JP2003041259A - ビール粕成形炭のリン溶出防止処理法、リン溶出防止処理されたビール粕成形炭、及び該ビール粕成形炭からなる水質浄化材 - Google Patents
ビール粕成形炭のリン溶出防止処理法、リン溶出防止処理されたビール粕成形炭、及び該ビール粕成形炭からなる水質浄化材Info
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Abstract
溶出防止処理されたビール粕成形炭、及び該ビール粕成
形炭からなる水質浄化材の提供。 【解決手段】 ビール粕を脱水乾燥したのち加熱圧縮し
て成形物を作成し、次いで該成形物を焼成することによ
り得られる炭化物(ビール粕成形炭)のリン溶出防止処
理方法であって、リンと反応して難水溶性物質(例、リ
ン酸カルシウム)を生成する物質(例、消石灰又は炭酸
カルシウムなどのカルシウム化合物)を成形前に添加す
ることを特徴とするビール粕成形炭のリン溶出防止処理
方法。
Description
リン溶出防止処理法、リン溶出防止処理されたビール粕
成形炭、及び該ビール粕成形炭からなる水質浄化材に関
する。
ッションを推進し、安定したビール生産を保証するため
には、ビール粕の有効利用の多様化が望まれる。その対
策の一つとして、ビール粕を炭化し、各種吸着材、土壌
処理材、水質処理材などに利用することが検討されてお
り、例えば特開平8−9954号公報には、ビール粕炭
化物を吸着剤や濾過剤に用いることも記載されている
が、下記のようなビール粕成形炭を水質浄化材として利
用することは知られていない。ビール粕成形炭は、本出
願人の出願に係る特開2000−33496号公報に記
載されているように、ビール粕を脱水乾燥した後、棒状
などの適当な形状に加熱圧縮して成形物を作成し、次い
で該成形物を適当な温度(通常500℃以上)で焼成す
ることにより得られる炭化物であって、特に600℃以
上の高温で焼成した場合には、硬度及び精煉度が備長炭
並みの粉の発生が少ない白炭を得ることもできる。ま
た、ビール粕成形炭は、通常の炭に比べて灰分量(特に
P、Mg)や窒素量が多く、土壌改良材などに用いる場
合は好ましい。しかし、水に浸漬すると、約2重量%含
有されるリンの一部が溶出し、環境庁の富栄養化基準に
抵触する可能性が高いため、水質浄化材として用いる場
合にはリンの溶出を防止する必要がある。
形炭のリン溶出防止処理法、リン溶出防止処理されたビ
ール粕成形炭、及び該ビール粕成形炭からなる水質浄化
材の提供を目的とする。
7)の発明によって解決される。 1) ビール粕を脱水乾燥したのち加熱圧縮して成形物
を作成し、次いで該成形物を焼成することにより得られ
る炭化物(ビール粕成形炭)のリン溶出防止処理方法で
あって、リンと反応して難水溶性物質を生成する物質を
成形前に添加することを特徴とするビール粕成形炭のリ
ン溶出防止処理方法。 2) 前記リンと反応して難溶解性物質を生成する物質
がカルシウム化合物であり、難溶解性物質がリン酸カル
シウムである1)記載のビール粕成形炭のリン溶出防止
処理方法。 3) 消石灰の添加量が、ビール粕成形炭重量に対し5
重量%以上である2)記載のビール粕成形炭のリン溶出
防止処理方法。 4) リン溶出防止処理されたビール粕成形炭。 5) 成形炭を純水と混合して静置した場合の、24時
間後のリンの溶出量が、成形炭1g当り0.005mg
以下である4)記載のビール粕成形炭。 6) リン溶出防止処理により、リンをリン酸カルシウ
ムの形態で含有する4)又は5)記載のビール粕成形
炭。 7) 4)〜6)の何れかに記載のビール粕成形炭から
なる水質浄化材。
る。ビール工場から入手した機械脱水済みビール粕を乾
燥し、加熱圧縮成形した後、低酸素雰囲気中で焼成して
ビール粕成形炭を作成した。焼成時の最終到達温度は6
00℃と800℃の2種類とし、それぞれサンプルを作
成した。以後、600℃のものを低温炭、800℃のも
のを高温炭と呼ぶ。また、ビール粕を事前に1N塩酸に
浸漬させ、その後pHが中性付近に戻るまで水洗処理し
たサンプルを使用して、焼成時の最終到達温度800℃
で炭化したビール粕成形炭も作成した。以後、このサン
プルをリン除去炭と呼ぶ。比較実験のため木炭水質浄化
装置で採用されているマレーシア産木炭を入手した。実
験に用いた上記4種の炭の物性を表1に示す。
分級した。JIS標準篩(目の開き:19.0mm、ワ
イヤー径:3.15mm、東洋スクリーン工業社製)の
篩下、JIS標準篩(目の開き:9.5mm、ワイヤー
径:2.24mm、東洋スクリーン工業社製)の篩上に
分離された径が約10〜20mmの粉砕炭を図1のフロ
ーシート中のカラム、具体的には図2のカラム(添付写
真参照)に充填した。カラムの底部は円錐部となってお
り、底部から被処理原水(以下、原水という)を送入
し、空気を円筒部と円錐部の接続箇所付近から水平方向
に送気した。処理温度を均一にするため、カラムはジャ
ケットを備えたものとし、ジャケット内には、恒温水循
環装置(NCB−2100、東京理科器械社製)で常時
25℃の水を循環させた。この種のカラムにおいて、塔
径に対する充填物の径の比が8以下では液の分散が悪く
なると言われており、前述のように粉砕炭の径が約10
〜20mmなので、カラムの直径を80mmとした。カ
ラムの総容積を3.8リットルに設計製作した上で、上
記4種の炭を充填したところ、担体充填率は50%であ
った。
流入量は4ml/minと計算した。原水流入量は当初
4ml/minで開始したが、開始後92日目に8ml
/minに、開始後127日目に16ml/minに、
2度増加させて処理状況の経過を観察した。通気量は、
各カラムとも溢流部で溶存酸素が飽和状態となる100
〜200ml/minに調整した。上記4種の炭を用い
たカラムの他に、通気効果だけで水質が浄化される効果
を確認するため、炭を入れない対照カラムを用意した。
対照カラムにおいては、より低部のノズルから溢流させ
て滞留時間を調整したが、カラムの構造を統一した関係
で、対照カラムの有効容積は2.0リットルとなり、滞
留時間は他のカラムの場合よりも長い8.4となった
(原水流入量4ml/minの場合)。処理原水は霞ヶ
浦から週に2回運搬した。全リンの測定には、全リン計
(スミグラフModel P−1500、住化分析セン
ター社製)を用いた。以上のような条件で実験を行った
ところ、リンの溶出量は、図3に示すような結果となっ
た。図3の縦軸は処理水中の全リン濃度(mg/l)、
横軸は通水日数である。図3から分るように、低温炭、
高温炭共に長期間に亘り高濃度のリンが溶出したが、リ
ン除去炭では、低温炭や高温炭に比べて、初期段階で全
リン濃度が半分以下となり、40日程度経過後にはほぼ
原水に近い状態となった。
によるリンの除去は、一応の効果が認められるものの、
環境対策の観点からは十分とは言えない。また、本発明
者らは、ビール粕成形炭のリン含有量の高さ(約2重量
%)から抽出除去も困難と判断し、何らかの安全な物質
を添加してリンを含有する難溶解性物質を生成させるこ
とにより、リンの溶出を抑える方法について検討した。
リンの化合物の中では、リン酸カルシウムが、水に対す
る溶解度が極めて低く、かつ安全性も高いことから、消
石灰や炭酸カルシウムを添加してリン酸カルシウムを生
成させる手段について詳しく検討した。その結果、ビー
ル粕成形炭の成形前の原料に消石灰や炭酸カルシウムな
どのカルシウム化合物を添加すれば、リンが難水溶性の
リン酸カルシウムとして固定化できることを確認した。
ビール粕成形炭に含まれるリンの絶対量から当量計算し
た消石灰の必要最小添加量(理論値)は7重量%程度で
ある。リンの溶出量を減らす方法としては、前述のよう
に原料であるビール粕を塩酸などの酸に浸漬した後、水
洗処理する方法もあり、操作を繰り返すことにより前記
環境庁の基準をクリヤーできる可能性はあるが、製造コ
ストなどの点からみて実用的とは言えず、本発明の固定
化法の方が、操作性、対環境特性などにおいて遥かに優
れている。
るが、本発明はこれらの実施例により限定されるもので
はない。
た後、直径50mmの棒状に加熱圧縮して成形物を作成
し、次いで、該成形物を低酸素雰囲気中で24時間以上
焼成(最高到達温度800℃)することによりビール粕
成形炭を得た。これとは別に、加熱圧縮工程直前に、消
石灰(スーパー消石灰、協和株式会社製)を、2.5重
量%、5重量%、10重量%、20重量%添加した点以
外は、上記消石灰無添加の場合と全く同様にしてビール
粕成形炭を作成した。各成形炭5gを100mlの純水
と混合し静置して、水中のリン濃度を全リン計(スミグ
ラフModel P−1500、住化分析センター社
製)を用いて測定した。結果を図4に示す。図4の横軸
は、消石灰添加率(重量%)であり、縦軸は24時間後
の成形炭1g当りのリンの溶出量(mg)である。図4
から分るように、消石灰5重量%の添加で、リンの溶出
量は50分の1となり、10重量%ではリンの溶出が認
められなかった。従って、リンの溶出を零にするために
必要な消石灰の最小添加量は5重量%と10重量%の間
にあり、前述の当量計算による消石灰の必要最小添加量
(理論値)の7重量%とよく整合している。なお、リン
の溶出防止の観点からは、特に消石灰の添加量に上限は
ないが、実質上10重量%程度で十分である。図5に、
上記ビール粕成形炭のX線回折分析の結果を示す。図5
(a)は消石灰無添加のもの、図5(b)は消石灰を
2.5重量%添加したもののチャートである。図5
(a)、(b)から、消石灰添加成形炭中にリン酸カル
シウムが生成していることが確認された。
た点以外は、実施例1の場合と同様にしてビール粕成形
炭を作成し、リンの溶出量を測定したところ、実施例1
とほぼ同様の結果が得られた。
なリン溶出防止処理法、市販の水質浄化装置用木炭とほ
ぼ同等の浄化能力を有し、環境基準を満足するリン溶出
防止処理されたビール粕成形炭、及び該ビール粕成形炭
からなる水質浄化材を提供できる。
(添付写真参照)。
炭を用いた場合の、処理水中の全リン濃度の測定結果を
示す図。
の、処理水中の全リン濃度と、消石灰の添加量との関係
に関する測定結果を示す図。
図。 (a) 消石灰を添加しないビール粕成形炭。 (b) 消石灰を添加したビール粕成形炭。
Claims (7)
- 【請求項1】 ビール粕を脱水乾燥したのち加熱圧縮し
て成形物を作成し、次いで該成形物を焼成することによ
り得られる炭化物(ビール粕成形炭)のリン溶出防止処
理方法であって、リンと反応して難水溶性物質を生成す
る物質を成形前に添加することを特徴とするビール粕成
形炭のリン溶出防止処理方法。 - 【請求項2】 前記リンと反応して難溶解性物質を生成
する物質がカルシウム化合物であり、難溶解性物質がリ
ン酸カルシウムである請求項1記載のビール粕成形炭の
リン溶出防止処理方法。 - 【請求項3】 消石灰の添加量が、ビール粕成形炭重量
に対し5重量%以上である請求項2記載のビール粕成形
炭のリン溶出防止処理方法。 - 【請求項4】 リン溶出防止処理されたビール粕成形
炭。 - 【請求項5】 成形炭を純水と混合して静置した場合
の、24時間後のリンの溶出量が、成形炭1g当り0.
005mg以下である請求項4記載のビール粕成形炭。 - 【請求項6】 リン溶出防止処理により、リンをリン酸
カルシウムの形態で含有する請求項4又は5記載のビー
ル粕成形炭。 - 【請求項7】 請求項4〜6の何れかに記載のビール粕
成形炭からなる水質浄化材。
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