JP2003040867A - キラルアリーレンで結合されたジカルバゾール誘導体およびその製法 - Google Patents

キラルアリーレンで結合されたジカルバゾール誘導体およびその製法

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 有機EL等として有用な新規な化学構造を持
つ有機材料およびその製法の提供 【解決手段】 式1で表される光学活性アリーレンジN
−カルバゾリル誘導体化合物(R1〜R4はH、メトキシ
基、アミノ基、ハロゲンまたはアリール基から独立に選
択される。R5〜R16はメトキシ基、エステル基、ニト
リル基、アミノ基、ハロゲン、酸素原子含有基、または
アリール基から独立に選択される。)およびアミノ基と
2,2’−ジハロ−1,1’−ビフェニル、2−ハロ−
2’−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,1’
−ビフェニルまたは2,2’−ビス(トリフルオロメタ
ンスルホニルオキシ)−1,1’−ビフェニルのハロゲ
ンおよび/またはトリフルオロメタンスルホニルオキシ
が置換した2つの炭素とで2つのN−C結合を同時に形
成させる、N−カルバゾリル基のN含有ピロール環を形
成するという新しい反応により光学活性アリーレンジN
−カルバゾリル誘導体を製造する方法

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内部回転異性性を
付与しうる結合軸を持つまたはまたはそれ自身内部回転
異性性の結合軸を持つアリーレン基に2つのN−カルバ
ゾイル基が結合した新規な光学活性アリーレンジN−カ
ルバゾリル誘導体に関する。特に、前記アリーレン基が
1,1’−ビナフチレン−2,2’−ジイル基または少
なくとも6、6’ 位にアルキル基、アルコキシ基、ア
シル基、ニトリル基から独立に選択される置換基を有す
る1,1’−ビフェニレン−2,2’−ジイル基である
ことを特徴とする光学活性アリーレンジN−カルバゾリ
ル誘導体、および光学活性アリーレンジN−カルバゾリ
ル誘導体を製造する方法、特にアミノ基の1つのNと
2,2’−ジハロ−1,1’−ビフェニル、2−ハロ−
2’−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,1’
−ビフェニルまたは2,2’−ビス(トリフルオロメタ
ンスルホニルオキシ)−1,1’−ビフェニルのハロゲ
ンおよび/またはトリフルオロメタンスルホニルオキシ
が置換した2つの炭素とで2つのN−C結合を同時に形
成させることでN含有ピロール環を形成するという全く
新しい反応により前記光学活性アリーレンジN−カルバ
ゾリル誘導体を製造する方法に関する。前記光学活性ア
リーレンジN−カルバゾリル誘導体は、有機EL、蛍光
材料、有機バッファー層構成材料、CD特性に基づく光
スイッチ構成材料として有用である。
【0002】
【従来の技術】これまでに、9−カルバゾリルを分子構
造内に含有する化合物は多く提案されている。例えば、
ゼログラフィーにおいは増感剤と組み合わせて有機光半
導体材料とし、また電荷移送層の形成材料などとし利用
されている。ジカルバゾール誘導体は、例えば、EL材
料(再結合型発光)であるジスチリルアリレン誘導体に
ゲスト色素としてドーピングする材料として提案され、
この組み合わせにより高性能の有機発光素子とすること
ができる可能性があることが報告されている。この高性
能化の原理の解析において、分子間のエネルギー転移と
分子構造との関係が重要な究明ファクターとなることが
示唆されている。
【0003】また、4,4’−ビスカルバゾールビフェ
ニルを陰極材料のバッファー層形成材料として用いるこ
とも報告されている〔「有機EL素子とその工業化最前
線」1998年11月30日 (株)エヌ・ティー・エ
ス発行の第2編第2章「電極材料」(第123頁〜第1
66頁)〕。バッファー層の機能は、駆動電圧を低下さ
せることや発光効率向上であり、電極から、種々機能材
料層、例えばEL層への電子またはホール注入性を改善
するもので、ホールの注入性を利用する陽極バッファー
層と電子の注入特性を利用する陰極バッファー層とがあ
る。特に、有機系の機能材料層への電子の注入を安定に
するためのバッファー層形成材料の開発には、金属電極
構成材料に安定な金属を使用できるというメリットをも
たらすし、定電圧駆動の安定な素子を設計できる点で、
技術的に大きな意味がある。
【0004】Tetrahedron Letters 41(2000)8573-8
576、には、p−ジアミノスチルベンが明確な二光子吸
収特性(TPA)を示すこと、および該ジアルキルアミ
ノ基をカルバゾール基に変えることにより新規にビスカ
ルバゾール誘導体を合成したこと、該誘導体は二光子吸
収係数δの増大、および光安定性をもたらすことについ
て報告している。更に、該化合物の合成において、ウル
マン反応を用い、4,4’−ジブロモスチルベンとカル
バゾールから4,4’−ビス(9−カルバゾイル)スチ
ルベンを得る場合、すなわち、ハロゲン化物とカルバゾ
ールとの直接の反応によりビスカルバゾール誘導体を製
造する方法は、収率が低いこと。そこで、新しい合成方
法として、9−(4’−ホルミルフェニル)カルバゾー
ルを鍵前駆体として用いる反応を開発したこと、すなわ
ち、乾燥ジオキサン中でTiCl 4/Znを用いて反応
させることにより前記誘導体が良い収率で得られたこと
が報告されている。更にトルエン溶液中における蛍光特
性、量子収率が記載され、置換基の蛍光特性、量子収率
への影響についても示唆している。このような現象は異
なる分子間だけでなく、同一分子内における部分構造や
部分構造の相対配置との関係が、エネルギー移動、換言
すれば全体の電子状態に大きな影響があることを示唆し
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、前記
機能性有機材料の特性を改善した新規な化学構造を持つ
有機材料、特にカルバゾール環に注目して、N−カルバ
ゾリル基を内部回転異性性を付与しうる結合軸を持つま
たはそれ自身内部回転異性性の結合軸を持つアリーレン
基に2個導入した新規な2個のN−カルバゾリル基を持
つ光学活性アリーレンジN−カルバゾリル誘導体を提供
することであり、更に、前記誘導体を得るための製造方
法を提供することである。
【0006】前記N−カルバゾリル基をアリーレンに2
個を導入する方法としては、一般的には、例えば前記式
1の化合物の場合、2,2’−ジブロモ−1,1’−ビ
ナフチル一分子とカルバゾール二分子をパラジウムまた
はニッケルのような触媒を用いてカップリングさせる
が、この反応では本発明の化合物を作ることができなか
った。したがって、全く新しい発想に基づく合成方法を
開発する必要があった。
【0007】そこで、本発明者は、カルバゾール二分子
のN含有環を合成の過程で形成させる、すなわち2,
2’−ジブロモ−1,1’−ビナフチル一分子に変えて
2,2’−ジアミノ−1,1’−ビナフチル一分子と
2,2’−ジハロ−1,1’−ビフェニル、2−ハロ−
2’−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,1’
−ビフェニルまたは2,2’−ビス(トリフルオロメタ
ンスルホニルオキシ)−1,1’−ビフェニル二分子を
用い前記アミノ基のNと2つのハロゲンまたは/および
トリフルオロメタンスルホニルオキシが置換した2つの
炭素とで2つのN−C結合を同時に形成させN−カルバ
ゾリル基のN含有ピロール環を形成させることを考え
た。アリールハライド化物のアミノ化によるC−N結合
の形成に利用されている、パラジウムなどの金属と嵩高
な有機基を持つP配位子化合物の錯体を触媒とし、有機
溶媒中で適当なハロゲン化水素受容体などとして機能す
るtert-ブトキシNaの存在下で反応させることにより
前記新規な着想に基づく反応が進行し、前記本発明の目
的化合物が得られることを確認し、前記各課題を解決す
ることができた。
【0008】前記嵩高な有機基を持つP配位子化合物を
用いるアミノ化反応の触媒、ハロゲン化水素受容体など
として機能する塩については、例えば、〔文献;J. P.
Wolfe, H. Tomori, J. P. Sadighi, J. J. Yin, S. L.
Buchwald, J. Org. Chem. vol 65 p.1158 (2000).〕を
参考資料として挙げることができる。また、このような
技術を、本発明で利用する触媒を支持する根拠として挙
げる。ここには、アリールハロゲン化物基質をPd触媒
を利用してアミノ化する反応を効率的に進める触媒系を
構築するための配位子化合物群が説明され、特に配位子
として有機リン化合物を用いること、立体的に嵩高な配
位子は、還元的除去反応によるC−N結合の形成を促進
することが説明されている(1165頁、Discussionの
項参照)。また、利用するPd源、配位子の選択は前記
反応を成功させるかどうかの重要な点であり、P結合有
機基の嵩高性、高電子密度およびホスフィン類は、アリ
ールクロライドを容易にアニリン誘導体にすると共に、
使用できるアリールクロライド化合物の範囲を拡大する
ことができることが説明されている(1158頁左
欄。) そして、図1の配位子群Aおよび該配位子の特性などが
説明されている。また、前記本発明の反応は、ヨウ化
銅、嵩高なジアミン配位子、例えばラセミ トランス−
1,2−シクロヘキサンジアミンおよびtert-ブトキシ
アルカリ金属(アルカリ金属はLi、NaまたはK)、
アルカリ金属の炭酸、またはリン酸塩からなる群から選
択されるハロゲン化水素受容体などとして機能する塩、
例えば、リン酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム
またはtert-ブトキシNaなどの塩の触媒系を用いて進
行させることもできる(この系の触媒については、文
献、A. Klapars, J. C. Antilla, X. Huang, S. L. Buc
hwald J. Am. Chem. Soc. 2001, as soon as possible
on the web. を参照)。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、Cz−
Ar−Cz、(但しCzは電子供与性置換基を有してい
ても良いN−カルバゾリル基であり、Arは電子求引性
置換基を有していても良い、内部回転異性性を付与しう
る結合軸を持つアリーレン基またはそれ自身内部回転異
性性の結合軸を持つアリーレン基である)で表される光
学活性アリーレンジN−カルバゾリル誘導体である。好
ましくは、内部回転異性性を付与しうる結合軸を持つア
リーレン基またはそれ自身内部回転異性性の結合軸を持
つアリーレン基が、非置換の、または置換基としてエス
テル基、メトキシ基、ニトリル基、アミノ基、ハロゲ
ン、酸素原子含有基またはアリール基から独立に選択さ
れる置換基を、3〜8、3’〜8’位の一部または全部
に有する1,1’−ビナフチレン−2,2’−ジイル
基、または少なくとも6、6’ 位にアルキル基、アリ
ール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、ニトリル
基から独立に選択される置換基を有し、他の位置にメト
キシ基、アミノ基、ハロゲンまたはアリール基から独立
に選択される置換基を有していても良い1,1’−ビフ
ェニレン−2,2’−ジイル基であることを特徴とする
前記の光学活性アリーレンジN−カルバゾリル誘導体で
あり、更に、好ましくは、光学活性アリーレンジN−カ
ルバゾリル誘導体が前記式1で表される化合物(R1
4はH、メトキシ基、アミノ基、ハロゲンまたはアリ
ール基から独立に選択される。R5〜R16はメトキシ
基、エステル基、ニトリル基、アミノ基、ハロゲン、酸
素原子含有基、またはアリール基から独立に選択され
る。)であることを特徴とする前記光学活性アリーレン
ジN−カルバゾリル誘導体である。
【0010】本発明の第2は、NH2−Ar−NH2(但
し、Arは電子求引性置換基を有していても良い内部回
転異性性を付与しうる結合軸を持つまたはそれ自身内部
回転異性性の結合軸を持つアリーレン基である。)で表
されるジアミンと電子供与性置換基を有していても良い
2,2’−ジハロ−1,1’−ビフェニル、2−ハロ−
2’−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,1’
−ビフェニルまたは2,2’−ビス(トリフルオロメタ
ンスルホニルオキシ)−1,1’−ビフェニルとを触媒
MLn(MはPdまたはNi、Lは嵩高な有機P化合物
配位子、nは整数である。)およびtert-ブトキシアル
カリ金属(アルカリ金属はLi、NaまたはK)、アル
カリ金属の炭酸、酢酸またはリン酸塩、有機アミンから
なる群から選択される塩基の組み合わせ、またはヨウ化
銅、嵩高なジアミン配位子およびtert-ブトキシアルカ
リ金属(アルカリ金属はLi、NaまたはK)、アルカ
リ金属の炭酸塩、またはリン酸塩からなる群から選択さ
れるハロゲン化水素受容体などとして機能する塩との組
み合わせの存在する有機溶媒中で反応させ、2つのカル
バゾール環を形成する反応により光学活性アリーレンジ
N−カルバゾリル誘導体を製造する方法である。好まし
くは、前記ジアミンが、3〜8,3’〜8’の位置の一
部または全部にメトキシ基、エステル基、ニトリル基、
アミノ基、ハロゲン、酸素原子含有基、またはアリール
基から独立に選択される置換基を有していても良い2,
2’−ジアミノ− 1,1’−ビナフチルまたは少なく
とも6、6’ 位にアルキル基、アリール基、アルコキ
シ基、アミノ基、アシル基、ニトリル基から独立に選択
される置換基を有し、他の位置にメトキシ基、アミノ
基、ハロゲンまたはアリール基から独立に選択される置
換基を有していても良い1,1’−ビフェニレン−2,
2’−ジイル基であることを特徴とする前記光学活性ア
リーレンジN−カルバゾリル誘導体を製造する方法する
方法であり、より好ましくは、2,2’−ジハロ−1,
1’−ビフェニル化合物、2−ハロ−2’−トリフルオ
ロメタンスルホニルオキシ−1,1’−ビフェニルまた
は2,2’−ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキ
シ)−1,1’−ビフェニルが5,5’位にメトキシ
基、アミノ基、ハロゲンまたはアリール基から独立に選
択される置換基を有し、他の位置にメトキシ基、アミノ
基、ハロゲンまたはアリール基の置換基を有していても
良く、2位または2’位のハロゲン原子はBr、I、ま
たはClから選択され、2,2’−ジハロ−1,1’−
ビフェニルの場合、それぞれのハロゲン原子は独立に選
択されることを特徴とする前記光学活性アリーレンジN
−カルバゾリル誘導体を製造する方法である。
【0011】本発明の第3は、前記光学活性アリーレン
ジN−カルバゾリル誘導体を用いたバッファー層形成用
材料である。本発明の第4は、前記光学活性アリーレン
ジN−カルバゾリル誘導体を用いた有機エレクトロルミ
ネセンスの発光層形成材料である。
【0012】
【本発明の実施の態様】本発明をより詳細に説明する。 A.N−カルバゾリル基の導入により内部回転異性性を
付与しうる結合軸を持つアリーレン基またはそれ自体で
内部回転異性性の結合軸を持つアリーレン基としては、
非置換または電子求引性置換基を有するビアリーレン−
ジイル−基、例えば、ナフタレン、アントラセンなどの
ポリアセン類から導かれる、1,1’−ビアリーレン−
2,2’−ジイル、例えば1,1’−ビナフチレン−
2,2’−ジイル、または9,9’−ビフェナンスリル
−10,10’−ジイル基、6、6’ 位にアルキル
基、アルコキシ基、アシル基、ニトリル基から独立に選
択される置換基を有するキラル1,1’−ビフェニレン
−2,2’−ジイル基などを挙げることができる。ここ
で、「内部回転異性性を付与しうる結合軸」とは、結合
軸の自由回転を阻害する置換基の導入により「内部回転
異性性の結合軸」となることを意味する。
【0013】置換基としては、1,1’−ビナフチレン
−2,2’−ジイルにおいては6,6’−位、6,6’
−ジ置換1,1’−ビフェニレン−2,2’−ジイル基
においては更に5,5’−位に、また、9,9’−ビフ
ェナンスリル−10,10’−ジイル基においては6,
6’−位に、メトキシ基、エステル基、ニトリル基、ア
ミノ基、ハロゲン原子、酸素原子含有基、およびアリー
ル基などから独立に選択される電子吸引性基の置換によ
り、アリーレン部分のアニオンラジカルの安定性が改善
されると共に、有機EL、蛍光材料、有機バッファー層
構成材料、CD特性に基づく光スイッチ構成が改善され
る。例えば、3,3’,4,4’,5,5’,6,
6’,7,7’,8,8’−ドデカフルオロ−1,1’
−ビナフチル−2,2’−ジイルを用いたものは前記特
性が改善される。ここで、酸素原子含有基とは、例え
ば、−OAc、−OSO2CH3、−OSO 2CF3などを
意味する。上記説明から明らかなように、反応原料であ
るNH2−Ar−NH2における、Arには、前記アリー
レン基の説明に基づいて選択され、用いられる。
【0014】B. アミノ化反応の基質の2,2’−ジ
ハロ−1,1’−ビフェニル化合物において、ハロゲン
原子は同一でも、異なっていても良く、Cl、Brおよ
びIから選択される。好ましいものとしては、BrとI
とを組み合わせた場合、および両ハロゲンがBrの場合
を挙げることができる。該ビフェニル化合物において機
能性などの改善に有効な置換位置は5,5’位である。
5,5’位に置換したメトキシ基、アミノ基、ハロゲン
またはアリール基は本発明の光学活性アリ−レンジN−
カルバゾールにおいて窒素上のカチオンラジカルを安定
化すると共に、有機EL、蛍光材料、有機バッファー層
構成材料、CD特性に基づく光スイッチ構成材料として
の特性を改善することができる。アミノ化反応の基質が
2−ハロ?2’−トリフルオロメタンスルホニルオキシ
−1,1’−ビフェニルまたは2,2’−ビス(トリフ
ルオロメタンスルホニルオキシ)−1,1’−ビフェニ
ルの場合においても、5,5’位にメトキシ基、アミノ
基、ハロゲンまたはアリール基を置換することにより上
記特性の改善が見られる。
【0015】C.触媒MLn(MはPdまたはNi、L
は嵩高な有機P化合物配位子、nは整数である。)にお
いて、配位子Lとして、トリス(2−メチルフェニル)
ホスフィン、ビス(2−メチルフェニル)(フェニル)
ホスフィン、(2−メチルフェニル)ジフェニルホスフ
ィン、トリフェニルホスフィンなどのトリアリールホス
フィン類、トリ(tert-ブチル)ホスフィン、トリ(イ
ソプロピル)ホスフィンなどの嵩高のアルキル基を持つ
トリアルキルホスフィン類、2−(ジシクロヘキシルホ
スフィノ)ビフェニル、2−(ジ−tert-ブチルホスフ
ィノ)ビフェニルなど有機ホスフィノ基置換ビフェニル
類、1位、1位および1’位にフェニル基、嵩高なアル
キル基、例えばtert-ブチル基、シクロヘキシル基から
なる群から選択2つの有機基(異なるものから選択され
ても良い)をもつホスフィノ基を有するフェロセン類、
その他に、図1の配位子群Aおよび配位子群Bに記載の
ものを挙げることができる。好ましいものとして、トリ
ス(2−メチルフェニル)ホスフィンを挙げることがで
きる。
【0016】D.配位触媒のPd、Niなどの金属前駆
体としては、Pd2(dba)3、Pd(dba)2、Pd(O
Ac)2、PdCl2〔P(メチルフェニル)32、Pd
Cl 2(dppf)、Ni(cod)2、NiCl2とMeMgB
rの混合物、Ni/C、NiCl2(1,10−フェナ
ンスロリン)とMeMgBrの混合物などを挙げること
ができる。ここで、dba=トランス、トランス−ジベ
ンジリデン アセトン(trans,trans-dibenzylidene ace
tone)、OAc=アセチル、dppf=1,1’−(ビ
スジフェニルホスフィノ)フェロセン〔1,1'-(bisdiphe
nylphosphino)ferrocene〕、cod=1,5−シクロオ
クタジエンである。
【0017】E.前記触媒MLnと組み合わされる、反
応中に発生するHX(Xはハロゲン原子)の受容体など
として機能する塩は、tert-ブトキシアルカリ(アルカ
リとしては、Li、Na、K)、リン酸カリウム、炭酸
セシウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリ
ウム、トリアルキルアミンなどを挙げることができる。
【0018】前記触媒MLnを用いた系と同様に機能す
る触媒系として、ヨウ化銅、嵩高なジアミン配位子、例
えばラセミ トランス−1,2−シクロヘキサンジアミ
ンおよびtert-ブトキシアルカリ金属(アルカリ金属は
Li、NaまたはK)、アルカリ金属の炭酸塩、または
リン酸塩からなる群から選択されるハロゲン化水素受容
体などとして機能する塩、例えば、リン酸カリウム、炭
酸カリウム、炭酸セシウムまたはtert-ブトキシNaな
どの塩との組み合わせを有用なものとして挙げることが
できる。
【0019】F、反応溶媒としては、トルエン、ベンゼ
ンなどの芳香族類、ヘキサン、エーテル、酢酸エチル、
クロロホルム、塩化メチレン、ジメチルホルムアミド
(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−
ジオキサン、1,2?ジメトキシエタン、ジグライムな
どである。好ましくは、トルエン、ベンゼンなどの芳香
族類である。 G.反応温度は20〜150℃の範囲であり、好ましく
は、80±20℃である。
【0020】以下に示す実施例は、本発明をより具体的
に説明するためのものであり、請求の範囲に記載に記載
された構成の範囲に含まれるものであれば、本実施例に
準ずる作用効果を持ち、本発明を限定するものではな
い。
【実施例】実施例1 (S)−2,2’−ジ(N−カルバゾリル)―1,1’
−ビナフタレンの合成。 (S)−1,1’−ビナフチル−2,2’−ジアミン
(284mg,1.00ミリモル)と2−ブロモ−2’−ヨードー
1,1’−ビフェニル(862mg、2.40ミリモル)
をトルエン(2.9mL)にとかし、金属前駆体として
Pd2(dba)3(92mg、0.10モル)と配位子化合物と
してトリス(2−メチルフェニル)ホスフィン(122m
g、6.40ミリモル)、ハロゲン化水素受容体などとして
機能する塩としてtert−ブトキシシNa(423mg、4.40m
mol)を加え、80℃で、24時間撹拌した。反応混合
物を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー
で精製し、前記目的の化合物 350mg(収率60
%)を得た。融点;277.6℃〜278.1℃であっ
た。
【0021】(S)−2,2’−ジ(N−カルバゾリ
ル)―1,1’−ビナフタレンの特性 A;前記本発明の化合物酸化、還元特性 サイクリックボルタンメトリー(cyclic voltammetry)
による測定。 参照電極として飽和カロメル電極、作用電極として、ガ
ラス状炭素、対極としてPt、を用いた。測定電解液と
して、CH3CN、30mL、LiClO4、3mmo
l、前記本発明の化合物(基質)0.1mmol、対照
試料(ブランク)として基質を除いたものを用意した。
図2に酸化電位を、図3に還元電位を示す。これらか
ら、酸化電位は、1.09Vで一電子酸化され、1.3
5Vで二電子めが酸化されている。因みにナフチルカル
バゾールでは1.20Vで一電子酸化される。また、還
元特性は、図3のチャートには−2.25Vに還元によ
るピークがあり、還元され易いことを示している。因み
にナフチルカルバゾールではこの電位が観測されない。
このような特性から、本発明の化合物は二つのカルバゾ
リル基が効果的に相互作用しており、陽極バッファー層
および陰極バッファー層形成材料として、また、有機EL
の発光層、またはドーパントとして、換言すれば有機エ
レクトロルミネセンスの発光層形成材料として有用であ
ることを示している。
【0022】B;蛍光特性 図4に、シクロヘキサン中に前記本発明の化合物を1×
10-5モル溶解した溶液に励起光(295nm)を照射
した場合の蛍光特性を示す。この分子について分子軌道
を計算すると、カルバゾールが酸化され易く、ナフタレ
ンが還元され易いことが予測される(図2,3の説明に
対応する。)。したがって、光によって電子が励起され
た時にも、カルバゾールがプラス、ナフタレンがマイナ
スに帯電し、分子内電荷分離型錯体を生じていることが
予想される。蛍光スペクトルにおける強い発光は、この
分子の前記分子内電荷分離型錯体の生成を裏付けるもの
であり、光電変換素子としての利用の可能性を示唆す
る。
【0023】C;円二色(CD)(circular dichromis
m)特性 シクロヘキサン中に前記本発明の化合物を1×10-5
ル溶解により測定した。図5から、ビアリール特性吸収
帯の波長領域でモル吸収特性が変化しており、円二色
(CD)(circular dichromism)特性を観察すること
できる。したがって、上記の発光または光変換過程にキ
ラリティという情報を付与できる。
【0024】
【発明の効果】以上述べたように、本発明における新し
い反応に基づくN−カルバゾリル誘導体の合成原理は、
種々のアリーレン基と組み合わせたN−カルバゾリル誘
導体を提供できるという優れた効果をもたらし、得られ
た光学活性アリーレンジN−カルバゾリル誘導体は、種
々のアリーレン基とジN−カルバゾリルとの組み合わせ
に基づく種々の機能材料、特に有機EL、蛍光材料、有
機バッファー層構成材料、CD特性に基づく光スイッチ
構成材料として有用な材料を提供できるという優れた効
果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のMLnの配位子群例
【図2】 実施例1の化合物のサイクリックボルタンメ
トリーのよる酸化電位
【図3】 実施例1の化合物のサイクリックボルタンメ
トリーのよる還元電位
【図4】 実施例1の化合物の蛍光特性
【図5】 実施例1の化合物の円二色(CD)(circul
ar dichromism)特性
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 33/22 H05B 33/22 D // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 C07M 7:00 C07M 7:00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cz−Ar−Cz、(但しCzは電子供
    与性置換基を有していても良いN−カルバゾリル基であ
    り、Arは電子求引性置換基を有していても良い、内部
    回転異性性を付与しうる結合軸を持つアリーレン基また
    はそれ自身内部回転異性性の結合軸を持つアリーレン基
    である)で表される光学活性アリーレンジN−カルバゾ
    リル誘導体。
  2. 【請求項2】 内部回転異性性を付与しうる結合軸を持
    つアリーレン基またはそれ自身内部回転異性性の結合軸
    を持つアリーレン基が、非置換の、または置換基として
    メトキシ基、エステル基、ニトリル基、アミノ基、ハロ
    ゲン、酸素原子含有基またはアリール基から独立に選択
    される置換基を、3〜8、3’〜8’位の一部または全
    部に有する1,1’−ビナフチレン−2,2’−ジイル
    基、または少なくとも6、6’ 位にアルキル基、アリ
    ール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、ニトリル
    基から独立に選択される置換基を有し、他の位置にメト
    キシ基、アミノ基、ハロゲンまたはアリール基から独立
    に選択される置換基を有していても良い1,1’−ビフ
    ェニレン−2,2’−ジイル基であることを特徴とする
    請求項1に記載の光学活性アリーレンジN−カルバゾリ
    ル誘導体。
  3. 【請求項3】 光学活性アリーレンジN−カルバゾリル
    誘導体が式1で表される化合物(R1〜R4はH、メトキ
    シ基、アミノ基、ハロゲンまたはアリール基から独立に
    選択される。R5〜R16はメトキシ基、エステル基、ニ
    トリル基、アミノ基、ハロゲン、酸素原子含有基、また
    はアリール基から独立に選択される。)であることを特
    徴とする請求項1に記載の光学活性アリーレンジN−カ
    ルバゾリル誘導体。 【化1】
  4. 【請求項4】 NH2−Ar−NH2(但し、Arは電子
    求引性置換基を有していても良い内部回転異性性を付与
    しうる結合軸を持つまたはそれ自身内部回転異性性の結
    合軸を持つアリーレン基である。)で表されるジアミン
    と電子供与性置換基を有していても良い2,2’−ジハ
    ロ−1,1’−ビフェニル、2−ハロ−2’−トリフル
    オロメタンスルホニルオキシ−1,1’−ビフェニルま
    たは2,2’−ビス(トリフルオロメタンスルホニルオ
    キシ)−1,1’−ビフェニルとを触媒MLn(MはP
    dまたはNi、Lは嵩高な有機P化合物配位子、nは整
    数である。)およびtert-ブトキシアルカリ金属(アル
    カリ金属はLi、NaまたはK)、アルカリ金属の炭
    酸、酢酸またはリン酸塩、有機アミンからなる群から選
    択されるハロゲン化水素受容体などとして機能する塩の
    組み合わせ、またはヨウ化銅、嵩高なジアミン配位子お
    よびtert-ブトキシアルカリ金属(アルカリ金属はL
    i、NaまたはK)、アルカリ金属の炭酸塩、またはリ
    ン酸塩からなる群から選択されるハロゲン化水素受容体
    などとして機能する塩との組み合わせの存在する有機溶
    媒中で反応させ、2つのカルバゾール環を形成する反応
    により光学活性アリーレンジN−カルバゾリル誘導体を
    製造する方法。
  5. 【請求項5】 ジアミンが、3〜8,3’〜8’の位置
    の一部または全部にメトキシ基、エステル基、ニトリル
    基、アミノ基、ハロゲン、酸素原子含有基、またはアリ
    ール基から独立に選択される置換基を有していても良い
    2,2’−ジアミノ− 1,1’−ビナフチルまたは少
    なくとも6、6’ 位にアルキル基、アリール基、アル
    コキシ基、アミノ基、アシル基、ニトリル基から独立に
    選択される置換基を有し、他の位置にメトキシ基、アミ
    ノ基、ハロゲンまたはアリール基から独立に選択される
    置換基を有していても良い1,1’−ビフェニレン−
    2,2’−ジイル基であることを特徴とする請求項4に
    記載の光学活性アリーレンジN−カルバゾリル誘導体を
    製造する方法。
  6. 【請求項6】 2,2’−ジハロ−1,1’−ビフェニ
    ル、2−ハロ−2’−トリフルオロメタンスルホニルオ
    キシ−1,1’−ビフェニルまたは2,2’−ビス(ト
    リフルオロメタンスルホニルオキシ)−1,1’−ビフ
    ェニルが5,5’位にメトキシ基、エステル基、ニトリ
    ル基、アミノ基、ハロゲン、酸素原子含有基またはアリ
    ール基から独立に選択される置換基を有し、他の位置に
    メトキシ基、アミノ基、ハロゲンまたはアリール基の置
    換基を有していても良く、2位および2’位のハロゲン
    原子はBr、I、またはClから選択され、2,2’−
    ジハロ−1,1’−ビフェニルの場合それぞれのハロゲ
    ン原子は独立に選択されることを特徴とする請求項4ま
    たは5に記載の光学活性アリーレンジN−カルバゾリル
    誘導体を製造する方法。
  7. 【請求項7】 請求項1、2または3の光学活性アリー
    レンジN−カルバゾリル誘導体を用いたバッファー層形
    成用材料。
  8. 【請求項8】 請求項1、2または3の光学活性アリー
    レンジN−カルバゾリル誘導体を用いた有機エレクトロ
    ルミネセンスの発光層形成材料。
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