JP2003013891A - 送風ファン - Google Patents

送風ファン

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JP2003013891A
JP2003013891A JP2001198197A JP2001198197A JP2003013891A JP 2003013891 A JP2003013891 A JP 2003013891A JP 2001198197 A JP2001198197 A JP 2001198197A JP 2001198197 A JP2001198197 A JP 2001198197A JP 2003013891 A JP2003013891 A JP 2003013891A
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blade
fan
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blower fan
ratio
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JP2001198197A
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English (en)
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Hirotsugu Sato
洋次 佐藤
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Aisin Chemical Co Ltd
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Aisin Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実用的な車輌搭載寸法を満たしつつ、風の流
れを斜流化して高効率且つ低騒音の送風ファンを提供す
る。 【解決手段】 回転駆動されるボス3と、そのボス3外
周から放射状に形成された複数枚の翼5とを備えた送風
ファン1において、前記翼5の正圧面上であって、その
翼5の投影面積を略二分する有効径rcの内周側に、第
一の翼そり比及び第一の翼角度が設定された高圧力領域
7を形成するとともに、前記有効径rcの外周側に、前
記第一の翼そり比よりも小さい第二の翼そり比及び前記
第一の翼角度よりも小さい第二の翼角度が設定された低
圧力領域9をそれぞれ形成したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用冷却用フ
ァン等として利用可能な送風ファンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車用冷却ファンは、図1
2に示す送風ファン201のように、吸い込み側のラジ
エータ100と吐出側のエンジン110との間に設けら
れ、吸い込み側の周囲はシュラウド120により覆われ
る構造となっている。そして、近年は、特にエンジンの
高出力化、排気量の増大と共に、エンジンルーム内の過
密化や補機類の増加が進み、高圧力損失状態での冷却性
能向上が強く要求されるようになってきている。
【0003】ここで、高圧力損失状態とその逆の意味で
ある低圧力損失状態について説明する。自動車における
冷却ファンの働きは、ファン前方に設置されたラジエー
タに空気を通過させるために圧力差を発生させることで
ある。そして、ラジエータは空気の流れに関しては抵抗
体となっており、ファン前方に何も無い状態よりも空気
の流量は減少する。この時、ファン前方のラジエータと
の間の空間は、負圧が大きくなるにも拘わらず、流量が
減少しており、圧力損失が大きい状態となる。近年の自
動車においては、ラジエータの前にエアコン冷却用コン
デンサが追加されたり、補機が配設されることにより、
圧力損失が大きくなりやすい構造を有している。以下、
圧力損失が大きい(すなわち、風が抜けにくい)状態を
高圧力損失状態と呼び、圧力損失が小さい(すなわち、
風が抜け易い)状態を低圧力損失状態と呼ぶこととす
る。
【0004】このような高圧力損失状態のエンジンルー
ムにおいて、冷却用ファンとして従来の軸流ファンを用
いた場合、図12に示すように、遠心方向への風流れ成
分が増大するため、目標とする冷却性能を達成すること
が困難となっている。より詳細には、翼205は、図1
3(A)の翼断面図に示すように、翼元から翼端まで翼
そり比が5%乃至9%と比較的大きいため発生する風量
が大きいが、破線で示す風流れ抵抗部において流速が減
少し、遠心方向(シュラウド120方向)への流れ成分
が発生し易いのである。さらに、風流れの軸流成分がエ
ンジン110に衝突することにより発生する干渉音や、
遠心方向の成分がシュラウド120に衝突することによ
り発生する干渉音等の騒音が発生するという点が問題と
なっている(図13(B)参照)。
【0005】このような事情に鑑み、実開昭60−13
7198号公報には、ボス部を円錐台形状に形成、若し
くは円筒ボスに円錐台形状の鉄板スペーサをインサート
することにより斜流化の流れを導くように構成された斜
流ファンが提案されている。
【0006】また、特許第3048438号公報におい
ては、ファンブレードを前縁側より順に軸流ファン、斜
流ファン、遠心流ファンとして形成することにより、風
流れを斜流化するようにしたファンが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実開昭
60−137198号公報に記載された斜流ファンにお
いては、円錐台形状のボスを形成する場合には、翼根元
部でアンダーカット部分ができるため、金型費が増大す
るとともに、鉄板スペーサを用いる場合には、鉄板スペ
ーサが巨大化することによりコスト、質量、及び生産性
の面で問題がある。また、かかる従来の斜流ファンで
は、前面投影面積のうち、円錐面の占める割合が大き
く、流路が狭くなりファン自体が大きな通風抵抗となっ
て、冷却能力が大幅に低下するといった、実用上解決す
べき課題を有する。
【0008】一方、特許第3048438号公報に記載
された従来のファンでは、軸方向厚みが130mmとな
っており、実用上の車輌搭載寸法である50〜60mm
よりも遙かに大型であるので、軸方向厚みの縮小化が求
められる現状での使用は困難である。また、翼の構造
上、軸方向厚みを縮めて使用しようとした場合は、十分
な性能を出せないとともに、振動、浸水、高回転、飛び
石等に対する信頼性の確保も課題となる。
【0009】本発明は上述した問題点に鑑みてなされた
ものであり、実用的な車輌搭載寸法を満たしつつ、風の
流れを斜流化して高効率且つ低騒音の送風ファンを提供
することを解決すべき課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、請求項1に記載の送風ファンは、回転駆動されるボ
スと、そのボス外周から放射状に形成された複数枚の翼
とを備えたものを対象として、特に、前記翼の正圧面上
であって、その翼の投影面積を略二分する有効径の内周
側に、第一の翼そり比及び第一の翼角度が設定された高
圧力領域を形成するとともに、前記有効径の外周側に、
前記第一の翼そり比よりも小さい第二の翼そり比及び前
記第一の翼角度よりも小さい第二の翼角度が設定された
低圧力領域をそれぞれ形成したことを特徴とする。
【0011】従って、有効径の内周側に形成され、且つ
第一の翼そり比及び第一の翼角度が設定された高圧力領
域において風流れが発生し、その風流れの一部が、有効
径の外周側に形成され、且つ前記第一の翼そり比よりも
小さい第二の翼そり比及び前記第一の翼角度よりも小さ
い第二の翼角度が設定された低圧力領域に流れ込み、翼
後縁側の翼端より斜め後方に風が吐出される。
【0012】よって、風流れを斜流化させて円滑にする
ことができると共に、翼の周囲を囲むシュラウドに衝突
する遠心方向の風流れの発生が低減されるので、ファン
効率を向上させることができるだけでなく、騒音の発生
を低く抑えることもできる。
【0013】また、請求項2に記載の送風ファンは、前
記第一の翼そり比を約8%乃至13%に設定し、且つ前
記第二の翼そり比を約2%乃至約5%に設定したことを
特徴とする。
【0014】よって、高圧力領域においても比較的大き
な流量の風流れが発生し、低圧力領域において発生する
風流れと共に斜め後方へと確実に導かれるので、風流れ
が確実に斜流化される。
【0015】また、請求項3に記載の送風ファンは、前
記第一の翼角度を約40度乃至45度に設定し、且つ前
記第二の翼角度を約30度乃至約36度に設定したこと
を特徴とする。
【0016】よって、高圧力領域においては軸流成分を
含む風流れを発生させる一方、その風流れが低圧力領域
へと導かれて斜め後方へ吐出されるので、風流れが確実
に斜流化される。
【0017】また、請求項4に記載の送風ファンは、回
転駆動されるボスと、そのボス外周から放射状に形成さ
れた複数枚の翼とを備えたものを対象として、特に、前
記翼は、その翼そり比が翼元から翼端に向かって徐々に
減少するように設定されると共に、その翼角度が前記翼
元から翼端に向かって徐々に減少するように設定された
ことを特徴とする。
【0018】従って、翼元に近いほど風流れが高圧であ
り、翼端に近いほど風流れが低圧であるので、翼面に沿
って翼元から翼端方向に向かって斜め後方に風が導かれ
ることにより、風流れが斜流化される。
【0019】よって、風流れが斜流化されて円滑にな
り、ファン効率を向上させることができると共に、翼の
周囲を囲むシュラウドに衝突する遠心方向の風流れが低
減されるので、騒音の発生を低く抑えることができる。
【0020】また、請求項5に記載の送風ファンは、前
記翼において、翼端の翼後縁側隅角部の正面形状が面取
り状に形成されている。
【0021】従って、正面形状が面取り状になだらかに
形成された翼端の翼後縁側隅角部より斜め後方に風が流
れ易く、風流れが一層確実に斜流化される。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した送風フ
ァンの一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0023】図1は、本実施形態の送風ファン1の自動
車への搭載例を示す概略図、図2は、送風ファン1に取
り付けられた翼5の正面図である。
【0024】本実施形態の送風ファン1は、図1に示す
ように、自動車のエンジンルームに搭載されたラジエー
タ100を冷却する送風装置である。送風ファン1は、
フルーイドカップリング140によって回転駆動される
ボス3と、このボス3の周囲に放射状に配置された複数
枚の翼5とからなっている。送風ファン1は、ラジエー
タ100より車両後方側、且つエンジン200よりも車
両前方側に配置され、車両前方から後方に向かって送風
するように構成されている。すなわち、送風ファン1の
吸い込み側にラジエータ100が、吐出側にエンジン1
10がそれぞれ配置されている。また、ラジエータ10
0には、送風ファン1の吸い込み側の周囲を覆うシュラ
ウド120が取り付けられている。
【0025】送風ファン1の翼5には、図2に示すよう
に、翼正圧面上において翼有効径r cよりも内周側(翼
元11側)に高圧力領域7を形成し、翼有効径rcより
も外周側(翼端13側)には低圧力領域9を形成してい
る。そして、翼5はボス3中心を回転軸として、図2に
おいて反時計回りに回転する。尚、翼5の翼端13にお
ける直径は490mm、翼元11における直径は192
mm、有効径は340mmである。
【0026】高圧力領域7は、相対的に高い風圧を受け
る翼5上の領域であり、翼角度及び翼そり比が相対的に
大きく設定されている。一方、低圧力領域9は、相対的
に低い風圧を受ける翼5上の領域であり、翼角度及び翼
そり比が相対的に小さく設定されている。
【0027】ここで、翼正圧面とは、図3に示すよう
に、ファン1の回転時に風を受けて圧力が高くなる側
(翼5の裏面)をいい、翼負圧面とは、ファン1の回転
時に圧力が低くなる側(翼5の表面)をいう。尚、図3
は、図2に示した翼5におけるA−A線断面を示してい
る。
【0028】また、翼有効径とは、図2に示すように、
翼5の投影面積を略二分する位置に相当する径であり、
翼有効径rcは、翼元径ra及び翼端径rbを用いて、以
下の数式1により表される。
【0029】
【数1】
【0030】翼角度とは、図4に示すように、翼断面に
おける基準平面に対する傾き角度である。また、翼そり
比(以下、単にそり比とも称する)は、翼断面における
翼のそり高さHを翼弦長Lで割って得られた値(H/
L)であり、百分率により表される。尚、図4は、図2
のA−A線断面における翼角度及び翼そり比を図示した
ものである。
【0031】次に、翼5の形状について、図5を参照し
つつ更に詳細に説明する。図5は、翼5を翼元11から
翼端13までの4箇所における断面形状を説明する図で
あり、(A)は切断箇所をそれぞれB−B線、C−C
線、D−D線、E−E線により示し、(B)はそれぞれ
の切断箇所における断面を矢印X方向から視た断面形状
を示している。ここで、翼5の翼そり比は、B−B線断
面(翼元11)で約14%、C−C線断面(高圧力領域
7)で約11%、D−D線断面(低圧力領域9)で約5
%、E−E線断面(翼端13)で約0.5%となってお
り、翼元11から翼端13に向かって徐々に翼そり比が
減少している。一方、翼5の翼角度は、B−B線断面
(翼元11)で約45度、C−C線断面(高圧力領域
7)で約42度、D−D線断面で約36度(低圧力領域
9)、E−E線断面(翼端13)で約35度となってお
り、翼元11から翼端13に向かって徐々に翼角度が減
少している。
【0032】尚、高圧力領域7では、翼角度を約40度
乃至約45度、翼そり比を約8%乃至約13%に、低圧
力領域9では、翼角度を約30度乃至約36度、翼そり
比を約2%乃至約5%にそれぞれ設定するのが好まし
く、翼全体としては翼角度と翼そり比とがなだらかに変
化するように形成するのが好ましい。
【0033】また、前記翼5は、翼端13の翼後縁17
側の隅角部19の正面形状が面取り状になだらかに形成
されている。尚、翼前縁15とは、図2に示すように、
回転方向に対して前側(風を受ける側)の翼元11から
翼端13に至る部分を指し、翼後縁17とは、翼前縁1
5とは逆に後側(風が抜けていく側)の翼元11から翼
端13に至る部分を指す。
【0034】次に、送風ファン1の翼面上の風流れにつ
いて、図2を参照しつつ説明する。ファン1が回転する
と、高圧力領域7において流量の大きな軸流成分の風流
れが発生する。これは、高圧力領域7では、翼そり比が
大きく設定されているため発生する風流れの流量が大き
く、更に翼角度が大きく設定されているために軸流成分
が多くなっているためである。軸流成分の風流れの一部
は、高密度なエンジンルーム内の高圧力損失状態の影響
により遠心(翼端13)方向への流れ成分となり、低圧
力領域9に引っ張られる流れ成分が増大する。低圧力領
域9では、高圧力領域7から遠心方向へ流れてきた流れ
成分を吸収しつつ、斜め外方に風を吐出する。ここで、
翼後縁17の隅角部19が面取り状に形成されているた
め、風流れが斜め外方へ円滑に吐出される。
【0035】尚、上記の実施形態において、高圧力領域
7における翼そり比が本発明の第一の翼そり比に、低圧
力領域9における翼そり比が第二の翼そり比に、高圧力
領域7における翼角度が第一の翼角度に、低圧力領域9
における翼角度が第二の翼角度にそれぞれ相当するもの
である。
【0036】以上詳述した本実施形態の送風ファン1に
よれば、翼端13の近傍だけでなく、翼有効径を中心に
ボス3近傍の翼元11付近の領域でも翼そり比の大きな
高圧力領域7を形成して仕事量を大きくすることによ
り、大きな風量を発生させ、高いファン効率を確保して
いる。一方、翼有効径から翼端13にかけて翼そり比を
小さくした低圧力領域9を形成し、斜め外方への理想的
な風流れを導くように翼面上の圧力分布を設定したの
で、風の流れが円滑に斜流化され、エンジンやシュラウ
ドにおける干渉音等の騒音の発生を低く抑えることがで
きる。
【0037】ここで、騒音レベルは、ファン送風能力
(Q)と使用回転条件(N)とにより決定される部分
(騒音エネルギーは、QとNとの積に比例)と、空気流
れ干渉音との和である。従って、干渉音低減が低騒音化
に有効である。更に、空気干渉部が減少することによ
り、送風能力、すなわち、ファン効率の向上も図られる
のである。
【0038】また、従来の翼では翼の外周近傍おいても
高圧力であったために、相対的に低圧な翼負圧面への巻
き込み流れや、シュラウド120方向への干渉流れが大
きくなるという問題が生じていたが、本実施形態の送風
ファン1においては風流れが斜流化されるため、これら
の巻き込み流れや干渉流れの発生は大幅に低減される。
【0039】また、このように風の流れが斜め外方へ円
滑に導かれ、翼5が干渉流れ等の余分な仕事をすること
がないために、さらに一層、高いファン効率を得ること
ができる。
【0040】また、前記送風ファン1は、翼そり比及び
翼角度を上述したように設定することにより、実用的な
車両搭載寸法において実現することが可能である(寸法
については、後述する実施例参照)。更に、質量、コス
ト共に、従来の送風ファンと同等若しくはそれ以下で実
現することが可能である。
【0041】尚、本発明は上述した実施形態に限定され
るものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々
の変更を施すことが可能である。
【0042】例えば、前記実施形態では、送風ファン1
を自動車の冷却用ファンとして用いる構成であったが、
熱交換機用ファンとして構成することも可能である。要
するに、高圧力損失状態の下で前記送風ファン1を使用
することにより、上述したようなファン効率の向上及び
騒音の低減という作用効果が発揮されるのである。
【0043】また、翼端13付近において翼角度が約2
0度、翼そり比が約0.8%程度となるように翼角度及
び翼そり比を変化させることにより、ファン効率を大き
く向上させることが可能である。
【0044】また、前記実施形態における送風ファン1
の寸法、形状等は、用途に応じて適宜変更して実施可能
であることは勿論である。
【0045】
【実施例】次に、本発明の実施例によるファン及び従来
技術におけるファンについて、ファン効率、ファン近傍
の風の流速、及び騒音を実際に測定し、比較した結果に
ついて説明する。
【0046】まず、測定に使用した本発明の実施例によ
るファン(以下、本発明ファンと称する)及び従来技術
によるファン(以下、従来ファンと称する)のそれぞれ
の翼そり比及び翼角度について、図6及び図7を参照し
つつ説明する。
【0047】図6は、本発明ファン及び従来ファンにお
いて、直径方向の位置が異なる数箇所における翼そり比
及び翼角度を示す表であり、図7(A)は両ファンの翼
そり比をグラフ化したものであり、図7(B)は両ファ
ンの翼角度をグラフ化したものである。尚、直径192
mmの位置が翼元に相当し、直径490mmの位置が翼
端に相当する。
【0048】図6及び図7(A)から明らかなように、
そり比については、従来ファンでは、翼元付近で僅かに
増加してから翼端へ至るまでほぼ一定となっている。一
方、本発明ファンでは、翼元より翼端に至るまで単調に
減少している。そして、翼元の直径192mmから直径
360mm付近までは、本発明ファンのそり比が従来フ
ァンのそり比よりも大きいが、直径360mm付近から
翼端の直径490mmの位置では、本発明ファンのそり
比が従来ファンのそり比よりも小さくなっている。
【0049】一方、翼角度については、図6及び図7
(B)から明らかなように、従来ファンでは、翼元で4
5.18度、翼端で41.57度となっており、翼元か
ら翼端に至るまで僅かに減少しているのに対し、本発明
ファンでは、翼元で45.00度、翼端で35.00度
と大きく減少している。
【0050】次に、上述した本発明ファンと従来ファン
とを用いて、ファン効率を測定した結果について、図8
のグラフを参照しつつ説明する。
【0051】ここで、ファン効率とは、ファンを回転さ
せた時の回転軸にかかる損失トルクに対してどれだけの
送風能力を有するかを比率で表したものであり、以下の
数式2で表される。
【0052】
【数2】
【0053】図8のグラフは、本発明ファン又は従来フ
ァンの回転速度Nfを、1000rpm、1500rp
m、2000rpmの3段階に変化させ、更に各回転速
度において、ファン前方圧力の条件をa乃至eの5段階
に変化させてファン効率を測定したものである。
【0054】より具体的には、図11(A)に示すよう
な第1の実験装置31を用いて測定を行ったものであ
る。第1の実験装置31は、本発明ファン又は従来ファ
ンの前方に静定槽33を設けた装置であり、その静定槽
33内には、空気の流れを均一にするための抵抗体とし
ての整流メッシュ35が設けられている。静定槽33の
前方には静定槽33内へ空気を送り込むための補助ファ
ン37が設けられ、ファンの後方には実際の車両におけ
るエンジンに相当する直径520mmの背面板39が設
けられている。
【0055】条件aは、補助ファン37を停止させ本発
明ファン又は従来ファンのみを回転させて測定したもの
である。一方、条件b乃至eは、いずれも補助ファン3
7を回転させて測定したものであり、条件b、c、d、
eの順に徐々に回転速度を増加させている。従って、フ
ァン前方圧力は、a<b<c<d<eのように順に高く
なっている。尚、これは自動車が停止した状態から徐々
に走り出した状態に対応するものである。言い換える
と、ファン前方から強制的に送る空気の量を増加させて
圧力損失を徐々に小さくするものであり、条件aからe
に向かって、高圧力損失状態から低圧力損失状態へと段
階的に測定条件を変化させている。
【0056】図8のグラフに示すように、1分間のファ
ン回転数Nfが1000rpm、1500rpmでは条
件a乃至cにおいて、2000rpmでは条件a乃至e
において本発明ファンのファン効率が従来ファンのファ
ン効率を上回っている。以上より、圧力損失が大きい条
件下で、本発明ファンが従来ファンよりもファン効率の
点で優れていることがわかる。尚、前述したように、近
年の自動車におけるエンジンルームは圧力損失が相対的
に大きくなっているので、条件a乃至cにおいてファン
効率が大きいことが特に重要である。
【0057】次に、本発明ファンと従来ファンとを用い
て、ファン近傍を流れる風の流速を測定した結果につい
て、図9のグラフを参照しつつ説明する。
【0058】ファン近傍の流速は、図10に示す〜
の4箇所の測定ポイントにおいて、ファンの回転速度を
1000rpmに設定し、高圧力損失状態及び低圧力損
失状態のそれぞれの条件下で測定を行った。
【0059】高圧力損失状態での測定は、図11(A)
に示される第1の実験装置31を用いて行った。一方、
低圧力損失状態での測定は、図11(B)に示すよう
に、本発明ファン又は従来ファンの前方に直径540m
mの風洞53を設け、ファン後方に直径520mmの背
面板55を設けた第2の実験装置51において行った。
第2の実験装置51では、本発明ファン又は従来ファン
前方の風洞53内に空気流れの抵抗体となるものは存在
していない。
【0060】測定ポイントは、翼中央部とエンジンと
の中間に位置し、における流速が軸流の流速に相当す
る。測定ポイント〜は、エンジンとシュラウドとの
隙間に設けられ、が最もエンジン寄り、が最もシュ
ラウド寄りであり、はその中間に位置している。ここ
で、測定ポイントでは、風流れの抵抗体となるエンジ
ンが存在しているため、流速が小さい方が望ましい。ま
た、では、風流れの円滑化によるファン効率向上の観
点から、流速が速い方が望ましい。また、及びで
は、シュラウドにおける騒音発生防止の観点から流速が
遅い方が望ましい。
【0061】図9から明らかなように、測定ポイント
においては、高圧力損失状態、低圧力損失状態共に、本
発明ファンと従来ファンとで流速に殆ど差が認められな
かった。尚、周速の大きい翼端付近がファンにおける仕
事の中心となるため、流速の小さい測定ポイントにお
ける流速がファン効率に与える影響は相対的には小さい
ものである。
【0062】測定ポイントにおいては、低圧力損失状
態では従来ファンの流速が本発明ファンの流速を上回っ
ている。これは、低圧力損失状態では前方に抵抗体が少
ないため、ファン側方の方向よりも方向へ空気が流
れ易いのであるが、この傾向が従来ファンの方が強いた
めと考えられる。一方、高圧力損失状態では、本発明フ
ァンの流速が、従来ファンの流速を上回っている。
【0063】測定ポイント及びでは、高圧力損失状
態、低圧力損失状態ともに、本発明ファンの流速が従来
ファンの流速を下回っている。また、低圧力損失状態に
おいて、従来ファンでは測定ポイントよりもの方が
流速が大きいのに対し、本発明ファンでは逆になってお
り、測定ポイントにおける流速が相対的に大きいこと
がわかる。
【0064】以上より、本発明ファンでは従来ファンよ
りも好ましい流速分布(すなわち、風流れ)となってお
り、特に高圧力損失状態においては理想的な風流れとな
っていることがわかる。
【0065】次に、本発明ファンと従来ファンとを用い
て、騒音を測定した結果について、図10のグラフを参
照しつつ説明する。
【0066】騒音の測定は、ファンの回転数を1000
rpmから500rpm間隔で3000rpmまで上昇
させて行った。図11のグラフから明らかなように、測
定を行ったすべての回転数において、本発明ファンの騒
音が従来ファンの騒音を下回っていることがわかる。
【0067】
【発明の効果】以上述べたように本発明の請求項1に記
載の送風ファンによれば、風流れを斜流化させて円滑に
することができると共に、翼の周囲を囲むシュラウドに
衝突する遠心方向の風流れの発生が低減されるので、フ
ァン効率を向上させることができるだけでなく、騒音の
発生を低く抑えることもできるという効果を奏する。
【0068】また、請求項2に記載の送風ファンによれ
ば、高圧力領域においても比較的大きな流量の風流れが
発生し、低圧力領域において発生する風流れと共に斜め
後方へと確実に導かれるので、風流れが確実に斜流化さ
れるという効果を奏する。
【0069】また、請求項3に記載の送風ファンによれ
ば、高圧力領域においては軸流成分を含む風流れを発生
させる一方、その風流れが低圧力領域へと導かれて斜め
後方へ吐出されるので、風流れが確実に斜流化されると
いう効果を奏する。
【0070】また、請求項4に記載の送風ファンによれ
ば、風流れが斜流化されて円滑になり、ファン効率を向
上させることができると共に、翼の周囲を囲むシュラウ
ドに衝突する遠心方向の風流れが低減されるので、騒音
の発生を低く抑えることができるという効果を奏する。
【0071】また、請求項5に記載の送風ファンによれ
ば、正面形状が面取り状になだらかに形成された翼端の
翼後縁側隅角部より斜め後方に風が流れ易く、風流れが
一層確実に斜流化されるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の送風ファンを自動車のエンジンルー
ムに取り付けた実施形態を示す概略構成図である。
【図2】 翼の正面図である。
【図3】 図2に示す翼のA−A線における断面図であ
る。
【図4】 図2に示す翼のA−A線における断面図であ
る。
【図5】 (A)は翼の正面図、(B)は(A)におけ
るB−B線、C−C線、D−D線、E−E線における断
面図である。
【図6】 測定に使用した本発明ファン及び従来ファン
のそり比及び翼角度データを示す表である。
【図7】 (A)はそり比を比較して示すグラフであ
り、(B)は翼角度を比較して示すグラフである。
【図8】 ファン効率を比較して示すグラフである。
【図9】 ファン近傍の流速を比較して示すグラフであ
る。
【図10】 騒音を比較して示すグラフである。
【図11】 (A)は第1の実験装置の概略構成図、
(B)は第2の実験装置の概略構成図である。
【図12】 従来の送風ファンの概略構成図である。
【図13】 (A)は従来の送風ファンの断面図、
(B)は風流れを説明する説明図である。
【符号の説明】
1 送風ファン 3 ボス 5 翼 7 高圧力領域 9 低圧力領域 11 翼元 13 翼端 17 翼後縁 19 隅角部 rc 翼有効径

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転駆動されるボスと、そのボス外周か
    ら放射状に形成された複数枚の翼とを備えた送風ファン
    において、 前記翼の正圧面上であって、その翼の投影面積を略二分
    する有効径の内周側に、第一の翼そり比及び第一の翼角
    度が設定された高圧力領域を形成するとともに、前記有
    効径の外周側に、前記第一の翼そり比よりも小さい第二
    の翼そり比及び前記第一の翼角度よりも小さい第二の翼
    角度が設定された低圧力領域をそれぞれ形成したことを
    特徴とする送風ファン。
  2. 【請求項2】 前記第一の翼そり比を約8%乃至約13
    %に設定し、且つ前記第二の翼そり比を約2%乃至約5
    %に設定したことを特徴とする請求項1に記載の送風フ
    ァン。
  3. 【請求項3】 前記第一の翼角度を約40度乃至約45
    度に設定し、且つ前記第二の翼角度を約30度乃至約3
    6度に設定したことを特徴とする請求項1又は2に記載
    の送風ファン。
  4. 【請求項4】 回転駆動されるボスと、そのボス外周か
    ら放射状に形成された複数枚の翼とを備えた送風ファン
    において、 前記翼は、その翼そり比が翼元から翼端に向かって徐々
    に減少するように設定されると共に、その翼角度が前記
    翼元から前記翼端に向かって徐々に減少するように設定
    されたことを特徴とする送風ファン。
  5. 【請求項5】 前記翼は、翼端の翼後縁側隅角部の正面
    形状が面取り状に形成されていることを特徴とする請求
    項1乃至4のいずれかに記載の送風ファン。
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