JP2003034252A - 作業車両に於ける操向装置の取り付け構造 - Google Patents

作業車両に於ける操向装置の取り付け構造

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誠之 高橋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ステアリングハンドルの回転操作を電気的に
検出する作業車両に於ける操向装置の取り付け構造に於
いて、ステアリングハンドルの中立位置を明確にすると
ともに、回転操作の行き過ぎを防止し、組み付け作業を
簡素化する。 【解決手段】 ステアリングハンドル軸20は筒状のハ
ンドルポスト150に回転支持されている。ステアリン
グハンドル軸20に雄螺子部20aを設けて回転コマ1
51を螺合する。回転コマ151の一側部にアーム15
1aを固設してスリット150aから外へ突出させ、ス
テアリング切れ角センサ128のセンサアーム129に
係合させる。ステアリングハンドル軸20が回転すると
回転コマ151が上下動し、ステアリング切れ角センサ
128にてステアリングハンドル軸20の回転角が検出
される。ステアリングハンドル軸20の回転はストッパ
158にて所定角に規制され、捩りコイルスプリング1
54により中立位置に付勢される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は作業車両に於ける操
向装置の取り付け構造に関するものであり、特に、ステ
アリングハンドルの回転操作を電気的に検出する作業車
両に於ける操向装置の取り付け構造に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】トラク
タ等の作業車両には、ステアリングハンドルの回転操作
を電気的に検出し、この回転操作に応じた通電出力にて
クローラやホイール式車輪からなる走行装置の回転数を
制御するものが知られている。例えば、車体の左右にク
ローラ式走行装置を備え、エンジンの回転動力を走行装
置により調整して左右のクローラへの出力回転を変速す
るように構成した作業車両では、ステアリングハンドル
の回転操作にて走行装置の回転数を左右で差を生じさせ
ることにより、車体を左右へ操向させている。
【0003】しかし、タイロッド、ピットマンアーム、
ナックルアーム等のリンク部材、または、パワーステア
リング装置等の油圧機器からなる機械式連動機構のみに
より操向する機械式操向装置と異なり、ステアリングハ
ンドルの中立位置が判り難く、中立位置へ戻す操作が面
倒であるとともに、組み付け作業が煩雑であった。ま
た、ハンドル軸の回転に殆ど抵抗がないため、ステアリ
ングハンドルの回転操作が行き過ぎることが多い。
【0004】そこで、ステアリングハンドルの回転操作
を電気的に検出する作業車両に於ける操向装置の取り付
け構造に於いて、ステアリングハンドルの中立位置を明
確にするとともに、回転操作の行き過ぎを防止し、組み
付け作業を簡素化するために解決すべき技術的課題が生
じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は上記課題を鑑
みて作業車両に於ける操向装置の取り付け構造を以下の
ように構成した。即ち、請求項1記載の発明は、ステア
リングハンドル19の回転操作を電気的に検出し、この
回転操作に応じた通電出力にて走行装置の回転数を制御
する作業車両に於いて、前記ステアリングハンドル19
のハンドル軸20を筒状の支持体150に回転自在に支
持させ、前記支持体150近傍のハンドル軸20には、
ハンドル軸20の回転操作に連動して作動する回転操作
検出部151と、ハンドル軸20を中立位置に付勢する
付勢手段154と、ハンドル軸20の操作角を所定角に
て規制するストッパ158とを備え、一方、前記支持体
150には、前記回転操作検出部151の作動位置を検
出するセンサ128を設け、之等ハンドル軸20と支持
体150とでステアリングユニット22を構成し、この
ステアリングユニット22を作業車両側に立設したステ
アリングハンドルコラム21に取り付けたことを特徴と
する作業車両に於ける操向装置の取り付け構造とした。
【0006】また、請求項2記載の発明は、上記ハンド
ル軸20の周囲には、上記支持体150との回転を制動
すべくブレーキ材156を備えた請求項1記載の作業車
両に於ける操向装置の取り付け構造とした。また、請求
項3記載の発明は、上記ステアリングユニット22は、
上記ステアリングハンドルコラム21に対して、車両の
走行装置を、リンク部材または油圧機器からなる機械式
連動機構のみにより操向する機械式操向装置162と付
け替えて組み付け可能に構成された請求項1または2記
載の作業車両に於ける操向装置の取り付け構造とした。
【0007】
【発明の効果】以上のように構成した請求項1記載の発
明は、ハンドル軸とこのハンドル軸を回転自在に支持す
る支持体とでステアリングユニットを構成したので、組
み付け作業が簡素化されるとともに、センサの故障や調
整などに対してメンテナンスが容易である。
【0008】請求項2記載の発明は、上記ハンドル軸の
周囲には支持体との回転を制動するブレーキ材を備えた
ので、ステアリングハンドルの回転操作に抵抗力が生じ
て、回転操作の行き過ぎを防止できる。請求項3記載の
発明は、上記ステアリングユニットは機械式操向装置と
付け替えて組み付け可能に構成されているので、操向装
置以外の部材部品を共用して生産コスト或いは改良コス
トを抑止することができ、且つ、組み換えが比較的簡単
に行える。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図
面に従って詳述する。図2及び図3は作業車両の一例と
してクローラ型のトラクタ10を示し、リヤアクスル1
1に駆動スプロケット12を取り付け、この駆動スプロ
ケット12を回転支持するトラックフレーム13に従動
スプロケット14と転輪15を枢着し、これら駆動スプ
ロケット12と従動スプロケット14,転輪15間にク
ローラ16を卷装し、トラックフレーム13の前端部を
車体フレーム17に固着してクローラ式走行装置Cを構
成している。符号23はミッションケースであり、前記
クローラ式走行装置Cはこのミッションケース23の左
右側方に支持され、且つ、ミッションケース23よりも
後方に突出しており、該クローラ式走行装置Cのクロー
ラ16は車体の後端部よりも後方に位置している。後述
するように、エンジン46の回転動力はミッションケー
ス23に入力され、該ミッションケース23内の変速装
置にて変速された後にリヤアクスル11に伝達され、駆
動スプロケット12が回転してクローラ16が駆動され
る。尚、エンジン46は前記クローラ16の前端部より
も前方に位置し、対地作業機26はクローラ16の後端
部よりも後方に位置しているので、車体の前後バランス
が良好になっている。
【0010】運転席18の近傍には、対地作業機26の
昇降位置を設定するポジションレバー40、対地作業機
26の耕深量を設定する耕深調整ダイヤル41、対地作
業機26の左右方向の傾きを設定する水平調整ダイヤル
42等が設けられ、運転席18の下部には車体の左右方
向のローリング角を検出するスロープセンサ43を設置
してある。更に、運転席18の前方に操向操作部である
回転操作式のステアリングハンドル19を設けてあり、
ステアリングハンドル軸20はステアリングハンドルコ
ラム21内に挿入され、その基端部にはステアリングユ
ニット22が装着されている。該ステアリングユニット
22には、後述するように、ステアリングハンドル19
の操向操作量を検出するためにステアリング切れ角セン
サ128を設けてある。また、ステアリングハンドルコ
ラム21の右側部にブレーキペダル44を設けるととも
に、ステアリングハンドルコラム21の左側部にクラッ
チペダル45を設ける。尚、運転席18の下方には制御
部であるコントローラ100が設けられている。
【0011】また、車体の後部にはリンク機構25を介
してロータリ等の対地作業機26が連結されており、こ
のリンク機構25はトップリンク27と左右のロワリン
ク28,28とからなり、左右のリフトアーム29,2
9の先端とロワリンク28,28をリフトロッド30,
30にて連結し、リフトシリンダ32の駆動にてリフト
アーム29を回動することにより、リフトロッド30,
30を介してロワリンク28,28が上下動する。斯く
して、ロワリンク28,28の先端部を回動中心に前記
対地作業機26が昇降する。尚、ロワリンク28の先端
部の位置即ち対地作業機26の回動支点位置をAとすれ
ば、クローラ16の後端部の位置Bはそれよりも後方に
ある。
【0012】リフトアーム29の回動基部には、対地作
業機26の昇降位置を検出するセンサとしてリフトアー
ム角センサ33が設けられ、このリフトアーム角センサ
33にてリフトアーム29の回動角を検出し、対地作業
機26の昇降高さを演算する。また、対地作業機26の
メインカバー34の後端部にリヤカバー35を回動自在
に取り付け、リヤカバーセンサ36によりリヤカバー3
5の回動角度を検出して、対地作業機26の耕深制御を
行えるように形成されている。
【0013】一方、車体に対する対地作業機26の左右
方向の傾きを変更するアクチュエータとして、左右どち
らかのリフトロッド30の途中にローリングシリンダ3
7を設け、該ローリングシリンダ37を伸縮させてロワ
リンク28のリフト量を左右で変えることにより、対地
作業機26のローリング角を変更可能に形成してある。
そして、前記ローリングシリンダ37に隣接してストロ
ークセンサ38を設け、該ストロークセンサ38により
ローリングシリンダ37の伸縮長さを検出して車体に対
する対地作業機26のローリング角を計測するととも
に、前記水平調整ダイヤル42の設定値に応じてローリ
ングシリンダ37を伸縮駆動し、対地作業機26のロー
リング制御を行えるようにしてある。
【0014】図4乃至図7にて動力伝達系の構成を説明
する。前記ミッションケース23はフロントミッション
ケース23aと、ミッドミッションケース23bと、リ
ヤミッションケース23cとからなり、フロントミッシ
ョンケース23aの前面には、その上部に動力入力軸4
8を突設してあり、車体フレーム17に囲繞されたエン
ジン回転出力軸49と動力入力軸48とが同軸に接続さ
れている。
【0015】エンジン46の回転動力は前記エンジン回
転出力軸49及び動力入力軸48からフロントミッショ
ンケース23a内に入力され、先ず減速ギヤ50により
ケース下部に伝達された後、後方の主クラッチ51へ伝
達されるとともに、フロントミッションケース23aの
前部に設けた油圧ポンプ52へ伝達される。また前記主
クラッチ51にて入切操作される動力は、ミッドミッシ
ョンケース23b内の主変速装置53及び副変速装置5
4にて適宜減速され、副変速出力軸となるピニオン軸5
5を介してリヤミッションケース23c内に伝達され
る。このリヤミッションケース23cには、左右側壁間
に支持軸68を設け、この支持軸68の中央よりやや偏
倚した位置に前記ピニオン軸55と噛み合うベベルギヤ
69をスプライン嵌合してある。
【0016】前記主変速装置53は、主変速駆動軸56
と主変速被駆動軸57間に1速から3速の前進速及び1
段の後進速を有するギヤ組58を設け、前記主変速被駆
動軸57内に設けたスライドキー59を前後に操作する
ことにより、何れか一つのギヤ組58を介して動力を伝
達する所謂キーシフト式変速機構となっている。
【0017】また、前記副変速装置54は、前記主変速
駆動軸56の延長上に副変速駆動軸60を枢着し、該副
変速駆動軸60に「高速」「低速」用の2段ギヤ61,
62を固設する一方、前記主変速被駆動軸57の延長上
に副変速被駆動軸即ち前記ピニオン軸55を設ける。そ
して、該ピニオン軸55にスライド式2段ギヤ63を設
け、このスライド式2段ギヤ63をスライドして前記2
段ギヤ61,62の何れかに噛合させる、所謂コンスタ
ントメッシュ式ギヤによる変速装置となっている。尚、
符号64はPTO伝達軸であり、リヤミッションケース
23cに設けたPTO変速装置65を経て、リヤミッシ
ョンケース23cの後部に突設されたリヤPTO軸66
へ動力を伝達する。
【0018】符号47はリヤミッションケース23cの
左右側方に設けたリヤアクスルケース47であり、該リ
ヤアクスルケース47は略筒状の鋳物ケースであって、
該リヤアクスルケース47にてクローラ式走行装置Cを
支持している。前述したように、前記リヤミッションケ
ース23cには、左右側壁間に支持軸68を枢着し、こ
の支持軸68の中央よりやや左に偏倚した位置に前記ピ
ニオン軸55と噛み合うベベルギヤ69をスプライン嵌
合し、該ベベルギヤ69と左右略対向位置にブレーキデ
ィスク70を設けてある。
【0019】そして、前記ブレーキペダル44と該ブレ
ーキディスク70とをリンク機構(図示せず)により接
続し、ブレーキペダル44の踏み込み操作により該ブレ
ーキディスク70を圧着することによって、支持軸68
の回転即ち左右クローラ16,16の回転を制動するよ
うに構成されている。また、前記支持軸68の左右両端
部には減速ギヤ組71を設け、この減速ギヤ組71を介
して前記ベベルギヤ69の回転をリヤアクスルケース4
7内の入力軸72に伝達する。
【0020】前記リヤアクスルケース47の内部には、
クローラ式走行装置Cへの出力回転数と回転方向を変速
する伝動機構として正逆転切り換え装置73を配置して
あり、この正逆転切り換え装置73は、前記入力軸72
と、この入力軸72の一端部側に入力軸72と同軸に枢
着された出力軸74と、入力軸72と出力軸73の間に
介装された2段遊星ギヤ機構75と、この2段遊星ギヤ
機構75のキャリア76に設けられた湿式多板型の正転
用クラッチ77(車体外側)及び逆転用クラッチ78
(車体内側)とから構成されている。尚、前記キャリア
76は、対峙する2面間に2段遊星ギヤ機構75を構成
している第1のキャリア76aと、正転用クラッチ77
及び逆転用クラッチ78が設けられている第2のキャリ
ア76bとがボルト締めにて一体に形成されている。
【0021】前記2段遊星ギヤ機構75の構成は、前記
入力軸72の一端部に入力側サンギヤ79を固設すると
ともに、前記出力軸74の一端部に出力側サンギヤ80
を固設してある。また、この入力軸72及び出力軸74
の軸回りに前記第1のキャリア76aを遊転自在に取り
付けるとともに、該第1のキャリア76aには入力軸7
2を中心とする同一円周上に複数本の第1キャリアピン
81,81…を設ける。本実施の形態では、同一円周上
に等間隔で3本の第1キャリアピン81,81,81を
設けてある。
【0022】そして、夫々の第1キャリアピン81に入
力側プラネタリギヤ82並びに出力側プラネタリギヤ8
3を同軸且つ一体に枢着する。更に、前記キャリア76
には第1キャリアピン81と同数の第2キャリアピン8
4を同一円周上に等間隔で設け、夫々の第2キャリアピ
ン84にカウンタギヤ85を枢着し、該カウンタギヤ8
5を前記出力側プラネタリギヤ83と出力側サンギヤ8
0の双方に噛合させてある。即ち、第1のキャリア76
aの対峙する2面間に第1及び第2のキャリアピン8
1,84を設けて、2段6軸の遊星ギヤ機構の構成とし
ている。
【0023】尚、第1のキャリア76aの外側面にはキ
ャリアピン固定プレート86をボルト締めしてあり、こ
のキャリアピン固定プレート86を第1のキャリア76
aの外形よりも大にして外縁部よりも外側へ張り出させ
るとともに、キャリアピン固定プレート86の先端を折
り曲げて切り欠き部86aを設け、回転センサ(図示せ
ず)にて読み取るようにしてある。従って、第1のキャ
リア76aの固定と回転の状態が、ダミーギヤ等を用い
ずして、簡単に検出することができる。また、キャリア
ピン固定プレート86の先端を折り曲げてあるので、周
囲の油が攪拌されて冷却性能を向上させことができる。
【0024】一方、前記正転用クラッチ77と逆転用ク
ラッチ78は第2のキャリア76bの隔壁76cを挟ん
で夫々が反対側に設けられ、正転用クラッチ77の駆動
ディスク77aは入力側サンギヤ79即ち入力軸72と
一体に係合し、正転用クラッチ77の被駆動ディスク7
7bは第2のキャリア76bと一体に係合している。ま
た、前記駆動ディスク77aと被駆動ディスク77bを
交互に重ね合わせてその隔壁76c側に押圧板90を設
け、この押圧板90と前記隔壁72cとの間にスプリン
グ91を介装し、該スプリング91により押圧板90を
車体外側へ押して駆動ディスク77aと被駆動ディスク
77bを圧着するように付勢されている。
【0025】これに対して、逆転用クラッチ78の駆動
ディスク78aはリヤアクスルケース47と一体に係合
し、逆転用クラッチ78の被駆動ディスク78bは第2
のキャリア76bと一体に係合している。また、前記駆
動ディスク78aと被駆動ディスク78bを交互に重ね
合わせてその隔壁72c側に押圧板92を設け、この押
圧板92と前記隔壁72cとの間に油圧ピストン93を
介装し、更に、前記正転用クラッチ77の押圧板90と
逆転用クラッチ78の押圧板92とを連結棒94にて連
結し、前記双方の押圧板90,92が一体に移動するよ
うに構成する。従って、油室95に圧力油が供給される
と油圧ピストン93が押圧板92を車体内側へ押し、駆
動ディスク78aと被駆動ディスク78bを圧着するよ
うに形成されている。
【0026】そして、前記出力軸74の他端部はリヤア
クスルケース47の外側開放部を遮蔽する蓋体96と一
体的に組み付ける構成となっており、この蓋体96は前
記リヤアクスルケース47と同様の鋳造製であって、前
記リヤアクスルケース47との接続用ボルト孔97,9
7…を有する外蓋部96aと、この外蓋部96aの内面
にボルトにより取り付けて内面を覆う内蓋部96bと、
前記外蓋部96aと内蓋部96b間に介在させるリング
ギヤ98等から構成されている。また、前記外蓋部96
aと内蓋部96bとの間にパック状の空間部99を形成
し、この空間部99内には、出力軸74と同軸にリヤア
クスル11の一端部を枢着するとともに、前記出力軸7
4の回転を減速させてリヤアクスル11へ伝達する遊星
ギヤ機構101を内装してある。
【0027】この遊星ギヤ機構101は、前記出力軸7
4の他端部に固設されたサンギヤ102と、リヤアクス
ル11の一端部に固設されたキャリア103と、該キャ
リア103に設けたキャリアピン104と、このキャリ
アピン104に枢着され且つ前記サンギヤ102並びに
リングギヤ99の双方に噛合するプラネタリギヤ105
とから構成されている。また、この遊星ギヤ機構101
は、ホイール仕様とクローラ仕様とを相互に変更する場
合や、ホイール仕様の車輪径を変更する場合等、トラク
タ10の仕様変更に応じて任意に減速比を変更できるよ
うな機構であってもよい。尚、106は回転数検出用ギ
ヤであり、この回転数検出用ギヤ106に対して非接触
型の回転センサ107を近接配置し、左右のクローラ1
6,16への出力回転数を検出できるように構成されて
いる。
【0028】次に、前記正逆転切り換え装置73の動作
について説明する。通常は前記スプリング91が押圧板
90を介して正転用クラッチ77の各ディスク77a,
77bを圧着しており、この状態では、正転用クラッチ
77の駆動側ディスク77aと係合する入力側サンギヤ
79と、被駆動ディスク77bと係合するキャリア76
とが一体回転するので、前記入力軸72の回転が入力側
サンギヤ79から出力側サンギヤ80へ1対1の回転比
で伝達され、入力軸72と出力軸74とが同一方向へ同
一回転数にて回転する。
【0029】一方、前記逆転用クラッチ78の油室95
へ圧力油を送り込むと、油圧ピストン93が押圧板92
を押圧して、逆転用クラッチ78の各ディスク78a,
78bを圧着する。この状態では、逆転用クラッチ78
の駆動側ディスク78aと係合するリヤアクスルケース
47と、被駆動ディスク78bと係合するキャリア76
とが一体となるので、該キャリア76は回転しない。従
って、前記入力軸72の回転は入力側サンギヤ79から
入力側プラネタリギヤ82へ減速されて伝わり、更に、
出力側プラネタリギヤ83からカウンタギヤ85を介し
て出力側サンギヤ80へ減速且つ逆回転で伝達され、入
力軸72と出力軸74とが逆方向へ回転し、その回転数
は2段遊星ギヤ機構75の各ギヤ比に応じて所定回転数
に減速される。
【0030】ここで、前記正転用クラッチ77が入り状
態で、入力軸72と出力軸74とが同一方向へ同一回転
数にて回転している場合に、前記油圧ピストン93によ
って逆転用クラッチ78の押圧板92が押されたときに
は、該押圧板92と前記正転用クラッチ77の押圧板9
0とが連結棒94にて連結されているため、双方の押圧
板90,92が一体に車体内側方向へ移動する。従っ
て、逆転用クラッチ78の各ディスク78a,78bが
圧着されるのに伴い、正転用クラッチ77の各ディスク
77a,77bはスプリング91の付勢に抗して徐々に
圧着が解除されていく。即ち、前記油室95へ供給する
油圧の上昇に応じて、前記正転用クラッチ77に滑りが
生じるとともに逆転用クラッチ78が半クラッチ状態で
接続され、出力軸74の回転数が低下する。
【0031】而して、片側のリヤアクスル11の回転数
が低下し、クローラ16の駆動速度が減速される。前記
油室95へ圧力油を送り続けて、油圧ピストン93の移
動量を図中車体内側に増加すると、前記正転用クラッチ
77の駆動用ディスク77aと被駆動用ディスク77b
の圧着が完全に解除されて前記出力側サンギヤ80の回
転はゼロとなり、片側のクローラ16の回転が停止して
正逆転切り換え装置73が正転状態から切り状態とな
る。この切り状態を経て、更に前記油室95へ圧力油を
送り続ければ、逆転用クラッチ78の駆動側ディスク7
8aと被駆動側ディスク78bが徐々に圧着されて出力
側サンギヤ80が逆回転し、片側のクローラ16が逆方
向に駆動されて正逆転切り換え装置73が逆転状態とな
る。
【0032】図8は油圧回路図であり、ミッションケー
ス23内の油は油圧ポンプ140によって汲み上げられ
て油路L1と油路L2とに分岐し、油路L1の油は分流弁
141からリフトシリンダ32用のコントロールバルブ
142と、ローリングシリンダ37用のコントロールバ
ルブ143とに分流される。ローリングシリンダ37の
トップ側油路L3とコントロールバルブ143との間に
コネクタ144を介装するとともに、ローリングシリン
ダ37のボトム側油路L4とコントロールバルブ143
との間にコネクタ145を介装し、夫々のコネクタ14
4,145によって油路を接続または遮断できるように
形成してある。
【0033】一方、油路L2の油は減圧弁146を経て
左右の逆転用クラッチ78,78を制御する比例コント
ロールバルブ147,147に送られる。左逆転用クラ
ッチの油路L5と左比例コントロールバルブ147との
間にコネクタ148を介装するとともに、右逆転用クラ
ッチの油路L6と右比例コントロールバルブ147との
間にコネクタ149を介装し、夫々のコネクタ148,
149によって油路を接続または遮断できるように形成
してある。
【0034】図9は制御系のブロック図であり、制御部
であるコントローラ100の内部には、各種情報を演算
処理するCPUと、各種センサ値や設定値を記憶するR
AMと、制御プログラムなどを記憶するROM等を有し
ており、該コントローラ100の入力部にはポジション
レバー40、耕深調整ダイヤル41、水平調整ダイヤル
42、スピンターンスイッチ114等の設定信号と、リ
フトアーム角センサ33、スロープセンサ43、左右夫
々のクローラ回転センサ107,107、ステアリング
切れ角センサ128、エンジン回転数センサ112、車
速センサ113等の検出信号が入力される。
【0035】また、これらの入力信号に基づき、コント
ローラ100の出力部からリフトシリンダ32用コント
ロールバルブ142の上げソレノイド若しくは下げソレ
ノイド、ローリングシリンダ37用コントロールバルブ
143の伸びソレノイド若しくは縮みソレノイド、ブレ
ーキディスク70用コントロールバルブのブレーキソレ
ノイド、左右夫々の正逆転切り換え装置73用比例コン
トロールバルブ147のクラッチソレノイド、ガバナ調
整用アクチュエータ等に制御信号を出力する。
【0036】而して、ポジションレバー40の操作や耕
深調整ダイヤル41の設定により、コントローラ100
からリフトシリンダ32用コントロールバルブ142の
上げソレノイド若しくは下げソレノイドへ制御信号が出
力されると、前記リフトシリンダ32が伸縮して対地作
業機26が昇降する。また、水平調整ダイヤル42の設
定値とスロープセンサ43の検出値に基づき、コントロ
ーラ100からローリングシリンダ37用コントロール
バルブ143の伸びソレノイド若しくは縮みソレノイド
へ制御信号が出力されると、前記ローリングシリンダ3
7が伸縮して対地作業機26の左右ローリング角が変更
される。また、ステアリング切れ角センサ128の変化
に応じて、後述するように、左右の逆転用クラッチ78
用比例コントロールバルブ147のクラッチソレノイド
に制御信号を送り、左右のクローラ式走行装置Cへの出
力回転数を変速する。
【0037】図10はコントローラ100から出力する
クラッチ電流の大きさ(クラッチシリンダ圧)とクロー
ラ16の回転状態との関係を示し、例えば前進走行状態
でクラッチ電流が0Aの場合はクラッチシリンダ(油室
95)へ供給される油圧は0kg/cm2となり、前述したよ
うに、スプリング91の付勢にて正転用クラッチ77が
全圧で接続し、前記入力軸72の回転がそのまま出力軸
74に伝達されて、クローラ16が前進方向に回転駆動
される。コントローラ100から正逆転切り換え装置7
3のクラッチソレノイドに出力するクラッチ電流を徐々
に増加してクラッチシリンダ圧を昇圧させれば、クラッ
チ電流が0.2A付近で正転用クラッチ77に滑りが生
じてクローラ16の前進方向への回転数が低下する。ク
ラッチ電流が0.4A付近に増加した場合は、クラッチ
シリンダ圧が10kg/cm2程度となり、正転用クラッチ7
7及び逆転用クラッチ78の何れもが切り状態を保持す
る。このため、前記入力軸72の回転が出力軸74及び
リヤアクスル11に伝達されず、クローラ16は回転駆
動されない。
【0038】斯かる状態から、クラッチ電流を更に増加
して0.6A付近とした場合は、逆転用クラッチ78が
滑りを生じながら接続され、入力軸72の回転が逆転し
て出力軸に伝達され、半クラッチ状態でクローラ16は
後進方向に回転を始める。そして、クラッチ電流を0.
8A付近まで増加させた場合は、クラッチシリンダ圧が
20kg/cm2となって、逆転用クラッチ78が全圧で接続
する。従って、クローラ16は後進方向へ高速回転で駆
動される。
【0039】このように、コントローラ100から出力
するクラッチ電流を変化させることにより、正逆転切り
換え装置73のクラッチシリンダ圧を増減して、正転用
クラッチ77及び逆転用クラッチ78の接続状態が連続
的に変化し、前記正逆転切り換え装置73が正転から逆
転の間で連続的に駆動トルクを有しつつ、クローラ16
の回転方向及び回転速度を連続的且つ任意に調整するこ
とができる。
【0040】而して、ステアリングハンドル19の操向
操作(回転操作)をステアリング切れ角センサ128に
て検出し、この操向操作量(切れ角変化)に応じて一方
の正逆転切り換え装置73のクラッチを制御し、旋回内
側のクローラ16の回転を減速することにより、左右の
クローラ16,16に回転差を与えて車体を旋回させる
ことができる。比較的固い地盤では、旋回内側のクロー
ラ16を停止または逆転させて、車体を急旋回させるこ
ともあるが、旋回時にクローラ16の回転をロックする
と地面が荒れやすいので、通常は旋回内側の正逆転切り
換え装置73のクラッチを滑らせて、旋回内側のクロー
ラ16の回転を減速することにより、車体を緩旋回させ
ている。
【0041】例えば、前進走行状態では、クラッチ電流
が0A即ちクラッチシリンダ圧0kg/cm2であるときは左
右双方の正転用クラッチ77,77が全圧で接続し、左
右のクローラ16,16が双方ともに前進回転駆動され
る。そして、ステアリングハンドル19の旋回操作があ
ったときは、一方(旋回内側)の正逆転切り換え装置7
3のクラッチソレノイドに対するクラッチ電流を徐々に
増加して、クラッチシリンダ圧を昇圧させていき、クラ
ッチ電流が0.2A付近で正転用クラッチ77に滑りが
生じ、一方のクローラ16の前進方向への回転が低下す
るため、左右のクローラ16,16に回転差が生じて車
体が旋回する。このクラッチ滑り状態を保持することに
より、地面を荒らさずに車体を緩旋回(マイルドター
ン)させることができる。
【0042】また、一方(旋回内側)の正逆転切り換え
装置73のクラッチソレノイドに対するクラッチ電流を
0.4A付近に増加した場合は、クラッチシリンダ圧が
10kg/cm2程度となり、一方の正転用クラッチ77及び
逆転用クラッチ78の何れもが切り状態となる。このた
め、前記入力軸72の回転は一方のリヤアクスル11に
伝達されず、旋回内側のクローラ16の回転が停止して
旋回半径が小さくなり、車体を信地旋回(ロックター
ン)させることができる。
【0043】また、一方(旋回内側)の正逆転切り換え
装置73のクラッチソレノイドに対するクラッチ電流を
0.8A付近まで増加させた場合は、クラッチシリンダ
圧が20kg/cm2となって、一方の逆転用クラッチ78が
全圧で接続する。このため、前記入力軸72の回転が逆
転して出力軸74に伝達され、一方のリヤアクスル11
が逆転して、旋回内側のクローラ16が後進回転駆動さ
れる。従って、左右のクローラ16,16が相互に反対
方向へ回転して旋回半径が最小となり、車体を超信地旋
回(スピンターン)させることができる。
【0044】図1及び図11はステアリングユニット2
2を示し、前記ステアリングハンドル軸20は筒状の支
持体であるハンドルポスト150に回転支持されてい
る。このハンドルポスト150は支持部が筒状に形成さ
れており、外形は円筒形に限定されず角形はじめ他の形
状であってもよい。該ハンドルポスト150内のステア
リングハンドル軸20には、雄螺子部20aが設けられ
ており、この雄螺子部20aに螺合する雌螺子部を有し
た回転コマ151が設けられている。前記ハンドルポス
ト150の一側部にスリット150aを開穿してあり、
該回転コマ151の一側部に固設したアーム151aを
このスリット150aから外へ突出させてある。
【0045】前記ステアリングハンドル軸20が回転す
ると、雄螺子部20aに螺合する回転コマ151も回転
しようとするが、回転コマのアーム151aがハンドル
ポストのスリット150aに係止されて回転コマ151
の回転が阻止され、回転コマ151はステアリングハン
ドル軸20に沿って上下動する。該回転コマ151によ
り、ステアリングハンドル軸20の回転操作に連動して
作動する回転検出部が構成される。
【0046】前記ハンドルポスト150の一側部には、
スリット150aの外側にブラケット152が設けら
れ、前記回転検出部の作動位置を検出するセンサとし
て、このブラケット152にポテンショメータからなる
ステアリング切れ角センサ128が取り付けられてい
る。該ステアリング切れ角センサ128のセンサアーム
129には、前記回転コマのアーム151aの先端が係
合している。従って、回転コマ151の上下動即ちステ
アリングハンドル軸20の回転角度が、ステアリング切
れ角センサ128によって検出される。
【0047】また、ハンドルポスト150の下方に突出
した前記ステアリングハンドル軸20の下部には、半割
形状の回転筒体153がステアリングハンドル軸20と
一体回転可能に設けられ、この回転筒体153内にステ
アリングハンドル軸20を中立位置に付勢する付勢手段
として捩りコイルスプリング154を収納してある。更
に、ステアリングハンドル軸20には、捩りコイルスプ
リング154の下方部に回転プレート155を固設し、
ステアリングハンドル軸20が中立位置にあるとき、回
転プレート155の突片155aが正面中央部に位置す
るように形成してある。之等ステアリングハンドル軸2
0とハンドルポスト150等が一体的にサブ組立されて
ステアリングユニット22が構成されているので、組み
付け作業を容易に行うことができる。
【0048】ここで、前記ステアリングハンドル軸20
の周囲には、前記ハンドルポスト150との回転を制動
すべくブレーキ材を備えている。例えば、ステアリング
ハンドル軸20の上端部近傍にライニング156を介装
し、その上部にスプリング157を取り付けてライニン
グ156に圧接させる。従って、該スプリング157の
押圧力にてライニング156が前記ハンドルポスト15
0の上端部に圧接し、ステアリングハンドル軸20とハ
ンドルポスト150との回転に制動がかかって、ステア
リングハンドル19の回転操作に行き過ぎが生じるのを
防止できる。尚、ライニング156の取り付け位置はス
テアリングハンドル軸20の上端部ではなく、下端部で
あってもよい。図示は省略するが、前記回転プレート1
55の下部にライニングを介装してもよい。
【0049】而して、前記ステアリングハンドル19を
回転すれば、これと一体にステアリングハンドル軸20
が回転し、前述したように、回転コマ151の上下動を
ステアリング切れ角センサ128が検出する。この検出
信号はコントローラ100へ送られ、該コントローラ1
00にてステアリングハンドル19の回転操作角を演算
する。そして、演算された回転操作角に応じて、前記左
右の比例コントロールバルブ147のクラッチソレノイ
ドへの出力を制御し、旋回内側の正逆転切り換え装置7
3を作動させる。斯くして、旋回内側のクローラ16の
駆動速度が減速されて車体が旋回する。
【0050】ステアリングハンドル軸20の回転によ
り、これと一体に回転プレート155が回転し、左右何
れかのストッパ158に前記突片155aが当接してス
テアリングハンドル軸20の回転が停止する。即ち、ス
テアリングハンドル軸20は中立位置から左右に夫々1
80度ずつ(総回転角360度)の回転範囲を有してい
る。そして、前記ステアリングハンドル19の回転操作
を止めれば、前記捩りコイルスプリング154の付勢に
よりステアリングハンドル軸20が戻されて、前記ステ
アリングハンドル19が中立位置に復帰する。
【0051】斯くして、図12に示すように、ステアリ
ングハンドル19は左右に夫々180度ずつ(総回転角
360度)の回転範囲を有し、例えば中立位置から左側
へ操向操作したときには、遊びが約20度、マイルドタ
ーン域が約100度、ロックターン域が約30度、スピ
ンターン域が約30度の配分になっている。そして、前
記ステアリング切れ角センサ128によってステアリン
グハンドル19の操向操作量(ハンドル切れ角=回転
角)を検出し、この操向操作量に応じて、前記正逆転切
り換え装置73のクラッチソレノイドに対するクラッチ
電流を調整して、クラッチシリンダ圧(油圧ピストン9
3に対する作動圧)を制御する。
【0052】図13はステアリングハンドル軸20やハ
ンドルポスト150等が装着されるフレームを示し、フ
ロントフレーム160の後部にステアリングハンドルコ
ラム21が立設されている。ミッドフレーム161の後
部にはミッションケース23が連結される。図示は省略
するが、このステアリングハンドルコラム21に前述の
ステアリングユニット22が装着される。尚、該ステア
リングユニット22はアッセンブリにてサブ組立されて
おり、図14に示すように、タイロッド、ピットマンア
ーム、ナックルアーム等のリンク部材、または、パワー
ステアリング装置等の油圧機器からなる機械式操向装置
162と付け替えて組み付けることが可能である。
【0053】図15に示すように、前記ハンドルポスト
150はブラケット165に取り付けられており、該ブ
ラケット165は2本のボルト166,167でステア
リングハンドルコラム21に固定されている。上側のボ
ルト166は長孔168に挿通してあり、該ボルト16
6を緩めればブラケット165は下側のボルト167を
中心に前後へ揺動する。従って、ステアリングユニット
22と一体にステアリングハンドル軸20の起立角度を
変更することができ、安価な費用でチルトハンドルを構
成することができる。尚、図示は省略するが、前記ブラ
ケット165に縦長孔を開穿してボルト166,167
を締結しておけば、双方のボルト166,167を弛緩
することによって、ステアリングユニット22と一体に
ステアリングハンドル軸20を上下に移動させることが
でき、安価な費用でテレスコピックハンドルを構成でき
る。
【0054】
【表1】
【0055】ロックターンやスピンターンは表1に示す
ような条件によって選択される。前述したスピンターン
スイッチ114は、運転席18の近傍でオペレータの操
作が容易な位置に設けられており、イグニッションキー
が通電中であれば常時オンオフ操作が可能である。該ス
ピンターンスイッチ114がオフである状態では、如何
なる条件の下でもスピンターン(Sターンと記す)は実
行されない。また、副変速が高速(H)位置にある場合
は、スピンターンスイッチ114がオンであってもスピ
ンターンは実行されない。そして、副変速が高速(H)
位置にあり且つ主変速が2速若しくは3速位置にあると
きは、スピンターン及びロックターン(Rターンと記
す)は実行されず、マイルドターン(Mターンと記す)
のみが実行される。
【0056】ここで、オペレータがステアリングハンド
ル19の操向操作を解除したときに、ステアリングハン
ドル19が中立位置を行き過ぎて反対側に超えてしまう
場合がある。然るとき、ステアリング切れ角センサ12
8が反対方向への操向操作を検出して反対側の正逆転切
り換え装置73のクラッチに作動信号を出力すると、反
対側の正転用クラッチ77が滑りを開始するので、車体
が一瞬左右に振られて乗り心地が悪くなる。これを防止
するために、コントローラ100は反対側の正逆転切り
換え装置73のクラッチに対する作動信号出力を一時的
に停止する。
【0057】図16は操向操作解除時の制御手順を示す
フローチャートであり、オペレータが操向操作を解除し
たときは、コントローラ100にてステアリング切れ角
の変化速度を算出する(ステップ101)。そして、中立
位置復帰機構138によりステアリングハンドル19が
中立位置に戻ろうとして、中立位置を反対側に超えたと
きには(ステップ102)、前記ステアリング切れ角の変
化速度が減少しているか否かを判別する(ステップ10
3)。ステアリング切れ角の変化速度が減少している場
合は、オペレータがステアリングハンドル19から手を
離す等、ステアリングハンドル19が惰性で中立位置を
反対側に超えたと判断できる。然るときには、コントロ
ーラ100は反対側の正逆転切り換え装置73のクラッ
チに対する作動信号出力を所定時間牽制する(ステップ
104)。この牽制時間はステアリングハンドル19を据
え切りした位置から中立位置に復帰するまでの時間に基
づいて設定するが、最大で0.5秒以内とする。斯くし
て、ステアリングハンドル19の行き過ぎによる車体の
振れが抑止され、乗り心地を良好にすることができる。
【0058】これに対して、ステップ103に於いて、ス
テアリング切れ角の変化速度が等速状態若しくは増加状
態である場合は、オペレータがステアリングハンドル1
9を意図的に反対側へ操作したものと判断できる。然る
ときには、コントローラ100は直ちに反対側の正逆転
切り換え装置73のクラッチに対して作動信号出力する
(ステップ105)。斯くして、オペレータの意図的な操
向操作に従って、車体を新たな旋回状態に調整すること
ができる。
【0059】また、ステップ104に於いて、反対側への
作動出力を牽制中であっても、図17に示すように、ス
テアリング切れ角が中立位置を反対側に超えて一定値以
上(例えば中立位置から30〜40度以上)回転したと
きは、オペレータがステアリングハンドル19を意図的
に減速速度にて操作しているものと判断する。然るとき
には、コントローラ100は反対側の正逆転切り換え装
置73のクラッチに対して作動信号出力する。従って、
ステアリング切れ角の変化速度が人為的な操作により減
少方向に至っている場合であっても、確実に旋回操作を
行うことができる。
【0060】而して、ステアリング切れ角の変化に対し
て左右のクローラ16,16の回転差が大きくなり、片
側のクローラ16がスリップしている場合は、高速で空
転している側のクラッチ圧を上げてクローラ16の回転
を一旦低下させ、地面に対するクローラ16の食いつき
を確保するように制御する。また、ステアリング切れ角
の変化に対して所定のクラッチ電流を決めておき、それ
に対して時間差で高い電流値を送って応答性を良好に
し、低圧力値でトルクを高くするように制御してもよ
い。
【0061】ここで、前記正逆転切り換え装置73のク
ラッチソレノイドに対するクラッチ電流は、ステアリン
グ切れ角に応じた基本の電流値を目標に持ち、これはセ
フティモード的なものはなく、通電後直ちに目標の電流
値をコントロールバルブに流す。ステアリングハンドル
19が操作されるとクラッチ電流も追従して変化する
が、時定数はもたず即時変化する。そして、後述するよ
うに、ロックターンやスピンターンを回避するための旋
回制御を実施する。
【0062】図18に示すように、ステアリングハンド
ル19の操向操作に対して、コントローラ100はクラ
ッチ電流をパルス的に出力し、操向操作開始直後の応答
性を高めるために、クラッチシリンダに一瞬(時間
2)高い初期圧力P1を加える。然る後に、ステアリン
グ切れ角に応じた旋回半径を得るために、クラッチシリ
ンダ制御圧力P2を出力する。そして、所定のクラッチ
出力オン時間T1が経過したときは、コントローラ10
0は一瞬クラッチ電流を遮断してクラッチオフとし、直
ちにクラッチ電流をかけて中間の圧力即ち周期圧力P3
を時間T3だけ加えて、クラッチオンとする。
【0063】このように、一定のクラッチ圧を連続的に
加えるのではなく、一定の周期(時間T1)でクラッチ
をつなぎ直すことにより、クラッチを一定の滑り状態に
保持することができる。ここで、実験データから得られ
た最適な前記初期圧力P1は24kg/cm2とし、周期圧力
3は16Kg/cm2とする。また、クラッチ出力オン時間
1は500msecとし、初期圧保持時間T2は150mse
c、周期圧保持時間T3は20msecとする。更に、前記制
御圧力P2は下記のような条件により、4種類の特性曲
線から選択する。
【0064】尚、ステアリングハンドル19の操向操作
量からその変化量を検出し、該変化量が大きいほど、図
18の二点鎖線で示すように、前記初期圧力P1を高圧
に補正する。
【0065】
【表2】
【0066】該スピンターンスイッチ114がオンであ
る状態では、副変速が低速(L)位置にあれば、主変速
が何れの位置にあっても制御圧力P2は図19(a)に
示すような特性曲線にて変化する。この場合、P120から
P180までの間では前記周期圧力P3の制御は行わず、ス
ピンターンが開始されるとクラッチシリンダ圧を保持し
て逆転用クラッチ78の各ディスク78a,78bを圧
着し続ける。また、副変速が高速(H)位置であれば、
主変速が1速のときは制御圧力P2が図19(c)に示
す特性となり、主変速が2速または3速のときは図19
(d)に示す特性となる。即ち、スピンターンスイッチ
114がオンであっても、高速走行状態のときはスピン
ターンを行わず、マイルドターンに制限する。
【0067】これに対して、該スピンターンスイッチ1
14がオフである状態では、副変速が低速(L)位置に
あれば、主変速が何れの位置にあっても制御圧力P2
図19(b)に示すような特性曲線にて変化する。ま
た、副変速が高速(H)位置であれば、前述のスピンタ
ーンスイッチ114がオンである状態と同様にして、主
変速が1速のときは制御圧力P2が図19(c)に示す
特性となり、主変速が2速または3速のときは図19
(d)に示す特性となる。
【0068】尚、前記P1乃至P3の圧力データとT1
至T3の時間データ、並びに、P20、P120、P180の各ポイ
ントのデータは予め設定しておき、各データはチェッカ
にて書き換え可能である。次に、図20のフローチャー
トに従い、ステアリングハンドル19の操向操作量を検
出するステアリング切れ角センサ128に異常が生じた
場合の制御手順について説明する。先ず、コントローラ
100は各センサやスイッチ類の状態を読み込む(ステ
ップ201)。ここで、ステアリング切れ角センサ128
のセンサ値をθとし、左クローラ回転センサ107のセ
ンサ値をRLとし、右クローラ回転センサ107のセン
サ値をRRとする。いま、ステアリングハンドル19が
中立位置にあるときは、ステアリング切れ角センサ12
8のセンサ値θ=0°となり(ステップ202)、然ると
きに、左クローラ回転センサ107のセンサ値RLと右
クローラ回転センサ107のセンサ値RRとが一致して
いれば車体は直進走行しているものと判断できる(ステ
ップ203)。従って、前記ステアリング切れ角センサ1
28の組み付け位置に誤差はなく、且つ、正常に作動し
ていることになる。
【0069】ここで、ステアリング切れ角センサ128
のセンサ値θ=0°であるのにも拘わらず、左右クロー
ラ回転センサ107の夫々のセンサ値RLとRRとが一致
しない場合は、ステアリング切れ角センサ128の組み
付け位置Lに誤差があるか、或いは、故障などの異常が
生じているものと判断し、コントローラ100はランプ
の点灯や点滅、若しくはブザーの吹鳴等にて、中立位置
ずれを報知する(ステップ204)。
【0070】そして、前記エンジン回転数センサ112
の検出信号によりエンジン46が始動前であるか否かを
判別し(ステップ205)、エンジン始動前であるとき
は、たとえオペレータがエンジン46を始動させようと
しても、コントローラ100からスタータリレーに対し
て制御信号を送らず、エンジン始動を牽制する(ステッ
プ206)。これは、ステアリング切れ角センサ128に
異常が発生した状態では、ステアリングハンドル19の
操向操作に対して、オペレータの意に反して、車体の旋
回動作が正確に行われないので、危険を防止するために
エンジン46を始動させない。また、例えば、チェック
スイッチ(図示せず)を入りにして、コントローラ10
0の状態を点検するためのチェックモードに設定した場
合、この状態ではステアリングハンドル19を回転して
も操向操作は行われないため、車体を走行させても旋回
不能となる。従って、チェックモード中はエンジン始動
を牽制して安全性を向上させる。
【0071】一方、エンジン始動後にステアリング切れ
角センサ128の異常が発生したときは、コントローラ
100からガバナ調整用アクチュエータに制御信号を送
って燃料をカットし、エンジン46の回転を停止して車
体の走行を停止させる(ステップ207)。このように、
車体の走行中にステアリング切れ角センサ128に異常
が発生した状態では、ステアリングハンドル19の操向
操作に対して、オペレータの意に反して、車体の旋回動
作が正確に行われないので、危険を防止するために直ち
にエンジン46を停止させて安全を確保する。
【0072】また、エンジン始動後にステアリング切れ
角センサ128の異常が発生したときは、コントローラ
100から左右夫々の正逆転切り換え装置73用比例コ
ントロールバルブ147のクラッチソレノイドに対する
作動信号を補正するようにしてもよい。コントローラ1
00は、左右クローラ回転センサ107の信号を割り込
みによって常時検出し、クローラ式走行装置Cへの出力
回転数を内部的に算出する。一方、ステアリング切れ角
センサ128のセンサ値に応じた目標の回転比カーブを
持っておき、実測の回転数比がこれと離れている場合に
は、その都度、条件によって重み付けされた補正値をテ
ーブルより参照して、目標クラッチ圧力を補正する。即
ち、通常の作業での直進走行時に、割り込み処理として
クラッチ電流を補正する。尚、前述したチェックモード
の状態にして、クラッチ電流を補正することもできる。
斯くして、車体の操向性能を向上することができる。
【0073】また、車両のエンジン始動時に、前記ステ
アリング切れ角センサ128のセンサ値を入力して、こ
のセンサ値をステアリングハンドル19の中立位置とし
て設定してもよい。ここで、各センサに異常が発生した
ときの処置とランプの点滅について表3に従って説明す
る。
【0074】
【表3】
【0075】例えば、ステアリング切れ角センサ128
に異常が生じたときは、異常要因としてセンサの断線や
ショートが挙げられる。そして、異常発生時の処置とし
て正逆転切り換え装置73用比例コントロールバルブ1
47への作動信号出力を禁止するとともに、モニタラン
プを点滅させて異常を報知する。また、左右何れかのク
ローラ回転センサ107に異常が生じたときは、センサ
自体の不良若しくは断線が異常要因として挙げられ、そ
のときは旋回制御を実行しない。一方、リフトアーム角
センサ33に異常が発生したときは、異常要因としてセ
ンサの断線やショートが挙げられる。この場合、異常発
生時の処置は特になく、ステアリング切れ角センサ12
8やクローラ回転センサ107の異常とは区別するため
にモニタランプを点灯して報知するとともに、旋回制御
を続行する。
【0076】また、クローラ回転センサ107の異常判
定は、ステアリングハンドル19が中立位置(±20゜
以内)に於いて、出力回転数が10rpm以上で、且つ、
左右出力回転比が0.5以下の状態が10秒以上継続し
た場合に異常と判定する。これ以降は、旋回制御圧補正
を0に固定する。但し、ステアリング切れ角に応じた目
標圧力は出力する。即ち、クローラ回転センサ107に
よるフィードバックは行わず、ステアリングハンドル1
9を回転した方向へ旋回することは可能である。このク
ローラ回転センサ107の異常については、通電中はエ
ラーフラグは立ったままとし、電源を切ればクリヤされ
るものとする。
【0077】これに対して、前記ステアリング切れ角セ
ンサ128に異常が生じたときは、左右ローリング制御
に使用される水平調整ダイヤル42等を使用して、車体
の操向操作を行うように構成することもできる。ステア
リング切れ角センサ128が故障した場合、車体が操向
不能になると危険であるので、然るときは、水平調整ダ
イヤル42や車体傾き上下スイッチ等の操作により、左
右の正逆転切り換え装置73のクラッチソレノイドに対
するクラッチ電流を調整して、車体の操向操作を行う。
【0078】このように、車体の操向を複数の操作部に
て操作できるように構成することにより、操向不能な状
態を回避することができる。尚、ステアリング切れ角セ
ンサ128に異常が生じたときに、前記水平調整ダイヤ
ル42等の操作に代えて、ウインカレバースイッチ11
5を使用して、車体の操向操作を行ってもよい。然ると
きは、ウインカレバースイッチ115を右へ操作すれば
車体が右側に操向され、ウインカレバースイッチ115
を左へ操作すれば車体が左側に操向される。
【0079】また、逆転用クラッチ78に圧油を送る比
例コントロールバルブ147が故障した場合は、逆転用
クラッチ78に圧油が供給されなくなって車体が操向不
能となる。図8に示したように、ローリングシリンダ3
7の油路L1,L2 はコネクタ144,145によって
油路を接続または遮断できるように形成してあり、左右
の逆転用クラッチ78,78の油路L5,L6もコネクタ
148,149によって油路を接続または遮断できるよ
うに形成してある。従って、逆転用クラッチ78用比例
コントロールバルブ147が故障した場合は、各コネク
タ144,145,148,149の結合を一旦外し
て、左右の逆転用クラッチ78,78の油路L5,L6
コネクタ144,145に接続して、ローリングシリン
ダ37用コントロールバルブ143から左右の逆転用ク
ラッチ78,78に圧油を送るように切り換える。この
ように、車体の操向を複数の油圧回路を利用して操作で
きるように構成することにより、操向不能な状態を回避
することができる。
【0080】ここで、当該クローラ型トラクタ10に連
結されている対地作業機26のローリング制御装置につ
いて説明する。ロータリ等の対地作業機26は、作業機
の種類やリンク取り付け位置によって、作業機最下げ位
置で左右にローリングさせると、対地作業機26がクロ
ーラ16の後端部に接触して損傷する虞がある。このた
め、対地作業機26が所定高さ以下に下降したときは、
該対地作業機26の左右ローリング姿勢の修正を停止若
しくは減少させることにより、クローラ16と対地作業
機26の干渉を防止する。
【0081】例えば、リフトアーム角センサ33の検出
値により、図21のフローチャート及び表4に示すよう
に、ローリング制御の状態を変化させる。
【0082】
【表4】
【0083】先ず、各センサやスイッチ類を読み込み
(ステップ301)、リフトアーム角センサ33の検出値
から、コントローラ100は車体が走行域にあるか、作
業域にあるか、制限域にあるかを判別する(ステップ30
2)。リフトアーム角センサ33の検出値が(-α〜-15
0)ビットの範囲にあるときは、車両が作業域であると
みなして(ステップ304)、対地作業機26が前記水平
調整ダイヤル41にて設定した水平状態を維持すべく、
コントローラ100からローリングシリンダ37用コン
トロールバルブ143の伸びソレノイド若しくは縮みソ
レノイドに制御信号を出力する。手動操作はストローク
エンドまで可能となり、また、機体平行の制御も可能で
ある。
【0084】一方、リフトアーム角センサ33の検出値
が(MAX〜-α)ビットの範囲にあるときは、対地作業機
26の高さが最上げ位置付近で車両が走行域であるとみ
なして(ステップ303)、対地作業機26は機体と平行
に維持される。走行域の場合も、前述の作業域と同様
に、手動操作はストロークエンドまで可能となり、ま
た、機体平行の制御も可能である。
【0085】これに対して、リフトアーム角センサ33
の検出値が(-150〜MIN)ビットの範囲にあるときは、
対地作業機26の高さが最下げ位置付近で車両が制限域
であるとみなして(ステップ305)、対地作業機26の
ローリング姿勢の制御が制限される。そして、この制限
量は対地作業機26が下降になるほど大にする。即ち、
対地作業機26が所定高さ以下に下降しているときは、
揺動角±3°(約±25ビット)以下に制限する。ロー
リングシリンダ用コントロールバルブ143への出力が
これを超えるときは、その方向への出力を禁止する。ま
た、対地作業機26が3°以上に傾斜している状態でも
リフトアーム29が下降した場合は、その時点で3°以
内に対地作業機26の揺動を制限する。そして、対地作
業機26の位置が低くなるほど、揺動角±2°、或いは
揺動角±1°のように、制限量を大きくしてクローラ1
6に対する干渉を回避する。
【0086】制限域での手動操作に対しては、対地作業
機26が3°以上に傾斜している状態では3°以内にな
るまで揺動させる。この後手動スイッチを操作されたと
しても、3°以内の範囲での揺動を許容する。このよう
に、対地作業機26が最下げ位置付近での揺動を牽制す
ることにより、クローラ16との干渉を防止することが
できる。即ち、実発生頻度の低い最下げ時の水平精度よ
りも本機のバランスを優先させる。
【0087】ここで、ステアリング切れ角センサ128
の検出値の変化から、トラクタ10が旋回し始めたと判
別したときは、コントローラ100はリフトシリンダ用
コントロールバルブ142の上げソレノイドに制御信号
を出力し、対地作業機26を非作業高さまで上昇させ
て、対地作業機26の引きずりを防止している。そし
て、旋回が終了したときは、手動スイッチの操作にて対
地作業機26を下降させていた。しかし、オペレータの
手動操作が煩雑であり、改善が要求されていた。そこ
で、図5及び図9にて前述したように、リヤアクスルケ
ース47内に設けられている回転センサ107によって
出力軸74の回転数を検出し、コントローラ100が左
右の回転比を演算しているのを利用して、車体の旋回動
作に合わせて対地作業機26の昇降を行う。
【0088】図22に示すように、前記2段遊星ギヤ機
構75と1段遊星ギャ機構101との間に回転検出用ギ
ヤ106を設けるとともに、この回転数検出用ギヤ10
6に対して非接触型の回転センサ107を近接配置し、
出力軸74の回転数をパルスカウントして、コントロー
ラ100にて左右の回転比を演算する。オペレータが圃
場の隣接耕耘作業を数回繰り返したときに、コントロー
ラ100は、旋回開始時に於けるリフトシリンダ用コン
トロールバルブ142の上げ信号入力から、旋回終了時
に於けるリフトシリンダ用コントロールバルブ142の
下げ信号入力までの旋回外側の出力軸74の回転数を記
憶する。そして、右旋回と左旋回の夫々の平均値を算出
し、然る後は、隣接耕耘作業での旋回時に、左右の回転
比の変化を読み取って、コントローラ100が対地作業
機26の上げ信号と下げ信号を自動的に出力する。
【0089】従って、モニタパネル117の近傍に設け
た自動油圧下げスイッチ118をオンにしておくことに
より、隣接耕耘作業での旋回時に、オペレータはステア
リングハンドル19の操向操作を行うと、旋回開始に合
わせて対地作業機26を上昇すべく油圧上げ信号が出力
され、旋回終了に合わせて油圧下げ信号が出力されて、
対地作業機26が下降する。そして、モニタパネル11
7には状況に応じてモニタランプ117aが点灯または
点滅する。例えば、自動油圧下げスイッチ118がオフ
であればモニタランプ117aは消灯状態となる。一
方、自動油圧下げスイッチ118がオンであれば、モニ
タランプ117aが点滅状態となり、コントローラ10
0が左右回転センサ107にてパルスカウントを行っ
て、自動制御実行の準備中である旨を表示する。そし
て、コントローラ100から自動油圧下げ信号が出力さ
れたときは、モニタランプ117aが点灯して自動制御
が実行中である旨を表示する。斯くして、隣接耕耘作業
時でのオペレータの操作が簡素化される。
【0090】尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない
限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該
改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
図は本発明の一実施の形態を示すものである。
【図1】ステアリングユニットの縦断側面図。
【図2】クローラ型トラクタの側面図。
【図3】クローラ型トラクタの背面図。
【図4】ミッションケースの内部を示す断面図。
【図5】リヤアクスルケースの内部を示す断面図。
【図6】(a)は図5のA−A線断面図、(b)は図5
のB−B線断面図。
【図7】動力伝達経路を示す解説図。
【図8】油圧回路図。
【図9】制御系のブロック図。
【図10】クラッチシリンダ圧とクローラの回転状態と
の関係を示すグラフ。
【図11】ステアリングユニットを示し、(a)は平面
図、(b)は正面図、(c)は底面図。
【図12】ステアリングハンドルの回転位置に対する旋
回状態を説明する解説図。
【図13】フレームの斜視図。
【図14】機械式操向装置の分解斜視図。
【図15】チルトハンドルの側面図。
【図16】操向操作解除時の制御手順を示すフローチャ
ート。
【図17】操向制御を説明するためのトラクタの平面
図。
【図18】ステアリングハンドルの操向操作に対するク
ラッチシリンダ圧の変化を示すグラフ。
【図19】(a)乃至(d)は、スピンターンスイッチ
と各変速位置に応じて変化する制御圧力の特性を示すグ
ラフ。
【図20】ステアリング切れ角センサに異常が生じた場
合の制御手順を説明するフローチャート。
【図21】ローリング制御のフローチャート。
【図22】回転センサと自動油圧下げスイッチの接続構
成を示す解説図。
【符号の説明】
10 トラクタ 19 ステアリングハンドル 20 ステアリングハンドル軸 21 ステアリングハンドルコラム 22 ステアリングユニット 100 コントローラ 128 ステアリング切れ角センサ 150 ハンドルポスト 151 回転コマ 154 捩りコイルスプリング 156 ライニング 158 ストッパ 162 機械式操向装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上路 仁志 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機 株式会社技術部内 Fターム(参考) 2B043 AA03 AB02 AB07 BA02 BA05 BB01 DA04 DB21 EA02 EA08 EB07 EB14 EB22 EC02 EC15 ED04 ED05 ED15 ED23 3D030 DC03 DC29 DF01 3D033 DB04 3D052 AA05 AA19 BB03 BB08 CC03 DD03 EE01 FF01 GG03 HH03 JJ14 JJ23 JJ25 JJ37

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステアリングハンドル19の回転操作を
    電気的に検出し、この回転操作に応じた通電出力にて走
    行装置の回転数を制御する作業車両に於いて、前記ステ
    アリングハンドル19のハンドル軸20を筒状の支持体
    150に回転自在に支持させ、前記支持体150近傍の
    ハンドル軸20には、ハンドル軸20の回転操作に連動
    して作動する回転操作検出部151と、ハンドル軸20
    を中立位置に付勢する付勢手段154と、ハンドル軸2
    0の操作角を所定角にて規制するストッパ158とを備
    え、一方、前記支持体150には、前記回転操作検出部
    151の作動位置を検出するセンサ128を設け、之等
    ハンドル軸20と支持体150とでステアリングユニッ
    ト22を構成し、このステアリングユニット22を作業
    車両側に立設したステアリングハンドルコラム21に取
    り付けたことを特徴とする作業車両に於ける操向装置の
    取り付け構造。
  2. 【請求項2】 上記ハンドル軸20の周囲には、上記支
    持体150との回転を制動すべくブレーキ材156を備
    えた請求項1記載の作業車両に於ける操向装置の取り付
    け構造。
  3. 【請求項3】 上記ステアリングユニット22は、上記
    ステアリングハンドルコラム21に対して、車両の走行
    装置を、リンク部材または油圧機器からなる機械式連動
    機構のみにより操向する機械式操向装置162と付け替
    えて組み付け可能に構成された請求項1または2記載の
    作業車両に於ける操向装置の取り付け構造。
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