JP2003027372A - 繊維用処理剤、それを用いた繊維構造物およびその製造方法 - Google Patents

繊維用処理剤、それを用いた繊維構造物およびその製造方法

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JP2003027372A JP2001215543A JP2001215543A JP2003027372A JP 2003027372 A JP2003027372 A JP 2003027372A JP 2001215543 A JP2001215543 A JP 2001215543A JP 2001215543 A JP2001215543 A JP 2001215543A JP 2003027372 A JP2003027372 A JP 2003027372A
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fiber structure
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Toshinori Hara
稔典 原
Keiji Takeda
恵司 竹田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来難しかった繊維構造物への効率的なグラフ
ト重合のために、重合疎水性重合開始剤を高濃度で溶解
し、かつ人体や環境への悪影響のほとんどない溶解剤を
用いた繊維用処理剤を提供する。 【解決手段】炭素数4以上のアルキルエステルが2残基
以上含有されてなる有機溶剤と、疎水性重合開始剤と重
合性モノマーとを含有してなる繊維用処理剤。それを用
いて繊維構造物を処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維構造物をグラ
フト重合により改質するための繊維用処理剤、特に疎水
性繊維構造物の親水性をグラフト重合により向上させる
繊維用処理剤、およびそれを用いた繊維構造物とその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、繊維構造物の親水性、特に吸湿性
を向上するため、繊維を構成する高分子化合物を改質し
たり、繊維構造物に親水性化合物を付与したりする検討
が広く行われてきた。特に、ポリエステル繊維構造物の
親水化に関わる改質については、ポリエステル繊維に親
水性モノマーをグラフト重合する試み(特開昭60−2
46869号公報および特開昭63−105181号公
報など)、親水性高分子化合物を付与する、あるいは親
水性モノマーを付与して重合せしめる試み(特開平6−
158545号公報および特開平9−256278号公
報など)などの例がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記親水性モノマーを
グラフト重合する方法では、特に、疎水性繊維構造物の
改質に関して疎水性重合開始剤を用いると、疎水性重合
開始剤が疎水性繊維構造物と効率よく反応し、親水性モ
ノマーのグラフト重合効率は向上するが、この疎水性重
合開始剤は固体で水に溶解しないものが多いため、これ
を水系の処理で使用できるようにする適切な溶解剤が求
められていた。その例として、モノクロロベンゼンなど
のキャリヤー類を用いる試みはあったが、このような薬
剤は人体に対する毒性が高く、実際の生産には用いにく
いものであった。
【0004】かかる状況に鑑み、本発明は、疎水性重合
開始剤を高濃度で溶解し、かつ人体や環境への悪影響の
ほとんどない溶解剤を用いた繊維用処理剤を提供するこ
とを目的とするものである。
【0005】本発明の他の目的は、かかる繊維用処理剤
で処理した親水性を向上させた繊維構造物とその製造方
法を定期用することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。
【0007】すなわち、本発明の繊維用処理剤は、炭素
数4以上のアルキルエステルが2残基以上含有されてな
る有機溶剤と、疎水性重合開始剤と重合性モノマーとを
含有してなることを特徴とする繊維用処理剤である。
【0008】また、本発明の繊維構造物は、上記の繊維
用処理剤により処理されてなるものであり、さらに、本
発明の繊維構造物の製造方法は、素数4以上のアルキル
エステルが2残基以上含有されてなる有機溶剤と、疎水
性重合開始剤と重合性モノマーとを含有してなる繊維用
処理剤中で繊維構造物を処理するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の繊維用処理剤は、炭素数
4以上のアルキルエステルが2残基以上含有されてなる
有機溶剤と、疎水性重合開始剤と重合性モノマーとを含
有するものである。
【0010】本発明においては、疎水性重合開始剤を溶
解するために、炭素数4以上のアルキルエステルが2残
基以上含有されてなる有機溶剤を用いる。ここで炭素数
4以上のアルキルエステルとしては、ブチルエステル、
ヘキシルエステル、オクチルエステルなどを挙げること
ができる。実用に適する範囲で、炭素数の上限は20程
度までとなる。これらのエステルが結合している分子種
に特に制限はないが、生物や環境への影響が少ないこと
や生分解性の面で有利なことから芳香環を含まない、脂
肪族系の有機化合物を用いることが望ましい。具体的に
はアジピン酸、アゼライン酸、アセチルクエン酸、セバ
シン酸などを挙げることができる。
【0011】特に、疎水性重合開始剤に対する高い溶解
性を得るため、本発明の炭素数4以上のアルキルエステ
ルが2残基以上含有されてなる有機溶剤としては、アセ
チルクエン酸および/またはセバシン酸と炭素数4以上
のアルキルエステルからなる有機溶剤を用いることが望
ましい。具体的な化合物名としては、クエン酸アセチル
トリブチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチ
ルなどを挙げることができる。
【0012】本発明で用いられる有機溶剤は、人体や環
境への悪影響が少ないことが特徴である。本発明で好ま
しく用いる有機溶剤は、米国食品医薬品局(FDA)の
認可を受けていることが望ましい。また、半数致死量
(LD50)も、例えば、ラットの経口で200〜15
00mg/Kgであることが望ましい。ちなみに、本発
明で特に好適に用いられるクエン酸アセチルトリブチ
ル、セバシン酸ジブチルは、いずれも米国食品医薬品局
(FDA)の認可を受けており、また、半数致死量(L
D50)もそれぞれ10000mg/Kg、16000
mg/Kgである。
【0013】本発明において用いられる疎水性重合開始
剤とは、ラジカル反応を開始させる作用を持ち、重合性
モノマーの重合反応を誘起するものをいう。本発明では
水に溶解しにくい疎水性重合開始剤を用いる。ここで疎
水性とは常温での水への溶解度が1g/l以下であるこ
ととする。疎水性重合開始剤は、繊維構造物への重合性
モノマーの反応に用いると、開始剤が繊維構造物に付着
性を有するため、反応効率が大きくなり有効である。
【0014】本発明で用いる疎水性重合開始剤の例とし
ては、ベンゾイルパーオキサイドなどの疎水性の有機過
酸化物、疎水性のアゾ系開始剤などを挙げることができ
るが、一般に疎水性のものが多い有機過酸化物において
本発明はより有効に用いられる。疎水性の有機過酸化物
の具体例としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシ
ケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオ
キサイド(ジアシルパーオキサイド)、パーオキシエス
テル、パーオキシジカーボネートなどを挙げることがで
きる。中でも本発明では、ポリエステル繊維構造物との
反応性の高いベンゾイルパーオキサイドを用いることが
望ましい。
【0015】また、本発明では有機溶剤の使用量をでき
る限り少なくして、廃棄される有機溶剤を減少するた
め、本発明の有機溶剤への疎水性重合開始剤の溶解度は
20%以上であることが望ましい。
【0016】本発明において重合性モノマーとは、ビニ
ル基を少なくとも1残基以上含有し、重合開始剤により
有機される重合反応で高分子化する化合物全般をいう。
本発明の重合性モノマーとしては、高分子合成一般に用
いられるモノマーを用いることができるが、中でもラジ
カル重合性のあるモノマーを用いることが好ましい。
【0017】本発明で用いられる重合性モノマーは、親
水性モノマーであることが望ましい。この理由は、疎水
性重合開始剤との反応で得られる繊維構造物の高付加価
値機能加工として、繊維構造物の親水性に関するものが
重要であるからである。
【0018】親水性モノマーの例としては、アクリル
酸、メタクリル酸などの有機カルボン酸類、2−ヒドロ
キシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタク
リレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類また
はヒドロキシアルキルメタクリレート類、アクリルアミ
ドなどのアミド化合物類、N−メチロールアクリルアミ
ドなどのメチロール化合物類、ジメチルアミノエチルメ
タクリレートなどの3級アミン含有化合物類、ジメチル
アミノメチルメタクリレート4級化物など4級アミン含
有化合物類、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸、スチレンスルホン酸などのスルホン酸基含
有化合物類またはその塩、2−メタクリロイロキシエチ
ルアシッドホスフェートなどのリン酸基含有化合物類ま
たはその塩、ポリエチレングリコールジメタクリレート
などのポリエチレングリコール部分含有化合物類、グル
コシルエチルメタクリレートなどの糖鎖含有化合物類、
N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミドなどを
挙げることができる。
【0019】本発明の繊維用処理剤中の有機溶剤の含有
割合は、0.1g/l以上10g/l以下であることが
望ましい。この理由は、含有割合が上記範囲より少ない
と反応に必要な量の疎水性開始剤を溶解するのに不足で
あり、上記範囲より多すぎると有機溶剤の液滴が不安定
になって加工ムラを生じやすくなるためである。
【0020】また本発明の繊維用処理剤は、疎水性開始
剤を溶解した有機溶剤を安定に水中に分散、乳化などさ
せるために界面活性剤を含有していることが望ましい。
本発明で用いる界面活性剤としては、有機溶剤の分散
性、乳化性などを助長するものであれば、特に限定され
ない。例としては、イオン性としてアニオン系活性剤、
カチオン系活性剤、ノニオン系活性剤、化合物の系統と
してフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、P
EG系活性剤、コハク酸系活性剤などを挙げることがで
きる。界面活性剤の好ましい配合割合は、有機溶剤の液
滴の分散安定性を十分とするために有機溶剤に対して1
%以上、界面活性剤そのものの析出など他の問題を生じ
ないために有機溶剤に対して50%以下であることが望
ましい。
【0021】さらに本発明では、疎水性重合開始剤の繊
維構造物への付着性を向上させる化合物を処理剤中に含
有させてもよい。そのような化合物の例としては、親水
性高分子の水への溶解度を低下させて疎水性高分子化合
物への付着性を向上するものとして、無機物イオン、有
機物イオン、親水性有機化合物、親水性高分子などを挙
げることができる。無機物イオンの例としては、ナトリ
ウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン、鉄
イオン、アルミニウムイオン、塩化物イオン、硫酸イオ
ン、リン酸イオンなど、有機物イオンとしてはアンモニ
ウムイオンなどがある。
【0022】本発明の繊維構造物は、上記した本発明の
繊維処理剤で処理されてなるものである。また、本発明
の繊維構造物の製造方法は、該処理剤を用いて繊維構造
物を処理するものである。
【0023】本発明における繊維構造物としては、天然
繊維、再生繊維、半合成繊維、合繊繊維のうち少なくと
も一つからなるフィラメント、紡績糸、織物、編物、不
織布などを用いることができる。天然繊維としては綿、
獣毛繊維、絹、麻など、再生繊維としてはセルロース系
再生繊維のレーヨン(ビスコースレーヨン)、キュプラ
(銅アンモニアレーヨン)など、半合成繊維としてはセ
ルロース系半合成繊維としてアセテート(トリアセテー
ト)など、また合成繊維としてはポリエステル、ナイロ
ン、アクリル、アラミドなどの各種繊維を、被処理繊維
として使用することができる。
【0024】なかでも、親水性、特に吸湿性の向上が強
く求められる汎用繊維の中でポリエステル繊維が最も実
用面で重要であるため、本発明ではポリエチレンテレフ
タレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレートなどのポリエステル繊維構造物を用い
ることがより有効である。また上記親水性高分子化合物
に含有させる構造の中で、ポリエチレングリコール部
分、テレフタル酸、イソフタル酸部分、N−アルキルア
クリルアミド、N−ビニルアルキルアミドなどは、ポリ
エステル繊維への付着性を有するため、この面からもポ
リエステル繊維構造物を用いることが有利となる。ポリ
エステル繊維構造物としては、ポリエステル繊維のみか
らなるもの以外に、綿、羊毛などの天然繊維、アセテー
トなどの半合成繊維、レーヨンなどの再生繊維、ナイロ
ンなどの合成繊維のうち少なくとも一つとポリエステル
繊維を混紡または交撚、交織、交編などしたものなどが
含まれる。
【0025】このような繊維構造物を、本発明の繊維処
理剤で処理することで、重合性モノマーが重合した高分
子化合物で繊維内部あるいは繊維表面を改質する。重合
性モノマーとして特に親水性モノマーを用いると、繊維
内部あるいは繊維表面は親水性に改質される。このよう
に本発明の繊維用処理剤を、特に繊維構造物に対して用
いることで、商品特性に優れた繊維構造物が得られる。
【0026】本発明において、繊維構造物を繊維用処理
剤で処理する一つの方法としては、通常の繊維加工で用
いられる染色機などの加工装置を用いて、繊維用処理剤
を常温から40℃以上140℃以下の温度に昇温した
後、この中に繊維構造物を浸漬せしめ10〜90分程度
保持するなどすればよい。この際、1回の処理で処理す
る繊維構造物の量を十分大きくするため、繊維構造物に
対する処理剤重量の比は5〜50倍とすることが望まし
い。
【0027】また、本発明の繊維処理剤で繊維構造物を
処理する別の方法としては、通常の染色加工で用いられ
る樹脂加工機を用いて、該繊維処理剤を繊維構造物に付
与した後、110℃〜200℃の温度で熱処理するなど
すればよい。この熱処理は、乾燥のための比較的低温で
の熱処理と重合性モノマーと開始剤の反応を十分進ませ
るための比較的高温での熱処理の2段に分けて行っても
よい。また、この熱処理は重合性モノマーと開始剤の反
応を効率的に進ませるために、水蒸気の存在下で行って
もよい。
【0028】本発明において、繊維構造物への重合性モ
ノマーが重合した高分子化合物の付着量を十分とするた
め、繊維構造物に対する繊維処理剤中に含まれる重合性
モノマーの量は重量比で5〜30%、より好ましくは1
0〜20%とすることが望ましい。また、疎水性重合開
始剤は、重合性モノマーの反応を十分に行うため、重合
性モノマー量に対して10〜100%程度配合すればよ
い。
【0029】本発明の繊維構造物において、重合性モノ
マーが重合した高分子化合物の付着率は、付着前の繊維
構造物の重量に対して5%以上であることが望ましい。
この理由は付着率がこれより小さいと十分な改質が行わ
れにくいからである。付着量が大きくなりすぎると風合
いが硬化傾向となるので、付着率の上限としては20%
程度とするのが望ましい。
【0030】さらに、特に重合性モノマーとして親水性
モノマーを用いた場合で、繊維構造物がポリエステル繊
維のみからなるものの場合、上記重合性モノマーが重合
した高分子が付着した後の繊維構造物のΔMRは2%以
上、より好ましくは4%以上12%以下であることが望
ましい。上限は、10%程度あれば十分である。またこ
の繊維構造物のMR(20℃、65%RHにおける水分
率)は1%以上であることが望ましいが、その上限は2
0%程度あれば十分である。
【0031】付着率の測定は、上記重合性モノマーが重
合した高分子化合物を付着させる処理前後の重量変化に
より求めることができるが、最終製品の状態では繊維表
面の高分子を何らかの方法で取り除いて定量する、繊維
の断面写真により付着物の量を見積る、繊維構造物全体
を溶解して含有成分を定量するなどの方法を用いればよ
い。
【0032】本発明では、本発明の繊維処理剤に染料を
含有させ、染色と同時に上記重合性モノマーが重合した
高分子化合物を繊維構造物に付着させることもできる。
この方法を用いると繊維構造物の処理プロセスをより短
縮できるため、生産効率向上やエネルギー消費削減の面
で非常に有利になる。
【0033】さらに本発明では、必要とされる他の機能
を実現するための加工剤を、本発明の処理剤に含有させ
てもよい。例えば、撥水剤、深色加工剤、耐光剤、帯電
防止剤、防汚加工剤、難燃剤、抗菌剤などを本発明の重
合性モノマーと併用することができる。
【0034】
【実施例】<ΔMR>実施例において用いた重合性モノ
マーが反応して固着した繊維構造物(試料)のΔMR
を、以下の方法で測定した。すなわち、試料を秤量ビン
に入れ、20℃、65%RHに調整した恒温恒湿槽中に
24時間放置し秤量した。次いで、30℃、90%RH
に調整した恒温恒湿槽中に24時間放置し、再度秤量し
た。最後に110℃の乾燥機中で1時間乾燥し絶乾重量
を求めた。水分率の差は下式により算出した。 ΔMR(%)=((W’−W)/W−(W”−W)/
W)×100 W :試料の絶乾重量(g) W’:30℃、90%RHでの試料の重量(g) W”:20℃、65%RHでの試料の重量(g) なお、処理後の試料に対して吸湿性を高めるためナトリ
ウム塩処理を行なう場合は、その処理の後にこの測定を
行なった。
【0035】<付着率>重合性モノマーが重合した化合
物の付着率は、処理前と処理後の繊維構造物試料の絶乾
重量を測定し、次式により算出した。 付着率(%)=100×(W1−W0)/W0 W0:処理前のサンプルの絶乾重量(g) W1:処理後のサンプルの絶乾重量(g) なお、処理後の試料に対して吸湿性を高めるナトリウム
塩処理を行なう場合は、その処理の前に上記測定を行な
った。
【0036】[実施例1]疎水性重合開始剤としてベン
ゾイルパーオキサイドを用い、これを溶解するための有
機溶剤としてクエン酸アセチルトリブチルを、さらに重
合性モノマーとしてメタクリル酸を用いて繊維用処理剤
を作成した。疎水性重合開始剤の濃度は0.5g/l、
有機溶剤の濃度は2.0g/l、重合性モノマーの濃度
は10g/lとした。上記水溶液200gに、試料とし
てポリエステル繊維タフタ布帛片(180℃中間セット
後布帛、糸使い:経糸、緯糸とも総繊度83デシテック
ス(75デニール)−36マルチフィラメント、織密
度:経98×緯84本/inch、目付:70g/m2)1
0g(ウレタンジビニルモノマー量は布帛に対して10
%)を浸漬し、100℃で30分間処理した。この処理
による重合性モノマーが重合した化合物の試料への付着
率は14.0%で、処理後の試料のΔMRは4.2%で
あった。以上により、人体や環境への悪影響の少ない有
機溶剤と疎水性重合開始剤を用いて重合性モノマーを効
率的に繊維構造物へグラフト重合でき、高い吸湿性を有
するポリエステル布帛が得られた。
【0037】[実施例2]有機溶剤としてセバシン酸ジ
ブチルを用いることを除いては実施例1と同様に行なっ
た。結果、重合性モノマーが重合した化合物の付着率は
15.8%で、処理後の試料のΔMRは4.5であっ
た。以上により、人体や環境への悪影響の少ない有機溶
剤と疎水性重合開始剤を用いて重合性モノマーを効率的
に繊維構造物へグラフト重合でき、高い吸湿性を有する
ポリエステル布帛が得られた。
【0038】[実施例3]疎水性重合開始剤としてアゾ
ビスイソブチルニトリルを用いることを除いては実施例
1と同様に行なった。結果、重合性モノマーが重合した
化合物の付着率は10.3%で、処理後の試料のΔMR
は3.3であった。以上により、人体や環境への悪影響
の少ない有機溶剤と疎水性重合開始剤を用いて重合性モ
ノマーを効率的に繊維構造物へグラフト重合でき、高い
吸湿性を有するポリエステル布帛が得られた。
【0039】[実施例4]疎水性重合開始剤としてアゾ
ビスイソブチルニトリルを用いることを除いては実施例
2と同様に行なった。結果、重合性モノマーが重合した
化合物の付着率は12.0%で、処理後の試料のΔMR
は3.7であった。以上により、人体や環境への悪影響
の少ない有機溶剤と疎水性重合開始剤を用いて重合性モ
ノマーを効率的に繊維構造物へグラフト重合でき、高い
吸湿性を有するポリエステル布帛が得られた。
【0040】[比較例1]疎水性重合開始剤を溶解する
有機溶剤を用いないことを除いては実施例1と同様に行
なった。結果、重合性モノマーが重合した化合物の付着
率は2.5%で、処理後の試料のΔMRは0.4であっ
た。以上により、この方法では重合性モノマーを効率的
に繊維構造物へグラフト重合できなかった。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、人体や環境への悪影響
を最小限に抑制しながら疎水性重合開始剤の反応を効率
的に行わせることができ、重合性モノマーの繊維構造物
へのグラフト重合を容易にする。特にポリエステル繊維
構造物を用い、重合性モノマーとして親水性モノマーを
用いると、吸湿性の高い繊維構造物を得ることができ
る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数4以上のアルキルエステルが2残
    基以上含有されてなる有機溶剤と、疎水性重合開始剤と
    重合性モノマーとを含有してなることを特徴とする繊維
    用処理剤。
  2. 【請求項2】 有機溶剤が、アセチルクエン酸および/
    またはセバシン酸と炭素数4以上のアルキルエステルか
    らなる有機溶剤であることを特徴とする請求項1記載の
    繊維用処理剤。
  3. 【請求項3】 重合性モノマーが親水性モノマーである
    ことを特徴とする請求項1または2記載の繊維用処理
    剤。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の繊維用
    処理剤により処理されてなることを特徴とする繊維構造
    物。
  5. 【請求項5】 炭素数4以上のアルキルエステルが2残
    基以上含有されてなる有機溶剤と、疎水性重合開始剤と
    重合性モノマーとを含有してなる繊維用処理剤中で繊維
    構造物を処理することを特徴とする繊維構造物の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 繊維構造物がポリエステル繊維構造物で
    あることを特徴とする請求項5記載の繊維構造物の製造
    方法。
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