JP2003040120A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置

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JP2003040120A
JP2003040120A JP2001227156A JP2001227156A JP2003040120A JP 2003040120 A JP2003040120 A JP 2003040120A JP 2001227156 A JP2001227156 A JP 2001227156A JP 2001227156 A JP2001227156 A JP 2001227156A JP 2003040120 A JP2003040120 A JP 2003040120A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 操舵力補助のための永久磁石回転型ブラシレ
スモータを備えた電動パワーステアリング装置におい
て、安価で高温環境に強いブラシレスモータを備えると
共に、キックバック感あるいは慣性感を操舵者に伝える
ことなく快適な操舵フィーリングが得られるようにした
電動パワーステアリング装置を提供する。 【解決手段】 操舵力補助のための永久磁石回転型ブラ
シレスモータを備え、該ブラシレスモータのトルクを減
速機構部を介してステアリング軸部にあるいはピニオン
軸を介してラック軸にアシストトルクとして伝達する電
動パワーステアリング装置において、前記ブラシレスモ
ータと、前記減速機構部と、前記ステアリング軸部とを
含めた操舵系機構のイナーシャが、所定範囲に入るよう
にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、操舵力補助のため
の永久磁石回転型ブラシレスモータを備えた電動パワー
ステアリング装置に関し、特に、安価な構成で且つ慣性
補償制御を操舵系に適用することにより、キックバック
感あるいは慣性感を操舵者に伝えることなく快適な操舵
フィーリングを実現できるようにした電動パワーステア
リング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車や車両の操舵系にモータによる操
舵補助力を付与するようにした電動パワーステアリング
装置(EPS)において、アシストモータとして、ブラ
シ付きモータとブラスレスモータの両方が使われてい
る。
【0003】電動パワーステアリング装置のアシストモ
ータとしてのブラシ付きモータは、フェライトマグネッ
ト材で作られている。しかし、フェライトマグネット材
は低価格ではあるが、大きなトルクを得るために、ブラ
シ付きモータのロータを大きくしなければならず、結果
としてモータのハンドル軸換算イナーシャが10×10
−2kg・m以上になってしまうので、慣性感により
操舵フィーリングが悪くなるという問題点があった。
【0004】このような問題に対し、慣性補償制御を操
舵系に適用することで、操舵フィーリングのある程度の
改善は可能であるが、モータのハンドル軸換算イナーシ
ャが10×10−2kg・m以上になると、慣性補償
制御が効かなくなり、制御の効果がかなり弱くなる。
【0005】一方、近年、電動パワーステアリング装置
用アシストモータとして、Nd−Fe−B希土類磁石を
用いた永久磁石回転型ブラシレスモータが使用されるよ
うになってきた。これは、もともと高価であるNd−F
e−B希土類磁石の低価格化が大きな要因と思われる。
【0006】しかし、Nd−Fe−B希土類磁石は、フ
ェライト磁石に比較すると、その磁力が非常に強いため
(Nd−Fe−B希土類磁石の最大エネルギー積の値は
フェライト磁石の約7倍程度である)、Nd−Fe−B
希土類磁石を用いたブラシレスモータをEPS用モータ
として設計する場合に、得られるモータイナーシャは、
フェライト磁石を用いたブラシレスモータの得られるモ
ータイナーシャに比べ、かなり小さい(つまり、Nd−
Fe−B希土類磁石を用いたブラシレスモータのハンド
ル軸換算イナーシャは、4×10−2kg・m以下に
なる)。従って、路面からのキックバック反力がハンド
ルに敏感に伝わり、操舵者に不快感を与えてしまい、操
舵フィーリングが悪いという問題点があった。
【0007】また、電動パワーステアリング装置用モー
タは、自動車のエンジンの近くに設置されることが多
く、例えば、図1に示すようなピニオンアシストタイプ
あるいは図2に示すようなデュアルピニオンアシストタ
イプの電動パワーステアリング装置の場合、そもそも自
動車のエンジンルームが高温であるため、さらにモータ
M自身の発熱を加味すると、モータMの内部温度は23
0℃までに達してしまう。
【0008】一方、フェライト磁石とNd−Fe−B希
土類磁石について、磁石の特性である残留磁束密度及び
固有保磁力の温度変化率は、下記表1のようになる。
【0009】
【表1】 なお、Nd−Fe−B希土類磁石は、20℃時の固有保
磁力が1990kA/mである。上記表1に示されるよ
うに、Nd−Fe−B希土類磁石の固有保磁力の温度変
化率は−0.5%/℃であるため、温度が230℃にな
ると、下記(1)式が成立する。
【0010】 {1−0.5/100×(230℃−20℃)}×1990=−99.5 …(1) 従って、Nd−Fe−B希土類磁石は、230℃時の固
有保磁力が0kA/mとなる(計算値は−99.5kA
/mである)。つまり、Nd−Fe−B希土類磁石は、
その材料特性上で高温に対し性能変化が大きいので、N
d−Fe−B希土類磁石を用いたブラシレスモータは高
温環境での使用が難しい。よって、Nd−Fe−B希土
類磁石を用いたブラシレスモータは、230℃の高温環
境下で、モータとしての性能が得られない問題点があ
る。
【0011】従って、上記のように高温特性に難点のあ
るNd−Fe−B希土類磁石を用いたブラシレスモータ
については、エンジンルーム内の高温環境下での使用に
は問題点があった。Nd−Fe−B希土類磁石を用いた
ブラシレスモータを使用する場合には、温度センシング
等を行うか、あるいは、モータ内部温度が上がらないよ
うに電流を調整して使用するようにしていた。よって、
電動パワーステアリング装置のコストが高くなる問題点
があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、Nd
−Fe−B希土類マグネット材は温度特性がシビアであ
るため、Nd−Fe−B希土類磁石を用いたブラシレス
モータは、エンジンルーム内の高温環境で使用し難いと
いう問題があった。
【0013】また、図3に示すようなコラムアシストタ
イプの電動パワーステアリング装置ならば、そのアシス
トモータMが自動車のエンジンルームの近くではなくハ
ンドル軸に取りつけられているので、モータMの内部温
度は230℃までに達していないため、Nd−Fe−B
希土類磁石を用いたブラシレスモータでも使用できる
が、やはり、Nd−Fe−B希土類磁石はフェライト磁
石に比べて高価であるため、コストのメリットがないと
いう問題もある。
【0014】要は、電動パワーステアリング装置のアシ
ストモータとしてのブラシレスモータについては、Nd
−Fe−B希土類磁石を用いたブラシレスモータしか使
用されていなくて、フェライト磁石を用いたEPS用ブ
ラシレスモータがまだ実現されていない。その理由とし
ては、車種にもよるが自動車にとって必要である特定の
モータトルクを得るためには、ある程度のロータサイズ
が必要となるので、そのロータをフェライト磁石で構成
すると、モータイナーシャが大きくなり過ぎることによ
り、慣性感が強くなってしまうという問題が発生するた
めである。
【0015】従って、モータイナーシャを小さくするた
めに、EPS用ブラシレスモータには、Nd−Fe−B
希土類磁石で構成されるロータを用いている。しかし、
Nd−Fe−B希土類磁石を用いたブラシレスモータの
得られるモータイナーシャが小さ過ぎるために、路面か
らのキックバック反力をハンドルに敏感に伝えすぎて操
舵フィーリングが悪くなるという問題がある。
【0016】本発明は上述のような事情よりなされたも
のであり、本発明の目的は、操舵力補助のための永久磁
石回転型ブラシレスモータを備えた電動パワーステアリ
ング装置において、安価で高温環境に強いブラシレスモ
ータを備えると共に、キックバック感あるいは慣性感を
操舵者に伝えることなく快適な操舵フィーリングが得ら
れるようにした電動パワーステアリング装置を提供する
ことにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、操舵力補助の
ための永久磁石回転型ブラシレスモータを備えた電動パ
ワーステアリング装置に関し、本発明の上記目的は、操
舵力補助のための永久磁石回転型ブラシレスモータを備
え、該ブラシレスモータのトルクを減速機構部を介して
ステアリング軸部にあるいはピニオン軸を介してラック
軸にアシストトルクとして伝達する電動パワーステアリ
ング装置において、前記ブラシレスモータと、前記減速
機構部と、前記ステアリング軸部とを含めた操舵系機構
のイナーシャが、所定範囲に入るようにすることによっ
て達成される。
【0018】また、本発明の上記目的は、前記操舵系機
構において、少なくとも前記ブラシレスモータのイナー
シャ及び前記減速機構部の減速ギヤ比で決定される前記
ブラシレスモータのハンドル軸換算イナーシャが、4×
10−2kg・m以上となるようにすることにより、
或は操舵フィーリングの向上のための慣性補償制御を適
用した電動パワーステアリングにおいて、少なくとも前
記ブラシレスモータのイナーシャ及び前記減速機構部の
減速ギヤ比で決定される前記ブラシレスモータのハンド
ル軸換算イナーシャが、10×10−2kg・m以下
となるようにすることにより、或はコラムアシストタイ
プ又はピニオンアシストタイプ又はデュアルピニオンア
シストタイプの電動パワーステアリング装置において、
前記ブラシレスモータのロータ部をフェライトマグネッ
ト材で構成するようにすることにより、或は前記ブラシ
レスモータによるアシストトルクが、40Nm〜75N
mとなるようにすることによってより効果的に達成され
る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の好
適な実施形態について詳細に説明する。
【0020】本実施形態においては、本発明に係る電動
パワーステアリング装置において、慣性補償制御を操舵
系に適用すると共に、フェライト磁石を用いた永久磁石
回転型ブラシレスモータを備え、該フェライト磁石ラシ
レスモータのトルクを減速機構部を介してステアリング
軸部にアシストトルクとして伝達するようになってい
る。なお、該電動パワーステアリング装置のアシストモ
ータ出力の範囲が300〜600ワットであることを前
提とする。
【0021】一般に、電動パワーステアリング装置での
操舵フィーリング改善のためには、慣性補償制御を効果
的に使用する一方、キックバックによるハンドルへの反
力を軽減することが求められる、両者の性能に影響を及
ぼすのがハンドル軸換算イナーシャである。
【0022】要は、ハンドル軸換算イナーシャが大き過
ぎると、慣性感により操舵フィーリングが悪くなる。慣
性補償制御を働かせることで改善可能であるが、ハンド
ル軸換算イナーシャが10×10−2kg・m以上に
なると、制御の効果が弱い。一方、ハンドル軸換算イナ
ーシャが小さ過ぎると、キックバック反力をハンドルに
敏感に伝えすぎて、やはり操舵フィーリングが悪い。
【0023】上記のことにより、適切なハンドル軸換算
イナーシャを選定する必要があり、一方では慣性補償制
御で調整し、他方ではブラシレスモータの材質選定と仕
様設計によりハンドル軸換算イナーシャを所定範囲に入
るようにすることが本発明の最大の特徴である。
【0024】本実施形態では、ハンドル軸換算イナーシ
ャとは、操舵軸系のうち減速機構部のイナーシャとモー
タ部のイナーシャをもとに定義する(軸その他の部材の
イナーシャは影響が小さく、ほぼ同一とみなす)。
【0025】ここで、図1に示すようなピニオンアシス
トタイプ、図2に示すようなデュアルピニオンアシスト
タイプ及び図3に示すようなコラムアシストタイプの電
動パワーステアリング装置を説明する。モータMと、コ
ラム軸あるいはラック軸とのトルク伝達は、図示されて
いないウォーム及びウォームホイールを介して行なわれ
る。
【0026】このときのウォームとウォームホイールの
ギヤ比をGR、モータトルクをτ、アシストトルク
(ハンドル軸トルク)Τ、モータイナーシャをI
モータMのハンドル軸換算イナーシャをIとすると、
下記の(2)式及び(3)式が成立する。なお、ギヤ比
GRの範囲は12〜27である。
【0027】Τ=GR×τ …(2) I=GR×I …(3) 下記表2は、アシストトルクΤが75Nmで、フェラ
イト磁石を使用した場合のギヤ比GR(最小、中、最
大)、モータのロータイナーシャI、ハンドル軸換算
イナーシャIの値を示す表である。
【0028】
【表2】 下記表3は、アシストトルクΤが40Nmで、フェラ
イト磁石を使用した場合のギヤ比GR(最小、中、最
大)、モータのロータイナーシャI、ハンドル軸換算
イナーシャIの値を示す表である。
【0029】
【表3】 要は、上記表2及び表3から、下記のようなことが分か
る。
【0030】及びの場合は、キックバックがなく良
好な操舵フィーリングが得られる。
【0031】及びの場合は、キックバックにより外
乱を遮蔽することができない。
【0032】及びの場合は、慣性感無しであるた
め、良好な操舵フィーリングが得られる。
【0033】及びの場合は、慣性感有り、操舵フィ
ーリングが悪い。
【0034】なお、上記の実施形態では、永久磁石回転
型ブラシレスモータにフェライト磁石を使用したが、N
d−Fe−B希土類磁石を使用しても同じような結果が
得られる。しかし、下記のような欠点がNd−Fe−B
希土類磁石には存在する。
【0035】つまり、ここで、Nd−Fe−B希土類磁
石を使用してモータを設計する場合、フェライトに比べ
その大きさは1/3程度になる。
【0036】一般に使用されているフェライト磁石及び
Nd−Fe−B希土類磁石の磁気特性を図4に示す。図
4より、モータ設計上の磁気回路の磁気抵抗(1/P
c)を同一とした場合、Pc=3とする。Nd−Fe−
B磁石の磁束密度は0.9Tで、一方、フェライト磁石
の磁束密度は0.3Tで、両者を比較すると、3倍の違
いがある。
【0037】ここで、相数をm、極数をp、巻線係数を
、1相の直列巻数をw、1極の有効磁束をΦg、ギ
ャップ磁束密度をB、ギャップ断面積をSとすると、m
相機モータのトルクτは、下記(4)式に表すように、
1極の有効磁束Φgに比例するようになる。
【0038】 τ=(m/2)√2・pkwΦg … (4) すなわち、下記(5)式に基づき、ギャップ断面積Sが
同じである場合に、m相機モータのトルクτは、ギャッ
プ磁束密度Bだけに比例するようになる。
【0039】Φg=BS … (5) 従って、フェライト磁石とNd−Fe−B希土類磁石を
使用して、適度で同様なトルク出力を得る永久磁石回転
型ブラシレスモータを設計する場合において、フェライ
ト磁石を用いたモータに比べ、Nd−Fe−B希土類磁
石を用いたモータのほうは、得られるモータのロータイ
ナーシャが小さ過ぎる。その結果として、Nd−Fe−
B希土類磁石を用いたモータのハンドル軸換算イナーシ
ャは4×10−2kg・m以下にならざるを得ない。
【0040】また、ギヤ比GRは、かみ合いやギヤの大
きさ等の関係から、12〜27の範囲でしかとり得な
い。例えば、定格電圧は12Vで、定格トルクは2.5
Nmで、定格回転数は1800min−1で、電流は8
0Aであるような設計仕様を有する電動パワーステアリ
ング装置において、Nd−Fe−B希土類磁石を使用し
たモータ及びフェライト磁石を使用したモータのそれぞ
れのモータイナーシャは、下記の通りである。
【0041】フェライト磁石を使用したブラシレスモー
タは、モータイナーシャが1.3×10−4kg・m
である。更に、ギヤ比GRが27である場合には、モー
タのハンドル軸換算イナーシャIは9.5×10−2
kg・mになる。
【0042】一方、Nd−Fe−B磁石を使用したブラ
シレスモータは、モータイナーシャが5.3×10−5
kg・mである。更に、ギヤ比GRが27である場合
には、モータのハンドル軸換算イナーシャIは3.9
×10−2kg・mになる。
【0043】その結果、従来においては、Nd−Fe−
B磁石を用いたブラシレスモータを設計する場合に、図
5に示すように、モータのロータを長くするか、あるい
は、図6に示すように、モータにフライホイールを取り
付けるように工夫することによって、モータのハンドル
軸換算イナーシャを4×10−2kg・m以上にする
ようにしていた。
【0044】しかし、本発明に係るフェライト磁石を用
いたブラシレスモータの場合は、上述のようにフライホ
イール等を取り付けることなく、モータのハンドル軸換
算イナーシャが、4×10−2kg・m以上になるの
で、快適な操舵フィーリングを得ることができる。
【0045】フェライト磁石を用いたブラシレスモータ
を設計する場合に、ギヤ比GRを12〜27に、モータ
イナーシャIを6.9×10−5〜6.9×10−1
kg・mに選択することにより、モータのハンドル軸
換算イナーシャIが4×10−2〜10×10−2
g・mという範囲に入ることを達成でき、快適な操舵
フィーリングを提供することができる。
【0046】図7及び図8は、このモータのハンドル軸
換算イナーシャの所定範囲を説明するための図である。
要は、本発明に係る電動パワーステアリング装置におい
て、ブラスレスモータのハンドル軸換算イナーシャの所
定範囲は、下限値が4×10 −2kg・mで、上限値
が10×10−2kg・mである。
【0047】前述したように、ハンドル軸換算イナーシ
ャは、モータのロータイナーシャにギヤ比の2乗を掛け
た値である。従って、ある大きさのハンドル軸換算イナ
ーシャにおいて、キックバック入力はそのイナーシャの
影響によりハンドル軸では減衰する。図7は、キックバ
ック入力から操舵トルクまでの周波数伝達特性G
(s)を表したものである。
【0048】図7より、ハンドル軸換算イナーシャが大
きくなるほど周波数伝達特性G(s)のカットオフ周
波数は低くなることが判る。ハンドル軸でのハンドル軸
換算イナーシャによるフィルタ効果を実現させる(キッ
クバック入力を有効に減衰させる)ためには、周波数伝
達特性G(s)のカットオフ周波数をキックバック入
力下限周波数より低くする必要がある。具体的には、キ
ックバックの下限周波数は約20Hzであるため、周波
数伝達特性G(s)のカットオフ周波数は、20Hz
以下にしなければならない。従って、それに相応するモ
ータのハンドル軸換算イナーシャは、4×10−2kg
・m以上でなければならない。
【0049】更に図7を詳しく説明する。ここで、キッ
クバック入力周波数を下限値である20Hz、ハンドル
軸換算イナーシャ大のイナーシャを4×10−2kg・
、ハンドル軸換算イナーシャ小のイナーシャを2×
10−2kg・m、平坦部を20log(|G
(s)|)=A(dB)とする。
【0050】よって、ハンドル軸換算イナーシャ大によ
るカットオフ周波数は20Hz、ハンドル軸換算イナー
シャ小によるカットオフ周波数は40Hzになる。ハン
ドル軸換算イナーシャ大による20Hzでの減衰は、−
3(dB)であるが、ハンドル軸換算イナーシャ小の2
0Hzでの減衰は、0(dB)であることが判る。
【0051】要は、G(s)により慣性が、4×10
−2kg・m以上の場合、カットオフ周波数は20H
z以下になる。キックバックの周波数は約20Hz以上
なので、G(s)によりキックバックの外乱を有効に
遮蔽することができる。
【0052】つまり、所定範囲の下限値4×10−2
g・mは、下記(6)式に表されるG(s)に基づ
き、定義される。
【0053】G(s)=T/T … (6) ここで、上記(6)式において、Tは操舵トルクで、
はキックバックトルク(つまり、キックバック入
力)である。キックバックトルクに対して操舵トルクの
振幅が小さいことにより、キックバックの外乱を有効に
遮蔽している。慣性が小さい場合は操舵トルクの振幅が
大となるので操舵者がキックバックを感じる。
【0054】図8は、操舵トルク出力から舵角までの周
波数伝達特性G(s)を表したものである。図8の2
つの曲線は、慣性補償制御有りと慣性補償制御無しの場
合の周波数伝達特性G(s)を示す。操舵トルク出力
から舵角までの周波数伝達特性G(s)はハイパスフ
ィルタような特性になる。
【0055】慣性補償制御有りの場合、G(s)特性
のコーナ周波数は、慣性補償制御無しの場合より高くな
る。G(s)特性のコーナ周波数とは、図8の平坦部
とコーナ部を加えた周波数である。コーナ周波数以下の
周波数領域では、舵角周波数が大きくなっても操舵者
は、操舵トルクを増す必要が無い。つまり、操舵者は慣
性感を感じないことを意味している。
【0056】要は、20log(|G(s)|)=B
(dB)とした場合、+3(dB)までは、慣性感を感
じない。逆に、コーナ周波数を超えた場合、操舵者は操
舵トルクを増す必要があるので慣性感を感じてしまう。
通常、G(s)のコーナ周波数は5Hz以上であれ
ば、操舵者は操舵時に慣性感を感じない。慣性補償制御
後のコーナ周波数を5Hz以上にするには、ハンドル軸
換算イナーシャを10×10−2kg・m以下にする
必要がある。
【0057】要は、G(s)により慣性が、10×1
−2kg・m以下の場合、5Hzまでは周波数特性
がフラットで、それ以上の周波数領域ではゲインが上昇
する。なお、ゲイン上昇とは、同じ舵角を操舵するため
により大きな操舵トルクが必要になるということであ
る。つまり、ゲイン上昇の場合には、慣性感を感じてし
まう。
【0058】つまり、所定範囲の上限値10×10−2
kg・mは、下記(7)式に表されるG(s)に基
づき、定義される。
【0059】G(s)=T/θ … (7) ここで、上記(7)式において、Tは操舵トルク出力
で、θは舵角である。つまり、慣性補償制御が効いて
いる時に、舵角入力に対して同程度の操舵トルクで十分
であるが、慣性補償制御が効いていないと、舵角入力に
対して大きな操舵トルクが必要になる。
【0060】電動パワーステアリング装置のアシストト
ルクは、自動車の前軸荷重により、適切な値が決まる。
軽自動車の場合はアシストトルクの値が小さく、自動車
の車種が大型になればなるほど、アシストトルクの値は
大きくなる。本実施形態では、アシストトルクΤの値
が40Nm〜75Nmの範囲に入る電動パワーステアリ
ングに限定する。
【0061】アシストトルクΤは、ギヤ比GRとモー
タトルクτとの積算により求められる。ギヤ比GRは
かみ合い、ギヤの大きさの関係で12〜27の間でしか
とり得ない。
【0062】モータトルクτはトルク定数τ×電流I
で表される。ブラシレスモータのトルク定数τは、上記
(4)式に表すように、(m/2)・√2・p・k
w・Φgで表される。
【0063】同一形状の場合、極数と有効磁束は反比例
する。電流Iは、モータに流し得る電流であるが、電動
パワーステアリング装置の場合、電子コントロールユニ
ットをもってモータを制御する。この場合、上記の発生
トルクが、電流に比例することを利用し、電流をコント
ロールすることにより、アシスト力を決定している。電
子コントロールユニットのパワー部には、FETあるい
はトランジスタが使用される。最大電流は、素子特性に
より決められる。
【0064】本実施形態では、定格電流を60A〜90
Aとし、定格バッテリー電圧は12Vの電動パワーステ
アリング装置に限定する。また、ブラシレスモータの大
きさは、空間的な制約により直径70mm〜90mm
で、長さ110mm〜140mmでのモータに限定す
る。
【0065】要は、 (1)アシストトルク:40Nm〜75Nm (2)定格バッテリー電圧:12V (3)モータ電流:60A〜90A (4)ギヤ比:12〜27 (5)永久磁石回転型ブラシレスモータ (6)モータサイズ:直径Φ70mm〜Φ90mmで、
長さ110mm〜140mm 上記(1)〜(6)の条件がすべて揃った電動パワース
テアリング装置において、図7に示すような周波数伝達
(S)より、ハンドル軸換算イナーシャを4×10
−2kg・m以上にすることにより、快適な操舵フィ
ーリングを提供することができる。
【0066】なお、上述では、本発明をコラムアシスト
タイプ、ピニオンアシストタイプ又はデュアルピニオン
アシストタイプの電動パワーステアリング装置に適用し
た場合について説明したが、本発明はそれに限定するも
のではなく、他の同軸モータラックアシストタイプやオ
フセットアシストタイプの電動パワーステアリング装置
についても本発明を同様に適用することができる。ま
た、上述の実施形態では、ハンドル軸換算イナーシャを
支配するファクターとしては、モータイナーシャとギヤ
比を挙げていたが、電動パワーステアリング装置の種類
によって、ハンドル軸換算イナーシャを支配するファク
ターは例えばボールねじナットをとしても良い。
【0067】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る電動パワー
ステアリング装置によれば、安価で且つ高温環境に強い
フェライト磁石ブラシレスモータを提供すると共に、良
好な操舵フィーリングを実現することができるという効
果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ピニオンアシストタイプの電動パワーステアリ
ング装置の略図である。
【図2】デュアルピニオンアシストタイプの電動パワー
ステアリング装置の略図である。
【図3】コラムアシストタイプの電動パワーステアリン
グ装置の略図である。
【図4】フェライト磁石及びNd−Fe−B希土類磁石
の磁気特性を示す図である。
【図5】モータのロータを長くするのを説明するための
模式図である。
【図6】モータにフライホイールを取り付けるのを説明
するための模式図である。
【図7】キックバックの影響による下限値の定義を説明
するための図である。
【図8】慣性補償制御による慣性感を無くすための上限
値の定義を説明するための図である。
【符号の説明】
(s) ハンドル軸換算イナーシャの範囲下限値に
係る周波数伝達特性 G(s) ハンドル軸換算イナーシャの範囲上限値に
係る周波数伝達特性 GR ギヤ比 I モータイナーシャ I モータのハンドル軸換算イナーシャ M モータ τ モータトルク Τ アシストトルク(ハンドル軸トルク) τ m相機モータのトルク(モータのトルク定数)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和田 勝 群馬県前橋市鳥羽町78番地 日本精工株式 会社内 Fターム(参考) 3D033 CA03 CA04 5H019 CC03 CC09 FF01 5H607 AA11 BB01 CC01 CC09 DD02 DD16 EE44 EE54 JJ09 KK10 5H621 GA12 HH01 JK07 JK15 JK17

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操舵力補助のための永久磁石回転型ブラ
    シレスモータを備え、該ブラシレスモータのトルクを減
    速機構部を介してステアリング軸部にあるいはピニオン
    軸を介してラック軸にアシストトルクとして伝達する電
    動パワーステアリング装置において、 前記ブラシレスモータと、前記減速機構部と、前記ステ
    アリング軸部とを含めた操舵系機構のイナーシャが、所
    定範囲に入るようにすることを特徴とする電動パワース
    テアリング装置。
  2. 【請求項2】 前記操舵系機構において、少なくとも前
    記ブラシレスモータのイナーシャ及び前記減速機構部の
    減速ギヤ比で決定される前記ブラシレスモータのハンド
    ル軸換算イナーシャが、4×10−2kg・m以上と
    なるようにする請求項1に記載の電動パワーステアリン
    グ装置。
  3. 【請求項3】 操舵フィーリングの向上のための慣性補
    償制御を適用した電動パワーステアリングにおいて、少
    なくとも前記ブラシレスモータのイナーシャ及び前記減
    速機構部の減速ギヤ比で決定される前記ブラシレスモー
    タのハンドル軸換算イナーシャが、10×10−2kg
    ・m以下となるようにする請求項1に記載の電動パワ
    ーステアリング装置。
  4. 【請求項4】 コラムアシストタイプ又はピニオンアシ
    ストタイプ又はデュアルピニオンアシストタイプの電動
    パワーステアリング装置において、前記ブラシレスモー
    タのロータ部がフェライトマグネット材で構成されてい
    る請求項2又は3に記載の電動パワーステアリング装
    置。
  5. 【請求項5】 前記ブラシレスモータによるアシストト
    ルクが、40Nm〜75Nmとなるようにする請求項4
    に記載の電動パワーステアリング装置。
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