JP2003034844A - 高温成形に適し高温成形後に高強度となるアルミもしくはアルミ−亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents
高温成形に適し高温成形後に高強度となるアルミもしくはアルミ−亜鉛めっき鋼板およびその製造方法Info
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Abstract
したアルミめっき鋼板あるいはアルミ−亜鉛めっき鋼板
を提供する。 【解決手段】 質量%で、C:0.15〜0.55%、
Si≦0.5%、Mn:1.5〜3.0%、S≦0.0
4%、P≦0.1%、Al:0.01〜0.10%を含
み、好ましくは適量のN,BおよびTiを含み、さら
に、Ni≦1.0%、Cu≦0.5%、Sn≦0.2%
の1種又は2種以上を、(Ni+0.5×Cu+3×S
n)≧0.012を満足するように含有することを特徴
とする高温成形に適し高温成形後に高強度となるアルミ
めっき鋼板おるいはアルミ−亜鉛めっき鋼板およびその
製造方法。
Description
より製造される、自動車部品の構造部材に代表されるよ
うな強度が必要とされる部材に適したアルミもしくはア
ルミ−亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関する。
化のためには、自動車に使用される鋼板をできるだけ高
強度化することが必要となるが、一般に鋼板を高強度化
していくと伸びやr値が低下し、成形性が劣化してい
く。このような課題を解決するために、温間で成形し、
その際の熱を利用して強度上昇を図る技術が、特開20
00−234153号公報に開示されている。この技術
では、鋼中成分を適切に制御し、フェライト温度域で加
熱し、この温度域での析出強化を利用して強度を上昇さ
せることを狙っている。
は、プレス成形精度を向上させる目的で成形温度での降
伏強度を上演での降伏強度より大きく低下する高強度鋼
板が提案されている。しかしながら、これらの技術では
得られる強度に限度がある可能性がある。一方、より高
強度を得る目的で、成形後に高温のオーステナイト単相
域に加熱し、その後の冷却過程で硬質の相に変態させる
技術が特開2000−38640号公報に提案されてい
る。
行うと形状精度に問題が生じる可能性がある。この欠点
を克服する技術としては、鋼板をオーステナイト単相域
に加熱し、その後プレス成形過程にて冷却を施す技術が
文献(SAE,2001-01-0078)に紹介されている。ただし、
この技術では成形時のアルミめっき層の損傷を抑えるこ
とが困難、つまり、その部分の耐食性を確保することが
困難になる可能性がある。
に開示されている技術を用い、高温成形後に高強度とな
る高温プレスに適したアルミめっき鋼板を製造すること
は困難である。本発明は上記課題を解決するためになさ
れたものであり、高温成形後に1200MPa以上の強
度を得ることができる高温成形性に優れたアルミめっき
鋼板あるいはアルミ−亜鉛めっき鋼板、およびその製造
方法を提供することにある。
を解決するために基礎的な検討を実施した。その結果、
Ti、P、Ni、Cuを適切に添加することで、高温成
形性に優れためっき鋼板が製造できることを見出した。
すなわち、本発明の要旨とするところは下記のとおりで
ある。
%、Si≦0.5%、Mn:1.5〜3.0%、S≦
0.04%、P≦0.1%、Al:0.01〜0.10
%を含み、さらに、Ni≦1.0%、Cu≦0.5%、
Sn≦0.2%、の1種又は2種以上を、 (Ni+0.5×Cu+3×Sn)≧0.012 を満足するように含有することを特徴とする高温成形に
適し高温成形後に高強度となるアルミめっき鋼板。
%、Si≦0.5%、Mn:1.5〜3.0%、S≦
0.04%、P≦0.1%、Al:0.01〜0.10
%、を含み、さらに、Ni≦1.0%、Cu≦0.5
%、Sn≦0.2%、の1種又は2種以上を、 (Ni+0.5×Cu+3×Sn)≧0.012 を満足するように含有することを特徴とする高温成形に
適し高温成形後に高強度となるアルミ−亜鉛めっき鋼
板。
%、Si≦0.5%、Mn:0.2〜3.0%、S≦
0.04%、P≦0.1%、Al:0.01〜0.10
%、N≦0.01%B:0.0002〜0.0050%
を含み、C、N、Ti量が 3.99×(C−0.14)≧Ti−3.42N≧0.
001 を満足し、さらに、Ni≦1.0%、Cu≦0.5%、
Sn≦0.2%、の1種又は2種以上を、 (Ni+0.5×Cu+3×Sn)≧0.012 を満足するように含有することを特徴とする高温成形に
適し高温成形後に高強度となるアルミめっき鋼板。
%、Si≦0.5%、Mn:0.2〜3.0%、S≦
0.04%、P≦0.1%、Al:0.01〜0.10
%、N≦0.01%、B:0.0002〜0.0050
%を含み、C、N、Ti量が 3.99×(C−0.14)≧Ti−3.42×N≧
0.001 を満足し、さらに、Ni≦1.0%、Cu≦0.5%、
Sn≦0.2%、の1種又は2種以上を、 (Ni+0.5×Cu+3×Sn)≧0.012 を満足するように含有することを特徴とする高温成形に
適し高温成形後に高強度となるアルミ−亜鉛めっき鋼
板。
めっき鋼板の製造方法において、熱間圧延工程における
圧延終了温度をAr3変態点以上とし、熱間圧延後の巻
取温度を550℃以上、750℃以下とし、冷間圧延後
のアルミめっき工程における浴中Si濃度を5〜12%
とすることを特徴とする高温成形に適し高温成形後に高
強度となるアルミめっき鋼板の製造方法。
−亜鉛めっき鋼板の製造方法において、熱間圧延工程に
おける圧延終了温度をAr3変態点以上とし、熱間圧延
後の巻取温度を550℃以上、750℃以下とし、冷間
圧延後のアルミ−亜鉛めっき工程における浴中Zn濃度
を40〜50%とすることを特徴とする高温成形に適し
高温成形後に高強度となるアルミ−亜鉛めっき鋼板の製
造方法。
する。まず、鋼成分を限定した理由について述べる。C
は冷却後の組織をマルテンサイトとして材質を確保する
ために添加する元素であり、強度1200MPa以上を
確保するためには0.15%以上添加する必要がある。
ところが、添加量が多すぎると、衝撃変形時の強度確保
が困難となるため、その上限を0.55%とした。
鋼板の強度を上昇させることができるが、添加量をむや
みに増やすとめっき性が劣化するため、その上限を0.
5%とした。Mnは、冷却後の強度確保を広い冷却速度
範囲で可能とするために添加する。C量が多くてもMn
添加量が少ない場合、プレス成形時に通常得られる冷却
速度の範囲ではマルテンサイト組織を得ることができな
いために強度確保を行うことが困難となる。ここでいう
冷却速度の範囲とは板厚1.4mmで500℃/s以下
である。このような機能を発揮させるためには、Bが添
加されていない鋼板では1.5%以上添加する必要があ
る。また、Bが0.0002%以上添加された鋼板で
は、この下限は大幅に緩和されるが、それでもMn量を
少なくとも0.2%以上添加する必要がある。一方、M
n量が多くなりすぎるとコストが上昇するだけでなく効
果が飽和するため、上限を3%とした。
性劣化の要因となるため、極力低減する必要があるが
0.04%以下とすることで加工性に対する問題は解消
されるため、その範囲を0.04%以下とした。Pは固
溶強化元素であり、比較的安価に鋼板の強度を上昇させ
ることができる。ただし、添加量がむやみに増加すると
脆化により熱間圧延時や冷間圧延時に割れが生じるた
め、その上限を0.1%とした。Alは脱酸材として使
用されるが、この効果を発揮させるためには鋼中に0.
01%以上含有させることが必要である。一方、0.1
%を超えると、酸化物系の介在物の増加を招き、表面性
状を劣化させる懸念があるため、その上限を0.10%
とした。
添加しない場合は特に規定しないが、Bを添加する場合
は、その量がむやみに多くなるとTi添加量を増大させ
る必要があり、結果的に生成するTiNの量が増加し熱
間割れの懸念があることやコストアップを招くことにな
るため、その上限を0.01%とした。Bはプレス成形
中あるいはプレス成形後の冷却での焼入れ性を向上させ
るために添加するが、この効果を発揮させるためには
0.0002%以上の添加が必要である。しかしなが
ら、この添加量がむやみに増加すると熱間での割れの懸
念があることや、その効果が飽和するためその上限は
0.0050%とする。
Bと化合物を生成するNを固着する目的で添加する。こ
の効果を発揮させるためには、(Ti−3.42×N)
が0.001%以上必要であるが、Ti量がむやみに増
加するとTiと結合していないC量が減少し冷却後に十
分な強度が得られなくなるため、その上限として、Ti
と結合していないC量が0.14%以上確保できるTi
当量、すなわち、3.99×(C−0.14)%、とし
た。一方、Bを添加しない場合は、Tiも特に添加する
必要はない。Ni、Cu、Snは高温加熱時のアルミめ
っき層の合金化状況を変化させることで、高温加熱後の
プレス成形時の表面割れ状況を変化させる効果があり、
成形品の塗装後耐食性を向上させることに繋がるという
重要な要件である。これについては、ラボ試験にてN
i,Cu,Sn添加量と高温成形後のサンプルの裸耐食
性および塗装後耐食性の試験を行った図1および図2の
結果から、このような効果を発揮するためには、式
(1)を満足するように添加する必要があることを見出
した。なお、裸耐食性および塗装後耐食性は、高温成形
後のサンプルの加工を受けた部分から採取したサンプル
にて、実施例にて示す条件にて検討した方法で評価し
た。(Ni+0.5×Cu+3×Sn)≧0.012
・・・(1)
は、Niはむやみに増加するとその効果が飽和すること
やコストアップを招くこと、CuやSnは表面割れが発
生する懸念があることから、それぞれの上限を、1.0
%、0.5%、0.2%とした。その他の成分について
は特に規定しない。Cr,V,W,Zr,Mo,As等
の元素がスクラップから混入する場合があるが、本発明
鋼の特性には全く影響しない。
定しないが、以下に望ましい製造条件について説明す
る。前述したような成分の鋼を鋳造し、得られた熱片ス
ラブを直接または加熱した後、あるいは冷片を再加熱し
て熱間圧延を施す。その際、熱片スラブを直接圧延する
ことと再加熱後に圧延することでの特性変化はほとんど
認められない。また、再加熱温度は特に限定しないが、
生産性を考慮して1000℃から1300℃の範囲とす
ることが好ましい。
圧延においてスラブを接合し圧延する連続化熱延工程の
どちらでも可能である。熱間圧延の際の圧延終了温度は
生産性や板厚精度を考慮してAr3変態点以上とするこ
とが望ましい。熱間圧延後の冷却は通常の方法で行う
が、その際の巻取温度は生産性の観点からは550℃以
上とすることが好ましく、また、巻取温度が高すぎる場
合には酸洗性が劣化するため750℃以下とすることが
望ましい。
ミめっき工程あるいはアルミ−亜鉛めっき工程について
も常法で問題ない。つまり、アルミめっきであれば浴中
Si濃度は5〜12%が適しており、アルミ−亜鉛めっ
きでは浴中Zn濃度は40〜50%が適している。な
お、めっき工程における雰囲気については、無酸化炉を
有する連続式めっき設備でも無酸化炉を有しない連続式
めっき設備でも通常の条件とすることでめっき可能であ
り、本鋼板だけ特別な制御を必要としないことから生産
性を阻害することもない。以上の製造条件ではめっき前
に鋼板表面に金属プレめっきを施していないが、Niプ
レめっきやFeプレめっき、その他めっき性を向上させ
る金属プレめっきを施しても特に問題は無い。また、ア
ルミめっき層中にMgやZnが混在しても、アルミ−亜
鉛めっき層中にMgが混在しても特に問題なく同様の特
性の鋼板を製造することができる。
説明する。表1に示す種々の化学成分の鋼を鋳造し、1
050℃〜1250℃の温度に再加熱後、熱延、酸洗、
冷間圧延、焼鈍、めっき処理(アルミめっきあるいはア
ルミ−亜鉛めっき:ガルバリウムめっき)を行った後、
さらに圧下率0.8%の調質圧延を施した。さらに、こ
れらの鋼板を900〜1000℃に加熱し、5分間この
温度で保定後、常温の金型でプレス成形を行った後、そ
の特性の調査を行った。材質調査はプレスで急速冷却さ
れた部分から試験片を切出し、張試験を行ったが、この
試験はサンプルをJIS Z 2201、5号試験片に
加工し、同2241記載の試験方法にしたがって行っ
た。その評価結果を表2に示す。
に加工を受けた部分からサンプルを切出し、裸耐食性お
よび塗装後耐食性を評価した。裸耐食性は湿気槽試験
(相対湿度95%、温度40℃)3日で、また、塗装後
耐食性はクロスカットを施した後、塩水噴霧試験(JI
S−Z2134)30日で評価した。この際の塗装はカ
チオン系電着塗装であり、膜厚は15μmとした。裸耐
食性については外観から○、×で判断したが、その判断
基準は、×は赤錆が発生、○は赤錆発生がなかったとい
うものである。塗装後耐食性についてもその外観より
○、△、×にて判断したが、その判断基準は、○は塗装
膨れ2mm以内、△は塗装膨れ2mm超で4mm以下、
×は塗装膨れ4mm超とした。
本発明範囲の製造条件で製造したものはすべて高温成形
後に高強度が確保されており、しかも、裸耐食性および
塗装後耐食性に関しても問題がない。ただし、鋼種7で
は、焼鈍温度が本発明範囲を外れる条件で製造した結果
も示すが、この場合にはめっき板の強度が高くなりすぎ
ていたためその後の特性評価は行っていない。鋼種8,
9は本発明範囲をはずれる成分系となっており、鋼種8
では本発明の狙いの一つとした高温成形後の強度が低
く、また、鋼種9では裸耐食性および塗装後耐食性が確
保できない。
温成形後に高強度となる高温成形性に優れたアルミめっ
き鋼板あるいはアルミ−亜鉛めっき鋼板が製造でき、工
業的に価値の大きなものである。
食性の関係を示す図である。
後耐食性の関係を示す図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 質量%で、 C:0.15〜0.55%、 Si≦0.5%、 Mn:1.5〜3.0%、 S≦0.04%、 P≦0.1%、 Al:0.01〜0.10%を含み、さらに、 Ni≦1.0%、 Cu≦0.5%、 Sn≦0.2%の1種又は2種以上を、 (Ni+0.5×Cu+3×Sn)≧0.012 を満足するように含有することを特徴とする高温成形に
適し高温成形後に高強度となるアルミめっき鋼板。 - 【請求項2】 質量%で、 C:0.15〜0.55%、 Si≦0.5%、 Mn:1.5〜3.0%、 S≦0.04%、 P≦0.1% Al:0.01〜0.10%を含み、さらに、 Ni≦1.0%、 Cu≦0.5%、 Sn≦0.2%の1種又は2種以上を、 (Ni+0.5×Cu+3×Sn)≧0.012 を満足するように含有することを特徴とする高温成形に
適し高温成形後に高強度となるアルミ−亜鉛めっき鋼
板。 - 【請求項3】 質量%で、 C:0.15〜0.55%、 Si≦0.5%、 Mn:0.2〜3.0%、 S≦0.04%、 P≦0.1%、 Al:0.01〜0.10%、 N≦0.01%、 B:0.0002〜0.0050%を含み、 C、N、Ti量が 3.99×(C−0.14)≧Ti−3.42×N≧
0.001 を満足し、さらに、 Ni≦1.0%、 Cu≦0.5%、 Sn≦0.2%の1種又は2種以上を、 (Ni+0.5×Cu+3×Sn)≧0.012 を満足するように含有することを特徴とする高温成形に
適し高温成形後に高強度となるアルミめっき鋼板。 - 【請求項4】 質量%で、 C:0.15〜0.55%、 Si≦0.5%、 Mn:0.2〜3.0%、 S≦0.04%、 P≦0.1%、 Al:0.01〜0.10%、 N≦0.01%、 B:0.0002〜0.0050%を含み、 C、N、Ti量が 3.99×(C−0.14)≧Ti−3.42×N≧
0.001 を満足し、さらに、 Ni≦1.0%、 Cu≦0.5%、 Sn≦0.2%の1種又は2種以上を、 (Ni+0.5×Cu+3×Sn)≧0.012 を満足するように含有することを特徴とする、高温成形
に適し高温成形後に高強度となるアルミ−亜鉛めっき鋼
板。 - 【請求項5】 請求項1または請求項3に記載のアルミ
めっき鋼板の製造方法において、 熱間圧延工程における圧延終了温度をAr3変態点以上
とし、 熱間圧延後の巻取温度を550℃以上、750℃以下と
し、 冷間圧延後のアルミめっき工程における浴中Si濃度を
5〜12%とすることを特徴とする高温成形に適し高温
成形後に高強度となるアルミめっき鋼板の製造方法。 - 【請求項6】 請求項2または請求項4に記載のアルミ
−亜鉛めっき鋼板の製造方法において、 熱間圧延工程における圧延終了温度をAr3変態点以上
とし、 熱間圧延後の巻取温度を550℃以上、750℃以下と
し、 冷間圧延後のアルミ−亜鉛めっき工程における浴中Zn
濃度を40〜50%とすることを特徴とする高温成形に
適し高温成形後に高強度となるアルミ−亜鉛めっき鋼板
の製造方法。
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