JP2003021013A - インジェクタ - Google Patents

インジェクタ

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JP2003021013A
JP2003021013A JP2001204700A JP2001204700A JP2003021013A JP 2003021013 A JP2003021013 A JP 2003021013A JP 2001204700 A JP2001204700 A JP 2001204700A JP 2001204700 A JP2001204700 A JP 2001204700A JP 2003021013 A JP2003021013 A JP 2003021013A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単に構成で高精度にハーフリフトを実現す
ることである。 【解決手段】 常時開弁方向の燃料圧を受けるニードル
31の後端面31a側に、ニードル31に対し閉弁方向
に付勢する背圧を発生する背圧室105が形成され、背
圧室105における燃料の導入と排出とを切り換えて、
ニードル31を開閉せしめるインジェクタにおいて、燃
料の排出を制御する制御バルブ32を押圧駆動する燃料
圧を発生する油圧室111と連通する別の油圧室113
を設け、ハーフリフト時には、油圧室111の燃料圧縮
用のアクチュエータ6の駆動力を大きなものにして、油
圧室111の燃料圧が、制御バルブ32が開弁する燃料
圧よりもさらに高い燃料圧を越えると、これを駆動力と
して、ニードル31を受けるストッパ41がニードル3
1側に前進するようにし、ハーフリフト位置でニードル
31を受けるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は燃料噴射用のインジ
ェクタに関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の燃料噴射装置に用いられるイ
ンジェクタは、噴孔を閉じるニードルを着座状態とリフ
ト状態とに切り換えることにより、燃料の噴射とその停
止とを切り換える。燃料の噴射量はニードルの開弁時間
により制御される。ニードルの着座状態とリフト状態と
を切り換える代表的な構造として、ニードルに、加圧さ
れた燃料により常時開弁方向の付勢力が作用するように
しておくとともに、ニードルの後端面側に、ニードルを
閉弁方向に付勢する背圧を発生する背圧室を設けて、背
圧の高低切り換えによりニードルの着座状態とリフト状
態とを切り換えるものがある。このインジェクタでは、
高圧源から背圧室に導入される燃料により背圧を高圧に
してニードルを着座状態とし、背圧室の燃料を低圧源に
排出することにより背圧を低圧にしてニードルをリフト
状態とする。背圧室における燃料の導入と燃料の排出と
の切り換えは、背圧室と低圧源との間に介設された弁室
内に弁体を配設して、弁体により背圧室と低圧源との連
通と遮断とを切り換えることでなされる。弁体には、弁
室内の燃料圧が、低圧源に通じるポートを閉鎖する方向
に作用するようにしておき、開弁する場合にはピエゾア
クチュエータ等のアクチュエータが弁体を押圧して弁体
をリフトする。
【0003】また、アクチュエータは直接、弁体を押圧
するのではなく、油圧を介して行うものもある。このも
のでは、燃料が充填された油圧室を備えており、油圧室
は、アクチュエータの駆動力で前進するピストンにより
前記燃料が圧縮して前記弁体を押圧し開弁せしめる押圧
力を発生する。
【0004】ところで、近年、燃料の噴射率や噴霧状態
を、内燃機関の運転状態に応じて、例えば低速域と高速
域とで、また、低負荷域と高負荷域とで切り換えて、運
転状態に適合した最適な燃焼状態を実現し、排ガスのク
リーン化や機関出力の高出力化を図る試みがなされてい
る。燃料の噴射率や噴霧状態を切り換える手段として、
インジェクタのニードルを着座状態およびフルリフト状
態の2つの状態の間でだけ切り換えるのではなく、その
中間の状態(ハーフリフト状態)をも選択し得るように
する技術がある。
【0005】ニードルをハーフリフトとする場合、前記
弁体のリフト量を、ニードルがフルリフトのときのリフ
ト量よりも小さなリフト量に調整して、背圧室から低圧
源への燃料の排出流量を減じ、ニードルを閉弁方向に付
勢する背圧室の圧力をニードルがフルリフトのときより
も高圧にして、ニードルをハーフリフトとすることが考
えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、弁体が
低圧源に通じるポートを閉鎖している閉弁状態では、弁
室内の弁体に作用する燃料圧が、圧倒的に閉弁方向に作
用するアンバランスなものとなっている。弁体はこの閉
弁方向の燃料圧に抗して開弁することになるが、弁体に
作用する燃料のアンバランスは、弁体が一旦、リフトす
ると緩和される。この緩和は弁体のリフトを促す方向に
作用するので、閉弁状態から開弁するのに必要な押圧力
と、弁体を所定のリフト量に維持するのに必要な押圧力
とには、あまり差がない。このため、弁体のリフト量を
制御して、ニードルをハーフリフトに維持するのは困難
であった。
【0007】本発明は前記実情に鑑みなされたもので、
ニードルを良好にハーフリフトとすることができるイン
ジェクタを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明で
は、常時開弁方向の付勢力を受けるニードルと、該ニー
ドルの後端面側に形成されて、ニードルを閉弁方向に付
勢する背圧を発生する背圧室とを有し、高圧源から背圧
室に導入される燃料により前記背圧を高圧にしてニード
ルを着座状態とし、背圧室の燃料を低圧源に排出してニ
ードルをリフト状態とするインジェクタであって、背圧
室と低圧源との間に介設された弁室と、該弁室内に配設
されて、背圧室と低圧源との連通と遮断とを切り換える
弁体とを有するインジェクタにおいて、燃料が充填さ
れ、アクチュエータの駆動力で前進するピストンにより
前記燃料が圧縮して前記弁体を押圧し開弁せしめる押圧
力を発生する油圧室と、前記油圧室と連通する別の油圧
室と、該別の油圧室の燃料圧を受けて作動し、燃料圧
が、前記弁体がリフトする燃料圧よりも大きな所定の燃
料圧を越えると、ニードルのリフト位置を切り換えるリ
フト位置切り換え手段とを具備せしめる。
【0009】弁体がリフトする燃料圧よりも大きな所定
の燃料圧になると作動するリフト位置切り換え手段を設
けることで、弁体のリフト量の微妙な制御をすることな
く、アクチュエータの駆動力を大きく2段階に切り換え
るだけで、ニードルをフルリフトとハーフリフトとの間
で切り換えることができる。
【0010】請求項2記載の発明では、請求項1の発明
の構成において、前記リフト位置切り換え手段を、離座
したニードルを受けてニードルを所定のリフト位置で停
止せしめるストッパであって、ニードルの変位方向に移
動自在に構成されたストッパにより構成する。
【0011】ストッパの、ニードルの変位方向のストロ
ークだけで、ニードルのリフト量の設定をすることがで
き、設計が容易である。
【0012】請求項2の発明の構成におけるストッパと
しては、請求項3記載の発明のように、前記ストッパに
ピストン部を具備せしめて、該ピストン部にてストッパ
用のガイド孔に摺動自在に保持せしめ、該ストッパ用ガ
イド孔を、ニードルを主導自在に保持するニードル用の
ガイド孔と同方向で、かつ、ニードルの後端面側で連な
るように形成した凹所により構成し、該凹所の底部に前
記油圧室の燃料を導入し、前記凹所底部により前記別の
油圧室を形成する。
【0013】また、ストッパの構成は、請求項4記載の
発明のように、前記ストッパを、ニードルの変位方向に
設けられたねじ軸と螺合し、ねじ軸の軸方向に移動自在
なストッパ本体部材と、該ストッパ本体部材の外周に設
けられて、ストッパ本体部材が前記軸方向にのみ相対移
動可能な筒状部材とにより構成し、該筒状部材を摺動自
在に保持する保持穴の側面と筒状部材の側面との間に、
扇状の空間であって、その周方向の一端が筒状部材の側
面に形成された段部の段側面により区画され、周方向の
他端が保持穴の側面に形成された段部の段側面により区
画された空間を形成するとともに、該空間に前記油圧室
の燃料を導入し、前記空間により前記別の油圧室を形成
する。
【0014】請求項5記載の発明では、請求項1の発明
の構成において、前記リフト位置切り換え手段を、背圧
室と低圧源との間に介設された別の弁室内に配設され
て、背圧室と低圧源との連通と遮断とを切り換える別の
弁体により構成する。
【0015】弁体および別の弁体のうち、弁体のみが開
弁するか、両方とも開弁するかの切り換えだけで、背圧
室からの燃料の排出モードを2種類に切り換えることが
できる。
【0016】請求項6記載の発明では、請求項5の発明
の構成において、背圧室における燃料の排出用で前記弁
室に通じる排出ポートを、ニードルを摺動自在に保持す
るガイド孔の、ニードルと摺接可能な面に開口せしめる
とともに、排出ポートの開口位置を、着座状態のニード
ルと非対向でフルリフト状態のニードルとは対向する位
置とする。
【0017】弁体のみが開弁したときには、ニードルが
排出ポートを閉鎖するまでリフトすると、背圧室からの
燃料の排出が禁止されて、背圧室の燃料圧を増大する方
向に作用するので、排出ポートの開口位置によりリフト
量が規定され、ハーフリフトとすることができる。一
方、別の弁体が開弁したときには別の弁室を経由する燃
料の排出経路が確保されて、ニードルは排出ポートを閉
鎖してもさらにリフトし、フルリフトとなる。
【0018】請求項7記載の発明では、請求項6の発明
の構成において、前記ニードルの後端面側に設けられ
て、ニードルが排出ポートを閉鎖すると実質的にニード
ルを受けるばね部材を設ける。
【0019】ハーフリフトになるとニードルがばね部材
により受けられ、ニードルに制動力が働く。これによ
り、ニードルが、排出ポートの開口位置で規定されるリ
フト量に速やかに収束する。
【0020】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)図1、図2、図
3に本発明のインジェクタの構成を示し、図4に前記イ
ンジェクタを備えたディーゼルエンジンのコモンレール
式の燃料噴射装置の構成を示す。インジェクタの説明に
先立ち燃料噴射装置について説明する。ディーゼルエン
ジンの気筒数分のインジェクタ1が各気筒に対応して設
けられ(図例ではインジェクタ1は1つのみ図示)、供
給ライン75を介して連通する共通のコモンレール74
から燃料の供給を受け、インジェクタ1から各気筒の燃
焼室内に略コモンレール74内の燃料圧力(以下、コモ
ンレール圧力という)に等しい噴射圧力で燃料を噴射す
るようになっている。コモンレール74には燃料タンク
71の燃料が高圧サプライポンプ73により圧送されて
高圧で蓄えられる。
【0021】また、高圧源であるコモンレール74から
インジェクタ1に供給された燃料は、上記燃焼室への噴
射用の他、インジェクタ1の制御油圧等としても用いら
れ、インジェクタ1からドレーンライン76を経て低圧
源である燃料タンク71に還流するようになっている。
【0022】CPU77はクランク角度等の検出信号に
基づいて燃料の噴射時期と噴射量を演算し、これに応じ
た噴射信号を各インジェクタ1に搭載されたアクチュエ
ータ6を駆動するためのアクチュエータ駆動回路78に
出力し、インジェクタ1から所定の期間、燃料を噴射せ
しめる。また、このとき、燃料噴射をフルリフトでの噴
射とするか、あるいはハーフリフトでの噴射とするか、
についての選択信号もCPU77からアクチュエータ駆
動回路78に出力される。
【0023】また、CPU77は他のセンサ入力等によ
り知られる運転条件に応じた適正な噴射圧となるように
制御する。このため、圧力センサ79がコモンレール7
4に設けられており、CPU77はコモンレール圧力に
基づいて調量弁72を制御してコモンレール74への燃
料の圧送量を調整する。
【0024】前記インジェクタ1の構造を示す図1〜図
3において、インジェクタ1は棒状体で、図中下側部分
がエンジンの図略の燃焼室壁を貫通して燃焼室内に突出
するように取り付けられている。インジェクタ1のハウ
ジング2は複数の略円柱状ないし円盤状のハウジング部
材21,22,23,24,25等をその軸方向に重ね
てスリーブ状のリテーナ26により一体化され、その内
部に、燃料の通路101等を構成する空間や、ニードル
31等を収容する空間が形成される。
【0025】ハウジング2の先端側に形成された縦孔2
01にはニードル31が配設され、その後端部311の
摺接部3111にて縦孔201に摺動自在に保持されて
いる。ニードル31は縦孔201の先端に位置する環状
シート201aに着座または離座する。ニードル31の
先端部312の外周の空間(以下、クリアランス部とい
う)103には高圧通路101および燃料溜まり102
を介してコモンレール74から高圧燃料が導入され、ニ
ードル31のリフト時に、ハウジング2の先端壁を貫通
する噴孔104から燃料が噴射される。ニードル31に
は、燃料溜まり102位置に下向きに形成された環状段
面等にて、燃料圧が常時ニードル31のリフト方向(上
向き)に作用している。
【0026】ニードル31の後端面31a側には、縦穴
201により画成された空間に背圧室105が形成され
ており、背圧室105に導入された燃料の圧力により、
ニードル後端面31aに作用する背圧を発生する。この
背圧は、背圧室105に配設されたコイルばね51とと
もに、ニードル31を着座方向(下向き)に付勢する。
【0027】背圧室105は高圧通路101から通路1
06を介して燃料が導入されるようになっている。
【0028】また、背圧室105と燃料タンク71に通
じる低圧通路110との間には弁室108が介設され、
弁室108を介して背圧室105からの燃料の排出が行
われる。
【0029】弁室108には、ボール状の制御バルブ3
2が配設されている。弁室108は、すり鉢状の天井面
の最上部に低圧通路110に通じる低圧ポート109が
開口しており、制御バルブ32が、低圧ポート109の
開口外周縁に形成された上側シート108aからリフト
すると、弁室108と燃料タンク71とが連通する。背
圧室105と弁室108とは、燃料排出用の通路107
により連通している。
【0030】低圧ポート109の上方には、低圧ポート
109に連なる縦孔が形成され、下側部分が、2つのピ
ストン42,43を摺動自在に保持するシリンダ203
で、上側部分が、ピエゾアクチュエータ6を格納するア
クチュエータ格納室204となっている。
【0031】シリンダ203の弁室108側の小径部2
031に保持されたピストン42は、制御バルブ32側
にピン状に突出するピストンピン421が一体的に設け
られており、低圧ポート109を経て弁室108内に進
出して、制御バルブ32を押圧するようになっている。
シリンダ小径部2031にはコイルばね52が配設され
て、ピストン42を常時、ピストン43の方に付勢して
いる。シリンダ203の大径部2032に保持されたピ
ストン43は、前記ピストン42よりも大径である(以
下、適宜、ピストン42を小径制御ピストン42と、ピ
ストン43を大径制御ピストン43という)。
【0032】大径制御ピストン43にはアクチュエータ
格納室204に突出する突出部431が設けられてお
り、アクチュエータ格納室204に格納されたピエゾア
クチュエータ6を受けるようになっている。ピエゾアク
チュエータ6はPZT等の圧電セラミック層と電極層と
を交互に積層した一般的なピエゾスタックにより構成さ
れ、アクチュエータ駆動回路78による充電と放電とで
伸縮する。
【0033】アクチュエータ格納室204にはコイルば
ね53が配設されて、大径制御ピストン突出部431を
上方に付勢し、大径制御ピストン突出部431とピエゾ
アクチュエータ6との当接状態が常時保たれるようにな
っており、ピエゾアクチュエータ6の伸縮量がそのまま
大径制御ピストン43の変位量となる。
【0034】両ピストン42,43の間は燃料が充填さ
れる油圧室111となっている。油圧室111への燃料
の導入は低圧通路110と連通する図示しない導入通路
によりなされる。導入通路には例えば油圧室111に向
かう方向を順方向とする逆止弁が設けられて、油圧室1
11内の燃料が加圧状態のとき、油圧室111が実質的
に閉鎖されるようになっている。これにより、ピエゾア
クチュエータ6が伸長すると、油圧室111内の燃料が
圧縮されて小径制御ピストン42を押し下げる燃料圧を
発生し、この燃料圧により、小径制御ピストン42を介
して制御バルブ32をリフトせしめる。
【0035】なお、制御バルブ32側の小径制御ピスト
ン42をピエゾアクチュエータ6側の大径制御ピストン
43よりも小径とすることで、ピエゾアクチュエータ6
の伸長量が拡大されて小径制御ピストン42の変位に変
換される。
【0036】制御バルブ32がリフトすると、背圧室1
05の燃料が低圧通路110から燃料タンク71に排出
されて、背圧室105の燃料圧が低下し、ニードル31
に対するリフト方向の付勢力が優勢となってニードル3
1がリフトする。
【0037】背圧室105の上方には、離座したニード
ル31を受けリフト位置を規定するストッパ41が設け
られている。ストッパ41は、ピストン部411とリフ
ト位置調整部412からなり、ピストン部411は、背
圧室105の上方に、これと連なるように形成された凹
所をストッパ用ガイド孔202として、これに摺動自在
に保持されており、その最大の変位量は、ピストン部4
11の長さとストッパ用ガイド孔202の長さとの差b
である。リフト位置調整部412は、背圧室105の天
井部を構成するハウジング部材22を貫通して背圧室1
05内に突出しており、ストッパ41の先端面41a
が、ニードル後端面31aと、ストッパ先端面41aと
対向位置でニードル後端面31aから突出する台部31
12で当接可能である。
【0038】ストッパピストン部411の上端は、周縁
部が面とりされてテーパ面41bが形成されており、ス
トッパ41が最上位置にあるときでもストッパ用ガイド
孔202の隅部に空間113が形成される。
【0039】縦穴202の側面には、この空間113に
臨む位置に、前記油圧室111に通じる通路112が開
口しており、空間113が別の油圧室である燃料室11
3となっている。燃料室113の燃料圧は、ストッパピ
ストン部411の少なくともテーパ面41bに作用し、
ストッパ41を常時、下方に付勢する。
【0040】また、ストッパ41が最上位置にあるとき
のストッパ先端面41aとニードル後端面31aとのク
リアランスaは、ニードル31が着座状態において、ニ
ードル31のフルリフト量に設定し、ストッパ41の最
大変位量bは、所期のハーフリフト量をa’としてa−
a’に設定する。
【0041】また、ピエゾアクチュエータ6を電気駆動
するアクチュエータ駆動回路78は、ピエゾアクチュエ
ータ6の充電量である充電電圧を切り換え自在に構成さ
れ、ニードル31をフルリフトとするか、ハーフリフト
とするかの指令に対して充電電圧を切り換える。充電電
圧については後述する。
【0042】本インジェクタ1の作動について説明す
る。図5はピエゾアクチュエータ6の状態を、発生する
駆動力および伸長量により示したものである。I、I
I、IIIはピエゾアクチュエータ6の充電電圧の等電
圧線であり、等電圧線Iが最も電圧が低い場合であり、
この順に電圧値が高くなる。以下、適宜、等電圧線Iに
対応する充電電圧を第1の充電電圧、等電圧線IIに対
応する充電電圧を第2の充電電圧、等電圧線IIIに対
応する充電電圧を第3の充電電圧という。
【0043】(1)フルリフト 燃料噴射開始前は図1の状態である。この状態では、低
圧ポート109が制御バルブ32により閉鎖されてお
り、背圧室105が高圧となっている。したがって、ニ
ードル31は着座状態で、ストッパ41は、先端面41
aに作用する高い上向き燃料圧により、最上位置にあ
る。そして、小径制御ピストン42は制御バルブ32と
当接位置にある。また、ピエゾアクチュエータ6の状態
は、図5中、充電電圧が0で、伸長量が0のO点にあ
る。
【0044】この状態から、第1の充電電圧まで充電す
る。伸長量が増大すると、油圧室111の燃料が圧縮さ
れて燃料圧が上昇するから、ピエゾアクチュエータ6の
駆動力も伸長量に対して比例的に上昇し、A点に移行す
る。
【0045】油圧室111の燃料圧の上昇により、スト
ッパ41に対する下向きの付勢力が増大するが、A点に
おいて、増大する付勢力によりストッパ41が変位しな
いように、背圧室105の上向きの燃料圧を受ける先端
面41aの面積等を設定しておく。また、A点において
駆動力が制御バルブ32を開弁可能な駆動力となるよう
に第1の充電電圧を設定しておく。これにより、制御バ
ルブ32が低圧シート108aからリフトする。そし
て、制御バルブ32が弁室108の底面との間のクリア
ランスc、変位して前記底面に密着する。これは、油圧
室111の燃料圧を緩和する方向に作用するので、ピエ
ゾアクチュエータ6の状態は、伸長量が増大するととも
に、駆動力が低下して、等電圧線I上をA点からF点に
移行する。
【0046】背圧室105は、弁室108を介して燃料
タンク71と連通し、背圧室105から燃料が燃料タン
ク71へ排出され、ニードル31がリフトして、リフト
量が、ニードル後端面31aが台部3112でストッパ
リフト位置調整部412の先端面41aと当接するリフ
ト量に達する。そして、燃料の噴射が開始される(図
2)。このときのニードル31のリフトは、リフト位置
調整部412が最上位置にあるからフルリフトとなる。
【0047】この状態で、ピエゾアクチュエータ6を放
電して、制御バルブ32への押圧力を解除すれば、制御
バルブ32は上昇してシート108aに着座する。低圧
ポート109は閉鎖され、元の状態に復する。これによ
り、燃料噴射が停止する。
【0048】(2)ハーフリフト 図1の状態から、第2の充電電圧まで充電する。制御バ
ルブ32がリフトするまではフルリフトの場合と同様で
あるが、ピエゾアクチュエータ6の充電電圧が高い分、
続いて、ピエゾアクチュエータ6の伸長量および駆動力
が増大し、等電圧線II上のB点に移行する。油圧室1
11は、ストッパ41の背後の燃料室113と通じてい
るから、燃料室113の燃料圧が増大し、ストッパ41
に対する下向きの付勢力も増大する。第2の充電電圧
を、燃料室113の燃料圧によりストッパ41が背圧室
105の燃料圧に抗して下方変位可能な大きさに設定す
ることで、ストッパ41が下方変位する。これは油圧室
111内の燃料圧を緩和する方向に作用するから、ピエ
ゾアクチュエータ6の状態は、等電圧線II上を、ピエ
ゾスタック6の伸長量が増加し駆動力が低下する方向に
移動する。さらに充電電圧を、第2の充電電圧よりも高
い第3の充電電圧とすると、ピエゾアクチュエータ6の
駆動力および伸長量ともに増大して、ストッパ41が最
大変位量b、下方変位して最下位置に達する。ピエゾア
クチュエータ6の状態は、E点に移行する。
【0049】したがって、ニードル31はフルリフトの
手前でストッパ41により停止せしめられ、そのリフト
量はa−bすなわち所期のハーフリフト量a’となる
(図3)。
【0050】この場合も、ピエゾアクチュエータ6を放
電すれば、ピエゾアクチュエータ6が縮小して、制御バ
ルブ32への押圧力が解除され、各部が元の状態に復
し、燃料の噴射が停止する。
【0051】このように、制御バルブ32をハーフリフ
トとすることなく、安定してニードル31のフルリフト
とハーフリフトとを切り換えることができる。
【0052】(第2実施形態)図6、図7、図8、図
9、図10、図11に本発明の第2のインジェクタを示
す。図中、第1実施形態と実質的に同じ作動をする部分
には同じ番号を付して第1実施形態との相違点を中心に
説明する。
【0053】インジェクタ1Aは、ハウジング2Aが複
数のハウジング部材21,22,23A,24,25等
からなる。
【0054】背圧室105の上方には、離座したニード
ル31を受けリフト位置を規定するストッパ44が設け
られている。ストッパ44は、両端開口の筒状部材44
1とストッパ本体部材であるリフト位置調整部442か
らなり、筒状部材441は、背圧室105の上方に形成
された保持穴205に摺動自在に保持され、リフト位置
調整部442は、筒状部材441内に挿入されている。
リフト位置調整部442の背圧室105側の端部は、背
圧室105の天井部を構成するハウジング部材22を貫
通して背圧室105内に突出しており、ストッパ44の
先端面としてのリフト位置調整部442の先端面44a
がニードル31の後端面31aと台部3112で当接可
能である。筒状部材441とリフト位置調整部442と
は、その対向側面に軸線に平行に形成された係合溝44
21と係合突起4411にて係合しており、係合溝44
21および係合突起4411が回り止めとなって、一緒
に回転可能である。
【0055】リフト位置調整部442はめねじが形成さ
れており、おねじが形成されたねじ軸であるガイドシャ
フト45により保持されている。ガイドシャフト45は
ハウジング部材23Aの図示しない取り付け孔に圧入さ
れている。リフト位置調整部442が、これと螺合する
ガイドシャフト45に沿って螺動自在である。リフト位
置調整部442の上下方向位置により、リフト位置調整
部442の先端面44aとニードル後端面31aとのク
リアランスが規定される。
【0056】筒状部材441は、全体形状が前記保持穴
205の側面と摺接する形状となっているが、筒状部材
441の側面には、断面扇状で幅広の段部である溝44
12が軸線方向に形成されている。筒状部材441と縦
穴205との対向側面の間には、前記溝4412によ
り、これと同形状の空間114が形成される。該空間1
14には、縦穴205側面に形成されて軸線方向に延び
る突条が突出し、前記空間114を周方向に2つに分割
する段部である隔壁231としてある。この分割された
空間1141,1142は、ストッパ44の回動角度に
よって容積比が変化する。
【0057】縦穴205の側面には、油圧室111に通
じる通路112が一方の分割空間1141に臨む位置に
開口しており、分割空間1141に油圧室111から燃
料が導入可能である(以下、分割空間1141を燃料室
1141という)。燃料室1141、筒状部材441の
溝4412の段側面4412aと隔壁231の段側面で
ある隔壁面231aとで区画され、この筒状部材441
の溝段側面4412aと隔壁面231aとに作用する燃
料圧は、燃料室1141の容積を拡大する方向すなわち
筒状部材441を図7、図9、図11中、左回りに回動
せしめる方向に作用する。
【0058】他方の分割空間1142にはコイルばね5
4が周方向に介設されており、他方の分割空間1142
の容積を拡大する方向すなわち筒状部材441を図7、
図9、図11中、右回りに回動せしめる方向に作用する
(以下、他方の分割空間1142をばね室1142とい
う)。
【0059】筒状部材441が回動すれば、回り止め4
411,4421により筒状部材441と係合するリフ
ト位置調整部442がガイドシャフト45に沿って螺動
して、上下方向に変位し、ニードル31のリフト量が変
化せしめられる。
【0060】本インジェクタ1Aの作動について説明す
る。なお、ピエゾアクチュエータ6は実質的に第1実施
形態と同様の挙動を示すので、適宜、前掲図5にしたが
って説明する。
【0061】(1)フルリフト 燃料噴射開始前は図6、図7の状態である。この状態で
は、低圧ポート109が制御バルブ32により閉鎖され
ており、背圧室105が高圧となっている。したがっ
て、ニードル31は着座状態で、燃料室1141の燃料
圧は低圧であり、ばね室1142内のコイルばね54の
弾発力により、燃料室1141の容積は最小である。こ
のとき、ストッパ44のリフト位置調整部442は最上
位置にあり、着座状態のニードル31とのクリアランス
はニードル31のフルリフト量aとなっている。また、
ピエゾアクチュエータ6の状態は、充電電圧が0Vで、
伸長量が0である。
【0062】この状態から、第1の充電電圧まで充電す
る。伸長量が増大すると、油圧室111の燃料が圧縮さ
れて燃料圧が上昇するから、ピエゾアクチュエータ6の
駆動力も伸長量に対して比例的に上昇し、A点に移行す
る。
【0063】一方、油圧室111の燃料圧の上昇によ
り、コイルばね54の弾発力に対抗する燃料室1141
の燃料圧も上昇するが、増大する燃料圧により筒状部材
441が回動しないように、すなわち、リフト位置調整
部442が螺動しないように、筒状部材441の溝段側
面4412aの面積等を設定しておく。また、A点にお
いて駆動力が制御バルブ32を開弁可能な駆動力となる
ように第1の充電電圧を設定しておく。これにより、制
御バルブ32が低圧シート108aからリフトする。そ
して、制御バルブ32が弁室108底面と当接する。こ
れは、油圧室111の燃料圧を緩和する方向に作用する
ので、ピエゾアクチュエータ6の状態は、伸長量が増大
するとともに、駆動力が低下して等電圧線I上をA点か
らF点に移行する。
【0064】背圧室105は、弁室108を介して燃料
タンク71と連通し、背圧室105から燃料が燃料タン
ク71へ排出され、ニードル31がリフトして、リフト
量が、ニードル後端面31aが台部3112でストッパ
リフト位置調整部442の先端面44aと当接するリフ
ト量に達する。そして、燃料の噴射が開始される(図
8、図9)。このときのニードル31のリフトは、リフ
ト位置調整部442が最上位置にあるからフルリフトと
なる(図8、図9)。
【0065】この状態で、ピエゾアクチュエータ6を放
電して、制御バルブ32への押圧力を解除すれば、制御
バルブ32は上昇してシート108aに着座する。低圧
ポート109は閉鎖され、元の状態に復する。これによ
り、燃料噴射が停止する。
【0066】(2)ハーフリフト 図6、図7の状態から、第2の充電電圧まで充電する。
制御バルブ32がリフトするまではフルリフトの場合と
同様であるが、ピエゾアクチュエータ6の充電電圧が高
い分、続いて、ピエゾアクチュエータ6の伸長量および
駆動力が増大し、等電圧線II上のB点に移行する。油
圧室111は燃料室1141と通じているから、筒状部
材442を左回転せしめる方向に作用する燃料室114
1の燃料圧も増大する。第2の充電電圧を、前記燃料室
1141の燃料圧により、コイルばね54の弾発力に抗
して筒状部材441が回動可能な大きさに設定すること
で、リフト位置調整部442が下方変位する。これは燃
料室1141の容積の拡大を伴い、油圧室111内の燃
料圧を緩和する方向に作用するから、等電圧線II上
を、ピエゾアクチュエータ6の伸長量が増加する方向に
移動する。さらに充電電圧を、第2の充電電圧よりも高
い第3の充電電圧とすると、ピエゾアクチュエータ6の
駆動力および伸長量ともに増大して、燃料室1141の
燃料圧による筒状部材441の左方向回転力により、リ
フト位置調整部442がガイドシャフト45に沿って螺
動し、先端面44aが、ニードル後端面31aに接近す
る。ピエゾアクチュエータ6の状態は、E点に移行す
る。
【0067】したがって、ニードル31のリフトはハー
フリフトとなる(図10、図11)。なお、図10は図
11におけるX−X線に沿う断面を示している。
【0068】この場合も、ピエゾアクチュエータ6を放
電すれば、ピエゾアクチュエータ6が縮小して、駆動力
が解除され、各部が元の状態に復し、燃料の噴射が停止
する。
【0069】このように、制御バルブ32をハーフリフ
トとすることなく、安定してニードル31のハーフリフ
トとフルリフトとを切り換えることができる。
【0070】なお、ニードル31をフルリフト位置で受
けるリフト位置調整部442の最上位置、およびハーフ
リフト位置で受けるリフト位置調整部442の最下位置
が、次のように規定されるようにしてもよい。係合突起
4411は係合溝4421内のみ移動可能であるから、
この係合溝4421をその両端部が閉じたものにしてお
けば、係合突起4411が係合溝4421の端部まで達
すると、そこで停止する。この停止位置にて、リフト位
置調整部442の最上位置およびリフト位置調整部44
2の最下位置が規定されるようにする。
【0071】(第3実施形態)図12、図13、図14
に本発明の第3のインジェクタを示す。図中、第1実施
形態と実質的に同じ作動をする部分には同じ番号を付し
て第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0072】インジェクタ1Bは、ハウジング2Bが複
数のハウジング部材21B,22B,23B,24B,
25等からなる。
【0073】背圧室105の燃料を排出する通路115
が設けられ、弁室である主弁室117に通じている。主
弁室117内には主制御バルブ33が配設され、低圧通
路110に通じる低圧ポート118の開口外周縁部をシ
ート117aとして着座すると低圧ポート118を閉鎖
する。背圧室105は主弁室117を介して低圧通路1
10と接続される。
【0074】前記通路115は、途中にオリフィス11
6が設けられるとともに、背圧室105側の通路端が背
圧室105から燃料を排出するための排出ポート115
1となっている。排出ポート1151はニードル31を
摺動自在に保持するガイド孔201の側面201bに開
口せしめてある。
【0075】この排出ポート1151の開口位置は次の
ように設定される。ニードル31の基端部311の摺接
部3111の上端31bと排出ポート1151との間隔
が、ニードル31の着座状態において、ニードル31の
ハーフリフトのリフト量a’となるように設定する。
【0076】また、背圧室105の燃料を排出する別の
通路119が形成され、副弁室120に通じている。副
弁室120内には副制御バルブ34が配設され、低圧通
路110に通じる低圧ポート121の開口外周縁部をシ
ート120aとして着座すると低圧ポート121を閉鎖
する。背圧室105は副弁室120を介して低圧通路1
10と接続される。
【0077】各制御バルブ33,34にはそれぞれピス
トン46,47が接続されており、対応する弁室11
7,120に、低圧ポート118,121側で連なるシ
リンダ206,207に摺動自在に保持されている(以
下、適宜、ピストン46を主制御ピストン46と、ピス
トン47を副制御ピストン47という)。主制御バルブ
33を保持するシリンダ206は、前記各実施形態のシ
リンダ203と実質的に同じもので、主制御バルブ33
用のピストン46は小径部2061に保持される。ま
た、大径部2062には大径制御ピストン43が保持さ
れる。
【0078】主制御ピストン46は前記各実施形態の小
径制御ピストンのごとく、大径制御ピストン43よりも
小径のものであり、大径制御ピストン43の変位で燃料
が圧縮する油圧室111の燃料圧により押圧駆動され
て、主制御バルブ33をシート107aからリフトす
る。
【0079】副制御ピストン47を保持するシリンダ2
07は低圧ポート121側が大径の段付きのもので、大
径部にて副制御ピストン47が保持される。また、小径
部は連通路122を介して油圧室111と連通してい
る。
【0080】シリンダ206,207にはピストン4
6,47を、制御バルブ33,34を閉弁方向に付勢す
るコイルばね57,58が配設してある。
【0081】副制御ピストン47は、上部が先端ほど縮
径するテーパー状となっており、副制御バルブ34の着
座状態ではテーパ部471にてシリンダ207の段部2
071と当接しており、このとき、副制御ピストン47
に燃料圧が作用する受圧面の面積はシリンダ207の小
径部の断面積となる。ここで、シリンダ207の小径部
の径は、主制御ピストン46を保持するシリンダ小径部
2061の径よりも小径としてあり、副制御ピストン4
7は、油圧室111の燃料圧が主制御バルブ33が開弁
する燃料圧よりも高い燃料圧にてはじめて開弁が可能で
ある。
【0082】また、背圧室105には、常時、ニードル
31を着座方向に付勢する前記各実施形態と同様のコイ
ルばね55が設けられるとともに、ばね部材である別の
コイルばね56が配設してある。別のコイルばね56は
コイルばね55よりも短いもので、例えば一端が背圧室
105の天井部に係止せしめてある。別のコイルばね5
6の長さは、ニードル31の摺接部3111の上端31
bが前記排出ポート1151に略達した状態のときニー
ドル31と弾接する長さに設定され、離座したニードル
31の摺接部上端31bが前記排出ポート1151に略
達すると、上方変位するニードル31を制動するように
作用する。
【0083】また、アクチュエータ6を電気駆動するア
クチュエータ駆動回路78は、充電電圧を2段階に設定
可能に構成しておく。詳細については後述する。
【0084】本インジェクタ1Bの作動について説明す
る。説明の便宜のため、ハーフリフトの場合から説明す
る。なお、ピエゾアクチュエータ6は実質的に第1実施
形態と同様の挙動を示すので、適宜、前掲図5にしたが
って説明する。
【0085】(1)ハーフリフト 燃料噴射開始前は図12の状態にある。この状態では、
主弁室117、副弁室120のいずれのルートについて
も、背圧室105と低圧通路110の間が遮断されてお
り、背圧室105が高圧となっている。これにより、ニ
ードル31が着座している。また、ピエゾアクチュエー
タ6の状態は、充電電圧が0Vであり、伸長量が0のO
点にある。
【0086】この状態から、第1の充電電圧まで充電す
る。伸長量が増大すると、油圧室111の燃料が圧縮さ
れて燃料圧が上昇するから、ピエゾアクチュエータ6の
駆動力も伸長量に対して比例的に上昇し、A点に移行す
る。
【0087】A点における駆動力が主制御バルブ33を
開弁可能な駆動力となるように第1の充電電圧を設定し
ておけば、大径制御ピストン43はさらに変位して等電
圧線IのF点に移行し、主制御バルブ33が低圧シート
117aからリフトする。これにより、背圧室105
は、排出ポート1151、オリフィス116および主弁
室117を介して燃料タンク71と連通し、背圧室10
5から燃料が排出される。なお、このとき、副制御ピス
トン47のテーパ部471にも、副制御バルブ34の開
弁方向に燃料圧が作用するが、副制御ピストン47が変
位しないように、すなわち副制御バルブ34が開弁しな
いように、第1の充電電圧が設定される。
【0088】ニードル31が前記リフト量a’上方変位
して、摺接部3111の上端31bが排出ポート115
1位置に達すると、ニードル31自身により排出ポート
1151が閉鎖される。また、副制御バルブ34は閉弁
しているから、背圧室105はその燃料を排出する経路
を失う。
【0089】すると、通路106からの燃料の導入で、
背圧室105の燃料圧が上昇し、ニードル31を下方に
押し戻し、排出ポート1151を開く方向に作用する。
【0090】これにより、ニードル31は排出ポート1
151の開口位置で規定されるリフト量a’に収束する
ことになる。これにより、ニードル31がハーフリフト
状態にて、燃料の噴射が実行される(図13)。
【0091】この状態で、ピエゾアクチュエータ6を放
電して、主制御バルブ33への押圧力を解除すれば、主
制御バルブ33は上昇してシート107aに着座する。
低圧ポート108は閉鎖され、元の状態に復する。これ
により、燃料噴射が停止する。
【0092】(2)フルリフト 図12の状態から、第2の充電電圧まで充電する。主制
御バルブ33がリフトするまではフルリフトの場合と同
様であるが、ピエゾアクチュエータ6の充電電圧が高い
分、続いて、ピエゾアクチュエータ6の伸長量および駆
動力が増大し、等電圧線II上のB点に移行する。これ
により、油圧室111の燃料圧がさらに上昇する。第2
の充電電圧を、副制御ピストンテーパ部471に作用す
る燃料圧が、コイルばね58の弾発力に抗して副制御ピ
ストン47が変位するように、すなわち副制御バルブ3
4が開弁するように設定する。
【0093】これにより、背圧室105は排出ポート1
151が閉鎖されているといないとにかかわらず、副弁
室120を介して低圧通路110と連通する。
【0094】したがって、ニードル31が排出ポート1
151を閉鎖しても、背圧室105の燃料を、燃料タン
ク71に逃がすことができ、ニードル31はさらに上昇
し、フルリフトする(図14)。この場合も、ピエゾア
クチュエータ6を放電すれば、ピエゾアクチュエータ6
が縮小して、駆動力が解除され、各部が元の状態に復
し、燃料の噴射が停止する。
【0095】このように、制御バルブをハーフリフトと
することなく、安定してニードルのハーフリフトとフル
リフトとを切り換えることができる。
【0096】なお、ニードル31のハーフリフト位置の
要求される収束性によっては別のコイルばね56は省略
することもできる。
【0097】また、排出ポート1151をニードル31
自身により閉鎖するように構成するのではなく、通路1
19のごとく背圧室105の天井面に開口せしめて、主
制御バルブ33のみが開弁した場合と、両制御バルブ3
3,34が開弁した場合とで、背圧室105からの燃料
の排出流量を違えることで、背圧室105の燃料圧の低
下幅を二値切り換えし、ニードル31のリフト量を切り
換えるのもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1のインジェクタの燃料噴射前にお
ける状態を示す部分断面側面図である。
【図2】前記インジェクタのフルリフト状態における状
態を示す部分断面側面図である。
【図3】前記インジェクタのハーフリフト状態における
状態を示す部分断面側面図である。
【図4】前記インジェクタにより構成した燃料噴射装置
の全体構成図である。
【図5】前記インジェクタのピエゾアクチュエータの作
動状態を示すグラフである。
【図6】本発明の第2のインジェクタの燃料噴射前にお
ける状態を示す部分断面側面図である。
【図7】図6におけるVII−VII線に沿う断面図で
ある。
【図8】前記インジェクタのフルリフト状態における状
態を示す部分断面側面図である。
【図9】図8におけるIX−IX線に沿う断面図であ
る。
【図10】前記インジェクタのハーフリフト状態におけ
る状態を示す部分断面側面図である。
【図11】図10におけるXI−XI線に沿う断面図で
ある。
【図12】本発明の第3のインジェクタの燃料噴射前に
おける状態を示す部分断面側面図である。
【図13】前記インジェクタのハーフリフト状態におけ
る状態を示す部分断面側面図である。
【図14】前記インジェクタのフルリフト状態における
状態を示す部分断面側面図である。
【符号の説明】
1,1A,1B インジェクタ 105 背圧室 107 弁室 117 主弁室(弁室) ,120 副弁室(弁室) 111 油圧室 113 燃料室(別の油圧室) 1141 燃料室(別の油圧室) 1151 排出ポート 201 ガイド孔 202 ストッパ用のガイド孔 201b 側面 205 保持穴 231a 隔壁面(段側面) 31 ニードル 31a 後端面 32 制御バルブ(弁体) 33 主制御バルブ(弁体) 34 副制御バルブ(別の弁体) 41,44 ストッパ 411 ピストン部 441 筒状部材 4412a 段側面 442 リフト位置調整部(ストッパ本体部材) 45 ガイドシャフト(ねじ軸) 56 別のコイルばね(ばね部材) 6 アクチュエータ 71 燃料タンク(低圧源) 74 コモンレール(高圧源)
フロントページの続き Fターム(参考) 3G066 AA07 AB02 AC09 BA00 BA06 BA51 CC06T CC08T CC14 CC53 CC56 CC64T CC67 CC68U CC70 CE27

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 常時開弁方向の付勢力を受けるニードル
    と、該ニードルの後端面側に形成されて、ニードルを閉
    弁方向に付勢する背圧を発生する背圧室とを有し、高圧
    源から背圧室に導入される燃料により前記背圧を高圧に
    してニードルを着座状態とし、背圧室の燃料を低圧源に
    排出してニードルをリフト状態とするインジェクタであ
    って、 背圧室と低圧源との間に介設された弁室と、 該弁室内に配設されて、背圧室と低圧源との連通と遮断
    とを切り換える弁体とを有するインジェクタにおいて、 燃料が充填され、アクチュエータの駆動力で前進するピ
    ストンにより前記燃料が圧縮して前記弁体を押圧し開弁
    せしめる押圧力を発生する油圧室と、 前記油圧室と連通する別の油圧室と、 該別の油圧室の燃料圧を受けて作動し、燃料圧が、前記
    弁体がリフトする燃料圧よりも大きな所定の燃料圧を越
    えると、ニードルのリフト位置を切り換えるリフト位置
    切り換え手段とを具備せしめたことを特徴とするインジ
    ェクタ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のインジェクタにおいて、
    前記リフト位置切り換え手段を、離座したニードルを受
    けてニードルを所定のリフト位置で停止せしめるストッ
    パであって、ニードルの変位方向に移動自在に構成され
    たストッパにより構成したインジェクタ。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のインジェクタにおいて、
    前記ストッパにはピストン部を具備せしめて、該ピスト
    ン部にてストッパ用のガイド孔に摺動自在に保持せし
    め、 該ストッパ用ガイド孔を、ニードルを摺動自在に保持す
    るニードル用のガイド孔と同方向で、かつ、ニードルの
    後端面側で連なるように形成した凹所により構成し、 該凹所の底部に前記油圧室の燃料を導入し、前記凹所底
    部により前記別の油圧室を形成したインジェクタ。
  4. 【請求項4】 請求項2記載のインジェクタにおいて、
    前記ストッパを、ニードルの変位方向に設けられたねじ
    軸と螺合し、ねじ軸の軸方向に移動自在なストッパ本体
    部材と、 該ストッパ本体部材の外周に設けられて、ストッパ本体
    部材が前記軸方向にのみ相対移動可能な筒状部材とによ
    り構成し、 該筒状部材を摺動自在に保持する保持穴の側面と筒状部
    材の側面との間に、扇状の空間であって、その周方向の
    一端が筒状部材の側面に形成された段部の段側面により
    区画され、周方向の他端が保持穴の側面に形成された段
    部の段側面により区画された空間を形成するとともに、
    該空間に前記油圧室の燃料を導入し、前記空間により前
    記別の油圧室を形成したインジェクタ。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のインジェクタにおいて、
    前記リフト位置切り換え手段を、背圧室と低圧源との間
    に介設された別の弁室内に配設されて、背圧室と低圧源
    との連通と遮断とを切り換える別の弁体により構成した
    インジェクタ。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のインジェクタにおいて、
    背圧室における燃料の排出用で前記弁室に通じる排出ポ
    ートを、ニードルを摺動自在に保持するガイド孔の、ニ
    ードルと摺接可能な面に開口せしめるとともに、 排出ポートの開口位置を、着座状態のニードルと非対向
    でフルリフト状態のニードルとは対向する位置としたイ
    ンジェクタ。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のインジェクタにおいて、
    前記ニードルの後端面側に設けられて、ニードルが排出
    ポートを閉鎖すると実質的にニードルを受けるばね部材
    を設けたインジェクタ。
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