JP2003017280A - 高圧放電ランプの点灯装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極間の距離の短いショートアークタイプの
高圧放電ランプにおいては、消灯後、冷却にともない封
入物である水銀が発光管内壁および電極に付着し、振動
などにより前記発光管内壁に膜状に付着した水銀が固ま
りとなり、この水銀の固まりが電極に付着された水銀と
一緒になり電極間で水銀がブリッジして、ショート状態
になることがある。この状態でランプを点灯させるとラ
ンプ不点灯の不具合や、点灯回路への負荷増大を起こす
ことがあった。 【解決手段】 ランプ消灯時、冷却して水銀を発光管の
内壁および電極に付着せしめた後、電極に付着した水銀
のみを取り除くために、短期間再点灯動作を自動的に行
う制御部１１を点灯装置に備える。これにより発光管内
壁に付着した水銀が固まりになっても、その固まりが電
極に付着し難くなり、電極間のショート状態を回避でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は投射型映像機器のバ
ックライト等に使用される高圧放電ランプの点灯装置に
関するもので、より安定な点灯動作が望める具体的構成
を提供する。

【０００２】

【従来の技術】液晶プロジェクタなどの投射型映像機器
に使用されるバックライトは明るさ性能の向上に伴ない
高圧水銀ランプなど、例えば特開平１０−２８３９９３
号公報記載のような高圧放電ランプが使用されている。
また、更なる高輝度化の要望に対し、光利用効率向上を
目的にして電極間距離を縮めたショートアークタイプの
高圧放電ランプが開発され採用されている。

【０００３】図３は高圧放電ランプの概略構成を示す断
面図であり、２はランプ発光管であり、その中には、一
対の電極３が一定の間隔を隔てて対向して配置され、水
銀４と希ガスが封入されている。消灯時には封入物であ
る前記水銀４は液化し、ランプ発光管２の内壁面５や電
極３に付着し安定している。特に、内璧面５に比べ熱容
量が小さく速やかに冷却する電極３により多くの水銀４
が付着する傾向にある。

【０００４】この状態で、製品の取り扱いなどによりラ
ンプ発光管２に振動が加わると水銀４は移動できる状態
にあり、場合によって、水銀４は小さな固まりになり、
自重により更に移動し易い状態になり大きな固まりにな
ることがある。大きな固まりになっても、従来のよう
に、電極間距離６が水銀４の固まりに対し十分大きい場
合は対向する電極３間に水銀４の固まりがまたがって安
定することは起こりえなかった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、近年使用され
るショートアークタイプの高圧放電ランプでは電極間距
離６が水銀４の固まりに対し同等もしくは小さい場合が
あり、この時、水銀４の固まりが電極３に付着している
水銀と一諸になり、電極間にブリッジしたようにまたが
った状態で安定する場合がある。これは電気的にはショ
ート状態であり、ランプ不点灯の不具合、または点灯回
路への負荷増大となる。

【０００６】このことは、製品の小型化に伴ない携帯性
が向上し、製品にかかる振動の頻度は多くなり、電極間
で水銀４がブリッジする機会が増えている。本発明はラ
ンプの消灯時の状態と冷却構造に工夫を加えることによ
り、ショートアークタイプの高圧放電ランプを使用して
も信頼性の高い点灯装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、高圧放電ランプ消灯後、前記封入された水
銀が液化する温度まで冷却した後、再び自動的に一定時
間前記ランプを点灯する動作を行うこととしたものであ
る。これにより、ショートアークタイプの高圧放電ラン
プを使用しても信頼性の高い点灯装置を備えた液晶プロ
ジェクタを提供することができる。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明の請求項１に記載の発明
は、ランプ発光管内に一定の間隔を隔てて電極が配置さ
れ、水銀が封入された高圧放電ランプの点灯装置におい
て、ランプ消灯後、前記封入された水銀が液化する温度
まで冷却した後、再び自動的に前記電極に付着した水銀
は気化し、ランプ発光管璧に付着した水銀は気化されな
い時間前記高圧放電ランプを再点灯することを特徴とし
た高圧放電ランプの点灯装置であり、再点灯により電極
に付着した水銀が気化されて除去されるため、ランプ発
光管内壁に付着した水銀が振動等により固まりになった
ものが、前記電極に付着された水銀と一緒になり電極間
をまたがるように付着する事態は軽減除去されるもので
ある。

【０００９】次に、本発明の請求項２に記載の発明は、
前記ランプ発光管を冷却する冷却ファンを有しており、
その冷却ファンは、前記高圧放電ランプの点灯とともに
自動的に駆動され、前記再点灯の終了するまで継続して
駆動されていることを特徴とする請求項１記載の高圧放
電ランプの点灯装置であり、冷却ファンを再点灯の終了
まで継続しているため、再点灯により気化した水銀は速
やかにランプ発光管内璧に付着するものである。

【００１０】（実施の形態１）以下、本発明の実施の形
態に付いて図１および図２を参照しながら説明する。図
１は液晶プロジェクタなど投射型映像装置の概略構成を
示す側断面図であり、１は前述の高圧放電ランプと同一
構成の高圧放電ランプであり、反射鏡のリフレクタ８と
一体的に取り付けられており、そのリフレクタ８の側面
には対向して開口部９が備えられ、その開口部９の近傍
には冷却ファン１０が配置されている。また、点灯用の
電源部１１と点灯と冷却を制御する制御部１２が備わっ
ている。

【００１１】このような構成において、高圧放電ランプ
１の消灯後の冷却と再点灯を次のように行う。

【００１２】高圧放電ランプ１の点灯中は、点灯ととも
に自動的に駆動される冷却ファン１０による冷風が開口
部９より流入し、高圧放電ランプ１のランプ発光管表面
は冷却され、一定温度に保たれる。

【００１３】一方、高圧放電ランプ１の消灯時には、水
銀４が液化する温度でランプ発光管表面の温度が約100
℃以下になる時間、例えば2分以上の冷却を行う。この
冷却動作でランプ発光管２の内部の水銀４をすばやく液
化し電極３とランプ発光管２の内壁面５に付着させ安定
させる。その後、制御部１２により再点灯の指示を出
す。この再点灯時間はランプ発光管２の内壁の温度が水
銀４の蒸発する温度以下の時間、すなわち、ランプ発光
管表面が約100℃以下に保てる時間で、例えば1秒以上3
秒以下の間だけ点灯させ、電極３に付着した水銀４のみ
を蒸発させる。その後、再度ランプの消灯の指示を出
し、次に冷却ファン１０を停止して、装置の動作を終了
させる。

【００１４】上記動作を図２にタイミングチャートで示
す。先述の動作を自動的に行う制御部１２を備えること
で高圧放電ランプの電極３間の水銀ブリッジによるショ
ート状態を防止することができる。

【００１５】冷却ファン１０が無い場合は高圧放電ラン
プの消灯後の冷却時間を例えば１０分以上の十分な時間
を設けて再点灯を行うことで同様の効果が得られる。

【００１６】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、簡単な
構成で高圧放電ランプの電極間の水銀ブリッジによるシ
ョート状態を防止でき、ランプ不点灯の不具合を防止す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態における高圧放電ランプの
点灯装置を使用したプロジェクタの概略を示す断面図

【図２】本発明の実施の形態における高圧放電ランプの
点灯装置の高圧放電ランプおよび冷却ファンの動作状態
を示す図

【図３】高圧放電灯の概略を示す断面図

【符号の説明】

１ 高圧放電ランプ ２ ランプ発光管 ３ 電極 ４ 水銀 ５ 内壁面 ６ 電極間距離 ８ リフレクタ ９ 開口部 １０ 冷却ファン １１ 電源部 １２ 制御部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ランプ発光管内に一定の間隔を隔てて電
   極が配置され、水銀が封入された高圧放電ランプの点灯
   装置において、ランプ消灯後、前記封入された水銀が液
   化する温度まで冷却した後、再び自動的に前記電極に付
   着した水銀は気化し、ランプ発光管璧に付着した水銀は
   気化されない時間前記高圧放電ランプを再点灯すること
   を特徴とした高圧放電ランプの点灯装置。
2. 【請求項２】 前記ランプ発光管を冷却する冷却ファン
   を有しており、その冷却ファンは、前記高圧放電ランプ
   の点灯とともに自動的に駆動され、前記再点灯の終了す
   るまで継続して駆動されていることを特徴とする請求項
   １記載の高圧放電ランプの点灯装置。