JP2003018985A - 長鎖dnaを伸張する方法 - Google Patents
長鎖dnaを伸張する方法Info
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Abstract
を回収して再利用することが可能な方法として、ゲルと
低周波交流電場を用いた長鎖核酸を伸張させる方法およ
び該方法によって伸張された核酸分子を提供することを
目的とする。 【解決手段】核酸分子をゲル中に配置する工程およびゲ
ル中の核酸分子に低周波交流電場を印加する工程を含
む、核酸分子の伸張方法。
Description
法に関する。より詳細には、本発明は、ゲルと低周波交
流電場を用いた核酸分子の伸張方法に関する。
の予定を大幅に上回るスピードで終了した。このような
DNA解析技術の進歩に伴って、今後はたった1つの染
色体DNA分子からその情報を読み取る究極の1分子ゲ
ノム解析技術が重要になる。1分子ゲノム解析を実現す
るためのDNAを1分子で自由にマニピュレートする技
術が要求される。従来の単一DNA分子マニピュレーシ
ョン・解析法には、光ピンセット、原子間力顕微鏡、高
周波交流電場が用いられてきたが、これらの方法では、
DNAの前処理が必要であったり、マニピュレートした
DNAを回収して新たなサンプルとして利用することが
困難であったり、染色体DNAのような長鎖DNAを伸
張させることができない等の欠点を有していた。
億塩基対(3.5 ギガ塩基対:Gbp)もあり、最も
小さい第21染色体でも4千800万塩基対(48メガ
塩基対:Mbp)を有する。従って、染色体DNAを切
断して得た断片を分離・同定し、もとの配列を再構成す
る過程では、染色体DNAをなるべく細切れにしないで
大きいままで扱う方が有利である。それゆえに、Mbp
オーダーの巨大断片を迅速かつ精密に解析する技術が望
まれている。
な、伸張させて解析した長鎖DNAを回収して再利用す
ることが可能な方法として、ゲルと低周波交流電場を用
いた長鎖核酸を伸張させる方法および該方法によって伸
張された核酸分子を提供することを目的とする。
(1)核酸分子をゲル中に配置する工程およびゲル中の
核酸分子に低周波交流電場を印加する工程を含む、核酸
分子の伸張方法、(2)核酸分子の長さが、23〜57
00kbpである、前記(1)記載の方法。(3)低周
波交流電場の周波数が、1〜100Hzである、前記
(1)または(2)記載の方法、(4)低周波交流電場
の強度が、|10|〜|10000|(絶対値)V/c
mである、前記(1)〜(3)いずれかに記載の方法、
(5)低周波交流電場の強度を漸増させる、前記(1)
〜(3)いずれかに記載の方法、(6)低周波交流電場
の強度を、|10|V/cmから|300|(絶対値)
V/cmまで漸増させる、前記(5)記載の方法、
(7)低周波交流電場の強度を漸増する速度が、|1|
〜|100|(絶対値)V/cm・sである、前記
(5)または(6)記載の方法、(8)低周波交流電場
の周波数を漸増させる、前記(1)〜(7)記載の方
法、(9)低周波交流電場の周波数を1Hzから20H
zまで漸増させる、前記(8)記載の方法、(10)低
周波交流電場の周波数を漸増する速度が0.01〜1H
z/sである、前記(8)または(9)記載の方法、
(11)伸張した核酸分子を検出し、回収する工程をさ
らに含む、前記(1)〜(10)いずれかに記載の方
法、(12)前記(1)〜(11)いずれかに記載の方
法により伸張されてなる核酸分子、に関する。
核酸分子をゲル中に配置する工程およびゲル中の核酸分
子に低周波交流電場を印加する工程を含む。ここで、核
酸分子を「伸張する」とは、高次構造(例えば、コイ
ル、屈曲構造など)を有する核酸分子を電場方向に平行
に配向させ、伸張させた状態にすることをいう。
しては、二本鎖DNAが挙げられ、その長さは、23〜
5700kbpが好ましく、48〜2200kbpがさ
らに好ましいが、特に、本発明の方法によれば、220
0〜5700kbpのような長鎖のものに対しても適用
できる。伸張方法に適用される核酸分子の量は、1分子
観察の観点から、6.25〜394ng/mlが好まし
く、20〜394ng/mlがさらに好ましい。
としては、アガロースゲル、アクリルアミドゲル等の核
酸分子を導入することができるものであれば、いかなる
ものであってもよい。使用するゲル濃度は、ゲル構造保
持の観点から、0.5〜3.0重量%が好ましく、0.
5〜2.5重量%がさらに好ましく、1.0〜2.0重
量%が特に好ましい。使用されるゲルの大きさは、特に
限定されることなく適宜決められるが、一般には、1〜
100mm×1〜100mm×1〜100mmのゲルが
使用される。
する工程では、一般に緩衝液を使用することが好まし
く、例えば、TBE(トリス−ホウ酸、EDTA)、T
B(トリス−ホウ酸)、TAE(トリス−酢酸、EDT
A)、FISH用バッファーSSC(塩化ナトリウム−
クエン酸ナトリウム)、変性用バッファー(ホルムアミ
ド−SSC、硫酸デキストラン−ホルムアミド−SS)
等の緩衝液が使用される。
は、例えば、サンプルとするDNAが溶液である場合に
は、サンプル溶液をDNA伸張用ゲルにあらかじめ作成
したウェルに滴下し、直流電場によりDNA伸張用ゲル
に導入する方法等が挙げられ、サンプルとするDNAが
ゲルプラグ中に包含されている場合には、ゲルプラグ周
辺にDNA伸張用ゲルを作製し、直流電場によりDNA
伸張用ゲルに導入する方法等が挙げられる。
は、1〜100Hzの周波数をもつ正弦波、矩形波、三
角波等の+方向と−方向への電圧の印加において、その
波形と強度の等しい電場をいう。低周波交流電場は、例
えば、慣用の周波発生器を用いることにより発生させる
ことができる。
との絡み合い効果を引出し、効果的にDNAを駆動する
観点から、1〜100Hzが好ましく、1〜20Hzが
さらに好ましく、5〜15Hzが特に好ましい。
の絡み合い効果を引出し、効果的にDNAを駆動させる
観点から、|10|〜|10000|V/cmが好まし
く、|10|〜|1000|V/cmがさらに好まし
く、|10|〜|450|V/cmがさらに好ましく、
|200|〜|300|V/cmが特に好ましい。
る長さを有する長鎖DNAである場合には、DNA分子
とゲル繊維との不可逆的な絡み合いを防ぐ観点から、低
周波交流電場の強度を低強度から増加させる方が好まし
い。
A分子とゲル繊維との不可逆的な絡み合いを防ぐ観点か
ら、|100|V/cmから|300|V/cmまで漸
増させることが好ましく、|50|V/cmから|30
0|V/cmまで漸増させることがさらに好ましく、|
10|V/cmから|300|V/cmまで漸増させる
ことが特に好ましい。
A分子とゲル繊維との不可逆的な絡み合いを防ぐ観点か
ら、|1|〜|100|V/cm・sが好ましく、|5
|〜|100|V/cm・sがさらに好ましく、|10
|〜|100|V/cm・sが特に好ましい。
える長さを有する長鎖DNAである場合には、DNA分
子とゲル繊維との不可逆的な絡み合いを防ぐ観点から、
低周波交流電場の周波数を漸増させて印加することが好
ましい。
NA分子とゲル繊維との不可逆的な絡み合いを防ぐ観点
から、1Hzから20Hzまで漸増させることが好まし
く、1Hzから10Hzまで漸増させることが特に好ま
しい。
NA分子とゲル繊維との不可逆的な絡み合いを防ぐ観点
から、0.01〜1Hz/sが好ましく、0.01〜
0.5Hz/sがさらに好ましく、0.01〜0.1H
z/sが特に好ましい。
は、ゲルの融解を防ぐ観点から、全操作を0〜80℃、
好ましくは10〜35℃、より好ましくは15〜25℃
で行なうことが望ましい。
核酸分子を配置し、ゲル中の核酸分子に低周波交流電場
を印加して核酸分子を伸張させた後に、伸張した核酸分
子を検出し、回収する工程をさらに含む。
は、倒立型蛍光顕微鏡、正立型蛍光顕微鏡、レーザー共
焦点顕微鏡等が挙げられる。
ー誘起蛍光検出器、紫外・可視部吸収検出、蛍光検出、
示差屈折率検出、熱光学的検出、円二色性検出、電気化
学的検出、電気伝導度検出等が挙げられる。
は、(1)ゲルの再融解、(2)ゲルの状態のまま回
収、(3)伸張した核酸分子を含むゲルの周辺に新たな
ゲルを調製し、電気泳動的手法により新たなゲルに回収
する、(4)ゲルを酵素的、化学的に切断した後、電気
泳動的手法により回収する等の方法が挙げられ、これら
は慣用の方法により行われる。
伸張された核酸分子に関する。かかる核酸分子は、たっ
た1つのDNA分子からその情報を読みとる1分子ゲノ
ム解析技術、またそのような1分子ゲノム解析技術の開
発にも有効に使用される。
施例で使用した。
気泳動用ミニチュアセルをDNA分子の挙動の直接的な
観察のために使用した。2つのPt電極をミニチュアセ
ル上に1cmまたは0.5cmの距離をおいて配置し
た。任意波形発生装置(1942,エヌエフ回路設計ブ
ロック)により生成する交流電場を、高速電力増幅双極
性パワーサプライ(4020,エヌエフ回路設計ブロッ
ク)により適切な強度に増強し、Pt電極間に印加し
た。100倍油浸対物レンズ(Plan−NEOFLU
AR、N.A.=1.3)および高圧水銀ランプを備え
た倒立型蛍光顕微鏡(Axiovert 135TV、
Carl Zeiss)を用いた。蛍光イメージを、S
IT(シリコン増感標的)カメラ(C2400−08、
浜松ホトニクス)を用いて観察した。DNAのイメージ
および電場の電圧を、イメージキャプチャーボード(ひ
まわり、株式会社ライブラリー)によりパーソナルコン
ピュータのメモリーに直接記録した。DNA分子の最大
径および重心を、イメージプロセシングソフトウェア
(Cosmos32,株式会社ライブラリー)により計
算した。
ンジーン社製)を、蛍光色素、YOYO−1(モルキュ
ラープローブ株式会社製)で染色し、0.5×TBE緩
衝液中の1.0重量%アガロースゲル(Agarose
NA,アマシャムファルマシアバイオテク社製)(5
mm×5mm×2mm)に定常電場下(5V/cm)で
5分間かけて注入した。DNA観察の前にゲル中から酸
素を除去するために、アガロースゲルを4%(v/v)
2−メルカプトエタノール、2.3mg/mlグルコー
ス、0.1mg/mlグルコースオキシダーゼ、および
0.018mg/mlカタラーゼを含有する溶液に供し
た。
光イメージを示す。ここで、AC電場(10Hz、20
0V/cm)を時間0秒から70秒間印加した。図2
B)は、DNAの最大径[R1 (μm)]における変化
を示す。ここで、最大径とは、対象となるDNA蛍光像
の重心を通る径のうち、最長のものをいう。図2B)に
示されるように、R1 は、徐々に増大し、約20秒後に
漸近値に達した。ここで、R1 の値は40μm付近を変
動し、一方、2本鎖のT4DNA分子の自然長は約55
μmである。アガロースゲルの細孔サイズの不均一性の
ために、DNA分子は、ときどき、かかる中間状態で図
2B)の10秒付近でトラップされた。アガロースゲル
中での伸張プロセスの間、DNA分子は、この中間状態
でのトラッピングと、脱出とを繰り返した。この試行の
後、DNA分子は、最大径の漸近値に到達するための効
果的なアガロースゲル中のパスを見出し得た。
た。種々の周波数の電場を印加した以外は、実施例1と
同様の条件下でT4DNA分子を伸張させた。結果を図
3に示す。図3は、電場の周波数の関数としての平均最
大径[R1 (μm)]を示す。図3では、黒丸は、各周
波数(1,5,6,7,8,9,10,11,12,1
3,15,20,30,40,50,75,100H
z)における1〜5個の異なる分子での10秒間につい
て時間平均した後、分子間で平均したR1 を示し、白丸
は、2秒(0.1Hz)および7秒(0.5Hz)につ
いて時間平均した後、分子間で平均したR1 を示す。
液中で観察されたような領域(例えば、直線状運動、反
共鳴、伸張、配向)に周波数を分類しえないが、運動中
のDNA分子の平均最大径R1 と重心のx成分Gx を用
いて図3の周波数領域を特徴づけることができる。Gx
の変動レベルが、時間平均したR1 よりも小さい場合、
DNA分子は、アガロースゲル中でもチューブ様運動
(Ueda ら、(1997) Stretching of Long DNA u
nder Alternating Current Electric Fields ina Conce
ntrated Polymer Solution, Polymer Journal,Vol.29.N
o.12.pp1040-1043 参照)を行うことが予測される。一
方、R1 よりも大きなGx の変動は、チューブ様運動よ
り複雑な動きを示す。
0Hzおよび100Hz(200V/cm)それぞれの
周波数でのR1 およびGx の時間経過を示す。ここで、
Gxは、時間平均がゼロになるように再計算されてい
る。1Hzの場合、R1 およびGx の両方が、平均値付
近を変動する。Gx は、外部電場と単純に相関し、一
方、R1 は、図4A)に示されるようなより複雑な様式
で変動する。10Hzの場合、R1 およびGx の両方
が、図4B)に示されるように一定である。DNA分子
は、この条件で伸張するが、その位置は変化しない。1
00Hzの場合、R1およびGx の両方が、図4C)に
示されるように一定である。この条件において、DNA
分子は配向するが、伸張しない。低周波数(0.1Hz
付近)において、DNA分子の直線状運動はアガロース
ゲルでは現れない。このように、平均最大径R1 は10
Hz付近で最大値を有することが理解される。
種々の電場強度を印加した以外は、実施例1と同様にし
てT4DNA分子を伸張させた。結果を図5および6に
示す。図5A)は、異なる電場強度(150V/cm、
50V/cm、および250V/cm)での平均最大径
R1 およびT4DNA分子の重心の水平方向成分Gx を
示す。図5B)は、図5A)に対応する蛍光イメージを
示す。図5B)のDNAの左端の明るいスポットは、コ
イル構造または曲折構造を示す。
最大径は、約300V/cmまでは外部電場の強度にほ
ぼ比例し、400V/cm〜600V/cmまでの領域
で徐々に減少する。図6の鉛直方向の破線は、伸張領域
および非伸張領域の間の境界を示す。
の平均最大径R1 およびT4DNA分子の重心の水平方
向成分Gx の時間変化を示す。伸張領域において、R1
およびGx の両方が、図7A)およびB)に示されるよ
うに外部電場の周波数に関係なくわずかに変動する。1
0秒間の平均値は、それぞれ50V/cmでR1 =3
6.4±0.9(μm)およびGx =0.0±0.7
(μm)であり、200V/cmでR1 =43.6±
1.1(μm)およびGx =0.0±2.4(μm)で
ある。本質的に、R1 およびGx は、伸張領域で一定で
ある。Gx の変動(0.7μmおよび2.4μm)は、
平均最大径よりも20倍小さく(36.4μmおよび4
3.6μm)、DNA分子の伸張した状態を攪乱しな
い。他方で、600V/cmの場合には、R1 およびG
x の両方の大きさにおける変動は、図7C)に示される
通りである。10秒間の平均値は、R1 =21.0±
4.4(μm)およびGx =0.0±9.9(μm)そ
れぞれである。Gx (9.9μm)の標準偏差は、平均
最大径(21.0μm)と比較して、DNA分子の高次
構造を攪乱するのに十分に大きい。それゆえ、本発明者
らは、450V/cm以下の領域でのDNA挙動と45
0V/cm以上の領域でのDNA分子挙動との質的違い
を指摘しうる。高電場(500V/cmおよび600v
/cm)において、DNA分子は、DNAの平均最大径
に匹敵する幅広い距離を移動する。この結果として、D
NA分子の高次構造は、常にアガロースゲルの架橋点で
攪乱される。それゆえ、この領域において、DNAは、
伸張され得ない。
種々の濃度のアガロースゲルを用いた以外は、実施例1
と同様にしてT4DNA分子を伸張させた。結果を図8
に示す。図8は、DNAの平均最大径のアガロース濃度
依存性を示す。DNAの平均最大径は、0.5〜3%ア
ガロース濃度の広範な範囲で本質的に一定である。この
濃度に対応するゲルの細孔サイズは、800〜260n
mである。低濃度(<0.5%)では、ゲルは非常に柔
らかく、DNA分子伸張のための実用的なゲルシステム
を作成することはできない。図8の破線は、約3.5μ
mを示し、同じ電場条件における58%ショ糖溶液中で
のT4DNAの平均最大径である。このように、DNA
分子は、低分子量溶液では決して伸張しないことに留意
されたい。それゆえ、ゲル繊維との絡み合い効果による
DNA分子挙動の拘束がDNA分子伸張に必要であるこ
とを意味する。図8は、0.5%アガロースゲル(80
0nm)の細孔サイズでさえも、チューブ様運動にT4
DNAの分子運動を拘束するのに十分に小さいことを示
す。
ッカロミセス・セレビシエ染色体DNA分子の伸張を行
った。サッカロミセス・セレビシエ染色体DNA (2
25−2,200kbp,バイオラッドラボラトリーズ
社製)をゲルプラグとして購入した。ゲルを剃刀で小片
(約3mm×2mm×1mm)にカットし、0.1μM
YOYO−1および4%(v/v)2−メルカプトエ
タノールを含有する0.5×TBE緩衝液中に4℃で1
週間、保存した。次いで、ゲル切片をミニ電気泳動セル
上の溶融したアガロース溶液中でインキュベートした。
アガロースのゲル化の後、アガロースゲルを、4%(v
/v)2−メルカプトエタノール、2.3mg/mlグ
ルコース、0.1mg/mlグルコースオキシダーゼ、
および0.018mg/mlカタラーゼを含有する溶液
に供した。染色体DNA分子を、1時間の定常電場(1
〜2V/cm)下でゲルプラグから伸張用アガロースゲ
ルに注入した。次いで、リザーバー中の緩衝液を新しい
緩衝液に交換し、DNA分子伸張の実験を始めた。
DNA分子の伸張の好ましい条件は、1%アガロースゲ
ル、10Hzおよび200V/cm電場強度である。こ
の条件に加えて、電場の周波数および強度を低周波数、
低電場強度より漸増させることにより、ゲル繊維へのD
NA分子の不可逆的なトラップを防ぎながらサッカロミ
セス・セレビシエ染色体DNA分子を伸張させた。まず
1Hzの正弦波型交流電場(|100|V/cm)を1
分間印加することにより染色体DNA分子を概ね電場方
向に配向させた後、0.5Hz/sの割合で、10Hz
まで周波数を漸増させ、同時に|10|V/cm・sの
割合で200V/cmまで電場強度を漸増させながら正
弦波型交流電場を1分間印加することにより伸張させ
た。
染色体DNA分子(約285kbp)を低周波交流電場
を用いて伸張させたときの蛍光イメージを示す。この蛍
光イメージは、3つのイメージからなり、伸張したDN
A分子の最大径は、約100μmである。図9B)は、
蛍光イメージのトレースである。図9B)の「コイル」
部分の矢印は、DNA分子のコイル部分を示す。この部
分は完全に伸張していない。図9B)の「ベント」の矢
印は、屈曲した構造を示し、この様な構造はDNAの末
端付近に現れることがある。図9A)およびB)から、
約285kbpの長鎖DNA分子が本発明の核酸分子の
伸長方法により良好に伸張されたことがわかる。
より簡便に核酸分子を伸張することが可能になり、さら
に伸張させた核酸分子を回収して再利用することが可能
になるという優れた効果を奏する。
電極をミニチュアセルに1.0cmまたは0.5cmの
距離をもってに配置した。任意波形発生装置により生じ
た交流電場を、高速電力増幅双極性パワーサプライによ
り適切な強度に増強し、Pt電極間に印加した。
ル中のT4DNAの伸張プロセスを示す図である。YO
YO1で染色したT4DNAの連続蛍光イメージ。0秒
において、交流電場(200V/cm,10Hz)を水
平方向にランダムコイル様状態のT4DNAに印加し
た。B)交流電場を印加後のT4DNA(Aで示したも
の)の最大径R1 のプロット。
する平均最大径R1 のプロットを示す図である。各分子
の最大径R1 を10秒間(黒丸)および約7秒間(白
丸)、1〜5個の異なる分子も各々の周波数で時間平均
した。水平方向の破線は、外部電場非存在下におけるラ
ンダムコイル様状態のT4DNAの平衡状態の値を示
す。
mでのT4DNA の平均最大径R 1 および重心のx成分G
x の時系列を示す図である。濃い線は、R1 を示し、薄
い線は、Gx をそれぞれ示す。A)1Hz。B)10H
z。C)100Hz。
の平均最大径R1 および重心のx成分Gx を示す図であ
る。A)150V/cm、50V/cm、および250
V/cmの電場下でのR1 およびGx のプロット。B)
150V/cm、50V/cm、および250V/cm
の電場下でのT4DNAの蛍光イメージ。
平均最大径R1 のプロットを示す図である。破線は、伸
張および非伸張領域の間の境界を示す。
心のx成分Gx の時系列を示す図である。濃い線は、R
1 を示し、薄い線は、Gx を示す。A)50V/cm、
10Hz。B)200V/cm、10Hz。C)600
V/cm、10Hz。
する平均最大径R1 のプロットを示す図である。破線は
低分子溶液中のR1 である。
z)下での、約285kbpの長さを有する、サッカロ
ミセス・セレビシエDNAの伸張を示す図である。A)
伸張したサッカロミセス・セレビシエ染色体DNAの蛍
光イメージ。B)蛍光イメージのトレース。
Claims (12)
- 【請求項1】 核酸分子をゲル中に配置する工程および
ゲル中の核酸分子に低周波交流電場を印加する工程を含
む、核酸分子の伸張方法。 - 【請求項2】 核酸分子の長さが、23〜5700kb
pである、請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 低周波交流電場の周波数が、1〜100
Hzである、請求項1または2記載の方法。 - 【請求項4】 低周波交流電場の強度が、|10|〜|
10000|(絶対値)V/cmである、請求項1〜3
いずれかに記載の方法。 - 【請求項5】 低周波交流電場の強度を漸増させる、請
求項1〜3いずれかに記載の方法。 - 【請求項6】 低周波交流電場の強度を、|10|V/
cmから|300|(絶対値)V/cmまで漸増させ
る、請求項5記載の方法。 - 【請求項7】 低周波交流電場の強度を漸増する速度
が、|1|〜|100|(絶対値)V/cm・sであ
る、請求項5または6記載の方法。 - 【請求項8】 低周波交流電場の周波数を漸増させる、
請求項1〜7記載の方法。 - 【請求項9】 低周波交流電場の周波数を1Hzから2
0Hzまで漸増させる、請求項8記載の方法。 - 【請求項10】 低周波交流電場の周波数を漸増する速
度が0.01〜1Hz/sである、請求項8または9記
載の方法。 - 【請求項11】 伸張した核酸分子を検出し、回収する
工程をさらに含む、請求項1〜10いずれかに記載の方
法。 - 【請求項12】 請求項1〜11いずれかに記載の方法
により伸張されてなる核酸分子。
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