JP2003035272A - 流体ポンプ - Google Patents

流体ポンプ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両のドライバビリティを向上させつつ、空
調装置の開発工数を低減する。 【解決手段】 圧縮機自身が駆動トルクを演算すること
ができるように圧力センサ151a及びトルク演算ユニ
ット152、並びに車両内データ通信プロトコルにて他
の機器のデータ通信を行うことができる通信ユニット1
56を圧縮機に一体化(実装)する。これにより、短時
間で駆動トルクを演算することができるので、エンジン
ECUは速やかに圧縮機が必要とする動力(トルク)に
応じたトルクがエンジンにて発生するようにエンジンを
制御することができる。凝縮器の冷媒出口側に、別途、
圧力センサを設ける必要がないので、車種毎(搭載する
凝縮器毎)に異なる圧力損失を考慮する必要がなく、空
調装置の開発工数を低減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行用駆動源(車
両エンジン)から動力を受けて稼動する流体ポンプに関
するもので、車両用空調装置の圧縮機に適用して有効で
ある。
【0002】
【従来の技術】一般的な車両用空調装置(以下、空調装
置と略す。)では、例えば特開2001−7341号公
報に記載のごとく、圧縮機、凝縮器、減圧器、蒸発器及
び圧縮機の稼動状態(圧縮仕事率)を制御する電磁クラ
ッチや可変容量機構や室内に搭載された室内ユニット
(エアミックスドアや吹出モードドア等)を制御する空
調用電子制御装置(以下、AECU表記する。)等から
構成され、AECUは空調熱負荷(室内温度や乗員が希
望する室内温度等によって決まる蒸発器での冷凍能力)
に基づいて圧縮機の稼動状態を制御する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、空調装置
(の圧縮機)は走行用のエンジンから動力を受けている
のに関わらず、多くのAECUは車両走行状態(エンジ
ン負荷)を考慮することなく、空調負荷に基づいて空調
装置(圧縮機)を制御している。
【0004】一方、エンジン側から見ると、空調装置
(圧縮機)で消費される動力は、エンジンにより駆動さ
れる補機の中で最も大きいため、空調装置(圧縮機)で
消費される動力の変動は車両走行状態に大きな影響を及
ぼす。
【0005】これに対して、エンジンを制御するエンジ
ン用電子制御装置(以下、EECUと表記する。)側か
ら要求に応じて圧縮機の仕事率(電磁クラッチのON−
OFF時間や吐出容量)を可変制御するといった手段が
考えられるが、圧縮機の仕事率はAECUにより制御さ
れているので、EECUはAECUに対して圧縮機の仕
事率を変化(縮小)させる旨の指令を発せざるを得な
い。
【0006】しかし、AECUから見ると、EECUか
ら要求は通常の空調制御ルーチンと異なる割り込み処理
となり、通常の空調制御ルーチンの終了後、EECUか
らの要求に応じることとなるので、EECUから要求に
対して即座に応じることができない。
【0007】また、通常、空調装置では、凝縮器の冷媒
流出側に冷媒の圧力を検出する圧力センサを設けて、圧
縮機の駆動トルクや空調装置の異常判定(高圧側圧力が
異常上昇したか否かの判定)を行っているので、凝縮器
での圧力損失を考慮する必要がある。このため、車種毎
(搭載する凝縮器毎)に考慮する圧力損失が異なるた
め、空調装置の開発工数の低減が困難であった。
【0008】本発明は、上記点に鑑み、車両のドライバ
ビリティを向上させつつ、車両燃費を向上させるように
エンジン(駆動源)の発生トルク等を容易に制御するこ
とができるようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、請求項1に記載の発明では、走行用駆動
源から動力を得て稼動する流体ポンプであって、流体を
吸入吐出するポンプ機構(Cp)と、ポンプ機構(C
p)の駆動トルクを検出するトルク検出手段(151
a、151b、152)と、ポンプ機構(Cp)のポン
プ仕事を制御する制御手段(157)と、トルク検出手
段(151a、151b、152)が検出した駆動トル
ク、及び制御手段(157)への指令信号を他の機器
(AECU、EECU)との間で授受するための通信手
段(156)とが、少なくとも一体化されていることを
特徴とする。
【0010】これにより、流体ポンプ自身が駆動トルク
を演算することができるので、例えば空調装置用の電子
制御装置にて駆動トルクを演算する場合に比べて短時間
で駆動トルクを演算することができる。
【0011】しかも、演算した駆動トルクを流体ポンプ
から他の機器側に送信することができるので、走行用駆
動源を制御する制御装置(以下、EECUと表記す
る。)に演算した駆動トルクを送信するれば、EECU
は速やかに流体ポンプ(ポンプ機構(Cp))が必要と
する動力(トルク)に応じたトルクが駆動源にて発生す
るように駆動源を制御することができる。
【0012】また、流体ポンプのポンプ仕事を自ら制御
することができるので、EECU側からの要求(例え
ば、ポンプ仕事を縮小させる指令)に対して迅速に反応
することができる。
【0013】したがって、本発明に係る流体ポンプを用
いれば、車両のドライバビリティを向上させつつ、車両
燃費を向上させるように駆動源の発生トルク等を容易に
制御することが可能となる。
【0014】また、駆動トルクを演算する際には流体ポ
ンプの吐出圧に関する情報が含まれ、かつ、本発明で
は、駆動トルクを検出する手段を有しているので、本発
明に係る流体ポンプを例えば空調装置用の圧縮機に用い
れば、凝縮器の冷媒出口側に、別途、圧力センサを設け
る必要がない。したがって、車種毎(搭載する凝縮器
毎)に異なる圧力損失を考慮する必要がないので、空調
装置の開発工数を低減することができる。
【0015】以上に述べたように、本発明によれば、車
両のドライバビリティを向上させつつ、空調装置の開発
工数を低減することができる。
【0016】請求項2に記載の発明では、走行用駆動源
から動力を得て稼動する流体ポンプであって、流体を吸
入吐出するポンプ機構(Cp)と、ポンプ機構(Cp)
の駆動トルクを検出するトルク検出手段(151a、1
51b、152)と、ポンプ機構(Cp)のポンプ仕事
を制御する制御手段(157)と、トルク検出手段(1
51a、151b、152)が検出した情報、及び制御
手段(157)への指令信号を他の機器(AECU、E
ECU)との間で授受するための通信手段(156)と
を備えることをを特徴とする。
【0017】これにより、流体ポンプ自身が駆動トルク
を演算することができるので、例えば空調装置用の電子
制御装置にて駆動トルクを演算する場合に比べて短時間
で駆動トルクを演算することができる。
【0018】しかも、演算した駆動トルクを流体ポンプ
から他の機器側に送信することができるので、EECU
に演算した駆動トルクを送信するれば、EECUは速や
かに流体ポンプ(ポンプ機構(Cp))が必要とする動
力(トルク)に応じたトルクが駆動源にて発生するよう
に駆動源を制御することができる。
【0019】また、流体ポンプのポンプ仕事を自ら制御
することができるので、EECU側からの要求(例え
ば、ポンプ仕事を縮小させる指令)に対して迅速に反応
することができる。
【0020】したがって、本発明に係る流体ポンプを用
いれば、車両のドライバビリティを向上させつつ、車両
燃費を向上させるように駆動源の発生トルク等を容易に
制御することが可能となる。
【0021】なお、制御手段(157)は、請求項3に
記載の発明のごとく、ポンプ機構(Cp)の理論吐出容
量を変化させる可変容量機構(Vc)と、この可変容量
機構(Vc)の作動を電気的に制御する制御部(15
4)とを有して構成してもよい。
【0022】また、制御手段(157)は、請求項4に
記載の発明のごとく、ポンプ機構(Cp)に動力を断続
可能に伝達する電磁クラッチ(101)と、この電磁ク
ラッチ(101)の断続を制御する制御回路(155)
とを有して構成してもよい。
【0023】また、請求項5に記載の発明のごとく、制
御手段(157)は、トルク検出手段(151a、15
1b、152)が検出した情報値が所定範囲外となった
ときには、その旨の情報を通信手段(156)を介して
他の機器(AECU、EECU)に発信するようにして
もよい。
【0024】請求項6に記載の発明では、通信手段(1
56)は、車両内データ通信プロトコルに準拠したもの
であることを特徴とする。
【0025】これにより、既存の通信ケーブルを利用す
ることができるので、データ通信に専用の通信ケーブル
を別途、敷設する必要がない。したがって、車両内の通
信ケーブル(ワイヤーハーネス)を削減することができ
るので、車両の部品点数及び組み立て工数を低減するこ
とができる。
【0026】因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後
述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す
一例である。
【0027】
【発明の実施の形態】本実施形態は、本発明に係る流体
ポンプを車両空調装置(蒸気圧縮式冷凍サイクル)に適
用したものであって、図1は本実施形態に係る車両用空
調装置1の模式図である。
【0028】空気流路をなす空調ケーシング2の空気上
流側部位には、車室内気を吸入するための内気吸入口3
と外気を吸入するための外気吸入口4とが形成されると
ともに、これらの吸入口3、4の開口割合を調節する吸
入口切換ドア(内外気調節手段)5が設けられている。
【0029】この吸入口切換ドア5の下流側部位には、
空気中の塵埃を取り除くフィルタF及び遠心式の送風機
7が配設されており、この送風機7により両吸入口3、
4から吸入された空気が、後述する各吹出口14、1
5、17に向けて送風されている。送風機7の空気下流
側には、空気冷却手段をなす蒸発器9が配設されてお
り、送風機7により送風された空気は全てこの蒸発器9
を通過する。
【0030】蒸発器9の空気下流側には、空気加熱手段
をなすヒータコア10が配設されており、このヒータコ
ア10は、エンジン11の冷却水を熱源として空気を加
熱している。なお、蒸発器9は、冷媒を蒸発させること
により冷凍能力(冷房能力)を発揮する蒸気圧縮式冷凍
サイクル(以下、冷凍サイクルと略す。)の低圧側の熱
交換器であり、冷凍サイクルについては後述する。
【0031】また、空調ケーシング2には、ヒータコア
10をバイパスするバイパス通路12が形成されてお
り、ヒータコア10の空気上流側には、ヒータコア10
を通る風量とバイパス通路12を通る風量との風量割合
を調節するエアミックスドア13が配設されている。こ
の風量割合の調節は、このエアミックスドア13の開度
を調節することにより調節される。
【0032】また、空調ケーシング2の最下流側部位に
は、車室内乗員の上半身に空調空気を吹き出すためのフ
ェイス吹出口14と、車室内乗員の足元に空気を吹き出
すためのフット吹出口15と、フロントガラス16の内
面に向かって空気を吹き出すためのデフロスタ吹出口1
7とが形成されている。
【0033】そして、上記各吹出口14、15、17の
空気上流側部位には、各吹出口14、15、17の開口
度合いを調節して吹出モードを切り換える吹出モード切
換ドア18、19、20が配設されている。なお、これ
らの吹出モード切換ドア18、19、20、吸入口切換
ドア5及びエアミックスドア13は、サーボモータ等の
駆動手段M1〜M2により開閉制御され、駆動手段M1
〜M2並びに送風機7(のモータM3)は、図2に示す
ように、空調装置用電子制御装置(以下、AECUと表
記する)21により制御される。
【0034】次に、蒸気圧縮式冷凍サイクルについて述
べる。
【0035】図3は蒸気圧縮式冷凍サイクルRc(以
下、冷凍サイクルRcと略す。)の模式図を示してお
り、100は走行用エンジンE/Gから駆動力を得て冷
媒を吸入圧縮する圧縮機であり、この圧縮機100は、
図4に示すように、駆動力を断続可能に伝達する電磁ク
ラッチ101を介して駆動力を得ている。なお、圧縮機
100の構造は、後述する。
【0036】また、図3中、200は圧縮機100から
吐出した高温高圧の冷媒と室外空気との間で熱交換して
冷媒を冷却凝縮させる凝縮器(放熱器)であり、300
は凝縮器200から流出した冷媒を減圧する減圧器であ
る。なお、減圧器300は蒸発器9の冷媒出口側におけ
る冷媒加熱度が所定値となるように開度を調節する、い
わゆる温度式膨張弁である。
【0037】なお、AECU21には、乗員が希望する
室内温度を乗員が設定入力する温度設定手段22の設定
温度Tset、室内空気の温度を検出する内気温センサ
(内気温度検出手段)23の検出温度Tin、室外空気
の温度を検出する外気温センサ(外気温度検出手段)2
4の検出温度Tout、室内に降り注がれる日射量を検
出する日射センサ25の検出値、及び蒸発器9を通過し
た直後の空気温度を検出する温度センサ(温度検出手
段)26の検出温度Te等の空調センサ信号が入力され
ている。なお、温度センサ23、24、26はサーミス
タ等の温度により電気抵抗値が変化するものを採用して
いる。
【0038】次に、圧縮機100の構造について述べ
る。
【0039】圧縮機100は、図4に示すように、周知
の可変容量式の斜板型圧縮機構を有するものであり、回
転するシャフト102に対して傾いた斜板103をシャ
フト102と一体的に回転させることによりシュー10
4を介して斜板103に連結された複数本(本実施形態
では、6本)のピストン105を往復運動させて作動室
Vcの体積を拡大縮小させて冷媒を吸入圧縮する圧縮機
構(ポンプ機構)Cpを構成している。
【0040】そして、圧縮機100の吐出容量を変化さ
せる場合には、斜板103が収納された斜板室(制御圧
室)106内の圧力を変化させて斜板103の傾斜角度
を変化させてピストン105のストローク(行程)を変
化させる。このとき、斜板室106は、オリフィス等の
絞り手段を有する通路手段を介して圧縮機構Cpの吸入
側と連通しているので、斜板室106と圧縮機構Cpの
吐出側との連通状態を制御すれば、斜板室106内の圧
力を制御することができる。なお、以下、斜板103の
傾斜角度を変化さる機構を可変容量機構Vcと呼ぶ。
【0041】また、107は各作動室Vcから吐出され
た冷媒を集合回収するとともに、脈動を平滑化する第1
吐出室であり、108は第1吐出室107内の冷媒を吐
出口109に導く第2吐出室であり、両吐出室107、
108は所定の穴径を有する連通路(図示せず。)を介
して連通している。このため、冷媒が連通路を流通する
際に圧力損失が発生し、第2吐出室108内の圧力は第
1圧力室107内の圧力より低くなる。
【0042】また、図5は、斜板室(制御圧室)106
内の圧力を制御する制御バルブ(吐出容量制御手段)1
10の断面図である。この制御バルブ110は、圧縮機
100内に形成された第1吐出室107と第2吐出室1
08との差圧が所定の圧力差(以下、この圧力差を制御
目標圧力差と呼ぶ。)Δpとなるように稼働する第1制
御部120と、第1制御部120の作動を規制して制御
目標圧力差Δpを制御する第2制御部130とからなる
ものである。
【0043】先ず、第1制御部120について述べる。
121は第1吐出室107内の圧力が導かれる第1制御
室であり、122は第2吐出室108内の圧力が導かれ
る第2制御室である。そして、両制御室121、122
は、摺動可能な仕切り部材123により仕切られてお
り、第1制御室121内には、第1制御室121の体積
を拡大する向きに仕切り部材123を押圧する力(弾性
力)を発揮するコイルスプリング(弾性手段)124が
配設されている。このため、仕切り部材123に形成さ
れたプッシュロッド125には、両制御室121、12
2の圧力差による力及びコイルスプリング124の弾性
力が作用しているとともに、その力(以下、この力を開
弁力)の向きは、第1制御室121内の圧力が第2制御
室122より大きいことから第1制御室121の体積が
増大する向き(紙面左向き)である。なお、プッシュロ
ッド125の移動量は微少であるので、コイルスプリン
グ124が仕切り部材123(プッシュロッド)125
に及ぼす力は略一定値と見なすことができる。
【0044】一方、第2制御部130は、開弁力に対向
する力(以下、この力を閉弁力と呼ぶ。)を弁体131
に作用させるもので、弁体131は圧縮機100の吐出
圧(第2吐出室108の圧力)を斜板室106に導く制
御圧通路140の連通状態を制御するものである。
【0045】また、132は励磁コイル133により誘
起された磁界によって発生した電磁吸引力により可動す
るプランジャ(可動鉄心)であり、134はプランジャ
132と引き合うストッパ(固定鉄心)であり、135
は電磁吸引力と対向する力を発生するコイルスプリング
(弾性手段)である。なお、プランジャ132の移動量
は微少であるので、コイルスプリング135がプランジ
ャ132に及ぼす力は略一定値と見なすことができる。
【0046】そして、プランジャ132と弁体131と
は一体化されており、励磁コイル133に通電する通電
比率(デューティ比)を制御することにより、デューテ
ィ比に略比例した閉弁力(電磁吸引力)を得ることがで
きる。
【0047】したがって、デューティ比を大きくして閉
弁力を増大させると、弁体131を紙面右側に移動して
制御圧通路140を絞るので、斜板室106内の圧力が
低下して圧縮機100の吐出容量が増大する。逆に、デ
ューティ比を小さくして閉弁力を減少させると、弁体1
31を紙面左側に移動して制御圧通路140を開くの
で、斜板室106内の圧力が上昇して圧縮機100の吐
出容量が減少する。
【0048】一方、エンジンの回転数が上昇して圧縮機
100の回転数が上昇すると、これに連動して圧縮機1
00から吐出される吐出冷媒流量が上昇するが、吐出冷
媒流量が増大すると、第1、2制御室121、122間
の圧力差が大きくなるので、開弁力が大きくなり、プッ
シュロッド125及び弁体131が紙面左側に移動して
制御圧通路140が開き、圧縮機100の吐出容量が減
少していく。
【0049】逆に、エンジンの回転数が低下して圧縮機
100の回転数が低下すると、これに連動して圧縮機1
00から吐出される吐出冷媒流量が低下するが、吐出冷
媒流量が低下すると、第1、2制御室121、122間
の圧力差が小さくなるので、開弁力が小さくなり、プッ
シュロッド125及び弁体131が紙面右側に移動して
制御圧通路140が絞られ、圧縮機100の吐出容量が
増加していく。
【0050】このとき、プッシュロッド125及び弁体
131は閉弁力と開弁力とが釣り合う位置まで移動する
が、コイルスプリング124、135による力は一定値
であるので、プッシュロッド125及び弁体131は閉
弁力と開弁力とが釣り合う位置まで移動するとは、第
1、2制御室121、122間の圧力差が閉弁力(電磁
吸引力)によって一義的に決まる所定圧力差、つまり制
御目標圧力差Δpとなるまで圧縮機100の吐出容量が
機械的に変化することである。
【0051】したがって、デューティ比を制御すること
により、エンジンE/G(圧縮機100)の回転数によ
らず、圧縮機100から実際に吐出される吐出冷媒流量
を制御することができる。したがって、本実施形態で
は、デューティ比から決定される吐出冷媒流量を目標吐
出冷媒流量と呼び、デューティ比を決定することは目標
吐出流量を決定することを意味する。
【0052】そして、励磁コイル133に通電するデュ
ーティ比は及び電磁クラッチ101のON−OFF制御
は、図3に示すように、圧縮機100に一体化された圧
縮機専用電子制御装置(以下、CECUと表記する)1
50により制御される。なお、本実施形態では、CEC
U150を圧縮機100のうち比較的に温度が低い吸入
冷媒が流通する部位に設けることにより、吸入冷媒によ
りCECU150を冷却するようにしている。
【0053】また、CECU150は、第2吐出室10
8内の冷媒圧力(圧縮機100から吐出する冷媒圧力)
を検出する圧力センサ(圧力検出手段)151aの検出
信号及び圧縮機100の回転数を検出する回転センサ
(回転数検出手段)151bが入力されているととも
に、圧力センサ151aの検出信号に基づいて圧縮機1
00の駆動トルクを演算するトルク演算ユニット(トル
ク演算手段)152、圧力センサ151の検出信号に基
づいて冷凍サイクルRcの異常判定(例えば、高圧側圧
力が異常上昇したか否かの判定)を行う異常判定ユニッ
ト(異常判定手段)153、励磁コイル133へのディ
ーティ信号を発する制御弁駆動ユニット(制御弁駆動信
号発生手段)154、電磁クラッチ101へのON−O
FF信号を発するクラッチ制御ユニット(クラッチ制御
手段)155、並びにトルク演算ユニット152が演算
した駆動トルク、制御弁駆動ユニット154への指令信
号及び異常判定ユニット153が高圧異常を判定したと
きの異常信号等の信号データをAECU21やエンジン
制御用制御装置(以下、EECUと表記する。)との間
で授受(通信)する通信ユニット(通信手段)156が
設けられている。
【0054】なお、異常判定ユニット153が高圧異常
を判定した(圧力センサ151bの検出値が所定範囲外
となった)ときには、前述のごとく、異常判定信号を発
するとともに、クラッチ制御ユニット155に動力伝達
を遮断すべき旨の信号を発する、又は制御弁駆動ユニッ
ト154に吐出容量を低減すべき旨の信号を発する等し
て高圧側圧力がさらに上昇することを防止する。
【0055】因みに、本実施形態では、トルク演算ユニ
ット152は、圧縮機100の吐出圧Pd(圧力センサ
151aの検出値)と吐出容量(励磁コイル133に通
電するデューティ比)との積を圧縮機100の回転数
(回転センサ151bの検出値)で除して駆動トルクを
演算している。
【0056】なお、通信ユニット156は、車両内デー
タ通信プロトコルに準拠したデータ信号を授受できるよ
うになっており、圧縮機100の駆動トルクは車両内デ
ータ通信プロトコルに沿った形でEECUやAECU等
に送信される。
【0057】また、上述の説明からも明らかなように、
制御バルブ110にて可変容量機構Vcを制御する、又
は電磁クラッチ101のON−OFF制御することによ
り、圧縮機100の圧縮仕事率(ポンプ仕事率)を制御
することができるので、制御バルブ110、可変容量機
構Vc、制御弁駆動ユニット154、電磁クラッチ10
1、及びクラッチ制御ユニット155を総称して動力制
御ユニット(制御手段)157と呼ぶ。
【0058】次に、本実施形態の特徴を述べる。
【0059】本実施形態では、圧縮機100自身が駆動
トルクを演算することができるので、AECU21にて
駆動トルクを演算する場合に比べて短時間で駆動トルク
を演算することができる。
【0060】しかも、演算した駆動トルクを圧縮機10
0からEECU側に送信することができるので、EEC
Uは速やかに圧縮機100が必要とする動力(トルク)
に応じたトルクがエンジンにて発生するようにエンジン
を制御することができる。
【0061】また、圧縮機100の圧縮仕事率(ポンプ
仕事率)を自ら制御することができるので、EECU側
からの要求(例えば、圧縮仕事率を縮小させる指令)に
対して迅速に反応することができる。
【0062】したがって、本実施形態に係る圧縮機10
0を用いれば、車両のドライバビリティを向上させつ
つ、車両燃費を向上させるようにエンジンの発生トルク
等を容易に制御することが可能となる。
【0063】また、駆動トルクを演算する際に吐出圧P
dに関する情報が含まれ、かつ、本実施形態に係る圧縮
機100は、圧縮機100に駆動トルクを演算する手段
を有しているので、凝縮器200の冷媒出口側に、別
途、圧力センサを設ける必要がない。したがって、車種
毎(搭載する凝縮器毎)に異なる圧力損失を考慮する必
要がないので、空調装置の開発工数を低減することがで
きる。
【0064】また、圧力センサ151aや回転センサ
(回転数検出手段)151b等及びCECU150が圧
縮機100に一体化されているので、センサ151a、
151bのリード線等のワイヤーハーネス類を削減する
ことができる。
【0065】また、通信ユニット156は、車両内デー
タ通信プロトコルに準拠したデータ信号を授受できるよ
うになっているので、既存の通信ケーブルを利用するこ
とができ、CECU150とAECU21やEECU等
のデータ通信に専用の通信ケーブルを敷設する必要がな
い。したがって、車両内の通信ケーブル(ワイヤーハー
ネス)を削減することができるので、車両の部品点数及
び組み立て工数を低減することができる。
【0066】(その他の実施形態)上述の実施形態形態
では、電磁クラッチ101と可変容量機構Vcの両者を
CECU150にて制御したが、本発明はこれに限定さ
れるものではなく、いずれか一方を制御してもよい。
【0067】また、上述の実施形態では、可変容量型の
圧縮機を用いたが、本発明はこれに限定されるものでは
なく、固定容量式の圧縮機又はスクロール型圧縮機等の
その他圧縮機にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用空調装置の模式
図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車両用空調装置の制御
系の模式図である。
【図3】本発明の実施形態に係る車両用空調装置の冷凍
サイクルの模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係る車両用空調装置に適用
される圧縮機の断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る車両用空調装置に適用
される圧縮機の制御バルブを示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る圧縮機の概念図であ
る。
【符号の説明】
Cp…圧縮機構、Vc…可変容量機構、101…電磁ク
ラッチ、151a…圧力センサ、151b…回転セン
サ、152…トルク演算ユニット、153…異常判定ユ
ニット、154…制御弁駆動ユニット、155…クラッ
チ制御ユニット、156…通信ユニット。
フロントページの続き Fターム(参考) 3H045 AA04 AA12 AA27 BA19 BA32 CA03 CA09 DA09 DA10 DA25 DA42 EA13 EA17 EA26 EA33 EA42 EA46 3H076 AA06 BB33 CC12 CC17 CC42 CC84

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走行用駆動源から動力を得て稼動する流
    体ポンプであって、 流体を吸入吐出するポンプ機構(Cp)と、 前記ポンプ機構(Cp)の駆動トルクを検出するトルク
    検出手段(151a、151b、152)と、 前記ポンプ機構(Cp)のポンプ仕事を制御する制御手
    段(157)と、 前記トルク検出手段(151a、151b、152)が
    検出した駆動トルク、及び前記制御手段(157)への
    指令信号を他の機器(AECU、EECU)との間で授
    受するための通信手段(156)とを備え、 前記ポンプ機構(Cp)、前記トルク検出手段(151
    a、151b、152)、前記制御手段(157)及び
    前記通信手段(156)が、少なくとも一体化されてい
    ることを特徴とする流体ポンプ。
  2. 【請求項2】 走行用駆動源から動力を得て稼動する流
    体ポンプであって、 流体を吸入吐出するポンプ機構(Cp)と、 前記ポンプ機構(Cp)の駆動トルクを検出するトルク
    検出手段(151a、151b、152)と、 前記ポンプ機構(Cp)のポンプ仕事を制御する制御手
    段(157)と、 前記トルク検出手段(151a、151b、152)が
    検出した情報、及び前記制御手段(157)への指令信
    号を他の機器(AECU、EECU)との間で授受する
    ための通信手段(156)とを備えることをを特徴とす
    る流体ポンプ。
  3. 【請求項3】 前記制御手段(157)は、前記ポンプ
    機構(Cp)の理論吐出容量を変化させる可変容量機構
    (Vc)と、この可変容量機構(Vc)の作動を電気的
    に制御する制御部(154)とを有していることを特徴
    とする請求項1又は2に記載の流体ポンプ。
  4. 【請求項4】 前記制御手段(157)は、前記ポンプ
    機構(Cp)に動力を断続可能に伝達する電磁クラッチ
    (101)と、この電磁クラッチ(101)の断続を制
    御する制御回路(155)とを有していることを特徴と
    する請求項1又は2に記載の流体ポンプ。
  5. 【請求項5】 前記制御手段(157)は、前記トルク
    検出手段(151a、151b、152)が検出した情
    報値が所定範囲外となったときには、その旨の情報を前
    記通信手段(156)を介して他の機器(AECU、E
    ECU)に発信することを特徴とする請求項1ないし4
    のいずれか1つに記載の流体ポンプ。
  6. 【請求項6】 前記通信手段(156)は、車両内デー
    タ通信プロトコルに準拠したものであることを特徴とす
    る請求項1ないし5のいずれか1つに記載の流体ポン
    プ。
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