JP2003029025A - 光学薄膜の成膜装置及び成膜方法並びに光学フィルタ - Google Patents

光学薄膜の成膜装置及び成膜方法並びに光学フィルタ

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JP2003029025A
JP2003029025A JP2001218599A JP2001218599A JP2003029025A JP 2003029025 A JP2003029025 A JP 2003029025A JP 2001218599 A JP2001218599 A JP 2001218599A JP 2001218599 A JP2001218599 A JP 2001218599A JP 2003029025 A JP2003029025 A JP 2003029025A
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thin film
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Yuichi Umeda
裕一 梅田
Yoshihiro Someno
義博 染野
Tokio Sagane
時夫 砂金
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水晶モニタ及び光学モニタの各々の欠点を互
いに補足し、従来に比較して高い精度の成膜制御を行う
光学薄膜の成膜装置及び成膜方法を提供する。 【解決手段】 本願発明の成膜装置は、真空チャンバ1
03内において、光学フィルタ等を形成する基板202
の表面に、イオンガン102のイオンビームでターゲッ
ト207から蒸発した材料を堆積させて薄膜を形成する
とき、この薄膜の厚さを光学的に測定し、透過率データ
DTを出力する光学モニタ12と、薄膜の付着に応じて
変化する周波数を測定し、周波数データDFを出力する
水晶モニタ10とが設けられており、判定回路12が光
学モニタ11及び水晶モニタ10を切り替えて、基板2
02に形成される薄膜の厚さの制御を行うことを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学デバイスなど
に用いられる多層の光学薄膜を、高精度に基板に形成す
る光学薄膜の成膜方法及び成膜装置に係わるものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、光ファイバを用いた光通信等が盛
んに行われるようになり、この光通信に用いられる各種
フィルタに用いられる光学デバイスの高性能化、すなわ
ち高精度な光学特性に対する要求が高まっている。この
ため、上記光学デバイスに用いられる多層薄膜を形成す
るため、基板表面に形成される多層の光学薄膜各々の膜
厚を、高精度に制御しつつ、各薄膜の積層を行うことが
重要となる。従来、高精度な膜厚制御が要求される光学
薄膜の製造において、この光学薄膜の各層の薄膜の成膜
装置として、例えば、図18に示すIBS(Ion Beam S
puttering)装置が用いられている。
【0003】IBS装置は、成膜制御装置103の制御
により、イオンガン102から放射されるイオンビーム
の衝撃によるエネルギーで加熱し、成膜装置本体100
内のターゲット207に設けられた薄膜材料を蒸発させ
て、これら薄膜材料のプラズマ化された分子を用いて薄
膜を形成するため、形成される膜の緻密性が高く、ま
た、高真空中での積層処理を行うため、薄膜に混入する
不純物が少なく、高品質な薄膜を精度良く積層すること
ができる。
【0004】このIBS装置においては、成膜装置本体
100において形成される膜厚の測定を行う膜厚モニタ
101として、水晶振動子の固有振動数(以下、この固
有振動数を振動周波数とする)を用いて膜厚を測定する
膜厚モニタ(水晶膜厚計、以下、水晶モニタ),及び基
板に形成された薄膜の透過率(または反射率)を測定す
る膜厚センサ(以下、光学モニタ)のいずれかを用い
て、基板に形成される多層の光学薄膜各々の膜厚制御を
行いつつ、あらかじめ設計された膜厚を有する多層薄膜
を生成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た薄膜の厚さを測定するための水晶モニタ及び光学モニ
タには、高精度に多層薄膜を形成する場合に用いる膜厚
モニタとして、各々以下に示す欠点がある。水晶モニタ
は、成膜される薄膜の膜厚変化を測定する分解能が高
く、相対的に膜厚の積層の制御を高い精度で行うことが
できる。しかしながら、水晶モニタは、上述したように
高い精度で、相対的な膜厚dの変化を測定できるが、水
晶振動子に形成される薄膜の厚さが変化する毎に、絶対
的な膜厚dの測定に誤差が発生し、検出される膜厚dが
実際の膜厚とは異なっているという問題がある。さら
に、水晶モニタは、間接的に光学的な膜厚を測定するた
め、すなわち、屈折率の変動を考慮しない機械的な膜厚
を測定するため、膜質によっては機械的な膜厚が同一で
あっても、屈折率が異なる場合があり、光学膜厚の変動
に対応できないという問題がある。
【0006】一方、光学モニタは、屈折率(n)の変動
を含めて光学的な膜厚(dp=n・d)を直接的に測定
可能である。すなわち、光学モニタは、各層の光学薄膜
の膜厚dpに対して、λ/4が等しくなる波長λの測定
光を用いて、この測定光の信号処理を行い、図19に示
す透過率などの時間変化の測定を行う。そして、成膜制
御装置103は、上記透過率の変化において、この変化
が極値となった時点(例えば、時刻t1,t2等)で必要
な膜厚dpの薄膜が形成されたことを検出し、イオンガ
ン102の動作を停止させることなどにより、成膜装置
本体100における薄膜の成膜処理を停止させる。
【0007】しかしながら、薄膜の光学的な膜厚dp
(=λ/4)が薄すぎる膜を積層すると、対応する波長
の測定光を設定できない場合がある。これは、図19に
示す時刻t3における停止位置となる厚さ(測定光の波
長λ3に対応、すなわち光学的膜厚がλ3/4に対応しな
い測定光波長)となったときに相当し、時刻t3の膜厚
に達しても光学モニタ(膜厚モニタ101として用いて
いる)の出力が透過光(透過率)の極値として観測され
ない。一方、光学モニタで測定する適正(適切)な膜厚
dpとしてλ1/4,λ2/4,λ4/4の厚さの光学薄膜
が形成される時刻t1,t2,t4においては、透過率の
極値を観測することができる。図19は、光学モニタの
出力する透過率データDTと、時刻との関係を示したも
のであり、時刻t1,t2,t4各々において、λ1/4,
λ2/4,λ4/4の膜厚dpの光学薄膜の層が各々形成
されることを示している。ここで、λ1,λ2,λ3,λ4
は、各々測定光の波長である。
【0008】したがって、従来の成膜装置には、光学モ
ニタにとって不適当な光学膜厚の成膜制御を行う場合、
指定された光学膜厚を検出するのに、極値を用いずに判
定することとなり、不確定要素によるばらつきが拡大し
てしまうという欠点がある。本発明はこのような背景の
下になされたもので、水晶モニタ及び光学モニタの各々
の欠点を互いに補足し合い、従来に比較してより高い精
度の成膜制御を行う光学薄膜の成膜方法及び成膜装置を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の光学薄膜の成膜
装置(例えば、IBS)は、基板の表面に材料を堆積さ
せて薄膜を形成する薄膜形成手段と、この薄膜の厚さを
光学的に測定し、第1の膜厚データ(例えば、透過率デ
ータDT)を出力する光学モニタ(光学モニタ11)
と、前記薄膜の厚さを周波数に基づき測定し、第2の膜
厚データ(例えば、周波数データDF)を出力する水晶
モニタ(水晶モニタ10)と、光学モニタ及び水晶モニ
タを切り替えて、第1及び第2の膜厚データのいずれか
に基づき前記薄膜形成手段(成膜装置本体100,イオ
ンガン102)における成膜を制御する膜厚判定手段
(判定回路12)とを設けたことにより、通常、光学モ
ニタを用いて堆積される薄膜の厚さを測定するが、光学
モニタによって光学的に膜厚を測定できない薄い薄膜な
ど(測定不適当な薄膜)の測定を、この光学モニタに換
え、光学モニタによってすでに成膜された層の膜厚デー
タに基づく補正係数で測定膜厚の補正された水晶モニタ
を用いることにより測定することが可能となり、複数の
不規則な膜厚の光学薄膜の層で形成される多層薄膜をも
構成することができる。
【0010】本発明の光学薄膜の成膜装置は、前記膜厚
判定手段が、形成される光学薄膜の厚さを光学モニタで
測定可能な場合、前記第1の膜厚データを用い、光学モ
ニタで測定不適当な場合、前記第2の膜厚データを用
い、成膜の制御を行うことにより、多層薄膜の各層の膜
厚があらかじめフィルタなどの設計値として成膜装置に
設定されているので、光学モニタでは測定不適当な膜厚
の薄膜を形成させるとき、この薄膜の成膜開始時から、
光学モニタに換えて水晶モニタの測定値により膜厚制御
を行うため、不規則な膜厚の薄膜で形成される多層薄膜
の作製において、薄膜の形成の終了、すなわちイオンガ
ンの停止が遅れることなく、精度の高い膜厚制御をリア
ルタイムに行え、設計値に対応した多層薄膜の作製を行
うことができる。
【0011】本発明の光学薄膜の成膜装置は、前記膜厚
判定手段が、前記第1の膜厚データに基づき、前記第2
の膜厚データの補正を行うことで、光学モニタの膜厚の
値により、水晶モニタの膜厚の測定の分解能は高いが、
膜厚センサである水晶振動子に薄膜が成長することで、
水晶モニタの第2の膜厚データが実際の値(第1の膜厚
データ)とずれてしまうという欠点を、各層の形成後に
おける水晶モニタの第2の膜厚データの補正を行うこと
で補い、常に、水晶モニタが光学モニタと同等の膜厚デ
ータ、すなわち、精度の高い膜厚測定を行えるように調
整することができ、上述した光学モニタが測定できない
膜厚の薄膜の成膜時に、光学モニタに換え水晶モニタを
用いても、光学モニタを用いたと同様な精度の高い膜厚
の測定を行え、複数の不規則な膜厚の多層薄膜を設計値
に対応させて形成させることができる。
【0012】本発明の光学薄膜の成膜装置は、前記膜厚
判定手段が、サンプリングした第1の膜厚データから透
過率または反射率の関数を求め、この関数に対して多項
式回帰関数、例えば2次回帰関数を用いることにより、
光学モニタの出力する第1の膜厚データが予め設定され
た設計膜厚データとなる時刻の推定を行うので、透過率
の変化の極値の検出を、この極値を通過する前に行うこ
とで、あらかじめ成膜を終了させる時刻を設定して、上
記極値となる時刻に成膜を行うイオンガンを、遅延する
ことなく停止させることができ、設計値の膜厚を正確に
形成させることができる。
【0013】本発明の光学薄膜の成膜装置は、前記膜厚
判定手段が、サンプリングした第1の膜厚データから透
過率または反射率の関数を求め、この関数に対して回帰
計算により傾きの変化を求めて極値となる時刻を推定す
ることにより、光学モニタの出力する第1の膜厚データ
が予め設定された設計膜厚データとなる時刻の推定を行
うので、透過率の変化の極値の検出を、この極値を通過
する前に行い、あらかじめ成膜を終了させる時刻を設定
して、上記極値となる時刻に成膜を行うイオンガンを、
遅延することなく停止させることができ、設計値の膜厚
を正確に形成させることができる。
【0014】本発明の光学薄膜の成膜方法は、基板の表
面に材料を堆積させて薄膜を形成する薄膜形成過程と、
この薄膜の厚さを光学的に測定し、第1の膜厚データ求
める光学モニタ過程と、前記薄膜の厚さを周波数に基づ
き測定し、第2の膜厚データを求める水晶モニタ過程
と、第1及び第2の膜厚データのいずれかに基づき前記
薄膜形成過程における成膜を制御する膜厚判定過程とを
有していることにより、通常、光学モニタを用いて堆積
される薄膜の厚さを測定するが、光学モニタによって光
学的に膜厚を測定できない薄い薄膜などの測定を、この
光学モニタに換え、水晶モニタを用いることにより測定
することが可能となり、複数の不規則な膜厚の光学薄膜
の層で形成される多層薄膜をも構成することができる。
【0015】本発明の光学薄膜の成膜方法は、前記膜厚
判定過程において、形成される光学薄膜の厚さを光学モ
ニタで測定可能な場合、前記第1の膜厚データが用いら
れ、光学モニタで測定不適当な場合、前記第2の膜厚デ
ータが用いられ、成膜の制御が行われるので、多層薄膜
の各層の膜厚があらかじめフィルタなどの設計値として
成膜装置に設定されているので、光学モニタでは測定不
適当な膜厚の薄膜を形成させるとき、この薄膜の成膜開
始時から、光学モニタに換えて水晶モニタの測定値によ
り膜厚制御を行うため、不規則な膜厚の薄膜で形成され
る多層薄膜の作製において、薄膜の形成の終了、すなわ
ちイオンガンの停止が遅れることなく、精度の高い膜厚
制御をリアルタイムに行え、設計値に対応した多層薄膜
の作製を行うことができる。上述した成膜装置及び成膜
方法により製造された多層薄膜からなる光学フィルタ
は、各層の薄膜の厚さが不規則であっても、各層の膜厚
が設計値に高い精度で対応しており、GFF(ゲイン・
フラットニング・フィルタ)などの周波数毎に正確にゲ
インを調整する光学薄膜として最適な特性を得ることが
できる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態に
よる成膜装置の構成例を示すブロック図である。従来例
の図18の成膜装置と同様な構成については同一の符号
を付し、この構成の説明を省略する。この図において、
水晶モニタ10は、成膜装置本体100の真空チャンバ
3内に設けられた水晶振動子から構成された膜厚センサ
206(図2参照)からの周波数信号(水晶振動子の固
有振動数の情報)を入力し、この周波数信号をデジタル
データに変換し、変換されたデジタルデータの周波数デ
ータDF(水晶振動子の固有振動数を示す)を成膜制御
装置103及び判定回路12へ出力する。次に、図2
は、図1における成膜装置本体100及びイオンガン1
02との構成を詳細に示したものである。多層膜が形成
される基板202は、基板ホルダ回転機構2に接続され
た基板ホルダ201へ固定されている。基板ホルダ回転
機構2は、モータなどから構成されており、ターゲット
207から照射される原子及び分子が平均して、基板2
02へ堆積されるように、基板ホルダ201を回転させ
る。
【0017】イオンガン102は、発生させたイオンを
加速させ、ターゲット207の堆積させる材料へイオン
ビームを照射させ、このイオンビームのエネルギーによ
りターゲットの材料を基板202へ照射させる。ここ
で、ターゲット207は、回転軸208に沿って回転自
在な構造になっており、イオンガン102からのイオン
ビームに対して、所定の材料の面を向けることにより、
複数の薄膜の材料を基板202へ照射することができ
る。真空チャンバ3は、図示しない真空ポンプにより、
排気口150から空気及びガス(ターゲット207から
照射され、どこにも堆積しなかった材料)を排出し、真
空度が調整されている。光学による膜厚測定系におい
て、光学モニタセンサ205は、図3に示す構成をして
いる。図3は、光学モニタセンサ205の詳細な構成を
示す概念図である。投光部203は、真空チャンバ3
(図2参照)内に設けられ、光ファイバF1を介して送
られてくる所定の波長(測定する膜厚dpの4倍、すな
わちλ/4が膜厚dpに対応する)の測定光を、基板ホ
ルダ201の測定光を透過させるために明けられた穴で
ある窓部201Hより、基板202の裏面に照射する。
【0018】受光部204は、集光レンズなどから構成
されており、基板202を透して受光する透過光を光フ
ァイバF2を介して、光学モニタ11へ出力する。図1
に戻り、光学モニタ11は、真空チャンバ3内に設けら
れた光学モニタセンサ205の受光部204(図3参
照)からの透過光を入力し、透過光の強度に応じた電圧
の検出信号を生成する。また、光学モニタ11は、上記
検出信号をA/D変換し、薄膜が形成されていない時の
検出信号の強度との比から、デジタルデータとなる透過
率データDTを算出し、成膜制御装置103及び判定回
路12へ出力する。成膜制御装置103は、水晶モニタ
10及び光学モニタ11から各々入力される周波数デー
タDF,透過率データDTに基づき、それぞれが正常に
動作しているか否かの判定を行う。また、成膜制御装置
103は、イオンガン102における放電に必要な電源
の制御及び真空チャンバ3の真空度の制御を行う。水晶
モニタ10は、水晶振動子よりなる膜厚センサ206か
ら入力される周波数信号を、所定の時間毎にデジタルデ
ータに変換し、周波数データDFとして判定回路12へ
出力する。判定回路12は、成膜制御装置103の制御
により、イオンガン102にイオンビームの照射を開始
させ、入力される上記透過率データDT及び周波数デー
タDFに基づき、成膜中の薄膜が設計値の膜厚となった
か否かの判定を行い、イオンガン102のイオンビーム
のターゲットに対する照射を停止させる。
【0019】ここで、判定回路12は、光学モニタ11
からの透過率データDTから換算される膜厚dpに基づ
いて、水晶モニタ10から入力される周波数データDF
から求める膜厚dの補正を行う。すなわち、判定回路1
2は、図4に示すように、所定の時間毎(A/D変換に
よる透過率のサンプリング周期毎)に、水晶モニタ10
から入力される周波数データDFから求まる膜厚dの数
値を、透過率データDTの示す膜厚dpから求められる
膜厚dtの数値に合わせる補正を行う。図4は、成膜時
間と周波数データDFの示す周波数(膜厚センサ206
における水晶振動子の振動周波数(=固有振動数)であ
り、膜厚dに対応するものである)との対応関係を示す
図である。この図4において、横軸は成膜時間であり、
縦軸は周波数データDFの周波数値を示し、また、実測
値は線αで示しており、水晶モニタ10が判定回路12
へ送信する誤差を含んだ周波数データDFである。ま
た、図4において、本来の値は点線βで示しており、透
過率データDTから求めた、誤差のない周波数データD
Fの数値を示している。したがって、膜厚dは周波数デ
ータDFに対応する数値であり、膜厚dtは透過率デー
タDTにより補正された膜厚の数値である。
【0020】そして、判定回路12は、周波数データD
Fから求めた膜厚dと、透過率データDTから求めた膜
厚dtとを比較し、この比較の結果により、膜厚dを膜
厚dtの値に変更することで補正し、常に、周波数デー
タDFから求まる膜厚dと透過率データDTから求まる
膜厚DFから求まる膜厚dtとが同等であるように調整
処理を行う。これにより、周波数データDFから算出さ
れる膜厚dに誤差が蓄積されずに、常に補正された膜厚
dtに近い値を得ることが可能となる。ここで、図4に
示すように、判定回路12は、周波数データDFの補正
において、膜厚dを膜厚dt(光学膜厚dpと同等)に対
応させるとともに、各実測値の周波数データに乗ずるこ
とにより、線αが点線βに重なる補正係数を求める。こ
れにより、周波数データDFと時刻との関数、すなわち
上記補正係数により補正した点線βに基づいた、設計膜
厚となる時刻の推定を、光学モニタ11による設計膜厚
の検出に近い精度で行うことができる。また、このと
き、判定回路12は、成膜処理において、各層の薄膜の
成長が終了する毎に、すなわち、各薄膜の形成毎に、膜
厚dが一定時間毎に増加する成長レート(成長割合)を
計算し、成長レートを随時更新する。これにより、判定
回路12は、図4に示す点線βの関数により、すなわち
周波数データDFと、上記補正係数とに基づき、成膜開
始時点において測定された膜厚dから、設計値の膜厚と
なるまでの時間が高い精度で演算により推定することが
できる。このとき、判定回路12は、透過率データDT
から求められる膜厚dpを屈折率nで除算し、機械的な
膜厚dtに変換した後に、この膜厚dtを、水晶モニタ
10からの膜厚dとすることにより、膜厚dを実際の膜
厚の数値に補正している。これにより、判定回路12
は、膜厚dに屈折率nを乗じた光学的膜厚と、光学モニ
タ11からの透過率データDTから求まる膜厚dpとが
常に同等の数値となるように補正を行い、単位時間毎に
成長する膜厚(薄膜の成長レート)の補正(例えば、周
波数(膜厚)と時刻との関係を示す関数に対して、周波
数に基づきこの関数から得られる膜厚の変化量を補正、
すなわち周波数データDFに補正係数等を乗ずることに
より行われる)も、上述したように、膜厚dの補正と同
時に行う(ツーリング補正)。
【0021】また、判定回路12は、成膜制御装置10
3からの制御信号により、成膜制御装置103の多層薄
膜の各層の設計値としての膜厚を、各層を形成する前に
読み出し、基板202に形成する薄膜の厚さが測定可能
か否か、または光学モニタ11が正常に動作しているか
否かを検出する。膜厚に規則性が無くとも、形成される
薄膜の膜厚が光学モニタ11において測定可能な場合、
判定回路12は、光学モニタ11から得られる透過率デ
ータDTに基づき透過率の極値の検出、すなわち成膜の
終点検出を行う。すでに述べたように、光学モニタ11
は、基板202において形成される多層薄膜各々の膜厚
に規則性が無く、薄い膜厚の場合や、正常に動作してい
ない場合に薄膜の厚さが設定値となったか否かの判定が
行えない。したがって、判定回路12は、形成される薄
膜が所定の膜厚より薄い場合、または成膜制御装置10
3から光学モニタ11が正常に動作していないとの制御
信号を入力した場合、薄膜の形成処理における終点検出
を、水晶モニタ10から得られる周波数データDF(補
正後の)に基づき膜厚dを算出し、図4に示す補正後
の、周波数データDF(膜厚)と時刻との関係を示す点
線βの関数に基づき、設計値の機械的な膜厚となる時刻
を推定して、この推定された推定時刻となったとき、イ
オンガン102からのイオンビームの放射を停止させ、
成膜処理を終了する。この結果、判定回路12は、推定
時刻になった時点で薄膜の形成処理を終了するため、精
度の高い膜厚を形成することが出来る。
【0022】上述したように、判定回路12は、薄膜の
厚さが光学モニタ11において測定可能、すなわち透過
率の極値の検出が可能である場合、上述したように透過
率データDTの極値を検出することにより、設計値の光
学的な膜厚となったと判定し、薄膜形成の処理を終了す
る。しかしながら、判定回路12が極値の検出された時
点でイオンガン102のイオン照射を停止したとして
も、極値の検出処理の間に薄膜が形成され、設定された
膜厚を越えてしまう。このため、判定回路12は、入力
される透過率データDTに対して信号処理を行い、極値
に到達する時刻tpを推定し、この推定した時刻Tpにイ
オンガンを停止させることにより、透過率の極値検出か
らイオンガン102の照射を停止させるまでのディレイ
時間を低減させる。上述した理由により、形成している
薄膜における透過率の極値の測定を行うが、例えば、以
下に示す2種類の方法により推定処理を行っており、以
下にその極値となる時刻tpの推定方法に付いて順次述
べる。
【0023】判定回路12において行われる透過率の極
値検出による成膜時刻(最低及び最高としての極値をと
る時刻tp)の推定演算の方法として、以下に示す2次
回帰関数を用いた方法がある。受光部204は、入射し
た測定光に基づき、基板202及び形成された薄膜を介
して出射される透過光の光強度を、この強度に対応した
電圧に変換して検出信号として出力する。判定回路12
は、この検出信号に基づいて、光学モニタ11がA/D
変換して出力する透過率データDTを、透過光の強度を
示す数値として読み込む。この読み込まれた透過率デー
タDTは、図5(横軸:光学膜厚,縦軸:透過率)に示
すように、形成される薄膜の膜厚dpに基づく透過率と
測定光の波長λとに対応して、周期性の曲線を描くこと
になる。
【0024】この曲線は、透過率が極値となる近傍で
は、通常、以下に示すような多項式(1)により近似す
ることができ、4次項以降を省略しても近似が可能であ
る。 y = a0+a1・t +a2・t2+a3・t4+a4・t6+… … (1) 式(1)において、a0,a1,a2,a3,a4は、回帰
計算の対象となる係数である。このとき、基板202及
び形成された薄膜の透過率は、実際には、積層された多
層の薄膜の形成過程で生じる複雑性や薄膜の屈折率の不
均一性及び受光部204や光学モニタ11での電流増幅
の直線性のため、より複雑な関数となる。
【0025】しかしながら、極値近傍においては、式
(1)の4次項以下を省略して近似することが可能であ
る。 y = a0+a1・t +a2・t2 … (2) 図6(横軸:光学膜厚,縦軸:透過率)に示すように、
理論的透過率の変化(実線)の式(1)に対して、式
(2)は、この式(1)に対して2次回帰線(破線)、
すなわち2次回帰関数による近似となる。a0〜a2は、
係数である。また、入力される透過率データDTは、図
7(横軸:時刻,縦軸:透過率)に示すように、サンプ
リングされた透過光には実測値T(t)のようにノイズ
が重畳されるため、このノイズを含んだ値として求めら
れ、図7の2次回帰線が破線で示されている。
【0026】判定回路12は、以下の式(3)により、
式(2)の2次回帰関数の微分値、すなわち接線の傾き
を求める。 dy/dt = a1 + 2・a2・t … (3) そして、判定回路12は、この破線の傾きが「0」とな
る時刻を演算して、測定する層の薄膜の厚さに対応する
波長の測定光において、透過率が極値を持つ時刻tpを
推定することとなる。すなわち、時刻tpは、「tp =
−a1/(2・a2)」と求められる。
【0027】また、判定回路12において行われる透過
率の極値検出による成膜時刻(最低及び最高としての極
値をとる時刻tp)の推定演算の他の方法として、以下
に示す回帰計算による傾きの変化の計算を用いた方法が
ある。透過率を所定の時間間隔の時刻毎(t1,t2,t
3,…)にT1,T2,T3,…と測定すると図8の様にノ
イズの重畳された値として検出される。このため、透過
率の傾きの変化が0となる時刻を回帰計算を用いて推定
する方法が考えられる。すなわち、デジタルフィルタに
より、図8(横軸:時刻,縦軸:透過率)において示す
ノイズの重畳された透過率から、高周波成分を除去す
る。このとき、式(4)に基づき、デジタルフィルタに
よるフィルタ計算が行われる。
【数1】 式(4)において、n及びlは整数であり、xは入力信
号、すなわち添えられた数字に対応する透過率の数値で
ある。
【0028】ここで、フィルタ計算の範囲であるタイム
ウィンドウの一例として、このタイムウィンドウにハニ
ングウィンドウ(Hanning window)を用いる。上述した
式(4)で用いられるハニングウィンドウは、次の式
(5)のような構成になる。
【数2】 すなわち、データ数N(Nは整数)が平均化(フィルタ
計算)区間に相当しており、例えば、一定時間毎に測定
された任意の範囲の透過率Ti,Ti+1,…,Ti+N-1が
平均化される。また、次に平均化される区間としては、
上述と同様に一定時間毎に測定された透過率Ti+1,Ti
+2,…,Ti+Nが相当する。
【0029】そして、フィルタ計算区間が、時刻t1か
ら時刻t3までの時間Tsの範囲(透過率Ti,Ti+1,
…,Ti+N-1の範囲に相当)であると、最新の透過率は
時刻t3に測定されたものであるが、フィルタ計算の結
果としては、時刻t3より時間「Ts/2」前の時刻t2
の透過率の値として、図9(横軸:時刻,縦軸:透過
率)のようにスムージング(平均化されて高周波成分が
除去)された状態で出力される。次に、判定回路12
は、上述のフィルタ計算の結果として得られた透過率に
おいて、所定の範囲、例えば、透過率Tj,Tj-1,…,
Tj+m-1(j及びmは自然数)の範囲で、図10(横
軸:時刻,縦軸:透過率)に示すように、例えば直線回
帰を行い、透過率Tj,Tj-1,…,Tj+m-1の範囲(直
線回帰区間)における平均傾斜を求める。この直線回帰
により、上述した範囲での透過率の平均傾斜として、以
下に示す式(6)が得られる。 y = a0+a1・t … (6)
【0030】次に、判定回路12は、上記式(6)で求
まる平均傾斜を図11(横軸:時刻,縦軸:透過率の傾
き)に示すように、上記直線回帰区間毎にプロットし、
このプロットされた平均傾斜に対して、所定の区間にお
ける直線回帰を行い、以下に示す式(7)を求める。 a = b0+b1・t … (7) 式(7)において、傾きaが「0」となる時刻を計算し
て、この計算結果を透過率が極値(ピーク値)となる時
刻tpの推定値として出力する。すなわち、「a=b0+
b1・tp=0」から、「tp=−(b0/b1)」が推定値
として求められる。なお、上述の回帰区間に対し、透過
率変化の曲率が無視できない場合は、より高次の多項式
による曲線回帰計算を行い、極値となる時刻tpの推定
を行うようにしてもよい。
【0031】次に、図1、図2,図3及び図12を参照
し、一実施形態の動作例を説明する。図12は、図1の
成膜装置の動作例を説明するフローチャートである。例
えば、図13の様に、ガラス基板(セラミック)である
基板202表面に、各層の膜厚及び材料の異なる複数の
薄膜(数十層)を堆積し、GFFを形成する場合を説明
する。図13(a)はGFFの斜視図であり、図13
(b)は図13(a)の線分Aで切断した断面図であ
る。基板202の裏面には、表面における多層膜形成後
に、所定の波長の光に対する反射防止膜が堆積される。
ステップS1において、作業者は、上述した多層膜を形
成する薄膜各々の材料と膜厚(ここでは、例えば、光学
的な膜厚dp)とのデータを、成膜制御装置103に入
力し、成膜装置の動作準備を行う。ここで入力される薄
膜各々の材料及び膜厚は、ファイバアンプの特性に対応
させて予め他の計算機により設計されたGFFの各層の
数値である。そして、作業者は、上述のGFFの各層の
設計値を入力した後、成膜装置の成膜処理を開始させ
る。
【0032】次に、ステップS2において、成膜制御装
置103は、成膜装置本体100の真空度を所定の値と
するため、図示しない真空ポンプを動作させ、真空チャ
ンバ3の排気を開始する。そして、成膜制御装置103
は、形成する薄膜の目標(設計値としての)膜厚dpに
対応する波長λiを演算して(膜厚dpとλi/4が等し
くなる波長λiを演算して)、この波長λiの波長を図示
しない光源に対して設定し、この光源から光学モニタセ
ンサ205に対して、この波長λiの測定光を射出させ
る。次に、ステップS3において、成膜制御装置103
は、水晶モニタ10及び光学モニタ11の動作が正常に
行われ、かつ、光源の出力する測定光の強度や波長が安
定したか否かの判定を行い、安定していないと判定され
た場合、ステップS3の処理を再度行い、すなわち、上
記測定光の強度や波長などが安定するまでステップS3
の処理を繰り返して行う。そして、成膜制御装置103
は、光源の出力する測定光の強度や波長が安定したと判
定すると、処理をステップS4へ進める。
【0033】次に、ステップS4において、成膜制御装
置103は、基板ホルダ回転機構2に所定の速度におけ
る回転動作をさせるとともに、水晶モニタ10と光学モ
ニタ11とに動作を開始させ、判定回路12に対して、
水晶モニタ10及び光学モニタ11各々からの周波数デ
ータDF,透過率データDTに基づく成膜終了時刻の推
定、すなわち設計値の膜厚に達したか否かの判定処理を
開始させ、処理をステップS5へ進める。そして、ステ
ップS5において、成膜制御装置103は、判定回路1
2に対して、イオンガン102にイオンビームの照射を
開始させ、成膜処理を開始させる制御信号を出力する。
これにより、判定回路12は、イオンガン102に対し
て、所定の成膜速度で薄膜が堆積するエネルギーで、イ
オンビームをターゲット207へ放射させる。すなわ
ち、イオンエネルギーを調整することにより、形成され
る薄膜の単位時間当たりの堆積量である堆積速度を制御
することができる。
【0034】次に、ステップS6において、判定回路1
2は、測定すべき薄膜の膜厚が測定可能、すなわち、光
学モニタ11により透過率の極値が測定可能な膜厚であ
ると判定した場合、処理をステップS7へ進める。そし
て、ステップS7において、判定回路12は、例えば、
i層目の薄膜の成長を行うとすると、「n・di=λi/
4」となる波長λiの測定光を光源に放射させている。
ここで、上述の式において、nは薄膜の屈折率であり、
diは所定の層の薄膜の機械的な膜厚(膜厚d)であ
る。これにより、判定回路12は、光学モニタ11から
出力される透過率データDTに基づき、形成している薄
膜の膜厚の変化を示すため、所定の時刻毎(A/D変換
のタイミング毎)にこの透過率データDTをプロットす
る。
【0035】次に、ステップS8において、判定回路1
2は、光学モニタ11から入力される透過率データDT
に基づき、既に述べた透過率の極値の推定方法により、
透過率の極値(ピーク値)に到達する時刻tpを推定
し、内部に時刻の設定値としてこの時刻tpを記憶し、
処理をステップS9へ進める。そして、ステップS9に
おいて、判定回路12は、極値となる推定された時刻t
pと、現在の時刻とが一致したか否か、すなわち、推定
された時刻tpに現在の時刻が達したか否かの判定を行
う。このとき、判定回路12は、現在の時刻が時刻tp
に達しない場合、処理をステップS7へ戻し、ステップ
S7〜S9の処理を繰り返して行う。一方、判定回路1
2は、現在の時刻が時刻tpに達した場合、処理をステ
ップS10へ進める。これにより、ステップS10にお
いて、判定回路12は、イオンガン102に対して、イ
オンビームの放射を停止させ、i層目の成膜処理を終了
する。
【0036】次に、判定回路12は、水晶モニタ10に
対して、薄膜の膜厚に対応する周波数を補正するツーリ
ング補正を行い、成膜制御回路103に成膜処理が終了
したことを通知し、処理をステップS12へ進める。そ
して、ステップS12において、成膜制御回路103
は、多層膜における全ての層の薄膜の形成が終了したか
否かの判定を行う。このとき、成膜制御回路103は、
全ての多層膜の形成が終了した場合、成膜処理を全て終
了するが、全ての多層膜の形成が終了しない場合、処理
をステップS1に戻し、次の層の成膜処理を開始する。
【0037】また、ステップS6において、判定回路1
2は、測定すべき薄膜の膜厚が測定不適当、すなわち、
光学モニタ11により透過率データDTのプロットされ
た曲線(関数曲線)の極値を測定することが不適当な膜
厚であると判定した場合、処理をステップS13へ進め
る。次に、ステップS13において、判定回路12は、
水晶モニタ10から出力される周波数データDFに基づ
き、i層目の薄膜の膜厚が設計値の機械的な膜厚となっ
たか否かの判定を行う。すなわち、判定回路12は、水
晶モニタ10の周波数データDFから求めた膜厚dの時
間的変化を演算して求め、設計値の機械的な膜厚の成長
にかかる残り時間をこの時間変化に基づいて演算し、こ
の時間を信号検出時の時刻(時間的変化を求めた上記周
波数データDFの入力時)に加算することにより、成膜
処理を終了する時刻を推定し、処理をステップS14へ
進める。
【0038】そして、ステップS14において、判定回
路12は、現在の時刻がステップS13で求められた推
定時刻に一致したか否か、すなわち目標の設計値の膜厚
に達したか否かの判定を行う。このとき、判定回路12
は、目標の設計値の膜厚に達しない場合、処理をステッ
プS13へ戻し、ステップS13及びS14の処理を繰
り返して行う。一方、判定回路12は、目標の設計値の
膜厚に達した場合、処理をステップS15へ進める。こ
れにより、ステップS15において、判定回路12は、
イオンガン102に対して、イオンビームの放射を停止
させ、i層目の成膜処理を終了する。
【0039】次に、判定回路12は、成膜制御回路10
3に成膜処理が終了したことを通知し、処理をステップ
S12へ進める。そして、ステップS12において、成
膜制御回路103は、多層膜における全ての層の薄膜の
形成が終了したか否かの判定を行う。このとき、成膜制
御回路103は、全ての多層膜の形成が終了した場合、
成膜処理を全て終了するが、全ての多層膜の形成が終了
しない場合、処理をステップS1の戻し、多層薄膜にお
いて次の層i+1の成膜処理を開始する。
【0040】上述してきたように、本発明の光学薄膜の
成膜装置は、判定回路12が水晶モニタ10及び光学モ
ニタ11の双方が設けられているので、薄膜の膜厚が設
計値となったとき、イオンガン102にイオンビームの
放射を停止させ、薄膜の形成を終了させるとき、この設
計値になったか否かの判定を、通常、光学モニタ11を
用いて堆積される薄膜の厚さを測定することで行うが、
光学モニタ11によって光学的に膜厚を測定できない薄
い薄膜などの測定を、この光学モニタ11に換え、膜厚
によらずに測定が行える水晶モニタ10を用いることに
より、複数の不規則な膜厚の光学薄膜の層で形成される
多層薄膜をも構成することができる。
【0041】また、本発明の光学薄膜の成膜装置は、上
記判定回路12が、形成される光学薄膜の厚さを光学モ
ニタ11で測定可能な場合、透過率データを用い、光学
モニタ11で測定不適当な場合、水晶モニタ10の周波
数データを用い、成膜の制御を行うことにより、多層薄
膜の各層の膜厚があらかじめフィルタなどの設計値とし
て成膜制御装置103に設定されているので、光学モニ
タ11では測定不適当な膜厚の薄膜を形成させるとき、
この薄膜の成膜開始時から、光学モニタ11に換えて水
晶モニタ10の測定値により膜厚制御を行うため、不規
則な膜厚の薄膜で形成される多層薄膜の作製において、
薄膜の形成の終了、すなわちイオンガン102の停止が
遅れることなく、精度の高い膜厚制御をリアルタイムに
行え、設計値に対応した多層薄膜の作製を行うことがで
きる。
【0042】さらに、本発明の光学薄膜の成膜装置は、
上記判定回路12が、透過率から求まる膜厚データに基
づき、水晶モニタ10の周波数信号に基づく膜厚データ
の補正を行うことで、水晶モニタの膜厚の測定の分解能
は高いが、膜厚センサである水晶振動子に薄膜が成長す
ることで、水晶モニタ10の周波数データDFが実際の
値(透過率データDT(第1の膜厚データ)に基づく膜
厚)とずれてしまうという欠点を、各層の形成後におけ
る水晶モニタの周波数データDF(第2の膜厚データ)
の補正を行うことで補い、常に、水晶モニタ10が光学
モニタ11と同等の膜厚データ、すなわち、精度の高い
膜厚測定を行えるように調整することができ、上述した
光学モニタ11が測定できない(測定不適当)膜厚の薄
膜の成膜時に、光学モニタ11に換え水晶モニタ10を
用いても、光学モニタ11を用いたと同様な精度の高い
膜厚の測定を行え、複数の不規則な膜厚の多層薄膜を設
計値に対応させて形成させることができる。また、上述
の説明において、光学モニタ11による膜厚測定におい
て、光学的な膜厚の測定値として透過率を用いて説明し
てきたが、本発明においては、透過率に限らず、透過率
に換えて反射率を用いて膜厚の測定を行うことも可能で
ある。
【0043】次に、上述した本発明の光学薄膜の成膜方
法及び成膜装置により生成された多層薄膜を応用した光
学デバイスについて説明する。図14は、多層薄膜を用
いた光学フィルタである光BPF(バンドパスフィル
タ)の断面図を示している。図14の光BPFは、媒質
に本発明の装置または方法により製造された多層薄膜の
光BPF・50,51,52,53,54が貼着されて
構成されたバンドパスフィルタである。例えば、図14
に示すバンドパスフィルタには波長λ1〜λ8の光信号が
入力され、BPF・50,51,52,53,54で各
々波長λ1,λ2,λ3,λ4,λ5の光信号に分離して出
力する。したがって、図14のバンドパスフィルタは、
入力された複数の波長を有する光信号を、各々波長の光
信号に分離して出力する。
【0044】また、次に、図15は、光通信を行う場
合、伝搬する光信号の強度が減衰するときに、減衰した
光強度を増幅する中継局に用いられる光学フィルタであ
るZフィルタ(エッジフィルタ)及びBFFを示す図で
あるZフィルタ101〜102は、所定の波長の反射率
が調整されたものであり、各波長の光信号の透過を制御
する。例えば、Zフィルタ101は、C帯及びL帯の波
長に対する反射率が高く、S帯のみが透過して、ファイ
バアンプ(S帯の波長に対応した光アンプ)104へ光
信号を入射させる。また、Zフィルタ102は、図16
に示すように、S帯及びC帯の波長に対する反射率を高
くして、L帯の光信号のみを透過させる。
【0045】これにより、Zフィルタ102は、ファイ
バアンプ105(C帯の波長に対応した光アンプ)へ、
S帯及びC帯の波長の光信号を入射させるが、S帯の光
がZフィルタ101によりファイバアンプ104へ入射
させられているため、実質的にC帯のみの光信号がファ
イバアンプ105へ入射される。Zフィルタ102は、
S帯,C帯及びL帯の波長に対する反射率を高くして、
S帯,C帯及びL帯の光信号を反射させる。ここで、S
帯は1450〜1485nmの波長の帯域の光信号を示
し、C帯は1530〜1560nmの波長の帯域の光信
号を示し、L帯は1565〜1610nmの波長の帯域
の光信号を示している。
【0046】ファイバアンプ104〜106は、各々S
帯,C帯,L帯の波長の光信号の増幅を行うが、各々帯
域のなかの波長によりゲインが異なる。例えば、図17
に示すように、ファイバアンプ105のゲイン(Gain)
の特性は平坦なものでなく、波長により変動している。
このため、BFF・107〜109は、光学フィルタで
あり、図17に示す様にファイバアンプ105のゲイン
の特性とは逆のゲイン特性を有しており、各々のファイ
バアンプ104,105、106の増幅した光強度を平
坦にするために用いられる。
【0047】以上、本発明の一実施形態を図面を参照し
て詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限ら
れるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設
計変更等があっても本発明に含まれる。
【0048】
【発明の効果】この発明によれば、薄膜形成手段による
成膜処理の停止の判定、すなわち、設計値となったか否
かの判定を行うため、膜厚判定手段が、通常、光学モニ
タを用いて堆積される薄膜の厚さを測定するが、光学モ
ニタによって光学的に膜厚を測定できない薄い薄膜など
の測定を、この光学モニタに換え、水晶モニタを用いる
ことにより測定するようにしたため、複数の不規則な膜
厚の光学薄膜の各層を、高い精度で形成することが可能
となり、どのような膜厚の薄膜で構成される多層薄膜を
も形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態による成膜装置の構成例
を示すブロック図である。
【図2】 図1における成膜装置本体100及びイオン
ガン102の構成例を示す概念図である。
【図3】 図2における光学モニタセンサ205の構成
例を示す概念図である。
【図4】 水晶モニタ10にセンサ205から入力され
る周波数信号と成膜時間との関係を示すグラフである。
【図5】 形成される光学薄膜の膜厚とこの膜厚に基づ
く透過率との対応を示すグラフである。
【図6】 形成される光学薄膜の膜厚とこの膜厚に基づ
く透過率との対応を示すグラフである。
【図7】 光学薄膜の形成時間とこの膜厚に基づく透過
率との対応を示すグラフである。
【図8】 光学薄膜の形成時間とこの膜厚に基づく透過
率との対応を示すグラフである。
【図9】 光学薄膜の形成時間とこの膜厚に基づく透過
率との対応を示すグラフである。
【図10】 光学薄膜の形成時間とこの膜厚に基づく透
過率との対応を示すグラフである。
【図11】 光学薄膜の形成時間とこの膜厚に基づく透
過率の関数の傾きとの対応を示すグラフである。
【図12】 図1の成膜装置の動作例を説明するフロー
チャートである。
【図13】 形成する多層薄膜(例えば、GFF)の構
造を示す概念図である。
【図14】 本願発明の光学デバイスへの応用としてバ
ンドパスフィルタの構成例を示す概念図である。
【図15】 Zフィルタ及びBFFの使用される光通信
の中継局を示す概念図である。
【図16】 Zフィルタの特性例を示すグラフである。
【図17】 ファイバアンプとBFFとの各々のゲイン
特性を示すグラフである。
【図18】 従来の成膜装置の構成を示すブロック図で
ある。
【図19】 光学薄膜の形成時間とこの膜厚に基づく透
過率との対応を示すグラフである。
【符号の説明】
2 基板ホルダ回転機構 3 真空チャンバ 10 水晶モニタ 11 光学モニタ 12 判定回路 100 成膜装置本体 102 イオンガン 103 成膜制御装置 150 排気口 201 基板ホルダ 201H 窓部 202 基板 203 投光器 204 受光部 205 光学モニタセンサ 206 膜厚センサ 207 ターゲット F1,F2 光ファイバ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 砂金 時夫 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 Fターム(参考) 2H048 GA51 GA60 4K029 BC07 EA00 EA01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の表面に材料を堆積させて薄膜を形
    成する薄膜形成手段と、この薄膜の厚さを光学的に測定
    し、第1の膜厚データを出力する光学モニタと、前記薄
    膜の厚さを周波数に基づき測定し、第2の膜厚データを
    出力する水晶モニタと、光学モニタ及び水晶モニタを切
    り替えて、第1及び第2の膜厚データのいずれかに基づ
    き前記薄膜形成手段における成膜を制御する膜厚判定手
    段とを具備することを特徴とする光学薄膜の成膜装置。
  2. 【請求項2】 前記膜厚判定手段が、形成される光学薄
    膜の厚さを光学モニタで測定可能な場合、前記第1の膜
    厚データを用い、光学モニタで測定不適当な場合、前記
    第2の膜厚データを用い、成膜の制御を行うことを特徴
    とする請求項1記載の光学薄膜の成膜装置。
  3. 【請求項3】 前記膜厚判定手段が、前記第1の膜厚デ
    ータに基づき、前記第2の膜厚データの補正を行うこと
    を特徴とする請求項1または請求項2記載の光学薄膜の
    成膜装置。
  4. 【請求項4】 前記膜厚判定手段が、サンプリングした
    第1の膜厚データから透過率または反射率の関数を求
    め、この関数に対して多項式回帰関数を用いることによ
    り、光学モニタの出力する第1の膜厚データが予め設定
    された設計膜厚データとなる時刻の推定を行うことを特
    徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学
    薄膜の成膜装置。
  5. 【請求項5】 前記膜厚判定手段が、サンプリングした
    第1の膜厚データから透過率または反射率の関数を求
    め、この関数に対して回帰計算により得られる傾斜デー
    タの変化に基づいて、光学モニタの出力する第1の膜厚
    データが予め設定された設計膜厚データとなる時刻の推
    定を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいず
    れかに記載の光学薄膜の成膜装置。
  6. 【請求項6】 基板の表面に材料を堆積させて薄膜を形
    成する薄膜形成過程と、この薄膜の厚さを光学的に測定
    し、第1の膜厚データ求める光学モニタ過程と、前記薄
    膜の厚さを周波数に基づき測定し、第2の膜厚データを
    求める水晶モニタ過程と、第1及び第2の膜厚データの
    いずれかに基づき前記薄膜形成過程における成膜を制御
    する膜厚判定過程とを有することを特徴とする光学薄膜
    の成膜方法。
  7. 【請求項7】 前記膜厚判定過程において、形成される
    光学薄膜の厚さを光学モニタで測定可能な場合、前記第
    1の膜厚データが用いられ、光学モニタで測定不適当な
    場合、前記第2の膜厚データが用いられ、成膜の制御が
    行われることを特徴とする請求項6記載の光学薄膜の成
    膜方法。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の光学薄膜の成膜装置また
    は請求項6に記載の光学薄膜の成膜方法により製造され
    た多層薄膜からなる光学フィルタ。
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CN112981357A (zh) * 2019-12-02 2021-06-18 宁波融光纳米科技有限公司 结构色颜料光学薄膜厚度的监测方法以及镀膜机

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