JP2003025582A - 液体吐出ヘッド - Google Patents

液体吐出ヘッド

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JP2003025582A
JP2003025582A JP2001211568A JP2001211568A JP2003025582A JP 2003025582 A JP2003025582 A JP 2003025582A JP 2001211568 A JP2001211568 A JP 2001211568A JP 2001211568 A JP2001211568 A JP 2001211568A JP 2003025582 A JP2003025582 A JP 2003025582A
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JP
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film
liquid
protective film
heating element
energy
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JP2001211568A
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English (en)
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Tomoyuki Inoue
智之 井上
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Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吐出エネルギー発生素子としての発熱素子の
保護膜を改善してエネルギー効率を大幅に向上させ、少
ないエネルギーと短い時間で印字記録や画像形成を行う
ことができる液体吐出ヘッドを提供する。 【解決手段】 Si基板1上に積層する発熱抵抗層3と
配線電極4で構成される発熱素子8の保護膜としての絶
縁層5を、熱伝導率の結晶方向依存性を示すセラミック
ス窒化アルミニウムを用いてCVD等の乾式成膜法で成
膜する際に、電子シャワー法により配向薄膜化して熱伝
導率に異方性をもたせる。これによって、発熱素子8か
ら液体への熱流束ベクトルを増大かつ安定化させ、発熱
素子で発生した熱エネルギーを効率良く液体の発泡エネ
ルギーに変換するエネルギー効率を大幅に向上させる。
また、配向膜化した窒化アルミニウムを用いることによ
り、発熱素子の保護膜を単層構造とすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク等の液体を
吐出口から飛翔液滴として吐出させて記録媒体に付着さ
せて印字記録や画像形成等を行う液体吐出ヘッドに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】液体吐出ヘッドの液吐出口からインク等
の液体を吐出することにより記録媒体等に液滴を付着さ
せて印字記録や画像形成等を行う液体吐出装置(インク
ジェット記録装置)は、近年の記録装置に対する高速記
録、高画質記録、低騒音などの要求に応えて発達してき
た。
【0003】今日一般的に用いられている液体吐出方式
の一つに吐出エネルギー発生素子として発熱素子(電気
熱変換素子)を用いる方式がある。この方式の原理は、
発熱素子に電気信号を与えることにより、発熱素子近傍
のインク等の液体を瞬時に沸騰させ、そのときの液体の
相変化により生じる急激な気泡の成長によって液滴を高
速に吐出させるものである。この方式は、吐出エネルギ
ー発生素子を高密度に並列することができ、液体吐出ヘ
ッドの構造が簡単で、ノズルの集積化が容易である等の
利点がある。この吐出エネルギー発生素子としての発熱
素子は、発熱素子アレイ上にCVD(Chemical Vapor De
position )によって非晶質に形成された電気的絶縁材料
からなる保護膜層と液体からの衝撃やキャビテーション
から保護するための耐キャビテーション層とを順次被着
させた構成になっており、エネルギー効率の観点から、
保護膜としての機能を損なわない範囲でその膜厚を薄く
する努力が続けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した吐
出エネルギー発生素子として発熱素子を用いる方式にお
いては、発熱素子の発生する熱エネルギーから液体を吐
出させる運動エネルギーへのエネルギー変換効率が十分
でなく、発熱素子を連続的に駆動させると、液体吐出ヘ
ッド自体が過昇温し、その温度変化のために液体の発泡
状態が不安定になり、印字品位を低下させる場合があっ
た。また、この過度の温度上昇のためにインク等の液体
内に溶け込んだ空気が溶出し、液体吐出ヘッド内の残留
気泡となり、液体吐出特性および印字記録や画像形成に
悪影響を及ぼすことがあった。また、これらの悪影響を
回避するために、液体吐出ヘッドの自然冷却のための待
機時間を要し、印字時間を引き延ばしてしまうという問
題点もあった。
【0005】そこで、本発明は、前述した従来技術の有
する未解決の課題に鑑みてなされたものであって、吐出
エネルギー発生素子としての発熱素子の膜構成における
発熱素子の保護膜を改善してエネルギー効率を大幅に向
上させ、少ないエネルギーと短い時間で印字記録や画像
形成を行うことができる液体吐出ヘッドを提供すること
を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の液体吐出ヘッドは、基板上に蓄熱層と抵抗
体層とを順次形成し、該抵抗体層上に個別電極と共通電
極とを対向配置して発熱素子とするとともに、該発熱素
子を複数個配列して発熱素子アレイを形成し、該発熱素
子アレイ上に少なくとも電気的絶縁材料からなる保護膜
を被着させたヘッド素子基板と、該ヘッド素子基板上に
前記発熱素子にそれぞれ対応するように形成された液流
路および液吐出口とを具備し、前記発熱素子を駆動する
ことにより該発熱素子に対応する液流路内の液体を急速
加熱して発泡させ液吐出口から液滴を吐出させるように
構成された液体吐出ヘッドにおいて、前記保護膜が配向
膜化され、熱伝導率に異方性を有していることを特徴と
する。
【0007】本発明の液体吐出ヘッドにおいて、前記保
護膜は、熱伝導率の結晶方向依存性をもつ材料である窒
化珪素、酸化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウ
ム、酸化タンタルのうちの少なくとも一つを用いて単層
膜あるいは積層膜として形成されていることが好まし
い。
【0008】本発明の液体吐出ヘッドにおいて、前記保
護膜は、CVD、PVDあるいはスパッタリング等の乾
式成膜法で成膜する際に電子シャワー法により配向薄膜
化されていることが好ましい。
【0009】本発明の液体吐出ヘッドにおいて、前記保
護膜として窒化アルミニウムを用い、窒化アルミニウム
をCVD、PVDあるいはスパッタリング等の乾式成膜
法で成膜する際に電子シャワー法により配向膜化してa
軸あるいはc軸配向させ、膜厚方向に対して±5°以内
の配向性をもつことが好ましく、また、前記窒化アルミ
ニウムの保護膜は、基板表面の温度を500℃以上、N
3 流量を1.5cm 3 /min以下、雰囲気NH3
ス圧6.0×102 Pa以下に保ち、電子線を照射する
ことによって、選択気相成長させることができる。
【0010】本発明の液体吐出ヘッドにおいては、前記
保護膜が配向性に違いのある複数の領域で形成され、そ
の境界が発熱素子の中心を軸とした点対称形状に形成さ
れ、該発熱素子で発生した熱エネルギーが、配向膜化し
た熱伝導率の良い保護膜領域を単純に非晶質に形成され
た保護膜領域に対して優先的に伝わるように構成されて
いることが好ましく、前記点対称形状は格子状、円形、
正方形あるいは星形とすることができる。
【0011】
【作用】本発明の液体吐出ヘッドによれば、吐出エネル
ギー発生素子としての発熱素子の膜構成において、二層
構造あるいは単層構造の保護膜として用いる電気的絶縁
材料を配向膜化して熱伝導率に異方性をもたせること
で、発熱素子から液体への熱流束ベクトルを増大かつ安
定化させることができ、エネルギー効率を大幅に向上さ
せることができる。
【0012】また、発熱素子の保護膜として配向膜化し
た窒化アルミニウムを用いることにより、保護膜を単層
構造とすることができ、エネルギー変換効率を大幅に向
上させるとともに製造コストを抑えることもできる。
【0013】さらに、保護膜を同一レイヤー内で配向性
すなわち熱伝導率に違いのある複数の領域に分割し、保
護膜に熱流束の抜け道(パス)をもたせることによっ
て、エネルギー効率とともに液体発泡安定性を向上させ
ることができる。
【0014】このように、発熱素子の保護膜を配向膜化
してエネルギー効率を向上させることによって、少ない
エネルギーと短い時間で印字記録や画像を得ることがで
き、さらに、連続液体吐出によるヘッドの過度の温度上
昇を防ぐことができ、印字品位が向上し、印字時間の短
縮を可能にする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0016】図1は、本発明の液体吐出ヘッドの構成を
示す断面図であり、図2は、本発明の液体吐出ヘッドに
おける発熱素子の膜構成を示す模式断面図であり、同図
(a)は保護膜を二層構造とする場合の模式断面図、同
図(b)は保護膜を単層構造とする場合の模式断面図で
ある。
【0017】図1において、液体吐出ヘッド100は、
複数の発熱素子(電気熱変換素子)102、102‥‥
が並列して形成された基板101と、発熱素子102、
102‥‥にそれぞれ対応するように液流路104、1
04‥‥および液吐出口(オリフィス)105、105
‥‥が形成されたノズル部材103を備え、液流路10
4、104‥‥にインク等の液体106を供給して、記
録情報や画像情報に対応した駆動信号に基づいて発熱素
子102、102‥‥を駆動することにより、発熱素子
近傍の液体自身を瞬時に沸騰させ、液体の相変化により
生じる急激な気泡107の成長によって、各液流路10
4内の液体106を液吐出口105から高速で吐出さ
せ、液滴108として記録媒体110に向かって飛翔さ
せて記録媒体110上に印字記録や画像形成を行う。
【0018】この種の液体吐出ヘッドにおける発熱素子
の膜構成について、図2を用いて説明する。
【0019】図2の(a)において、Si基板1上に絶
縁膜および蓄熱層として機能する表面酸化膜(SiO
2 )2を形成し、その上に発熱素子8を形成するための
HfB 2 、TaN、またはTaAl等からなる発熱抵抗
層3およびAl等からなる配線電極4を積層する。この
とき、配線電極4は、発熱抵抗層3の上に個別電極と共
通電極とを対向配置して発熱素子8を構成し、発熱素子
8はSi基板1上に複数並列して配置され発熱素子アレ
イを形成する。そして、発熱抵抗層3および配線電極4
をインク等の液体から保護するための電気的絶縁材料か
らなる絶縁層5および液体からの衝撃やキャビテーショ
ンから保護するための耐熱衝撃・耐キャビテーション膜
6(以下、単に耐衝撃膜という)を成膜する。ここで、
絶縁層5と耐衝撃膜6が二層構造の保護膜を構成する。
【0020】本実施例においては、保護膜としての絶縁
層5を、配向膜化して熱伝導率に異方性をもたせること
により、発熱素子で発生した熱エネルギーを効率良く液
体の発泡エネルギーに変換することができるようにする
ものであり、禁制帯幅が大きい電気的絶縁材料であって
熱伝導率(フォノン振動)の結晶方向依存性をもつ材料
である窒化珪素、酸化珪素、窒化アルミニウム、酸化ア
ルミニウム、酸化タンタル等のうちの少なくとも一つを
用いる単層膜あるいは適宜組み合わせて積層膜とする。
【0021】特に、セラミックスの中で熱伝導率の高い
材料でありかつ線膨張係数がSiに比較的近い材料であ
る窒化アルミニウム(AlN)(表1参照)を保護膜と
して用いることが望ましく、この窒化アルミニウム(A
lN)を配向膜化して熱伝導率に異方性をもたせること
により、発熱素子から保護膜を通して液体に伝わる熱流
束に異方性をもたせることができ、発熱素子から液体へ
の熱流束ベクトルを増大かつ安定化させ、発熱素子で発
生した熱エネルギーを効率良く液体の発泡エネルギーに
変換することができるようになる。
【0022】
【表1】
【0023】前述した発熱素子の膜構成における保護膜
を構成する電気的絶縁材料の配向薄膜化は、以下のよう
に行うことができる。
【0024】禁制帯幅が大きい電気的絶縁材料であって
熱伝導率の結晶方向依存性を示す材料、例えば、窒化珪
素、酸化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、
酸化タンタル等のうちの少なくとも一つを用い、CVD
(Chemical Vapor Deposition) 、PVD(Plasma Vapor
Deposition) あるいはスパッタリング(Sputtering)等の
乾式成膜法を用いて成膜する際にバイアス電圧や雰囲気
制御によって、例えば、真空蒸着に電子シャワーを付加
した成膜する方法、すなわち、電子シャワー法(「NE
W CERAMICS(1996)No.2」/特集・
セラミックスの表面加工方法/湯本久美『電子シャワー
による新しい加工方法』31p〜参照)によって、配向
薄膜化する。例えば六方晶ウルツ鉱型の結晶構造をした
III −V族化合物の一つである窒化アルミニウム(Al
N)を用いて、Si基板表面の温度を500℃以上、N
3 流量を1.5cm3 /min以下、雰囲気NH3
ス圧6.0×102 Pa以下に保ち、電子線を照射する
ことによって、選択気相成長させて成膜することによ
り、窒化アルミニウムをa軸あるいはc軸配向させ、膜
厚方向に対して±5°以内の配向性をもたせることがで
きる。
【0025】また、配向膜化した窒化アルミニウム(A
lN配向膜)は、優れた靭性と耐熱衝撃特性を有してお
り(「NEW CERAMICS(1996)No.
2」/特集・セラミックスの表面加工方法/秋山守人
『窒化アルミニウム薄膜の薄膜化と多機能性』21p〜
参照)、この配向膜化した窒化アルミニウム(AlN配
向膜)の単層で保護膜としての機能は十分果たすことが
できる。すなわち、図2の(b)に示すように、AlN
配向膜5を単層構造の保護膜として用いることにより、
これまで二層構造を必要とした保護膜を単層化すること
で、製造コストを抑え、信頼性を高める効果がある。な
お、図2の(b)に示す例では、保護膜を単層構造とす
る構成以外の構成は、前述した図2の(a)に示す構成
と同じであり、同一符号を用いて示す。
【0026】次に、発熱素子の膜構成を表2に示すよう
にそれぞれ設定し、発熱抵抗層3で発生した熱エネルギ
ーが、保護膜(5および6)の熱的性質(熱伝導率、比
熱、比重)を変化させることによって、いかに液体に伝
わるかを熱シュミレーションした結果について説明す
る。なお、表2における膜構成の括弧内の符号は図2の
(a)および(b)に示す符号に対応する。
【0027】
【表2】
【0028】保護膜層(5または6)と液体の界面が、
液体を急激に沸騰させるのに必要な温度(Tth)に達す
ると、図1に示すように、気泡の急激な成長により、液
体が液吐出口から液滴として吐出する。そこで、表2に
示す4種類の膜構成について、保護膜層(5または6)
と液体の界面がそれぞれ温度Tthに達するのに必要なエ
ネルギーをそれぞれ算出し、絶縁層(5)がSiNであ
る場合を基準として、二層構造の保護膜における絶縁層
(5)がそれぞれAlNバルク膜、AlN配向膜である
場合、そして、単層構造の絶縁層(5)がAlN配向膜
である場合におけるそれぞれの省エネルギー効果を表2
の最下欄に示す。
【0029】すなわち、二層構造の保護膜における絶縁
層としてAlNバルク膜を用いた場合には、SiNを絶
縁層とする場合に対して、約5%程度の省エネルギー効
果しかないけれども、二層構造の保護膜の絶縁層にAl
N配向膜を用いることにより、約10%の省エネルギー
効果があり、さらに、単層構造の保護膜(絶縁層)とし
てAlN配向膜を用いることにより、15%以上の省エ
ネルギー効果があることがわかる。
【0030】このように、発熱素子の膜構成において、
二層構造あるいは単層構造における保護膜に用いる電気
的絶縁材料を配向膜化して熱伝導率に異方性をもたせ、
発熱素子から保護膜を通して液体に伝わる熱流束に異方
性をもたせることにより、発熱素子から液体への熱流束
ベクトルを増大させかつ安定化させることができ、エネ
ルギー効率を大幅に向上させることができる。このエネ
ルギー効率の向上によって、連続液体吐出によるヘッド
の過度の温度上昇を防ぐことができ、印字品位が向上
し、印字時間の短縮を可能にする。
【0031】次に、本発明の他の実施例について図3お
よび図4を用いて説明する。
【0032】図3は、本発明の液体吐出ヘッドの他の実
施例における発熱素子の膜構成を示す図であり、同図
(a)は発熱素子内の発熱抵抗層と電極配線上に保護膜
を被覆した状態を示す平面図、同図(b)は(a)にお
けるA−A線に沿った模式断面図、同図(c)は保護膜
を被覆していない状態の発熱抵抗層と電極配線を示す平
面図、同図(d)は発熱抵抗層と電極配線上に被覆する
保護膜のみを示す平面図である。そして、図4の(a)
〜(c)は、本発明の他の実施例における発熱素子の膜
構成の変形例を示し、それぞれ、発熱抵抗層と電極配線
上に保護膜を被覆した状態を示す平面図である。
【0033】本実施例における発熱素子の膜構成は、図
3の(a)および(b)に示すように、Si基板11上
に絶縁膜および蓄熱層として機能する表面酸化膜(Si
2)12を形成し、その上に発熱素子18を構成する
ための発熱抵抗層13および配線電極14(同図(c)
参照)を積層し、そして、発熱抵抗層13および配線電
極14を液体から保護するために発熱抵抗層13および
配線電極14の上に電気的絶縁材料からなる単層構造の
保護膜15(同図(d)参照)を成膜する。
【0034】本実施例における保護膜15は、前述した
実施例と同様の材料を用いて配向膜化および単層化する
が、図3の(d)に示すように、同一レイヤー内に配向
性すなわち熱伝導率に違いのある複数の領域に分割して
成膜する。すなわち、保護膜15は、発熱素子18に対
応する部位において、配向性をもたせた保護膜領域15
aを格子状に配置し、発熱素子18で発生した熱エネル
ギーが単純に非晶質に形成された保護膜の領域に対して
配向膜化した熱伝導率の良い領域15aを優先的に伝わ
るように、いわゆる、熱流束の抜け道(パス)をもたせ
るように構成する。そして、配向膜化した保護膜領域1
5aの形状は、熱エネルギーを効率よく液体に伝播させ
ることができるように、単純に非晶質に形成された保護
膜の領域との境界を発熱素子18の中心を軸とした点対
称形状とすることが望ましい。
【0035】配向保護膜領域15aを有する保護膜15
を構成する電気的絶縁材料の成膜は、CVD、PVDあ
るいはスパッタリング等の乾式成膜法を用いて非晶質の
保護膜15を成膜する際に、電子シャワー法を用いて所
望の領域に電子線を照射することにより選択的に異方性
配向保護膜領域15aを形成することができ、通常の非
晶質に形成される保護膜領域と異方性配向保護膜領域1
5aを同一レイヤー内に成膜することができる。
【0036】このように、保護膜15内において、発熱
素子18に対応する領域に配向膜化した熱伝導率の良い
配向保護膜領域15aを形成することにより、保護膜1
5内に熱流束の抜け道(パス)をもたせることができ、
発熱素子で発生した熱エネルギーは熱伝導率の良い配向
保護膜領域15aを優先的に伝わり、効率よく液体吐出
エネルギーに変換でき、エネルギー効率を向上させるこ
とができる。
【0037】また、図3に図示する実施例では、配向膜
化した熱伝導率の良い配向保護膜領域15aは、非晶質
の保護膜領域との境界を発熱素子18の中心を軸とした
点対称形状で格子状に配置しているが、配向保護膜領域
15aの配置は、これに限定されるものではなく、非晶
質の保護膜領域との境界を発熱素子18の中心を軸とし
た点対称形状であれば、同様の作用効果を得ることがで
きるものであり、例えば、図4の(a)〜(c)に示す
ような、円形、方形あるいは星形等の形状とすることも
可能である。
【0038】このように、配向膜化した熱伝導率の良い
配向保護膜領域15aの形状を最適化することで、発熱
素子18で発生した熱エネルギーが、配向膜化した熱伝
導率の良い保護膜領域15aを単純に非晶質に形成され
た保護膜15の領域に対して優先的に伝わることで、効
率よく液体吐出エネルギーに変換でき、さらに、熱伝導
率の良い配向保護膜領域15aと液体の界面で、液体自
身を瞬時にして沸騰させ、そのときの液体の相変化によ
り生じる急激な気泡の成長によって、液体が液吐出口か
ら高速で吐出させることができ、液体発泡安定性を向上
させることができる。また、発熱素子18の形状は、前
述した各実施例において示した方形に限定されるもので
はないが、線対称形状であることが好ましい。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
吐出エネルギー発生素子としての発熱素子の膜構成にお
いて、二層構造あるいは単層構造の保護膜として用いる
電気的絶縁材料を配向膜化して熱伝導率に異方性をもた
せることで、発熱素子から液体への熱流束ベクトルを増
大かつ安定化させることができ、エネルギー変換効率を
大幅に向上させることができる。
【0040】また、発熱素子の保護膜として配向膜化し
た窒化アルミニウムを用いることにより、保護膜を単層
構造とすることができ、エネルギー効率を大幅に向上さ
せることができるとともに製造コストを抑えることもで
きる。
【0041】さらに、保護膜を同一レイヤー内で配向性
すなわち熱伝導率に違いのある複数の領域に分割し、保
護膜に熱流束の抜け道をもたせることによって、エネル
ギー効率を向上させるとともに液体発泡安定性を向上さ
せることができる。
【0042】このように、発熱素子の保護膜を配向膜化
してエネルギー効率を向上させることによって、少ない
エネルギーと短い時間で記録画像を得ることができ、さ
らに、連続液体吐出によるヘッドの過度の温度上昇を防
ぐことができ、印字品位が向上し、印字時間の短縮を可
能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体吐出ヘッドの構成を示す断面図で
ある。
【図2】本発明の液体吐出ヘッドにおける発熱素子の膜
構成を示す模式断面図であり、同(a)は保護膜を二層
構造とする場合の模式断面図、同(b)は保護膜を単層
構造とする場合の模式断面図である。
【図3】本発明の液体吐出ヘッドの他の実施例における
発熱素子の膜構成を示す図であり、同(a)は発熱素子
内の発熱抵抗層と電極配線上に保護膜を被覆した状態を
示す平面図、同(b)は(a)におけるA−A線に沿っ
た模式断面図、同(c)は保護膜を被覆していない状態
の発熱抵抗層と電極配線を示す平面図、同(d)は発熱
抵抗層と電極配線上に被覆する保護膜のみを示す平面図
である。
【図4】(a)〜(c)は、それぞれ、本発明の他の実
施例における発熱素子の膜構成の変形例を示し、発熱抵
抗層と電極配線上に保護膜を被覆した状態を示す平面図
である。
【符号の説明】
1、11 Si基板 2、12 表面酸化膜 3、13 発熱抵抗層 4、14 配線電極 5 絶縁層(保護膜) 6 耐衝撃膜(保護膜) 8、18 発熱素子 15 保護膜 15a 配向保護膜領域 100 液体吐出ヘッド 101 素子基板 102 発熱素子 103 ノズル部材 104 液流路 105 液吐出口 106 液体 107 気泡 108 液滴 110 記録媒体
フロントページの続き Fターム(参考) 2C057 AF53 AF99 AG12 AG46 AG61 AP52 AP53 AP54 BA13 4K029 AA06 BA43 BA44 BA46 BA58 BB02 BB07 BC10 CA05 4K030 AA13 BA38 BA40 BA42 BA43 BA44 BB12 CA04 LA11

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に蓄熱層と抵抗体層とを順次形成
    し、該抵抗体層上に個別電極と共通電極とを対向配置し
    て発熱素子とするとともに、該発熱素子を複数個配列し
    て発熱素子アレイを形成し、該発熱素子アレイ上に少な
    くとも電気的絶縁材料からなる保護膜を被着させたヘッ
    ド素子基板と、該ヘッド素子基板上に前記発熱素子にそ
    れぞれ対応するように形成された液流路および液吐出口
    とを具備し、前記発熱素子を駆動することにより該発熱
    素子に対応する液流路内の液体を急速加熱して発泡させ
    液吐出口から液滴を吐出させるように構成された液体吐
    出ヘッドにおいて、前記保護膜が配向膜化され、熱伝導
    率に異方性を有していることを特徴とする液体吐出ヘッ
    ド。
  2. 【請求項2】 前記保護膜は、熱伝導率の結晶方向依存
    性をもつ材料である窒化珪素、酸化珪素、窒化アルミニ
    ウム、酸化アルミニウム、酸化タンタルのうちの少なく
    とも一つを用いて単層膜あるいは積層膜として形成され
    ていることを特徴とする請求項1記載の液体吐出ヘッ
    ド。
  3. 【請求項3】 前記保護膜は、CVD、PVDあるいは
    スパッタリング等の乾式成膜法で成膜する際に電子シャ
    ワー法により配向薄膜化されていることを特徴とする請
    求項1または2記載の液体吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記保護膜として窒化アルミニウムを用
    い、窒化アルミニウムをCVD、PVDあるいはスパッ
    タリング等の乾式成膜法で成膜する際に電子シャワー法
    により配向膜化してa軸あるいはc軸配向させ、膜厚方
    向に対して±5°以内の配向性をもつことを特徴とする
    請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッ
    ド。
  5. 【請求項5】 前記窒化アルミニウムの保護膜は、基板
    表面の温度を500℃以上、NH3 流量を1.5cm3
    /min以下、雰囲気NH3 ガス圧6.0×102 Pa
    以下に保ち、電子線を照射することによって選択気相成
    長させることを特徴とする請求項4記載の液体吐出ヘッ
    ド。
  6. 【請求項6】 前記保護膜が配向性に違いのある複数の
    領域で形成され、その境界が発熱素子の中心を軸とした
    点対称形状に形成され、該発熱素子で発生した熱エネル
    ギーが、配向膜化した熱伝導率の良い保護膜領域を単純
    に非晶質に形成された保護膜領域に対して優先的に伝わ
    るように構成されていることを特徴とする請求項1ない
    し5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記点対称形状が、格子状、円形、正方
    形あるいは星形であることを特徴とする請求項6記載の
    液体吐出ヘッド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011183787A (ja) * 2010-03-11 2011-09-22 Canon Inc 液体吐出ヘッド用基板及び液体吐出ヘッド

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