JP2003034575A - 固体電解質素子 - Google Patents

固体電解質素子

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JP2003034575A
JP2003034575A JP2002126063A JP2002126063A JP2003034575A JP 2003034575 A JP2003034575 A JP 2003034575A JP 2002126063 A JP2002126063 A JP 2002126063A JP 2002126063 A JP2002126063 A JP 2002126063A JP 2003034575 A JP2003034575 A JP 2003034575A
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solid electrolyte
electrolyte element
zirconia
magnesia
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JP2002126063A
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Yasuhiro Nakano
康博 中野
Tomohiko Ogata
知彦 尾形
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、起電力特性、耐熱衝撃性に優れた固
体電解質素子を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明の固体電解質素子は、マグネシアを
6〜12モル%含有し、Fe23量が0.02重量%未
満であるジルコニア焼結体からなることを特徴とするも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製鉄、製鋼、或る
いは銅の精錬等で溶融金属の精錬を扱う分野で、粗原料
から精錬して、溶存した酸素を非常に少なくする必要が
ある際に、該溶融金属中の酸素をより正確に、より迅速
に測定するのに必要な酸素センサー用に好適な固体電解
質に関するものである。
【0002】
【従来の技術】立方晶ジルコニア(以下ジルコニアとい
う)は酸素イオン伝導体であることが知られており、溶
融金属中の酸素濃度を測定する固体電解質素子に使用さ
れている。一般に酸化マグネシウム(以下マグネシアと
いう)または酸化カルシウム(以下カルシアという)で
安定化もしくは部分安定化(以下、単に安定化と略す)
されたジルコニアが使用されている。
【0003】溶鋼用或いは溶銅用の酸素センサー用固体
電解質素子として使用する際の要求特性には、起電力特
性(起電力値、応答性)、耐熱衝撃性がある。起電力特
性については、起電力値が安定していること、溶鋼に浸
漬した後、安定した値となる時間ができるだけ短いこと
が望ましい。耐熱衝撃性については、使用時には常温か
ら溶鋼温度(1600〜1700℃)に数秒で昇温させ
るため、この急激な温度上昇に耐えうることが必要とさ
れる。耐熱衝撃性の優れた素材として特公平3−532
71に提案されている部分安定化ジルコニア燒結体があ
るが、室温から1700℃までの急速な昇温による熱衝
撃が与えられた場合、割れてしまうことがあり、十分と
は言えないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の溶融
金属の酸素測定用固体電解質素子に要求される特性、特
に耐熱衝撃性を改善し、高効率の溶融金属の酸素測定用
に好適な起電力特性、耐熱衝撃性に優れた固体電解質素
子を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の固体電解質素子は、マグネシア
を6〜12モル%含有し、かつ、Fe23の含有量が
0.02重量%未満であるジルコニア焼結体から構成さ
れることを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまり起電
力特性、耐熱衝撃性に優れた固体電解質素子について、
鋭意検討し、固体電解質素子を構成するジルコニア焼結
体に含まれるマグネシアを特定量とし、かつ、Fe23
の含有量の上限を特定な値に制御してみたところ、かか
る課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0007】本発明に使用されるジルコニア焼結体とし
ては、マグネシアを6〜12モル%含有するジルコニア
焼結体であることが重要である。
【0008】固体電解質として作用する結晶構造は立方
晶であるが、ある程度単斜晶で存在させ、高温の溶融金
属に入れた時に立方晶に変態させるように材料設計した
ものである。これは単斜晶から立方晶に変態するときに
発生する体積収縮で、高温の溶融金属に入れたときに発
生する熱膨張を緩和させ、耐熱衝撃性を向上させるため
である。
【0009】純粋なジルコニアは室温では単斜晶であ
り、立方晶に変態させるには2370℃の温度が必要で
ある。しかし溶融金属の温度は通常1200℃〜170
0℃程度で扱われており、かかる温度で立方晶とするた
めにはイットリアやマグネシア、カルシアなどを固溶さ
せ、立方晶安定化ジルコニアとする必要がある。中でも
マグネシア系の安定化ジルコニアが耐熱素材として最も
優れている。
【0010】そこで、マグネシアにて安定化した組織を
有する必要があり、マグネシアが6〜12モル%にて安
定化をはかる。かかるマグネシアが6モル%未満である
と、不安定状態となり、起電力特性に不具合が発生し、
マグネシアが12モル%を超えると、マグネシア層が析
出してしまい、起電力が不安定になる場合がある。尚、
ここでマグネシア6〜12モル%とは、ジルコニア焼結
体100モル%中に含まれるモル数である。
【0011】本発明においては、かかるマグネシアだけ
でなく、カルシアを0.3〜1.5モル%添加しても良
い。かかるカルシアを含有させると、単斜晶ジルコニア
の析出速度を遅くすることができ、その析出量の制御が
容易になるので好ましい。
【0012】また、さらにシリカを0.4〜2モル%含
有しても良い。かかるシリカは、マグネシアと反応して
珪酸化合物(珪酸マグネシウム)を生成する。かかる珪
酸化合物は燒結体の立方晶ジルコニア結晶粒界にガラス
相として存在し、粒界に存在する単斜晶ジルコニアを包
含し、単斜晶ジルコニア、立方晶ジルコニアとの粒界に
マイクロクラックを有する構造となる。このマイクロク
ラックがジルコニア結晶の熱膨張を吸収することによ
り、さらに耐熱衝撃性を向上させる効果がある。また、
この珪酸化合物とマトリックスとの熱膨張係数の違いに
よっても、耐熱衝撃性を向上させることができる。0.
4モル未満では、十分な効果が得られず、また2モルを
超えると、クラックや気孔が多すぎて、焼結体の機械的
強度や気密性が低下してしまい、また、粒界に安定化剤
であるところのマグネシア、カルシアの複合珪酸塩が多
くなりすぎて、ジルコニアの安定化を阻害する。そのた
め添加するのであれば、0.4〜2モル%の範囲が望ま
しい。また、シリカを添加する場合は、アエロジルのよ
うな微粒子を用いるのが望ましい。
【0013】また、さらにアルミナを0.5〜2モル%
含有させても良い。これにより異常粒成長を抑え、結晶
粒子径が抑制されて、平均結晶粒子径をある程度制御す
ることができる。アルミナが2モル%を超えると、粒界
にアルミナと安定化剤のマグネシア、カルシアとの化合
物ができて、ジルコニアの安定化が阻害される。
【0014】本発明の固体電解質素子を構成するジルコ
ニア焼結体は、Fe23の含有量が0.02重量%未
満、好ましくはFe23量が0.01重量%未満である
ことが重要である。ここでFe23の含有量はジルコニ
ア焼結体全100重量%中に含まれるFe元素をFe2
3換算した場合の含有量である。ジルコニア焼結体に
含まれるFe量は、例えば後述するように、ICP発光
分光分析法で求めることができる。モル比で表した場合
は、ジルコニア焼結体100モル%に対して、通常0.
015モル%未満に相当する。
【0015】本発明者らは、原料に由来してジルコニア
焼結体中に含まれるFe23の量をコントロールするこ
とにより、耐熱衝撃性が飛躍的に向上することを見いだ
したものである。
【0016】かかるFe23は、ジルコニアに固溶し、
安定化剤として作用するため、マグネシアやカルシア等
を適切な量に調整しても、Fe23が存在すると、安定
化の状態にズレが生じる。すなわちFe23が0.02
重量%以上になると安定化がすすみ、単斜晶の割合が減
少し、高温の溶融金属に入れたときに発生する熱膨張を
十分緩和することができなくなり、クラックの原因にな
る。Fe23の含有量は少ないほど好ましく、全く含ま
れていないことが好ましいが、0.001〜0.02重
量%であれば、本発明の固体電解質素子を構成するジル
コニア焼結体として用いることができる。
【0017】本発明の固体電解質素子を構成するジルコ
ニア焼結体は、立方晶および単斜晶が共存している構造
であり、室温におけるM化率が60〜80モル%である
ことが好ましい。より好ましくは65〜75モル%であ
る。ここで、M化率とはジルコニア焼結体中の単斜晶の
割合のことをいう。M化率が60モル%を下回ると、高
温の溶融金属に入れたときに発生する熱膨張を十分緩和
することができなくなり、クラックが発生することがあ
り、また、80%を超えると、高温の溶融金属に入れた
ときに単斜晶から立方晶への変態に時間がかかり、起電
力特性、特に応答速度が遅くなる場合がある。
【0018】本構造を得るためには1700〜1800
℃にて燒結した後、100〜500℃/hの冷却速度で
1300〜1400℃まで冷却し、その温度で1〜4時
間保持した後、50〜400℃/hの冷却速度で800
〜1000℃まで冷却し、1〜4時間保持した後室温ま
で冷却する。
【0019】本発明の固体電解質素子をセンサーとして
使用する場合は、一端閉塞管(以下タンマン管という)
の形状を有することが好ましい。これは内部に酸素濃度
を一定にする金属クロムと酸化クロム混合粉末や金属モ
リブデンと酸化モリブデン混合粉末等の標準物質を入れ
るのに都合がよいためである。
【0020】封じ側の厚さは特に限定されるものではな
いが、0.4〜1.0mm程度が好まれる。一般的に厚
さを薄くすれば応答性は向上するが、起電力値の低下、
強度の低下による破損や溶融金属に浸食する可能性が大
きくなる。タンマン管形状において、封じ側の厚さが
0.4mm未満であると、酸素濃度を測定している間に
溶融金属が浸入したり、破損したりする可能性がある。
1.0mmを超えると、破損等の心配は無くなるが、応答
性が遅くなる可能性がある。
【0021】本発明の固体電解質素子としては、ヘリウ
ムリーク量が、好ましくは10〜300Ncc/cm2
・hr・atm、より好ましくは10〜200Ncc/cm2
・hr・atmであるのがよい。ヘリウムリーク量とは、気
密性の指標であり、素子の組織の緻密さを判断すること
ができる。ヘリウムリーク量が10Ncc/cm2・hr
・atm未満になると、耐熱衝撃が劣る可能性があり、ヘ
リウムリーク量が300Ncc/cm2・hr・atmを超え
ると、起電力特性が劣る可能性がある。
【0022】本発明の固体電解質素子を構成するジルコ
ニア焼結体の平均結晶粒子径が、好ましくは10〜10
0μm、より好ましくは20〜80μmであることがよ
い。平均結晶粒子径は例えば電子顕微鏡を用いて撮影し
た焼結体表面の二次電子像の写真から求めることができ
る。平均結晶粒子径が10μm未満では起電力特性が劣
り、100μmを超えると固体電解質が緻密になりすぎ
て耐熱衝撃性が劣る。
【0023】本発明の固体電解質素子の焼結体内部の空
孔数が1000〜3000個/mm 2であることがよ
い。本発明でいう焼結体内部の空孔とは、焼結体を切
断、研磨しその面を電子顕微鏡観察し、撮影した写真か
ら空孔数を数えて求めることができる。
【0024】焼結体内部に空孔を持つことにより、耐熱
衝撃性が得られる。該空孔数が1000mm2未満では
その効果が小さい場合があり、3000個/mm2を超
えると起電力値が低くなったりばらつきが大きくなる場
合がある。
【0025】本発明の固体電解質素子の製造方法につい
て説明する。ジルコニア焼結体の原料は、ジルコニウム
化合物であれば、特に限定されず、塩化物、酸化物、炭
酸塩等のいずれでもよい。具体例としては塩化物として
オキシ塩化ジルコニウム、酸化物としては酸化ジルコニ
ウム、炭酸塩としては炭酸ジルコニウムが挙げられる。
【0026】ジルコニア焼結体を製造するための原料粉
末の組成はマグネシアを6〜12モル%となるように調
整する。必要に応じてカルシア0.3〜1.5モル%、
シリカを0.4〜2モル%、アルミナを0.5〜2モル
%添加してもよい。これら原料はできる限りFe23
の少ないものを選定する。
【0027】原料粉末の合成は、加水分解法、共沈法、
熱分解法、または酸化物混合法のいずれでもよい。中で
も酸化物混合法は、他の方法と異なり、強酸原料を扱う
ことによる装置の腐食による鉄分の混入がなく、Fe2
3量をコントロールする上で好ましい。
【0028】合成した粉末は粉砕し、スラリー化する。
粉砕にはボールミル、媒体攪拌ミルなどを用いるが特に
限定しない。Fe23量をコントロールする上ではスラ
リーと接触する部分をすべてウレタンゴム等でライニン
グした装置もしくはセラミックス製の装置を用いること
が好ましい。
【0029】本発明の固体電解質素子はその成形方法は
特に限定されないが、プレス成形や射出成形により好ま
しく得ることができる。
【0030】プレス成形を行う場合は、スラリーにバイ
ンダを添加して造粒粉末を作製することが好ましい。こ
こでバインダとしては、特に限定されないが、ポリビニ
ルアルコールやアクリル系のバインダを用いることがで
きる。粉砕、輸送ライン、造粒等で鉄の混入が無いよう
に金属部のゴム、ウレタン等のライニングを施した装置
を使用することが好ましい。スラリーの状態で脱鉄を十
分行い、さらに造粒粉末も脱鉄を十分行うことが好まし
い。ここで、脱鉄とは強力な磁石により鉄分を除去する
方法であり、磁石の配管内をスラリーを通過させる方
法、磁石を網目状に組み、スラリーを通過させる方法、
スラリーを貯めるタンク内の攪拌翼に磁石を取り付ける
方法、造粒粉末を、振動させながら編み目状になった磁
石の篩いを通す方法等があり、これらの方法のどれか、
またはすべて、または他の方法を用いても良い。
【0031】その造粒粉末をプレス成形し、成形体をつ
くり、その後寸法形状を整え加工体を作製することがで
きる。焼結は例えば加工体をセッターに立ててセット
し、それを匣鉢内に入れフタをして焼結するなどの方法
によることができる。セッターは共材を用い、焼結の際
に鉄分が付かないようにすることが好ましい。
【0032】焼結条件は1700〜1800℃の最高温
度で一定時間保持した後、1400℃程度まで急速に冷
却し、一定時間保持し、その後室温まで冷却することが
好ましい。
【0033】射出成形を行う場合は、スラリーをそのま
ま用いても良いし、スラリーを造粒粉末としてから用い
ても良い。製造効率の面からはスラリーを造粒粉末とし
てから加工成形することが好ましい。スラリーおよび造
粒粉末は十分に脱鉄、乾燥を行う。乾燥したスラリー或
いは造粒粉末と射出用バインダを加圧ニーダーに入れ混
練してコンパウンドを作製し、ペレタイザーという装置
でペレットにするのが望ましい。ここで射出用バインダ
とは特に限定されないが、ポリマー系のバインダやパラ
フィンワックスを含むワックス系のバインダなど各種の
ものを用いることができる。ポリマー系のバインダとし
ては例えばアクリル系などを用いることができる。射出
成形機で成形体を作製し、脱脂し、焼結する。焼結条件
は1700〜1800℃の最高温度で一定時間保持した
後、1400℃程度まで急速に冷却し、一定時間保持
し、その後室温まで冷却することが好ましい。
【0034】このようにして作製した焼結体は、Fe2
3量が0.02重量%未満であり、起電力特性、耐熱
衝撃性に優れた固体電解質素子が得られる。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明する。
【0036】実施例の物性の測定、評価は以下のように
行った。 (1)原料粉末中のFe23の量 原料粉末約0.1gを白金るつぼに採取し、硫酸水素カ
リウムで融解し、希硝酸に溶かし定溶液とした。得られ
た定溶液中のFe元素をICP発光分光分析法で定量し
た。得られた定量値をFe23量に換算した。 (2)固体電解質素子中のマグネシアの量及びFe23
の量 試料約0.05gを白金るつぼに秤量し、硫酸水素カリ
ウムで融解した。これを希硝酸で溶解して定溶し、IC
P発光分光分析法で各元素を定量した。これらの定量値
を酸化物換算した。 (3)M化率 焼結体をX線回折し、その回折強度(回折ピークの面
積)から次式によって算出した。ただし、回折強度はロ
ーレンツ因子による補正後の値を使用した。
【0037】
【数1】
【0038】(4)ヘリウムリーク量 ヘリウムリーク量を焼結体の気密性の指標とした。
【0039】水を使用した超音波洗浄によって焼結体を
よく洗浄した後、250℃で乾燥した。次に、焼結体の
外側を760mmHgに調節したヘリウムガス雰囲気に保持
し、内部を真空ポンプで引いた。減圧度が変化しなくな
ったら焼結体を減圧系から切り離して開放端を封止し、
減圧度1torrから5torrまで変化する時間を読みとっ
た。ヘリウムリーク量Lは次式で求めた。
【0040】L=(5/760−1/760)×V×3
600/(T×A) V:焼結体内部の内容積 (ml) T:減圧度1torrから5torrまで変化する時間(秒) A:ヘリウムガスに接している焼結体の表面積と減圧雰
囲気に接している焼結体表面との単純平均面積。(cm
2) (5)平均結晶粒子径 走査型電子顕微鏡を用いて焼結体表面の二次電子像の写
真を撮影し、画像処理装置を用いて結晶粒子径を測定し
た。
【0041】電子顕微鏡で焼結体表面の任意の点10カ
所を倍率200倍で写真を撮った。それぞれの写真から
求めた平均円相当径を平均して平均結晶粒子径とした。
【0042】本実施例では、日本アイオニクス社製TV
イメージプロセッサTVIP−4100IIを用いて、撮
影した写真の結晶粒子の平均円相当径を求めた。 (6)焼結体内部の空孔数 焼結体をダイヤモンドカッターを用いて長手方向に切断
した。切断面を回転研磨機を用いて研磨した。まず、粗
研磨で面を出し、つぎに3μmのダイヤモンド砥粒で1
5分間研磨した。次にバフで15分研磨し、鏡面に仕上
げた。
【0043】鏡面研磨した焼結体を走査型電子顕微鏡を
用いて観察し、任意の点10カ所を倍率200倍で写真
を撮った。写真10枚について目視により空孔数を数え
た。単位を1mm2当たりに換算した値を焼結体内部の
空孔数とした。 (7)耐熱衝撃性 1700℃の溶鋼に浸漬し、15秒間保持し、引き上げ
た。引き上げた後、常温まで冷却した。タンマン管をカ
ラーチェック液に漬け、水洗した。カラーチェック液は
クラックがあればその部分に浸透するので、目視により
割れの検査をした。交差割れ(2本以上の割れが合わさ
っているもの)が3カ所以上あるものを×、交差割れが
2カ所までのものを△、交差割れが求められなかったも
のを○として評価した。 (8)起電力特性(起電力値と応答性) 基準極として、内部に金属クロム粉末と酸化クロム粉末
とを混合したものを装入し、Fe製の導線を入れてその
後、アルミナ粉末で固定し、さらにその上部を市販のア
ルミナセメント(住友化学工業株製)で固定した。また
対極としては、Fe線を使用した。溶鋼に浸漬して、レ
コーダーチャートに起電力の波形を記録させ、安定した
測定値が得られるまでの時間と安定したときの起電力値
を測定した。値は10本の平均をとった。この時間が1
0秒以内を○、10秒以上を×とした。起電力値は、絶
対値で評価判断するのは難しく、安定性で判断した。2
本ずつ溶鋼に浸漬してその差が10mV以内を○、10
mVを超えるものを×とした。溶鋼は、10kgの純鉄
をアルミナ系坩堝内に入れて高周波炉を用いて溶融し、
炭素を添加して脱酸素処理し、酸素レベルを調整した。
【0044】実施例1〜5 高純度のジルコニア粉末とマグネシア粉末を、表1のN
O.1〜5に示す量になるように混合し、1000℃で
2時間焼成し、原料粉末を得た。焼成に使用する匣鉢は
高純度のものを使用し、高温で数回空焼きしたものを使
用した。
【0045】次に上記原料粉末を媒体攪拌ミルで粉砕
し、脱鉄を実施し、2%ポリビニールアルコール溶液を
添加し、スプレードライヤで噴霧乾燥し、造粒粉末を得
た。得られた造粒粉末を脱鉄後、Fe23量を測定し
た。媒体攪拌ミルはウレタンライニングしたものを用
い、スプレードライヤはテフロン(登録商標)ライニン
グしたものを使用した。上記造粒粉末をラバープレス法
により、外形7mm、内径3.8mm、長さ45mmの
一端閉塞の円筒を成形した。プレス圧力は98MPaで
あった。
【0046】得られた成形体を700℃〜800℃で仮
焼し、NC旋盤で、外径5.7mm、長さ45mmに加
工し、1700℃〜1800℃で3時間焼結し、焼結体
を得た。焼結は加工体を専用セッターに1本1本立てて
セットし、それを匣鉢内に入れフタをして焼結した。セ
ッターは共材を用いた。匣鉢、フタは高純度アルミナを
用い、空焼きを行い、中に入れる被焼結物に鉄分が付か
ないことを確認したものを使用した。焼結体寸法は外径
4.5mm、内径3.0mm、長さ35mmであった。
【0047】このようにして得られた5種類の焼結体に
ついて、Fe23量、マグネシア量、M化率、Heリー
ク量、結晶粒子径、焼結体内部の空孔数、耐熱衝撃性、
起電力特性の測定を行った。結果を表1に示す。
【0048】実施例6〜8 実施例1、2、3と同様の粉末原料についてそれぞれ媒
体攪拌ミルで粉砕し、脱鉄を実施し、スプレードライヤ
で噴霧乾燥し、造粒粉末を得た。得られた造粒粉末を脱
鉄後、Fe23量を測定した。媒体攪拌ミルはウレタン
ライニングしたものを用い、スプレードライヤはテフロ
ン(登録商標)ライニングしたものを使用した。造粒粉
末をさらに90℃で1週間乾燥した。
【0049】ニーダーに乾燥した造粒粉末、バインダを
入れ、混練し、射出成形用コンパウンドを作製した。バ
インダの部数は20部とした。
【0050】実施例6〜8においてはWAX系のバイン
ダを用いた。
【0051】得られた射出成形用コンパウンドを用い射
出成形法により成形体を得た。成形体を500℃で脱脂
した後、1700℃〜1800℃で3時間焼結し、焼結
体を得た。焼結体寸法は外径3.6mm、内径2.2m
m、長さ32mmであった。
【0052】このようにして得られた3種類の焼結体に
ついて、実施例1と同様に測定を行った。結果を表2に
示す。
【0053】比較例9〜15 ジルコニア粉末とマグネシア粉末を、表3のNO.9〜
15に示す量になるように混合し、1000℃で2時間
焼成し、原料粉末を得た。混合の際、酸化鉄粉末を微量
添加した。次に上記原料粉末を媒体攪拌ミルで粉砕し、
2%ポリビニールアルコール溶液を添加し、スプレード
ライヤで噴霧乾燥し、造粒粉末を得た。得られた造粒粉
末のFe23量を測定した。
【0054】上記造粒粉末をラバープレス法により、外
形7mm、内径3.8mm、長さ45mmの一端閉塞の
円筒を成形した。プレス圧力は98MPaであった。
【0055】得られた成形体を700℃〜800℃で仮
焼し、NC旋盤で、外径5.7mm、長さ45mmに加
工し、1700℃〜1800℃で3時間焼結し、焼結体
を得た。焼結体寸法は外径4.5mm、内径3.0m
m、長さ35mmであった。
【0056】このようにして得られた7種類の焼結体に
ついて、Fe23量、マグネシア量、M化率、Heリー
ク量、結晶粒子径、焼結体内部の空孔数、耐熱衝撃性、
起電力特性の測定を行った。結果を表3に示す。
【0057】比較例16〜18 ジルコニア粉末とマグネシア粉末を、表3のNO.16
〜18に示す量になるように混合し、1000℃で2時
間焼成し、原料粉末を得た。次に上記原料粉末を媒体攪
拌ミルで粉砕し、2%ポリビニールアルコール溶液を添
加し、スプレードライヤで噴霧乾燥し、造粒粉末を得
た。得られた造粒粉末のFe23量を測定した。造粒粉
末をさらに90℃で1週間乾燥した。
【0058】ニーダーに乾燥した造粒粉末、バインダを
入れ、混練し、射出成形用コンパウンドを作製した。バ
インダの部数は20部とした。
【0059】比較例16〜18においてWAX系のバイ
ンダを用いた。
【0060】得られた射出成形用コンパウンドを用い射
出成形法により成形体を得た。
【0061】成形体を500℃で脱脂した後、1700
℃〜1800℃で3時間焼結し、焼結体を得た。焼結体
寸法は外径3.6mm、内径2.2mm、長さ32mm
であった。このようにして得られた3種類の焼結体につ
いて、実施例3と同様に測定を行った。結果を表4に示
す。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】表1、2、3、4から明らかなように、実
施例1〜8すなわちマグネシアの含有量が6〜12モル
%、Fe23量が0.02重量%未満、M化率が60〜
80%、Heリーク量が10〜300Ncc/cm2・h
r・atm 、結晶粒子径が10〜100μm、焼結体内部
の空孔数が1000〜3000個/mm2のものは、耐
熱衝撃性、起電力特性 が優れていることがわかる。こ
れに対し、比較例9〜18のFe23量が0.02重量
%以上のものは、耐熱衝撃性が劣り、また、マグネシア
の含有量が範囲外のもの、結晶粒子径が10μm未満の
ものは、起電力特性も劣っていることがわかる。
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、高効率の溶融金属等の
酸素測定用に好適な起電力特性、耐熱衝撃性に優れた固
体電解質素子を提供することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マグネシアを6〜12モル%含有し、か
    つ、Fe23の含有量が0.02重量%未満であるジル
    コニア焼結体から構成されることを特徴とする固体電解
    質素子。
  2. 【請求項2】 前記ジルコニア焼結体中の単斜晶の割合
    であるM化率が60〜80モル%であることを特徴とす
    る請求項1記載の固体電解質素子。
  3. 【請求項3】 一端閉塞管の形状を有し、かつ、ヘリウ
    ムリーク量が10〜300Ncc/cm2 ・hr・atmであること
    を特徴とする請求項1または2記載の固体電解質素子。
  4. 【請求項4】 前記ジルコニア焼結体の平均結晶粒子径
    が10〜100μmであることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載の固体電解質素子。
  5. 【請求項5】前記ジルコニア焼結体内部に空孔が単位断
    面積あたり1000〜3000個/mm2存在すること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解
    質素子。
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