JP2003042201A - ディスクブレーキ装置 - Google Patents

ディスクブレーキ装置

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邦明 若松
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両用のディスクブレーキにおい
て、キャリパの温度が上昇した時でも、ブレーキの効き
感を阻害しないようにすること。 【解決手段】 ブレーキ用キャリパのシリンダ１
の内面に加工されたシール溝４にゴム製のピストンシー
ル３を嵌入し、該ピストンシール３によってブレーキピ
ストン２と上記シリンダ１との間を液封するものにおい
て、上記ブレーキピストン２の摺動方向における上記ピ
ストンシール３と上記シール溝４との間の隙間を無くす
とともに、上記ピストンシール３の外周部と上記シール
溝４との間に隙間を設けたことを特徴とするディスクブ
レーキ装置。

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、二輪車
等、車両用のディスクブレーキ装置に関する。 【０００２】 【従来の技術】この種のブレーキ装置として、例えば特
開平９−７２３６１号公報に開示されたものがあった。
これは、図１０（ａ）に示されるように、キャリパのシ
リンダ01内にブレーキピストン02が摺動自在に挿入され
ており、そのブレーキピストン02の片側（図の右側）に
液圧を加えることにより、反対側（図の左方）にある図
示しないブレーキディスクにパッド等を押し付け、ブレ
ーキディスクの回転を止めるのである。そして、長方形
または台形断面のゴム製ピストンシール03がキャリパの
シリンダ01の内面に加工されたシール溝04にセットされ
ているものであり、シール溝04の中にブレーキピストン
02の摺動方向（特にブレーキピストン02後方側）に、大
きな隙間04ａ（空間）が設けられる。 【０００３】 【解決しようとする課題】前記従来のディスクブレーキ
装置においては、シリンダ01の温度が上昇すると、ピス
トンシール03も加熱され、図１０（ｂ）に黒矢印で示さ
れるように、シール溝04内の液圧側の隙間04ａに向かっ
て膨張する。そうするとブレーキピストン02も図中の白
抜矢印のように液圧側に押し戻され、ブレーキの遊び量
が大きくなってしまう。すなわちブレーキの効きしろが
変ることが知られている。 【０００４】また従来のディスクブレーキ装置では、シ
ール溝04内の大きな隙間04ａが空気だまりになりやす
く、ブレーキの効き感（タッチ）を低下させていた。更
にまた長方形断面のピストンシール03をシール溝04に挿
入する際に、図１１に示されるように、角05が引っ掛か
ってピストンシール03が白抜矢印のようにねじれたまま
入ってしまいやすいという不具合もあった。 【０００５】シリンダ01の温度は、時には１００℃を超
えることもある。このような温度上昇時にブレーキレバ
ーの握り代が変化することは、以前から知られていた
が、主としてシリンダ01やブレーキピストン02の熱変形
によると考えられていた。しかし本発明の発明者らの調
査・研究の結果、ピストンシール03の熱膨張によりブレ
ーキピストン02が押し戻されることが主な原因と判明し
た。因みにシリンダ01の温度が１００℃程度まで上昇し
た時、ブレーキピストン02が戻される量は数１０μｍ程
度に達する。 【０００６】 【課題を解決するための手段および効果】前記従来の課
題を解決するために、本発明はブレーキ用キャリパのシ
リンダの内面に加工されたシール溝にゴム製のピストン
シールを嵌入し、該ピストンシールによってブレーキピ
ストンと上記シリンダとの間を液封するものにおいて、
上記ブレーキピストンの摺動方向における上記ピストン
シールと上記シール溝との間の隙間を無くすとともに、
上記ピストンシールの外周部と上記シール溝との間に隙
間を設けたことを特徴とするディスクブレーキ装置であ
る。 【０００７】本発明は前記のとおり構成され、上記ブレ
ーキピストンの摺動方向における上記ピストンシールと
上記シール溝との間の隙間を無くしたので、ピストンシ
ールの熱膨張によりブレーキピストンが押し戻されるこ
とはなくなる。またピストンシールの外周部と上記シー
ル溝との間に隙間を設けたので、ブレーキピストンの動
きに影響することなく、ピストンシールの熱膨張を吸収
することができる。 【０００８】 【発明の実施の形態】図１は本発明の実施の一形態にお
けるピストンシール３周辺を示す断面図である。 【０００９】本実施形態では、ピストンシール３とシー
ル溝４の幅（ブレーキピストン２摺動方向の寸法、以下
同じ）がほぼ同じか、またはシール溝４の方が小さく設
定されている。その結果、ピストンシール３がブレーキ
ピストン２の軸方向へは膨張せず、その方向へ動くこと
が規制される。したがって、ブレーキピストン２が押し
戻されることはなく温度上昇時にブレーキの特性（特に
遊び量）を安定させることができる。 【００１０】またシール溝４とピストンシール３との間
の隙間は、ブレーキピストン２と接する側は必要最小限
（例えば面取り部４ｂのみ）に留められる。その代り
に、ピストンシール３の外周の角を面取りすることによ
り、ブレーキピストン２と接しないシール溝４底部に比
較的大きな空間４ｃが設けられる。これにより、温度上
昇時のピストンシール３の膨張部分を図中矢印のよう
に、この空間４ｃに逃がすことができる。 【００１１】更に本実施形態では、空気だまりになりう
る空間が少ないので、空気抜き作業が容易になり、ブレ
ーキのタッチも安定する。 【００１２】加えて本実施形態では、ピストンシール３
の外周の角が面取りされているので、シール溝４に挿入
する際に引っ掛からない。したがって、キャリパーの組
み立て（シール組み付け）が容易になる。 【００１３】なお、シリンダ１やブレーキピストン２は
アルミニウム等の金属製であり、ゴム製のピストンシー
ル３に比べて熱膨張による変形量は小さい。 【００１４】次に図２ないし図９は本発明の他の種々の
実施形態(変形例)を示す断面図である。図２はピストン
シール13の角部にＲ処理を施して、シール溝14に挿入す
る際に、前記第１の実施形態よりも更に角が引っ掛かり
にくく、ねじれないようにしたものである。 【００１５】また図３はシール溝24の側面を傾けたも
の、図４はピストンシール33の外側面に凹形溝33ａを設
けたもの、図５はピストンシール43の外側面とシール溝
44の底部との間に空間を設けたものである。更に図６は
前記図１でシール溝54底部がシリンダ１の内面に平行に
なったもの、図７は三角断面のシール溝64と台形断面の
ピストンシール63との組合わせ、図８はシール溝74の底
部に突条74ａを設けたものである。 【００１６】上記変形例はいずれも、前記図１に示され
た第１の実施形態と同様、ブレーキピストン２の摺動方
向におけるピストンシールとシール溝との間に隙間がな
く、またピストンシールの外周部とシール溝との間に隙
間（空間）が設けられている。そして第１の実施形態と
同様の作用効果を奏することができる。 【００１７】図９に示される例は、ピストンシール83の
別ピースとして、スペーサ86をシール溝84内に挿入した
ものであって、この場合も前記と同様の作用効果が得ら
れる。なお、スペーサ86の材料としては、アルミニウム
や樹脂等の熱膨張しにくい材料が考えられる。
【図面の簡単な説明】 【図１】図１は本発明の第１の実施形態におけるピスト
ンシール周辺を示す断面図である。 【図２】図２は本発明の第２の実施形態における同様の
断面図である。 【図３】図３は本発明の第３の実施形態における同様の
断面図である。 【図４】図４は本発明の第４の実施形態における同様の
断面図である。 【図５】図５は本発明の第５の実施形態における同様の
断面図である。 【図６】図６は本発明の第６の実施形態における同様の
断面図である。 【図７】図７は本発明の第７の実施形態における同様の
断面図である。 【図８】図８は本発明の第８の実施形態における同様の
断面図である。 【図９】図９は本発明の第９の実施形態における同様の
断面図である。 【図１０】図１０は従来のディスクブレーキ装置におけ
るピストンシール周辺を示す断面図である。 【図１１】図１１は従来のディスクブレーキ装置におけ
るピストンシールの挿入状況を示す断面図である。 【符号の説明】 01、１…シリンダ、02、２…ブレーキピストン、03、
３、13、23、33、43、53、63、73、83…ピストンシー
ル、04、４、14、24、34、44、54、64、74、84…シール
溝、04ａ…隙間、４ｂ…面取り部、４ｃ…空間、86…ス
ペーサ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 豊田 秀敏 埼玉県和光市中央１丁目４番１号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 ▲桑▼原 新一 埼玉県和光市中央１丁目４番１号 株式会 社本田技術研究所内 Ｆターム(参考） 3J058 AA62 AA77 AA87 BA20 BA32 CC34 DC03 DC12 EA08 EA15 FA01

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】ブレーキ用キャリパのシリンダの内面に加
    工されたシール溝にゴム製のピストンシールを嵌入し、
    該ピストンシールによってブレーキピストンと上記シリ
    ンダとの間を液封するものにおいて、上記ブレーキピス
    トンの摺動方向における上記ピストンシールと上記シー
    ル溝との間の隙間を無くすとともに、上記ピストンシー
    ルの外周部と上記シール溝との間に隙間を設けたことを
    特徴とするディスクブレーキ装置。
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