JP2003013357A - 不織布の表面処理方法およびこの方法を用いたゴム系複合材料の製造方法 - Google Patents

不織布の表面処理方法およびこの方法を用いたゴム系複合材料の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 不織布とゴムとの間の接着材としての被膜形
成において、良好に被膜との間の接着性を高めることの
できる不織布の表面処理方法、およびこの方法を用いる
ことにより、タイヤやベルト等のゴム物品の補強材とし
て有用な、耐久性に優れたゴム系複合材料を得ることの
できるゴム系複合材料の製造方法を提供する。 【解決手段】 不織布を低圧プラズマ法にて表面処理す
る不織布の表面処理方法において、ガス圧を1×10-2
Pa〜2×101Paの範囲内または2×102Pa〜5
×103Paの範囲内として不織布にプラズマ処理を施
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は不織布の表面処理方
法およびこの方法を用いたゴム系複合材料の製造方法に
関し、詳しくは、良好に被膜との間の接着性を高めるこ
とのできる不織布の表面処理方法、およびこの方法を用
いることにより、タイヤやベルト等のゴム物品の補強材
として有用な、耐久性に優れたゴム系複合材料を得るこ
とのできるゴム系複合材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】タイヤやベルト等に適用されるゴム系複
合材料の補強材としては、従来より有機繊維コードやス
チールコードが広く用いられている。この場合、ゴムと
補強材とが強固に接着していることは、その製品の耐久
性の面から重要なことである。従って、従来、有機繊維
コードとゴムとの複合材においては、両者の接着性を高
めるために、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物/ラ
テックス(RFL)接着剤中への有機繊維コードのディ
ップ処理が行われていた。また、スチールコードとゴム
との複合材においては、両者の接着性を高めるために、
スチールコードに各種メッキ処理を施すことが一般に行
われていた。
【0003】また、タイヤやベルト等に適用されるゴム
系複合材料の補強材として、有機繊維コードやスチール
コードの他に、不織布を用いることも知られている。例
えば、特開平10−53010号公報においては、乗り
心地性能や耐久性といったラジアルタイヤ本来の性能を
損なうことなく、また製法を複雑化することなく、タイ
ヤサイドウォール部の剛性を高めてタイヤの操縦安定性
を向上させるために、カーカス層とサイドウォール部と
の間に、不織布を用いたゴム−フィラメント繊維複合体
を適用することが提案されている。
【0004】さらに、補強材としての不織布の性能向上
が注目され、最近では、タイヤ以外の剛性や耐久性が求
められるゴム物品への不織布の適用が検討されてきてい
る。また、従来補強材を含まない構造のゴム系複合材料
においても、不織布を伴う補強材を用いることにより、
設計の自由度が広がるとともに、高い耐久性が得られる
ことが期待される。
【0005】しかし、不織布をゴム系複合材料の補強材
として用いる場合、従来の有機繊維コードにおいて適用
されていたRFL接着剤中への有機繊維コードのディッ
プ処理や、スチールコードにおいて適用されていたメッ
キ処理を適用して接着性を高めることはできなかった。
これは、これらの処理を不織布に施すと、不織布が目詰
りを起こしてフィルム状になってしまい、ゴムと合わせ
たときの不織布とゴムとの接触面積が小さくなって、所
望の効果を得ることができなくなるためである。このた
め、不織布とゴムとの接着性を向上するための方法とし
て、不織布表面上にゴムとの接着性を有する金属膜等の
被膜を形成する技術が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
不織布上への被膜形成処理では、ゴム系複合材料をゴム
物品として実使用する際の耐久性において十分なもので
はなく、不織布とゴムとの間の接着性をより高めるため
に、不織布表面上への被膜の形成において、両者のより
良好な接着性を得るための技術が求められていた。
【0007】そこで本発明の目的は、上記問題点を解消
して、不織布とゴムとの間の接着材としての被膜形成に
おいて、良好に被膜との間の接着性を高めることのでき
る不織布の表面処理方法、およびこの方法を用いること
により、タイヤやベルト等のゴム物品の補強材として有
用な、耐久性に優れたゴム系複合材料を得ることのでき
るゴム系複合材料の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、不織布表面への被
膜形成のための処理として低圧プラズマ法を採用し、か
つその処理の際のガス圧を所定の範囲内とすることが被
膜との間の接着性を良好に高める上で極めて効果的であ
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明の不織布の表面処理方法は、
不織布を低圧プラズマ法にて表面処理する不織布の表面
処理方法において、ガス圧を1×10-2Pa〜2×10
1Paの範囲内として不織布にプラズマ処理を施すこと
を特徴とするものである。
【0010】本発明の他の、不織布の表面処理方法は、
不織布を低圧プラズマ法にて表面処理する不織布の表面
処理方法において、ガス圧を2×102Pa〜5×103
Paの範囲内として不織布にプラズマ処理を施すことを
特徴とするものである。
【0011】また、本発明のゴム系複合材料の製造方法
は、不織布に前記本発明の表面処理を施した後、物理的
気相成長法(PVD)または化学的気相成長法(CV
D)により被膜を形成し、次いで未加硫ゴムを加熱圧着
することを特徴とするものである。
【0012】本発明は以下の知見に基づくものである。
即ち、被膜と不織布との接着性向上のための処理法とし
て低圧プラズマ法による処理が有効であることを見い出
したが、かかる処理を行った場合、不織布の目が粗い部
分に放電が集中するなどしてその部分に穴あきなどの損
傷を受けることがあることが分かった。そこで、このよ
うな損傷を回避すべく処理中のガス圧に着目して更に鋭
意研究を重ねた結果、プラズマ発生可能なガス圧におい
て低圧領域と高圧領域の2種類のガス圧領域において上
記損傷を回避できることが分かった。これは以下のよう
な理由によると考えられる。即ち、ガス圧が低い1×1
-2Pa〜2×101Paの範囲内(以下「低圧領域」
と略記する)だと、電子の平均自由行程が長くなり、狭
い隙間では放電しにくくなると考えられ、一方、ガス圧
が高い2×102Pa〜5×103Paの範囲内(以下
「高圧領域」と略記する)だと、放電が入り込む隙間の
サイズが十分小さくなるため、この小さな隙間に放電が
入り込んでもエネルギー密度の増加は少ないものと考え
られる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につき
具体的に説明する。まず、本発明において適用し得る不
織布は、カーディング法、抄紙法、エアレイ法、メルト
ブロー、スパンボンド法などにより作製されたウェブで
ある。メルトブロー、スパンボンド法以外のウェブにお
ける繊維の結合方法として、熱融着法、バインダによる
方法、水流または針の力で繊維を交絡させる水流絡合
法、ニードルパンチ法を好適に利用することができる。
とりわけ水流または針で繊維を交絡させる水流絡合法、
ニードルパンチ法およびメルトブロー、スパンボンド法
により得られた不織布が好適である。
【0014】不織布の材質としては、綿、レーヨン、セ
ルロースなどの天然高分子繊維、脂肪族ポリアミド、ポ
リエステル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、芳香
族ポリアミドなどの合成高分子繊維、およびカーボン繊
維、ガラス繊維、スチールワイヤのうちから選択される
一種又は複数種の繊維を混合することができる。また、
隣接層と素材が異なる多層構造のフィラメント繊維でも
よい。更に、異なる材質を内層と外層に配置した芯鞘構
造、あるいは米字型、花弁型、層状型等の複合繊維も用
いることができる。
【0015】本発明においては、かかる不織布は、繊維
フィラメントの間までゴムが含浸する構造を有している
こと、そして比較的長い距離、広い範囲でフィラメント
繊維とゴムが相互に連続層を形成できる構造を有してい
ることが重要な基本的要件である。このため、フィラメ
ント繊維の直径または最大径は、好ましくは0.1〜1
00μm、より好ましくは0.1〜50μmの範囲内で
ある。但し、その断面形状は円状のもの、または円と異
なる断面形状のもの、中空部を有するもの等を用いるこ
とができる。
【0016】また、フィラメント繊維の長さは、好まし
くは8mm以上、より好ましくは10mm以上である。
かかるフィラメント繊維の長さが8mm未満では、繊維
フィラメント−繊維フィラメント間のからみ合いが十分
でなく、補強層としての強度を保持できなくなる。
【0017】不織布の目付質量(1m2当たりの質量)
は、好ましくは10〜300g、より好ましくは10〜
100gの範囲内である。不織布の目付質量が10g未
満では不織布自体の均一性を維持することが困難となっ
てムラの多い不織布となり、加硫後の不織布/ゴム複合
体とした時の強度、剛性、破断伸度のバラツキが大きく
なるため、好ましくない。一方、300gを超えるとゴ
ムの流動性にもよるが、不織布内部の空隙にゴムが浸透
しなくなり、例えば、タイヤ部材として考えた場合、ゴ
ム−不織布複合体の耐剥離性の観点から好ましくない。
【0018】本発明においては、かかる不織布表面に対
し、低圧プラズマ法による表面処理を行う。この処理を
施すにあたり、ガス圧を1×10-2Pa〜2×101
a、好ましくは1×10-2Pa〜1.5×101Paの
低圧領域内とするか、2×102Pa〜5×103Pa、
好ましくは3×102Pa〜5×102Paの高圧領域内
とすることが、放電の集中などによる穴あきなどの損傷
を回避する上で重要である。また、この際、不織布に対
し連続的に投入するエネルギー密度は、好ましくは10
00J/m2〜50000J/m2の範囲内とする。この
範囲を超えるエネルギー密度では局所的な強い放電の発
現により、不織布への穴あき等の損傷が懸念される。一
方、この範囲に達しないとプラズマ処理をするのに不十
分である。時間は1秒〜1000秒の範囲で、必要に応
じて適宜選択する。
【0019】プラズマの発生に関しては、直流と交流と
のいずれを用いることもできる。電源周波数(電極へ供
給)は、公知の直流、交流のいずれを用いてもよく、一
般に、直流電源、低周波(LF)電源、高周波(RF)
電源、マイクロ波(MW)電源などが用いられるが、パ
ルス電源を用いてもよい。高周波未満の周波数では電極
が必要であるが、高周波放電では、内部電極型、外部電
極型、誘導電場型(コイル)を用いることができる。
【0020】また、必要に応じて基材である不織布付近
にバイアス電圧を印加してもよい。その場合、直流、交
流いずれのバイアスも可能である。交流の場合、パル
ス、または高周波が好ましい。直流の場合、好ましくは
−1kV〜+1kVの電圧範囲である。
【0021】雰囲気ガスとしては、例えば、Ar、H
e、Ne、Kr、O2、H2O、N2、NH3、CH4等の
有機物、空気、CO2、CF4、SF6等を挙げることが
でき、これらのうち2種類以上を混合して用いてもよ
い。特に好ましいのは、Ar、O 2である。
【0022】尚、本発明の処理は、電極や処理の非対称
性のために不織布両面を十分に処理しがたい場合には、
必要に応じて両面に行うことも可能である。
【0023】次に、本発明のゴム系複合材料の製造方法
について説明する。上述の本発明の表面処理を行った
後、処理後の不織布表面、即ち、不織布を構成するフィ
ラメント表面に、被膜を形成する。被膜の形成は、物理
的気相成長法(PVD)または化学的気相成長法(CV
D)により行うことが好ましく、この場合、無溶剤であ
るために環境への汚染が少ないという利点がある。ま
た、気相での成膜であるために、従来のディップ処理や
メッキ処理のように、不織布を目詰りさせることがな
い。
【0024】本発明に適用し得るPVD法としては、真
空蒸着法、例えば、抵抗加熱蒸着、電子ビーム加熱蒸
着、分子線エピタキシー法、レーザーアブレーション
法、スパッタ法(例えば、直流スパッタ、高周波スパッ
タ、マグネトロンスパッタ、ECRスパッタ)、イオン
ビーム、イオンプレーティング法、例えば、高周波イオ
ンプレーティング、イオン化クラスタビーム成膜法、ま
たはイオンビーム法等が挙げられ、また、CVD法とし
ては、熱CVD法、例えば、常圧CVD、減圧CVD、
有機金属CVD、光CVD法、またはプラズマCVD
法、例えば、直流プラズマCVD、高周波プラズマCV
D、マイクロ波プラズマCVD若しくはECRプラズマ
CVD等が挙げられる。これらのうち、スパッタ法が好
適に用いられ、特に好適には、マグネトロンスパッタ法
である。
【0025】スパッタ法が好ましい理由としては、第1
に、基材である不織布表面の温度が低温での成膜が可能
であることが挙げられる。第2には、通常は成膜時の動
作圧力が5×10-2Pa〜1×101Paと比較的高
く、不織布からのアウトガスによる影響が少ないことで
ある。第3には、ターゲットからスパッタした粒子が直
進して基材である不織布表面に到達する前にアルゴン
(Ar)等の雰囲気ガスにより散乱される可能性が高い
ために、「回り込み」が起きやすいことが挙げられる。
即ち、この「回り込み」の効果により、不織布が極めて
複雑な形状をしているにもかかわらず、不織布のターゲ
ットに面していない部分や陰になっている部分にも良好
に成膜を行うことができる。
【0026】スパッタ条件、特には、マグネトロンスパ
ッタ条件としては、例えば、雰囲気ガスは、不活性ガ
ス、例えば、Ar、He、Ne、Kr、特にはArに対
し、必要に応じて反応ガス、例えば、酸化系の場合はO
2、H2O等、窒化系の場合はN 2、NH3等、また炭化系
の場合はCH4等を混ぜてもよい。反応ガスと不活性ガ
スとの混合比(供給ガスの体積比)は、100/0〜0
/100(不活性ガス/反応ガス)、 好ましくは10
0/0〜20/80である。
【0027】また、この場合にも、必要に応じて、基材
である不織布付近にバイアス電圧を印加してもよい。そ
の場合、直流、交流いずれのバイアスも可能である。交
流の場合、パルス、または高周波が好ましい。直流の場
合、好ましくは−1kV〜+1kVの電圧範囲である。
【0028】ガス圧は、スパッタできる圧力であればい
かなる値でもよいが、好ましくは1×10-2Pa〜5×
102Pa、より好ましくは5×10-2Pa〜5×101
Paである。また、電源周波数(ターゲットへ供給)は
公知の直流、交流のいずれを用いてもよい。一般に、直
流電源、高周波電源などが用いられるが、パルス電源を
用いてもよい。ターゲットと基材の間に誘導性プラズマ
を発生させてスパッタ中の粒子を活性化する、いわゆる
イオン化マグネトロンスパッタ(ionized ma
gnetron sputtering)や、直流高周
波重畳型電源でのスパッタも可能である。
【0029】このような気相成長により形成される被膜
の平均膜厚は、好ましくは5×10 -10m〜1×10-5
m、より好ましくは1×10-9m〜5×10-7mであ
る。この膜厚が薄すぎると接着性が不十分となり、一
方、厚すぎると被膜の内部応力により基材から剥離する
傾向がある。かかる被膜は、不織布の繊維表面に硫化反
応に必要なだけ形成されていればよく、必ずしも均一形
成されている必要はない。成膜中、あるいは成膜後に、
大気中にさらした際に空気中の酸素や水蒸気と反応し
て、被膜中に酸素や水素などの不純物が混入することが
ある。また、必要に応じて、成膜後にさらに、プラズマ
処理、イオンインプランテーション、イオン照射、熱処
理などを施して、被膜の表面状態、反応性、内部応力等
を向上させてもよい。
【0030】本発明において使用し得る被膜の材料は、
硫黄と反応可能な金属または金属化合物であり、合金、
酸化物、窒化物も含まれ、ゴム加硫時にゴム中の硫黄と
硫化反応する材料であればいかなるものでもよい。例え
ば、Co、Cu、Zn、Cr、Al、Ag、Ni、P
b、Si、Ti、Wやこれらのうち2種類またはそれ以
上からなる合金、さらにはこれらの酸化物、窒化物、炭
化物、硫化物、硫酸化合物などの化合物を用いることが
できる。特に、Co、Co/Cr合金、Cu/Zn合
金、Cu/Al合金等の金属、合金、またはこれらの酸
化物を好適に用いることができる。より好ましくは、C
oまたはCoの酸化物である(特開昭62−87311
号、62−246278号、特開平1−290342号
公報参照)。ここで、酸化物、窒化物、炭化物等の化合
物は、化学量論的な値により得られたものであってもそ
うでなくてもよい。好ましくは、化学量論的な値に比べ
金属元素の比率が大きいものとする。
【0031】不織布表面に成膜後、未加硫ゴムを被覆し
て加熱圧着する。この際、ゴム加硫時に上述の被膜とゴ
ムとの硫化反応により接着が生ずると考えられる。ここ
で、加硫と硫化は競合反応であり、両者が好適に行われ
るためには反応性のマッチングが必要である。スパッタ
成膜では、成膜時に、Ar等の不活性ガスに加えて、酸
素、窒素等の反応ガスを適量加えて適度な硫化反応性を
持つ化合物薄膜を形成することが容易である。
【0032】本発明において使用する不織布とゴムとの
複合化は、プレスまたはロールなどによりシート状未加
硫ゴム組成物を上下両面または片面から圧着して、不織
布内部の空気をゴムと置換することにより行うことがで
きる。
【0033】尚、本発明において使用し得るゴム組成物
は、特に制限されるべきものではなく、例えば、タイヤ
やベルトにおいて慣用されているゴム組成物を好適に用
いることができる。よって、ゴム成分としては天然ゴム
および合成ゴムのいずれでもよく、また加硫剤、加硫促
進剤、補強材、老化防止剤、軟化剤等を適宜配合するこ
とができる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明
する。不織布(繊維種:ポリエステル、繊維径:25μ
m、目付質量:40g/m2、厚さ:5mm)の表面
(両面)を、下記の表1に示す条件にて内部電極型高周
波プラズマ(周波数:13.56MHz)で処理した。
処理時間はいずれも60秒とした。評価は、プラズマ処
理によってあいた穴の数とそのおよその直径を調べるこ
とによって行った。穴の数が多いほど、また、その穴の
直径が大きいほど不織布は損傷を受けたものと考えられ
る。
【0035】
【表1】
【0036】上記表1から分かるように、いずれの実施
例も比較例に比べ不織布へのダメージはほとんど見られ
なかった。
【0037】次に、上記表1に示す各条件にて高周波プ
ラズマ処理した不織布表面に、Coターゲット(純度3
N)をスパッタしてCoを成膜した。成膜条件は、スパ
ッタガスとしてAr100%、圧力0.7Pa、平均膜
厚が20nm程度になるようにした。
【0038】上述のようにしてCoの被膜形成がなされ
た不織布を未加硫ゴムで両面から挟んで被覆一体化した
ゴム系複合材料(フィラメント繊維−ゴム複合体)を補
強部材層として、カーカス層とサイドウォールとの間に
てビードフィラーの上端から50mmにわたり貼付けし
た。このようにして得られた、未加硫ゴム複合材料を繊
維補強部材層として適用した生タイヤを成型し、続いて
加硫成型を施し、タイヤサイズ195/60R15、カ
ーカスプライPET1670dtex/2のラジアルタ
イヤを夫々試作した。また、従来例として、不織布では
なく繊維コードの簾織りを補強部材層として適用した以
外は同様にしてラジアルタイヤを試作した。これらタイ
ヤについて、操縦安定性試験および高荷重ドラム耐久性
試験を以下のようにして実施した。
【0039】<操縦安定性>試作タイヤを車輌(国産F
F2000cc)に装着し、速度40〜120km/h
で直進、レーンチェンジの条件にて実車走行を行い、ド
ライバーのフィーリングにより操縦安定性を評価した。
評価はコントロールとしての従来例との対比で以下に示
すように区分し、その合計点数をコントロールを100
とした指数で表示した。 0:変わらない +2:やや良いと思われる +4:やや良い +8:良い
【0040】<高荷重ドラム耐久性>試作タイヤを、2
5℃±2℃の室内中でJATMA規格の最大空気圧に調
整後、24時間放置し、空気圧の再調整を行い、JAT
MA規格の最大荷重の2倍荷重をタイヤに付加し、直径
1.7mのドラム上で速度60km/hで走行させ、故
障発生までの走行距離を測定した。結果は、従来例のタ
イヤの故障に至るまでの走行距離を100として指数表
示した。数値が大なる程結果が良好である。得られた結
果を下記の表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】上記表2より、いずれの比較例も接着性付
与のため特性は向上するが、不織布自身のダメージの少
ない実施例では操縦安定性、耐久性ともにさらに向上し
ていることが分かる。
【0043】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の不織
布の表面処理方法によれば、不織布に穴あきなどの損傷
を与えることなく良好に被膜との間の接着性を高めるこ
とができる。また、この方法を用いた本発明のゴム系複
合材料の製造方法によれば、タイヤやベルト等のゴム物
品の補強材として有用な、耐久性に優れたゴム系複合材
料を得ることがきる。よって、例えば、これをタイヤの
サイドウォール部の補強材として使用した場合には、走
行耐久性とともに、操縦安定性が大幅に改善される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA17B AK41 AN00C BA03 BA07 BA10A BA10C DG01 DG15A EH662 EJ202 EJ422 EJ602 EJ612 GB32 JB20C JD20 JL00 JL11 JM02B 4L031 BA04 BA09 CB05 CB13 CB14 DA21

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不織布を低圧プラズマ法にて表面処理す
    る不織布の表面処理方法において、ガス圧を1×10-2
    Pa〜2×101Paの範囲内として不織布にプラズマ
    処理を施すことを特徴とする不織布の表面処理方法。
  2. 【請求項2】 前記ガス圧を1×10-2Pa〜1.5×
    101Paの範囲内とする請求項1記載の不織布の表面
    処理方法。
  3. 【請求項3】 不織布を低圧プラズマ法にて表面処理す
    る不織布の表面処理方法において、ガス圧を2×102
    Pa〜5×103Paの範囲内として不織布にプラズマ
    処理を施すことを特徴とする不織布の表面処理方法。
  4. 【請求項4】 前記ガス圧を3×102Pa〜5×102
    Paの範囲内とする請求項3記載の不織布の表面処理方
    法。
  5. 【請求項5】 連続的に投入するエネルギー密度を10
    00J/m2〜50000J/m2の範囲内とする請求項
    1〜4のうちいずれか一項記載の不織布の表面処理方
    法。
  6. 【請求項6】 プラズマ中の雰囲気ガスとしてアルゴン
    を用いる請求項1〜5のうちいずれか一項記載の不織布
    の表面処理方法。
  7. 【請求項7】 プラズマ処理として高周波プラズマ処理
    を用いる請求項1〜6のうちいずれか一項記載の不織布
    の表面処理方法。
  8. 【請求項8】 不織布に請求項1〜7のうちいずれか一
    項記載の表面処理を施した後、物理的気相成長法(PV
    D)または化学的気相成長法(CVD)により被膜を形
    成し、次いで未加硫ゴムを加熱圧着することを特徴とす
    るゴム系複合材料の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記物理的気相成長法(PVD)として
    スパッタ法を用いる請求項8記載のゴム系複合材料の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 前記被膜が、コバルトまたはコバルト
    酸化物からなる請求項8または9記載のゴム系複合材料
    の製造方法。
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