JP2001303447A - 繊維用処理剤、それを用いた繊維構造物およびその製造方法 - Google Patents

繊維用処理剤、それを用いた繊維構造物およびその製造方法

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JP2001303447A
JP2001303447A JP2000127125A JP2000127125A JP2001303447A JP 2001303447 A JP2001303447 A JP 2001303447A JP 2000127125 A JP2000127125 A JP 2000127125A JP 2000127125 A JP2000127125 A JP 2000127125A JP 2001303447 A JP2001303447 A JP 2001303447A
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polyethylene glycol
fiber
fiber structure
hydrophilic polymer
textile
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JP2000127125A
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Inventor
Toshinori Hara
稔典 原
Jiro Amano
慈朗 天野
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は従来難しかった、繊維表面に吸湿性高
分子を均一な皮膜状に付与し、高度な吸湿性を持ちなが
ら風合い硬化を最低限に抑えるための繊維用処理剤とそ
れを用いた繊維構造物およびその製造方法を提供する。 【解決手段】分子構造中に少なくとも (a)ポリエチレングリコール部分とテレフタル酸およ
び/またはイソフタル酸部分 (b)N−アルキルアクリルアミドおよび/またはN−
ビニルアルキルアミド (c)ポリエチレングリコール部分とポリカルボン酸部
分 のいずれかを含み、かつ吸湿パラメータΔMRが20%
以上である親水性高分子と、ポリエチレングリコール部
分および/またはポリプロピレングリコール部分を含ん
でなるジビニルモノマーと、重合開始剤とを含有する繊
維用処理剤を用いて繊維構造物を処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維構造物の吸湿
性を向上させる繊維用処理剤およびそれを用いた繊維構
造物とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、繊維構造物の吸湿性を向上するた
め、繊維を構成する高分子を改質したり繊維構造物に親
水性化合物を付与したりする検討が広く行われてきた。
特にポリエステル繊維構造物の親水化に関わる改質につ
いては、ポリエステル繊維に親水性モノマーをグラフト
重合する試み(特開昭60−246869号公報、特開
昭63−105181号公報など)、親水性高分子を付
与する、あるいは親水性モノマーを付与して重合せしめ
る試み(特開平6−158545号公報、特開平9−2
56278号公報など)などの例がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記親水性モ
ノマーをグラフト重合する方法では、ポリエステル繊維
に効率的にグラフト重合できるモノマーがアクリル酸な
どのカルボン酸を有するものに限られるため、吸湿性を
向上するために金属塩化処理を行う必要があり、さらに
は長期的な使用の後に大きな強度低下が生じるという問
題があった。また親水性高分子を付与したり、親水性モ
ノマーを付与して重合する方法では、十分な吸湿性能を
得るために付与量を大きくした場合に親水性化合物が繊
維間空隙に集中し繊維同士を接着してしまうために、風
合いがかなり硬化して商品価値を低下させるという問題
があった。
【0004】かかる状況に鑑み、本発明は、強度低下の
恐れがないよう親水性化合物を繊維表面に付着させる
が、これまでの方法のように硬化することにより風合い
が大きく損なわれないよう、繊維間空隙に親水性化合物
を集中させずに、繊維表面を均一に覆う皮膜状に親水性
化合物を付与できるような繊維用処理剤およびそれを用
いる繊維構造物の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。
【0006】すなわち、本発明の繊維用処理剤は、分子
構造中に少なくとも (a)ポリエチレングリコール部分とテレフタル酸およ
び/またはイソフタル酸部分 (b)N−アルキルアクリルアミドおよび/またはN−
ビニルアルキルアミド (c)ポリエチレングリコール部分とポリカルボン酸部
分 のいずれかを含み、かつ吸湿パラメータΔMRが20%
以上である親水性高分子と、ポリエチレングリコール部
分および/またはポリプロピレングリコール部分を含ん
でなるジビニルモノマーと、重合開始剤とを含有するも
のである。
【0007】また、繊維構造物は、上記の繊維用処理剤
により処理されてなるものである。
【0008】さらに、本発明の繊維構造物を処理する繊
維構造物の製造方法は、分子構造中に少なくとも (a)ポリエチレングリコール部分とテレフタル酸およ
び/またはイソフタル酸部分 (b)N−アルキルアクリルアミドおよび/またはN−
ビニルアルキルアミド (c)ポリエチレングリコール部分とポリカルボン酸部
分 のいずれかを含み、かつ吸湿パラメータΔMRが20%
以上である親水性高分子と、ポリエチレングリコール部
分および/またはポリプロピレングリコール部分を含ん
でなるジビニルモノマーと、重合開始剤とを含有する繊
維用処理剤中で、繊維構造物を処理するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で用いる親水性高分子は、
分子構造中に少なくとも (a)ポリエチレングリコール部分とテレフタル酸およ
び/またはイソフタル酸部分 (b)N−アルキルアクリルアミドおよび/またはN−
ビニルアルキルアミド (c)ポリエチレングリコール部分とポリカルボン酸部
分 のいずれかを含み、かつ吸湿パラメータΔMRが20%
以上であるものである。
【0010】ここで吸湿パラメータΔMRとは、対象素
材の30℃、90%RHにおける水分率から20℃、6
5%RHにおける水分率を引いた値をいう。ここでそれ
ぞれの水分率はJIS L−1096の6.9項記載の
方法で求められる。また、親水性高分子が付着した後の
繊維構造物の吸湿性をより大きくするため、親水性高分
子の吸湿パラメータΔMRは、30%以上であることが
好ましく、40%以上であることがより好ましい。な
お、ΔMRは大きいほど好ましいが、100%程度あれ
ば十分に本発明の効果を発揮することができる。
【0011】なお、本発明で用いる親水性高分子の吸湿
特性としては、上記ΔMRに加えて、20℃、65%R
Hにおける水分率(MR)が20〜100%であること
が望ましい。
【0012】本発明において用いる親水性高分子の一例
は、ポリエチレングリコール部分とテレフタル酸および
/またはイソフタル酸部分を分子構造中に含んでなるも
のである。この高分子は、ポリエチレングリコール部分
とテレフタル酸および/またはイソフタル酸部分を持つ
ことにより、これらの部分と類似した分子構造を持った
繊維構造物への付着性を有する。
【0013】ここでポリエチレングリコール部分、テレ
フタル酸、イソフタル酸部分が高分子中に含む形態とし
ては、ポリエチレングリコール部分とテレフタル酸およ
び/またはイソフタル酸とが縮合重合した構造などがあ
る。ポリエチレングリコール部分、テレフタル酸、イソ
フタル酸部分以外の部分としては、例えば親水性を向上
するものとして、カルボキシル基、スルホン酸基を有す
るモノマーの重合体やアミノ酸、ポリアミノ酸などを含
有させることができる。
【0014】ここでポリエチレングリコール部分の分子
量は数平均分子量で200以上2000以下程度が好ま
しい。この理由は、ポリエチレングリコール部分の分子
量が大きくなりすぎると繊維構造物の染色堅牢度を著し
く損なう場合があるためである。また、親水性と付着性
のバランスを保つため、ポリエチレングリコール部分の
割合は重量比で20%以上90%以下程度、テレフタル
酸および/またはイソフタル酸部分の割合は重量比で1
0%以上80%以下程度が好ましいが、ポリエチレング
リコール部分、テレフタル酸、イソフタル酸の部分の総
和が80%以上あることが好ましく、90%以上がより
好ましく、100%であることが特に好ましい。
【0015】本発明において用いる親水性高分子の別の
一例は、N−アルキルアクリルアミドおよび/またはN
−ビニルアルキルアミドを分子構造中に含んでなるもの
である。ここでN−アルキルアクリルアミドとしては、
N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルア
クリルアミドなど、N−ビニルアルキルアミドとしては
N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなど
が挙げられる。これらのモノマーを含んでなる高分子
は、高温で水和分子が離れることにより疎水化するた
め、特に疎水性の合成繊維に対して付着性を有する。
【0016】ここで分子構造中にこれらのモノマーを含
む形態としては、これらのモノマーと他のモノマー、高
分子とによるランダム共重合体、ブロック共重合体、グ
ラフト(分岐)共重合体などを挙げることができる。本
発明では、これらのモノマーの特徴を十分発揮するた
め、上記共重合体のうちではブロック共重合体、グラフ
ト(分岐)共重合体を用いることが望ましい。また上記
モノマー以外に他のモノマーを併用してもよく、例え
ば、より親水性を高めるものとしてアクリル酸、メタク
リル酸、ポリエチレングリコール含有ビニルモノマー、
スチレンスルホン酸などのスルホン酸基含有ビニルモノ
マー、ポリアクリルアミド-2-プロパンスルホン酸、あ
るいはこれらのモノマーの金属塩などを挙げられる。ま
た上記モノマーとともに、ポリエチレングリコール、ポ
リアクリル酸、ポリアミノ酸など親水性の高い高分子化
合物を併用することもできる。
【0017】ここでN−アルキルアクリルアミドおよび
/またはN−ビニルアルキルアミドの割合は重量比で2
0%以上50%以下程度が好ましい。その他の部分は、
好ましくはポリエチレングリコールなどの親水性高分子
またはアクリル酸などのモノマーが含まれる。
【0018】本発明において用いる親水性高分子のさら
に別の一例は、ポリエチレングリコール部分とポリカル
ボン酸とを分子構造中に含んでなるものである。この高
分子は、ポリエチレングリコール部分とポリカルボン酸
とを持つことにより、これらの部分と類似した分子構造
を持った繊維構造物への付着性を有する。
【0019】ここでポリエチレングリコール部分、ポリ
カルボン酸を含む形態としては、それぞれの部分を持つ
モノマーや高分子同士が共重合、化学結合、架橋などさ
れている構造などを挙げることができる。ここで共重合
の形態としては、これらのモノマーと他のモノマー、高
分子とによるランダム共重合体、ブロック共重合体、グ
ラフト(分岐)共重合体などを挙げることができるが、
これらのモノマーやポリマーの特徴を十分発揮するた
め、ブロック共重合体、グラフト(分岐)共重合体を用
いることが望ましい。グラフト(分岐)共重合体を用い
る場合は、主鎖にポリエチレングリコール部分を配置し
て側鎖にポリカルボン酸を配置してもよいし、主鎖にポ
リカルボン酸を配置して側鎖にポリエチレングリコール
を配置してもよい。またポリカルボン酸の部分は、必要
により金属塩化物として用いることができる。ここでポ
リカルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン
酸などを用いることができ、これらのポリカルボン酸を
含有するモノマーをポリエチレングリコールとともに共
重合する、あるいはポリカルボン酸を含有する高分子に
ポリエチレングリコール部分を持つモノマーや高分子を
共重合したものなどを用いることができる。
【0020】ここでポリエチレングリコール部分の分子
量は数平均分子量で200以上2000以下程度が好ま
しい。この理由は、ポリエチレングリコール部分の分子
量が大きくなりすぎると繊維構造物の染色堅牢度を著し
く損なう場合があるためである。ポリカルボン酸部分の
分子量は親水性と付着性のバランスを保つため、数平均
分子量で200以上10000以下程度とすればよい。
また、同じく親水性と付着性のバランスを保つため、ポ
リエチレングリコール部分の割合は重量比で20%以上
80%以下程度が好ましく、ポリカルボン酸部分の割合
は重量比で10%以上50%以下が好ましい。また、ポ
リエチレングリコール部分、ポリカルボン酸部分の総和
が70%以上あることが好ましく、80%以上がより好
ましく、90%以上であることが特に好ましい。
【0021】本発明で用いる高分子の分子量に特に制限
はないが、繊維構造物への十分な付着性を得るために数
平均分子量で5000程度以上とし、生産で用いにくい
ような高粘度となるのを避けるために10万程度以下と
することが好ましい。
【0022】さらに繊維構造物への付着性をさらに向上
するための成分を本発明の親水性高分子中に共重合する
ことも有効である。繊維構造物として特にポリエステル
繊維構造物を用いる場合は、付着性を向上するための成
分として、ポリエステル繊維表面のマイナス電荷への引
力を持つカチオン性のモノマーや、ポリエチレングリコ
ールあるいはポリエチレングリコールとポリプロピレン
グリコール、ビスフェノールAなどとの共重合体を利用
することができる。
【0023】なお、本発明において上記3種の親水性高
分子を繊維処理剤中に併存させることも可能である。
【0024】次に、本発明において用いるジビニルモノ
マーは、分子構造中に2つ以上のビニル基を含有し、開
始剤との反応でラジカルを生成して本発明の高分子を架
橋する作用を有するものである。本発明で用いるジビニ
ルモノマーは、その分子構造中にポリエチレングリコー
ル部分および/またはポリプロピレングリコール部分を
含んでなることが特徴である。分子構造中にポリエチレ
ングリコールを含むことにより、このジビニルモノマー
はそれに類似した分子構造を持つ繊維構造物への付着性
を有するようになるため、本発明で用いる親水性高分子
が繊維構造物に付着した状態で架橋できる。また本発明
ではジビニルモノマーを用いることにより親水性高分子
が架橋されて、耐久性が向上することも利点となる。こ
こでポリエチレングリコール部分および/またはポリプ
ロピレングリコール部分の分子量は、数平均分子量で2
00以上20000以下程度とすればよい。
【0025】なお、より高い付着性を得るために、本発
明で用いるジビニルモノマーはポリエチレングリコール
部分とポリプロピレングリコール部分の両方を併せ持つ
ことが好ましい。ポリエチレングリコール部分とポリプ
ロピレングリコール部分の両方を含有させる形態として
は、例えば中心部にポリプロピレングリコール部分を配
置し、その両側にポリエチレングリコール部分、さらに
その外側にビニル基を配置するような形態を用いること
ができる。この場合のポリプロピレングリコール部分の
分子量は、数平均分子量で200以上5000以下程
度、その両側のポリエチレングリコール部分の分子量も
同程度とすればよい。
【0026】次に、本発明において用いる重合開始剤と
は、ラジカル反応を開始させる作用を持ち、上記ジビニ
ルモノマーによる親水性高分子の架橋反応を誘起するも
のをいう。重合開始剤の例としては、過硫酸アンモニウ
ム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、ベンゾイルパーオ
キサイドなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニト
リルのようなアゾ系開始剤などを挙げることができる。
【0027】本発明においては、重合開始剤も繊維構造
物に付着性を有するとより有効となる。特に疎水性繊維
構造物に付着性を有する重合開始剤としては、ベンゾイ
ルパーオキサイドなどの疎水性の有機過酸化物、疎水性
のアゾ系開始剤などを挙げることができる。
【0028】また本発明では、親水性高分子の繊維構造
物への付着性を向上させる化合物を処理剤中に含有させ
てもよい。そのような化合物の例としては、親水性高分
子の水への溶解度を低下させて疎水性高分子への付着性
を向上するものとして、無機物イオン、有機物イオン、
親水性有機化合物、親水性高分子などを挙げることがで
きる。無機物イオンの例としては、ナトリウムイオン、
マグネシウムイオン、バリウムイオン、鉄イオン、アル
ミニウムイオン、塩化物イオン、硫酸イオンなど、有機
物イオンとしてはアンモニウムイオン、リン酸イオンな
どがある。
【0029】本発明においては、繊維処理剤が親水性モ
ノマーを含有するとより有効である。この理由は、含有
された親水性モノマーが親水性高分子の架橋反応ととも
に親水性高分子または繊維構造物と反応し、繊維構造物
の親水化をさらに促進するからである。含有させる親水
性モノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、
ポリエチレングリコール含有ビニルモノマー、スチレン
スルホン酸などのスルホン酸基含有ビニルモノマー、ポ
リアクリルアミド-2-プロパンスルホン酸、あるいはこ
れらのモノマーの金属塩などが挙げられる。
【0030】次に、本発明の繊維構造物と繊維構造物の
製造方法について説明する。
【0031】本発明の繊維構造物は、上記した本発明の
繊維処理剤で処理されてなるものである。また本発明の
繊維構造物の製造方法は、該処理剤を用いて繊維構造物
を処理するものである。
【0032】本発明における繊維構造物としては、天然
繊維、再生繊維、半合成繊維、合繊繊維のうち少なくと
も一つからなるフィラメント、紡績糸、織物、編物、不
織布などを用いることができる。天然繊維としては綿、
獣毛繊維、絹、麻など、再生繊維としてはセルロース系
再生繊維のレーヨン(ビスコースレーヨン)、キュプラ
(銅アンモニアレーヨン)など、半合成繊維としてはセ
ルロース系半合成繊維としてアセテート(トリアセテー
ト)など、また合成繊維としてはポリエステル、ナイロ
ン、アクリル、アラミドなどの各種繊維を、被処理繊維
として使用することができる。
【0033】なかでも、吸湿性の向上が強く求められる
汎用繊維の中でポリエステル繊維が最も実用面で重要で
あるため、本発明ではポリエチレンテレフタレート、ポ
リプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ートなどのポリエステル繊維構造物を用いることがより
有効である。また上記親水性高分子に含有させる構造の
中で、ポリエチレングリコール部分、テレフタル酸、イ
ソフタル酸部分、N−アルキルアクリルアミド、N−ビ
ニルアルキルアミドなどは、ポリエステル繊維への付着
性を有するため、この面からもポリエステル繊維構造物
を用いることが有利となる。ポリエステル繊維構造物と
しては、ポリエステル繊維のみからなるもの以外に、
綿、羊毛などの天然繊維、アセテートなどの半合成繊
維、レーヨンなどの再生繊維、ナイロンなどの合成繊維
のうち少なくとも一つとポリエステル繊維を混紡または
交撚、交織、交編などしたものなどが含まれる。
【0034】このような繊維構造物を、本発明の繊維処
理剤で処理することで、吸湿性高分子で繊維表面を均一
に覆う皮膜を形成する。このように本発明の繊維用処理
剤を特に繊維構造物に対して用いることで、商品特性に
優れた吸湿性繊維構造物が得られる。
【0035】本発明において、繊維構造物を繊維用処理
剤で処理する方法としては、通常の繊維加工で用いられ
る染色機などの加工装置を用いて、常温から40℃以上
140℃以下の温度に昇温した後、10〜90分程度保
持するなどすればよい。この際、1回の処理で処理する
繊維構造物の量を十分大きくするため、繊維構造物に対
する処理剤重量の比は5〜50倍とすることが望まし
い。
【0036】本発明において、繊維構造物への親水性高
分子の付着量を十分とするため、繊維構造物に対する処
理剤中に含まれる親水性高分子の量は重量比で5〜30
%、より好ましくは10〜20%とするのが望ましい。
またジビニルモノマーは、親水性高分子の架橋を十分行
うため、親水性高分子量に対して1〜50%程度配合す
ればよく、開始剤はジビニルモノマーからのラジカル生
成を十分効率的に行わせるため、ジビニルモノマー量に
対して10〜100%程度配合すればよい。
【0037】本発明の繊維構造物において、親水性高分
子とジビニルモノマーが処理中に反応して生成した架橋
体の付着率は、付着前の繊維構造物の重量に対して5%
以上であることが望ましい。この理由は付着率がこれよ
り小さいと十分な吸湿性が得られにくいからである。ま
た吸湿性の面からは付着量は多いほど望ましいが、付着
量が大きくなりすぎると本発明の製造方法によってもや
はり風合いの硬化傾向となるので、付着率の上限として
は20%程度とするのが望ましい。さらに特に繊維構造
物がポリエステル繊維のみからなるものの場合、上記親
水性高分子が付着した後の繊維構造物のΔMRは2%以
上、より好ましくは4%以上であることが望ましい。上
限は、10%程度あれば十分である。またこの繊維構造
物のMR(20℃、65%RHにおける水分率)は1%
以上であることが望ましいが、その上限は20%程度あ
れば十分である。
【0038】付着率の測定は上記親水性高分子を付着さ
せる処理前後の重量変化により求めることができるが、
最終製品の状態では繊維表面の親水性高分子を何らかの
方法で取り除いて定量する、繊維の断面写真により付着
物の量を見積る、繊維構造物全体を溶解して含有成分を
定量するなどの方法を用いればよい。
【0039】本発明では、本発明の繊維処理剤に染料を
含有させ、染色と同時に上記親水性高分子を繊維構造物
に付着させることもできる。この方法を用いると繊維構
造物の処理プロセスをより短縮できるため、生産効率向
上やエネルギー消費削減の面で非常に有利になる。
【0040】さらに本発明では、吸湿性に加えて、必要
とされる他の機能を実現するための加工剤を、本発明の
処理剤に含有させてもよい。例えば、撥水剤、深色加工
剤、耐光剤、帯電防止剤、防汚加工剤、難燃剤、抗菌剤
などを本発明の親水性高分子と併用することができる。
【0041】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的
に説明する。
【0042】なお、実施例および比較例における測定は
以下の方法で行った。 <ΔMR>実施例において用いた高分子が付着した繊維
構造物のΔMRを以下の方法で測定した。すなわち、試
料を秤量ビンに入れ、20℃、65%RHに調整した恒
温恒湿槽中に24時間放置し秤量した。次いで、30
℃、90%RHに調整した恒温恒湿槽中に24時間放置
し、再度秤量した。最後に110℃の乾燥機中で1時間
乾燥し絶乾重量を求めた。水分率の差は下式により算出
した。
【0043】ΔMR(%)=((W’−W)/W−
(W”−W)/W)×100 W :試料の絶乾重量(g) W’:30℃、90%RHでの試料の重量(g) W”:20℃、65%RHでの試料の重量(g) なお、処理後の試料に対して吸湿性を高めるナトリウム
塩化を行う場合は、その処理の後にこの測定を行った。 <付着率>高分子の付着率は、処理前と処理後の繊維構
造物試料の絶乾重量を測定し、次式により算出した。
【0044】 付着率(%)=100×(W1−W0)/W0 W0:処理前のサンプルの絶乾重量(g) W1:処理後のサンプルの絶乾重量(g) なお、処理後の試料に対して吸湿性を高めるナトリウム
塩処理を行う場合は、その処理の前に上記測定を行っ
た。 <曲げ剛性増加率>繊維構造物試料の風合い変化を定量
するため、風合い計測システムとして一般的に使われて
いるKES(Kawabata Evaluation System)測定機(カ
トーテック)を用いて試料の曲げ剛性のたて、よこの平
均値Bを処理前後に測定し、処理前に対する処理後の増
加率を計算した。 [実施例1]分子量1000のポリエチレングリコール
が重量比で80%と、テレフタル酸とイソフタル酸がそ
れぞれ10%含まれる親水性ポリエステルで、数平均分
子量が約2万、ΔMRが42%である親水性高分子を用
い、これにジビニルモノマーとしてポリエチレングリコ
ール部分の分子量が400のポリエチレングリコールジ
メタクリレート、開始剤として過硫酸アンモニウムを配
合して繊維用処理剤を作製した。親水性高分子の濃度は
1g/l、ジビニルモノマーの濃度は0.2g/l、開
始剤の濃度は0.1g/lとした。
【0045】上記水溶液1000gに、試料としてポリ
エチレンテレフタレートからなるタフタ布帛片(180
℃中間セット後布帛、糸使い:経糸、緯糸とも総繊度8
3デシテックス(75デニール)−36マルチフィラメ
ント、織密度:経98×緯84本/inch、目付:70g
/m2)10gを浸漬し、130℃で60分間処理し
た。
【0046】この処理による上記親水性高分子とジビニ
ルモノマーの架橋体の試料への付着率は9.8%で、処
理後の試料のΔMRは4.0%であった。また処理後の
曲げ剛性増加率は、8.2%であった。以上により、こ
の方法により吸湿性が高く、しかも風合い硬化の小さい
ポリエステル布帛が得られた。 [実施例2]ジビニルモノマーとして、ポリエチレング
リコールジメタクリレートの代わりにポリプロピレング
リコール部分の分子量が400のポリプロピレングリコ
ールジメタクリレートを用いる以外は実施例1と同様に
行った。
【0047】結果、付着率は10.5%で、処理後の試
料のΔMRは2.1%であった。また曲げ剛性増加率は
7.8%であった。以上により、この方法により吸湿性
が高く、しかも風合い硬化が小さいポリエステル布帛が
得られた。 [比較例1]ジビニルモノマーと開始剤を配合しないこ
とを覗いては実施例1と同様に行った。
【0048】結果、付着率は0.5%しかえられず、処
理後の試料のΔMRもゼロで、吸湿性の高い織物は得ら
れなかった。 [比較例2]実施例1と同じ高分子を通常繊維加工で用
いられるPad法にて試料に付与した。具体的には、親
水性高分子を10%、ジビニルモノマーを2%、開始剤
を1%の濃度で含有する水溶液を作成し、絞り率80%
で実施例1と同じポリエステルタフタ布帛に付与した。
【0049】結果、付着率は9.3%で、処理後の試料
のΔMRは2.8%と吸湿性の高い織物が得られたが、
曲げ剛性増加率は85%と非常に高いもので、風合い硬
化の小さい布帛は得られなかった。 [実施例3]実施例1の繊維処理剤にメタクリル酸を
0.2g/lの濃度で加え、実施例1と同様に試料を処
理した。さらに吸湿性を高めるため、処理後の布帛を1
g/lの炭酸ナトリウム水溶液で処理して付着した高分
子中のメタクリル酸をナトリウム塩化した。
【0050】結果、付着率は9.2%で、処理後の試料
のΔMRは4.2%であった。また曲げ剛性増加率は
7.0%であった。以上により、この方法により吸湿性
が非常に高く、しかも風合い硬化が小さいポリエステル
布帛が得られた。 [実施例4]親水性高分子として、分子量1000のポ
リエチレングリコールが重量比で60%と、テレフタル
酸とイソフタル酸がそれぞれ20%含まれる親水性ポリ
エステルで、数平均分子量が約2万、ΔMRが24%で
ある親水性高分子を用い、実施例1と同様に試料を処理
した。
【0051】結果、付着率は10.8%で、処理後の試
料のΔMRは2.4%であった。また曲げ剛性増加率は
8.8%であった。以上により、この方法により吸湿性
が高く、しかも風合い硬化が小さいポリエステル布帛が
得られた。 [比較例3]親水性高分子として、分子量1000のポ
リエチレングリコールが重量比で40%と、テレフタル
酸とイソフタル酸がそれぞれ30%含まれる親水性ポリ
エステルで、数平均分子量が約2万、ΔMRが12%で
ある親水性高分子を用い、実施例1と同様に試料を処理
した。
【0052】結果、付着率は10.9%で、処理後の試
料のΔMRは1.2%であった。また曲げ剛性増加率は
10.2%であった。以上により、この方法では吸湿性
が高いポリエステル布帛は得られなかった。 [実施例5]親水性高分子として、N−イソプロピルア
クリルアミドとアクリル酸が重量比で1:1の割合で含
まれるランダム共重合体で、数平均分子量が約3万、Δ
MRが60%のものを用いて実施例1と同様に試料を処
理した。さらに吸湿性を高めるため、処理後の布帛を1
g/lの炭酸ナトリウム水溶液で処理して付着した高分
子中のアクリル酸をナトリウム塩化した。
【0053】結果、付着率は6.3%で、処理後の試料
のΔMRは3.2%であった。また曲げ剛性増加率は
6.1%であった。以上により、この方法により吸湿性
が高く、しかも風合い硬化が小さいポリエステル布帛が
得られた。 [実施例6]親水性高分子として、ポリエチレングリコ
ールの主鎖にアクリル酸が側鎖としてグラフト重合して
おりアクリル酸の含有率が重量比で30%であるもの
で、数平均分子量が約2万5千、ΔMRが63%のもの
を用いて実施例1と同様に試料を処理した。さらに吸湿
性を高めるため、処理後の布帛を1g/lの炭酸ナトリ
ウム水溶液で処理して付着した高分子中のアクリル酸を
ナトリウム塩化した。
【0054】結果、付着率は6.9%で、処理後の試料
のΔMRは3.7%であった。また曲げ剛性増加率は
7.0%であった。以上により、この方法により吸湿性
が高く、しかも風合い硬化が小さいポリエステル布帛が
得られた。 [実施例7]親水性高分子として、マレイン酸の主鎖に
ポリエチレングリコールが側鎖としてグラフト重合して
おりマレイン酸の含有率が重量比で40%であるもの
で、数位平均分子量が2万、ΔMRが63%のものを用
いて実施例1と同様に試料を処理した。さらに吸湿性を
高めるため、処理後の布帛を1g/lの炭酸ナトリウム
水溶液で処理して付着した高分子中のマレイン酸をナト
リウム塩化した。
【0055】結果、付着率は7.8%で、処理後の試料
のΔMRは4.0%であった。また曲げ剛性増加率は
9.0%であった。以上により、この方法により吸湿性
が高く、しかも風合い硬化が小さいポリエステル布帛が
得られた。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、吸湿性高分子が5%以
上付着し、優れた吸湿性を有するにも拘らず、風合い硬
化が小さく商品特性に優れた繊維構造物、特にポリエス
テル繊維構造物を得ることができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分子構造中に少なくとも (a)ポリエチレングリコール部分とテレフタル酸およ
    び/またはイソフタル酸部分 (b)N−アルキルアクリルアミドおよび/またはN−
    ビニルアルキルアミド (c)ポリエチレングリコール部分とポリカルボン酸部
    分 のいずれかを含み、かつ吸湿パラメータΔMRが20%
    以上である親水性高分子と、ポリエチレングリコール部
    分および/またはポリプロピレングリコール部分を含ん
    でなるジビニルモノマーと、重合開始剤とを含有する繊
    維用処理剤。
  2. 【請求項2】該処理剤がさらに親水性モノマーを含有す
    る請求項1に記載の繊維用処理剤。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の繊維用処理剤に
    より処理されてなる繊維構造物。
  4. 【請求項4】該親水性高分子と該ジビニルモノマーの架
    橋体の付着率が繊維構造物重量対比5%以上である請求
    項3記載の繊維構造物。
  5. 【請求項5】分子構造中に少なくとも (a)ポリエチレングリコール部分とテレフタル酸およ
    び/またはイソフタル酸部分 (b)N−アルキルアクリルアミドおよび/またはN−
    ビニルアルキルアミド (c)ポリエチレングリコール部分とポリカルボン酸部
    分 のいずれかを含み、かつ吸湿パラメータΔMRが20%
    以上である親水性高分子と、ポリエチレングリコール部
    分および/またはポリプロピレングリコール部分を含ん
    でなるジビニルモノマーと、重合開始剤とを含有する繊
    維用処理剤中で、繊維構造物を処理する繊維構造物の製
    造方法。
  6. 【請求項6】該処理剤がさらに親水性モノマーを含有す
    る請求項5に記載の繊維構造物の製造方法。
  7. 【請求項7】該繊維構造物がポリエステル繊維構造物で
    ある請求項5または6に記載の繊維構造物の製造方法。
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