JP2003028311A - 磁性流体を利用した密封装置及び密封構造 - Google Patents

磁性流体を利用した密封装置及び密封構造

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JP2003028311A
JP2003028311A JP2001212413A JP2001212413A JP2003028311A JP 2003028311 A JP2003028311 A JP 2003028311A JP 2001212413 A JP2001212413 A JP 2001212413A JP 2001212413 A JP2001212413 A JP 2001212413A JP 2003028311 A JP2003028311 A JP 2003028311A
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magnetic fluid
annular
sealing
sealing device
annular gap
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JP2001212413A
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English (en)
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Yuzuru Tamura
譲 田村
Yoshimi Imamoto
善美 今本
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Nok Corp
Original Assignee
Nok Corp
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  • Sealing Using Fluids, Sealing Without Contact, And Removal Of Oil (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 パーティクルの発生を低減させた信頼性の高
い磁性流体を利用した密封装置及び密封構造を提供す
る。 【解決手段】 動力伝達軸3の外周側に設けられ、軸方
向に投影した場合に、隔壁2と重なる領域を有する環状
部材4と、環状部材4に設けられて対向面と環状隙間を
形成する磁石と、該磁石により発生された磁束により該
環状隙間に保持されて該環状隙間を封止する磁性流体
と、を有する磁性流体シール部5と、を備え、環状部材
4は、隔壁2の環状部材4に対向する径方向面2aとの
環状隙間8a、及び動力伝達軸3の外周面3aとの環状
隙間8bに、それぞれ磁性流体シール部5を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば各種装置
の軸封止部に用いられ、特に、清浄な環境で用いられる
磁性流体を利用した密封装置及び密封構造に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体や液晶等の製造において、
ワーク(ウエハ、又は、ガラス基板)等の物品を移動・
搬送する作業での精度、及び、これらをロボット間で受
け渡しをする際の位置決め作業での精度は、近年、微細
化の流れの中で、高精度化が要求されている。
【0003】そして、これらの作業工程の中で、往復動
や回転の動きを行い、位置決めを行う装置が重要となっ
ている。
【0004】また、半導体や液晶等の製造環境は、一般
的に、清浄な雰囲気に管理されたクリーンルームが使用
される。
【0005】クリーンルームは、クラス1000(20
9E米国表示;JIS B 9920ではクラス6;2
09E SI表示ではM4.5)等、パーティクルの保
証値でそのレベルが表され、近年、より微細パターンの
製品に移行している背景から、クリーン度は高レベルが
要求されている。
【0006】パーティクルの発生原因としては、人と装
置が考えられる。すなわち、パーティクルは、人体に付
着していた塵埃等や、クリーンルーム内で使用される装
置から発生するものである。
【0007】装置から発生するパーティクルは、摺動部
分が主な要因となっており、装置内がパーティクルリッ
チとなるような場合においては、排気装置を内蔵し、か
つ、クリーンルームの外側にダクト等で排出する機構が
用いられていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来技術の場合には、排気装置を必要とするた
め、構成が複雑となりコスト高となっていた。そして、
排気装置自体がパーティクルの発生要因となることが懸
念されていた。
【0009】また、排気装置を内蔵することにより、ク
リーンルーム内に排気装置を設置するスペースを確保す
る必要があり、クリーンルームの壁面にダクト用の穴を
設ける必要があった。
【0010】また、排気装置を駆動させるためには駆動
装置を要する場合がある。
【0011】したがって、排気装置を必要としない、す
なわち、摺動部分から発生するパーティクルを低減させ
ることが要求されている。
【0012】本発明は上記の従来技術の課題を解決する
ためになされたもので、その目的とするところは、パー
ティクルの発生を低減させた信頼性の高い磁性流体を利
用した密封装置及び密封構造を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明にあっては、軸孔が設けられた壁面と、該壁面
の該軸孔に挿通される軸部材と、の環状隙間を封止する
磁性流体を利用した密封装置であって、前記軸部材の外
周側に設けられ、軸方向に投影した場合に、前記壁面と
重なる領域を有する環状部材と、前記環状部材に設けら
れて対向面と環状隙間を形成する磁力発生手段と、該磁
力発生手段により発生された磁束により該環状隙間に保
持されて該環状隙間を封止する磁性流体と、を有する磁
性流体シール部と、を備え、前記環状部材は、前記壁面
の該環状部材に対向する径方向面との環状隙間、及び前
記軸部材の外周面との環状隙間に、それぞれ前記磁性流
体シール部を設けたことを特徴とする。
【0014】これにより、摺動部から発生するパーティ
クルが外部に出てしまうようなことがなく磁性流体で留
めることが可能となる。また、磁性流体が磁石に引き付
けられることにより、磁性流体による磁気浮揚力、すな
わち、対向面から浮く方向に力を発生させることができ
るので、対向面に対する密封装置の押付力を軽減させる
ことが可能となり、摺動抵抗の低減、及び摩擦量の低減
を図ることが可能となる。
【0015】したがって、摺動部分から発生するパーテ
ィクルを低減させることができ、従来のような排気装置
を設ける必要はなくなる。
【0016】前記環状部材の内周側端部に、軸方向に延
出する軸方向部を備え、前記軸方向部と前記軸部材との
環状隙間に、前記磁性流体シール部を複数設けたことも
好適である。
【0017】これにより、安定した密封性を発揮させる
ことができる。
【0018】前記磁性流体シール部は、前記磁力発生手
段と前記磁性流体との間に、対向面と摺動自在な摺動部
材を前記磁力発生手段に固定して設けたことも好適であ
る。
【0019】これにより、耐荷重を大きくとることがで
きる。
【0020】前記摺動部材は、樹脂部材であることも好
適である。
【0021】これにより、対向面との摺動抵抗を小さく
することができる。
【0022】前記軸部材は、前記壁面に対して、回転
動、軸方向の往復動、及び径方向の往復動のうち少なく
とも2つの相対運動を行うことも好適である。
【0023】前記軸部材が、前記壁面に対して相対的に
径方向の往復運動を行う場合、前記磁性流体シール部
は、少なくとも径方向の相対移動距離分、前記環状部材
の外周側端部よりも内径側に設けられることも好適であ
る。
【0024】これにより、直接磁性流体でぬれた面が、
剥き出しになるようなことはない。
【0025】前記軸部材が、前記壁面に対して相対的に
軸方向の往復運動を行う場合、前記磁性流体シール部
は、少なくとも軸方向の相対移動距離分、前記環状部材
の前記軸方向部の前記壁面側とは反対側の端部よりも該
壁面側に設けられることも好適である。
【0026】これにより、直接磁性流体でぬれた面が、
剥き出しになるようなことはない。
【0027】軸孔が設けられた壁面と、該壁面の該軸孔
に挿通される軸部材と、の環状隙間を封止する磁性流体
を利用した密封構造であって、前記軸部材の外周側に設
けられ、軸方向に投影した場合に、前記壁面と重なる領
域を有する環状部材と、対向面と環状隙間を形成する磁
力発生手段と、該磁力発生手段により発生された磁束に
より該環状隙間に保持されて該環状隙間を封止する磁性
流体と、を有する磁性流体シール部と、を備え、前記環
状部材と前記壁面の該環状部材に対向する径方向面との
環状隙間、及び、該環状部材と前記軸部材の外周面との
環状隙間に、それぞれ前記磁性流体シール部を設けたこ
とを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、この発明
の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただ
し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、
材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される
装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきもので
あり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣
旨のものではない。
【0029】(実施の形態1)図1〜図3を参照して、
本発明の実施の形態1に係る磁性流体を利用した密封装
置について説明する。
【0030】図1は本実施の形態に係る磁性流体を利用
した密封装置1を示す模式図であり、図2は密封装置1
が適用される状態を説明するための模式図である。
【0031】まず、本発明の実施の形態1に係る磁性流
体を利用した密封装置1が適用される状態について説明
する。
【0032】密封装置1は、クリーンルームD内におい
て、搬送装置等の装置側Eをクリーン環境から隔てる壁
面としての隔壁2と、隔壁2の軸孔に挿通されてクリー
ンルームD内の不図示の搬送台に動力を伝達する軸部材
としての動力伝達軸3と、の環状隙間を密封するもので
ある。
【0033】動力伝達軸3は、隔壁2に対して、矢印A
で示す回転動、矢印Bで示す軸方向の往復動、及び矢印
Cで示す径方向の往復動を行うものである。これによ
り、クリーンルーム内で可動台及び可動台上に置かれた
ワークを所定の位置に移動・搬送することができる。
【0034】ここで、動力伝達軸3は、これら3つの運
動のうちの1つの運動のみを行うものでもよいが、3つ
の運動のうち少なくとも2つの相対運動を行うと好適で
ある。
【0035】次に、本実施の形態に係る密封装置1につ
いて説明する。
【0036】図に示すように、密封装置1は、動力伝達
軸3の外周側であって、隔壁2の反密封対象側となるク
リーンルームD側に設けられ、軸方向に隔壁2と重なる
領域を有する環状部材4と、環状部材4に設けられた磁
性流体シール部5と、から構成されるものである。
【0037】図3に磁性流体シール部5の構成を説明す
るための模式図を示す。
【0038】磁性流体シール部5は、環状部材4に設け
られた磁力発生手段としての磁石6と、磁石6により発
生される磁束により保持される磁性流体7と、から構成
されている。
【0039】そして、密封装置1は、この磁性流体シー
ル部5を、環状部材4において、隔壁2の環状部材4に
対向する径方向面2aとの環状隙間8a、及び、動力伝
達軸3の外周面3aとの環状隙間8bに、径方向面2a
と外周面3aとに磁性流体7が接触するように備えるも
のである。
【0040】すなわち、環状隙間8aには、図3(a)
に示す状態の磁性流体シール部5aが設けられており、
環状隙間8bには、図3(b)に示す状態の磁性流体シ
ール部5bが設けられている。
【0041】ここで、環状隙間8aに設けられた磁性流
体シール部5aの磁石は、軸方向に異極が配されてお
り、環状隙間8bに設けられた磁性流体シール部5bの
磁石は、径方向に異極が配されていることが好適であ
る。
【0042】本実施の形態に係る密封装置1は、このよ
うに構成されることにより、磁性流体でパーティクルを
シールすることができるので、装置側E内にパーティク
ルを封じ込めるダストシールとして作用させることが可
能となる。
【0043】したがって、往復動及び回転動を行う軸部
材の軸封止を行うことが可能となる。
【0044】また、磁性流体で摺動部を構成しているの
で、摺動部からパーティクルが発生することはなく、特
に、クリーンルームD内における軸封止に有効である。
【0045】また、磁性流体シール部5においては、磁
石6が磁性流体7を引き付ける力に相当する分の反発力
を生じることとなり、すなわち、磁性流体7が接触する
対向面である隔壁2の径方向面2a、及び、動力伝達軸
3の外周面3aから浮く方向に力が発生することとな
り、クリアランスの維持や摺動抵抗の低減といった軸受
機能を発揮させることが可能となる。
【0046】(実施の形態2)図4,5を用いて、実施
の形態2に係る密封装置について説明する。本実施の形
態に係る密封装置は、実施の形態1に係る密封装置1に
対して、磁性流体シール部の構成が異なるものである。
なお、実施の形態1と同様の構成部分については同一の
符号を付して、その説明は省略する。
【0047】図4は、本実施の形態に係る密封装置の磁
性流体シール部15の構成を示す模式図である。
【0048】磁性流体シール部15は、環状部材4に設
けられた磁力発生手段としての磁石16と、磁石16に
固定される摺動部材18と、摺動部材18の表面(磁石
16とは反対側)に充填される磁性流体17と、から構
成されている。
【0049】磁石16には、環状部材4に固定される固
定部16aと、固定部16aの反対側である対向面側に
設けられて、摺動部材18を嵌合させる嵌合部16b
と、が設けられている。
【0050】また、摺動部材18には、磁石16の嵌合
部16bに嵌合する嵌合部18aと、対向面(隔壁2の
径方向面2a、及び、動力伝達軸3の外周面3a)に摺
動自在とされ、磁性流体17が充填される表面部18b
と、が設けられている。
【0051】そして、摺動部材18は、磁石16の嵌合
部16bに嵌合されることにより、表面部18bに磁力
発生手段である磁石16からの漏れ磁束が形成される。
そして、その漏れ磁束によって、摺動部材18の表面部
18bに磁性流体17が保持されるものである。
【0052】ここで、摺動部材18の表面部18bの好
適な形状について説明する。
【0053】図5(a)は、摺動部材18の表面部18
bが円錐台状に形成された磁性流体シール部15を示す
模式図である。
【0054】摺動部材18の表面部18bにおいては、
対向面(隔壁2の径方向面2a、及び、動力伝達軸3の
外周面3a)との摺動面(当接面)端部から磁性流体シ
ール部15が相対移動する方向に向かって傾斜する傾斜
部を有する側面を備えている。相対移動が往復動であれ
ば、往復動方向に対する側面がテーパ状となっている。
本実施の形態において図4,図5(a)に示すように、
球面状や、円錐台状に形成されていると好適である。
【0055】なお、摺動部材18は、摺動抵抗の小さい
樹脂部材であると好適であり、PTFE(四ふっ化エチ
レン樹脂)であることが好ましい。
【0056】以下に、密封装置にかかる力について説明
する。
【0057】密封装置には、往復動による慣性力、及
び、環状部材4の重力がかかるため、装置のサイズが大
きくなり環状部材4の重量が大きくなった場合や、高速
で往復動を行う場合などにおいては、実施の形態1に係
る密封装置1の磁性流体シール部5では、十分な軸受機
能を発揮しないことが懸念される。
【0058】そこで、このように密封装置にかかる力が
大きい場合には、本実施の形態のように摺動部材18を
備えた磁性流体シール部15とすることにより、良好に
対応することが可能となる。
【0059】すなわち、本実施の形態では、摺動部材1
8により摺動接触させているため、耐荷重を大きくとる
ことができる。
【0060】そして、その摺動部においては、摺動部材
18を介して磁石16に磁性流体17を保持させた構成
としているので、磁性流体17が磁石16に引き付けら
れることにより、磁性流体17による磁気浮揚力、すな
わち、対向面(隔壁2の径方向面2a、及び、動力伝達
軸3の外周面3a)から浮く方向に力が発生するので、
対向面に対する押付力を軽減させることが可能となり、
摺動抵抗の低減を図ることが可能となる。
【0061】さらに、表面部18bを円錐台状にして、
移動方向に対してテーパ状とすることにより、移動時、
磁性流体17が摺動部材18の表面部18bに潜り込む
ような状態となり、楔作用による動的な浮揚力が発生す
ることになる。
【0062】この点について図5(b)を用いて説明す
る。
【0063】磁性流体シール部15が相対的に矢印F方
向に移動した場合には、磁性流体17は磁性流体シール
部15に対して矢印G方向へ流れ、摺動部材18の表面
部18bの移動方向に設けられたテーパ状の部分に流れ
ることになる。
【0064】ここで、楔作用とは、流体が楔形状の開い
た方向から、閉じた方向へ流れる時、動圧として、垂直
上側に圧力を発生する作用のことである。図5(b)に
示すような場合においては、図中、矢印H方向に圧力が
発生することとなる。
【0065】すなわち、対向面(隔壁2の径方向面2
a、及び、動力伝達軸3の外周面3a)から浮く方向
に、より大きな力を発生させることができるので、対向
面に対する磁性流体シール部15の押付力をより軽減さ
せることが可能となり、さらなる摺動抵抗の低減、及び
摩擦量の低減を図ることが可能となる。
【0066】ここで、摺動部材18により摺動させるこ
とにより、摺動部からのパーティクルの発生が懸念され
るが、磁性流体17で摺動部材18を覆うことにより外
部に摩耗粉を出すことを防ぐことができ、また、磁性流
体17による磁気浮揚力によって摺動抵抗の低減及び摩
擦量の低減を図ることができるので、パーティクルとな
る摩耗粉の発生をさらに低減させることが可能となる。
【0067】(実施の形態3)図6を用いて実施の形態
3に係る磁性流体を利用した密封装置21について説明
する。図6は本実施の形態に係る密封装置21を示す模
式図である。なお、実施の形態1,2と同様の構成部分
については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0068】本実施の形態においては、上述した実施の
形態の環状部材4に対して、その内周側端部を軸方向に
延出させた軸方向部を設け、その軸方向部に磁性流体シ
ール部を複数設けたものである。
【0069】すなわち、密封装置21は、動力伝達軸3
の外周側であって、隔壁2の反密封対象側となるクリー
ンルームD側に設けられ、軸方向に隔壁2と重なる領域
を有するとともに、その内周側端部から軸方向に延出し
た軸方向部24aを有する環状部材24と、環状部材2
4に設けられた磁性流体シール部25と、から構成され
るものである。
【0070】本実施の形態の特徴的な構成としては、環
状部材24の内周側端部から軸方向に延出して軸方向部
24aを設け、軸方向部24aに少なくとも2つの磁性
流体シール部25を設けたものである。
【0071】磁性流体シール部25は、実施の形態1に
おける磁性流体シール部5であっても、実施の形態2に
おける磁性流体シール部15であってもよい。
【0072】このように構成することにより、上述した
実施の形態の効果に加えて、安定した密封性を発揮する
ことが可能となる。
【0073】(実施の形態4)図7を用いて実施の形態
4に係る磁性流体を利用した密封装置について説明す
る。図7は本実施の形態に係る密封装置31を示す模式
図である。
【0074】なお、実施の形態1と同様の構成部分につ
いては同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0075】上述した実施の形態に係る密封装置31
は、動力伝達軸3が隔壁2に対して相対的に往復動を行
う場合において、たとえば図6に示されるように、磁性
流体シール部25が環状部材24の端部に設けられた場
合には、磁性流体のぬれ性の良さから、直接磁性流体で
ぬれた面(隔壁2の径方向面2a、及び、動力伝達軸3
の外周面3a)がクリーンルーム側に剥き出し状態とな
ってしまう。
【0076】そこで、本実施の形態では、動力伝達軸3
のストローク分だけ、磁性流体シール部を内側に寄せて
配設している。
【0077】すなわち、動力伝達軸3が、隔壁2に対し
て相対的に径方向の往復運動を行う場合には、磁性流体
シール部35は、少なくとも径方向の相対移動距離分、
環状部材34の外周側端部34cよりも内径側に設けら
れ、また、動力伝達軸3が、隔壁2に対して相対的に軸
方向の往復運動を行う場合には、磁性流体シール部は、
少なくとも軸方向の相対移動距離分、環状部材34の軸
方向部34aの隔壁2側とは反対側、すなわちクリーン
ルームD側の端部34bよりも隔壁2側に設けられてい
る。
【0078】これにより、直接磁性流体でぬれた面が、
クリーンルーム側に剥き出しになるようなことはなくな
る。
【0079】(他の実施の形態)上述した実施の形態で
は、環状部材と、環状部材に設けられた磁性流体シール
部とを有する密封装置について説明したが、磁性流体が
環状部材に接触するように磁性流体シール部を構成して
もよい。
【0080】すなわち、図3及び図4を用いて説明した
ような磁性流体シール部の磁石を隔壁2の径方向面2a
や、動力伝達軸3の外周面3aに固定させて、磁性流体
を環状部材に接触させる密封構造としてもよい。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
壁面の環状部材に対向する径方向面との環状隙間、及び
軸部材の外周面との環状隙間に、それぞれ磁性流体シー
ル部を設けたことにより、摺動部から発生するパーティ
クルが外部に出てしまうようなことがなく磁性流体で留
めることが可能となる。
【0082】また、磁性流体が磁石に引き付けられるこ
とにより、磁性流体による磁気浮揚力、すなわち、対向
面から浮く方向に力を発生させることができるので、対
向面に対する密封装置の押付力を軽減させることが可能
となり、摺動抵抗の低減、及び摩擦量の低減を図ること
が可能となる。
【0083】したがって、摺動部分から発生するパーテ
ィクルを低減させることができ、従来のような排気装置
を設ける必要はなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施の形態1に係る磁性流体を
利用した密封装置を示す模式図である。
【図2】図2は実施の形態1に係る密封装置が適用され
る状態を説明するための模式図である。
【図3】図3は実施の形態1に係る密封装置の磁性流体
シール部の構成を説明するための模式図である。
【図4】図4は実施の形態2に係る密封装置の磁性流体
シール部の構成を説明するための模式図である。
【図5】図5(a)は実施の形態2に係る密封装置の磁
性流体シール部の構成を示す図であり、(b)は相対移
動により発生する楔作用を説明するための図である。
【図6】図6は実施の形態3に係る磁性流体を利用した
密封装置を示す模式図である。
【図7】図7は実施の形態4に係る磁性流体を利用した
密封装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1,21,31 密封装置 2 隔壁 2a 径方向面 3 動力伝達軸 3a 外周面 4 環状部材 5,5a,5b 磁性流体シール部 6 磁石 7 磁性流体 8a,8b 環状隙間 15,15a,15b 磁性流体シール部 16 磁石 16a 固定部 16b 嵌合部 17 磁性流体 18 摺動部材 18a 嵌合部 18b 表面部 24 環状部材 24a 軸方向部 25 磁性流体シール部 34 環状部材 34a 軸方向部 34b 端部 34c 外周側端部 35 磁性流体シール部 D クリーンルーム E 装置側

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軸孔が設けられた壁面と、該壁面の該軸孔
    に挿通される軸部材と、の環状隙間を封止する密封装置
    であって、 前記軸部材の外周側に設けられ、軸方向に投影した場合
    に、前記壁面と重なる領域を有する環状部材と、 前記環状部材に設けられて対向面と環状隙間を形成する
    磁力発生手段と、該磁力発生手段により発生された磁束
    により該環状隙間に保持されて該環状隙間を封止する磁
    性流体と、を有する磁性流体シール部と、 を備え、 前記環状部材は、前記壁面の該環状部材に対向する径方
    向面との環状隙間、及び前記軸部材の外周面との環状隙
    間に、それぞれ前記磁性流体シール部を設けたことを特
    徴とする磁性流体を利用した密封装置。
  2. 【請求項2】前記環状部材の内周側端部に、軸方向に延
    出する軸方向部を備え、 前記軸方向部と前記軸部材との環状隙間に、前記磁性流
    体シール部を複数設けたことを特徴とする請求項1に記
    載の磁性流体を利用した密封装置。
  3. 【請求項3】前記磁性流体シール部は、前記磁力発生手
    段と前記磁性流体との間に、対向面と摺動自在な摺動部
    材を前記磁力発生手段に固定して設けたことを特徴とす
    る請求項1または2に記載の磁性流体を利用した密封装
    置。
  4. 【請求項4】前記摺動部材は、樹脂部材であることを特
    徴とする請求項1,2または3に記載の磁性流体を利用
    した密封装置。
  5. 【請求項5】前記軸部材は、前記壁面に対して、回転
    動、軸方向の往復動、及び径方向の往復動のうち少なく
    とも2つの相対運動を行うことを特徴とする請求項1乃
    至4のいずれか1項に記載の磁性流体を利用した密封装
    置。
  6. 【請求項6】前記軸部材が、前記壁面に対して相対的に
    径方向の往復運動を行う場合、 前記磁性流体シール部は、少なくとも径方向の相対移動
    距離分、前記環状部材の外周側端部よりも内径側に設け
    られることを特徴とする請求項5に記載の磁性流体を利
    用した密封装置。
  7. 【請求項7】前記軸部材が、前記壁面に対して相対的に
    軸方向の往復運動を行う場合、 前記磁性流体シール部は、少なくとも軸方向の相対移動
    距離分、前記環状部材の前記軸方向部の前記壁面側とは
    反対側の端部よりも該壁面側に設けられることを特徴と
    する請求項5または6に記載の磁性流体を利用した密封
    装置。
  8. 【請求項8】軸孔が設けられた壁面と、該壁面の該軸孔
    に挿通される軸部材と、の環状隙間を封止する密封構造
    であって、 前記軸部材の外周側に設けられ、軸方向に投影した場合
    に、前記壁面と重なる領域を有する環状部材と、 対向面と環状隙間を形成する磁力発生手段と、該磁力発
    生手段により発生された磁束により該環状隙間に保持さ
    れて該環状隙間を封止する磁性流体と、を有する磁性流
    体シール部と、 を備え、 前記環状部材と前記壁面の該環状部材に対向する径方向
    面との環状隙間、及び、該環状部材と前記軸部材の外周
    面との環状隙間に、それぞれ前記磁性流体シール部を設
    けたことを特徴とする磁性流体を利用した密封構造。
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