JP2003038346A - 電磁調理器用食器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】外食産業で使用される銅やアルミニウムなど少
量多品種の食器を安価に電磁調理器に対応する食器に加
工すること。また、従来の合板による食器の場合、急激
な加熱により食器が歪む欠点を解決することを課題とし
た。 【解決手段】発熱体にカーボン板を使用し、非磁性体の
金属と組み合わせて電磁調理器対応の食器とすること
で、大型の電磁調理器による急激な加熱や急激な冷却に
も耐え、歪みを発生しない食器を提供出来た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、外食産業などで用
いられる電磁調理器用の食器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、電磁調理器用食器として鉄製
の食器や、発熱した熱を鍋底全体に拡散させるため、鉄
板にアルミニウムの板をロール圧延したり、爆着によっ
て接合したりしたクラッド板が用いられて来た。しか
し、電磁調理器のパワーが３ＫＷ、５ＫＷ、１０ＫＷと
大きくなるに従い、従来のクラッド板では熱の拡散が不
十分で、鍋底に温度むらが生じ、この温度むらによって
鍋底が歪み、電磁調理器の表面との間に隙間が出来る欠
点があった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】鍋底の歪みが温度むら
によって発生している点と、その歪みに更に歪みが重な
って徐々に歪み量が大きくなってゆくことを防止するに
はどのようにすれば良いかを課題とした。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、発熱体に鉄を
使用せず、カーボンの板を使用することにした。その理
由は、カーボンの板はたとえ５００℃の温度むらが生じ
ても歪むことがなく、かつ、鉄板と同様に電磁調理器で
効率よく発熱し、更に鉄板よりも熱伝導が良好で発生し
た熱を素早く拡散する特徴を持っている。そこで、従来
の鉄製の食器の底にカーボンの板を固着させたり、アル
ミニウムなど電磁調理器では発熱しない金属製鍋の底面
に固着させて課題を解決した。また、金属製食器とカー
ボン板との熱膨張にはかなりの差があるため、カーボン
の板に切り目を入れたり、カーボンの板をドーナツ状に
分割したりすることによって対応した。

【０００５】また、電磁調理器のパワーが上がるに従
い、磁力線がカーボンの板を貫通して、金属の鍋に流れ
ることがある。鍋が鉄製の場合は鍋が発熱するが、鍋が
アルミニウムなどの非磁性金属である場合、電磁調理器
はアルミニウムの鍋と判断して発熱しなくなる。この欠
点を解決するため、カーボン板の電磁調理器と接する側
の面にアルミニウムや銀などを薄く固着させることによ
って、磁力線がカーボン板を貫通するのを防ぐことが出
来た。

【０００６】

【発明の実施の形態】銅やアルミニウムなど非磁性体の
食器の底部にカーボン板を固着させて電磁調理器に対応
する構造とした場合、カーボン板の厚みが薄いと電磁調
理器の電磁波は銅やアルミニウムの食器に吸収され、カ
ーボン板は発熱しない。この場合は、カーボン板の電磁
調理器に接する面に０．１ミリ以下の薄いアルミニウム
の溶射膜を形成することにより、カーボン板は発熱し食
器を加熱する。１００Ｖ、１．４ＫＷの電磁調理器を使
用するとき、カーボン板の厚みが８ミリ以上の場合は、
電磁波はカーボン板に吸収されて発熱するので、カーボ
ン板の底面にアルミニウムの薄膜を形成する必要はな
い。また、カーボン板と金属製食器との熱膨張の差によ
る食器の歪みについては、カーボン板の周辺部にカーボ
ン板の中心に向かう放射状の切り込みを入れることでカ
ーボン板と金属製食器との熱膨張の差による不具合を防
止出来る。この切り込みの数や長さは食器の形状や大き
さにより異なるが、中心部より径１００ミリ以内には切
り込みを入れない方がよい。

【０００７】

【実施例】図１は、寸胴鍋の底にカーボン板を設置した
１実施例の断面図であって、この場合カーボン板は鍋に
固着せず、カーボン板の周辺部に設けた環状の取り付け
金具により寸胴鍋に取り付ける。この鍋を電磁調理器に
セットすると、食器の重力により発熱した底のカーボン
板は食器に密着して食器を加熱する。

【０００８】図２は、フライパンの底裏面にカーボン板
を接着剤で固着した他の実施例の断面図であって、この
場合はカーボン板の電磁調理器に接する面に０．１ミリ
以下の薄いアルミニウムの溶射層を設けてある。

【０００９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明による電磁
調理器用食器は、底面が熱による歪みを発生しないカー
ボンの板としたことで、長年使用しても鍋底は常に平面
を保ち続けることが出来る。特に２００Ｖ、２ＫＷ以上
の電磁調理器に用いる食器としいては好都合である。ま
た、カーボン面で発熱した熱が鍋底全面に広がるので調
理上大変都合がよい。また、熱の拡散はカーボン板の厚
さわ加減することで調節出来るから便利である。また、
既存の食器にあとから加工してカーボンの板を固着させ
ることが出来るので、少ロットの生産にも対応出来て経
済的である。

【図面の簡単な説明】

【図１】カーボン板を寸胴鍋に取り付けた実施方法を示
す断面図である。（実施例１）

【図２】カーボン板をフライパンの底に接着した実施方
法を示す断面図である。（実施例２）

【符号の説明】 １ 食器 ２ カーボン板 ３ カーボンいた取り付け金具 ４ 接着剤 ５ 薄いアルミニウムの溶射膜

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄および電磁調理器に対応しないステン
   レスまたは銅やアルミニウム製の鍋やフライパンなどの
   食器において、食器の底面裏側に電磁調理器で発熱する
   カーボンの板を固着させたことを特徴とする電磁調理器
   用食器。
2. 【請求項２】 発熱体であるカーボン板の電磁調理器と
   接する面に薄くアルミニウムを溶射したことを特徴とす
   る請求項１記載の電磁調理器用食器。
3. 【請求項３】 発熱体であるカーボン板に溝を設けたこ
   とを特徴とする請求項１，２記載の電磁調理器用食器。