なくとも80%、なおより好ましくは少なくとも90%、なおより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを包含する。
【0030】
本発明の塩ストレス耐性を制御する植物遺伝子をコードするポリヌクレオチドは、植物において塩ストレス耐性を制御し得る限り、配列表の配列番号2の1位のMetから243位のAsnまでのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(好ましくは、配列番号1の233位のAから961位のCまでに示されるヌクレオチド配列)と、少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%の配列同一性、なおより好ましくは少なくとも85%の配列同一性、さらにより好ましくは少なくとも90%の配列同一性、さらになおより好ましくは少なくとも95%の配列同一性、最も好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを包含する。
【0031】
本明細書中で使用される場合、「参照配列」とは、配列比較の基準として使用される規定の配列である。参照配列は、記載された配列のサブセットまたは全体であり得る;例えば、全長cDNAもしくは遺伝子配列のセグメント、または完全DNAもしくは遺伝子配列としてである。
【0032】
本明細書中で使用される場合、「比較ウィンドウ」は、ポリヌクレオチド配列の連続しかつ特定化されたセグメントについて言及し、ここで比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチド配列は、2つの配列の最適なアラインメントのために、参照配列(これは、付加または欠失を含まない)と比較して、付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。一般的に、比較ウィンドウは、少なくとも20の連続するヌクレオチド長であり、そして必要に応じて、30、40、50、100以上の長さであり得る。当業者は、ポリヌクレオチド配列中にギャップを含むことにより、参照配列に対して高い類似性となることを避けるために、典型的には、ギャップペナルティーを導入し、そしてこれを、一致の数から差し引くことを理解する。
【0033】
比較のための配列のアラインメントの方法は、当該分野において周知である。参照配列(本発明の配列)と対象配列との間の最適な全体の整合を決定するための好ましい方法として、BLAST(Altshulら、1997、Nucleic Acids Res.、25、3389−3402)を利用した相同性解析が用いられる。配列整列において、参照配列および対象配列は、両方ともDNA配列である。RNA配列は、UをTに変換することによって比較され得る。上記の全体的配列整列の結果が、同一性%である。配列アラインメントは、上記のプログラムのデフォルトのパラメーターを使用して行われ得る。
【0034】
本明細書中で使用される場合、2つの核酸配列またはポリペプチド配列の文脈において「配列同一性」または「同一性」は、特定化された比較ウインドウにわたって最大に一致するように整列された場合に同一である2つの配列中の残基に対して言及される。タンパク質に関して配列同一性%が使用される場合、しばしば、保存的アミノ酸置換によって、同一ではない残基位置は異なることが理解される。上述したように、保存的アミノ酸置換では、アミノ酸残基が、類似の化学的特性(例えば、電荷または疎水性)を有する他のアミノ酸残基で置換されるため、分子の機能的特性を変化させない。配列が保存的置換において異なる場合、配列同一性パーセントは、置換の保存的性質について矯正するように上方に調整され得る。このような保存的置換によって異なる配列は、「配列類似性」または「類似性」を有するといわれる。この調整をするための手段は、当業者には周知である。代表的には、これは、完全なミスマッチではなく、部分的なものとして保存性置換を点数付けすることを含み、それによって配列同一性パーセントを増加させる。従って、例えば、同一のアミノ酸が1のスコアを与えられ、そして非保存的置換が0のスコアを与えられる場合、保存的置換は、0と1との間のスコアを与えられる。保存的置換の点数付けは、例えば、プログラムPC/GENE(Intelligenetics,Mountain View,California)において実行されるように計算される。
【0035】
本明細書中で使用される場合、「配列同一性%」は、比較ウィンドウにわたって最適にアラインされた2つの配列を比較することによって決定された値を意味し、ここで比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチド配列の一部は、2つの配列の最適なアラインメントのために、参照配列(これは、付加または欠失を含まない)と比較して、付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。この割合(%)は、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列に存在して一致した位置の数を生じる、位置の数を決定すること、一致した位置の数を比較ウィンドウ中の位置の総数で除算すること、およびその結果に100をかけて配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算される。
【0036】
用語、ポリヌクレオチドの「実質的な同一性」は、ポリヌクレオチドが、標準的なパラメーターを使用して、記載されるアラインメントプログラムの1つを用いて参照配列と比較して、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含むことを意味する。当業者は、コドンの縮重、アミノ酸の類似性、リーディングフレームの位置などを考慮に入れることによって、2つのヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質の対応する同一性を決定するために、これらの値が適切に調整され得ることを理解する。これらのために、アミノ酸配列の実質的な同一性は、通常、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、80%、90%、および最も好ましくは少なくとも95%の配列同一性を意味する。
【0037】
ペプチドの文脈における用語「実質的同一性」は、ペプチドが、特定化された比較ウィンドウにわたって、参照配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、好ましくは80%、より好ましくは85%、最も好ましくは少なくとも90%または95%の配列同一性を有する配列を含むことである。好ましくは、最適なアラインメントは、Needlemanら(1970)J.Mol.Biol.48:443の相同性アラインメントアルゴリズムを使用して行われる。例えば、2つのペプチドが保存的置換によってのみ異なる場合に、ペプチドは、第2のペプチドと実質的に同一である。「実質的に類似の」ペプチドは、同一ではない残基の位置が保存的アミノ酸変化によって異なり得るということ以外は、上記に示したような配列を共有する。
【0038】
本発明の塩ストレス耐性を制御するタンパク質の生物学的に活性な部分をコードする、塩ストレス耐性を制御する植物遺伝子ヌクレオチド配列のフラグメントは、少なくとも15、25、30、50、100、125、150、175、200、225の連続するアミノ酸、または本発明の全長タンパク質に存在するアミノ酸の総数まで(例えば、配列番号2の243アミノ酸)をコードする。PCRプライマーについてハイブリダイゼーションプローブとして用いるための、塩ストレス耐性を制御する植物遺伝子ヌクレオチド配列のフラグメントは、一般に、塩ストレス耐性を制御するタンパク質の生物学的に活性な部分をコードする必要はない。
【0039】
イネ以外の他の植物に由来する塩ストレス耐性を制御する植物遺伝子をコードするポリヌクレオチドもまた、本願発明の範囲内に含まれ得る。そのようなポリヌクレオチドは、例えば、開示された全長または一部のヌクレオチド配列に基づいて設計したプライマーを用いて、選択した植物のゲノミックDNAを鋳型としてPCRを行い、その後、得られた増幅DNA断片をプローブとして用いて同じ植物のゲノミックDNAまたはcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより単離され得る。このようにして、PCR、ハイブリダイゼーションなどのような方法が、本明細書中に記載の配列に対するそれらの配列同一性に基づいてこのような配列を同定するために使用され得る。本明細書中に記載の配列全体に対する、またはそれらのフラグメントに対する、それらの配列同一性に基づいて単離された配列は、本発明によって包含される。
【0040】
ハイブリダイゼーション技術において、公知のヌクレオチド配列の全てまたは部分が、選択された生物由来のクローン化されたゲノムDNAフラグメントまたはcDNAフラグメントの集団(すなわち、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリー)中に存在する他の対応するヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズするプローブとして使用される。このハイブリダイゼーションプローブは、ゲノムDNAフラグメント、cDNAフラグメント、RNAフラグメント、または他のオリゴヌクレオチドであり得、そして検出可能な基(例えば、32P)または任意の他の検出可能なマーカーで標識化され得る。従って、例えば、ハイブリダイゼーションのためのプローブは、本発明の塩ストレス耐性を制御する植物遺伝子のヌクレオチド配列に基づいて合成オリゴヌクレオチドを標識することによって作製され得る。ハイブリダイゼーションおよびcDNAライブラリーおよびゲノムライブラリーの構築のためのプローブの調製のための方法は、一般に、当該分野で公知であり、そしてSambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Plainview、New York、(これは、本明細書中に参考として援用される))において開示される。
【0041】
例えば、本明細書中に開示された塩ストレス耐性を制御する植物遺伝子をコードするヌクレオチド配列全体、またはそれらの1つ以上の部分が、対応する塩ストレス耐性を制御する植物遺伝子配列およびメッセンジャーRNAに特異的にハイブリダイズし得るプローブとして使用され得る。種々の条件下で特異的なハイブリダイゼーションを達成するために、このようなプローブは、塩ストレス耐性を制御する植物遺伝子配列間で独特であり、そして好ましくは少なくとも約10ヌクレオチド長、最も好ましくは少なくとも約20ヌクレオチド長である配列を包含する。このようなプローブは、選択された生物から対応する塩ストレス耐性を制御する植物遺伝子配列をPCRによって増幅するために使用され得る。PCR増幅の方法は、当該分野で周知である(PCR Technology: Principles and Applications for DNA Amplification、HA Erlich編、Freeman Press、NewYork、NY(1992);PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications、Innis、Gelfland、Snisky、およびWhite編、Academic Press、San Diego、CA(1990);Mattilaら(1991) Nucleic Acids Res. 19: 4967;Eckert、K.A.およびKunkel、T.A.(1991)PCR Methods and Applications 1: 17;PCR、McPherson、Quirkes、およびTaylor、IRL Press、Oxford、これらは、本明細書中で参考として援用する)。この技術は、所望の生物からさらなるコード配列を単離するために、または生物中のコード配列の存在を決定するための診断アッセイとして使用され得る。ハイブリダイゼーション技術は、プレート化したDNAライブラリーのハイブリダイゼーションスクリーニングを包含する(プラークまたはコロニーのいずれか;例えば、Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press 、Plainview、New York)を参照のこと)。
【0042】
このような配列のハイブリダイゼーションは、ストリンジェントな条件下で実施され得る。「ストリンジェントな条件」または「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、プローブが、他の配列に対するよりも、検出可能により大きな程度(例えば、バックグラウンドよりも少なくとも2倍)で、その標的配列に対してハイブリダイズする条件を意図する。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、そして異なる環境下で異なる。ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件のストリンジェンシーを制御することにより、プローブに対して100%相補的である標的配列が同定され得る。あるいは、ストリンジェンシー条件は、より低い程度の類似性が検出され得るように、配列中にいくらかミスマッチとなることが可能になるように調整され得る。一般に、プローブは、約1000ヌクレオチド長未満であり、好ましくは500ヌクレオチド長未満である。
【0043】
代表的には、ストリンジェントな条件は、塩濃度が約1.5M Naイオン未満であり、代表的には約0.01〜1.0M Naイオン濃度(または他の塩)(pH7.0から8.3)であり、そして温度が、短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)については少なくとも約30℃であり、そして長いプローブ(例えば、50ヌクレオチドより大きい)については少なくとも約60℃である条件である。ストリンジェントな条件はまた、脱安定剤(例えば、ホルムアミド)の添加によって達成され得る。ストリンジェントな条件として、例えば、30〜35%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の緩衝溶液を用いる37℃でのハイブリダイゼーション、および1×から2×のSSC(20×SSC=3.0M NaCl/0.3Mクエン酸三ナトリウム)を用いる50〜55℃での洗浄が挙げられる。よりストリンジェントな条件としては、例えば、40〜45%ホルムアミド、1.0M NaCl、1%SDS中での37℃でのハイブリダイゼーション、および0.5×から1×のSSCを用いる55〜60℃での洗浄が挙げられる。さらによりストリンジェントな条件としては、例えば、50%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS中での37℃でのハイブリダイゼーション、および0.1×のSSCを用いる60〜65℃での洗浄が挙げられる。
【0044】
特異性は、代表的には、ハイブリダイゼーション後の洗浄の関数であり、決定的な要因は、最終洗浄溶液のイオン強度および温度である。DNA−DNAハイブリッドについては、Tmは、MeinkothおよびWahl(1984)Anal.Biochem.138:267−284の式:Tm=81.5℃+16.6(logM)+0.41(%GC)−0.61(%form)−500/Lから概算され得;ここでMは、1価カチオンのモル濃度であり、%GCは、DNA中のグアノシンヌクレオチドおよびシトシンヌクレオチドのパーセンテージであり、%formは、ハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドのパーセンテージであり、そしてLは、塩基対中のハイブリッドの長さである。Tmは、相補的な標的配列の50%が完全に一致するプローブにハイブリダイズする温度(規定されたイオン強度およびpHで)である。Tmは、1%のミスマッチにつき約1℃低下する;従って、Tm、ハイブリダイゼーション、および/または洗浄条件は、所望の同一性の配列にハイブリダイズするために調整され得る。例えば、90%以上の同一性を有する配列が求められる場合、Tmは、10低下し得る。一般的に、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度およびpHでの特定の配列およびその相補物に対する熱融点(Tm)よりも約5℃低く選択される。しかし、厳しいストリンジェントな条件は、熱融点(Tm)よりも1、2、3、または4℃低いハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用し得;中程度のストリンジェントな条件は、熱融点(Tm)よりも6、7、8、9、または10℃低いハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用し得;低いストリンジェントな条件は、熱融点(Tm)よりも11、12、13、14、15、または20℃低いハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用し得る。この式、ハイブリダイゼーションおよび洗浄組成物、ならびに所望されるTmを使用して、当業者は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーおよび/または洗浄溶液におけるバリエーションが固有に記載されることを理解する。所望されるミスマッチの程度が45℃(水溶液)または32℃(ホルムアミド溶液)よりも低いTmを生じる場合、より高い温度が使用され得るようにSSC濃度を増加させることが好ましい。核酸のハイブリダイゼーションについての広範なガイドは、Tijssen(1993)Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic AcidProbes、第1部、第2章(Elsevier,New York);およびAusubelら編(1995)Current Protocols in Molecular Biology、第2章(Greene Publishing and Wiley−Interscience,New York)に見出される。Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview,New York)を参照のこと(これらは本明細書中に参考として援用される)。
【0045】
得られた遺伝子の塩基配列は、当該分野で公知のヌクレオチド配列解析法または市販されている自動シーケンサーにより決定し得る。
【0046】
本発明のポリヌクレオチドは、代表的には、本明細書に記載の方法に従って得られるが、本発明に開示された配列を基に、化学合成によっても得られ得る。例えば、本発明のポリヌクレオチドは、例えば、Applied BioSystems社(現Perkin Elmer社)により市販されるポリヌクレオチド合成機を用いて製造業者によって提供される仕様書に従って合成され得る。
【0047】
本発明の植物遺伝子をコードするポリヌクレオチドは、塩ストレスの感受性および浸透圧ストレスの感受性を決定することが、以下の実施例において実証されたように、明らかである。植物の塩ストレスに対する応答は、乾燥、高浸透圧、低温などの環境ストレスと重複した応答を示し得ることが知られている(蛋白質核酸 酵素(1999)Vol.44、2147−2148/2188−2198;Curr.Opinion.Plant.Biol.(2001)vol.4 241−246;Curr.Opinion.Plant.Biol.(2000)vol.3 217−223;TRENDS in Plant Science(2001)Vol.6 66−71)。本発明のポリヌクレオチドは、乾燥または低温によるストレスにも関与している可能性が高い。本発明のポリヌクレオチドがその機能を発揮する場合、植物は、ストレス条件下でも通常の生育を示すか、または生育に有害な影響を及ぼされない。しかし、本発明のポリヌクレオチドが何らかの理由によって機能が働かない場合、ストレス条件下に置かれた植物に生育阻害をもたらし得る。
【0048】
上述のようにして遺伝子工学的手法または化学合成手法のような手順に従って生成されたポリヌクレオチドが、所望の活性、すなわち塩ストレス耐性を制御する作用、を有することを、以下のようにして確認し得る。すなわち、得られたポリヌクレオチドを、塩ストレス感受性植物(例えば、下述の実施例1により得られたND1004(−/−)系統)に当該分野で周知の技術を用いて導入して、塩ストレス耐性が回復されることにより、所望の活性、すなわち塩ストレス耐性を制御する作用、を有することを、確認し得る。塩ストレス耐性を制御する作用を有することは、以下の実施例5に記載の手順と実質的に同様の手順によって確認し得る。例えば、ポリヌクレオチドは、ND1004(−/−)系統に導入されたとき、上記手順において、下述の実施例5に記載されるような野生型植物と実質的に同等の程度の塩ストレス耐性を示すと、塩ストレス耐性を制御する作用を有することが確認される。「野生型植物と実質的に同等の程度の塩ストレス耐性を示す」とは、塩ストレス条件下および塩ストレスを与えない条件下で、当該ポリヌクレオチドが導入された植物の生長において、実施例5に示されるように、顕著な差異が見られないものであり得る。なお、ここでの「塩ストレス条件」とは、上述した中低濃度(例えば、50〜300mM、好ましくは、100〜150mM)の塩類濃度が含まれる栽培媒体(例えば、土壌、植物の栽培が可能な培地(固形または液状)など)上で生育される条件であり得る。
【0049】
従って、本発明のポリヌクレオチドは、塩ストレスおよび浸透圧ストレスを含む上述のようなストレスに対する植物の感受性を操作する、またはこのストレスに対する感受性の異なる植物を選抜する(例えば、本配列のポリヌクレオチドの全体または一部に基づくプローブまたはプライマーを使用して、種々の植物系統をスクリーニングすることにより)ために使用され得る。
【0050】
本発明のポリヌクレオチドはまた、上述したストレスに対する耐性を強化した植物を作出するために使用され得る。この植物が農業的に有用であれば、なお好ましい。このようなストレス耐性植物の開発は、環境ストレスによる農業上の被害の軽減のみならず、栽培可能面積の拡大による作物の増収、環境の保全のような、有益な効果をもたらすことが期待される。
【0051】
本発明のポリヌクレオチドは、そのままでまたは改変されて、当業者に周知の方法を用いて、適切な植物発現ベクターに連結され、公知の遺伝子組換え技術により、植物細胞に導入され得る。導入された遺伝子は、植物細胞中のDNAに組み込まれて存在する。なお、植物細胞中のDNAとは、染色体のみならず、植物細胞中に含まれる各種オルガネラ(例えば、ミトコンドリア、葉緑体など)に含まれるDNAを含む。
【0052】
「植物発現ベクター」は、本発明の遺伝子の発現を調節するプロモーターなどの種々の調節エレメントが宿主植物の細胞中で作動可能に連結されている核酸配列をいう。本願明細書で用いる用語「制御配列」は、機能的プロモーターおよび、任意の関連する転写要素(例えば、エンハンサー、CCAATボックス、TATAボックス、SPI部位など)を有するDNA配列をいう。本願明細書で用いる用語「作動可能に連結」は、遺伝子が発現し得るように、ポリヌクレオチドが、その発現を調節するプロモーター、エンハンサー等の種々の調節エレメントとが宿主細胞中で作動し得る状態で連結されることをいう。植物発現ベクターは、好適には、植物遺伝子プロモーター、ターミネーター、薬剤耐性遺伝子、およびエンハンサーを含み得る。発現ベクターのタイプおよび使用される調節エレメントの種類が、宿主細胞に応じて変わり得ることは、当業者に周知の事項である。本発明に用いる植物発現ベクターは、さらにT−DNA領域を有し得る。T−DNA領域は、特にアグロバクテリウムを用いて植物を形質転換する場合に遺伝子の導入の効率を高める。
【0053】
「植物遺伝子プロモーター」は、植物で発現するプロモーターを意味する。再生植物のすべての組織において、本発明のポリヌクレオチドの発現を指向させる植物プロモーターフラグメントを採用し得る。構成的に発現させるためのプロモーターとしては、例えば、ノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター(Langridge,1985,Plant Cell Rep.4,355)、カリフラワーモザイクウイルス19S−RNAを生じるプロモーター(Guilley,1982,Cell 30,763)、カリフラワーモザイクウイルス35S−RNAを生じるプロモーター(Odell,1985,Nature 313,810)、イネのアクチンプロモーター(Zhang,1991,Plant Cell 3,1155)、トウモロコシユビキチンプロモーター(Cornejo 1993,Plant Mol.Biol.23,567)、REXφプロモ−タ−(Mitsuhara,1996,Plant Cell Physiol.37,49)などを用いることができる。
【0054】
あるいは、植物プロモーターは、特定組織において本発明のポリヌクレオチドの発現を指向させ得るか、またはそうでなければ、より特異的な環境または発達の制御下にあり得る。このようなプロモーターは、本明細書では、「誘導可能な」プロモーターと称する。誘導可能なプロモーターとしては、例えば、光、低温、高温、乾燥、紫外線の照射、特定の化合物の散布などの外因によって発現することが知られているプロモーターなどが挙げられる。この様なプロモーターとしては、例えば、光照射によって発現するリブロース−1,5−2リン酸カルボキシラーゼ小サブユニットをコードする遺伝子のプロモーター(Fluhr,1986,Pro.Natl.Acad.Sci.USA 83,2358)、低温によって誘導されるイネのlip19遺伝子のプロモーター(Aguan,1993,Mol.Gen.Genet.240,1)、高温によって誘導されるイネのhsp72、hsp80遺伝子のプロモーター(Van Breusegem,1994,Planta 193,57)、乾燥によって誘導されるシロイヌナズナのrab16遺伝子のプロモーター(Nundy,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87,1406)、紫外線の照射によって誘導されるトウモロコシのアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモーター(Schulze−Lefert,1989,EMBO J.8,651)などが挙げられる。また、rab16遺伝子のプロモーターは植物ホルモンのアブシジン酸の散布によっても誘導される。
【0055】
「ターミネーター」は、遺伝子のタンパク質をコードする領域の下流に位置し、DNAがmRNAに転写される際の転写の終結、およびポリA配列の付加に関与する配列である。ターミネーターは、mRNAの安定性に寄与し、そして遺伝子の発現量に影響を及ぼすことが知られている。ターミネーターの例としては、CaMV35Sターミネーター、およびノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター(Tnos)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
「薬剤耐性遺伝子」は、形質転換植物の選抜を容易にするものであることが望ましい。カナマイシン耐性を付与するためのネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼII(NPTII)遺伝子、およびハイグロマイシン耐性を付与するためのハイグロマイシンフォスフォトランスフェラーゼ遺伝子などが好適に用いられ得るが、これらに限定されない。
【0057】
「エンハンサー」は、目的遺伝子の発現効率を高めるために用いられ得る。エンハンサーとしては、CaMV35Sプロモーター内の上流側の配列を含むエンハンサー領域が好適である。エンハンサーは、1つの植物発現ベクターあたり複数個用いられ得る。
【0058】
上記のような植物発現ベクターは、当業者に周知の遺伝子組換え技術を用いて作製され得る。植物発現ベクターの構築には、例えば、pBI系のベクターまたはpUC系のベクターが好適に用いられるが、これらに限定されない。
【0059】
DNA導入のための植物材料としては、導入法などに応じて、葉、茎、根、塊茎、プロトプラスト、カルス、花粉、種子胚、苗条原基などから適当なものを選択することができる。「植物細胞」とは、任意の植物細胞であり得る。「植物細胞」の例としては、葉および根などの植物器官の細胞、カルスならびに懸濁培養細胞が挙げられる。植物細胞は、培養細胞、培養組織、培養器官、または植物体のいずれの形態であってもよい。好ましくは、培養細胞、培養組織、または培養器官であり、より好ましくは培養細胞である。
【0060】
また一般に、植物培養細胞へDNAを導入する場合、材料としてプロトプラストが用いられ、エレクトロポーレーション法、ポリエチレングリコール法などの物理・化学的方法によってDNAの導入が行われるのに対して、植物組織へDNAを導入する場合、材料としては葉、茎、根、塊茎、カルス、花粉、種子胚、苗条原基など、好ましくは葉、茎、カルスが用いられ、ウイルスもしくはアグロバクテリウムを用いた生物学的方法、またはパーティクルガン法などの物理・化学的方法によってDNAの導入が行われる。アグロバクテリウムを介する方法としては、例えば、Nagelらの方法(Microbiol.Lett.,67,325(1990))が用いられ得る。この方法は、まず、植物発現ベクターで(例えば、エレクトロポレーションによって)アグロバクテリウムを形質転換し、次いで、形質転換されたアグロバクテリウムをリーフディスク法などの周知の方法により植物組織に導入する方法である。これらの方法は、当該分野において周知であり、形質転換する植物に適した方法が、当業者により適宜選択され得る。
【0061】
植物発現ベクターを導入された細胞は、例えば、カナマイシン耐性などの薬剤耐性を基準として選択される。選択された細胞は、常法により植物体に再生され得る。
【0062】
本発明のポリヌクレオチドが導入された植物細胞から植物を再生させるには、このような植物細胞を、再分化培地、ホルモンフリーのMS培地などに培養すればよい。発根した幼植物体は、土壌に移植して栽培することにより植物体とすることができる。再生(再分化)の方法は植物細胞の種類により異なる。様々な文献にイネ(Fujimura,1995,Plant Tissue Culture Lett.2,74)、トウモロコシ(Shillito,1989,Bio/Technol.7,581、Gorden−Kamm,1990,Plant Cell 2,603)、ジャガイモ(Visser,1989,Theor.Appl.Genet.78,594)、タバコ(Nagata,1971,Planta 99,12)など各種の植物に対しての再分化の方法が記載されている。
【0063】
再生した植物体においては、当業者に周知の手法を用いて、導入された本発明の遺伝子の発現を確認し得る。この確認は、例えば、ノーザンブロット解析を用いて行い得る。具体的には、植物の葉から全RNAを抽出し、変性アガロースでの電気泳動の後、適切なメンブランにブロットする。このブロットに、導入遺伝子の一部分と相補的な標識したRNAプローブをハイブリダイズさせることにより、本発明の遺伝子のmRNAを検出し得る。
【0064】
本発明のポリヌクレオチドを用いて形質転換され得る植物は、遺伝子導入の可能ないずれの植物をも包含する。「植物」は、単子葉植物および双子葉植物の両方を包含する。このような植物には、任意の有用植物、特に作物植物、蔬菜植物、および花卉植物が含まれる。好ましくは、イネ、トウモロコシ、モロコシ、オオムギ、コムギ、ライムギ、ヒエ、アワ、アスパラガス、ジャガイモ、ダイコン、ダイズ、エンドウ、ナタネ、ホウレンソウ、トマト、ペチュニアなどが挙げられるが、これらに限定されない。本発明が適用される最も好ましい植物は、イネであり、特に、ジャポニカイネである。
【0065】
本発明が使用され得る植物種の例としては、ナス科、イネ科、アブラナ科、バラ科、マメ科、ウリ科、シソ科、ユリ科、アカザ科、セリ科の植物が挙げられる。
【0066】
ナス科の植物の例としては、Nicotiana、Solanum、Datura、Lycopersion、またはPetuniaに属する植物が挙げられ、例えば、タバコ、ナス、ジャガイモ、トマト、トウガラシ、ペチュニアなどを含む。
【0067】
イネ科の植物の例としては、Oryza、Hordenum、Secale、Scccharum、Echinochloa、またはZeaに属する植物が挙げられ、例えば、イネ、オオムギ、ライムギ、ヒエ、モロコシ、トウモロコシなどを含む。
【0068】
アブラナ科の植物の例としては、Raphanus、Brassica、Arabidopsis、Wasabia、またはCapsellaに属する植物が挙げられ、例えば、大根、アブラナ、シロイヌナズナ、ワサビ、ナズナなどを含む。
【0069】
バラ科の植物の例としては、Orunus、Malus、Pynus、Fragaria、またはRosaに属する植物が挙げられ、例えば、ウメ、モモ、リンゴ、ナシ、オランダイチゴ、バラなどを含む。
【0070】
マメ科の植物の例としては、Glycine、Vigna、Phaseolus、Pisum、Vicia、Arachis、Trifolium、Alphalfa、またはMedicagoに属する植物が挙げられ、例えば、ダイズ、アズキ、インゲンマメ、エンドウ、ソラマメ、ラッカセイ、クローバ、ウマゴヤシなどを含む。
【0071】
ウリ科の植物の例としては、Luffa、Cucurbita、またはCucumisに属する植物が挙げられ、例えば、ヘチマ、カボチャ、キュウリ、メロンなどを含む。
【0072】
シソ科の植物の例としては、Lavandula、Mentha、またはPerillaに属する植物が挙げられ、例えば、ラベンダー、ハッカ、シソなどを含む。
【0073】
ユリ科に属する植物の例としては、Allium、Lilium、またはTulipaに属する植物が挙げられ、例えば、ネギ、ニンニク、ユリ、チューリップなどを含む。
【0074】
アカザ科の植物の例としては、Spinaciaに属する植物が挙げられ、例えば、ホウレンソウを含む。
【0075】
セリ科の植物の例としては、Angelica、Daucus、Cryptotaenia、またはApitumに属する植物が挙げられ、例えば、シシウド、ニンジン、ミツバ、セロリなどを含む。
【0076】
本明細書中、以下で使用される名称、および以下で記載される実験室手順は、当該分野で周知で一般的に用いられる手順を使用する。標準的な技術は、組換え法、ポリヌクレオチド合成、ならびに細胞培養について使用される。この技術および手順は、一般的に、当該分野、およびこの書類を通じて提供される種々の一般的な参考文献(一般的には、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.を参照。これらは、本明細書中で参考として援用される)。
【0077】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されない。実施例で使用した材料、試薬などは、他に特定のない限り、商業的な供給源から入手可能である。
【0078】
【実施例】
(実施例1:培養によるTos17の活性化および得られた変異体の特徴付け)
ジヤポニカ種の品種「日本晴」、「ひとめぼれ」などの完熟種子を出発材料に用い、先に記載のように(Hirochikaら、1996、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93、7783−7788)(前述)、カルス開始培養および細胞懸濁培養を行った。遺伝子破壊を行うために使用したTos17を活性化するための培養条件は、大槻(1990)の方法(イネ・プロトプラスト培養系、農林水産技術情報協会)の方法に従った。
【0079】
要約すれば、イネの完熟種子を2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)を添加したMS培地(大槻(1990)、前述)で培養し(25℃、1ケ月間)、カルス誘導を行った。得られたカルスを、2,4−Dを添加したN6液体培地(大槻(1990)、前述)で5ヶ月間培養したのち、再分化培地(大槻(1990)、前述)に移し再分化イネ(第1世代(R1)植物)を得た。
【0080】
得られたR1イネの各々を1株とし、それぞれの株から約20のR1種子を回収した。この種子を、1.0%の次亜塩素酸ナトリウムで殺菌し、十分洗浄した後、25℃で24時間水中に浸した。次いで、種子を、塩ストレス条件下の150mMの塩化ナトリウムを含むMS固形培地(MurashigeおよびSkoog、1962、Physiol.Plant.、15、473−497に記載)に植え、第2世代(R2)植物を得て形態分析を行った。R2集団の各植物の表現型を発芽後3〜4週間にわたり注意深く観察した結果、ND1004(品種日本晴)株のR2集団の中に、塩ストレス条件下で、野生型のND1004に比較して、地上部および根の激しい生育阻害(図1のAの最も左以外の幼苗)、および根の著しい分岐(図1のBの右側の幼苗)を示す変異体が見出された。一方、野生型のND1004は、塩ストレス条件下においても顕著な生育の阻害を示さなかった(図1のAの最も左の幼苗;図1のBの左側の幼苗)。
【0081】
従って、塩ストレス条件下でのこのような表現型の発現は、Tos17の転移による遺伝子破壊により生じた可能性が考えられる。
【0082】
(実施例2:Tos17の隣接配列の単離)
実施例1で見られたような表現型を支配する遺伝子を突き止めるために、ゲノムDNA中に転移されたTos17の隣接配列を単離した。
【0083】
実施例1で得られたR2イネ(ND1004株)からCTAB法(MurrayおよびThompson、1980、Nucleic Acids Res.8、4321−4325)によりDNAを調製した。Tos17標的部位配列の増幅は、先に記載のように(Hirochikaら、1996、前述;Sugimotoら、1994、Plant J.、5、863−871)、総DNAを用いる逆PCRにより実施した。
【0084】
要約すれば、まず、ND1004株におけるTos17が転移挿入された標的部位を持つ変異植物(ND1004−/−株)からの総DNAの約0.5μgを、XbaIで消化した。消化したDNAをフェノール/クロロホルム抽出、次いでエタノール沈澱により精製し、そしてT4DNAリガーゼを用いることにより、12℃で総容量300μlで一晩連結した。連結されたDNAを精製し、その3分の1量をPCRの鋳型として用いた。以下に示すプライマーを用いるPCRにより増幅反応を行った:Tos17−3911F、GAGAGCATCATCGGTTACATCTTCTCおよびTos17−xbaI−R、CATGAAATAGATCCATGTATATCT。逆PCR産物をpCR2.1−TOPOベクター(Invitrogen社)中にクローニングし、シークエンサー(ABI社、モデル310)を用いて配列を決定した。この配列を基にして設計した、プライマー0F、GCCATCACAAATCAGCAAGCおよびプライマー3R、ATGGATTGAAGGCCAAGCCACを用いて、組織培養を行わない通常植物の総DNAを鋳型とした逆PCRを行い、Tos17の挿入の標的部位を増幅した。上記と同様にして、塩基配列を決定した。
【0085】
(実施例3:変異体の原因遺伝子の構造解析)
土壌で11日間生育させた野生型イネ(日本晴)の幼苗から以下のようにRNAを調製した。まず、ISOGEN溶液を用いて幼苗から総RNAを抽出した。mRNA精製キット(Stratagene)に含まれるオリゴ(dT)セルロースカラムを用いて、総RNAからポリ(A)mRNAを得た。得られたポリ(A)mRNAから常法に従いcDNAを合成し、cDNAライブラリーをHybriZAP−2.1ベクター(Stratagene)中に構築した。このcDNAライブラリーは、5×105プラークの感染能力を持つ。陽性のcDNA挿入片を含むpBluescriptプラスミドのインビボ切除は、Escherichia coli XL1−Blue MRF2株で行った。
【0086】
このcDNAライブラリーを、Molecular Cloning、A Laboratory Manual(Sambrookら、1989)に記載の方法に従って、実施例2で得たTos17が転移した隣接配列の逆PCR産物をプローブとして用いてスクリーニングした。
【0087】
cDNAライブラリーから、強いハイブリダイゼーションシグナルを示す9つのcDNAクローンが得られた。
【0088】
9つのクローンの中で最長の約1.2kbサイズのcDNAを3100シークエンサー(Applied BioSystems社(ABI))を用いてその両方向について配列決定し、オープンリーディングフレーム(ORF)、BLAST(Altshulら、1997、Nucleic Acids Res.、25、3389−3402)を利用した相同性解析、およびMac Vector 6.0プログラム(帝人システムテクノロジー(株))を用いる分析に供した。
【0089】
配列決定分析により、最長のcDNAクローンは1154bp(配列番号1)の長さを有した。Mac Vector 6.0パッケージを用いたmRNAの分析により、243アミノ酸(配列番号2)からなるタンパク質をコードする最長の729bpオープンリーディングフレームが同定された。配列番号1に示した、この1154bpのcDNA配列を図3に示す。オープンリーディングフレームは、上記cDNA配列の233〜961位に位置する。上記オープンリーディングフレームによりコードされるポリペプチドの推定アミノ酸配列(配列番号2)を図4に示す。
【0090】
(実施例4:独立な変異系統の探索)
実施例1において塩ストレス条件下で地上部および根の生育阻害を示す変異系統ND1004を選抜し、実施例3においてはこの表現型を支配する候補遺伝子を単離した。もし、同じ遺伝子にTos17の挿入変異をもつ他の独立の変異系統で同じ表現型が観察されたら、実施例3で単離された遺伝子が、表現型を支配する遺伝子であると結論される。このことを確かめるために、以下のような方法で、独立な変異系統のスクリーニングを行った。
【0091】
再分化イネ集団において、実施例2と同様にしてDNAを調製した。実施例3において得られたcDNAの塩基配列に基いて以下の4種類のプライマーを設計し、上記DNAを鋳型としてPCRを行った:GTCTGGCCAGTCGTGCAATG;CTGCTGGCAAGAGGGCTGAT;TGGGTTCTTGGTGGCCTCAT;GCCAAGCCACTGAAGCCATT)。変異体のPCRスクリーニングは、宮尾安藝雄、廣近洋彦(2001)イネのTos17による遺伝子破壊法、細胞工学別冊「植物のゲノムサイエンスプロトコール」、秀潤社、73−81に記載の方法に従って行った。その結果、1種類の変異系統NC8328(品種日本晴由来)が得られた。
【0092】
また、図3に記載のcDNA配列をクエリーとしてTos17隣接配列データベース(http://pc7080.abr.affrc.go.jp/〜miyao/pub/Tos17/)を検索すると、もう1種類の変異系統H0851(品種ひとめぼれ由来)が同定された。
【0093】
これらの系統もまた、実施例1と同様の塩ストレス条件下で生育させたとき、地上部および根の生育阻害、および形態異常を呈した(図2A(NC8328;最も左が野生型、中央および右側が変異型である)および図2B(H0851;最も左が野生型、それ以外の4つの幼苗が変異型である))。
【0094】
(実施例5:塩ストレス感受性の評価)
本実施例では、実施例2〜4で得た遺伝子と塩ストレス感受性との関連を調べた。当該遺伝子を有する系統として日本晴ND1004株を選択し、当該遺伝子が破壊された変異体としてND1004−/−株を使用した。
【0095】
ND1004株のR2世代では、正常な当該遺伝子を有する個体と、当該遺伝子が破壊された変異体が分離してくる。前者をND1004+/+株、後者をND1004−/−株として実験に用いた。変異体であるかどうかの判定はサザン解析によって行った。つまり、ND1004株のR2世代の植物からDNAを抽出し、制限酵素XbaIで切断後、アガロースゲル電気泳動を行い、ナイロン膜にDNAを転写した。その後32Pで標識した当該遺伝子をプローブとしてハイブリダイゼーションを行い、遺伝子の変異を確認した。変異型のバンドパターンを示す個体をND1004−/−株とした。これら一連の解析は、Molecular Cloning、A Laboratory Manual(Sambrookら、1989)に記載の条件で行った。
【0096】
野生型ND1004株および変異型ND1004−/−株の種子(1株あたり約30の種子)を、1.0%の次亜塩素酸ナトリウムで殺菌し、十分洗浄した後、25℃で24時間水中に浸した。次いで、これらの種子を、0mMおよび150mMの塩化ナトリウムを含むMS固形培地(MurashigeおよびSkoog、前出)にて無菌的に発芽させ、そして25℃、明所14時間、暗所10時間で、18日間生育させた。これらの生育の様子を図5のAおよびBに示す。図5のAは、塩化ナトリウムを添加しない培地における野生型および変異型の地上部および根(左側)および根(右側)を示す(左側の写真では、最も左が野生型であり、それ以外は変異型である;右側の写真では、左側が野生型であり、右側は変異型である)。Bは、塩化ナトリウムを添加した培地における野生型(最も左側)および変異型(残りの3個体)の地上部および根を示す。野生型ND1004株は、塩ストレス条件下でも、塩ストレスを与えない条件と比較して若干生育が遅れるものの、地上部および根の形態に顕著な変化は見られなかった(図5Aおよび5B)。変異型ND1004−/−株は、塩ストレス条件下において地上部および根の顕著な生育阻害、根の形態異常が見られた(図5B)が、このような生育阻害および形態異常は、ストレスを与えない条件下では見られなかった(図5A)。
【0097】
さらに、この変異型を、塩ストレスを与えない土壌で発芽させ、そして生育させたとき(温室で3ヶ月生育)、正常に生育した(図5C)。
【0098】
従って、当該遺伝子の破壊が塩ストレスに対する感受性を発現した。このことは、当該遺伝子が塩ストレスに対する感受性を決定することを示す。
【0099】
(実施例6:浸透圧ストレス感受性の評価)
本実施例では、実施例2〜4により得られた遺伝子と浸透圧ストレス感受性との関連を調べた。当該遺伝子を有する系統として日本晴ND1004株を選択し、当該遺伝子が破壊された変異体としてND1004−/−株を使用した。本株は、実施例5と同様にして得た。
【0100】
野生型ND1004株および変異型ND1004−/−株の種子(1株あたり約30の種子)を、1.0%の次亜塩素酸ナトリウムで殺菌し、十分洗浄した後、25℃で24時間水中に浸した。次いで、これらの種子を、実施例5と同様の条件下で11日間、マンニトールを含まないMS固形培地(MurashigeおよびSkoog、前出)にて無菌的に発芽させ、そして生育させた。11日間生育させた幼苗において、地上部上方および根を切断除去した(切断部位を、図6において矢印で示す)。残りの組織片を、150mMのマンニトールを含むMS固形培地に移植し、上記と同様の条件下で、さらに7日間生育させた。野生型からは、新生根が正常に生育するが、変異型では、新生根の顕著な生育阻害が見られた(図6の右側が変異型であり、残りの2個体が野生型である)。
【0101】
従って、当該遺伝子の破壊はまた、浸透圧ストレスに対する感受性を発現した。このことは、当該遺伝子が浸透圧ストレスに対する感受性を決定することを示す。
【0102】
【発明の効果】
植物育種に利用可能な環境ストレス耐性を制御する新規ポリヌクレオチドが提供される。さらに、環境ストレスに対する感受性の操作および感受性の異なる植物の選抜、ならびに、これらの環境ストレスに対する耐性を強化した植物の作出に有用なポリヌクレオチドが提供される。
【0103】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】日本晴再分化系統群から見出された塩ストレス高感受性変異体および対照の野生型の幼苗の地上部および根の形態を示す写真(A)、ならびに根の形態を示す写真(B)である。
【図2】日本晴再分化系統群(A)、ひとめぼれ再分化系統群(B)から独立に見出された塩ストレス高感受性変異体および対照の野生型の幼苗の地上部および根の形態を示す写真である。
【図3】塩ストレス感受性を決定するイネ遺伝子のcDNA配列を示す図である。
【図4】塩ストレス感受性を決定するイネ遺伝子にコードされるタンパク質の推定アミノ酸配列を示す図である。
【図5】塩化ナトリウムを添加しない培地(A)および塩化ナトリウム添加培地(B)で発芽および生育させた野生型および変異型の地上部および根の形態、ならびに通常の土壌で生育させた変異型の生育形態を示す写真である。
【図6】マンニトール添加培地に移植して生育させた野生型および変異型の地上部および根の生育形態を示す写真である。
Claims (6)
- 塩ストレス耐性を制御する植物遺伝子をコードするポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドが、配列表の配列番号2の1位のメチオニンから243位のアスパラギンまでのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、または該アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換および/もしくは付加されたアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を有し、かつ塩ストレス耐性を制御する機能を有するポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチド。
- 前記植物遺伝子が浸透圧ストレス耐性をさらに制御する、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
- イネ由来である、請求項1または2に記載のポリヌクレオチド。
- 塩ストレス耐性を制御する植物遺伝子をコードするポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドが、配列表の配列番号1の233位のAから961位のCまでに示されるヌクレオチド配列または該ヌクレオチド配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチド。
- 前記植物遺伝子が浸透圧ストレス耐性をさらに制御する、請求項4に記載のポリヌクレオチド。
- イネ由来である、請求項4または5に記載のポリヌクレオチド。
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