JP2003040798A - 低アルミニウム含有アルブミン製剤およびその製造法 - Google Patents
低アルミニウム含有アルブミン製剤およびその製造法Info
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- JP2003040798A JP2003040798A JP2001225520A JP2001225520A JP2003040798A JP 2003040798 A JP2003040798 A JP 2003040798A JP 2001225520 A JP2001225520 A JP 2001225520A JP 2001225520 A JP2001225520 A JP 2001225520A JP 2003040798 A JP2003040798 A JP 2003040798A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】比較的簡単な操作により、アルミニウム含有率
が極めて低いヒト血漿由来のアルブミン製剤を製造する
方法および、アルブミン製剤中のアルミニウム含有量が
アルブミン1gに対して120ng以下、特に40ng
以下のヒト血漿由来のアルブミン製剤の提供。 【解決手段】コーン氏の第6法によるヒト血漿由来のア
ルブミン画分SV−1またはPV−2を、陰イオン交換
体で処理することにより、アルブミン製剤中のアルミニ
ウム含有量がアルブミン1gに対して、120ng以下
といった極めて低い含有率のアルブミン製剤を得ること
ができる。
が極めて低いヒト血漿由来のアルブミン製剤を製造する
方法および、アルブミン製剤中のアルミニウム含有量が
アルブミン1gに対して120ng以下、特に40ng
以下のヒト血漿由来のアルブミン製剤の提供。 【解決手段】コーン氏の第6法によるヒト血漿由来のア
ルブミン画分SV−1またはPV−2を、陰イオン交換
体で処理することにより、アルブミン製剤中のアルミニ
ウム含有量がアルブミン1gに対して、120ng以下
といった極めて低い含有率のアルブミン製剤を得ること
ができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム含有
率が極めて低いヒト血漿由来アルブミン製剤およびその
製造法に関する。特にアルブミン含有製剤中のアルミニ
ウム含有量がアルブミン1gに対して120ng以下、
好ましくは40ng以下であるアルブミン製剤およびそ
の製造法に関する。
率が極めて低いヒト血漿由来アルブミン製剤およびその
製造法に関する。特にアルブミン含有製剤中のアルミニ
ウム含有量がアルブミン1gに対して120ng以下、
好ましくは40ng以下であるアルブミン製剤およびそ
の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】血中におけるアルミニウムの、たとえば
腎透析患者の痛みを伴う骨の病気やアルツハイマー症な
どの疾患に対する因果関係についてはかなり究明が進ん
できており、欧米各国では医薬品製剤中のアルミニウム
含有量を規制する動きもみられる。アルブミン製造工程
においては、ある種の濾過助剤からアルミニウムが溶出
してくることが知られており、時に最終製品中に比較的
高濃度のアルミニウムが含まれてくることがある。そこ
で、このアルブミン製剤からアルミニウムを極力取り除
く必要がある。従来、アルブミン製剤中からアルミニウ
ム成分を除去する方法としては、コーン氏の冷アルコー
ル分画によって得られた第V画分をQAE−トヨパール
等の強陰イオン交換体により処理する方法(特開平4−
187700)が知られているが、この方法によっても
25w/v%アルブミン含有製剤中のアルミニウム含有
率は70ppb、即ち、アルブミン1gに対してアルミ
ニウム280ng含まれており、この値はさらに低減さ
せる必要がある。
腎透析患者の痛みを伴う骨の病気やアルツハイマー症な
どの疾患に対する因果関係についてはかなり究明が進ん
できており、欧米各国では医薬品製剤中のアルミニウム
含有量を規制する動きもみられる。アルブミン製造工程
においては、ある種の濾過助剤からアルミニウムが溶出
してくることが知られており、時に最終製品中に比較的
高濃度のアルミニウムが含まれてくることがある。そこ
で、このアルブミン製剤からアルミニウムを極力取り除
く必要がある。従来、アルブミン製剤中からアルミニウ
ム成分を除去する方法としては、コーン氏の冷アルコー
ル分画によって得られた第V画分をQAE−トヨパール
等の強陰イオン交換体により処理する方法(特開平4−
187700)が知られているが、この方法によっても
25w/v%アルブミン含有製剤中のアルミニウム含有
率は70ppb、即ち、アルブミン1gに対してアルミ
ニウム280ng含まれており、この値はさらに低減さ
せる必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来品より
一段とアルミニウム含有量を低減させたヒト血漿由来の
アルブミン製剤ならびにその製造法を提供することにあ
る。特に、アルブミン製剤中のアルミニウム含有量がア
ルブミン1gに対して120ng以下、さらには40n
g以下のアルブミン製剤およびその製造法を提供しよう
とするものである。
一段とアルミニウム含有量を低減させたヒト血漿由来の
アルブミン製剤ならびにその製造法を提供することにあ
る。特に、アルブミン製剤中のアルミニウム含有量がア
ルブミン1gに対して120ng以下、さらには40n
g以下のアルブミン製剤およびその製造法を提供しよう
とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来低ア
ルミニウム含有率のアルブミン製剤を製造する際、原料
として用いられていたコーン氏の第6法によるヒト血漿
アルブミン第V画分を、さらにエタノール最終濃度が約
10%、pH4.5〜5.0程度となるように処理して
得た上清のSV−1を陰イオン交換体、好ましくは、弱
陰イオン交換体で処理するか、又はそのSV−1画分を
さらにエタノール最終濃度が約40%、pH4.8〜
5.2となるよう処理することにより得られる沈澱物の
PV−2を採取し、このPV−2を水に溶解して濾過し
た後陰イオン交換体、好ましくは弱陰イオン交換体で処
理することによりアルブミン製剤中のアルミニウム含有
量がアルブミン1gに対して120ng以下、好ましく
は40ng以下といった、アルミニウム含有率が極めて
低いアルブミン製剤が得られることを知見し、さらに研
究を重ねて本発明を完成した。
ルミニウム含有率のアルブミン製剤を製造する際、原料
として用いられていたコーン氏の第6法によるヒト血漿
アルブミン第V画分を、さらにエタノール最終濃度が約
10%、pH4.5〜5.0程度となるように処理して
得た上清のSV−1を陰イオン交換体、好ましくは、弱
陰イオン交換体で処理するか、又はそのSV−1画分を
さらにエタノール最終濃度が約40%、pH4.8〜
5.2となるよう処理することにより得られる沈澱物の
PV−2を採取し、このPV−2を水に溶解して濾過し
た後陰イオン交換体、好ましくは弱陰イオン交換体で処
理することによりアルブミン製剤中のアルミニウム含有
量がアルブミン1gに対して120ng以下、好ましく
は40ng以下といった、アルミニウム含有率が極めて
低いアルブミン製剤が得られることを知見し、さらに研
究を重ねて本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は、
(1)アルブミン製剤中のアルミニウム含有量がアルブ
ミン1gに対して120ng以下であるヒト血漿由来ア
ルブミン製剤、 (2)アルブミン製剤中のアルミニウム含有量がアルブ
ミン1gに対して40ng以下である(1)記載のヒト
血漿由来アルブミン製剤、 (3)コーン氏の第6法によるヒト血漿由来アルブミン
画分SV−1またはPV−2を陰イオン交換体で処理す
る低アルミニウム含有アルブミン製剤の製造法、 (4)コーン氏の第6法によるヒト血漿由来アルブミン
画分PV−2を水に溶解して、濾過した後、濾液を陰イ
オン交換体で処理する(3)記載の低アルミニウム含有
アルブミン製剤の製造法、 (5)アルブミン製剤中のアルミニウム含有量がアルブ
ミン1gに対して120ng以下である(3)または
(4)記載のアルブミン製剤の製造法、および (6)アルブミン製剤中のアルミニウム含有量がアルブ
ミン1gに対して40ng以下である(4)記載のアル
ブミン製剤の製造法、である。
ミン1gに対して120ng以下であるヒト血漿由来ア
ルブミン製剤、 (2)アルブミン製剤中のアルミニウム含有量がアルブ
ミン1gに対して40ng以下である(1)記載のヒト
血漿由来アルブミン製剤、 (3)コーン氏の第6法によるヒト血漿由来アルブミン
画分SV−1またはPV−2を陰イオン交換体で処理す
る低アルミニウム含有アルブミン製剤の製造法、 (4)コーン氏の第6法によるヒト血漿由来アルブミン
画分PV−2を水に溶解して、濾過した後、濾液を陰イ
オン交換体で処理する(3)記載の低アルミニウム含有
アルブミン製剤の製造法、 (5)アルブミン製剤中のアルミニウム含有量がアルブ
ミン1gに対して120ng以下である(3)または
(4)記載のアルブミン製剤の製造法、および (6)アルブミン製剤中のアルミニウム含有量がアルブ
ミン1gに対して40ng以下である(4)記載のアル
ブミン製剤の製造法、である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の原料となるヒト血漿由来
の粗アルブミン画分はいわゆるコーン氏の第6法のSV
−1またはPV−2画分である。SV−1画分は、V画
分を水により、1.5〜7倍程度に希釈した後、溶液の
pHを4.5〜5.0程度に調節しながら、50〜60
%エタノールを最終濃度が10%程度となるよう少しず
つ加える。これにより沈殿が生ずるが、この沈殿を濾去
した上清がSV−1となる。このSV−1を炭酸水素ナ
トリウム水溶液でpHが5.0〜5.2となるように調
節しながら、90〜95%エタノールを最終濃度が40
%程度になるまで加え、得られた沈殿を採取したものが
PV−2である。これらの操作は、アルブミンが変性し
ないように−0.5℃以下の温度で行うのが好ましい。
の粗アルブミン画分はいわゆるコーン氏の第6法のSV
−1またはPV−2画分である。SV−1画分は、V画
分を水により、1.5〜7倍程度に希釈した後、溶液の
pHを4.5〜5.0程度に調節しながら、50〜60
%エタノールを最終濃度が10%程度となるよう少しず
つ加える。これにより沈殿が生ずるが、この沈殿を濾去
した上清がSV−1となる。このSV−1を炭酸水素ナ
トリウム水溶液でpHが5.0〜5.2となるように調
節しながら、90〜95%エタノールを最終濃度が40
%程度になるまで加え、得られた沈殿を採取したものが
PV−2である。これらの操作は、アルブミンが変性し
ないように−0.5℃以下の温度で行うのが好ましい。
【0007】SV−1はそのまま、あるいは適度に濃縮
または希釈して、陰イオン交換体で処理する。アルミニ
ウムイオンはこの陰イオン交換体に吸着されアルブミン
は吸着されずに出てくる。一方PV−2は、ペースト状
PV−2を1〜3倍量の水に溶解し、濾過した後溶液を
陰イオン交換体、好ましくは、弱陰イオン交換体で処理
する。この場合もアルミニウムイオンは陰イオン交換体
に吸着され、アルブミンは吸着されずに流出してくる。
陰イオン交換体と接触させるアルブミン含有水溶液中の
アルブミン濃度は、通常、0.1〜20%(w/v、特
に明示のない限り以下同様)程度、好ましくは約1〜1
5%に調製される。
または希釈して、陰イオン交換体で処理する。アルミニ
ウムイオンはこの陰イオン交換体に吸着されアルブミン
は吸着されずに出てくる。一方PV−2は、ペースト状
PV−2を1〜3倍量の水に溶解し、濾過した後溶液を
陰イオン交換体、好ましくは、弱陰イオン交換体で処理
する。この場合もアルミニウムイオンは陰イオン交換体
に吸着され、アルブミンは吸着されずに流出してくる。
陰イオン交換体と接触させるアルブミン含有水溶液中の
アルブミン濃度は、通常、0.1〜20%(w/v、特
に明示のない限り以下同様)程度、好ましくは約1〜1
5%に調製される。
【0008】使用される陰イオン交換体としては陰イオ
ン交換基(例えば、第四アルキルアンモニウム塩基、ジ
エチルアミノエチル基等)を有する不溶性担体であれば
いずれも使用することができる。より具体的には、この
分野で慣用されている陰イオン交換体、例えば、DEA
E−セファロース、Q−セファロース(いずれもファル
マシア社製)、DEAE−トヨパール、QAE−トヨパ
ール(いずれも東ソー社製)、DEAE−セルロファイ
ン(生化学工業社製)等があげられるが、それらの中で
もDEAE−セルロファイン、DEAE−セファロー
ス、DEAE−トヨパールなどの弱陰イオン交換体を用
いるのが好ましい。上記の陰イオン交換体を用いる処理
は、SV−1またはPV−2からのアルブミン含有水溶
液を陰イオン交換体と接触させることにより行われる。
陰イオン交換体の使用量はアルブミン含有水溶液中のア
ルミニウム含量、夾雑蛋白質含量、陰イオン交換体の交
換能等により適宜調整されるが、アルブミン1g当た
り、陰イオン交換体0.5〜1.5mL程度で充分であ
る。接触方法はカラム法、バッチ法のいずれの方法にて
行ってもよいが、アルミニウムの除去効率の面からカラ
ム法で行うのが好ましい。
ン交換基(例えば、第四アルキルアンモニウム塩基、ジ
エチルアミノエチル基等)を有する不溶性担体であれば
いずれも使用することができる。より具体的には、この
分野で慣用されている陰イオン交換体、例えば、DEA
E−セファロース、Q−セファロース(いずれもファル
マシア社製)、DEAE−トヨパール、QAE−トヨパ
ール(いずれも東ソー社製)、DEAE−セルロファイ
ン(生化学工業社製)等があげられるが、それらの中で
もDEAE−セルロファイン、DEAE−セファロー
ス、DEAE−トヨパールなどの弱陰イオン交換体を用
いるのが好ましい。上記の陰イオン交換体を用いる処理
は、SV−1またはPV−2からのアルブミン含有水溶
液を陰イオン交換体と接触させることにより行われる。
陰イオン交換体の使用量はアルブミン含有水溶液中のア
ルミニウム含量、夾雑蛋白質含量、陰イオン交換体の交
換能等により適宜調整されるが、アルブミン1g当た
り、陰イオン交換体0.5〜1.5mL程度で充分であ
る。接触方法はカラム法、バッチ法のいずれの方法にて
行ってもよいが、アルミニウムの除去効率の面からカラ
ム法で行うのが好ましい。
【0009】カラム法で行う場合、前記のアルブミン含
有水溶液をpH4.5〜5.0程度、好ましくはpH
4.9附近とし、塩濃度としては通常0.001〜0.
2M程度、好ましくは0.001〜0.05M程度の塩
化ナトリウムに調製し、緩衝液、例えば、0.02M酢
酸ナトリウム(pH5.1)で平衡化した陰イオン交換
体カラムを通過させ、次いで同緩衝液で展開して非吸着
分を回収することにより行われる。上記の操作はアルブ
ミンの変性を制御するため、低温(通常、10℃以下、
好ましくは5℃以下)にて行うのが好ましい。また、バ
ッチ法で行う場合、上記条件に調整したアルブミン含有
水溶液に、陰イオン交換体を添加して接触させ、10℃
以下、好ましくは5℃以下で、30分〜2時間程度混和
した後、遠心分離等の手段により陰イオン交換体と分離
し、上清を回収することにより行われる。
有水溶液をpH4.5〜5.0程度、好ましくはpH
4.9附近とし、塩濃度としては通常0.001〜0.
2M程度、好ましくは0.001〜0.05M程度の塩
化ナトリウムに調製し、緩衝液、例えば、0.02M酢
酸ナトリウム(pH5.1)で平衡化した陰イオン交換
体カラムを通過させ、次いで同緩衝液で展開して非吸着
分を回収することにより行われる。上記の操作はアルブ
ミンの変性を制御するため、低温(通常、10℃以下、
好ましくは5℃以下)にて行うのが好ましい。また、バ
ッチ法で行う場合、上記条件に調整したアルブミン含有
水溶液に、陰イオン交換体を添加して接触させ、10℃
以下、好ましくは5℃以下で、30分〜2時間程度混和
した後、遠心分離等の手段により陰イオン交換体と分離
し、上清を回収することにより行われる。
【0010】上記の陰イオン交換体処理により得られた
低アルミニウム含有率のアルブミン水溶液は、目的とす
る濃度まで、たとえば限外濾過膜を用いて濃縮し、加熱
安定剤を添加した後液状加熱を行ってウイルスを不活化
する。ウイルスの不活化工程は、アルブミン濃度5〜3
0%程度、通常20−28%程度に調整した水溶液とし
て行われ、加熱温度としては、夾雑ウイルスを不活化す
るに十分な温度及び時間で行えばよく、例えば、50〜
70℃、好ましくは約60℃で、5〜20時間、好まし
くは約10〜15時間行われる。加熱安定化剤としては
例えば、N−アセチルトリプトファンナトリウム、カプ
リル酸ナトリウムなどが挙げられる。これらアルブミン
の安定化剤は、製剤中に含有されるアルブミン1g当り
通常0.08モル程度添加する。このようにして得られ
たアルブミン製剤は、そのアルミニウム含量がSV−1
を原料とした場合は、アルブミン1gに対して120n
g以下、好ましくは100ng以下、更に好ましくは8
0ng以下となり、PV−2を原料とした場合は、40
ng以下、好ましくは30ng以下、更に好ましくは2
0ng以下となる。
低アルミニウム含有率のアルブミン水溶液は、目的とす
る濃度まで、たとえば限外濾過膜を用いて濃縮し、加熱
安定剤を添加した後液状加熱を行ってウイルスを不活化
する。ウイルスの不活化工程は、アルブミン濃度5〜3
0%程度、通常20−28%程度に調整した水溶液とし
て行われ、加熱温度としては、夾雑ウイルスを不活化す
るに十分な温度及び時間で行えばよく、例えば、50〜
70℃、好ましくは約60℃で、5〜20時間、好まし
くは約10〜15時間行われる。加熱安定化剤としては
例えば、N−アセチルトリプトファンナトリウム、カプ
リル酸ナトリウムなどが挙げられる。これらアルブミン
の安定化剤は、製剤中に含有されるアルブミン1g当り
通常0.08モル程度添加する。このようにして得られ
たアルブミン製剤は、そのアルミニウム含量がSV−1
を原料とした場合は、アルブミン1gに対して120n
g以下、好ましくは100ng以下、更に好ましくは8
0ng以下となり、PV−2を原料とした場合は、40
ng以下、好ましくは30ng以下、更に好ましくは2
0ng以下となる。
【0011】
【実施例】本発明をより詳細に説明するために、実施例
及び実験例を挙げるが、本発明はこれらによってなんら
限定されるものではない。 実施例1 (1)アルブミン含有水溶液の調製 コーン氏の第6法におけるV画分ペースト500gを冷
無菌蒸留水3.5Lに溶かし、酢酸を用いてpH4.5
〜4.9に調製した。この溶液に53.3%(v/v)
エタノールを少量ずつ加え、最終エタノール濃度を約1
0%(v/v)とした。生じた沈殿を約0℃に保ち、ケ
イソウ土濾板(フィルターのポアサイズ:0.1〜1μ
m)を用いて濾過してSV−1画分(1a)を得た。得
られたSV−1画分の一部を0.5M炭酸水素ナトリウ
ム水溶液を用いてpHを4.9に調整し、これに95%
(v/v)エタノールを徐々に加えて最終エタノール濃
度を40%(v/v)とし、約1時間攪拌を続けた。液
中に生じた沈殿を遠心器で冷却、遠心してPV−2画分
を得た。得られたPV−2画分を2倍量の冷無菌蒸留水
に溶かし、前述と同じケイソウ土濾板を用いて濾過して
濾液(1b)を得た。
及び実験例を挙げるが、本発明はこれらによってなんら
限定されるものではない。 実施例1 (1)アルブミン含有水溶液の調製 コーン氏の第6法におけるV画分ペースト500gを冷
無菌蒸留水3.5Lに溶かし、酢酸を用いてpH4.5
〜4.9に調製した。この溶液に53.3%(v/v)
エタノールを少量ずつ加え、最終エタノール濃度を約1
0%(v/v)とした。生じた沈殿を約0℃に保ち、ケ
イソウ土濾板(フィルターのポアサイズ:0.1〜1μ
m)を用いて濾過してSV−1画分(1a)を得た。得
られたSV−1画分の一部を0.5M炭酸水素ナトリウ
ム水溶液を用いてpHを4.9に調整し、これに95%
(v/v)エタノールを徐々に加えて最終エタノール濃
度を40%(v/v)とし、約1時間攪拌を続けた。液
中に生じた沈殿を遠心器で冷却、遠心してPV−2画分
を得た。得られたPV−2画分を2倍量の冷無菌蒸留水
に溶かし、前述と同じケイソウ土濾板を用いて濾過して
濾液(1b)を得た。
【0012】(2)陰イオン交換体処理
DEAE−セファロース(ファルマシア製)をカラムに
充填し、0.5M塩化ナトリウムで十分に洗浄した後、
0.02M酢酸ナトリウム(pH4.9)で平衡化し、
陰イオン交換体カラムを調製した。このカラムに〔表
1〕に示した条件により上記(1a)、(1b)のアル
ブミン含有水溶液を通し、さらに冷0.02M酢酸ナト
リウム(pH4.9、2L)で洗浄し、通過液と洗浄液
とを合わせた。
充填し、0.5M塩化ナトリウムで十分に洗浄した後、
0.02M酢酸ナトリウム(pH4.9)で平衡化し、
陰イオン交換体カラムを調製した。このカラムに〔表
1〕に示した条件により上記(1a)、(1b)のアル
ブミン含有水溶液を通し、さらに冷0.02M酢酸ナト
リウム(pH4.9、2L)で洗浄し、通過液と洗浄液
とを合わせた。
【0013】(3)加熱処理
上記(2)で得られた2種類のアルブミン含有水溶液中
のアルコールを限外濾過膜で除き、さらに限外濾過膜を
用いて濃縮した後、安定剤として、アルブミン1g当た
り、N−アセチルトリプトファンナトリウムおよびカプ
リル酸ナトリウムをそれぞれ0.08molとなるよう
に添加した。ついで細菌濾過膜を用いて除菌濾過した
後、60℃にて15時間加熱処理して、最終的にpH、
濃度を調整して25w/v%濃度のアルブミン製剤を得
た。(1a)から得られた製剤中のアルミニウム含有率
は、原子吸光法による測定で19ppb、(1b)から
得られた製剤中のアルミニウム含有率は5ppbであっ
た。
のアルコールを限外濾過膜で除き、さらに限外濾過膜を
用いて濃縮した後、安定剤として、アルブミン1g当た
り、N−アセチルトリプトファンナトリウムおよびカプ
リル酸ナトリウムをそれぞれ0.08molとなるよう
に添加した。ついで細菌濾過膜を用いて除菌濾過した
後、60℃にて15時間加熱処理して、最終的にpH、
濃度を調整して25w/v%濃度のアルブミン製剤を得
た。(1a)から得られた製剤中のアルミニウム含有率
は、原子吸光法による測定で19ppb、(1b)から
得られた製剤中のアルミニウム含有率は5ppbであっ
た。
【0014】実験例1
それぞれの原料における陰イオン交換体のアルミニウム
除去効果を調べるため、陰イオン交換体処理前(交換体
未処理系)および陰イオン交換体処理後のアルミニウム
の含有率を比べた。アルブミン溶液中のアルミニウム含
量は原子吸光法により測定した。その結果を〔表1〕に
示した。
除去効果を調べるため、陰イオン交換体処理前(交換体
未処理系)および陰イオン交換体処理後のアルミニウム
の含有率を比べた。アルブミン溶液中のアルミニウム含
量は原子吸光法により測定した。その結果を〔表1〕に
示した。
【0015】
【表1】
【0016】
【発明の効果】本発明の方法は、比較的簡単な操作によ
りアルブミン製剤中のアルミニウムの含有率を著しく低
減することができ、たとえばアルブミン含有製剤中のア
ルミニウム含有量がアルブミン1gに対して120ng
以下、特に40ng以下のアルブミン製剤を得ることが
できる。
りアルブミン製剤中のアルミニウムの含有率を著しく低
減することができ、たとえばアルブミン含有製剤中のア
ルミニウム含有量がアルブミン1gに対して120ng
以下、特に40ng以下のアルブミン製剤を得ることが
できる。
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フロントページの続き
(72)発明者 丸山 英也
千葉県成田市新泉3番地の1 日本製薬株
式会社成田工場内
Fターム(参考) 4C084 AA01 AA06 BA44 CA18 CA36
DA36 DA37 NA07 ZC021
Claims (6)
- 【請求項1】アルブミン製剤中のアルミニウム含有量が
アルブミン1gに対して120ng以下であるヒト血漿
由来アルブミン製剤。 - 【請求項2】アルブミン製剤中のアルミニウム含有量が
アルブミン1gに対して40ng以下である請求項1記
載のヒト血漿由来アルブミン製剤。 - 【請求項3】コーン氏の第6法によるヒト血漿由来アル
ブミン画分SV−1またはPV−2を陰イオン交換体で
処理する低アルミニウム含有アルブミン製剤の製造法。 - 【請求項4】コーン氏の第6法によるヒト血漿由来アル
ブミン画分PV−2を水に溶解して濾過した後、濾液を
陰イオン交換体で処理する請求項3記載の低アルミニウ
ム含有アルブミン製剤の製造法。 - 【請求項5】アルブミン製剤中のアルミニウム含有量が
アルブミン1gに対して120ng以下である請求項3
または4記載のアルブミン製剤の製造法。 - 【請求項6】アルブミン製剤中のアルミニウム含有量が
40ng以下である請求項4記載のアルブミン製剤の製
造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001225520A JP2003040798A (ja) | 2001-07-26 | 2001-07-26 | 低アルミニウム含有アルブミン製剤およびその製造法 |
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