JP2003018983A - 熱殺菌方法 - Google Patents

熱殺菌方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の課題は、有用物質の工業的生産に利用
できるような、微生物の殺菌方法を提供することであ
る。 【解決手段】本発明は、目的とするタンパク質を生産し
菌体内に蓄積する性質を有する微生物を、熱殺菌後の該
タンパク質の生理活性能力の低下度が25%以下になる条
件で熱殺菌することを特徴とする微生物の熱殺菌方法で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は微生物の熱殺菌方法
に関するものであり、例えばニトリルヒドラターゼ等の
工業的に有用な酵素を産生する微生物の殺菌方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、酵素、酵素を産生する微生物
を用いて有用物質を製造すること、例えばアクリロニト
リル、メタクリロニトリル等のニトリル化合物を原料と
してアクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド化合
物を製造することが研究されている。
【0003】酵素を産生する微生物として遺伝子組換え
微生物を使用する方法も提案されている。遺伝子組換え
微生物は環境・人体の保護等の観点から各種ガイドライ
ンによりその取扱が定められている。遺伝子組換え微生
物の組換えレベルによっては、生きた遺伝子組換え微生
物の外部環境への漏洩及び人体への直接の接触を防止す
るために、当該微生物は閉鎖設備内で取り扱う必要があ
るとされているが、当該微生物を殺菌することにより閉
鎖設備を最小限のものとすることができるという利点が
ある。
【0004】菌体の殺菌方法としては、熱殺菌法や菌体
破砕法が一般的であるが、酵素の失活が問題となり、キ
レート剤と界面活性剤を併用する殺菌法(新潟県食品研
究所・研究報告第30号17-21(1995))なども報告され
ているが、殺菌後に残留する薬剤を次工程以降で除去す
る必要があるなど、現在までのところ、その酵素活性を
低下させることなく、例えばアミド化合物等の有用物質
の工業的製法に利用できるような、効率的な殺菌方法に
ついては報告された例はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、有用
物質の工業的生産に利用できるような、微生物の殺菌方
法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(1)目的とするタンパク質を生産し菌体内に蓄積する
性質を有する微生物を、熱殺菌後の該タンパク質の生理
活性能力の低下度が25%以下になる条件で熱殺菌するこ
とを特徴とする微生物の熱殺菌方法。(2)微生物のTR
T10が、60℃において0分以上5分以下であり、該タンパ
ク質の生理活性能力の低下度が60℃×3分間の時40%以下
である前記(1)に記載の方法、(3)微生物が遺伝子
組換え微生物であることを特徴とする前記(2)に記載
の方法、(4)遺伝子組換え微生物が遺伝子組換え大腸
菌であることを特徴とする前記(3)に記載の方法、
(5)遺伝子組換え大腸菌の宿主がEscherichia coli K
-12由来W3110株(ATCC27325)、同HB101株(ATCC3369
4)、同JM109株(ATCC53223)または同WA802株(ATCC33
526)株であることを特徴とする前記(4)に記載の方
法。(6)目的とするタンパク質が酵素であることを特
徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法、
(7)酵素がニトリルヒドラターゼであることを特徴と
する前記(6)に記載の方法、(8)熱殺菌の条件が53
〜63℃であるとする前記(1)〜(7)のいずれかに記
載の方法、(9)熱殺菌の条件が53〜63℃で保持時間が
40分〜2分であることを特徴とする前記(1)〜(7)
のいずれかに記載の方法、である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の微生物は、目的とするタ
ンパク質を生産し菌体内に蓄積する性質を有しており、
この微生物には自然界より単離された微生物も遺伝子組
換え微生物も含まれる。目的とするタンパク質とは、例
えば取得をめざす有用物質の生産に触媒として使用され
る酵素の他、インターフェロン、成長ホルモン、血清ア
ルブミン等が挙げられる。ここで酵素としては、特に制
限されるものではないが、例えばニトリルヒドラター
ゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、リパーゼ、ヌクレオ
シドホスホリラーゼ、トリプトファンシンターゼ等を挙
げることができる。TRTは、加熱減少時間(TRT;Therma
l reduction time)を意味し、TRT10とは、はじめの生
菌数を10-10倍に減少させるのに必要とする時間を意味
する。本発明の微生物は、60℃におけるTRT10が、好ま
しくは0分以上5分以下、より好ましくは0分以上3.5分以
下である。ここでいう生理活性能力とは、単位微生物重
量・単位時間あたりの、目的物質の変換(合成、または
分解)速度や、目的物質への結合速度などを意味する。
本発明のタンパク質は、生理活性能力の低下度が60℃×
3分の時好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下
である。TRT10およびタンパク質の生理活性能力の低下
度は、後述する実施例に記載の方法により、あるいはそ
の方法に準じて測定することができる。
【0008】本発明の微生物としては、例えばニトリル
ヒドラターゼを産生する微生物を挙げることができる。
ニトリルヒドラターゼを産生する微生物の具体例として
は、シュードノカルディア・サーモフィラ(Pseudonoca
rdia thermophila)JCM3095、アクロモバクター・キセ
ロシス(Achromobacter xerosis)IFO12668等を挙げるこ
とができる。また該微生物よりクローニングしたニトリ
ルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で発現させた形質転
換体も含まれる。ここでいう任意の宿主としては、大腸
菌(Escherichia coli)の他、枯草菌(Bacillus subtil
is)等のバチルス属細菌、酵母や放線菌、糸状菌等が挙
げられる。遺伝子組換え大腸菌の宿主としては、例えば
Escherichia coli K-12由来W3110株(ATCC27325)、同H
B101株(ATCC33694),同JM109株(ATCC53223),同WA802
株(ATCC33526)株を挙げることができる。
【0009】また、組換えDNA技術を用いて該タンパク
質の構成アミノ酸の1個または2個以上を他のアミノ酸で
置換、欠失、削除もしくは挿入することにより、薬剤耐
性、温度耐性等を更に向上させた変異型のニトリルヒド
ラターゼを発現させた形質転換体も本発明の微生物に含
まれる。
【0010】本発明の微生物は通常、分子生物学、生物
工学、遺伝子工学の分野において、公知の一般的な方法
を利用して調製される。例えば、LB培地やM9培地等の通
常液体培地に該微生物を植菌した後、適当な培養温度
(一般的には20〜50℃であるが、好熱菌の場合は50℃以
上でもよい。)で生育させ、続いて該微生物を遠心分離
等によって培養液より分離することにより得られる。
【0011】本発明の熱殺菌方法は、熱殺菌後の該タン
パク質の生理活性能力の低下度が25%以下になる条件で
熱殺菌することを特徴とする。本発明では、上記の条件
を充たすように温度、保持時間等をコントロールする。
熱殺菌後の生菌数は、5cfu/ml以下であることが好まし
い。保持温度としては、53〜63℃、より好ましくは54〜
60℃、更により好ましくは55〜57℃の範囲が好ましい。
このような温度範囲であれば、殺菌が十分に行なわれ、
かつタンパク質の生理活性能力の低下が少ないので好ま
しい。また、保持時間は、特に制限されるものではない
が、本発明においては、TRT1 0程度の殺菌が行うことが
できる時間が好ましい。53〜63℃で殺菌を行う場合、40
〜2分、より好ましくは54〜60℃で殺菌を行う場合、25
〜3分、更に好ましくは55〜57℃で殺菌を行う場合、20
〜5分の範囲が好ましい。すなわち、このような条件で
あれば、殺菌が十分に行われ、また生理活性の低下を抑
えることができるので好ましい。熱殺菌の装置として
は、例えばプレートヒータ式熱交換器や、2重管式熱交
換器等の間接加熱手段の熱交換器を挙げることができ
る。
【0012】次いで、本発明では上記温度範囲の微生物
を好ましくは30℃以下に、より好ましくは10℃以下に降
温するのがよい。これは殺菌が終わった時点で余計な温
度履歴をかけないよう素早く降温することで、活性の低
下をより抑えようとするものである。本発明においてこ
の温度降下は急冷状態とすること、即ちこの降温に要す
る時間はできるだけ短時間であることが好ましい。具体
的には前記した50〜64℃の温度より30℃以下となる時間
が、180秒以下であることが好ましい。より好ましくは2
0℃以下となる時間が180秒以下となるように急冷条件下
で冷却することが好ましい。
【0013】
【実施例】以下、実施例により本発明の殺菌方法を更に
詳細に説明する。 (実施例1)図3に示すようにSUS304の管を蛇管状に巻
いた伝熱管を2つ直列につないだものを用意し、それぞ
れを水の入った浴槽につける。浴槽に入れられた伝熱管
はそれぞれ加熱部と保温部であり、内径はそれぞれ6mm
と10mm、長さはそれぞれ20mと12.8mある。特に保温部は
3.2mごとに4本の管が連結されてできており、必要に応
じて保温部の管長を変えることができるため、流量と管
長から保温時間を変更することができる。伝熱管には図
に示すように熱電対が付けられており、各場所ごとの流
体の温度を測定することができる。
【0014】伝熱管の入口側にはポンプが取り付けら
れ、培養された大腸菌を含む流体を伝熱管の中に任意の
吐出流量(5.3〜21L/hr)で送ることができる。また入口
からは菌体液を任意のタイミングでサンプリングできる
よう分岐されたバルブを持つ。大腸菌としては、野生型
酵素が大腸菌HB101株に導入され、三井化学株式会社が
寄託しているMT-10822株(特開平11-253168参照)を用
いた。伝熱管出口より出た液体は、氷バスの中の容器に
入り、急速に20℃程度まで冷却される。急速に冷却する
のは、所定の温度と時間で殺菌された液が、その後の自
身の熱で殺菌されたり酵素活性低下が生じるのを抑える
ためである。
【0015】この装置を用いて以下の実験を行った。培
養した菌体を含む培養液を集菌機にかけて、固形分率が
約15%となるように集菌処理する。処理液(以下、菌体
液と言う)を直ちに氷バス内のステンレス容器に移し、
緩やかに攪拌する。一方上記の熱処理装置は一旦浴槽か
ら出し、伝熱管内に高圧のスチームを通し、各部が120
℃以上の温度になったことを確認後、15分間以上スチー
ムを流し続けることで、伝熱管内を滅菌処理する。滅菌
処理後、伝熱管を元通り浴槽につけ、各部が常温に下が
るまで静置する。
【0016】浴槽の温度を殺菌しようとする温度に合わ
せて、昇温・安定させる。例えば目標とする殺菌温度を
60℃とするならば、加熱部の浴槽温度を61℃、保温部の
浴槽温度を60℃となるように、浴槽内を良く攪拌しなが
ら水中のヒータを加熱し、熱電対により浴槽の温度を測
定・記録して、浴槽の温度が一様に安定したことを確認
する。浴槽温度が安定し、熱処理装置の各部が常温に下
がったら、ポンプを作動させて、ステンレス容器内の菌
体液を熱処理装置の中に通す。装置内の菌体液の流れが
安定するよう、装置出口側より菌体液が出始めてから約
20分間、菌体液を流し続ける。
【0017】菌体液の流れが安定したところで、各部の
温度、流量を測定する。温度は各部に取り付けられた熱
電対で、流量は装置出口から出る菌体液を一定時間サン
プリングし、その重量を測定して、サンプリング時間で
割ることで算出する。また流量と伝熱管の容積(断面積
×長さ)から保温部での菌体液の滞留時間を算出する。
【0018】次にステンレス容器内にある熱処理前の菌
体液と、装置出口から出る熱処理後の菌体液をそれぞれ
100mlづつサンプリングし、直ちに細かく砕いた氷の入
った容器内で冷却する。
【0019】菌体液をポンプで送出し始め、出口から菌
体液が出はじめてからさらに15分以上経って、流量や温
度が安定したら実験を開始する。実験を開始したら、各
部の温度を5分ごとに記録する。開始30分後および1時間
後に殺菌前の菌体液および、殺菌後の液を100ml程度ず
つ無菌のサンプリング容器に入れ、密閉した後、直ちに
細かく砕いた氷の中に漬ける。実験終了後直ちに生菌数
および酵素活性の測定を行う。
【0020】(実施例2)加熱部として内径φ8mm、外
径φ10mmのSUS304管を蛇管状に15m巻いたものを充分に
保温されたバスに漬け、バスの熱媒温度をコントロール
できるようにする。また内側80A、外側100A、長さ1mの
二重管を4本用意して菌体液の温度保持部として用い
る。二重管は配管のつなぎ換えにより、1m, 2m, 4mと長
さが可変である。また菌体液は温度保持部を通過した後
に、加熱部と同じ仕様で熱媒の変わりに冷却水を入れた
冷却部を通り、20℃以下にまで冷却される。殺菌後に冷
却されるのは、所定の温度と時間で殺菌された液が、そ
の後の自身の熱で殺菌されたり、酵素活性低下が生じる
のを抑えるためである。
【0021】この装置を用いて、流量および温度保持部
長さを変えることで、任意の時間殺菌処理を行うことが
できる。また加熱部、温度保持部、冷却部の前後およ
び、熱媒の温度が熱電対により測定できる。流量が安定
したら、実際に冷却部出口より殺菌された菌体液をサン
プリングし、重さとサンプリング時間から流量を測定す
る。菌体液をポンプで送出し、出口から菌体液が出始め
てからさらに15分以上経って、流量や温度が安定したら
実験を開始する。実験を開始したら、各部の温度を5分
ごとに記録する。開始30分後および1時間後に殺菌前の
菌体液および、殺菌後の液を100ml程度ずつ無菌のサン
プリング容器に入れ、密閉した後、直ちに細かく砕いた
氷の中に漬ける。実験終了後直ちに生菌数および酵素活
性の測定を行う。
【0022】(測定方法)サンプリングした処理前後の
菌体液それぞれの、生菌数(cfu/ml)と酵素活性(kU/g
-DC)を以下の手順で測定する。酵素活性は、1gの乾燥
菌体あたりの活性量を意味し、活性量:1kUは、1分間に
1mmolのアクリルアミドを生成するものと定義する。
【0023】生菌数の測定方法は以下の通り。無菌的に
サンプリングした培養液を、生理食塩水でコロニー数が
30〜300になるよう適当な倍率に希釈する。1サンプルあ
たり3枚のマッコンキー寒天培地にサンプリング液ある
いは希釈液を100μlずつ播種し、35℃で24時間培養す
る。周囲に赤みがかった沈降線の帯を持つ赤レンガ色の
コロニー(大腸菌)の数を計測する。生菌数(cfu/ml)
=コロニー数の平均値×サンプル希釈倍率÷0.1
【0024】また酵素活性の測定方法は、以下の方法に
よって行う。各画分液をリン酸カリウム緩衝液により適
当に希釈し、これに1重量%のアクリロニトリルを添加し
て10℃で10分間反応させる。反応液にこれと等量の1Mリ
ン酸水溶液を添加して反応を停止させ、生成したアクリ
ルアミド濃度をHPLC分析により測定する。HPLCカラムは
ULTRON 80HG(50×8φmm)を用い、10mMリン酸水溶液を
展開液として使用する。アクリルアミドは220nmの吸光
度により検出する。
【0025】これらの結果より、TRT10の値および、こ
の温度条件で殺菌したときの酵素活性の低下度を求め
る。
【0026】TRT10は、実験により得られた値を対数死
滅曲線と呼ばれる曲線上にプロットすることで得られ
る。具体的には、ある温度Te(℃)において、温度の保
持時間Ti(分)で熱処理を行ったときの、熱処理前の生
菌数をN0(cfu/ml)、熱処理後の生菌数をN(cfu/ml)
として、横軸に保持時間、縦軸に熱処理前後の生菌数の
割合=N/No(−)をとり、実験ごとのデータをこのグラ
フ上にプロットする。ただし測定された処理後の生菌数
が0の場合は、グラフ化の便宜上生菌数1(cfu/ml)とし
てグラフ上にプロットする。このグラフで保持時間0
(分)、熱処理前後の生菌数の割合1の点(グラフの左
上)から各プロット点に直線を引き、その直線を延長す
る。TRT10の値を求めるには、延長された直線がN/No=1
0-10の横軸と交わるときの時間を読みとればよい。
【0027】また酵素活性の低下度は「(1−殺菌後の
酵素活性/殺菌前の酵素活性)×100(%)」であらわさ
れる。
【0028】実施例1と実施例2の結果を図1と図2に
は一緒にプロットした。図1は横軸に殺菌温度、縦軸に
TRT10の時間をプロットしたもの、図2は横軸に殺菌温
度、縦軸に酵素活性低下度をプロットしたものである。
図2から読みとれるように、殺菌温度が高いと酵素活性
の低下度が大きく、大体57℃よりも低い温度で殺菌する
ことで酵素活性の低下度は約10%となる。また57℃より
も殺菌温度を低くしても酵素活性の低下度はもはや小さ
くならない。また図1より殺菌温度が高い方がより短い
時間で殺菌が可能であることが示され、より工業的には
効率が高いと言える。これらのことから、おおよそ55〜
57℃と比較的マイルドな温度で、20〜5分間保持するこ
とで、酵素活性の低下を抑えてなおかつTRT10程度の殺
菌を行うことができる。
【0029】
【発明の効果】以上の説明、特に実施例の結果からも明
らかなように、本発明の殺菌方法によれば、そのタンパ
ク質の生理活性の低下度は極めて小さく、しかも非常に
効率的に殺菌し得る。従って本発明の熱殺菌方法は、特
に、有用物質の生産に触媒として使用される微生物を、
予め熱殺菌する方法として工業的に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】殺菌温度とTRT10時間の関係を示すグラフ。
【図2】殺菌温度と活性低下度の関係を示すグラフ。
【図3】実施例1で使用した熱交換器の摸式図。
【図4】実施例2で使用した熱交換器の摸式図。
【符号の説明】
1…ポンプ 2…加熱部 3…保温部 4…氷バス 5…熱電対
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 有井 輝夫 千葉県茂原市東郷1900 三井化学株式会社 内 (72)発明者 佐々木 賢樹 千葉県茂原市東郷1900 三井化学株式会社 内 Fターム(参考) 4B065 AA26X AB01 AC14 BD08 CA24 CA27 CA54 CA60

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】目的とするタンパク質を生産し菌体内に蓄
    積する性質を有する微生物を、熱殺菌後の該タンパク質
    の生理活性能力の低下度が25%以下になる条件で熱殺菌
    することを特徴とする微生物の熱殺菌方法。
  2. 【請求項2】微生物のTRT10が、60℃において0分以上5
    分以下であり、該タンパク質の生理活性能力の低下度が
    60℃×3分間の時40%以下である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】微生物が遺伝子組換え微生物であることを
    特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】遺伝子組換え微生物が遺伝子組換え大腸菌
    であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】遺伝子組換え大腸菌の宿主がEscherichia
    coli K-12由来W3110株(ATCC27325)、同HB101株(ATCC
    33694)、同JM109株(ATCC53223)または同WA802株(AT
    CC33526)株であることを特徴とする請求項4に記載の
    方法。
  6. 【請求項6】目的とするタンパク質が酵素であることを
    特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】酵素がニトリルヒドラターゼであることを
    特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】熱殺菌の条件が53〜63℃であることを特徴
    とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】熱殺菌の条件が53〜63℃で保持時間が40分
    〜2分であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか
    に記載の方法。
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