JP2003030826A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその製造方法

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JP2003030826A JP2001212641A JP2001212641A JP2003030826A JP 2003030826 A JP2003030826 A JP 2003030826A JP 2001212641 A JP2001212641 A JP 2001212641A JP 2001212641 A JP2001212641 A JP 2001212641A JP 2003030826 A JP2003030826 A JP 2003030826A
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plasma
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English (en)
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Masanori Yoshihara
眞紀 吉原
Maki Miyasato
真樹 宮里
Hideki Matsuo
秀樹 松尾
Kazuhiro Kusakawa
和大 草川
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Fuji Electric Co Ltd
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Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラズマ−CVD法により保護膜の薄膜化を
実現する一方で、信頼性の高い保護膜を有する磁気記録
媒体およびその製造方法を提供すること。 【解決手段】 非磁性基板の上に、非磁性下地層と、磁
性記録層と、保護膜とを順次積層してなる磁気記録媒体
の製造方法であって、磁性記録層の上に保護膜を成膜す
る直前に、Nガス存在下で発生させたプラズマを上記
磁性記録層に照射することにより表面を改質する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータなど
の情報機器用記憶装置などに使用される磁気記録媒体お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の磁気記録媒体は、例えば、非磁性
基板上にCr下地膜、CoCrTa系合金磁性膜、カー
ボン系保護膜を順次成膜することにより形成されてい
る。近年、磁気記録密度向上の観点から、カーボン系保
護膜の薄膜化が急激に進んでおり、それに伴ってカーボ
ン系保護膜の成膜方法は、従来のスパッタ法から、プラ
ズマ−CVD(Chemical Vapor Deposition)法に代わ
りつつある。プラズマ−CVD法によるカーボン系保護
膜の形成は、炭化水素系の材料ガス(例えば、アセチレ
ン、エチレン)を成膜室内に導入し、導入された材料ガ
スを高周波や電子流などによってプラズマ化させること
により分解し、そのようにして分解した原料ガス中のカ
ーボンを含むイオンが基板上に到達し堆積することによ
って達成される。
【0003】上述したように磁気記録密度を向上させる
ためには、保護膜の薄膜化が必要不可欠である。しか
し、保護膜の薄膜化に伴って、保護膜の耐久性が低下す
るだけでなく、磁性記録層からCoが溶出し易くなる。
このような現象は、磁気特性に悪影響を与える可能性が
あるため望ましくない。
【0004】保護膜の耐久性を決定する物理的因子とし
て、主に保護膜の硬さが挙げられている。しかし、保護
膜の硬さといった物理的な膜質を向上させただけでは、
信頼性の高い媒体特性を有する磁気記録媒体を得ること
はできない。実際には、保護膜の硬さに加えて、保護膜
面と磁性記録層面との密着性、保護膜の被覆率などの他
の因子も媒体特性に影響を与える。それらの因子は、保
護膜自体の膜質に依存する一方で、保護膜を成膜する直
前の磁性記録層の表面状態、さらに言えば磁性記録層の
面内均一性に大きく依存する。磁性層の面内均一性は、
基板の形状、パーティクルの存在といった諸問題を反映
するものでもあり、面内が均一でなければ保護膜がいか
に良質なものであっても不均一な界面が形成され、その
後の膜成長、さらに磁気特性に悪影響を与えることにな
る。磁性記録層と保護膜との界面における不均一性は、
保護膜を厚くする場合、膜を堆積するに従って緩和され
るので大した問題にならない。しかし、近年、保護膜の
薄膜化が進行するにつれて、界面での不均一性の問題が
露呈しつつある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような状況に鑑
み、プラズマ−CVD法により保護膜の薄膜化を実現す
る一方で、耐久性に優れ、かつ磁性層からのCo溶出を
抑制することが可能な信頼性の高い保護膜を提供する様
々な技術が検討されている。
【0006】例えば、保護膜の成膜に先立ち、磁性層の
表面状態、特に面内均一性を改善する技術として、アル
ゴンなどの不活性ガス中で磁性層を逆スパッタ法により
処理することが知られている。このような技術によれ
ば、凹凸を無くして表面を滑らかにすることが可能であ
るが、スパッタが強すぎると膜が破損してしまうことが
ある。また、特開昭62−175926号公報では、磁
性層の表面をプラズマ処理することを開示している。プ
ラズマの手法としては、グロー放電と逆スパッタとを併
用しているが、500Vもの高い放電電圧下で処理を行
うため磁性層へのダメージが大きくなると考えられる。
このように、いくつかの技術が報告されているが、さら
なる改善が望まれている。
【0007】したがって、本発明の課題は、プラズマ−
CVD法により保護膜の薄膜化を実現する一方で、信頼
性の高い保護膜を有する磁気記録媒体およびその製造方
法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述の課題
を解決するために鋭意検討を行った結果、保護膜を成膜
する直前に、N含有ガスの存在下で発生させたプラズ
マを照射して磁性記録層の表面を化学的に改質すること
により、磁性記録層からのCo溶出量を低減できること
を見出した。
【0009】すなわち、本発明にもとづく磁気記録媒体
の製造方法は、(a)非磁性基板の上に、非磁性下地層
および磁性記録層を順次積層する工程と、(b)上記磁
性記録層の上に保護膜を成膜する直前に、N含有ガス
の存在下で発生させたプラズマを上記磁性記録層の表面
に照射することにより該表面を改質する工程と、(c)
上記表面が改質された磁性記録層の上に、カーボン系保
護膜を成膜する工程とを有することを特徴とする。
【0010】ここで、上記工程(b)は、60V〜10
0Vの放電電圧下で実施されることが好ましい。
【0011】また、上記工程(c)は、炭化水素系ガス
を用いるプラズマ−CVD法によって実施されることが
好ましく、プラズマ−CVD法は、イオン−ビーム法で
あることが好ましい。
【0012】また、上記工程(b)および(c)は、1
つの成膜室で連続的に実施されることが好ましい。
【0013】本発明にもとづく磁気記録媒体は、非磁性
基板の上に、非磁性下地層と、磁性記録層と、カーボン
系保護膜とを順次有する磁気記録媒体であって、上記磁
性記録層は窒素化改質面を有することを特徴とする。
【0014】ここで、上記窒素化改質面は、N含有ガ
スの存在下で発生させたプラズマを照射することで形成
されることが好ましい。
【0015】また、上記プラズマの照射は、60V〜1
00Vの放電電圧下で実施されることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の第1の態様は磁気記録媒
体の製造方法に関する。本発明にもとづく磁気記録媒体
の製造方法は、(a)非磁性基板の上に、非磁性下地層
と、磁性記録層とを順次積層する工程と、(b)上記磁
性記録層の上に保護膜を成膜する直前に、N含有ガス
の存在下で発生させたプラズマを上記磁性記録層の表面
に照射して該表面を改質する工程と、(c)上記表面が
改質された磁性記録層の上に、カーボン系保護膜を成膜
する工程とを有することを特徴とする。
【0017】上述のように、カーボン系保護膜の成膜に
先立ち、磁性記録層の表面をプラズマ処理することによ
り、磁性記録層の表面が化学的に改質され、またパーテ
ィクルが除去される。その結果、引き続き磁性記録層の
表面に成膜されるカーボン保護膜の密着性および被覆率
を向上することが可能となる。
【0018】磁性記録層の表面改質は、N含有ガスの
存在下で実施することが重要である。本明細書で使用す
る「N含有ガス」とは、少なくとも窒素化を達成する
ためのNガスを含有するガスを意味する。Nガスの
みを使用してプラズマを発生させて磁性記録層表面を改
質させることも可能であるが、より効率よくプラズマを
発生させるために放電を起こすことが可能なガスをキャ
リヤーガスとして併用することが好ましい。したがっ
て、N含有ガスは、Nガスと、放電を起こすことが
可能なキャリヤーガスとを含むことが好ましい。
【0019】本発明において使用可能なキャリヤーガス
としては、Ar、Kr、Xeなどの希ガスが挙げられ
る。希ガスは、化学的に不活性であるために磁性記録層
の表面改質時および保護膜の成膜時に悪影響を及ぼすこ
とがない。但し、元素の質量が増すにつれて磁性記録層
へのスパッタ作用が強くなるため、希ガスの中でも質量
の小さいAr、Kr、Xeを使用することが好ましい。
特に、Arが好適に使用される。
【0020】キャリヤーガスは希ガスに限定されるもの
ではなく、O、F、Clなどの活性度の高いガス
を使用することも可能である。但し、そのようなガス
は、後の成膜に悪影響を及ぼす可能性があるためあまり
好ましくない。活性度の高いガスを使用してプラズマ放
電を行う場合、プラズマ処理以降の成膜を別の成膜室で
実施することで一定の効果が得られるが、別の成膜室へ
搬送する際にコンタミが混入する恐れがあるため推奨で
きない。
【0021】本発明においてプラズマを発生させるため
に使用するN含有ガスは、上述のキャリヤーガスおよ
びNガスを、プラズマを発生させる反応チャンバー内
に別々に供給することにより得られる。より詳細には、
非磁性基板の上に、非磁性下地層と、磁性記録層とを順
次積層して得られる磁気記録媒体半製品を、反応チャン
バー内に設けられた対向する電極の間に配置し、その電
極側からキャリヤーガスとして不活性ガスを供給し、磁
性記録層側から処理用ガスとしてNガスを供給するこ
とで反応チャンバー内をN含有ガス雰囲気とする。そ
のように形成されたN含有ガス雰囲気下において、対
向する電極に電圧を印加することによりプラズマを発生
させ、そのプラズマを磁性記録層の表面に照射する。そ
の結果、磁性記録層の表面のみが窒素化され改質され
る。本発明によれば、N含有ガスの存在下で発生させ
たプラズマを照射させて表面を化学的に改質することを
目的としているので、単に不活性ガス雰囲気下でプラズ
マを照射させて表面を物理的に改質するものとは異な
る。
【0022】ところで、磁性記録層表面の窒素化は、カ
ーボン保護膜の密着性および被覆率を向上させるといっ
た効果を生じる一方で、磁気記録媒体の磁気特性に悪影
響を与えてしまう可能性がある。したがって、磁気特性
への影響を極力小さくするために、できるだけ磁性記録
層の表面近傍のみが窒素化されるようにプラズマ照射の
条件をそれぞれ選択する必要がある。
【0023】プラズマ照射の効率は、印加電圧、放電時
間、ガス流量、チャンバ内の圧力、基板バイアスといっ
た因子に依存して変化する。
【0024】本発明においてプラズマ処理に適する印加
電圧は、好ましくは60〜100V、より好ましくは7
0〜90Vの間である。基板電極間の電位が100Vを
超えると、磁性記録層内までイオンが過剰に拡散し、磁
性記録層がダメージを受けてしまう。また、基板電極間
の電位が60Vを下回ると磁性記録層の表面が十分に窒
素化されず十分な改質効果が得られない。
【0025】プラズマの放電時間は、好ましくは0.5
〜2.0秒から、より好ましくは1.0〜1.5秒であ
る。放電時間が2.0秒より長くなると、磁性記録層内
までイオンが過剰に拡散し磁性記録層がダメージを受け
るだけでなく、残留ガス量が増大し、後の成膜プロセス
に悪影響を与えてしまう。また、放電時間が0.5秒よ
り短くなると、十分な改質効果が得られないとともに面
間のばらつきが大きくなる。
【0026】両面同時成膜プロセスの場合、Nガスの
流量は、好ましくは20〜40sccm、より好ましく
は30〜35sccmである。また、キャリヤーガスの
流量は30〜60sccm、より好ましくは40〜50
sccmである。
【0027】保護膜の成膜に先立って上述のように実施
されるプラズマ処理は、磁性記録層の表面を改質するだ
けでなく、パーティクルを除去する目的も併せ持つ。そ
のため、プラズマ処理とそれに続く保護膜の成膜とを同
一の成膜室で実施することが好ましい。
【0028】図1は、プラズマ処理とそれに続く保護膜
の成膜とを同一の成膜室で実施する場合を想定したガス
供給のタイミングを示す概略図である。図1に示したよ
うに、磁気記録媒体半製品が成膜室に導入されるとN
ガスが供給され、磁性記録層の表面のプラズマ処理が開
始される。次いで、プラズマ処理が終了した後に炭化水
素系ガスが供給され保護膜の成膜が開始される。保護膜
が成膜されることで完成した磁気記録媒体は成膜室の外
に搬送され、成膜室には次の磁気記録媒体半製品が導入
される。窒素雰囲気下での不純物量を低減させるため、
磁気記録媒体半製品が成膜室に搬送完了後、放電開始ま
で0.5秒以上の前排気時間を設けることが好ましい。
また、成膜終了から搬送開始まで0.5秒以上の後排気
時間を設けることが好ましい。そのことにより、ガスが
隣接する成膜室に流れ込むことを防止できるとともに、
浮遊する不純物を低減することができる。
【0029】なお、本発明にもとづく磁気記録媒体の製
造方法において、磁性記録層の表面をプラズマ処理する
こと以外は当業者に周知の技術によって実施することが
できる。例えば、非磁性基板上に、非磁性下地層と、磁
性記録層とを順次積層してなる磁気記録媒体半製品は、
通常のスパッタ法にしたがって作製することが可能であ
る。非磁性基板としては、アルミ、ガラスなどを使用す
ることが可能である。非磁性基板の上に成膜される非磁
性下地層は、例えば、Cr、CrMo、CrMoWなど
から形成することが可能である。また、磁性記録層は、
例えば、CoCrTaPt、CoCrPtBなどから形
成することが可能である。
【0030】また、カーボン系保護膜は、特に限定され
るものではないが、プラズマ−CVD法にしたがって原
料ガスとして炭化水素系ガスを作用させることにより成
膜することが好ましい。但し、カーボン系保護膜の成膜
は、既に説明したように同一の成膜室内でプラズマ処理
と連続的に実施することが好ましい。本発明においてカ
ーボン系保護膜の材料となり得る適当な炭化水素系ガス
は、例えば、アセチレン、エチレン、メタン、トルエン
である。また、プラズマ−CVD法は、放電を発生させ
る方式に従って、イオン−ビーム(IB)法、電子サイ
クロトロン共鳴(ECR)法、高周波(RF)法、誘導
結合プラズマ(ICP)法などに大別されるが、本明細
書で使用する「プラズマ−CVD法」という用語は、そ
れらの全てを含むものとする。特に限定されるものでは
ないが、基板に対して正または負の電圧を印加するこ
と、すなわち基板バイアスを必要としないこと、対象物
を制限せずにガラス基板などの絶縁体にも適用可能であ
ること、マッチングを必要としないこと、応答性に優れ
ていること、などからイオン−ビーム法が好ましい。
【0031】本発明の第2の態様は、本発明の第1の態
様にしたがって作製された磁気記録媒体に関する。すな
わち、本発明にもとづく磁気記録媒体は、非磁性基板の
上に、非磁性下地層と、磁性記録層と、カーボン系保護
膜とを順次有する磁気記録媒体であって、上記磁性記録
層は窒素化改質面を有することを特徴とする。窒素化改
質面は、N含有ガスの存在下で発生させたプラズマを
照射することで形成することが好ましい。その際、プラ
ズマの照射は、60V〜100Vの放電電圧下で実施さ
れることが好ましい。
【0032】本発明の磁気記録媒体は、磁性記録層の表
面が保護膜の成膜に先立ちN含有ガスの存在下でプラ
ズマ処理されることにより得られる窒素化改質面を有す
ることを除き、当技術分野で周知の技術にしたがって構
成することが可能である。
【0033】
【実施例】以下、本発明にもとづく磁気記録媒体および
その製造方法について、実施例により詳細に述べるが、
これらは本発明を限定するものではなく、本発明の要旨
を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言
うまでもない。
【0034】(実施例1)本実施例は、保護膜を成膜す
る前に磁性記録層の表面をプラズマ処理して得られる、
2.5インチハードディスク装置用磁気記録媒体に関す
る。
【0035】先ず、外径65mmの円環状非磁性基板の
上に、スパッタリング法を用いてCrを含む非磁性下地
層、次いでCoを含む磁性記録層を積層することによ
り、磁気記録媒体半製品を得た。
【0036】次いで、先に得られた磁気記録媒体半製品
を成膜室に導入し、基板−電極間電位80V、放電圧力
1.5Torrにおいて、キャリヤーガスとしてArガ
ス(40sccm)、処理用ガスとしてNガス(30
sccm)を用い1.0秒にわたって放電させることに
より、磁性記録層の表面をプラズマ処理した。
【0037】プラズマ処理の後、引き続き同一成膜室内
で、基板−電極間電位80V、成膜圧力2.0mtor
rにおいて、キャリヤーガスとしてArガス40scc
mを用い、アセチレン5sccmを磁気記録層の表面に
1.5〜3.3秒間にわたって作用させることにより、
厚さ2〜5nmのカーボン保護膜を成膜した。なお、プ
ラズマ処理から成膜までの作業の流れは図1に示した通
りである。すなわち、磁気記録媒体半製品が成膜室に導
入した後にNプラズマによる前処理を開始し、成膜室
内の残留Nガスを0.5秒にわたって排気し、引き続
き炭化水素系ガスによる成膜を実施することで磁気記録
媒体を作製した。
【0038】次いで、上述のようにして得られた磁気記
録媒体におけるCo溶出量について検討した。Co溶出
量は、誘導結合高周波プラズマ分光分析装置ICP(In
ductive Coupling Plasma)を用いて測定した。図2
は、Co溶出量と膜厚との関係を示すグラフである。
【0039】図2から明らかなように、プラズマ処理を
施した場合(実施例1)、保護膜の膜厚が減少するにつ
れてCo溶出量が増加するものの、プラズマ処理なしの
場合(後述の比較例1)と比較して全ての膜厚にわたっ
てCo溶出量が低減していることが分かる。特に、保護
膜の膜厚を3nmとした場合においてもCo溶出量が
0.1μg/m程度に抑制されていることは注目に値
する。通常、磁気特性の観点からCo溶出量の上限は
1.0μg/mとされているが、本実施例では保護膜
の膜厚3nmとした場合であってもこの値を十分にクリ
アしており、Co溶出量の低減に対してプラズマ処理が
有効であることが分かる。
【0040】(比較例1)本比較例は、保護膜を成膜す
る前に磁性記録層の表面をプラズマ処理しないことを除
き、実施例1と同様にして得られる2.5インチハード
ディスク装置用磁気記録媒体に関する。
【0041】先ず、外径65mmの円環状非磁性基板の
上に、スパッタリング法を用いてCrを含む非磁性下地
層、次いでCoを含む磁性記録層を積層することによ
り、磁気記録媒体半製品を得た。次いで、得られた磁気
記録媒体半製品の磁性記録層の表面をプラズマ処理する
ことなく、実施例1と同様にしてカーボン保護膜を成膜
した。成膜条件は、基板−電極間電位80V、成膜圧力
2.0mtorr、Arガス40sccmを用い、アセ
チレン50sccm、成膜時間1.5〜3.3秒であっ
た。
【0042】次いで、上述のようにして得られた磁気記
録媒体におけるCo溶出量について実施例1と同様にし
て検討した。図2は、Co溶出量と膜厚との関係を示す
グラフである。
【0043】図2から明らかなように、プラズマ処理を
施した場合(実施例1)と比較して保護膜の膜厚が減少
するにつれてCo溶出量が増加する傾向は同じである
が、全ての膜厚にわたってCo溶出量が増加しているこ
とが分かる。
【0044】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、磁
気記録媒体からのCoの溶出量を低減することができ、
プラズマCVD法でカーボン保護膜を薄くしたことによ
り懸念される磁気記録媒体の信頼性における問題を軽減
することが可能である。その結果、保護膜の信頼性を保
持しながら、保護膜のより一層の薄膜化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマ処理とそれに続く保護膜の成膜とを同
一の成膜室で実施する場合を想定したガス供給のタイミ
ングを示す概略図である。
【図2】Co溶出量と保護膜の膜厚との関係を示すグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松尾 秀樹 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 草川 和大 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 Fターム(参考) 5D006 AA01 BB07 DA03 FA02 5D112 AA05 AA07 AA24 BB05 BC05 FA04 FA10 FB08 FB27

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気記録媒体の製造方法であって、 (a)非磁性基板の上に、非磁性下地層および磁性記録
    層を順次積層する工程と、 (b)前記磁性記録層の上に保護膜を成膜する直前に、
    含有ガスの存在下で発生させたプラズマを前記磁性
    記録層の表面に照射することにより該表面を改質する工
    程と、 (c)前記表面が改質された磁性記録層の上に、カーボ
    ン系保護膜を成膜する工程とを有することを特徴とする
    方法。
  2. 【請求項2】 前記工程(b)が、60V〜100Vの
    放電電圧下で実施されることを特徴とする請求項1に記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 前記工程(c)が、炭化水素系ガスを用
    いるプラズマ−CVD法によって実施されることを特徴
    とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記プラズマ−CVD法が、イオン−ビ
    ーム法であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記工程(b)および(c)を1つの成
    膜室で連続的に実施することを特徴とする請求項1〜4
    のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 非磁性基板の上に、非磁性下地層と、磁
    性記録層と、カーボン系保護膜とを順次有する磁気記録
    媒体であって、前記磁性記録層は窒素化改質面を有する
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記窒素化改質面は、N含有ガスの存
    在下で発生させたプラズマを照射することで形成される
    ことを特徴とする請求項6に記載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記プラズマの照射が、60V〜100
    Vの放電電圧下で実施されることを特徴とする請求項6
    または7に記載の磁気記録媒体。
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JPS6057535A (ja) * 1983-09-08 1985-04-03 Hitachi Maxell Ltd 磁気記録媒体
JPH11316942A (ja) * 1998-05-02 1999-11-16 Edokoro Sotaro 磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH11316942A (ja) * 1998-05-02 1999-11-16 Edokoro Sotaro 磁気記録媒体及びその製造方法

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