JP2003026638A - 高純度キシリレンジアミンの製造方法 - Google Patents

高純度キシリレンジアミンの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】キシレンのアンモ酸化反応によりフタロニトリ
ルを合成し、フタロニトリルを水素化してキシリレンジ
アミンを製造する方法において、高純度のキシリレンジ
アミンを収率よく得る方法を提供する。 【解決手段】アンモ酸化反応ガス中のフタロニトリルを
特定の有機溶媒中に捕集し、更に液体アンモニアを加え
て水素化した反応物から該有機溶媒とアンモニアを分離
して得られた粗キシリレンジアミンに対して、特定の溶
媒と水を用いて抽出操作を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はキシレンから高純度
キシリレンジアミンを製造する方法に関する。キシリレ
ンジアミンはポリアミド樹脂、エポキシ硬化剤等の原
料、およびイソシアネートの中間原料として有用であ
る。
【0002】
【従来の技術】キシレンとアンモニアおよび分子状酸素
を触媒の存在下に反応(アンモ酸化)させてフタロニト
リルを製造する方法はよく知られている。例えば特開平
11−209332号には、V〜Cr〜B〜Mo系の酸
化物を含有する触媒を用いてアンモ酸化する方法が記載
されている。こうして得られたフタロニトリルをアンモ
ニアの存在下水素化してキシリレンジアミンが製造され
る。キシレンをアンモ酸化してフタロニトリルを製造す
る際に得られる反応生成ガスは、目的生成物であるフタ
ロニトリル以外にアンモニア、炭酸ガス、一酸化炭素、
シアン化水素、芳香族アミド、芳香族カルボン酸、空気
および水蒸気などを含んでいる。このため、反応生成ガ
スからフタロニトリルを捕集分離した上で、水素化工程
に供する必要がある。
【0003】反応生成ガスからフタロニトリルを捕集分
離するひとつの方法としては表面積の大きい冷却器にガ
スを導き、冷却面にフタロニトリルを付着固化し、溶融
して取り出す方法がある。しかし、フタロニトリルは高
温において重合などの変質を起こしやすく、溶融取り出
し時に変質を起こし製品の純度低下をきたす。類似の方
法として、冷却器にガスを導き、冷却面にフタロニトリ
ルを付着固化し、この固体状ニトリルに溶媒を添加し水
素化反応器に供給する方法がある(化学工学、32巻7
号658−660頁(1968年))。しかし、この方
法ではフタロニトリルが冷却器の冷却面で重合などの変
質を起こしやすく、添加した溶媒に不溶の重合物を生成
し、ついには重合物の蓄積により装置の安定運転に支障
が生じる。
【0004】他の捕集方法としてはフタロニトリルを含
む反応生成ガスを直接水と接触し、フタロニトリル結晶
を水に懸濁した状態で捕集し、この懸濁液から固液分離
してフタロニトリルを得る方法が提案されている(石油
学会編プロセスハンドブック(1978年))。この方
法ではフタロニトリルの捕集は満足に行えるが、フタロ
ニトリルの懸濁液中でのかさ比重が小さいためスラリー
がかさばり、スラリー水溶液から濾過などの方法で固液
を分離する場合、非常に大きな濾過装置を必要とするば
かりでなく、分離された結晶の含水率が高く、これを乾
燥するのに多大な熱負荷を必要とする。フタロニトリル
は高温で水と比較的容易に反応して高沸点のアミドに変
化するので、水存在下での長時間加熱はフタロニトリル
の純度低下の原因となる。また水を捕集溶媒とする方法
は、副生物である青酸を高温で水に接触させることとな
り、青酸は熱履歴により容易にホルムアミド、ギ酸アミ
ド、重合物等に変質し排水中に含まれ、排水のTOD負荷
増や着色の要因となる。
【0005】また、アンモ酸化反応生成ガスを有機溶媒
と接触し、フタロニトリルを捕集分離する方法も提案さ
れている(石油学会編プロセスハンドブック(1976
年))。この方法ではフタロニトリル捕集液を蒸留して
溶媒回収を行った後、フタロニトリルの精留が行われて
おり、精製に多大のエネルギーを要すると共に、フタロ
ニトリルの損失も多い。一方、アンモ酸化で生成したフ
タロニトリルは次工程において、アンモニアや有機溶媒
に溶解させて水素化反応が行われる。固体あるいは溶融
状態でフタロニトリルを取得した場合には、水素化に先
立ち溶媒を加え液相均一にするための溶解槽もしくは混
合槽を設置しなけらばならない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のように従来技術
では、反応生成ガス中のフタロニトリルを分離する際に
副生物を新たに生成し純度の低下をきたしたり、廃棄物
や排水の増加を招くことや、多大のエネルギーを要する
などの欠点を有している。本発明者らは、キシレンのア
ンモ酸化反応によりフタロニトリルを合成し、水素化し
てキシリレンジアミンを製造する方法において、アンモ
酸化で生成したフタロニトリルを簡便な方法で収率よく
反応ガスから回収し、水素化反応を実施する方法を提案
している(特願2000-290459)。
【0007】この方法では、アンモ酸化反応ガスを有機
溶媒と直接接触させることによりフタロニトリルを有機
溶媒中に捕集し、有機溶媒に捕集したフタロニトリルを
分離することなく液体アンモニアを加えて水素化反応を
行うことにより、新たな設備の設置なしにフタロニトリ
ルを収率よく簡便に反応ガスから回収し、水素化反応で
キシリレンジアミンを効率よく製造できる。ここで得ら
れるキシリレンジアミンは純度的には通常の用途への使
用は満足のいくものであるが、近年、ポリアミド樹脂等
において、より着色の少ないものが求められている。そ
の為には更に高純度のキシリレンジアミンが望まれてい
る。本発明の目的は、キシレンのアンモ酸化反応により
フタロニトリルを合成し、フタロニトリルを水素化して
キシリレンジアミンを製造する方法において、高純度の
キシリレンジアミンを収率よく得る方法を提供すること
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、アンモ酸化反応ガス中
のフタロニトリルを特定の有機溶媒中に捕集し、更に液
体アンモニアを加えて水素化した反応物から該有機溶媒
とアンモニアを分離して得られた粗キシリレンジアミン
に対して、特定の溶媒と水を用いて抽出操作を行うこと
により、高純度キシリレンジアミンを効率よく製造でき
ることを見出し、本発明に到達した。即ち本発明は、メ
タキシレンまたはパラキシレンからアンモ酸化反応によ
りそれぞれのフタロニトリルを合成し、当該フタロニト
リルを水素化してキシリレンジアミンを製造する方法で
あって、以下の(1)〜(6)の工程を含むことを特徴
とする高純度キシリレンジアミンの製造方法である。 (1)原料キシレンをアンモニアおよび酸素含有ガスと
の気相接触反応によりアンモ酸化させてフタロニトリル
を製造するアンモ酸化工程 (2)アンモ酸化反応ガスを有機溶媒と直接接触させ、
フタロニトリルを該有機溶媒中に捕集する捕集工程 (3)有機溶媒に捕集したフタロニトリルを分離するこ
となく液体アンモニアを加えて水素化反応を行う水素化
工程 (4)水素化反応生成物から有機溶媒とアンモニアを分
離して粗キシリレンジアミンを得る分離工程 (5)粗キシリレンジアミンに芳香族炭化水素または飽
和炭化水素から選ばれる少なくとも1種の溶媒と水を加
えた後、溶媒相と水相に分離する抽出工程 (6)抽出分離された水相から高純度キシリレンジアミ
ンを回収する回収工程
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の原料としては、メタキシ
レンまたはパラキシレンが用いられる。メタキシレン、
パラキシレンからはアンモ酸化反応により対応するイソ
フタロニトリル、テレフタロニトリルが製造され、更に
引き続く水素化反応によりメタキシリレンジアミン、パ
ラキシリレンジアミンに変換される。
【0010】<アンモ酸化工程>アンモ酸化反応は反応
熱が大きく、反応器内の均一の温度分布を得るため気相
流動床反応として実施されるのが好ましい。触媒として
は、基本組成がバナジウム、モリブテンおよび鉄から選
ばれる一種以上の金属酸化物から構成される触媒が好適
に用いられる。触媒の活性、強度および寿命を高めるた
めに、該金属酸化物にMg,Ca,Ba,La, Ti,Zr,Cr,W, Co,N
i,B,Al,Ge,Sn,Pb,P,Sb,Bi,Li,Na,K,RbおよびCsの群から
選ばれた少なくとも一種を含む金属酸化物を加えて修飾
された複数の金属酸化物から構成された触媒が用いら
れ、以下の組成式で示される。 組成式: (V)a(Mo)b(Fe)c(X)d(Y)e(O)f ただし、XはMg,Ca,Ba,La,Ti,Zr,Cr,W,CoおよびNiよりな
る群より選ばれた少なくとも一種類の元素、YはB,Al,G
e,Sn,P,b,P,Sb,Li,Na,K,RbおよびCsよりなる群から選ば
れた少なくとも一種の元素、添字のa,b,c,dおよびeは原
子比を各々示し、a=0.01〜1(好ましくは0.1〜0.7)、b=
0.01〜1(好ましくは0.05〜0.7)、c=0〜1、d=0〜1(好ま
しくは0.05〜0.7)、e=0〜1(好ましくは0.05〜0.7)およ
びfは上記元素が結合して得られる酸化物の酸素数であ
る。
【0011】アンモ酸化に用いる酸素含有ガスとして
は、通常、空気が好適に用いられ、これに酸素を富化し
ても良い。また、窒素、炭酸ガス等の希釈剤を併用する
こともできる。酸素の使用量は原料キシレン1モルに含
まれるメチル基1個に対して1.5倍モル以上、好まし
くは2〜50倍モルの範囲である。これより使用量が少
ないとニトリル化合物の収率は低下し、一方これより多
いと空時収率が小さくなる。空気を用いてアンモ酸化を
行う場合の反応器に供給される原料ガス中のキシレンの
濃度は0.2〜10容量%、好ましくは0.5〜5容量%の範囲で
ある。この濃度より高いとニトリル化合物の収率は低下
し、一方、これより低いと空時収率は小さくなる。
【0012】アンモ酸化に用いるアンモニアには工業用
グレードのものを用いることができる。アンモニア使用
量は原料キシレンに含まれるメチル基に対して1〜10倍
モル、好ましくは3〜7倍モルの範囲である。これより使
用量が少ないとニトリル化合物の収率が低下し、これよ
り多いと空時収率が小さくなる。アンモ酸化は流動床反
応器が好適であり、種々の形式の流動床反応器を用いる
ことができる。アンモニアは原料キシレンと混合して供
給することも、別々に供給することもでき、またアンモ
ニアおよび原料キシレンに酸素含有ガスの一部を混合し
て供給することもできる。アンモ酸化の反応温度は300
〜500℃、好ましくは330〜470℃の範囲である。この範
囲より反応温度が低いと転化率が低く、この範囲より反
応温度が高いと炭酸ガス、シアン化水素等の副生が増加
しニトリル化合物の収率が低下する。反応圧力は常圧、
加圧或いは減圧のいずれでも良いが、常圧付近から0.2M
Paの範囲が好ましい。反応ガスと触媒の接触時間は、原
料の種類、原料に対するアンモニアおよび酸素含有ガス
の仕込みモル比、反応温度等の条件に依存するが、通常
は0.3〜30秒の範囲である。アンモ酸化反応器からの反
応生成ガス中には、未反応の原料キシレン、フタロニト
リル等のニトリル化合物、アンモニア、シアン化水素、
炭酸ガス、水、一酸化炭素、窒素、酸素等が含まれる。
【0013】<捕集工程>捕集工程において、反応生成
ガスはフタロニトリル捕集器で有機溶媒と接触させるこ
とにより有機溶媒にフタロニトリルを溶解し分離する。
この有機溶媒は、フタロニトリルを溶解するものであ
り、具体的には、トルエン、メタキシレン、パラキシレ
ン、メシチレン、プソイドキュメン、テトラメチルベン
ゼン等の芳香族炭化水素が挙げられる。これらの溶媒は
単独または2種以上の混合物として使用できる。また、
原料キシレンより沸点が高い有機溶媒を用いるとガスに
同伴される溶媒量が少ないので好ましい。更にフタロニ
トリルの溶解度が高く、またフタロニトリルに対して不
活性で、水素化される官能基を有しない有機溶媒を用い
るとより好ましい。これらの有機溶媒の中でメシチレ
ン、プソイドキュメン、およびこれらの混合物が好適に
使用される。
【0014】フタロニトリル捕集器の操作温度は、液相
部が組成液の沸点以下となる条件で行われる。その圧力
は、常圧、加圧または減圧の何れでも実施できるが、通
常は常圧からアンモ酸化反応圧力の範囲で実施される。
アンモ酸化反応生成ガス中に含まれるアンモニア、シア
ン化水素、炭酸ガス、水、一酸化炭素、窒素、酸素等
は、有機溶媒に吸収されず、フタロニトリル捕集器より
ガスとして排出される。有機溶媒に吸収されたフタロニ
トリルは、有機溶媒と分離することなく、液体アンモニ
アを加え水素化反応に供される。
【0015】<水素化工程>水素化工程におけるフタロ
ニトリルの水素化反応によるキシリレンジアミンの製造
はニッケルおよび/またはコバルトを主成分とする触媒
により好適に実施される。フタロニトリルのアンモニア
共存下における水素化反応は白金族系金属触媒を用いて
も実施できるが、ルテニウムなどを用いると溶媒として
用いる芳香族炭化水素(メシチレンやプソイドキュメン
等)および生成したキシリレンジアミンの核水素化が進
行するため好ましくない。本発明の様にアンモ酸化生成
ガスからのフタロニトリル捕集溶媒と水素化反応の反応
溶媒を同一とする場合には、ニッケルやコバルトを主成
分とする触媒が好適である。
【0016】水素化反応器に入る原料の組成は適時決め
られるが、基質であるフタロニトリルの濃度がなるべく
低い方が、溶媒であるアンモニア濃度がなるべく高い方
が、キシリレンジアミンの収率は高くなる。十分な収率
と生産量を上げられるように有機溶媒を更に加えたり、
アンモニアを加えることにより調整される。好ましい原
料組成としては、フタロニトリル 1〜10wt%、有機溶媒
1〜50wt%、アンモニア20〜97wt%の範囲から決められ
る。反応は回分式でも連続式でも可能であり、槽型反応
器にニッケルやコバルトのラネー金属粉体状触媒を入れ
完全混合型でも可能であるが、工業的には管状反応器を
用い、成形された触媒を固定床とし原料溶液と水素ガス
を反応器上部から並列で供給する潅液タイプの連続反応
器を用いる方法が簡便である。
【0017】水素化触媒としては、ニッケルおよび/ま
たはコバルトを担体に担持したものが好適である。担体
としてはケイソウ土、酸化珪素、アルミナ、シリカ−ア
ルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、炭素などが用
いられる。ニッケル系触媒の場合、反応温度は60〜130
℃であり、反応圧力は4〜15MPaである。
【0018】<分離工程>水素化反応により、キシリレ
ンジアミンを含む反応液が得られる。この反応液からア
ンモニア、有機溶媒を分離することで、粗キシリレンジ
アミンを得ることができる。分離は蒸留操作により好適
に行うことができる。必要に応じて複数の蒸留塔を用い
てもよい。分離されたアンモニアは、アンモ酸化工程や
水素化工程に循環し、再使用することができる。また、
分離された溶媒は、捕集工程に循環し、再使用すること
ができる。アンモニアや溶媒の再使用に際しては、別
途、これらの精製工程を設けてもよい。
【0019】<抽出工程>粗キシリレンジアミン中には
蒸留操作により分離できない不純物が含まれている。こ
の粗キシリレンジアミンに溶媒と水を加えて不純物を溶
媒に抽出する。キシリレンジアミンは水相側に回収され
る。ここで使用する溶媒は、水と相分離するものであれ
ば特に制限はないが芳香族炭化水素や飽和炭化水素が好
適であり、具体的にはベンゼン、トルエン、メタキシレ
ン、パラキシレン、メシチレン、プソイドキュメン、ヘ
キサン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの溶媒
は単独でも2種以上の混合物としても使用できる。中で
も原料キシレン(例えばメタキシリレンジアミン製造で
はメタキシレン)を用いると取扱い化合物数が増えない
ので有利である。溶媒使用量は、粗キシリレンジアミン
1重量部に対し、0.01〜100重量部の範囲で選択される
が、0.2〜10重量部の範囲は抽出効率がよく、好適であ
る。水使用量は、粗キシリレンジアミン1重量部に対
し、0.01〜100重量部の範囲で選択されるが、溶媒の場
合と同様に、0.2〜10重量部の範囲が好適である。抽出
操作を実施する温度は特に制限はなく、室温でも充分に
効果を発揮する。また、抽出操作は繰り返し実施するこ
とができ、不純物を含有する溶媒相を分液により除去し
た後、更に溶媒を加え、同様な操作を実施することでキ
シリレンジアミンの純度を向上させることができる。
【0020】<回収工程>抽出工程で得られたキシリレ
ンジアミン−水相は、精製操作を実施することにより、
高純度のキシリレンジアミンを得ることができる。精製
は、通常の回分蒸留や連続蒸留により好適に実施するこ
とができる。一方、溶媒相から溶媒を回収し、抽出工程
で再使用することができる。
【0021】次に図面を用いて本発明を具体的に説明す
る。図1は本発明の実施形態を示すフロー図の一例であ
る。アンモ酸化工程Aでは、触媒が充填されたアンモ酸
化反応器に空気、アンモニアおよびキシレンが供給され
る。反応生成ガス中には、未反応のキシレン、フタロニ
トリル等のニトリル化合物、アンモニア、シアン化水
素、炭酸ガス、水、一酸化炭素、窒素および酸素等が含
まれる。反応生成ガスは捕集工程Bに導入し、有機溶媒
と接触させる。ここで、有機溶媒にフタロニトリルが溶
解し分離される。有機溶媒に吸収されなかったアンモニ
ア、シアン化水素、炭酸ガス、水、一酸化炭素、窒素、
酸素等は捕集器頂部より排出される。有機溶媒に吸収さ
れたフタロニトリルは捕集器底部より抜き出され、液体
アンモニアを加え水素化工程Cに送られる。水素化工程
Cでは、触媒が充填された水素化反応器に前述のフタロ
ニトリル液と水素が供給され、キシリレンジアミンを含
む反応液が排出される。この反応液は分離工程Dに送ら
れ、有機溶媒、アンモニア等を分離し、粗キシリレンジ
アミンが得られる。この粗キシリレンジアミンに溶媒と
水を加え、抽出工程Eに送る。ここで、溶媒相に不純物
が抽出され、水相にキシリレンジアミンが回収される。
回収工程Fで、この水相から高純度キシリレンジアミン
を回収する。
【0022】
【実施例】以下に実施例により、本発明を具体的に説明
する。但し、本発明はこれら実施例に制限されるもので
はない。尚、以下の実施例において、組成分析はガスク
ロマトグラフを用いて行った。
【0023】<アンモ酸化反応用触媒調整>五酸化バナジ
ウム V2O5 229g に水500mLを加え、80〜90℃に加熱し攪
拌しながらシュウ酸477g を加え溶解する。またシュウ
酸 963g に水400mL を加え50〜60℃に加熱し、無水クロ
ム酸 CrO3 252g を水200mLに加えた溶液を良く攪拌しな
がら加え溶解する。得られたシュウ酸バナジウムの溶液
にシュウ酸クロムの溶液を50〜60℃にて混合しバナジウ
ム-クロム溶液を得る。この溶液にリンモリブデン酸 H3
(PMo12O40)・20H2O 41.1gを水100mLに溶解して加え、更
に、酢酸カリウム CH3COOK 4.0gを水 100mLに溶解して加え
る。次いで20重量%水性シリカゾル(Na2Oを0.02重量%含
有) 2500g を加える。このスラリー溶液にホウ酸H3BO3
78g を加え良く混合し液量が約3800g になるまで加熱、
濃縮する。この触媒溶液を入口温度250℃、出口温度130
℃に保ちながら噴霧乾燥した。130℃の乾燥機で12時間
乾燥後、400℃で0.5時間焼成し、550℃で8時間空気流通
下焼成し、流動触媒を製造した。この触媒成分の原子比
は、 V:Cr:B:Mo:P:Na:K が 1:1:0.5:0.086:0.007:0.00
9:0.020 の割合で含有され、流動触媒におけるその触媒
成分の濃度は50重量%である。
【0024】実施例1 図1に示したフローによりアンモ酸化、フタロニトリル
の捕集および水素化を行った。アンモ酸化反応器に上記
で調製した流動触媒6Lを充填し、空気、メタキシレン(M
X)およびアンモニアの混合ガスを、温度350℃に予熱し
反応器に供給した。仕込み条件として、MX供給量を350g
/hr, NH3/MXモル比を11、O2/MXモル比を 5.4、SVを630hr-1
とした。反応条件は温度420℃、圧力を0.2MPaとした。
反応器頂部からの生成ガスは捕集器に導入した。捕集器
には有機溶媒としてプソイドキュメンを供給し、アンモ
酸化反応ガスを140℃に保たれた捕集器の液相部に吹き
込み、イソフタロニトリルをプソイドキュメンに溶解・
吸収し、捕集器底部より抜き出した。炭酸ガス、アンモ
ニア、シアン化水素、一酸化炭素、窒素、酸素および水
のガス成分は捕集器頂部より抜き出した。捕集器底部よ
り抜き出されたイソフタロニトリルのプソイドキュメン
溶液に液体アンモニアを加え水素化原料とした。この液
の組成は、イソフタロニトリル/プソイドキュメン/アン
モニアが重量比で6/25/69とした。
【0025】内容量 4Lの管状縦型水素化反応器にNi含
量50重量%であるNi/ケイソウ土触媒を5kg 充填した。この
反応器上部よりイソフタロニトリル/プソイドキュメン/
アンモニアからなる原料を6kg/hrの速度で供給した。水
素を反応器上部より並流で流し、反応圧12MPa、温度90
℃で水素化反応を実施した。水素化反応でのイソフタロ
ニトリル基準のメタキシリレンジアミン収率は92モル%
であった。
【0026】水素化反応生成液から有機溶媒であるプソ
イドキュメン、アンモニアを蒸留で分離し、更に低沸点
副生物、高沸点副生物を取り除く蒸留を実施し、純度9
9.80重量%のメタキシリレンジアミンを得た。不純物と
してメチルベンジルアミン200ppm、捕集溶媒由来のジメ
チルベンジルアルコール1500ppm、不明高沸点成分300pp
mが含まれていた。
【0027】上記メタキシリレンジアミン1kgにメタキ
シレン1kgと水1kgを室温で加え攪拌し、静置後、メタキ
シレン相を分離した。この操作を4回繰り返し、メタキ
シリレンジアミン−水相を得た。メタキシリレンジアミ
ン−水相を回分蒸留し、水を分離、初留を一部カットし
高純度キシリレンジアミンを得た。純度は99.99重量%
であり、メチルベンジルアミン31ppm、不明高沸点成分1
0ppm以下であった。ジメチルベンジルアルコールは検出
されなかった。
【0028】
【発明の効果】以上の実施例から明らかなように、本発
明によれば、アンモ酸化反応ガスから有機溶媒により捕
集したフタロニトリルにアンモニアを加え、直接水素化
を行い、得られた粗キシリレンジアミンから抽出と蒸留
操作で高純度のキシリレンジアミンが得られる。この高
純度キシリレンジアミンは、高品質のポリマー合成への
使用が可能であり、本発明の工業的意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施形態を示すフロー図の一例
である。
【符号の説明】
A:アンモ酸化工程 B:捕集工程 C:水素化工程 D:分離工程 E:抽出工程 F:回収工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 設楽 琢治 新潟県新潟市松浜町3500番地 三菱瓦斯化 学株式会社新潟工業所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC52 AC54 BA12 BA14 BA19 BA20 BA21 BA30 BD70 BD84 BE14 BE20 BE30 4H039 CA70 CA71 CB30 CC90

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メタキシレンまたはパラキシレンからアン
    モ酸化反応によりそれぞれのフタロニトリルを合成し、
    当該フタロニトリルを水素化してキシリレンジアミンを
    製造する方法であって、以下の(1)〜(6)の工程を
    含むことを特徴とする高純度キシリレンジアミンの製造
    方法。 (1)原料キシレンをアンモニアおよび酸素含有ガスと
    の気相接触反応によりアンモ酸化させてフタロニトリル
    を製造するアンモ酸化工程 (2)アンモ酸化反応ガスを有機溶媒と直接接触させ、
    フタロニトリルを該有機溶媒中に捕集する捕集工程 (3)有機溶媒に捕集したフタロニトリルを分離するこ
    となく液体アンモニアを加えて水素化反応を行う水素化
    工程 (4)水素化反応生成物から有機溶媒とアンモニアを分
    離して粗キシリレンジアミンを得る分離工程 (5)粗キシリレンジアミンに芳香族炭化水素または飽
    和炭化水素から選ばれる少なくとも1種の溶媒と水を加
    えた後、溶媒相と水相に分離する抽出工程 (6)抽出分離された水相から高純度キシリレンジアミ
    ンを回収する回収工程
  2. 【請求項2】有機溶媒が芳香族炭化水素である請求項1
    記載の高純度キシリレンジアミンの製造方法。
  3. 【請求項3】原料キシレンのアンモ酸化反応に、バナジ
    ウム、モリブデンおよび鉄から選ばれた一種以上の金属
    酸化物を含む流動触媒を用いる請求項1記載の高純度キ
    シリレンジアミンの製造方法。
  4. 【請求項4】水素化反応をニッケルおよび/またはコバ
    ルト触媒の存在下で行う請求項1記載の高純度キシリレ
    ンジアミンの製造方法。
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