JP2003047246A - スイッチング電源回路 - Google Patents

スイッチング電源回路

Info

Publication number
JP2003047246A
JP2003047246A JP2001227804A JP2001227804A JP2003047246A JP 2003047246 A JP2003047246 A JP 2003047246A JP 2001227804 A JP2001227804 A JP 2001227804A JP 2001227804 A JP2001227804 A JP 2001227804A JP 2003047246 A JP2003047246 A JP 2003047246A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
winding
control
switching
voltage
circuit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001227804A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayuki Yasumura
昌之 安村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2001227804A priority Critical patent/JP2003047246A/ja
Publication of JP2003047246A publication Critical patent/JP2003047246A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 設計及び製造の容易化、電力変換効率の向上
を図る。 【解決手段】 自励式の電圧共振形コンバータを備える
複合共振形スイッチングコンバータを基本構成として、
ドライブトランスCDTに、検出巻線NAと、自励発振
駆動回路の駆動巻線NBと、制御巻線Ncを巻装する。
また制御巻線NcとコンデンサCB2と導通制御素子Q2
とを直列接続した回路を二次側に設ける。安定化は、導
通制御素子Q2の電流導通量を可変することで、自励発
振駆動回路からスイッチング素子Q1のベースに流れる
ベース電流レベルを可変して、スイッチング周波数を可
変制御する。導通制御素子Q2のベース−エミッタ間電
圧が鋸歯状波となるようにすることで、スイッチング素
子Q1のスイッチング損失を低減させる。またスイッチ
ング素子のベース・エミッタ間に低速リカバリ型ダイオ
ードと抵抗が接続され、低速リカバリ型ダイオードと並
列にコンデンサを接続する。導通制御素子Q2と並列に
高速リカバリ型ダイオードを接続する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種電子機器に電
源として備えられるスイッチング電源回路に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】スイッチング電源回路として、例えばフ
ライバックコンバータやフォワードコンバータなどの形
式のスイッチングコンバータを採用したものが広く知ら
れている。これらのスイッチングコンバータはスイッチ
ング動作波形が矩形波状であることから、スイッチング
ノイズの抑制には限界がある。また、その動作特性上、
電力変換効率の向上にも限界があることがわかってい
る。そこで、先に本出願人により、各種共振形コンバー
タによるスイッチング電源回路が各種提案されている。
共振形コンバータは容易に高電力変換効率が得られると
共に、スイッチング動作波形が正弦波状となることで低
ノイズが実現される。また、比較的少数の部品点数によ
り構成することができるというメリットも有している。
【0003】図9の回路図は、先に本出願人が提案した
発明に基づいて構成することのできる、先行技術として
のスイッチング電源回路の一例を示している。この図に
示す電源回路の基本構成としては、一次側スイッチング
コンバータとして電圧共振形コンバータを備えている。
【0004】この図に示す電源回路では、ブリッジ整流
回路Di及び平滑コンデンサCiによって、商用交流電
源(交流入力電圧VAC)から交流入力電圧VACの1倍の
レベルに対応する整流平滑電圧Eiを生成する。
【0005】上記整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)を
入力して断続する電圧共振形コンバータとしては、1石
によるシングルエンド方式が採用される。また駆動方式
としては自励式の構成を採っている。この場合、電圧共
振形コンバータを形成するスイッチング素子Q1には、
高耐圧のバイポーラトランジスタ(BJT;接合型トラ
ンジスタ)が選定される。このスイッチング素子Q1の
コレクタ−エミッタ間に対しては、一次側並列共振コン
デンサCrが並列に接続される。また、ベース−エミッ
タ間に対しては、クランプダイオードDD−抵抗RDの直
列回路が接続される。ここで、並列共振コンデンサCr
は、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に得
られるリーケージインダクタンスL1と共に、一次側並
列共振回路を形成しており、これによって電圧共振形コ
ンバータとしての動作が得られるようになっている。そ
して、スイッチング素子Q1のベースに対しては、駆動
巻線NB−共振コンデンサCB−ベース電流制限抵抗RB
から成る自励発振駆動回路が接続される。スイッチング
素子Q1には、この自励発振駆動回路にて発生される発
振信号を基とするベース電流が供給されることでスイッ
チング駆動される。なお、起動時においては整流平滑電
圧Eiのラインから起動抵抗Rsを介してベースに流れ
る起動電流によって起動される。
【0006】直交型制御トランスPRTは、上記駆動巻
線NBと電流検出巻線NDの巻装方向に対してその巻装方
向が直交するようにして制御巻線Ncが巻装されて構成
され、後述するようにして一次側電圧共振形コンバータ
のスイッチング周波数を制御するために設けられる。こ
の直交形制御トランスPRTの構造については後述す
る。
【0007】絶縁コンバータトランスPITは、一次側
に得られるスイッチングコンバータのスイッチング出力
を二次側に伝送するために設けられる。この絶縁コンバ
ータトランスPITは、EE型コアに対して一次巻線N
1と二次巻線N2を分割して巻装し、中央磁脚に対しては
ギャップを形成することで、所要の結合係数による疎結
合の状態が得られるようにして、飽和状態が得られにく
いようにしている。
【0008】この絶縁コンバータトランスPITの一次
巻線N1は、その一端が電流検出巻線NDを介して直流入
力電圧(整流平滑電圧Ei)のラインと接続され、多端
がスイッチング素子Q1のコレクタに接続されている。
スイッチング素子Q1は、直流入力電圧についてスイッ
チングを行うのであるが、上記した接続形態によって、
一次巻線N1及び電流検出巻線NDには、スイッチング素
子Q1のスイッチング出力が供給されることとなり、ス
イッチング周波数に対応する周期の交番電圧が発生す
る。
【0009】絶縁コンバータトランスPITの二次側で
は、一次巻線N1により誘起された交番電圧が二次巻線
N2に発生する。この場合、二次巻線N2に対しては、二
次側並列共振コンデンサC2が並列に接続されること
で、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2と二次
側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって
並列共振回路が形成される。この並列共振回路により、
二次巻線N2に誘起される交番電圧は共振電圧となる。
つまり二次側において電圧共振動作が得られる。
【0010】即ち、この電源回路では、一次側にはスイ
ッチング動作を電圧共振形とするための並列共振回路が
備えられ、二次側には電圧共振動作を得るための並列共
振回路が備えられる。なお、本明細書では、このように
一次側及び二次側に対して共振回路が備えられて動作す
る構成のスイッチングコンバータについては、「複合共
振形スイッチングコンバータ」ともいうことにする。
【0011】この場合の絶縁コンバータトランスPIT
の二次側においては、先ず、二次巻線N2の巻終わり端
部に対して整流ダイオードDO1のアノードを接続し、カ
ソードを平滑コンデンサCO1の正極端子と接続すること
で、半波整流回路を形成している。この半波整流回路に
よっては、平滑コンデンサCO1の両端には、二次側直流
出力電圧EO1が得られることになる。また、この場合に
は、二次巻線N2に対してタップを設け、このタップ出
力に対して、図示するようにして整流ダイオードDO2及
び平滑コンデンサCO2から成る半波整流回路を形成して
いる。そして、この半波整流回路によっては、上記二次
側直流出力電圧EO1よりも低圧な二次側直流出力電圧E
O2が得られる。なお、具体的には、二次側直流出力電圧
EO1=135V、二次側直流出力電圧EO2=15Vとな
る。
【0012】これら二次側直流出力電圧EO1,EO2は、
それぞれ所要の負荷回路に対して供給されることにな
る。また、二次側直流出力電圧EO1は制御回路1の検出
用電圧として分岐出力される。
【0013】制御回路1は、直流出力電圧EO1と二次側
アース間に抵抗R3−R4が直列に接続され、この接続点
(分圧点)に対してシャントレギュレータQ3のコント
ロール端子が接続される。シャントレギュレータQ3の
アノードはアースに接地され、カソードは直交型制御ト
ランスPRTの制御巻線NCを介して、二次側直流出力
電圧EO2のラインに対して接続される。また、ここでは
シャントレギュレータQ3のカソードは、コンデンサC1
1を介して抵抗R3、R4の接続点と接続されている。ま
た、抵抗R4に対しては、コンデンサC3と抵抗R5の直
列接続回路が並列に接続される。
【0014】上記のような接続形態により形成される制
御回路1は、直流出力電圧EO1を検出入力とする誤差増
幅器として機能する。即ち、直流出力電圧EO1を抵抗R
3、R4により分圧した電圧がコントロール電圧としてシ
ャントレギュレータQ3のコントロール端子に対して入
力される。従ってシャントレギュレータQ3では、直流
出力電圧EO1に応じたレベルの電流を、制御電流Icと
して制御巻線NCに対して流すようにされる。つまり、
制御巻線NCに流れる制御電流レベルが可変制御される
ものである。制御巻線Ncに流れる制御電流レベルが可
変されることで、直交型制御トランスPRTにおいて
は、駆動巻線NBのインダクタンスLBを可変するように
制御することになる。これによって、自励発振駆動回路
における駆動巻線NB−共振コンデンサCBから成る共振
回路の共振周波数が変化し、スイッチング素子Q1のス
イッチング周波数が可変制御されることになる。このよ
うにしてスイッチング素子Q1のスイッチング周波数が
可変されることで、二次側直流出力電圧が一定となるよ
うに制御される。つまり、電源の安定化が図られる。こ
こで、スイッチング周波数を可変するのにあたってはメ
インスイッチング素子Q1がオフとなる期間は一定とさ
れたうえで、オンとなる期間を可変制御するように動作
している。つまり、オン期間についての導通角制御を行
うと共にスイッチング周波数制御を実行している。な
お、本明細書では、このような複合的な制御を「複合制
御方式」ということとしている。
【0015】図10は、上記図9に示す構成の電源回路
の要部の動作として、重負荷時における各部の動作波形
を示している。ここでは主として一次側の動作が示され
ている。自励発振駆動回路内の直列共振回路(NB,C
B)では、駆動巻線NBに得られた交番電圧により共振動
作を行うことで、図10(e)に示すように、正弦波状
の直列共振電流I2が得られる。そして、この直列共振
電流I2がベース電流制限抵抗RBを介することで、スイ
ッチング素子Q1のベースには図10(d)に示すよう
に、ベース電流(駆動電流)IBが流れる。この駆動電
流IBによって、スイッチング素子Q1は、スイッチング
動作を行う。
【0016】この際、スイッチング素子Q1のコレクタ
に流れるコレクタ電流IQ1は、図10(b)に示す波形
が得られる。また、スイッチング素子Q1//並列共振
コンデンサCrの並列接続回路の両端には、図10
(a)に示すようにして、この並列共振回路の作用によ
って並列共振電圧V1が発生する。この並列共振電圧V1
は、図のように、スイッチング素子Q1がオンとなる期
間TONは0レベルで、オフとなる期間TOFFにおいて正
弦波状のパルスとなる波形が得られ、電圧共振形として
の動作に対応している。
【0017】また、上記したタイミングによってスイッ
チング素子Q1がスイッチング動作を行うことで、一次
巻線N1に流れる巻線電流I1は、図10(c)に示すよ
うにしてスイッチング周期に応じた交番波形となる。
【0018】ここで、スイッチング素子Q1がオンとな
る期間TONにおいて、図10(e)の直列共振電流I2
が正極性の領域は、図10(d)の駆動電流IBの順方
向バイアス電流の領域に対応する。また、同じ期間TON
において、直列共振電流I2が負極性の領域は、駆動電
流IBの逆方向バイアス電流となる。そして、この期間
TONにおける駆動電流IBの逆方向バイアス電流の領域
がスイッチング素子Q1の蓄積時間(tstg)となる。
【0019】スイッチング素子Q1のベース−エミッタ
間には、逆回復時間が長い低速のダンパーダイオードD
Dと抵抗RDの直列回路が接続されている。スイッチング
素子Q1がオフとなる期間TOFFでは、負となる直列共振
電流I2が、抵抗RD→クランプダイオードDD→ベース
電流制限抵抗RB→共振コンデンサCB→駆動巻線NBを
介して流れるが、これが図10(g)のダンパー電流I
D1として期間TOFFに得られる波形となる。そして次
に、期間TONが開始されると、並列共振コンデンサCr
の充放電エネルギーが、クランプダイオードDD→スイ
ッチング素子Q1のベース→コレクタを介して流れ、こ
れが、期間TON開始時(ターンオン時)における負極性
のダンパー電流ID1となる。そして、この期間が終了す
ると、ダンパーダイオードDDは逆回復時間の領域とな
って正極性の方向に急峻に立ち上がり、以降は、図示す
るようにして、期間TON終了時にかけて徐々に0レベル
となっていく波形が得られる。
【0020】上記のようにして駆動電流IB及びダンパ
ー電流ID1が流れることに対応して、スイッチング素子
Q1のベース−エミッタ間電圧VBEは、図10(f)に
示すように、期間TOFFにおいては負極性による正弦波
状で、期間TONにおいては、その開始時のダンパー期間
では急峻に負極性にピークを持ち、これが終了すると正
極性の一定レベルで0レベルに対してオフセットが与え
られる波形となるものである。このオフセットレベル
は、例えば抵抗RDの抵抗値により決定される。
【0021】また、上記のようにして動作する図9の電
源回路の定電圧制御特性を図11に示す。二次側直流出
力電圧EO1の負荷電流Ioが0〜1.5Aの範囲で変化
するのに応じて、制御電流Icは、図のようにして変化
する。つまり、負荷電流が増加して重負荷の条件とな
り、二次側直流出力電圧EO1が低下していくのに従って
制御電流レベルを減少させるようにして制御が行われ
る。この結果、スイッチング周波数fsとしては、重負
荷の条件となるのに従って低下していくようにして制御
が行われる。また、交流入力電圧VACの変動に対応する
ものとして、交流入力電圧VAC=120VとVAC=90
Vの場合が示されているが、制御電流Icは、交流入力
電圧VAC=120V時の条件のほうが交流入力電圧VAC
=90V時の条件よりも増加しており、スイッチング周
波数fsについては、交流入力電圧VAC=120V時の
条件のほうが交流入力電圧VAC=90V時の条件よりも
高くなっている。これは、交流入力電圧VACのレベルが
高くなって二次側直流出力電圧EO1が上昇したとされる
場合には制御電流Icは増加されるようにして制御さ
れ、これに応じてスイッチング周波数fsも上昇される
ようにして制御されることを示している。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】ところで上記構成にお
いて直交形制御トランスPRTは、共振電流検出巻線N
D、駆動巻線NB、及び制御巻線NCが巻装された可飽和
リアクトルである。図13に直交形制御トランスPRT
の構造を示す。図13(a)はその全体構造を説明する
ための外観斜視図、図13(b)は巻装される巻線の巻
線方向を説明するための断面斜視図である。図13
(a)に示すように、直交形制御トランスPRTは、フ
ェライトによる2つのダブルコの字形コア21,22を
組み合わせた立体形コア20によって形成されている。
一方のダブルコの字形コア21は、図13(a)(b)
に示されているように4本の磁脚21a,21b,21
c,21dを有して構成される。また、他方のダブルコ
の字形コア22も、例えば図13(a)(b)に示され
ているように4本の磁脚22a,22b,22c,22
dを有して構成される。そして、これら2つのダブルコ
の字形コア21,22の互いの磁脚21a〜21d,2
2a〜22dの端部を接合することで立体形コア20が
形成されている。
【0023】磁脚21a〜21dのそれぞれと磁脚22
a〜22dのそれぞれの接合部分については、上段の2
組或いは下段の2組において10μmのマイラーフィル
ムを挿入し、ギャップG=10μmとしている。そして
図12に示すように、駆動巻線NBのインダクタンスLB
の直流重畳特性は、制御電流Ic=10mA〜60mA
に対して、インダクタンスLB=8μH〜2.5μHに
変化する。
【0024】そして、図13(b)にも示されているよ
うに、例えばダブルコの字形コア22の2本の磁脚22
c,22dには制御巻線NCが巻回され、ダブルコの字
形コア21の磁脚21c,21bには検出巻線ND及び
駆動巻線NBが巻回されている。つまり、この直交形制
御トランスPRTは、検出巻線ND及び駆動巻線NBに対
して制御巻線NC が直交する方向に巻回された可飽和リ
アクトルとして構成される。この直交形制御トランスP
RTの制御巻線NCとしては、例えば60μmφのポリ
ウレタン被覆銅線により1000T(ターン)巻回さ
れ、検出巻線NDは0.3mmφのポリウレタン被覆銅
線により1T、駆動巻線NBは0.3mmφのポリウレ
タン被覆銅線により3T巻回される。
【0025】このような直交形制御トランスPRTで
は、制御巻線に流す制御電流量を少なくするために、ギ
ャップGが上記のように10μmという程度に僅小なも
のとしている。ところがこのため製造時においてはその
ギャップ厚の精度誤差が生じざるを得なくなるが、これ
は、直交型制御トランスPRTに巻装される駆動巻線N
Bのインダクタンス値についてばらつきを生じさせる。
またフェライトコアの透磁率、磁脚の接合時のずれ等の
ばらつきも、駆動巻線NBのインダクタンス値について
ばらつきを生じさせる。これらのことからインダクタン
スLBの許容値は、インダクタンス値が±10%変動す
るものとしなければならない。このためスイッチング素
子Q1の増幅率hFEや蓄積時間tstgのばらつきが生ず
るが、このばらつきに対して複合共振形コンバータの定
電圧保証範囲を、例えば商用交流電源が100V系であ
る場合に交流入力電圧VAC=100V±10%とするた
めには、直交形制御トランスPRTのインダクタンス可
変範囲は十分なマージンをもって設計しなければならな
い。つまり実用化の場合のマージン設計が困難なものと
なる。
【0026】また直交形制御トランスPRTの巻線仕様
は上記のとおりであり、さらに制御巻線NCと、検出巻
線ND及び駆動巻線NBとを互いに直交する方向に巻回す
ることは、製造上、巻線工程が非常に複雑となる。さら
にダブルコの字形コア21、22のそれぞれ4本の磁脚
をマイラフィルムを介してずれなく接合することも組立
工程を難しくしている。即ち直交形制御トランスPRT
は製造の難易度が高く、コストダウンも困難である。
【0027】また直交形制御トランスPRTの制御巻線
NCに流れる直流制御電流Icは、絶縁コンバータトラ
ンスPITの2次側の直流出力電圧E02ライン(15V
ライン)から供給され、その供給電力は0.9W〜0.
15Wの範囲で変動するが、この供給電力は無効電力で
あり、軽負荷時の電力損失が増加する。
【0028】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は上記した
課題を解決するため、スイッチング電源回路として次の
ように構成する。つまり、直流入力電圧についてスイッ
チングを行うスイッチング素子を備えるとともに、上記
スイッチング素子としてのトランジスタのベース・エミ
ッタ間に低速リカバリ型ダイオードと抵抗が接続され、
上記低速リカバリ型ダイオードと並列にコンデンサが接
続されたスイッチング手段と、一次巻線と二次巻線とを
備え、上記一次巻線に得られる上記スイッチング手段の
出力を上記二次巻線に対して伝送する絶縁コンバータト
ランスと、上記絶縁コンバータトランスの一次巻線と一
次側並列共振コンデンサとにより形成され上記スイッチ
ング手段の動作を電圧共振形とするように設けられる一
次側並列共振回路と、上記絶縁コンバータトランスの二
次巻線に対して二次側並列共振コンデンサを並列に接続
することで形成される二次側並列共振回路と、上記二次
側並列共振回路に得られる交番電圧を入力して整流動作
を行うことで直流出力電圧を得るように構成される直流
出力電圧生成手段と、検出巻線、駆動巻線、制御巻線が
巻装され、上記検出巻線が上記絶縁コンバータトランス
の一次巻線に直列に接続されることにより上記スイッチ
ング手段の出力を上記駆動巻線に伝達すると共に、上記
制御巻線に流れる制御電流により上記駆動巻線を制御す
るドライブトランスと、上記駆動巻線と共振用コンデン
サにより形成される直列共振回路を有してこの直列共振
回路の出力に基づいて上記スイッチング素子をスイッチ
ング駆動するスイッチング駆動手段と、上記絶縁コンバ
ータトランスの二次側に備えられ、少なくとも上記制御
巻線と導通制御素子としてのトランジスタ素子が直列に
接続され、さらに上記導通制御素子に対して高速リカバ
リ型ダイオードが並列に接続されて成る導通制御回路
と、上記導通制御素子としてのトランジスタ素子の制御
入力端子電位の波形が略鋸歯状となるようにして設けら
れる時定数回路と、上記直流出力電圧のレベルに応じた
レベルの制御電流を、上記時定数回路を介して上記導通
制御素子の上記制御入力端子に供給することで、上記ス
イッチング素子のスイッチング周波数を可変制御し、上
記直流出力電圧についての定電圧制御を行うようにされ
る定電圧制御手段と、を備えるようにする。
【0029】また、上記導通制御回路は、上記制御巻線
と、コンデンサと、上記導通制御素子としてのトランジ
スタ素子とが直列に接続されるようにする。また上記ド
ライブトランスのコアは、中空円柱形のアモルファス磁
性体とされる。又は、上記ドライブトランスのコアは、
中空円柱形、又はEI形、又はH字形のフェライトが用
いられる。また、上記制御巻線について、三重絶縁線を
用いる。
【0030】上記構成による電源回路は、ドライブトラ
ンスを備えることでスイッチング素子を自励式によって
駆動する複合共振形コンバータとしての基本構成を採
る。そして、定電圧制御のために、導通制御素子を備え
た導通制御回路を設けるようにしている。この導通制御
回路では、導通制御素子としてのトランジスタ素子の制
御入力端子電位(ベース−エミッタ間電圧)の波形が鋸
歯状波となるようにされており、この鋸歯状波が立ち上
がりを開始してピークとなるまでの立ち上がり期間を可
変することで、導通制御素子における電流導通量を可変
するようにされる。つまり、導通制御素子と直列接続さ
れたドライブトランスの制御巻線に対して、二次側直流
電圧レベルに応じたレベル電流を流すようにされる。こ
のようにして制御巻線における電流量を可変すれば、制
御巻線と磁気結合される駆動巻線を介して流れようとす
る電流量は変化することになって、駆動巻線を有して形
成されるスイッチング駆動手段に流れる電流量が可変さ
れる。これによって、スイッチング素子のスイッチング
周波数を可変制御するようにしている。そしてこのよう
な定電圧制御の構成であれば、例えば自励式の場合にス
イッチング周波数可変制御のために用いられていた直交
型制御トランスを省略することが可能となる。
【0031】また、スイッチング素子がターンオフする
直前期間においては、スイッチング素子のベース電流と
しては逆方向電流となるのであるが、上記のように導通
制御素子の制御入力端子電位(ベース−エミッタ間電
圧)が鋸歯状波となることによっては、上記スイッチン
グ素子のベース電流が逆方向電流となる期間に対応し
て、導通制御素子を導通させて制御巻線に電流を流すこ
とが可能になる。従って、この期間においては、制御巻
線に流れる電流に応じて、駆動巻線側に流れる電流レベ
ルも増加することになって、スイッチング素子のベース
に流れる逆方向電流のレベルを増加させるという動作が
得られる。
【0032】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の形態とし
ての電源回路の構成を示している。この図1に示す電源
回路は、一次側に電圧共振形コンバータを備えると共に
二次側には並列共振回路を備えた複合共振形スイッチン
グコンバータとしての構成を採る。この図に示す電源回
路においては、先ず、商用交流電源(交流入力電圧VA
C)を入力して直流入力電圧を得るための整流平滑回路
として、ブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCi
からなる全波整流回路が備えられ、交流入力電圧VACの
1倍のレベルに対応する整流平滑電圧Eiを生成するよ
うにされる。
【0033】上記整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)を
入力して断続するスイッチングコンバータとしては、1
石のスイッチング素子Q1を備えて、いわゆるシングル
エンド方式によるスイッチング動作を行う電圧共振形コ
ンバータが備えられる。ここでの電圧共振形コンバータ
は自励式の構成を採っており、スイッチング素子Q1と
しては、高耐圧のバイポーラトランジスタ(BJT;接
合型トランジスタ)が使用される。スイッチング素子Q
1のコレクタは、絶縁コンバータトランスPITの一次
巻線N1及びドライブトランスCDTの検出巻線NAを介
して平滑コンデンサCiの正極と接続され、エミッタは
一次側アースに接続される。
【0034】また、スイッチング素子Q1のコレクタ−
エミッタ間に対しては、並列共振コンデンサCrが並列
に接続される。この並列共振コンデンサCrのキャパシ
タンスと、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N
1に得られるリーケージインダクタンスとによって一次
側並列共振回路を形成する。そして、スイッチング素子
Q1のスイッチング動作に応じて、この並列共振回路に
よる共振動作が得られることで、スイッチング素子Q1
のスイッチング動作としては電圧共振形となる。
【0035】また、スイッチング素子Q1 のベース−エ
ミッタ間にはクランプダイオードDD1と抵抗RDの直列
回路が接続される。ここでは、クランプダイオードDD1
のアノードが抵抗RDを介してエミッタ(一次側アー
ス)と接続され、カソードがベースに対して接続され
る。なお、この場合のクランプダイオードDD1には低速
リカバリ型のダイオード素子が選定される。さらに、ク
ランプダイオードDD1に対して並列にフィルムコンデン
サC5が接続される。
【0036】ドライブトランスCDTは、スイッチング
素子Q1を自励式により駆動するために設けられる。こ
の場合、ドライブトランスCDTの一次側は検出巻線N
Aとされ、この検出巻線NAは絶縁コンバータトランスP
ITの一次巻線N1に直列に接続されていることで、絶
縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に伝達され
たスイッチング素子Q1のスイッチング出力を検出する
ようになっている。そして、この検出巻線NAに得られ
る交番電圧が誘起される二次側に対して、駆動巻線NB
が巻装される。この駆動巻線NBは、スイッチング素子
Q1をスイッチング駆動する自励発振駆動回路を形成す
る。さらに、本実施の形態の場合には、ドライブトラン
スCDTに対して制御巻線Ncが巻装される。ここで、
上記各巻線の巻き方向は、図示するように、検出巻線N
Aと制御巻線Ncが同相で、これらの巻線NA,Ncに対
して駆動巻線NBが逆相となるようにして巻装されてい
る。
【0037】上記各巻線(NA,NB,Nc)が巻装され
るドライブトランスCDTとしては、例えば図5に示す
ようなH字形フェライトコアによる開磁路型ものか、或
いは図6のEI型フェライトコアによる閉磁路型ものを
採用できる。また或いは、図7のような中空円柱形のコ
アを採用できる。この場合、Ni−Znフェライト、或
いは、コバルト系アモルファス磁性体を用いる。
【0038】図5の場合は、H字型のフェライトコア1
00に対して、検出巻線NA、駆動巻線NB、及び制御巻
線Ncを巻装することで形成される。
【0039】図6の場合は、I型コア102とE型コア
103を図のように組み合わせてEI型コアを形成す
る。そしてE型コア103の中央磁脚に分割ボビン10
3を配し、この分割ボビン103に例えば図示するよう
にして、検出巻線NA、駆動巻線NB、及び制御巻線Nc
をそれぞれ巻装することで形成される。
【0040】図7の場合は、円筒型をくり抜くようにさ
れた、中空円柱形のコア104を備え、このコア104
に対して検出巻線NA、駆動巻線NB、及び制御巻線Nc
をそれぞれ巻装する構造を有する。
【0041】この図5、図6,図7に示されるような構
造のドライブトランスCDTは、例えば図9で説明した
直交形制御トランスPRTに比較した場合には、相当に
小型軽量なものとなる。
【0042】なお図7の中空円柱形のコア104を採用
する場合としては、上記のように、コア104をコバル
ト系アモルファス磁性体を用いることが考えられる。ア
モルファス磁性体は、図8(a)に示す磁化曲線として
示されるように、いわゆる角形比が高いヒステリシス特
性となる。つまり、アモルファス磁性体は、少ない電流
変化に応じても磁気飽和の状態となりやすいという性質
を有している。そしてこの場合には、コア104につい
てギャップを形成しないようにしていることで、閉磁路
型のコアを得るようにしている。これにより、ドライブ
トランスCDTとしては、飽和しやすい状態が得られる
ことになり、可変インダクタンストランスとして構成さ
れることになる。このような構成とされることで、ドラ
イブトランスCDTに巻装される検出巻線NAと駆動巻
線NBのインダクタンス特性としては、図8(b)に示
すようにして、各巻線に流れる電流Iに応じてそのイン
ダクタンスが変化することになる。つまり、電流I=0
(A)で素子としてのインダクタンス値を有し、この電
流Iの絶対値レベルが大きくなっていくのにしたがって
比例的に減少していくものとなる。
【0043】ところで図1からわかるように、ドライブ
トランスCDTにおいて、検出巻線NA及び駆動巻線NB
は絶縁コンバータトランスPITの一次側に在るように
される。一方、制御巻線Ncは、絶縁コンバータトラン
スPITの二次側に在るようにされる。このため、例え
ば、一次側と二次側の直流的絶縁性を確保するのにあた
っては、フォトカプラ等を設けることが一般には行われ
る。これに対して、本実施の形態では、制御巻線Ncに
ついて三重絶縁線を選定することで、検出巻線NA及び
駆動巻線NBに対する絶縁性を確保するようにしてお
り、これによってフォトカプラを介在させなくとも充分
な絶縁状態を得るようにしている。
【0044】図1に示すように、スイッチング素子Q1
のベースに対しては、[ベース電流制限抵抗RB−駆動
巻線NB−時定数(共振用)コンデンサCB]の直列接続
回路が接続される。この直列接続回路は、スイッチング
素子Q1を自励式によりスイッチング駆動するための自
励発振駆動回路となる。
【0045】この場合、ドライブトランスCDTの検出
巻線NAは絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1
と直列接続されている。このため、自励発振駆動回路に
おけるドライブトランスCDTの駆動巻線NBは、一次
巻線N1に伝達されたスイッチング出力電圧により交番
電圧が励起される。そして、上記した自励発振駆動回路
としては、コンデンサCBと駆動巻線NBのインダクタン
スとによって、直列共振回路を形成する。
【0046】上記自励発振駆動回路の駆動巻線NBに
は、上記もしたように、検出巻線NAにより励起される
ことで、ドライブ電圧としての交番電圧が発生する。こ
のドライブ電圧によって直列共振回路(NB−CB)が自
励的に発振動作を行うことで共振出力が得られることに
なる。そして、この共振出力がベース電流制限抵抗RB
を介することで、スイッチング素子Q1のベースには、
スイッチング駆動信号としてのベース電流IBが流れる
ようにされる。これにより、スイッチング素子Q1は、
直列共振回路の共振周波数により決定されるスイッチン
グ周波数でスイッチング動作を行うことになる。そし
て、そのコレクタに得られるスイッチング出力を絶縁コ
ンバータトランスPITの一次巻線N1に伝達する。
【0047】また、この場合の起動抵抗Rsは、整流平
滑電圧Eiのラインと駆動巻線NB−時定数コンデンサ
CBの接続点との間に対して挿入されている。例えば電
源起動時においては、整流平滑電圧Eiから起動抵抗R
sを介し、さらにベース電流制限抵抗RBを介したベー
ス電流が、スイッチング素子Q1のベースに流れること
で、スイッチング動作を開始させるようになっている。
【0048】また、本実施の形態のドライブトランスC
DTに巻装される制御巻線Ncは、その巻終わり端部側
が二次側アースに接地され、巻始め端部がコンデンサC
B2を介して導通制御素子Q2のコレクタと接続される。
また、導通制御素子Q2のエミッタは二次側アースに接
地されている。つまり、制御巻線NcとコンデンサCB2
と導通制御素子Q2(コレクタ−エミッタ)は、絶縁コ
ンバータトランスPITの二次側において直列に接続さ
れた直列接続回路を形成しているとみることができる。
この場合、導通制御素子Q2としては、小信号用のNP
N型バイポーラトランジスタが選定されている。なお、
コンデンサCB2は、時定数コンデンサCBの静電容量を
分割するようにして設けられるものである。分割コンデ
ンサCB2は、導通制御素子Q2としての抵抗分を省略す
れば、自励発振回路(CB−NB−RB)において、駆動
巻線NBに流れる交番電流を分岐して、制御巻線Ncを
介して二次側アースに流す経路を接続しているものと見
ることができる。そして、導通制御素子Q2は、制御巻
線Nc−分割コンデンサCB2の直列回路に流れる電流量
を制御する導通制御の機能を有しているものと見ること
ができる。
【0049】導通制御素子Q2のベース(制御入力端
子)は、抵抗R1を介して、後述する制御回路1内に設
けられるPNP型のトランジスタQ4のコレクタと接続
される。また、導通制御素子Q2のベース−エミッタ間
には抵抗R2が挿入される。この抵抗R2の両端には、ベ
ース−エミッタ間電圧VBE2(制御入力端子電位)が得
られる。
【0050】そして、本実施の形態においては、導通制
御素子Q2のベース−エミッタ間に対して小容量のフィ
ルムコンデンサC4を挿入している。つまり、コンデン
サC4は、ベース−エミッタ間電圧VBE2が生じる抵抗R
2に対して並列に接続されることで、時定数回路を形成
しているものとみることができる。このコンデンサC4
に対しては、制御回路1側のトランジスタQ4のコレク
タから導通制御素子Q2のベースに流れようとする電流
が充放電されるのであるが、これによっては、後述する
ようにして、スイッチング素子Q1がオンとなる期間内
にほぼ対応して、ベース−エミッタ間電圧VBE2のレベ
ルを比例的に上昇させていく動作が得られる。つまり、
スイッチング素子Q1がオンとなる期間におけるベース
−エミッタ間電圧VBE2が鋸歯状波となるようにしてい
る。
【0051】また導通制御素子Q2のエミッタ−コレク
タ間にはダイオードDD2が接続される。ここでは、ダイ
オードDD2のアノードがエミッタ(二次側アース)と接
続され、カソードがコレクタに対して接続される。な
お、この場合のダイオードDD2には小容量の高速リカバ
リ型ダイオード素子が選定される。
【0052】絶縁コンバータトランスPITは、スイッ
チング素子Q1のスイッチング出力を二次側に伝送す
る。この絶縁コンバータトランスPITは、例えばフェ
ライト材による2組のE型コアを互いの磁脚が対向する
ように組み合わせたEE型コアが備えられ、このEE型
コアの中央磁脚に対して、分割ボビンを利用して一次巻
線N1と、二次巻線N2をそれぞれ分割した状態で巻装し
ている。そして、中央磁脚に対してはギャップを形成す
るようにしている。これによって、所要の結合係数によ
る疎結合の状態が得られるようにしている。ギャップ
は、2組のE型コアの各中央磁脚を、2本の外磁脚より
も短くすることで形成することが出来る。また、結合係
数kとしては、例えばk≒0.85という疎結合の状態
を得るようにしており、その分、飽和状態が得られにく
いようにしている。
【0053】絶縁コンバータトランスPITの二次側で
は、一次巻線N1により誘起された交番電圧が二次巻線
N2に発生する。そして、この図1に示す回路において
は、二次巻線N2に対して二次側並列共振コンデンサC2
が並列に接続される。従って、この場合には、二次巻線
N2のリーケージインダクタンスL2と二次側並列共振コ
ンデンサC2のキャパシタンスとによって並列共振回路
が形成される。この並列共振回路により、二次巻線N2
に誘起される交番電圧、及び検出巻線NAに得られる交
番電圧は共振電圧となる。つまり二次側において電圧共
振動作が得られる。
【0054】つまり、この電源回路は、一次側にはスイ
ッチング動作を電圧共振形とするための並列共振回路を
備え、二次側には電圧共振動作を得るための並列共振回
路を備えた「複合共振形スイッチングコンバータ」とさ
れるものである。
【0055】上記のようにして形成される電源回路の二
次側に対しては、二次巻線N2に接続される二次側整流
ダイオードDO1と平滑コンデンサCO1とからなる半波整
流回路が備えられ、これにより、二次巻線N2に誘起さ
れる交番電圧のほぼ等倍レベルに対応する二次側直流出
力電圧EO1を得るようにしている。また、ここでは、二
次巻線N2に対してタップ出力を設けて、このタップ出
力と二次側アース間に対して、図示するように、二次側
整流ダイオードD02と平滑コンデンサCO2から成る半波
整流回路を接続することで、低圧の二次側直流出力電圧
EO2を得るようにしている。この場合、二次側直流出力
電圧EO1は、制御回路1に対して定電圧制御のための検
出電圧として入力される。また、二次側直流電圧EO2
は、制御回路1の動作電源として利用される。
【0056】制御回路1は、直流出力電圧EO1と二次側
アース間に抵抗R3−R4が直列に接続され、この接続点
(分圧点)に対してシャントレギュレータQ3のコント
ロール端子が接続される。また、抵抗R4に対しては、
コンデンサC3と抵抗R5の直列接続回路が並列に接続さ
れる。シャントレギュレータQ3のアノードは二次側ア
ースに接地され、カソードは抵抗R7を介してPNP型
のトランジスタQ4のベースに接続される。トランジス
タQ4は、シャントレギュレータQ3のアノードに流れる
電流を増幅するために設けられている。トランジスタQ
4のエミッタは二次側直流電圧EO2のラインと接続さ
れ、コレクタは、抵抗R1を介して先に述べた導通制御
素子Q2のベースに対して接続される。このコレクタの
出力が、制御回路1の検出出力となる。また、ベース−
エミッタ間には、抵抗R6を挿入している。
【0057】上記のような接続形態により形成される制
御回路1は、直流出力電圧EO1を検出入力とする誤差増
幅器として機能する。即ち、直流出力電圧EO1を抵抗R
3、R4により分圧した電圧が、コントロール電圧として
シャントレギュレータQ3のコントロール端子に対して
入力されることで、シャントレギュレータQ3には、直
流出力電圧EO1に応じたレベルの電流が流れることにな
る。そして、この電流がトランジスタQ4によって増幅
されてコレクタから出力される。
【0058】トランジスタQ4のコレクタ電流のレベル
変化に応じては、導通制御素子Q2のベース−エミッタ
間電圧VBE2が変化することになって、このベース−エ
ミッタ間電圧VBE2に応じたベース電流が導通制御素子
Q2のベースに流されることになるが、これによって
は、導通制御素子Q2のコレクタに流れるコレクタ電流
IQ2のレベルも二次側直流電圧EO2のレベルに応じて可
変されることになる。これは即ち、導通制御素子Q2の
コレクタと二次側アース間に接続された制御巻線Ncに
流れる電流レベル(振幅)を可変制御することを意味す
る。この動作によっては、スイッチング素子Q1のスイ
ッチング周波数を可変し、これによって二次側直流出力
電圧が一定となるように安定化を図るようにされるので
あるが、これについては後述する。
【0059】また、前述もしたように、本実施の形態で
は、導通制御素子Q2のベース−エミッタ間に対してコ
ンデンサC4が挿入されることで、ベース−エミッタ間
電圧VBE2は、スイッチング素子Q1がオンとなる期間に
ほぼ対応して鋸歯状波となり、この結果、スイッチング
素子Q1におけるスイッチング損失を低減させる作用が
得られるのであるが、これについても後述する。
【0060】図2及び図3は、図1に示した構成による
電源回路における要部の動作を示す波形図である。図2
においては、負荷電力Po=162Wの重負荷時におけ
る条件の場合の動作を示し、図3においては、負荷電力
Po=0Wとなる無負荷時における条件の場合の動作を
示している。交流入力電圧VAC=100Vである。ま
た、これらの図に示す動作を得るのにあたっては、各部
品を次のようにして選定している。 ドライブトランスCDT:中空円柱形のNi−Zn系フ
ェライト磁心 検出巻線NA=1T(ターン) 駆動巻線NB=3T 制御巻線Nc=6T コンデンサCB=0.56μF コンデンサCB2=0.56μF ベース電流制限抵抗RB=0.47Ω コンデンサC4=4700pF 抵抗R1=1KΩ 抵抗R2=680Ω コンデンサC5=0.047μF また、図2においては時点t1,t2,t3,t4の各
タイミングを示しているが、図3においては、その図示
を省略している。
【0061】ドライブトランスCDTに巻装される駆動
巻線NBには、前述したようにして励起作用による交番
電圧が発生する。そして、自励発振駆動回路(CB−NB
−RB)は、この駆動巻線NBに発生した交番電圧を基と
して自励発振動作を行う。つまり、時定数コンデンサC
Bと駆動巻線NBとにより形成される直列共振回路が共振
動作を行って、この共振出力を、ベース電流制限抵抗R
Bを介してベース電流としてスイッチング素子Q1のベー
スに流すようにされる。
【0062】ここで、上記直列共振回路(CB−NB)の
共振動作によって、時定数コンデンサCBには、スイッ
チング周期に対応する正弦波状の共振電圧が発生する。
そして、この直列共振回路(CB−NB)の共振出力とし
ては、時定数コンデンサCB→駆動巻線NB→ベース電流
制限抵抗RBを介してスイッチング素子Q1のベース側に
流入する共振電流が得られる。また、その共振電流は、
図2(c)、図3(c)のようなスイッチング素子Q1
のベースに流れるベース電流IBと、図2(h)、図3
(h)のようなクランプダイオードDD1に流れるダンパ
ー電流IDとして分岐して流れることになる。
【0063】本実施の形態の場合、上記直列共振回路を
形成する駆動巻線NBと制御巻線Ncとは、ドライブト
ランスCDTにおいて磁気的に密結合されるようにして
巻装されている。このため、上記のようにして直列共振
回路(CB−NB)が共振動作を行うことで駆動巻線NB
に発生した交番電圧によって、制御巻線Ncには交番電
圧が誘起されることになる。この制御巻線Ncにおける
誘起電圧によって、制御巻線Ncと、この制御巻線Nc
と二次側アース間に直列接続された導通制御素子Q2と
してのトランジスタには、図2(g)、図3(g)に示
されるコレクタ電流IQ2が流れることになる。
【0064】スイッチング素子Q1がオンとなる期間T
ONにおいては、クランプダイオードDD1の逆回復時間t
rrの効果によって、先ず、期間t1〜t2において、低
速リカバリ型のクランプダイオードDD1が導通して、図
2(h)、図3(h)に示すようにしてダンパー電流I
Dが流れる。この期間t1〜t2のダンパー電流IDは、
スイッチング素子Q1のベース→コレクタのPN接合を
介して流れていく。これに応じて、期間t1〜t2にお
けるスイッチング素子Q1のコレクタ電流IQ1として
は、図2(b)、図3(b)に示すように、負極性の方
向に流れる波形が得られる。また、ベース電流IBは、
図2(c)、図3(c)に示すようにして、時点t1で
正極性に立ち上がり、時点t2に至るまでに0レベルに
下降していく。
【0065】そして、この後の期間t2〜t3において
は、クランプダイオードDD1はオフとなる。このとき、
ベース電流IB(図2(c)、図3(c))は、正極性
による順方向電流IB1が流れる。この順方向電流IB1
は、時定数コンデンサCB→駆動巻線NB→ベース電流制
限抵抗RBの経路で正極性の共振電流が流れることで得
られる。そして、時点t3に至ると、共振電流は負極性
に反転し、これと共に、ベース電流IBもベース蓄積キ
ャリア消滅時間tstgにより負極性に反転する。これに
より、期間t3〜t4においては、逆方向電流IB2が流
れることになる。このようにして、ベース電流IBが期
間t2〜t4において流れるのに応じて、スイッチング
素子Q1は導通することになり、図2(b)、図3
(b)に示すようにして、スイッチング素子Q1のコレ
クタには、正極性のコレクタ電流IQ1が流れる。
【0066】そして、ベース電流IB(図2(c)、図
3(c))は、逆方向電流IB2が流れるベース蓄積キャ
リア消滅時間tstgが完了するとゼロレベルになり、こ
れによって、スイッチング素子Q1はオフとなる期間T
OFFに移行する。
【0067】上記のようにしてスイッチング素子Q1が
スイッチング動作を行うことで、一次側並列共振コンデ
ンサCrの両端に得られる共振電圧V1は、図2
(a)、図3(a)に示すようにして、スイッチング素
子Q1がオンとなる期間TONでは0レベルで、オフとな
る期間TOFFでは正弦波状のパルスとなる波形が得られ
る。これは、一次側スイッチングコンバータが電圧共振
形の動作であることを示している。
【0068】また、NPN型のバイポーラトランジスタ
である導通制御素子Q2の動作は、次のようになってい
る。前述もしたように、導通制御素子Q2とコンデンサ
CB2と制御巻線Ncとは二次側において直列接続されて
いる。そして、駆動巻線NBによって制御巻線Ncが誘
起されることで、制御巻線Ncから導通制御素子Q2の
コレクタにはコレクタ電流IQ2が流れるようになってい
る。
【0069】ここで、導通制御素子Q2のベース−エミ
ッタ間電圧VBE2は、図2(e)、図3(e)に示すよ
うにして、期間TONにおける期間t2〜t4及び期間T
OFF(期間t4〜t1)は正極性となる。一方、期間TO
N内の期間t1〜t2にかけては、負極性となっている
ことで、導通制御素子Q2に対しては逆バイアスがかか
っている状態となる。そして、ダイオードDD2が接続さ
れていることにより、図2(g)、図3(g)に示すよ
うに、期間t1〜t2にはコレクタ電流IQ2として負極
性の電流が流れる。
【0070】そして、期間TON内における時点t2に至
ると、これまで負極性の方向により流れていた導通制御
素子Q2はオフとなってコレクタ電流IQ2は0レベルと
なる。また、この時点t2以降から時点t4において
は、導通制御素子Q2のベース−エミッタ間電圧VBE2
は、図2(e)、図3(e)に示すようにして、負極性
による或るレベルから正極性に反転するようにして徐々
に増加していく。つまり、期間t2〜t4における波形
形状としては、鋸歯状波が得られることになる。このよ
うにして本実施の形態では、期間t2〜t4において、
ベース−エミッタ間電圧VBE2が一定レベルを維持せ
ず、図示するような鋸歯状波となるようにしている。こ
れによって、図2(g)、図3(g)のコレクタ電流I
Q2として示すように、期間t2〜t3においては導通制
御素子Q2がオフとなるようにし、期間t3〜t4にお
いてオン状態として正極性のコレクタ電流IQ2を流すよ
うに動作させることが可能となる。
【0071】上記のようにして、ベース−エミッタ間電
圧VBE2が鋸歯状波となるのは、前述もしたように、導
通制御素子Q2のベース−エミッタ間に対してコンデン
サC4を並列に挿入していることによるものであり、期
間t2〜t4内において導通制御素子Q2がオフ状態か
らオン状態に遷移するタイミングは、例えばコンデンサ
C4のキャパシタンス(時定数)と、このコンデンサC4
に並列接続される抵抗R2の抵抗値(時定数)によって
決定することができる。
【0072】なお、導通制御素子Q2のコレクタ−エミ
ッタ間電圧V2は、上記のようにしてコレクタ電流IQ2
が流れることで、図2(f)、図3(f)に示す波形が
得られる。
【0073】ここで、例えば交流入力電圧VACが上昇す
る、或いは、負荷電力が小さくなるなどして二次側直流
出力電圧EO1のレベルが上昇したとする。すると、制御
回路1では、検出出力であるトランジスタQ4のコレク
タ電流を増加させるようにして動作することになる。
【0074】トランジスタQ4のコレクタ電流が増加す
ると、それだけコンデンサC4への充電電流量が増加す
ることになるので、期間t2〜t4におけるベース−エ
ミッタ間電圧VBE2としての鋸歯状波形の傾きは大きく
なっていくことになる。これによっては、期間t2〜t
4における時点t3の到達タイミングを早めるように動
作することになる。図3(e)のベース−エミッタ間電
圧VBE2としては、期間TON開始時において負極性のレ
ベルから急峻に正極性に反転しているが、この波形が、
鋸歯状波形の傾きが大きくなったことによって得られて
いるものである。そして、以降においては一定レベルを
維持して、導通制御素子Q2を導通させているものであ
る。これにより、導通制御素子Q2を流れるコレクタ電
流IQ2としては、例えば図2に示すような重負荷の条件
の場合よりも、大きな振幅が得られることとなる。
【0075】導通制御素子Q2のコレクタ電流IQ2の振
幅が大きくなって、期間TON内におけるコレクタ電流I
Q2の電流量が増加した場合には、それだけ共振電流の電
流量が少なくなるように変化する動作が得られる。この
共振電流を基として得られるベース電流IBの波形は、
例えば図2(c)から図3(c)への遷移として示すよ
うにして変化することになるが、これによっては、スイ
ッチング素子Q1のベース蓄積キャリア消滅時間(tst
g)は短くなる。これに伴い、スイッチング素子Q1がオ
ンとなる期間TON内の期間t2〜t4の長さが短くなっ
ていくようにして可変されることになる。
【0076】期間TON内の期間t2〜t4が短くなれ
ば、その前の期間t1〜t4が不変であるとしても、期
間TON全体の長さは短くなるのであるから、スイッチン
グ素子Q1のスイッチング周波数は高くなるようにして
制御されることになる。これは、図2と図3の比較とし
て、期間TON+TOFFから成る1スイッチング周期の時
間長は、軽負荷の条件となるのに従って短くなっている
ことによって示されている。そして、スイッチング周波
数が可変制御されることによっては、例えば一次側並列
共振回路の共振インピーダンスが可変されることとなっ
て、絶縁コンバータトランスPITの一次側から二次側
に対して伝送される電力も可変されることになるわけで
ある。これにより、最終的には二次側直流出力電圧のレ
ベルも可変制御されることとなり、電源の安定化が図ら
れることとなる。
【0077】なお、本実施の形態においてスイッチング
周波数を可変制御するのにあたっては、スイッチング素
子Q1がオフとなる期間TOFFは一定で、オンとなる期間
TONについて可変するようにされている。つまり、この
場合にも複合制御方式による定電圧制御動作が得られて
いるものである。
【0078】そして、上記した本実施の形態による定電
圧制御回路系の構成とすれば、先行技術としての図9の
電源回路に備えられていた直交型制御トランスPRTは
省略されることとなる。これにより、本実施の形態で
は、直交型制御トランスPRT製造時におけるギャップ
のばらつき等に起因する駆動巻線NBについてのインダ
クタンス値のばらつきの問題は解消されることになる。
従って、交流入力電圧VACの範囲に対するマージンを少
なく設定することが可能となるので、回路設計も容易な
ものとすることが可能になる。また、直交形制御トラン
スPRTの製造工程の困難性にかかる問題も解消され
る。さらにAC/DC電力変換効率の向上も図られる。
【0079】また、図9の例のように直交形制御トラン
スPRTの制御巻線NCに制御電力を供給してスイッチ
ング周波数を制御する構成ではないので、軽負荷時の無
効電力を低減し、電力損失を低減できる。また、ドライ
ブトランスCDTは、図5、図6、又は図7によりで説
明したように、中空円柱形のフェライトコアもしくはア
モルファスコア、H字形フェライトコア或いは超小型の
EI−12型フェライトコアによって構成が可能であ
り、図9の先行技術に示したように直交形制御トランス
PRTを設ける場合に比べて大幅に小型軽量化を図るこ
とができる。
【0080】特に本実施の形態の場合、制御巻線Ncか
ら導通制御素子Q2に流すべき電流は、ドライブトラン
スCDTにおいて制御巻線Ncと磁気的に密結合された
駆動巻線NBによって励起される交番電圧を基として得
るようにされている。例えば、制御巻線Ncに流すべき
電流を得るための電源として、絶縁コンバータトランス
PITに巻装した三次巻線と、この三次巻線に対して接
続した整流回路を形成し、この整流回路によって生成さ
れる低圧の直流電圧を利用する場合があるが、本実施の
形態の場合には、このような整流回路は不要となるもの
であり、それだけ回路の小型軽量化の促進に寄与でき
る。
【0081】また、制御巻線Nc、コンデンサCB2、導
通制御素子Q2からなる直列接続回路は、等化的には、
一次側の自励発振駆動回路と接続されているものの、実
際には二次側アース間に対して設けられていることから
も分かるように、絶縁コンバータトランスPITの二次
側に設けられている回路である。そして、前述のように
して制御巻線Ncについては例えば三重絶縁線を選定し
て、一次側との直流的絶縁性を確保したうえで、一次側
の駆動巻線NBと磁気結合された状態を得るようにして
いる。これにより、本実施の形態では、上記した構成と
していることで、フォトカプラ等の部品素子を追加する
ことなく、二次側の制御回路系と一次側スイッチングコ
ンバータとの直流的絶縁状態を確保しているものであ
る。例えば仮に、制御巻線Ncと導通制御素子Q2から
なる直列接続回路を一次側に備えるとすれば、例えばフ
ォトカプラを介在させるなどして、二次側の制御回路系
と直流的に絶縁しなければならないことになる。
【0082】さらに、本実施の形態の構成であれば、導
通制御素子Q2に流れる電流は非常に少なく、また、導
通制御素子Q2にかかる電圧も低いものとなっている。
このため、導通制御素子Q2としてのバイポーラトラン
ジスタについては、耐圧30V、定格電流0.1A以下
の、低耐圧小容量品を選定すればよいことになる。例え
ば、先に本出願人は、複合共振形スイッチングコンバー
タに対して、一次側並列共振電圧又は二次側共振電圧を
クランプするアクティブクランプ回路を設け、このアク
ティブクランプ回路の導通角制御によって電源の安定化
を図る構成を各種提案しているのであるが、この場合に
は、アクティブクランプ回路を形成するスイッチング素
子(トランジスタ)については、一次側並列共振電圧レ
ベル又は二次側共振電圧レベルに応じた高耐圧品を選定
する必要があり、それだけコスト及びサイズの点などで
不利であった。これに対して本実施の形態では、導通制
御素子Q2としてのバイポーラトランジスタについて低
耐圧小容量品が選定されるのであるから、それだけ低コ
スト化及び小型軽量化を実現することが可能となるもの
である。
【0083】また、先に図2の波形図により説明したよ
うに、本実施の形態においては、導通制御素子Q2のベ
ース−エミッタ間に対してコンデンサC4を設けること
によって、そのベース−エミッタ間電圧VBE2が期間TO
N内において鋸歯状波となるようにしている。これによ
って、導通制御素子Q2を期間TONの全期間にわたって
導通させるのではなく、図2(g)に示すようにして、
期間TON内については期間t3〜t4においてのみ導通
させるようにしている。期間t3〜t4は、図2(c)
に示すように、スイッチング素子Q1のベース蓄積キャ
リア消滅時間(tstg)に対応し、この期間においてス
イッチング素子Q1のベースには逆方向電流IB2が流れ
るようにされる。そして、上記のようにして、導通制御
素子Q2が期間t3〜t4においてのみ導通して制御巻
線Ncに対してコレクタ電流IQ2が流れると、制御巻線
Ncと磁気的に結合される駆動巻線NBには、より大き
な電圧が誘起されることになって、共振電流を増加させ
る。従って、このときの共振電流を元として流れるベー
ス電流IBの逆方向電流IB2も増加することとなる。
【0084】また、ドライブトランスCDTは中空円柱
形でギャップ=0であるため、ベース電流IBが正極性
となるIB1期間には、駆動巻線NBのインダクタンス変
化はほとんどなく、負極性となるIB2期間に駆動巻線N
Bのインダクタンスは磁心の飽和によって急激に低下す
る。これらの結果、スイッチング素子Q1のベースに流
すベース電流IBのピークレベルは、図2(c)に示す
ようにして、逆方向電流IB2は、順方向電流IB1よりも
はるかに大きくなる(IB2>3・IB1)。これによっ
て、スイッチング素子Q1の下降時間は短くなってスイ
ッチング素子Q1のターンオフ時のスイッチング損失が
低減される。また、同時に蓄積時間tstgも短縮される
ことで、スイッチング素子における電力損失はより少な
いものとなる。またこれによってスイッチング素子Q1
の導通角制御の拡大もはかられる。さらには、バイポー
ラトランジスタであるスイッチング素子Q1の電流増幅
率hFEや蓄積時間tstgなどのばらつき範囲も小さいも
のとなって、それだけ回路設計及び部品管理が容易なも
のとなる。
【0085】ここで図4に、図1に示した本実施の形態
としての電源回路における特性として、電力変換効率特
性、及びスイッチング周波数制御に要する制御電力を、
先行技術として示した図9の電源回路との比較により示
しておく。この図から分かるように、負荷電力Po=0
W〜162Wの負荷変動範囲に対応する制御電力Pc
は、図9に示した電源回路が、0.60W〜0.15W
程度であるのに対して、図1に示す電源回路は、40m
W〜25mWであり、図9に示した電源回路よりも著し
く低下していることが示されている。これは主として、
図1に示す回路において導通制御素子Q2に流れる電流
量が、図9に示す回路において制御巻線Ncに流す制御
電流量よりも著しく少なくなっていることと、また、上
述したように、ベース電流IBについて、順方向電流IB
1よりも逆方向電流IB2のピークレベルのほうが高くな
っていることに依るものとされる。また、電力変換効率
ηAC−DCについては、負荷電力Po=0W〜162Wの
負荷変動範囲にわたって、図9に示した電源回路より
も、図1に示した電源回路のほうが高くなっていること
が示されている。つまり、図1に示した電源回路では、
図9に示した電源回路と比較して、総合的に電力変換効
率の向上が図られているものである。
【0086】また、スイッチング素子Q1の電圧最大定
格として、エミッタ解放ベース接地コレクタ最大電圧を
VCB0、ベース解放エミッタ接地コレクタ最大電圧をVC
E0とするとき、スイッチング素子Q1のオフ時に、VCB
0>(2・VCE0)の関係がある。従って、スイッチング
素子Q1オフ時にベース電圧がゼロになり、エミッタ電
位と同等となると、スイッチング素子Q1はVCE0動作
となり、スイッチング素子Q1の耐圧は低下し、スイッ
チング素子Q1は耐圧オーバとなって破壊するおそれが
ある。ここで本実施の形態では、クランプダイオードD
D1と並列にコンデンサC5を接続してベース−エミッタ
電圧VBE1を図2(d)の動作波形とし、さらに導通制
御素子Q2と並列にダイオードDD2を接続して、ベース
−エミッタ電圧VBE1を図3(d)の動作波形とするこ
とで、スイッチング素子Q1のVCB0動作を確保してい
る。これによってスイッチング素子Q1の耐圧オーバー
による破壊という危険性を解消し、回路の信頼性を向上
させているものである。
【0087】以上、実施の形態を説明してきたが、本発
明のスイッチング電源回路としては、スイッチング素子
を1組備えるシングルエンド方式だけでなく、スイッチ
ング素子を2組備える、いわゆるプッシュプル方式によ
る、自励式の電圧共振形コンバータとされても構わない
ものである。また、二次側についても、各図に示した以
外の回路構成による整流回路が備えられて構わない。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、複合共振
形コンバータとして、ドライブトランスを備えた自励式
の構成を採る。これと共に、定電圧化のためのスイッチ
ング周波数制御は、ドライブトランスに対して制御巻線
を巻装して駆動巻線と磁気結合させ、この制御巻線と導
通制御素子の直列接続回路(導通制御回路)を形成する
ようにされる。そして、この直列接続回路の導通を制御
することによって、スイッチング素子を駆動する自励発
振駆動回路(スイッチング駆動手段)における電流導通
量を可変制御することによって行うようにしている。そ
して、このような構成であれば、これまでスイッチング
周波数制御に必要とされていた直交型制御トランスを省
略することが可能になる。
【0089】これにより、直交型制御トランスのギャッ
プのばらつき等に起因するインダクタンス値のばらつき
の問題は解消されることになる。特に本発明におけるド
ライブトランスのインダクタンスのばらつきは±5%程
度となる。このため、交流入力電圧の範囲に対するマー
ジンを少なく設定することが可能となるので、回路設計
も容易なものとすることが可能になる。また、直交形制
御トランスの製造工程の困難性にかかる問題も解消され
ることになる。直交形制御トランスの制御巻線に制御電
力を供給してスイッチング周波数を制御する構成ではな
いとされることで、軽負荷時の無効電力を低減し、電力
損失を低減できることになる。つまり、AC/DC電力
変換効率の向上も図られることになる。また、本発明に
おけるドライブトランスは、直交型制御トランスよりも
はるかに小型であるために、それだけ電源回路の小型軽
量化を促進することも可能となる。
【0090】また、本発明としての導通制御回路に備え
られる導通制御素子(バイポーラトランジスタ)には、
低電圧及び小レベルの電流が印加されるので、定電圧制
御に要する電力も低減されることになる。つまり、電源
回路における無効電力が低減され、これによっても電源
回路のAC/DC電力変換効率の低減を促進させること
ができる。また、導通制御素子としては、低耐圧、小容
量品が選定されることにもなるので、この点でも、小型
軽量化、及び低コスト化が促進される。
【0091】また、本発明としては、制御巻線がドライ
ブトランスにおいて他の巻線と直流的に絶縁されること
を利用して、導通制御回路を絶縁コンバータトランスの
二次側に設けるようにしているが、これにより、例えば
フォトカプラを省略することが可能になる。
【0092】また、本発明においては、導通制御素子の
ベース−エミッタ間電圧(制御入力端子電位)が、スイ
ッチング素子のオン期間内において鋸歯状波となるよう
にされている。これによっては、上記オン期間内におい
てスイッチング素子のベースに流れる逆方向電流のピー
クをより大きなものとする動作が得られるので、スイッ
チング素子の下降時間及び蓄積時間が短縮されて、それ
だけスイッチング損失が低減される。つまり、これによ
っても電力変換効率の向上を促進するようにしているも
のである。
【0093】また、制御範囲が拡大するとともに、負荷
電力と交流入力電圧の変動の全領域に対してスイッチン
グ素子(トランジスタ)のVCB0動作が確保されるた
め、耐圧オーバによるスイッチング素子の破壊という事
態が防止され、回路の信頼性を向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態としてのスイッチング電源
回路の構成例を示す回路図である。
【図2】実施の形態の電源回路における重負荷時の要部
の動作を示す波形図である。
【図3】実施の形態の電源回路における無負荷時の要部
の動作を示す波形図である。
【図4】図1に示す電源回路について、負荷変動に対す
るAC−DC電力変換効率、及び定電圧化のための制御電力
の各特性を、先行技術と比較して示す特性図である。
【図5】H字型コアによるドライブトランスの構造例を
示す斜視図である。
【図6】EI型コアによるドライブトランスの構造例を
示す断面図である。
【図7】中空円柱形のコアによるドライブトランスの構
造例を示す斜視図である。
【図8】アモルファス磁性体の磁化曲線と、ドライブト
ランスに巻装される巻線の電流レベルとインダクタンス
との関係を示す説明図である。
【図9】先行技術としてのスイッチング電源回路の構成
例を示す回路図である。
【図10】先行技術の電源回路における要部の動作を示
す波形図である。
【図11】先行技術の電源回路の定電圧制御特性を示す
説明図である。
【図12】先行技術の電源回路における、駆動巻線NB
のインダクタンスについての直流重畳特性を示す説明図
である。
【図13】直交形制御トランスの構造例を示す斜視図及
び断面図である。
【符号の説明】
1 制御回路、Q1 スイッチング素子、Q2 導通制御
素子、PIT 絶縁コンバータトランス、CDT ドラ
イブトランス、DD1,DD2 クランプダイオード、N1
一次巻線、N2 二次巻線、Cr 一次側並列共振コ
ンデンサ、NA検出巻線、NB 駆動巻線、Nc 制御巻
線、C2 二次側並列共振コンデンサ、CB 時定数コン
デンサ、CB2 分割コンデンサ、C4 コンデンサ、R
D,R2抵抗

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直流入力電圧についてスイッチングを行
    うスイッチング素子を備えるとともに、上記スイッチン
    グ素子としてのトランジスタのベース・エミッタ間に低
    速リカバリ型ダイオードと抵抗が接続され、上記低速リ
    カバリ型ダイオードと並列にコンデンサが接続されたス
    イッチング手段と、 一次巻線と二次巻線とを備え、上記一次巻線に得られる
    上記スイッチング手段の出力を上記二次巻線に対して伝
    送する絶縁コンバータトランスと、 上記絶縁コンバータトランスの一次巻線と一次側並列共
    振コンデンサとにより形成され、上記スイッチング手段
    の動作を電圧共振形とするように設けられる一次側並列
    共振回路と、 上記絶縁コンバータトランスの二次巻線に対して、二次
    側並列共振コンデンサを並列に接続することで形成され
    る二次側並列共振回路と、 上記二次側並列共振回路に得られる交番電圧を入力して
    整流動作を行うことで直流出力電圧を得るように構成さ
    れる直流出力電圧生成手段と、 検出巻線と、駆動巻線と、制御巻線とが巻装され、上記
    検出巻線が上記絶縁コンバータトランスの一次巻線に直
    列に接続されることにより上記スイッチング手段の出力
    を上記駆動巻線に伝達すると共に、上記制御巻線に流れ
    る制御電流により上記駆動巻線を制御するドライブトラ
    ンスと、 上記駆動巻線と共振用コンデンサにより形成される直列
    共振回路を有して、この直列共振回路の出力に基づいて
    上記スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチ
    ング駆動手段と、 上記絶縁コンバータトランスの二次側に備えられ、少な
    くとも、上記制御巻線と、導通制御素子としてのトラン
    ジスタ素子が直列に接続され、さらに上記導通制御素子
    に対して高速リカバリ型ダイオードが並列に接続されて
    成る導通制御回路と、 上記導通制御素子としてのトランジスタ素子の制御入力
    端子電位の波形が略鋸歯状となるようにして設けられる
    時定数回路と、 上記直流出力電圧のレベルに応じたレベルの制御電流
    を、上記時定数回路を介して上記導通制御素子の上記制
    御入力端子に供給することで、上記スイッチング素子の
    スイッチング周波数を可変制御し、上記直流出力電圧に
    ついての定電圧制御を行うようにされる定電圧制御手段
    と、 を備えていることを特徴とするスイッチング電源回路。
  2. 【請求項2】 上記導通制御回路は、 上記制御巻線と、コンデンサと、上記導通制御素子とし
    てのトランジスタ素子とが直列に接続されることを特徴
    とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  3. 【請求項3】 上記ドライブトランスのコアは、中空円
    柱形のアモルファス磁性体とされることを特徴とする請
    求項1に記載のスイッチング電源回路。
  4. 【請求項4】 上記ドライブトランスのコアは、中空円
    柱形、又はEI形、又はH字形のフェライトが用いられ
    ることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源
    回路。
  5. 【請求項5】 上記制御巻線について、三重絶縁線を用
    いることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電
    源回路。
JP2001227804A 2001-07-27 2001-07-27 スイッチング電源回路 Pending JP2003047246A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001227804A JP2003047246A (ja) 2001-07-27 2001-07-27 スイッチング電源回路

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001227804A JP2003047246A (ja) 2001-07-27 2001-07-27 スイッチング電源回路

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003047246A true JP2003047246A (ja) 2003-02-14

Family

ID=19060408

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001227804A Pending JP2003047246A (ja) 2001-07-27 2001-07-27 スイッチング電源回路

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003047246A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6831846B2 (en) Switching power source circuit with drive frequency variably controlled by switching element
JP2002262568A (ja) スイッチング電源回路
JP3528819B2 (ja) スイッチング電源回路
JP3528816B2 (ja) スイッチング電源回路
JP2003047246A (ja) スイッチング電源回路
JP2002262567A (ja) スイッチング電源回路
JP3528820B2 (ja) スイッチング電源回路
JP2003047244A (ja) スイッチング電源回路
JP4264625B2 (ja) スイッチング電源回路
JP2003143852A (ja) スイッチング電源回路及び絶縁コンバータトランス
JP3560158B2 (ja) スイッチング電源回路
JP2003092879A (ja) スイッチング電源回路
JP2003088112A (ja) スイッチング電源回路
JP3675445B2 (ja) スイッチング電源回路
JP2003018832A (ja) スイッチング電源回路
JP2003018837A (ja) スイッチング電源回路
JP4192488B2 (ja) スイッチング電源回路
JP2002315328A (ja) スイッチング電源回路
JP2002354803A (ja) スイッチング電源回路
JP2002345236A (ja) スイッチング電源回路
JP2002325443A (ja) スイッチング電源回路
JP2000134926A (ja) スイッチング電源回路
JP2002369519A (ja) スイッチング電源回路
JP2002369523A (ja) スイッチング電源回路
JP2003143851A (ja) スイッチング電源回路及び絶縁コンバータトランス