JP2003035709A - 色素を用いたrna検出方法 - Google Patents

色素を用いたrna検出方法

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JP2003035709A
JP2003035709A JP2001219214A JP2001219214A JP2003035709A JP 2003035709 A JP2003035709 A JP 2003035709A JP 2001219214 A JP2001219214 A JP 2001219214A JP 2001219214 A JP2001219214 A JP 2001219214A JP 2003035709 A JP2003035709 A JP 2003035709A
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nucleic acid
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Takemare Nakamura
剛希 中村
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発光性化合物を用いて簡便かつ迅速にRNA
を高感度に検出する方法を提供する。 【解決手段】 溶液中、固体中、又は固相担体上などに
存在するRNAを光学的に検出する方法であって、下記
の工程:(1)シアニン色素、オキソノール色素、及びキ
サンテン色素からなる群から選ばれ、2個以上のボロン
酸基を有する色素とRNAとの複合体を得る工程;及び
(2)該複合体を光学的に検出する工程を含む方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、RNAの検出方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】RNAを検出することは、単に核酸の存
在を検出する意味の他に、遺伝子解析の観点から極めて
重要な意味を持っている。ハイブリダイゼーション法に
基づく遺伝子解析においては、プローブ核酸に対して標
的核酸を相互作用させ、配列の相補的な標的核酸を抽出
し、検出を行っている。この際に、通常は標的核酸に対
して検出可能な基によって標識し、ハイブリッドの存在
を検出することにより、標的核酸の有無、あるいは存在
量を解析している。
【0003】発現解析を行うためには、一般に標的核酸
はmRNAである。mRNAの発現を解析することによ
って、各々の生体組織の発現遺伝子を調べることができ
る。しかし、生体から抽出したmRNAは標識されてい
ないため、そのまま検出することは困難であり、通常は
mRNAに対する相補的な配列をDNA(cDNA)と
してを酵素的に転写し、この際に蛍光色素や放射性同位
元素など適当な標識基を導入する方法がとられている。
【0004】この際に、本来のmRNAの情報がそのま
まcDNAへと転写されず、mRNAの存在の有無、量
などの情報がそのままcDNAへと反映されない場合が
多いという問題がある。こうしたことから、生体組織か
ら抽出したmRNAを標識せずに、直接的に検出するこ
とができれば、情報のロスがなく、極めて質の高い情報
を提供できることになり、臨床診断などへの応用を考え
るとその価値は大きい。
【0005】一方、特開平10−17573号公報には
ボロン酸を有する蛍光性化合物が示されており、ここに
開示されている方法によれば、原理的にはこの化合物を
用いて直接的にRNAの存在を検出する可能性があると
思われる。しかし、ここで述べられている蛍光性化合物
はRNAの標識効率やRNA選択性、蛍光色素としての
機能(吸光係数、蛍光量子収率)が不十分であり、十分
な感度、定量性が得らないため、さらなる機能向上が求
められていた。また、蛍光色素を検出する際には、励起
波長と検出波長が測定機器に適合していることも必要で
あり、励起波長と発光波長の調節が容易であることも色
素の重要な特性である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、発光
性化合物を用いて簡便かつ迅速にRNAを高感度に検出
する方法を提供することにある。また、本発明の別の課
題は、DNAとRNAの2本鎖ハイブリッドを簡便かつ
高感度で検出可能にする方法を提供し、遺伝子発現解析
の情報をより質の高いものにすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意研究を行った結果、ボロン酸を2個以
上有するシアニン色素やキサンテン色素がRNAに対し
て高い相互作用と選択性を有することを見出した。ボロ
ン酸と水酸基との相互作用は一般的に強いものではな
く、特に核酸誘導体が取り扱われる水溶液系では両者に
より形成される複合体は容易に解離する場合が多いこと
が知られているが、本発明者らは、ボロン酸を2個以上
有するシアニン色素、オキソノール色素、又は起算点色
素がRNAに対して強く相互作用し、RNAを選択的に
安定な複合体を形成できることを見出した。本発明は上
記の知見を基にして完成されたものである。
【0008】すなわち、本発明は、RNAを光学的に検
出する方法であって、下記の工程: (1)シアニン色素、オキソノール色素、及びキサンテン
色素からなる群から選ばれ、2個以上のボロン酸基を有
する色素とRNAとの複合体を得る工程;及び(2)該複
合体を光学的に検出する工程を含む方法を提供するもの
である。
【0009】本発明の好ましい態様によれば、RNAが
溶液中、固体中、又は固相担体上に存在する上記の方
法;RNAがDNAと相補的に結合した2本鎖ハイブリ
ッド核酸である上記の方法;及びRNAが固相担体上に
固定されたプローブDNAに相補的に結合したRNAで
ある上記の方法が提供される。
【0010】別の観点からは、RNAを光学的に検出す
るために用いるための複合体であって、(a)RNA、及
び(b) シアニン色素、オキソノール色素、及びキサンテ
ン色素からなる群から選ばれ、2個以上のボロン酸基を
有する色素を含む複合体が本発明により提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の方法は、RNAを光学的
に検出する方法であって、下記の工程: (1)シアニン色素、オキソノール色素、及びキサンテン
色素からなる群から選ばれ、2個以上のボロン酸基を有
する色素とRNAとの複合体を得る工程;及び(2)該複
合体を光学的に検出する工程を含むことを特徴としてい
る。
【0012】本発明に用いられるシアニン色素、オキソ
ノール色素、及びキサンテン色素からなる群から選ばれ
る色素は、RNAと相互作用して複合体を形成可能なボ
ロン酸基を2個以上有していることが特徴である。これ
らの色素としては、可視光域のみでなく紫外域や近赤外
域に吸収を有するようなものも用いることができるが、
検出の容易さから可視光域及び/又は近赤外域に吸収を
有する色素が好ましく、可視光域に吸収を有する色素が
最も好ましい。微量なRNAを検出するためには検出感
度が高いことが必要であり、この目的のために色素は蛍
光性であることが好ましい。
【0013】シアニン色素、オキソノール色素、キサン
テン色素は励起波長と発光波長の調節が容易であるとい
う特徴を有しており、高い分子吸光係数及び高い蛍光量
子収率が得られる点でも好ましい色素である。なお、特
開平10−17573号公報に記載されているポルフィ
リン骨格を有する色素は光安定性が低く、検出光により
ブリーチされやすいという問題を有している。シアニン
色素、オキソノール色素、及びキサンテン色素が高い光
安定性を有していることも、これらが本発明の方法に有
利に使用される理由である。
【0014】ボロン酸基を2個以上有する蛍光性色素の
具体例を示すが、本発明の方法に用いられる発光性化合
物の範囲はこれらの具体例に限定されることはない。
【0015】
【化1】
【0016】
【化2】
【0017】
【化3】
【0018】
【化4】
【0019】ボロン酸を2個以上有する色素は既知の方
法で容易に合成することができる。例えば、カルボキシ
ル基を有する色素に対して、アミノ基を有するボロン酸
化合物を公知の方法で縮合する方法を一般的に用いるこ
とができる。また、カルボキシル基、メルカプト基、ア
ミノ基、フェノール性水酸基などの求核性基を有する色
素の場合には、置換活性な離脱基(ハロゲン原子やスル
ホニルオキシ基など)を有するボロン酸化合物を用いて
置換反応を行い、ボロン酸基を導入することができる。
また、シアニン色素など、合成原料段階に4級化反応を
含むものについては4級化の試薬としてボロン酸を有す
るハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、アルキ
ルスルホナートなどを用いて4級化することでボロン酸
基を導入できる。
【0020】本発明の方法において、RNAは溶液中に
存在していてもよく、あるいは固体状態であってもよ
い。また、例えばDNAチップやDNAアレイと呼ばれ
る固相担体上に相補的結合により固定されている状態で
もよい。溶液の場合には、溶媒としては水または緩衝液
が好ましく、水の他に水と混和しうる溶媒を適宜混合し
て用いるのが好ましい。水と混和して用いる溶媒の例と
しては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコー
ル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、アセトニト
リル、スルホランなどが挙げられる。固体状態の場合に
は、検出対象となるRNAは他の物質と混合状態であっ
てもよい。または、純粋な形のRNAあるいは2種以上
のRNAの混合物であってもよい。RNAとしては、全
体が天然型のRNAである場合のほか、RNAをその一
部に含む核酸、非天然型のヌクレオチドを含むRNAな
どはいずれも本発明の方法で検出対象物となる。また、
本発明の方法ではRNAの断片も検出可能である。
【0021】固相担体上にRNAが固定されている場
合、該固相担体としては、例えば、ガラス、セメント、
陶磁器等のセラミックスもしくはニューセラミックス、
ポリエチレンテレフタレート、酢酸セルロース、ビスフ
ェノールAのポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメ
チルメタクリレート等のポリマー、シリコン、活性炭、
多孔質ガラス、多孔質セラミックス、多孔質シリコン、
多孔質活性炭、織捕物、不織布、減紙、短繊維、メンブ
レンフィルター等の多孔質物質などを拳げることができ
る。多孔質物質の細孔の大きさは、2〜1000nmの
範囲にあることが好ましく、2〜500n mの範囲にあ
ることが特に好ましい。表面処理の容易さや電気化学的
方法による解析の容易さの観点から、固相担体の材質は
ガラス又はシリコンであることが特に好ましい。固相担
体の厚さは、100〜2000μmの範囲にあることが
好ましい。
【0022】また、固相担体はビーズ状になったものや
アクリルアミドゲルのようにゲル状のものであってもよ
い。また、RNAが単に固相担体上に物理的に密着され
ていてもよく、固相担体上から一部固相担体内に浸透し
た形態であってもよい。また、RNAが完全に固相担体
に浸透した形態であってもよく、共有結合で化学的に固
相担体に結合されていてもよい。さらに、検出対象物の
RNAが、該RNAと相補的な配列を有するDNA又は
PNAなどの核酸誘導体とハイブリッド(本明細書にお
いて相補的結合又はその結果物のことをハイブリッドと
いう場合がある)を形成して、該ハイブリッドを介して
固相担体に固定されていてもよい。mRNAの発現解析
を行うなどRNAの配列情報を得る目的には、このよう
にハイブリッドを形成したRNAを検出するように設計
することが好ましい。
【0023】ボロン酸を2個以上有する色素をRNAと
相互作用させて複合体を形成させる方法としては、該色
素を溶液としてこれらの状態にあるRNAと接触または
混合させる方法が好ましい。この操作の時期はハイブリ
ダイゼーション中であってもよく、又はハイブリダイゼ
ーションの後であってもよい。この際の溶媒としては水
と混和しうる溶媒が好ましく、該色素が水に溶解する場
合には水を用いてもよい。水と混和しうる溶媒の例とし
てはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロ
パノール、ジメチルホルムアミド、グリセリン、エチレ
ングリコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセト
アミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、スルホ
ランなどが好ましい。該色素溶液の好ましい濃度は目的
により異なるが、例えば10-3モル/リットル〜10-9
モル/リットルが好ましく、10-4モル/リットル〜1
-8モル/リットルがより好ましい。相互作用させる時
間は5秒から18時間の間で選択することが好ましく、
10秒から12時間がより好ましく、迅速な測定を行う
意味から10秒から30分の間が好ましい。
【0024】ハイブリダイゼーション終了後、あるいは
RNAまたはRNA/DNAハイブリッドと該色素との
複合体を形成させた後に、界面活性剤と緩衝液との混合
溶液を用いて洗浄を行ってもよい。界面活性剤として
は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いることが
好ましい。緩衝液としては、クエン酸緩衝被、リン酸緩
衝液、ホウ酸緩衝被、トリス緩衝液、グッド緩衝液等を
用いることができるが、クエン酸緩衝液を用いることが
特に好ましい。なお、本明細書において用いられる「相
互作用」という用語については、上記色素及びRNAが
イオン結合、水素結合、又は疎水結合などの共有結合よ
りも弱い結合を介して相互に結合状態にあることを意味
しており、「複合体」とはそのような結合状態にある上
記の2つの物質を含む構造体を意味する。
【0025】本発明の方法における光学的な検出の手段
は特に限定されず、例えば、分光光度計、蛍光光度計、
スキャニング装置、蛍光スキャニング装置などを用いて
通常の方法により光学的な検出を行うことができる。本
明細書において用いられる「検出」という用語は、検出
対象物質の存在を証明するためのほか、検出対象物質の
定量などを含めて最も広義に解釈しなければならず、い
かなる意味においても限定的に解釈してはならない。光
学的な検出により得られた結果はコンピュータを用いた
演算処理を施して視覚化することもできる。
【0026】本発明の方法をDNAチップ又はDNAア
レイを用いたRNAの検出に用いる場合についてさらに
具体的に説明するが、本発明の方法は下記の説明の細部
に限定されることはない。DNA断片としては、目的に
応じて二種類のプローブを適宜使い分けることができ
る。遺伝子の発現を調べるためには、cDNA、cDN
Aの一部、EST等のポリヌクレオチドを使用すること
が好ましい。これらのポリヌクレオチドは、その機能が
未知であってもよいが、一般的にはデータベースに登録
された配列を基にしてcDNAのライブラリー、ゲノム
のライブラリー、あるいは全ゲノムをテンプレートとし
てPCR法によって増幅して調製することができる。P
CR法によって増幅しないものも好ましく使用すること
ができる。また、遺伝子の変異や多型を調べるには、標
準となる既知の配列をもとにして、変異や多型に対応す
る種々のオリゴヌクレオチドを合成し、これを使用する
ことが好ましい。さらに、塩基配列分析の場合には、4
n(nは塩基の長さ)種のオリゴヌクレオチドを合成し
たものを使用することが好ましい。DNA断片の塩基配
列は、一般的な塩基配列決定法によって予めその配列が
決定されていることが好ましい。DNA断片は、2〜5
0量体であることが好ましく、10〜25量体であるこ
とが特に好ましい。
【0027】DN酸断片の点着は、DNA断片を水性媒
体に溶解あるいは分散した水性液を、96穴もしくは3
84穴プラスチックプレートに分注し、分注した水性液
をスポッター装置等を用いて固相担体表面上に滴下して
行うことが好ましい。点着後のプローブ核酸断片の乾燥
を防ぐために、プローブ核酸断片を溶解又は分散させた
水性液中に高沸点の物質を添加してもよい。高沸点の物
質としては、プローブ核酸断片を溶解又は分散させた水
性液に溶解し得るものであって、試料核酸断片とのハイ
ブリダイゼーションを妨げることがなく、かつ粘性の大
きくない物質であることが好ましい。このような物質と
しては、グリセリン、エチレングリコール、ジメチルス
ルホキシドおよび低分子の親水性ポリマーを挙げること
ができる。親水性ポリマーとしては、ポリアクリルアミ
ド、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウ
ム等を挙げることができ、該ポリマーの分子量は103
〜105の範囲にあることが好ましい。高沸点の物質と
しては、グリセリンあるいはエチレングリコールを用い
ることがさらに好ましく、グリセリンを用いることが特
に好ましい。高沸点の物質の濃度は、プローブ核酸断片
の水性液中、0.1〜2容量%の範囲にあることが好ま
しく、0.5〜1容量%の範囲にあることが特に好まし
い。また、同じ目的のために、プローブ核酸断片を点着
した後の固相担体を90%以上の相対湿度および25〜
50℃の温度範囲の環境に置くことも好ましい。
【0028】DNA断片を点着後、紫外線、水素化ホウ
素ナトリウムあるいはシッフ試薬による後処理を施して
もよい。これらの後処理として、複数の種類を組み合わ
せて行ってもよく、加熱処理と紫外線処理とを組み合わ
せて行うことが特に好ましい。点着後は、インキュベー
ションを行うことも好ましい。インキュベート後、未点
着のDNA断片を洗浄して除去することが好ましい。
【0029】DNA断片は、固相担体表面に対して、1
2〜105種類/cm2の範囲にあることが好ましい。
プローブ核酸の量は、例えば1〜10-15モルの範囲で
あり、質量としては数ng以下であることが好ましい。
点着によってプローブ核酸の水性液は固相担体表面にド
ットの形状で固定される。ドットの形状は、通常、ほと
んど円形であり、形状に変動がないことは、遺伝子発現
の定量的解析や一塩基変異を解析するために重要であ
る。ドット間の距離は、0〜1.5mmの範囲にあるこ
とが好ましく、100〜300μmの範囲にあることが
特に好ましい。1つのドットの大きさは、直径が50〜
300μmの範囲にあることが好ましい。点着する量
は、100pL〜1μLの範囲にあることが好ましく、
1〜100nLの範囲にあることが特に好ましい。
【0030】上記の工程によって作製されたDNAチッ
プの寿命は、cDNAが固定されたcDNAチップでは
数週間程度であり、オリゴDNAが固定されたオリゴD
NAチップではさらに長期間である。これらのDNAチ
ップは、遺伝子発現のモニタリング、塩基配列の決定、
変異解析、多型解析等に利用される。
【0031】多重情報を得る目的で本発明の検出方法と
他の標識方法を同時に行うことも可能である。標織方法
としては、RI法と非RI法(蛍光法、ビオチン法、化
学発光法等)とが知られているが、蛍光法を用いること
が好ましい。蛍光物質としては、核酸の塩基部分と結合
できるものであれば何れも用いることができるが、シア
ニン色素(例えば、CyDye[登録商標]シリーズのC
y3、Cy5等)、ローダミン6G試薬、N−アセトキ
シ−N2−アセチルアミノフルオレン(AAF)あるい
はAAIF(AAFのヨウ素誘導体)を使用することが
できる。
【0032】試料に含まれるRNA断片としては、その
配列や機能が未知であるRNA断片を用いることが好ま
しい。該RNA断片は、遺伝子発現を調べる目的では真
核生物の細胞や組織サンプルから単離することが好まし
い。試料がゲノムである場合には、赤血球を除く任意の
組織サンプルから単離することができる。赤血球を除く
任意の組織は、抹消血液りンパ球、皮膚、毛髪、精液等
であることが好ましい。核酸がmRNAである場合に
は、mRNAが発現される組織サンプルから抽出するこ
とが好ましい。1回のハイブリダイゼーションに必要な
mRNAの量は、液量や標識方法によって異なるが、数
μg以下であることが好ましい。DNAチップ上のDN
A断片がオリゴDNAである場合には、試料中の核酸断
片を低分子化しておくことが望ましい。原核生物の細胞
では、mRNAの選択的な抽出が困難なため、全RNA
を用いることが好ましい。
【0033】試料核酸断片を溶解または分散させた水性
液を96穴もしくは384穴プラスチックプレートに分
注し、DNAチップ上に点着することによってハイブリ
ダイゼーションを行うことが好ましい。点着の量は、1
〜100nLの範囲であることが好ましい。ハイブリダ
イゼーションは、室温〜70℃の温度範囲で行うことが
でき、6〜20時間程度で完了する。ハイブリダイゼー
ション終了後、界面活性剤と緩衝液との混合溶液を用い
て洗浄を行い、未反応の試料核酸断片を除去することが
好ましい。界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウ
ム(SDS)を用いることが好ましい。緩衝液として
は、クエン酸緩衝被、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝被、ト
リス緩衝液、グッド緩衝液等を用いることができるが、
クエン酸緩衝液を用いることが特に好ましい。
【0034】DNAチップを用いるハイブリダイゼーシ
ョンの特徴は、核酸断片の使用量が非常に少ないことで
ある。そのため、固相担体に固定するプローブ核酸の鎖
長や標識した核酸断片の種類などに応じてハイブリダイ
ゼーションの最適条件を設定する必要があるが、その手
法は当業者に周知かつ慣用である。遺伝子発現の解析の
目的には、低発現の遺伝子も十分に検出できるように長
時間のハイブリダイゼーションを行うことが好ましい。
一塩基変異の検出には、短時間のハイブリダイゼーショ
ンを行うことが好ましい。
【0035】
【実施例】本発明を実施例によりさらに具体的に説明す
るが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることは
ない。下記の実施例において、化合物番号は上記に好ま
しい化合物として示した化合物の番号に対応させてあ
る。 合成例1:化合物(3)の合成 化合物(3)は以下の合成スキームに従って合成した。
【化5】
【0036】1−1.5,6−ジクロロ−2−メチル−
(1−(3−スルホプロピル))ベンズイミダゾール
(化合物(A))の合成 16gの5,6−ジクロロ−2−メチルベンズイミダゾ
ールにプロパンサルトン7.3mL、ジメチルホルムア
ミド10mLを加え、150℃で2時間反応した。冷却
後、酢酸エチルを加えて撹拌すると目的物が結晶として
得られた。結晶を濾取し、酢酸エチルで洗浄、乾燥を行
った。
【0037】1−2.3−(5,6−ジクロロ−3−
(3−エトキシカルボニルプロピル)−2−メチルベン
ズイミダゾリウム−1−イル)プロパンスルホナート
(化合物(B))の合成 化合物(A)3.2gに10mLの4−ブロモプタン酸
エチル、2mLのトリエチルアミンを加え、140℃で
3時間反応を行った。冷却後、酢酸エチルを添加し、撹
拌とデカンテーションによる酢酸エチル可溶分の除去を
繰り返して、目的物結晶を得た。
【0038】1−3.化合物(C)の合成 化合物(B)1g、20mLの無水酢酸、4gのN,
N’−ジフェニルホルムアミジンを混合し、150℃で
3時間反応を行った。冷却後、酢酸エチルを加え、撹拌
とデカンテーションによる酢酸エチル可溶分の除去を繰
り返して、目的物を得た(ハルツ状)。
【0039】1−4.化合物(D)の合成 1−3.で得た化合物(C)に0.6gの化合物(B)
を加え、15mLのジメチルスルホキシドに溶解した。
ついで、1mLのトリエチルアミンを添加し、60℃で
1時間反応した。反応液に100mLの酢酸エチルを加
えて、生成した沈殿をジクロロメタンとメタノールに溶
解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行
った。さらにセファデックスLH−20をクロマトグラ
フィー担体として用いて(メタノール溶出)2回精製を
行い、目的物100mgを得た。
【0040】1−5.化合物(E)の合成 前項で得た色素50mgを10mLのメタノールに溶解
し、5mLの1M水酸化ナトリウム水溶液を加えて1晩
放置した。この後、溶媒を減圧下で留去し、セファデッ
クスLH−20をクロマトグラフィー担体として用いて
(メタノール溶出)2回精製を行い、目的物(化合物
(E))33mgを得た。
【0041】1−6.化合物(3)の合成 化合物(E)10mg、3−アミノフェニルボロン酸1
0mgを2mLのジメチルスルホキシドに溶解し、0.
5mLのトリエチルアミンを加えた後、15mgのベン
ゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミ
ノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを添加
し、室温で3時間反応した。反応混合物に酢酸を加えて
酸性とし、そのまま分取用液体クロマトグラフィーを用
いて分取した。目的物が主生成物として得られ、溶離液
を留去すると淡オレンジ色の粉末として得られた。
【0042】合成例2.化合物(6)の合成 化合物(6)は以下の合成スキームに従って合成した。
【化6】
【0043】2−1.2,3,3−トリメチル−3H−
ピロロ〔2,3−b〕ピリジン(化合物(F)の合成 2−ヒドラジノピリジン10gに3−メチル−2−ブタ
ノン20mLを加え、80℃で1時間加熱した。生成し
た水と過剰の3−メチル−2−ブタノンを減圧下にて留
去し、1gの塩化亜鉛を添加して200℃で3時間加熱
した。この混合物を減圧蒸留し、さらにヘキサンから再
結晶して目的物を得た。
【0044】2−2.4−ブロモメチルフェニルボロン
酸(化合物(G))の合成 10gの4−メチルフェニルボロン酸を150mLの酢
酸エチルと混合し、20gのN−ブロモコハク酸イミド
を加え、白熱電灯で照射しながら5時間反応した。反応
終了後、冷却し、溶媒を減圧留去したのち、シリカゲル
カラムクロマトグラフィーにて精製を行った。目的物は
原料とRf値が近いため、ヘキサン/酢酸エチルで慎重
に分離を行った。目的物は無色粉末として得られた。収
量3g
【0045】2−3.臭化7−(4−ジヒドロキシボロ
ノベンジル)−2,3,3,−トリメチル−3H−ピロ
ロ〔2,3−b〕ピリジニウム(化合物(H))の合成 0.5gの化合物(F)に1gの化合物(G)、1mL
のスルホランを添加し、120℃で1時間反応した。冷
却後、酢酸エチルを加え、撹拌とデカンテーションによ
る酢酸エチル可溶分の除去を繰り返して、目的物を得た
(茶褐色ハルツ状)。
【0046】2−4.化合物(6)の合成 前項で得た化合物(H)にピリジン5mL、酢酸1m
L、トリエチルアミン1mLと1mLのオルトぎ酸エチ
ルを加え、130℃で30分加熱した。冷却後、酢酸エ
チルを加え、析出した油状物をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィーで精製した(クロロホルム/メタノールで
溶出)。収量50mg
【0047】実施例1:RNAとの相互作用の検出 RNA(酵母由来)1mgを10mLのトリス緩衝液
(pH7.4)に溶解し、溶液を作製しW液とした。一
方、ボロン酸色素(比較例1、化合物(1)、化合物
(6)、及び化合物(8))0.1mMジメチルスルホ
キシド溶液をそれぞれ作製し、Y−1、Y−2、及びY
−3とした。W液とY液をそれぞれ1mLと0.1mL
ずつ混合し、それぞれエタノール3mLを加えて遠心操
作を行った。上清を除いたのちに沈殿を0.1mLのト
リス緩衝液に溶解し、ガラススライド上に点着した。
【0048】このガラススライドについて富士写真フイ
ルム株式会社製のFLA2000を用いて蛍光観察を行
ったところ、本発明で用いられるボロン酸を2個以上有
する色素に由来する蛍光が観察された。同様の実験をR
NAの代わりにDNAを用いて行ったところ、RNAを
用いた場合よりも明らかに弱い蛍光が観測された。一
方、比較例1の化合物ではRNAの方がDNAよりも高
い蛍光強度を与える現象は観察されなかった。従って、
本発明の方法で用いる特定のボロン酸色素のみがRNA
に対して選択的に相互作用して強い蛍光を発することが
明らかである。
【0049】
【化7】
【0050】実施例2:DNA及びRNAハイブリッド
の検出 (1)DNA断片固定スライドの作成 2質量%アミノプロピルエトキシシラン(信越化学工業
(株)製)のエタノール溶液に、スライドガラス(25
mm×75mm)を10分間浸した後取り出し、エタノ
ールで洗浄後、110℃で10分間乾燥して、シラン化
合物被覆スライド(A)を作成した。次いで、このシラ
ン化合物被覆スライド(A)を3質量%化合物VS−1
溶液に、10分間浸した後取り出し、エタノールで洗浄
後、120℃で15分間乾燥して、VS−1被覆スライ
ド(B)を作成した。
【0051】
【化8】 (2)DNA断片の点着と蛍光強度の測定 5'-未端がアミノ基で修飾されたDNA断片(配列表に
配列を示した)を0.1M炭酸緩衝液(pH9.8)に
分散して水性液(1×10-6M、1μL)を調製し、上
記実施例1で得たスライド(B)に点着した。直ちに、
点着後のスライドを60℃、相対湿度90%にて1時間
放置した後、120℃で20分間加熱した。このスライ
ドを0.1質量%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)と
2×SSC(2×SSC:SSCの原液を2倍に希釈し
た溶液、SSC:標準食塩−クエン酸緩衝液)との混合
溶液で2回、0.2×SSC水溶液で1回順次洗浄し
た。次いで、上記の洗浄後のスライドを0.1Mグリシ
ン水溶液(pH10)中に1時間30分浸漬した後、蒸
留水で洗浄し、室温で乾燥してDNA断片が固定された
スライド(D)を得た。
【0052】このスライドに対して上記DNA配列と相
補的な配列を有する60m e rのRNA、及びボロン酸
色素(化合物(1)、化合物(6)、及び化合物(1
1))又は比較例2の化合物(各々0.1mMを1μ
L)をハイブリダイゼーション用溶液(4×SSCおよ
び10質量%のSDSの混合溶液)(20μL)に分散
させたものを、上記で得たスライド(D)に付与した。
このスライドの表面を顕微鏡用カバーガラスで保護した
後、モイスチャンバー内にて60℃で10時間インキュ
ベートした。次いで、このスライドを0.1質量%SD
Sと2×SSCとの混合溶液で洗浄した後、600rp
mで20秒間遠心し、室温で乾燥した。スライドガラス
表面の蛍光強度を蛍光スキャニング装置で測定したとこ
ろ、比較例2の化合物を用いた場合には蛍光スポットが
観察されなかったのに対し、2個のボロン酸基を有する
上記色素を用いた場合には、DNA断片をスポットした
部分のみに蛍光が観察された。
【0053】
【化9】
【0054】
【発明の効果】本発明の方法によれば、RNAを高感度
に検出でき、例えば、遺伝子診断等で用いられる核酸の
2本鎖ハイブリッドを標的核酸の長さに依存せずに定量
的かつ高感度に検出できる。
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Fuji Photo Film Co. Ltd. <120> Method for detecting RNA by using a dye <130> A11321M <160> 1 <210> 1 <211> 60 <212> DNA <213> Artificial <400> 1 gctgctgctg ggccagtggt tcctccatgt ccggggagga tcagacactt caaggtctag 60
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C12N 15/09 C12N 15/00 ZNAA ZNA A Fターム(参考) 2G045 BB14 BB29 BB48 BB51 DA13 DA14 FB02 FB11 FB12 GC15 2G054 AA06 CA22 CE02 EA03 GB02 4B024 AA11 CA01 CA11 HA14 4B063 QA01 QA18 QQ52 QR32 QR35 QR56 QR66 QR82 QS34 QX02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 RNAを光学的に検出する方法であっ
    て、下記の工程: (1)シアニン色素、オキソノール色素、及びキサンテン
    色素からなる群から選ばれ、2個以上のボロン酸基を有
    する色素とRNAとの複合体を得る工程;及び(2)該複
    合体を光学的に検出する工程を含む方法。
  2. 【請求項2】 RNAが溶液中、固体中、又は固相担体
    上に存在する請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 RNAがDNAと相補的に結合した2本
    鎖ハイブリッド核酸である請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 RNAが固相担体上に固定されたプロー
    ブDNAに相補的に結合したRNAである請求項3に記
    載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021141369A1 (ko) * 2020-01-07 2021-07-15 서강대학교산학협력단 단일 가닥 dna 탐침 기반 rna 검출 방법

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WO2021141369A1 (ko) * 2020-01-07 2021-07-15 서강대학교산학협력단 단일 가닥 dna 탐침 기반 rna 검출 방법

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