JP2003017364A - 積層型電子部品の製造方法およびグリーンシート - Google Patents
積層型電子部品の製造方法およびグリーンシートInfo
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Abstract
グリーンシートとを一緒に積層して同時焼成する際に生
じるデラミネーションやクラックを有効に防止すること
ができる積層型電子部品の製造方法と、その製造方法に
用いるグリーンシートを提供すること。 【解決手段】 比較的に厚い複数枚の第1グリーンシー
ト20aを準備する工程と、第1グリーンシートに比較
して比較的に薄い複数枚の第2グリーンシート2aを準
備する工程において、焼成前における前記第1グリーン
シート20aの第1表面22および第2表面24の光沢
度を、それぞれα(%)およびβ(%)とし、焼成前に
おける前記第2グリーンシート2aの第1表面22およ
び第2表面24の光沢度を、それぞれα’(%)および
β’(%)とした場合に、下記の関係式(1)が成り立
つように、前記第1および第2グリーンシートを調整す
る。 −4.5<(α/β−α’/β’)<4.5 …
(1)
Description
ミックコンデンサなどの積層型電子部品を製造する方法
に係り、さらに詳しくは、焼成後にデラミネーションや
クラックなどが発生することを防止することができる積
層型電子部品の製造方法と、その製造方法に用いるグリ
ーンシートとに関する。
ンサなどの積層型電子部品を製造するには、通常、まず
セラミック粉末、バインダ(アクリル系樹脂、ブチラー
ル系樹脂など)、可塑剤および有機溶剤(塩化メチレン
など)からなるセラミック塗料を準備する。次に、この
セラミック塗料を、ドクターブレード法などを用いてP
ET製フィルム上に塗布し、加熱乾燥させた後、PET
製フィルムを剥離してセラミックグリーンシートを得
る。次に、このセラミックグリーンシート上に内部電極
を印刷して乾燥させ、これらを積層したものをチップ状
に切断してグリーンチップとし、これらのグリーンチッ
プを焼成後、外部電極を形成し、積層セラミックコンデ
ンサなどの電子部品を製造する。
には、コンデンサとして必要とされる所望の静電容量に
基づき、内部電極が形成されるシートの層間厚みは、約
1μm〜50μm程度の範囲にある。また、積層セラミ
ックコンデンサでは、コンデンサチップの積層方向にお
ける外側部分には、内部電極が形成されない部分が形成
される。
る誘電体層の厚みは、数百μm程度であり、この部分
は、内部電極が印刷されていない比較的厚いセラミック
グリーンシートを用いて成形される。内部電極が印刷さ
れるグリーンシートの厚みは、比較的に薄いので、この
薄膜のグリーンシートを用いて、外側部分を成形しよう
とすると、積層数が多くなり、製造工数が増大し、製造
コストの増大につながる。
造過程では、比較的に厚い複数の外装用セラミックグリ
ーンシートと、比較的に薄い複数の内装用セラミックグ
リーンシートとを一緒に積層して同時焼成する必要があ
る。
後の焼結体に、しばしばデラミネーションやクラックが
発生することが知られている。
は、セラミックグリーンシートの表面および裏面で、セ
ラミック粉末の分散密度を変えることにより、内部電極
層用ペーストの印刷特性を改良しようとする技術が開示
してある。また、特開平8−319169号公報では、
粉体の充填率が異なるグリーンシートを積層して焼成す
ることにより、加工性を改良しようとする技術が開示し
てある。
る技術は、比較的に厚いグリーンシートと比較的に薄い
グリーンシートとを一緒に積層して同時焼成する際に生
じるデラミネーションやクラックを有効に防止すること
はできない。
実状に鑑みてなされ、比較的に厚いグリーンシートと比
較的に薄いグリーンシートとを一緒に積層して同時焼成
する際に生じるデラミネーションやクラックを有効に防
止することができる積層型電子部品の製造方法と、その
製造方法に用いるグリーンシートを提供することを目的
とする。
ついて鋭意検討した結果、比較的に厚いグリーンシート
の厚みが、薄いグリーンシートの厚みに比べて厚くなる
に従い、デラミネーションやクラックが顕著に発生する
ことに着目し、本発明を完成させるに至った。
組成が同じでも、シートの厚みが異なると、焼結開始温
度および収縮率に差異が生じることを見出し、その原因
が、グリーンシートの第1表面および第2表面でのセラ
ミック粒子の分散状態の差異に基づくものであることを
見出した。ただし、グリーンシートの第1表面および第
2表面におけるセラミック粒子の分散状態の差異を、シ
ートを破壊することなく検出することは困難である。
ンシートの第1表面および第2表面におけるセラミック
粒子の分散状態の差異を規定することで、実際に、焼成
後のデラミネーションやクラックを有効に防止できるこ
とを見出した。
製造方法は、比較的に厚い複数枚の第1グリーンシート
を準備する工程と、前記第1グリーンシートに比較して
比較的に薄い複数枚の第2グリーンシートを準備する工
程と、前記複数枚の第1グリーンシートおよび複数枚の
第2グリーンシートを積層して、グリーンチップを形成
する工程と、前記グリーンチップを焼成する工程とを有
する積層型電子部品の製造方法であって、焼成前におけ
る前記第1グリーンシートの第1表面および第2表面の
光沢度を、それぞれα(%)およびβ(%)とし、焼成
前における前記第2グリーンシートの第1表面および第
2表面の光沢度を、それぞれα’(%)およびβ’
(%)とした場合に、下記の関係式(1)が成り立つよ
うに、前記第1および第2グリーンシートを調整するこ
とを特徴とする。また、本発明に係るグリーンシート
は、積層型電子部品の焼成前段階におけるグリーンチッ
プを構成するための少なくとも二枚のグリーンシートで
あって、比較的に厚い第1グリーンシートと、前記第1
グリーンシートに比較して比較的に薄い第2グリーンシ
ートと、を有し、前記第1グリーンシートの第1表面お
よび第2表面の光沢度を、それぞれα(%)およびβ
(%)とし、前記第2グリーンシートの第1表面および
第2表面の光沢度を、それぞれα’(%)およびβ’
(%)とした場合に、下記の関係式(1)が成り立つこ
とを特徴とする。
記第1および第2グリーンシートを調整する。 −4.0<(α/β−α’/β’)<4.0 …(2) なお、本発明では、グリーンシートの第1表面および第
2表面とは、相対的な概念であり、いずれの表面を第1
表面または第2表面としても良い。たとえばグリーンシ
ートを非磁性支持体上に形成する場合には、第1表面と
は、非磁性支持体に接する面とし、第2表面とは、その
反対面として定義しても良い。
2グリーンシートの厚みの5倍以上特に、10倍以上で
ある時に、本発明の効果が大きい。第2グリーンシート
に対する第1グリーンシートの厚みの上限は、特に限定
されないが、好ましくは1000倍以下である。
び第2グリーンシートは、同一組成の誘電体ペーストを
用いて、非磁性支持体上に形成され、積層前に非磁性支
持体が除去される。
グリーンシートの積層方向上下に、それぞれ複数枚の前
記第1グリーンシートが積層される。
層前に、前記第2グリーンシートの第1表面または第2
表面には、所定パターンの導電体パターン層が形成され
る。
よれば、グリーンシートの厚みによらず焼結開始温度を
略同一にすることができると共に、収縮率を略同一にす
ることが可能になり、焼成後のデラミネーションまたは
クラックなどの発生を抑制することができる。
は、特に限定されないが、積層セラミックコンデンサ、
圧電素子、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップ
抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品な
どが例示される。
形態に基づき説明する。図1は本発明の一実施形態に係
る積層セラミックコンデンサの概略断面図、図2は図1
に示すコンデンサの製造過程に用いるグリーンシートの
要部断面図、図3は図1に示すコンデンサの製造過程に
用いるグリーンシートの要部断面図、図4は本発明の実
施例および比較例に係るグリーンシートの熱処理温度と
収縮率の関係を示すグラフ、図5(A)〜(D)は本発
明の実施例に係るグリーンシートの電子顕微鏡写真、図
6(A)〜(D)は本発明の比較例に係るグリーンシー
トの電子顕微鏡写真である。
しての積層セラミックコンデンサを例示して説明する。
図1に示すように、この積層セラミックコンデンサ1
は、層間誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層され
た構成のコンデンサ素子本体10を有する。このコンデ
ンサ素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で
交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外
部電極4が形成してある。コンデンサ素子本体10の形
状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。ま
た、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な
寸法とすればよいが、通常、(0.6〜5.6mm)×
(0.3〜5.0mm)×(0.3〜1.9mm)程度
である。
本体10の対向する2端部の表面に交互に露出するよう
に積層してある。一対の外部電極4は、コンデンサ素子
本体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電
極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成
する。
極層3および層間誘電体層2の積層方向の両外側端部に
は、外側誘電体層20が配置してあり、素子本体10の
内部を保護している。
明では特に限定されないが、たとえば以下の誘電体磁器
組成物で構成される。本実施形態の誘電体磁器組成物
は、たとえばBaTiO3で表せる主成分を有する誘電
体磁器組成物である。誘電体磁器組成物中に主成分と共
に含まれる副成分としては、Sr,Zr,Y,Gd,T
b,Dy,V,Mo,Zn,Cd,Ti,Sn,W,B
a,Ca,Mn,Mg,Cr,Si,およびPの酸化物
から選ばれる1種類以上を含む副成分が例示される。
電特性を劣化させることなく低温焼成が可能となり、層
間誘電体層を薄層化した場合の信頼性不良を低減するこ
とができ、長寿命化を図ることができる。ただし、本発
明では、層間誘電体層の組成は、上記に限定されるもの
ではない。
や厚み等の諸条件は、目的や用途に応じ適宜決定すれば
よいが、本実施形態では、層間誘電体層2の厚みは、1
μm〜50μm程度である。また、外側誘電体層20の
厚みは、たとえば100μm〜数百μm程度である。
が、層間誘電体層2の構成材料が耐還元性を有するた
め、卑金属を用いることができる。導電材として用いる
卑金属としては、Ni、Cu、Ni合金またはCu合金
が好ましい。内部電極層3の主成分をNiにした場合に
は、誘電体が還元されないように、低酸素分圧(還元雰
囲気)で焼成するという方法がとられている。一方誘電
体は還元されないようにその組成比をストイキオ組成か
らずらす等の手法がとられている。内部電極層3の厚さ
は用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、0.5
〜5μm程度である。
通常、CuやCu合金あるいはNiやNi合金等を用い
る。なお、AgやAg−Pd合金等も、もちろん使用可
能である。なお、本実施形態では、安価なNi,Cu
や、これらの合金を用いることができる。外部電極の厚
さは用途等に応じて適宜決定されればよいが、通常、1
0〜50μm程度であることが好ましい。
ンサの製造方法について説明する。本実施形態では、ペ
ーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーン
チップを作製し、これを焼成した後、外部電極を印刷ま
たは転写して焼成することにより製造される。以下、製
造方法について具体的に説明する。
電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混
練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であっ
てもよい。
となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化
物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用
いることができる。
手段として、本実施形態では、ドクターブレード法が用
いられる。このシートを形成するための支持フィルムと
しては、図2に示すPET製支持フィルム(非磁性支持
体)30が用いられる。この支持フィルム30上に、ド
クターブレード法により、誘電体層用ペーストを所定厚
みに塗布し、乾燥させる。
れる外装用グリーンシート20aは、図1に示す外側誘
電体層20を構成する部分であり、通常、10〜100
μm程度の膜厚を有する。この外装用グリーンシート2
0aとは別に、同様な手法により、1μm〜50μm程
度に薄く成形された内装用グリーンシート2aを形成す
る。内装用グリーンシート2aの一方の表面には、図1
に示す内部電極層3が形成される。内部電極層3の形成
方法としては、特に限定されないが、印刷法または薄膜
法などが例示される。
シート20aの第1表面22および第2表面24の光沢
度を、それぞれα(%)およびβ(%)とし、同様に乾
燥後の内装層用グリーンシート2aの第1表面22およ
び第2表面24の光沢度を、それぞれα’(%)および
β’(%)とした場合に、下記の関係式(1)が成り立
つように、これらのグリーンシート20a,2aを調整
する。なお、本実施形態において、グリーンシートの第
1表面22とは、支持フィルム30に接する面であり、
第2表面24とは、その反対面である。
れらのグリーンシート20a,2aを調整する。 −4.0<(α/β−α’/β’)<4.0 …(2) より具体的には、上記の関係となるように、グリーンシ
ート20aおよび2aを構成する誘電体ペーストの組
成、混合方法、分散方法、塗布方法、グリーンシートの
厚みの比率、などを調節する。また、光沢度は、たとえ
ば日本電色工業株式会社製VGS−1Dを用い、JIS
Z−8741(1983)方法3に準拠して測定す
る。
形成された内装用グリーンシート2aを交互に積層する
と共に、その積層方向の外側両端部に、外装用グリーン
シート20aを単層または複層で積層する。
所定の積層体サイズに切断し、グリーンチップ100と
した後、脱バインダ処理および焼成を行う。そして、誘
電体層2および20を再酸化させるため、熱処理を行
う。
いが、内部電極層の導電体材料にNiやNi合金等の卑
金属を用いる場合、特に下記の条件で行うことが好まし
い。
〜50℃/時間、 保持温度:200〜300℃、 保持時間:0.5〜20時間、特に1〜10時間、 雰囲気 :空気中。
℃/時間、 保持温度:1000〜1400℃、 保持時間:0.5〜8時間、特に1〜3時間、 冷却速度:50〜500℃/時間、特に200〜300
℃/時間、 雰囲気ガス:加湿したN2 とH2 との混合ガス等。
a以下、特に10−2〜10−10 Paにて行うことが
好ましい。前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する
傾向にあり、また、酸素分圧があまり低すぎると、内部
電極層の電極材料が異常焼結を起こし、途切れてしまう
傾向にある。
持温度または最高温度を、好ましくは1000℃以上、
さらに好ましくは1000〜1100℃として行うこと
が好ましい。熱処理時の保持温度または最高温度が、前
記範囲未満では誘電体原料の酸化が不十分なために絶縁
抵抗寿命が短くなる傾向にあり、前記範囲をこえると内
部電極のNiが酸化し、容量が低下するだけでなく、誘
電体素地と反応してしまい、寿命も短くなる傾向にあ
る。熱処理の際の酸素分圧は、焼成時の還元雰囲気より
も高い酸素分圧であり、好ましくは10−3Pa〜1P
a、より好ましくは10−2Pa〜1Paである。前記
範囲未満では、誘電体層2および20の再酸化が困難で
あり、前記範囲をこえると内部電極層3が酸化する傾向
にある。そして、そのほかの熱処理条件は下記の条件が
好ましい。
℃/時間、 雰囲気用ガス:加湿したN2 ガス等。
には、例えばウェッター等を使用すればよい。この場
合、水温は0〜75℃程度が好ましい。また脱バインダ
処理、焼成および熱処理は、それぞれを連続して行って
も、独立に行ってもよい。これらを連続して行なう場
合、脱バインダ処理後、冷却せずに雰囲気を変更し、続
いて焼成の際の保持温度まで昇温して焼成を行ない、次
いで冷却し、熱処理の保持温度に達したときに雰囲気を
変更して熱処理を行なうことが好ましい。一方、これら
を独立して行なう場合、焼成に際しては、脱バインダ処
理時の保持温度までN2 ガスあるいは加湿したN2
ガス雰囲気下で昇温した後、雰囲気を変更してさらに昇
温を続けることが好ましく、熱処理時の保持温度まで冷
却した後は、再びN2 ガスあるいは加湿したN2 ガ
ス雰囲気に変更して冷却を続けることが好ましい。ま
た、熱処理に際しては、N2 ガス雰囲気下で保持温度
まで昇温した後、雰囲気を変更してもよく、熱処理の全
過程を加湿したN2 ガス雰囲気としてもよい。
10)には、例えばバレル研磨、サンドプラスト等にて
端面研磨を施し、外部電極用ペーストを焼きつけて外部
電極4を形成する。なお、外部電極用ペーストは、一般
に、各種導電性金属や合金から成る導電体材料、あるい
は焼成後に導電体材料となる各種酸化物、有機金属化合
物、レジネートなどと、有機ビヒクルとを混練して調整
する。このようにして製造された本発明の積層セラミッ
クコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上など
に実装され、各種電子機器等に使用される。
サの製造方法によれば、グリーンシートの厚みによらず
焼結開始温度を略同一にすることができると共に、収縮
率を略同一にすることが可能になり、焼成後のデラミネ
ーションまたはクラックなどの発生を抑制することがで
きる。
されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変する
ことができる。
き説明するが、本発明は、これら 実施例に限定されない。
iO3 (BT−01粉/堺化学工業(株)製)を用い
た。なお、このチタン酸バリウムを、表1では、BT1
として示す。この母材に対して、(Ba,Ca)SiO
3 :1.48重量%、Y2 O3 :1.01重量%、M
gCO3 :0.72重量%を、各々ボールミルで16
時間湿式粉砕し、誘電体原料を得た。
にて、ジルコニア製ボールを用いてボールミル混合し、
スラリー化して誘電体層用ペーストとした。すなわち、
まず、誘電体原料(セラミック原料):100重量部
と、アクリル樹脂4.8重量部、塩化メチレン40重量
部、トリクロロエタン20重量部、ミネラルスピリット
6重量部およびアセトン4重量部とをボールミルで混合
してペースト化した。ボールミルで混合して調整して得
られたペーストを、表1では、BMとして示す。
うにして作製した。平均粒径0.4μmのNi粒子10
0重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂8重
量部をブチルカルビトール92重量部に溶解したもの)
40重量部およびブチルカルビトール10重量部とを3
本ロールにより混練し、ペースト化した。
ドクターブレード法により、キャリアフィルム上に、厚
さ5μmの内装用グリーンシートを形成した。また、同
様にして、厚さ30μmの外装用グリーンシートを形成
した。
1表面および第2表面の光沢度を、日本電色工業株式会
社製VGS−1Dを用い、JIS Z−8741(19
83)方法3に準拠して測定した。また、同様にして、
乾燥後の内装用グリーンシートにおける第1表面および
第2表面の光沢度も測定した。
および第2表面の光沢度を、それぞれα(%)およびβ
(%)とし、同様に乾燥後の内装層用グリーンシートの
第1表面および第2表面の光沢度を、それぞれα’
(%)およびβ’(%)とした場合に、表1に示すよう
に、α/βが4.5であり、α’/β’が1.2であっ
た。また、(α/β−α’/β’)の絶対値は、3.3
であった。前述した(1)式および(2)式のいずれも
満足していることが確認された。
部電極層用ペーストを厚さ1μmで所定パターンに印刷
したが、外装用グリーンシートには、何も印刷せず、キ
ャリアフィルムから各グリーンシートを剥離した。
ーストが印刷された31枚の内装用グリーンシート2a
を積層し、その積層方向の上下に、それぞれ総厚みで3
00μmとなるように、複数枚の外装用グリーンシート
20aを積層した。その後、この積層体を、100°
C、10MPa、および10分の条件で、熱プレス処理
した後、所定サイズに切断して、図3に示すグリーンチ
ップ100を得た。
処理、焼成およびアニール(熱処理)を行って、コンデ
ンサ素体を得た。脱バインダ処理は、昇温時間15℃/
時間、保持温度280℃、保持時間8時間、空気雰囲気
の条件で行った。また、焼成は、昇温速度200℃/時
間、保持温度1280℃、保持時間2時間、冷却速度2
00℃/時間、加湿したN2 +H2 混合ガス雰囲気
(酸素分圧は2×10 −7〜5×10−4Pa内に調
節)の条件で行った。アニールは、保持温度1050
℃、温度保持時間2時間、冷却速度200℃/時間、加
湿したN2 ガス雰囲気(酸素分圧は3.54×10
−2Pa)の条件で行った。なお、焼成およびアニール
の際の雰囲気ガスの加湿には、水温を35℃としたウェ
ッターを用いた。
コンデンサ素体について、素体の側面を研磨し、光学顕
微鏡にて研磨面全体を観察した。100個のコンデンサ
素体のうち、デラミネーションまたはクラックが全く観
察されなかった素体の割合をパーセントで求めた。デラ
ミネーションまたはクラック(表1では、デラミ・クラ
ック)の発生率が15%であり、低いことが確認でき
た。
観察された素体では、そのデラミネーションまたはクラ
ックのほとんどは、図3に示す内装用グリーンシート2
aと外装用グリーンシート20aとの界面で生じてい
た。
た以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ素体を作
製し、同様な試験を行った。結果を表1に示す。前述し
た(1)式および(2)式のいずれも満足し、デラミネ
ーションなどの発生率が10%であり、低いことが確認
された。
た以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ素体を作
製し、同様な試験を行った。結果を表1に示す。前述し
た(1)式および(2)式のいずれも満足せず、デラミ
ネーションなどの発生率が50%であり、高いことが確
認された。
μmのBaTiO3(日本化学(株)製)を用い、内装
用グリーンシートの厚みを4μmとした以外は、実施例
1と同様にして、コンデンサ素体を作製し、同様な試験
を行った。結果を表1に示す。前述した(1)式および
(2)式のいずれも満足せず、デラミネーションなどの
発生率が50%であり、高いことが確認された。なお、
表1では、この比較例2で用いたBaTiO3 を、B
T2で示した。
μmとした以外は、比較例2と同様にして、コンデンサ
素体を作製し、同様な試験を行った。結果を表1に示
す。前述した(1)式および(2)式のいずれも満足
し、デラミネーションなどの発生率が12%であり、低
いことが確認された。
5μmのBaTiO3 (BT−035粉/堺化学(株)
製)を用い、SPEX社のMixer Millを用いて誘電体層
用ペーストを調整し、内装用グリーンシートの厚みを4
μmとした以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ
素体を作製し、同様な試験を行った。結果を表1に示
す。前述した(1)式および(2)式のいずれも満足
し、デラミネーションなどの発生率が0%であり、低い
ことが確認された。
aTiO3 を、BT3で示した。また、SPEX社の
Mixer Millを用いて誘電体ペーストを調整したものを、
表1では、MMとして示した。また、外装用グリーンシ
ートの第1表面および第2表面の電子顕微鏡写真を撮影
した。結果を図5(A)および図5(B)に示す。さら
に、内装用グリーンシートの第1表面および第2表面の
電子顕微鏡写真を撮影した。結果を図5(C)および図
5(D)に示す。グリーンシートの厚みによらず、第1
表面と第2表面とでの分散度の相違が小さいことが確認
された。
μmとした以外は、実施例4と同様にして、コンデンサ
素体を作製し、同様な試験を行った。結果を表1に示
す。前述した(1)式および(2)式のいずれも満足
し、デラミネーションなどの発生率が15%であり、低
いことが確認された。
μmとした以外は、実施例4と同様にして、コンデンサ
素体を作製し、同様な試験を行った。結果を表1に示
す。前述した(1)式および(2)式のいずれも満足
し、デラミネーションなどの発生率が0%であり、低い
ことが確認された。
体ペーストを用いて外装用グリーンシートを作製した以
外は、実施例4と同様にして、コンデンサ素体を作製
し、同様な試験を行った。結果を表1に示す。前述した
(1)式および(2)式のいずれも満足せず、デラミネ
ーションなどの発生率が80%であり、高いことが確認
された。
体ペーストを用いて外装用グリーンシートおよび内装用
グリーンシートを作製した以外は、実施例4と同様にし
て、コンデンサ素体を作製し、同様な試験を行った。結
果を表1に示す。前述した(1)式および(2)式のい
ずれも満足せず、デラミネーションなどの発生率が55
%であり、高いことが確認された。また、外装用グリー
ンシートの第1表面および第2表面の電子顕微鏡写真を
撮影した。結果を図6(A)および図6(B)に示す。
さらに、内装用グリーンシートの第1表面および第2表
面の電子顕微鏡写真を撮影した。結果を図6(C)およ
び図6(D)に示す。誘電体ペーストの組成や混合方法
などによっては、グリーンシートが厚く成ると、第1表
面と第2表面とでの分散度の相違が大きくなることが確
認された。
体ペーストを用いて外装用グリーンシートおよび内装用
グリーンシートを作製し、内装用グリーンシートの厚み
を15μmとした以外は、実施例4と同様にして、コン
デンサ素体を作製し、同様な試験を行った。結果を表1
に示す。前述した(1)式および(2)式のいずれも満
足し、デラミネーションなどの発生率が3%であり、低
いことが確認された。
μmのBaTiO3(日本化学(株)製)を用い、内装
用グリーンシートの厚みを3μmとした以外は、実施例
5と同様にして、コンデンサ素体を作製し、同様な試験
を行った。結果を表1に示す。前述した(1)式および
(2)式のいずれも満足し、デラミネーションなどの発
生率が0%であり、低いことが確認された。なお、表1
では、この実施例8で用いたBaTiO3 を、BT4
で示した。
体ペーストを用いて外装用グリーンシートを作製した以
外は、実施例8と同様にして、コンデンサ素体を作製
し、同様な試験を行った。結果を表1に示す。前述した
(1)式および(2)式のいずれも満足し、デラミネー
ションなどの発生率が15%であり、低いことが確認さ
れた。比較例5 表1に示すように、外装用グリーンシートの厚みを60
μmとすると共に、内装用グリーンシートの厚みを10
μmとした以外は、実施例9と同様にして、コンデンサ
素体を作製し、同様な試験を行った。結果を表1に示
す。前述した(1)式および(2)式のいずれも満足せ
ず、デラミネーションなどの発生率が70%であり、高
いことが確認された。
値が、4.5未満、好ましくは4.0未満、さらに好ま
しくは3.5以下である場合に、デラミネーションなど
の発生率が、15%以下になることが判明した。また、
前記の絶対値の値が、3以下の場合には、デラミネーシ
ョンなどの発生率が、12%以下になることが判明し
た。さらに、前記の絶対値の値が、1.2以下の場合に
は、デラミネーションなどの発生率が、3%以下になる
ことが判明した。
トとの焼成による収縮挙動の差異に関して、確認の実験
を行った。
用い、厚さ30μmの外装用グリーンシートを作製し、
そのグリーンシートを12枚積層して圧着し、それを図
4中のグラフTで示す焼成パターンで焼成し、その収縮
率を測定した。その収縮率の変化を、図4中のグラフS
1で示す。
ストを用い、厚さ30μmの外装用グリーンシートを作
製し、そのグリーンシートを12枚積層して圧着し、そ
れを図4中のグラフTで示す焼成パターンで焼成し、そ
の収縮率を測定した。その収縮率の変化を、図4中のグ
ラフS2で示す。
ーストを用い、厚さ4μmの内装用グリーンシートを作
製し、そのグリーンシートを90枚積層して圧着し、そ
れを図4中のグラフTで示す焼成パターンで焼成し、そ
の収縮率を測定した。その収縮率の変化を、図4中のグ
ラフS3で示す。
た。すなわち、実施例4で使用したMM混合法により混
合した誘電体層用ペーストを用いて、厚みの異なるグリ
ーンシートを形成した場合には、グラフS2とS3とを
比較して分かるように、これらのグリーンシートの焼結
開始温度が近づき、収縮挙動が一致することが判明し
た。
り混合した誘電体層用ペーストを用いて作製した厚み3
0μmの外装用グリーンシートは、図4におけるグラフ
S1の収縮挙動を示し、その挙動が、焼結初期におい
て、図4におけるグラフS2と一致しないことが判明し
た。このことは、比較例3において、デラミネーション
などの発生率が多いことを裏付けている。すなわち、内
装用グリーンシートと外装用グリーンシートとの収縮挙
動(焼結挙動)の相違が、デラミネーションなどの発生
の原因となっていることが考えられる。本発明では、内
装用グリーンシートと外装用グリーンシートとの光沢度
を、所定の関係に維持することで、デラミネーションな
どの発生を有効に抑制することができることが、前記実
施例により裏付けられている。
ば、比較的に厚いグリーンシートと比較的に薄いグリー
ンシートとを一緒に積層して同時焼成する際に生じるデ
ラミネーションやクラックを有効に防止することができ
る積層型電子部品の製造方法を提供することができる。
ックコンデンサの概略断面図である。
いるグリーンシートの要部断面図である。
いるグリーンシートの要部断面図である。
リーンシートの熱処理温度と収縮率の関係を示すグラフ
である。
グリーンシートの電子顕微鏡写真である。
グリーンシートの電子顕微鏡写真である。
Claims (10)
- 【請求項1】 比較的に厚い複数枚の第1グリーンシー
トを準備する工程と、 前記第1グリーンシートに比較して比較的に薄い複数枚
の第2グリーンシートを準備する工程と、 前記複数枚の第1グリーンシートおよび複数枚の第2グ
リーンシートを積層して、グリーンチップを形成する工
程と、 前記グリーンチップを焼成する工程とを有する積層型電
子部品の製造方法であって、 焼成前における前記第1グリーンシートの第1表面およ
び第2表面の光沢度を、それぞれα(%)およびβ
(%)とし、焼成前における前記第2グリーンシートの
第1表面および第2表面の光沢度を、それぞれα’
(%)およびβ’(%)とした場合に、下記の関係式
(1)が成り立つように、前記第1および第2グリーン
シートを調整することを特徴とする積層型電子部品の製
造方法。 −4.5<(α/β−α’/β’)<4.5 …(1) - 【請求項2】 下記の関係式(2)が成り立つように、
前記第1および第2グリーンシートを調整することを特
徴とする請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。 −4.0<(α/β−α’/β’)<4.0 …(2) - 【請求項3】 前記第1グリーンシートの厚みが、前記
第2グリーンシートの厚みの5倍以上であることを特徴
とする請求項1または2に記載の積層型電子部品の製造
方法。 - 【請求項4】 前記第1グリーンシートおよび第2グリ
ーンシートは、同一組成の誘電体ペーストを用いて、非
磁性支持体上に形成され、積層前に非磁性支持体が除去
されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
の積層型電子部品の製造方法。 - 【請求項5】 複数枚に積層された前記第2グリーンシ
ートの積層方向上下に、それぞれ複数枚の前記第1グリ
ーンシートが積層されることを特徴とする請求項1〜4
のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。 - 【請求項6】 前記第2グリーンシートの積層前に、前
記第2グリーンシートの第1表面または第2表面には、
所定パターンの導電体パターン層が形成されることを特
徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層型電子部
品の製造方法。 - 【請求項7】 積層型電子部品の焼成前段階におけるグ
リーンチップを構成するための少なくとも二枚のグリー
ンシートであって、 比較的に厚い第1グリーンシートと、 前記第1グリーンシートに比較して比較的に薄い第2グ
リーンシートと、を有し、 前記第1グリーンシートの第1表面および第2表面の光
沢度を、それぞれα(%)およびβ(%)とし、前記第
2グリーンシートの第1表面および第2表面の光沢度
を、それぞれα’(%)およびβ’(%)とした場合
に、下記の関係式(1)が成り立つことを特徴とするグ
リーンシート。 −4.5<(α/β−α’/β’)<4.5 …(1) - 【請求項8】 前記第1および第2グリーンシートが、
下記の関係式(2)を満足することを特徴とする請求項
7に記載のグリーンシート。 −4.0<(α/β−α’/β’)<4.0 …(2) - 【請求項9】 前記第1グリーンシートの厚みが、前記
第2グリーンシートの厚みの5倍以上であることを特徴
とする請求項7または8に記載のグリーンシート。 - 【請求項10】 前記第1グリーンシートおよび第2グ
リーンシートは、同一組成の誘電体ペーストを用いて、
非磁性支持体上に形成され、積層前に非磁性支持体が除
去されることにより形成される請求項7〜9のいずれか
に記載のグリーンシート。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009123868A (ja) * | 2007-11-14 | 2009-06-04 | Panasonic Corp | 積層セラミックコンデンサ及びその製造方法 |
JP2010108881A (ja) * | 2008-10-31 | 2010-05-13 | Ohara Inc | イオン伝導性固体電解質の製造方法 |
-
2001
- 2001-07-02 JP JP2001201189A patent/JP4088428B2/ja not_active Expired - Fee Related
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